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ヤンデレの小説を書こう!@避難所 Part06
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帰宅して。
ポケットから携帯を取り出したとき、何かが落ちた。
一端が猫みたいな形に曲げられたヘアピンだ。
なんでこんなものが僕のポケットに?
いや、どこかで見覚えがある。どこかで最近みたような、見てないような。
……いや、見た見た! 見てないようなじゃない! 見てる! 僕見てる! これ、今帰さんの頭についてた奴だ!
今帰さんはいつも前髪を数本のヘアピンで止めている。これはそのうちの一本だ。
いつの間に僕のポケットに混入したんだ!?
普通だったら気づくだろうが、さっきはそれどころじゃなくて気づかなかった。
どうしよう。探してるだろうな。
返すべきだろう。
しかしどうやって弁明すればいいんだ。
僕がこれから返しに行っても、僕が今帰さんのヘアピンを盗んだようにしか見えないだろう。
だっていかにも美少女の私物を盗りそうなキャラだし、僕。
まったく、酷い偏見だ。そういうのは行動力がある奴がやるものだ。僕くらい行動力が無いと無害なもんだ。
だが、事実は問題ではない。大事なのは印象だ。
さて、どうする。
そうだ、今帰さんの机の中にでもいれればいいんだ。
これなら返すのに顔を合わせる必要は無い。つまり誤解されることも気持ち悪がられることもない。
少し腑に落ちない面もあるだろうが、それでも置き忘れたのだとすぐに納得してくれるはずだ。
僕がチキンなせいで彼女はあるはずも無いところを不毛に探す時間が延びてしまうかもしれないと思ってしまって少し気に病やまなくもないけれど、物事をいちいち深刻に考えすぎてしまうのはぼっちの悪い癖だ。
関わる相手がいないからいちいち小さな事象を深刻視してしまうんだ。何のことは無い。気にすることは無い。本当に無駄な時間を使わせてしまったらごめんなさい。
そうと決まれば行動は早いほうがいい。
時間が立てばたつほど事態は深刻化し、収集がつかなくなるものだ。
僕は早速学校に向かった。
時間はまだ十七時半。教室はまだ施錠されていなかった。
確か今帰さんの席は教室入り口から右に一つ、後ろに四つ。
念のため、引き出しの中を見る。
引き出しの中は空だった。几帳面な彼女は、置き勉したりはしていないらしい。毎日すべての教科書やノートを持ってくるなんて大変だろうに。
あまりに使用感が無くて、この机は誰にも使われていない机なのではないかと思いそうになる。
椅子にクッションが置かれていなければ、そう思っていたことだろう。
さて、もちろん僕は今帰さんの使っているクッションの図柄を知っているわけがない。それどころかクッションを使っていることさえ知らなかった。
うーん、いまいち今帰さんの机だという確信が持てない。それに、こうまで机が空っぽだと、ヘアピンを置いても不自然なように見えてくる。
どうしたものか。
僕は何気なく体を捻り、後ろを見た。
「阿賀……くん……」
そこには、教室の入り口から呆然と僕を見る今帰さんがいた。
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