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ヤンデレの小説を書こう!@避難所 Part06

604双子の日常:2014/09/01(月) 05:19:14 ID:XZY79FVo



 ぼくたちの家は昔ながらの日本家屋で、そこそこの広さがある。昔は庭師が手入れしていたという庭は、今では木が生い茂り、家の周りの屏も合わさって、外から覗き込むことを防いでいる。ぼくと志織の部屋は隣り合っていて、障子を開けば直ぐに移動することが出来る。窓を開ければ縁側があり、それは木が鬱蒼とした庭に面している。
 四月二十二日の今日も、ぼくは窓と障子を全開にしていた。窓は庭に、障子は志織の部屋へと通じている。もっとも、障子が塞がれたことなど一度もないのだけど。
 この畳張りの部屋には本棚が一つと、箪笥が二つ、押し入れが各部屋に一つずつあるだけで、かなりすっきりしていた。二組の布団が並んで敷きっぱなしのことを除けば、整理整頓もされている。
「ねえ、伊織」
「なあに志織」
「今日さ女の子と喋っていたでしょ。何を喋っていたの?」
 ぼくは文庫本から、志織へと視線を移した。志織は布団に横たわって、ぼくには背中を向けていた。制服のままだったから、皺がついてしまうのではとぼくは思った。
「それって何時ぐらいのこと?」
「昼休み」
 志織は短く呟いた。少し怒っているのだろう。ぼくは文庫本に栞を挟んで、布団に潜り込んだ。
「女子たちにね、ご飯を一緒に食べようって誘われたんだ」 ぼくは志織の耳元に囁きかける。
「でも、断った。ぼくには志織しかいないから」
「でもニコニコしてた」
「え、してないよ」
「嘘! してたよ!」
 志織は突然ぼくに覆い被さって、首を絞めてきた。しなやかな指で頚を掴み、親指の腹で圧迫する。
「く、……苦しいよ」
「なんで、嘘をつくの? 私は嘘をついたこと無いのに、なんで伊織は嘘をつくの? 嘘って、いけないことなんだよ。なんで、そんないけないことをするの? 伊織は私のこと、嫌いなの?」
 ねえ、教えて?
 志織がぼくにのし掛かりながら言う。いや、待て。ぼくは女子に笑いかけてなんか……。
 そこで、ぼくは上村との会話を思い出した。




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