したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |
レス数が1スレッドの最大レス数(1000件)を超えています。残念ながら投稿することができません。

ヤンデレの小説を書こう!@避難所 Part06

458Jewelry girls ◆uRnQeEDhQY:2014/06/26(木) 21:11:38 ID:V./FX/XI
 「これを出して来ればlow的なcoupleだね」
 やばいやばいやばい。
 俺の知らないところで本当に妻が決まってしまいそうである。
確かによく考えると、明みたいなかわいいこと夫婦になれるなんて普通なら想像を絶するほどの喜びだ。将来も明るい家庭を気付けていけそうな気がする。
「…………それでも」
俺は目を閉じる。
 だが、それでも、俺は――。
 俺が好きな人は――。
 俺は目を開けた。
 「――神透明」
 今までとは違う。声を少し硬くして、腹の底から黒い声を出した。
 「…………何かな、いきなり真面目さんだぞ?」
 少し言いよどんだ神透明であったがその顔から笑顔を絶やさず、こちらを向いてくる。その顔を俺はまっすぐに見つめ、言ってやった。
「さっきから聞きたかったんだけど」
 「ん、何ー?」

 「――どうして、明の体から、ガソリンのにおいと、血のにおいがするのかな」

 「…………………………………………」
 本当は、シチューを食べている時くらいから気づいていた。怖気づいて聞けなかっただけだ。
 放火魔さんと、殺人者さん……ね。
 先ほどの言葉を思い出し、俺は唇を少しかんだ。
 「ふうん、やっぱり君はさえてるねー」
 「………そりゃどうも」
 「あれでしょ、さっきから私の話に合わせていたのも油断を誘うためだったわけだし、この部屋をしきりに見回していたのも、ここから脱出する手立てを考えていたからなんでしょ。私が近づいた時はいつも臨戦態勢に入っていたし、婚姻届けの筆跡とかにも気づいたし――きっと私が気付かないところでいろいろ気をまわしていたんだろぉねえー。ふふふ、それでこそ君なんだよ。……普通監禁されているってわかったらそこまでできないよ? だって君は、他人の心配しかしていない」
 「買いかぶりすぎだ。今だって後頭部の痛みを早く手当てしたいと思っているだけさ」
 「まあ、よく死ななかったなぁとは私も思ったよ」
 「やっぱり明が何かしたのか! めちゃくちゃ後頭部が痛いのはバットか何かで殴られたからなのか!?」
 「そのことはお互い水に流そうよぉ」
 「そのセリフは?お互い?に過去のいきさつをとがめないことを言うんだ。今の状況には合わない」
 またしてもペースを崩されたが、今度は逃がさない。
「…………で、どういうことなんだ。ガソリンのにおいと血のにおい……答え次第によっては、明を警察に連れていく」
 「魚を血抜きして焼いたんだよ」
 「ガソリンでかっ!? つくならもっとましな嘘をつけ!」
 
 「人を殺して家を焼いたんだよ」

 「―――ッ」
 今までの雰囲気が消えた。その言葉を言った瞬間の明の表情が、いきなり温度のないものになって、俺の背筋を凍らせた。
 ……なんだこの女は、やばいやばいやばい。危険すぎる。もう、なりふり構っていられるか!
 そう思って俺は――
 「―――――らぁッ!」
「ふえっ」
 ――鎖をほどいて一目散に駆け出した。
 実を言うと、少し前に明が鎖を掴んでガチャガチャ前後に揺らしていた時に、どうやら鎖の拘束が弱まっていたようで、それに気づいた俺は明との会話の中で少しずつ体を鎖から抜け出させていたのだ。幸いここはろうそく一本しかあかりのない部屋だ、明に気づかれないように抜け出すなど容易であった。
 あとは一目散にかけて、扉を開けて逃げ出すだけであった。
 ギギギ、と古びた鉄扉が開く音と同時に、明るさに目を細めながら俺は外の世界に駈け出す。
 「待って、私は君が好きなの! 大好きなのッ、あなたの悲しむ顔なんて、見たくないの! お願い、戻って!」
 その言葉に、心を傷めながらも、この場を走り抜けた。




掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板