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ヤンデレの小説を書こう!@避難所 Part06

399触雷! ◆0jC/tVr8LQ:2014/03/11(火) 01:38:57 ID:XHZLX9u6
「あの、この本について勉強会しない? よかったら……」
そこまで言いかけたとき、幸せな時間が唐突に終わりを告げた。
突然、髪を金色に染めた男がずかずかと入ってきて男の子の手を掴んだのだ。
「あ、アキラっ」
男の子が、怯えた声でその男の名前を呼ぶ。
「ここにいたんだな、シホウ。俺に黙って出かけるなって言っただろ?」
「ど、どうしてここが……?」
「シホウの行くところなんて、お見通しだっての。さあ行くよ!」
「でも、今日はオフだからプロレスのトレーニングはないってアキラが……」
「だから遊びに行くんだよ。早く早く」
男の子の手が引っ張られていく。だが、そのときはまだ、私も男の子の手を握っていた。思わず引っ張り返そうとする。
それに気付いたアキラとかいう金髪の男が、いきなり無言で私の腕に空手チョップを振り下ろしてきた。
「痛っ!」
痛みで手がしびれ、私は男の子の手を放してしまう。はずみで私が男の子に寄りかかると、金髪の男は物凄い形相で私を睨んできた。(よく見ると、私や男の子と同じぐらいの年代だった)初対面の相手に、これだけの敵意を向けられる人間がこの世にいるのか。
そして、金髪の男は私を突き放し、男の子を私から引き離してしまった。
「あっ!」
「アキラ! 何するの!?」
「シホウ、何この眼鏡?」
金髪の男は、顎をしゃくって私を示した。確かに私は眼鏡をかけているが、およそ人を指し示す態度ではない。何という無礼な輩だろうか。
「さ、さっきここで会って歴史のお話を……」
「いや、やっぱ言わなくていい。胸糞悪いから」
そう言うと、金髪の男は男の子の手をぐいぐい引いて、入口の方へ連れて行こうとする。
そんな。
まだ、何も話していないのに。
名前も、住所も、電話番号も、メールアドレスも、本籍地も聞いていない。
好きな料理も、家族構成も、将来ほしい子供の人数も、何も聞いていない。
「ちょっと待ちなさいよ!」
思わず声を上げていた。人を制止するなんて、何年ぶりだったか分からない。金髪の男は私の呼びかけを無視したが、男の子はその場に留まろうと踏ん張った。
「アキラ、まだあの人と話してる途中だったから、ちょっとだけ待っててよ」
「何? シホウ、俺に逆らうの?」
「……!!」
睨まれた男の子は一度ビクッと震えると、諦めの表情でがっくりとうなだれた。かわいそうに。普段から金髪の男に虐められていて、抵抗できないのだろう。
「ごめんなさい。またね」
男の子は私の方を向いてそれだけ言うと、金髪の男に引き摺られ、姿を消してしまった。
これ以上ここで揉めて、他の利用者や司書さんに迷惑をかけることができなかった私は、黙って2人を見送るしかなかった。




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