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ヤンデレの小説を書こう!@避難所 Part06
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「俺は無理なんか全然して……おわっ!?」
数少ないティーカップが音を立てて割れ、ジネットさんは俺の胸の中に飛び込んできた。
縋るように、俺の胸に抱きついている。
「私、ゲオルグさんに死んでほしくないんです!
ゲオルグさん、もうダンジョン攻略なんてやめましょう?
死んだら生き返るなんて保証はどこにもないんですよ!?
もう出れなくていい。ずっとこの場所のままでいい。
ゲオルグさんがここにいるだけで、私はそれでいいんです!
ゲオルグさんが諦めてくれるなら、私はどんなことでも……!」
ジネットさんが、堰を切ったように話しだした。
どうやら、俺があまりに不甲斐ないせいで心配ということらしい。
…そりゃ何百回も死んでれば不安にもなるだろうな。
「ジネットさん、落ち着いてください。」
ジネットさんの肩を持ち、少し体を離す。
そしてジネットさんの涙で濡れた瞳を見て、俺は話した。
「俺は、絶対に大丈夫です。ジネットさんの為に、もう死んだりしません。
諦めないでください。俺が絶対になんとかして見せますから。
俺は勇者です。皆の信頼を裏切ったりしません。」
諭すように、心に染み込ませるように言う。
―もう、ジネットさんも心が限界なのだろう。
ここに閉じ込められてはや数ヶ月。気が狂ってもおかしくない。
故郷の奴らも平常運行しているが、きっと恐怖にやられてアタマがおかしくなったんだろう。
閉じ込められてるのに、のんびり放牧とか正気の沙汰ではないはずだ。
もはや一刻の猶予もならない。
あのダンジョンを攻略しなければ………
「…より…の……んですね…」
ジネットさんが何かボソボソといっている。
きっと「ゲオルグさんステキ!」とかそういうことだろう。
よって、俺は耳を傾けてみた。
「……私より外のほうがいいんですね。私がこれだけお願いしても貴方は全く聞いてくださらない。
貴方は私のことがお嫌いですか?私はこんなにも貴方のことを想っているのに。
私はここがいいと言っているんです。私は貴方の側がいいと言っているんです。
外と繋がってしまえば、貴方が外に出てしまえば戻る保証なんてないじゃないですかそうでしょう?
勇者の使命とか勇者の矜持とかそんなのに騙されたりしません私は貴方が勇者じゃなければいいとさえ思ってます。
なんで貴方が勇者なんですか?なんで貴方がダンジョンに挑むんですか?なんで貴方が外に出ようとするんですか?
諦めてくださいゲオルグさんもうここから出られないんですお願いしますここから出ないでください。
もう貴方と私がいればいいじゃないですか他に何も望まないでください私は貴方以外望んでいませんから
だから私と一緒になりましょう?私と一緒にここで暮らしましょう。私と一緒に…私と……」
耳を傾けたことを、俺は心の底から後悔した。
俺の伝説の剣はさっきまでちょっと輝きを取り戻しつつあったのに、今のコレのせいで封印されてしまった。
なんなのこれもうジネットさんの心が限界だよ限界。
俺の心も限界だよ痛恨の一撃だよもう。
「……ジネットさん、今日はもうお疲れのようですし、帰りましょう。」
ブツブツいうジネットさんをお姫様だっこし、ドアまで向かう。
ガイアが俺に囁いている。もうこのシチュエーションからベッドインは無理だと。
「…ふぇっ?……はっ!?」
ジネットさんがお姫様だっこされたことで正気を取り戻し、可愛らしい声を上げる。
できればもっと早く聞きたかったです。
「あ…あの……ゲオルグさんっ!?」
ジネットさんの疑問の声を無視して、ドアの外までお姫様だっこし、そっと優しく地面に下ろす。
「それじゃ、ジネットさんもいい夢を……」
出来る限り紳士のスピードを保ち、ドアを早く締める。
「あ…」という声が聞こえた気がするが、きっと気のせいだろう。
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