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避難所
373
:
澪
:2011/09/19(月) 22:20:11 ID:HbHPxpxY
>>372
「ですね・・・////でも、どこに行きます?」
おばあちゃんのことより、視線の方が気になっている。もしこれを三凰に見られたら・・・・・・
まあ、夜がゲット出来て独占できるので澪にとっては大満足である。
「御祖父様も、行きましょうか。」
374
:
田中家
:2011/09/19(月) 22:33:26 ID:c1.PBF/s
>>373
夜「じ…じゃあ、家にいきましょ〜。おじいちゃん達と澪の親睦会もかねて〜」///
まだちょっと顔を赤くしながらそう言うと、澪の手と再び恋人繋ぎしようと手をのばす。
田中祖母「そうするかねぇ。夕にも早くいい人が見つかるといいけどねぇ」
田中祖父「…………」コクッ何事もなければそのまま四人は田中家にいくだろう。
恐らく喫茶店《ノワール》にいる妖怪達も呼び、田中家で軽く宴会がおこるだろう。
それでも夜は澪にベッタリとくっつきながらこの幸福にひたるだろう。
/この辺りですかね?
/二日間絡みありがとうございます
/お疲れ様でしたー
375
:
澪
:2011/09/19(月) 22:39:46 ID:HbHPxpxY
>>374
「そうだね、じゃあ着いたら御祖父様と御祖母様に何か御馳走してあげなきゃ!」
ギュッと手を握ると、嬉しさと言う感情に浸りながら帰っていく。
ベタベタされると、余計にこっちもベタベタするだろう。それがこのカップルなのだ。
//ですね、二日間お疲れ様です、ありがとうございました!
376
:
瞳
:2011/09/21(水) 22:36:03 ID:SmXQZqJk
とある神社で祈っている黒い着物の少女。彼女は、百度参りとしてこの神社に来ていた。
(どうか夷磨璃を…そして…)
一生懸命真面目な表情で祈り続けた。
377
:
足珠
:2011/09/21(水) 22:44:59 ID:tElbSrz.
>>376
「ヒャーーーハハハハハハハ! じょー↑ちゃん→よぉ↑ー!!
すぐ手元に俺という神が居るのに何をまた祈ってんだぁーーー!?」
突然響くでかい声。
日の傾いた神社のノスタルジーをぶち壊す十種神宝・足珠。
青と緑の重ね衣の青年が実体化する。
「毎日毎日、随分熱心だなぁ! その身を焦がすほどに何を願う!?
聞いてやるぜ! て↓いぅー→かー↑聞かせやがれぃ!!」
どうやら瞳の心の内に興味が沸いているらしい。
378
:
瞳
:2011/09/21(水) 23:06:09 ID:SmXQZqJk
>>377
「うおぅっ!?なんだあなたか…驚かせないでくれよ…」
前回と同じように驚く瞳。さすがにまた転んだりはしなかったが
「そうだな…あなたになら、話してもいいかな…
あのな、私には弟子がいるんだ…」
一息おいた後、話し始める。その表情は、悲しげなものだった。
「その弟子が、ある時妖怪にさらわれてな…もちろん助けに行ったんだが、弟子を人質にされた私は、何もできなかったんだ…
協力してくれた人のおかげで、弟子を助ける事はできたんだが…どうやら弟子は、薬物を注入されてしまったようで…今も入院中だ……しかも、かなり危ない状態らしい…」
起こったことを辛そうに話していく瞳。
「彼がそんな状態になったのは、助けられなかった私の責任だ…だから、なんとしても助けたいんだ…そのために、お百度参りをしているんだ…」
379
:
足珠
:2011/09/21(水) 23:15:49 ID:tElbSrz.
>>378
「なるほどなぁ、それでお百度参りか」
珍しく静かな声になる足珠。
しかしなにか思うところもあるようで、
眼を閉じ、思考を巡らせながら。足を組んだままふよふよと浮いている。
「だが、妙だぜ瞳ぃ。テメーの力は神格持ちのソレと近しい。
だのにその妖怪を探すのでなく、また薬物について探るでもない。
やってることが迷信染みている割には、随分と責任と焦りを感じているなぁ」
しばらく瞑っていた眼を見開く。
その深緑の両碧には魂が見透かされるようだった。
「瞳は、自分に自信がねぇ。
いや自信どころか自分の生まれ自体を呪っているようだ」
このヒャッハーも神宝の一、魂の誤魔化しは利かなかった。
380
:
瞳
:2011/09/21(水) 23:31:25 ID:SmXQZqJk
>>379
「仮に奴を見つけても、私一人では適う相手ではないと思う…薬物については、病院の専門家が調べた方がいいだろうな…私には、そういった知識はないからな…
つまり、本当に私自身にできる事は少ないんだ……」
己の未熟さを嘆くようにそう言った。
「確かに私には自信というものが足りないんだろうな…だけど、己の生を呪ってなんかいないよ…」
過去、初めの持ち主を殺した時、その時は生まれた事を呪っていた。しかし、それは過去の事だ。
381
:
足珠
:2011/09/21(水) 23:51:41 ID:tElbSrz.
>>380
「強がるなよ、『あの人に誓った』とテメーはあの時言ったが。
その実、心の内面が晴れたことなんて一度も無かったじゃねぇか」
そう、所詮は過去の事。
しかしそんな過去の事に、人も妖も心を囚われ。
やがて今の選択の幅を狭め、未来を勝手に決定付けていく。
「それだけの力を持ちながら己を未熟だと言い、
それだけの力を持ちながら敵う訳は無いと挑む前に諦める。」
しばしの沈黙の後、足珠は口を大きく開く。
「ヒャハハハハハハハッ! まぁー↑いーじゃねぇかぁ!」
急に大声を出して笑い出す足珠。
ビシリ、と俯く瞳に指を突きつけた。
「俺だってただ拾われたわけじゃねぇんだぜぇ!
俺がテメーを選んだのは、瞳ぃ! テメーがあの中で一番不満足だったからだ!」
手を広げて語りだす足珠。
その特性は全ての存在を満たすこと、足りないものを補うこと。
「まぁ俺だって十種神宝の中でも出来の良い方じゃねぇしよ!」
382
:
瞳
:2011/09/22(木) 00:03:33 ID:SmXQZqJk
>>381
「だって!現に私には…私には何もできなかったんだ!」
一つの失敗が瞳の自信を消してしまっている。
「私が不満足…?
…なあ、私に一番足りないものってなんだ?」
383
:
足珠
:2011/09/22(木) 00:31:14 ID:tElbSrz.
>>382
「ねぇよ、瞳に足りないものなんて。
強いて言うなら自信ぐらいなモンさ、だからこそ悩んでるんだろうぜ」
足珠は真っ直ぐに見据えて語りかけた。
「満足も不満足も、全ては心1つなのに。
テメーは勝っても負けても心が晴れない。
それは神格化した理想を求め、依るべき“自分”が常に揺れているから」
遠くを見るような眼になって、どこか一人ごちるような口調になる。
「俺だって何も出来なかったさ。
七罪者の中で一番不満足な奴に就いたはいいが、結局あいつが満足したのは死んだ後だった」
「だがお前の弟子はまだ生きている、祈ってる場合じゃねぇぜ。
神頼みって言うのは揺れやすい自分の心に釘を刺すのが一番の目的さ。
もう一回そいつに挑んで、勝てないのならそれでもいい。その時は一緒に逃げようぜ。
その弟子の呪いを解く方法を探して、見当もつかないならそれでもいい。他の十種神宝の力でも何でも借りてやる」
しばし、考え込んだ後。
提案するように呟いた。
「お前がそんなに自分を信じられないのなら、代わりに俺が信じてやる。
だから今度は一緒に戦わせてくれ」
384
:
瞳
:2011/09/22(木) 00:46:34 ID:SmXQZqJk
>>383
「そうか……そうだったんだな…」
確かにそうだった。瞳の脆さはそこにあった。瞳の抱えていた弱さはそこにあった。そのせいで後悔してばかりだった。
「わかったよ。一緒に行こう、足珠。一緒に夷磨璃を助けよう!」
385
:
足珠
:2011/09/22(木) 00:56:55 ID:tElbSrz.
>>384
(なんかあっさり過ぎてまた勘違いしてそうだなー)
「ヒャハハハハハッ! そうか、それでいい↑ぜぇ→!!」
若干の不安も在るが、まぁそれは追々解決していけばいい。
とりあえず今は 満 ・ 足 DA ☆
体の具現化に少し綻びができ始める。
「おっと、“具足”の力もそろそろ限界だなぁ!
その弟子とやらは薬でやられたらしいじゃねぇか!
じゃあ十種神宝の生珠ならどうにかなるかも知れねぇ↑!!」
そう語りかけ、いつもの緑の円柱に蒼い玉がはめ込まれているものに変化した。
陽はすでに沈み、夜が近づいてくる。
386
:
瞳
:2011/09/22(木) 01:13:25 ID:SmXQZqJk
>>385
「なるほど…生珠か…ありがとう、まずはそれを探してみるよ。」
そして、いつもの玉を手に取り、もう一度呟いた。
「本当に、ありがとう。」
387
:
白龍
:2011/09/26(月) 23:13:03 ID:BQ990e1A
深夜、どこかの森でとある人物を探す一匹の龍。
体から発せられる妖気は、神々しく、そして悪に染まっていた。
「………………どこにいる。」
ぽつり、そう呟き、再び散策し始める。
青行燈のことはそれほど良いとは思わない為、気が進まない。
しかし、黒龍のこともあるのだ。
敵対する必要もない今、彼女は彼に手を貸すはず。
388
:
妖魔
:2011/09/26(月) 23:24:07 ID:c1.PBF/s
>>387
「きっひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃっ!!!」
突然、響き渡る嫌悪感をいだくような不気味な嗤い声。
「誰を探してるんだぁっ?きっひゃひゃひゃひゃひゃひゃっ!!!!!!
テメーから良い《負の感情》がするなぁっ!!!きっひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃっ」
白龍の目の前に、青紫の炎が燈される。
そこから背筋が凍るような邪悪な妖気と狂気がはっせられる。
それは人型となり邪悪な笑顔を浮かべながら白龍の顔に接近する。
「きっひゃっ!今どんな気分だぁっ?」ニタァー
389
:
白龍
:2011/09/26(月) 23:34:22 ID:BQ990e1A
>>388
あ、きちゃったよ、的な表情をする白龍。残念そうな顔だ。
「…我は白龍だ。突然だが貴様に用がある。
話はあそこの家で話す、ついて来い。
……それと、その下品な笑い方は止めてくれないか。
我の気が持たない。」
白龍の目の先にあるのは、木でできた家だった。
この辺りは人や妖怪がほとんど出入りしないので
話の内容は漏れないだろう。
390
:
妖魔
:2011/09/26(月) 23:43:41 ID:c1.PBF/s
>>389
「きっひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃっ!!んなぁっ事は知ってるぜぇっ!!!なんならぁっ!!テメーがまだ天使といた頃あったしよぉっ!!!きっひゃひゃひゃひゃっ!!!」
う…ウザイ……ウザイ程笑ってやがる。白龍の機嫌もさらに悪くしそうだ……
「なんだぁっ?言っとくけどよぉっ!!俺は同性には興味ないぜぇっ!!きっひゃひゃひゃひゃっ!!」
…………なんか言ってるが気にしたら負けだ…
そして白龍についていくだろう。
あと笑い声に関してはスルーしやがった……やめる気ないようだ…
391
:
白龍
:2011/09/26(月) 23:56:21 ID:BQ990e1A
>>390
「天使…?(アイツ…一体何してたんだ。)
とりあえず入れ。」
一応、こちらからの頼みなので嫌な奴でもきちんとお持て成しをするようです。
……例え笑い方が酷くて下品扱いされてる方にも。
中には小さな暖炉と、木のテーブルと木の椅子、それから小さなガスコンロなど。
秘密基地以上、民家以下、と言ったところか(意味不)
「……とりあえず飲み物と食事くらいは準備できるが、どうする。
それと…我は男だ。」
表情や口調では平然としている…が。
内心、かなりショックとか受けてるぞ!!
もっとやれww
392
:
妖魔
:2011/09/27(火) 00:04:52 ID:c1.PBF/s
>>391
「きっひゃひゃひゃひゃひゃひゃっ!!!!邪魔するぜぇっ!!!
きっひゃひゃひゃっ!!!別に食事にきたわけじゃねぇっからぁっ!!別にいいぜぇっ!!!」
そう言いながら、木の椅子に勝手に座る。しかもごく当たり前のように
「…………………………………はぁぁぁぁぁぁぁあぁっ!?テメェッ!!男だったのかぁっ!?」
白龍が男だったことに初めて表情が驚きに変わる青行燈!!
むしろ向こうもお前が男の姿なのに女だってのが驚きだと思うが………
393
:
白龍
:2011/09/27(火) 00:16:03 ID:BQ990e1A
>>392
「……冗談だ。貴様の反応が見たかっただけだ。
それで本題に入る。
……もしも。我が貴様の事を手助けすると言ったら。」
自分の紅茶と、一応青行燈のも入れておく。
それをテーブルに置くと、真剣に青行燈を見つめた。
…ってええ!!女性だったんですか!中の人びっくり。
394
:
セツコ中
:2011/09/27(火) 00:26:42 ID:c1.PBF/s
>>393
「きっひゃひゃひゃひゃひゃひゃっ!!!!騙されたじゃねぇかぁっ!!!でもよく俺が女ってわかったなぁっ!!姿を男にしてるのによぉっ!!!」
再び不気味な笑顔に戻り、ニタニタと相手を見つめる。
「きっひゃひゃひゃひゃひゃっ!!ならぁっ!手伝ってもらうぜぇっ!!
そのかわりテメーの手伝いを俺がしろぉっ!!だろぉっ!?」ニタニタ
速!!即答で答えやがった。
そして相手がただでは手伝わないだろうと思い、そう聞き返す。
395
:
白龍
:2011/09/27(火) 00:36:39 ID:BQ990e1A
>>394
「…いや、何も手伝わなくていい。
こちら側としては、この件を手伝えば自然と…いやなんでもない。
強いて言うなら、貴様。もう少し品格を大事にして欲しい。
それも女性なのならばな。力は十分にあるのにこんなようじゃ…」
紅茶を啜りながら静かに見つめる。
なぜ男の恰好をするのか、それが少し気になっているのだが。
「青行燈、やるからには徹底してやれ」
396
:
妖魔
:2011/09/27(火) 01:00:13 ID:c1.PBF/s
>>395
「きっひゃひゃひゃひゃっ!!!………《大禍津日神》は今寝てるなぁっ…」
そう言いながら頭をトントンと叩き
「きっひゃひゃひゃひゃひゃっ!!いいぜぇっ!!ならぁっ!!蜂比礼を持ってる奴の邪魔してくれぇっねぇかぁっ!?
裏切る前提の仲間だがよぉっ!!アイツはちょぉっーとぉっ!!邪魔なんだぁっ!!
しかもソイツはハッピーエンドが御求めだぁっ!!!俺が指図したとばれずにぃっ!頼むぜぇっ!
それと十種神宝を持ってる奴を同じ場所に集めるよう仕掛けるのもぉっ!手伝ってくれねぇかぁっ?」
品格どうこうは明らかに無視しながら、一方的に言う青行燈。
(七罪者とかの説明はややこしくなるからぁっ、とりあえずはぁっ、あのガキの邪魔だなぁっ)
(あのガキが七罪者を生かす方法をするかぁっ、十種神宝の持ち逃げをするにしろぉっ対策は必要だしなぁっ!)
(黄泉比良坂の道を《大罪の杭》で造るのができないときの《転成体》の身体の確保はコイツに任せてもいいかぁっ)
397
:
白龍
:2011/09/27(火) 01:12:58 ID:BQ990e1A
>>396
「蜂比礼、か。……邪魔だけでは済まなくなっても知らんぞ。
…もしもばれたとしても……その時は消して見せる。
……物が集まり次第な。まだ見つかっていないのもあるのだろう?」
事態の収拾を的確に判断し、一方的な物でもすべて了承する。
「…また何かあったらここへ来る。貴様の無事を祈る。」
白龍はそう言うと、部屋から出て行き、何処かへと飛んで行ってしまった。
398
:
妖魔
:2011/09/27(火) 01:19:30 ID:c1.PBF/s
>>397
「きっひゃひゃひゃひゃひゃっ!!!それでも構わないぜぇっ!!」
そう不気味に笑いながら、白龍を見送る。
「………さぁてぇっ、利用されて利用してもらうぜぇっ。きっひゃひゃひゃひゃひゃっ」
そう言いながら青行燈は青紫色の炎となり、消えていった。
/この辺りですかね?
/お疲れ様でしたー
/絡みありがとうございます
399
:
宛誄&蜂比礼
:2011/09/27(火) 23:15:45 ID:tElbSrz.
『まずいよ、まずいよぉ〜!!』
「わかってますよ、黙っててください!」
夕暮れに赤く染まった森の中を、段平を抱えて疾走する宛誄。
その隣にはあたふたしながら併走する半透明のふわふわ少女・蜂比礼。
蜂比礼を認めた途端に、突如として宛誄に襲い掛かった白龍・バラウール。
不意に虫を使ってその場から逃れたがすぐに追いつかれるだろう。
開けた場所に出ると宛誄は急に走りを切り返す。
『ちょ・・・何するのさ!』
「STOP! ちょっと、待ってください!!」
宛誄は段平を地面に突き刺す。
交渉戦に持ち込む気らしい。
「僕は宛誄! 白き竜よ、どうして僕を狙うのです!!」
400
:
白龍
:2011/09/27(火) 23:24:25 ID:HbHPxpxY
>>399
「・・・理由は簡単だ。貴様は十種神宝の蜂比礼を持っているからだ。」
睨みつける先には蜂比礼が。先程、虫を使われたが傷一つ負っていない。
「それを大人しく渡すか、それとも逃げるか、貴様の勝手だ。」
401
:
宛誄&蜂比礼
:2011/09/27(火) 23:42:59 ID:tElbSrz.
>>400
「なぜこれを狙うのですか、虫を操る程度の力ですよ」
『そーだそ−だぁ! ノーマットの代わりぐらいにしかならないぞー! ・・・っておい!!』
相手が思わず話し合いに乗ってきたことに、ひとまず安心しながら。
宛誄は必死で頭を回転させる。
「・・・貴方は見た所、七罪者でも無いご様子。
七罪者以外の十種神宝の1つとして集めるには、時期が重なりすぎている。
この数十年、数百年の内にいくらでも狙える機会はあったはずだ」
全てがそうとは言えないが、少なくとも蜂比礼の警護は甘かった。
必死で探そうとすれば簡単に手に入れることができたはず。
だとすると残った可能性は・・・。
「貴方は誰かの使いですね、おそらく七罪者の“罪”をバックアップする存在の」
白龍のプライドに障る事も知らず、宛誄は自分の見解を述べる。
おそらくは七罪者の内の誰かか大禍津日神、もしくは自分以外の【あの妖怪】を狙う存在か。
402
:
名無しさん
:2011/09/27(火) 23:53:23 ID:HbHPxpxY
>>401
「虫を操る程度なら譲ってもよいだろう?
くすっ、貴様、面白いな。その発想は。
我も出来るならばそうしてた。だがな・・・」
白龍の爪の先に、小さな水の固体ができたかと思うと、それはレーザーの用にさて放たれた。
「くすっ、我が我で無かったからな、それが不可能だったのだ!!」
403
:
宛誄&蜂比礼
:2011/09/28(水) 00:17:59 ID:tElbSrz.
>>402
「!!」
『うわわっ!』
突如として放たれたレーザーを飛び退いて回避する。
しかして宛誄の表情に焦りはなかった。
「なるほど、最近目覚めた・・・ということですね」
(なんだろう、コイツ・・・。僕よりずっと強いはずなのに)
オロオロと宛誄と白竜を交互にみる蜂比礼。
「そうですか、しかし蜂比礼は僕の延命器具。
渡したら僕は死んでしまいますから、渡すわけには行きませんね」
しかしあくまで話す事はやめようとはしなかった。
ここで戦闘へと持ち込んでも勝てる保証はない・・・というか多分勝てない。
じゃあ口先でどうにかするだけだ。
「つまり貴女は青行燈か大禍津日神か、それか七罪者のパシリになる為に復活させられたと」
404
:
名無しさん
:2011/09/28(水) 00:25:48 ID:HbHPxpxY
>>403
「くすっ、我の復活と十種神宝は関係ない。
あくまで、我の計画に必要なだけだ。」
水で作った筈のレーザーは、木を貫通し、大岩を破壊した。
一方、白龍は冷静・・・でもないが、微笑しながらこの場を楽しんでいる。
405
:
宛誄&蜂比礼
:2011/09/28(水) 00:38:22 ID:tElbSrz.
>>404
「・・・」イラッ
微笑する白竜とは裏腹に、だんだん腹が立ってきた宛誄。
なんなんだこの大物気取りの勘違い蛇は。
そのうち『面白くなりそうだから今回は見逃してあげるよ』とか言い出しそうだ。
宛誄は思い返す。
どうやら自分はあの最低の女とはどうしても切っても切れぬ縁にあるらしい。
白竜の存在は、力が在るだけで想いが全く感じられない。
なにもかもカラッポなのだ。
あの最低の女が嫌った存在・・・、そして自分も非常にコレは腹が立つ。
「しかし相変わらずその十種神宝を狙っている七罪者にはダンマリですね。
アナタの計画とやらはおそらく・・・ていうーか」
「アナタ実は何も知らないんじゃないですか?」
406
:
名無しさん
:2011/09/28(水) 00:49:58 ID:HbHPxpxY
>>405
「・・・・・・ふふっ、否定も肯定もしない。
本当に、貴様は面白い者だな。」
もうここまで調子乗ったら、神様テンションは止められない。
挑発しようが何しようが問題ないのだ。
・・・し過ぎるといつキレるか解らないが。
「ふふふっ、子供、早く渡せ。」
407
:
宛誄&蜂比礼
:2011/09/28(水) 00:53:43 ID:tElbSrz.
>>406
「死ぬから嫌だっつってんだろ聞いてたのかダラズ」
本格的に心の声が漏れ出す宛誄。
その命の危機だぞオイ、生きるために何でもやるお前はどこに行った。
「・・・」
カチカチと今度は携帯を取り出して弄り始めた。
408
:
名無しさん
:2011/09/28(水) 01:01:36 ID:HbHPxpxY
>>407
ぶっつん。
紐の様な縄の様な、そんなのがいい音立ててキレました!
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・貴様。」
神様テンション、たった一発でやられてしまいました。
先程のレーザーの元である固体が周囲に散らばる。
下を俯くと、その固体から無数のレーザーが放たれるだろう。
まさしく、それはニュータイプしか扱えないアレ。
サイコミュ搭載したかの様な白龍だった。
409
:
宛誄&出口町
:2011/09/28(水) 01:16:45 ID:tElbSrz.
>>408
「針山八合目――」
【針葉樹林の剣ヶ峰】ッ!!!
突如として数多の白い槍が地面から無数に現れ!
辺りを“串刺す白い森”へと変えてしまう!!
その威力は放たれたレーザーもろとも個体を飲み込み!
それよりも遥かに広い範囲で地面から噴き出した銛が森を創り出す!
その中から現れたのは・・・
「・・・どなたかはご存じないですけど、
“紫狂”に手を出すなんて『良い』度胸してますね」
白い塔の上に立つ、出口町入り江さん!
かなり大人びた風貌で、小脇には宛誄を抱えている。
・・・というか宛誄、ちゃっかり蜂比礼の具現を解いている。
バタバタと砂塵の風に紫の着物がはためいていた。
「まだやりますか? もれなく串刺しになりますけど」
ヤバい、入江姉さんかなり目がイってらっしゃる。
410
:
名無しさん
:2011/09/28(水) 01:30:34 ID:HbHPxpxY
>>409
入江姉さんキター!!
めっちゃ怖いオーラ放ってるよ!
「・・・串刺し?まさか・・・この我をか?」
でも白龍はなぜか話し掛けてる・・・やめろ・・・
「貴様、中々やるようだな。今の我では歩が悪い、退かせて貰う。」
よし、止めた・・・。
だが飛び立つ前に、蜂比礼を睨みつけた。
「・・・貴様。品格が足りない。腹が立つ。」
問題はそこかー!
//寝ちゃいそうなので落ちさせていただきます。
絡み乙&ありがとうございました!
411
:
宛誄&出口町
:2011/09/28(水) 01:44:31 ID:tElbSrz.
>>410
蜂比礼はもう随分前に具現化を解いているので、
白竜の最後のセリフも結局、届かず仕舞いだった。
「・・・」
去り往く白龍を睨み続ける出口町。
その姿が見えなくなった後、ため息を吐くと宛誄と共に地面に降り立った。
「ありがとうございます姉さん! 本当に死ぬかと思いました!!」
「そうですね・・・、襲われた場所がここで本当に良かった」
入江姉さんの前では猫を被る宛誄。
しかし入江の口調はあくまで暗い。
「宛誄、どうしてあなたはあの白竜に襲われたんですか?」
「いつもと同じですよ、いつもの紫狂に恨みを持つ妖怪の一人でした」
「・・・そう、ですか」
暗い表情のまま、宛誄の言葉を聞き流す。
なにか不吉な事象の渦中になっているのではないか、
そんな予感が入江からは離れなかった。
412
:
???
:2011/09/28(水) 23:08:39 ID:bJBnsqT6
空は日も落ちて、カーテンで覆ったような黒一色に包まれ、
そこに穴をあけたように星がいくつか輝いていた。
雲も少なく今日は月がよく光っているので、
粗末な布であしらわれた農民服の男の、座る頭上にも銀の光が注がれていた。
「・・・そろそろやってもいいよな?」
金髪を夜の中に少し光らせ、
誰に離すでもなく力なく発せられた言葉。
耕されてすぐの、とある神社の開けたところを目にして、
農夫は暇そうに溜息をついた。
413
:
白龍
:2011/09/28(水) 23:16:51 ID:HbHPxpxY
>>412
そんな涼しくて、美しい空を、白い体毛を持つ龍が飛んでいた。
月明かりに照らされた体毛は、いつも以上に神々しくみえる。
「くっ・・・私、どうしたら・・・・・・。」
しかし中身は、どうだろうか。
今日はなぜか、造られた白龍が表に現れていた。
414
:
???
:2011/09/28(水) 23:23:27 ID:bJBnsqT6
>>413
もはや耕地となったその箇所に、月光を遮って一つの影が現れる。
先ほどから妖気、神性を察知していたのだろう、
農夫に驚く様子はなく、どちらかというのならこっちに着やがったか、というように目を伏せた。
「今日は随分と胸糞わりぃ客なんだな。
おーいそこの龍。お前みたいなんがそんなに心乱してどうすんだ」
そこらの雑魚がいきり立つじゃねえか、
と眉間にしわを少し寄せて、空にいる白龍に声を少し大きくして話しかける。
415
:
白龍
:2011/09/28(水) 23:31:40 ID:HbHPxpxY
>>414
話し掛けられた途端、びくりと反応する。
再びこの現実世界に戻されてから今まで、こんな風にされたことが無かったからだ。
「私は・・・ただ・・・・・・」
行く宛も帰る場所も、何かすることも、何もないのだ。
本当どうしようもない。
ただゆっくりと地面に降り立ち、俯いた。
416
:
マンドラゴラ
:2011/09/28(水) 23:32:45 ID:bJBnsqT6
>>415
417
:
マンドラゴラ
:2011/09/28(水) 23:37:55 ID:bJBnsqT6
>>415
「ただ、なんだ?」
白龍が降下するのを目で追って、地に足がついた彼女を、
まるで咎人を見るかのような目つきで全身を見つめる。
「信仰をなくして場所でもなくしたか?
それかぁ他の神に縄張りとられたか?」
眉間に寄せられたしわは戻さないまま、顎を白龍のほうにしゃくりあげ鼻で笑う。
いかにも喧嘩を吹っ掛けているような風であった。
418
:
白龍
:2011/09/28(水) 23:48:24 ID:HbHPxpxY
>>417
「・・・・・・なんでも、ないです・・・。」
自分の現状など、言える筈も無く。
彼の態度にも敏感に感じ取り、気分が余計に沈む。
「貴方様は・・・何をされていたのですか?」
自分の話題から離れたいが為、無理に話を考え、問う。
419
:
マンドラゴラ
:2011/09/28(水) 23:54:59 ID:bJBnsqT6
>>418
白龍のどこか煮え切らない態度に農夫は呆れ、
視線を当てもなく空に向ける。
雲がどこからか流れてきて、月明かりが薄くなっていた。
「はん、答える義理はねえがまあいい。どうせ暇だしな
お前の踏んでるその土を見ろ。
それ、俺が耕してたんだぜ?」
農夫は顎で白龍の足もとを差し示す。
彼女が視線を落として自分の周りを見れば、
鍬で耕され、やわらかく畑となっている茶褐色の目立つ土が見えるだろう。
420
:
名無しさん
:2011/09/29(木) 00:01:54 ID:HbHPxpxY
>>419
「こ、これ全てですか?」
その場にしゃがみ込むと、土を手にとり、触ってみる。
確かに柔らかく、よく手入れしたのが解る。
「植物か何かを育てる為ですよね?きっとみずみずしいのが出来ますよ。」
421
:
マンドラゴラ
:2011/09/29(木) 00:12:55 ID:bJBnsqT6
>>420
いささか彼が現在不機嫌だったとしても、自分の仕事をほめられて気を悪くする者はいない、
眉間に作られた縦じわが若干、ゆるんだ気がした。
「坊ちゃんが好き勝手しねえ間は暇だからな。
それにここには神格もねえ。心おきなく土をいじれるんだよ」
笑顔とまではいかないが少し饒舌になった彼は、
白龍が感心と一緒に発した言葉に少し反応し、視線を意識せず下に伏せた。
「なら、あんたが種を植えて育ててやってくれよ。
おらは育てる気はねえからな」
彼の発する、神聖でありながらも邪悪な妖気が、圧力を一瞬なくす。
しかし、何かを思い出したのかまた眉間の力が強く入り、
その気配がざらついたものになる
422
:
白龍
:2011/09/29(木) 00:19:49 ID:HbHPxpxY
>>421
「種・・・いえ、私は・・・。」
彼の雰囲気が少し緩んだことに、安心する。
しかしなぜ、彼からは神聖で邪悪な妖気が放たれているのか。
そもそも、神聖かつ邪悪など中々いないのだ。
そして自分に向けられる圧力に、不安と疑問を抱く。
「・・・坊ちゃん?」
423
:
マンドラゴラ
:2011/09/29(木) 00:30:43 ID:bJBnsqT6
>>422
耕した本人にも、それに感心した者からも手放され、
手つかずとなった神社の土。
農夫は何を思うか察することができない顔つきで、それをただ見つめる。
「いや、気にせんでいい。
ちょっとした独り言みたいなもんだからな」
こちらは意識を若干手放していたようで、自分がちょっとした口滑らしをしたことに気づき、
視線を白龍からそらして何処かを見ながらつぶやく。
「こいつはこの通りどの目的もなくなったが、まあいい。
なんせ土だからな、俺らがどう思おうと関係ねえ。
だがお前は違うだろ。
神の座を魂に根ざさしたお前が、そんなに目的もなくでいいのか?」
424
:
白龍
:2011/09/29(木) 00:50:36 ID:HbHPxpxY
>>423
自分も、生まれてくるならば土がいい。今はそう思える。
造られた存在、過ぎ去りし日々、自分が無くなる現実、そんなのはもう嫌だ。
「私は神を装った偽物です、偽物は必要ないんです。使い道もなく、ただ朽ちていく。ただそれだけです。ならば、貴方様の様な方に耕された土の方が素敵です。」
力無く笑う彼女は、マンドラゴラに一礼し、どこかへと飛び立とうとした。
マンドラゴラに次に会うのはいつか解らないが、その時の白龍はどうなっているだろうか。
知る者は誰もいない。
425
:
マンドラゴラ
:2011/09/29(木) 01:14:44 ID:bJBnsqT6
>>424
自身を嫌い運命を嫌う目の前の白い神龍を、
農夫は乾いたような冷め切ったような目で見つめ、口を閉じ黙る。
彼女が飛び立ってこの場が彼だけになっても、彼は動かなかった。
「馬鹿か、偽物なんざ必要がなけりゃ生まれねえだろうがよ。
それに正規品も海賊版も、どうせいつかは土になんだ」
しばらくしてから、農夫はぽつりと小さな声でそう呟いた。
流れくる雲は増え、空はすっかり覆われてあたりに月光は無い。
冷たさだけが含まれた風が神社を吹き抜け、意味もなく草木を揺らした。
「はん、神相手に何言ってんだ。馬鹿はおらだったか。
そういえば、どっちなんだろうな?、おらは。
偽物か本物か、どちらでもねえ劣化品か」
暗がりになってしまった神社で、農夫はおもむろに立ちあがった。
隣にあった鍬をつかんで、再び農作業でも始めるのか畑に歩み寄る。
ふう、と一つ溜息をついてから、大きく振りかぶった。
(貴様に実りは無い)
しかし先ほどからくすぶっていた、
抑えがたい激情が、彼の全身から溢れ出しそうになって堪らず農夫は、
手に持った鍬を投げ捨てた。
426
:
白龍
:2011/10/09(日) 01:20:23 ID:BQ990e1A
本スレ
>>955-956
「そこの神社には恨みなどない、心配するな。」
巴津火を撫でながら、ガラス玉を受け取る。
白龍自身、埋めれば良い、程度しか思ってない。
「よし、農夫、行くか。」
一言声を掛けると、ガラス玉を埋める為に歩き始めた。
何も起こらなければいいのだが、果たしてどうなるのだろう。
427
:
マンドラゴラ
:2011/10/09(日) 01:24:26 ID:bJBnsqT6
>>956
彼のキラキラとした知的探究心の目に、農夫は本能的な部分で嫌な予感がした。
しかし飛び出した質問は平和的で、彼は胸を撫で下ろしながら社を見つめる。
うーんとしばらく唸って農夫はそっけなく
「大丈夫だろうな。じゃないと普通の参拝客が興味を示すたんびに出なくちゃいけねえ。
でもおらたちは今、ただの襲撃者だ。石橋は三回叩いて渡れ」
と言った。そして農夫はガラス玉を受け取って、直ぐに担当する方角へ歩きだす。
そして場所に到着し、農夫はしゃがまないで鍬をどこからかだして、
少し土をほぐしてからガラス玉を埋めた。
>>426
「だが、おら達は今からここを襲撃するんだ。
若干なら大丈夫かもしれねえが、覚悟でも決めようものなら、その時点で戦闘だぞ」
余裕をもった風で話す白龍に、農夫は片眉をあげて忠告する。
しかしこの話の内容は、
逆に彼女に言うべきでなかったのではないかと埋める場所についてから、
一人後悔をしていた。
428
:
巴津火
:2011/10/09(日) 01:28:06 ID:1gBuqmPQ
>>426-427
「判った。何もしないようにする」
農夫の言葉に素直に頷いて、巴津火は自分の担当する位置につく。
(あれが子の星だから…と)
基準となる北極星を見上げ、本殿が背面に来ることを確かめると、足元に一つガラス玉を埋める。
そこを基準にさらに北東の位置を確かめて、もう一つを埋めた。
ここは半邪神の巴津火にとって最も攻めやすく、また神社側の守りも堅いであろう「鬼門」である。
(裏鬼門の方角は、上手くやってるかな)
そんな事を考えながら少し戻って北西の位置へと向かい、穴を掘ろうとする。
429
:
白龍
:2011/10/09(日) 01:35:58 ID:BQ990e1A
>>427-428
「襲撃か。
ならなぜ貴様は我に手伝うか?、などと声を掛けた。
目的を知らない我が手伝ってもいい物なのか?」
ある程度、神格があるにしても。
まだ顔見知りと言うレベルで手伝わせると言う事に
少なからず疑問を感じていた。
「さて、これで二つ目も埋めたな。」
430
:
マンドラゴラ
:2011/10/09(日) 01:44:30 ID:bJBnsqT6
>>428
、
>>429
白龍の疑問に対しては、全員が埋め終わって最初の地点に戻ってから、
どこか歯切れの悪そうな雰囲気で答えた。
「目的がなくともな、まあこっち側に実力者がいるほうがええんだ。
なんせ相手も簡単にはやられねえのばっか、
それに、お前はちょっとしたお墨付きがあるからな」
頭を片手で少しわしわしと掻いて金髪を躍らせながら、
答えた後体を本殿のほうへ向きなおる。
その顔には敵意などの類は感じられなかったが、真剣さはそこから窺えた。
「じゃ、そろそろ始めようか。
準備は、もう整えるまでもないよな?」
431
:
巴津火
:2011/10/09(日) 01:51:00 ID:1gBuqmPQ
>>429-430
(うん、いい感じだ)
北西の位置に穴を掘り、最後のガラス玉をそこに置く。
他のガラス玉に分けた自分の力がそれぞれ正しい位置に置かれているのも感じとり、
二人が上手くやっていることを知った。
辺りに自分の力を増す水の気配が濃くなってゆくのを感じて、巴津火は満足した。
おそらく白龍も同じく力の増強を感じているだろう。
水中ではないが、水中と同じくらいに彼らの能力は引き上げられたのだ。
「うん、ボクのほうはもう十分だ」
全てを埋め終わり二人と合流した巴津火は、農夫に答えてもう一度本殿のほうを見た。
すると、当初とは違う思惑が頭をもたげてきたのだ。
(穂産姉妹神の神話。
あの時見た不自然なあれが本当かどうか、ここの神格は知っている筈だ。
尋ねてみたら何か答えてくれるんだろうか?)
目の前には農夫が居るが、心中での呼びかけなら神格には聞こえるかもしれない。
432
:
白龍
:2011/10/09(日) 02:00:17 ID:BQ990e1A
>>430-431
「実力が在ってお墨付き、それが我か。」
この時にはうっすらと感じていたかもしれない。
脳内にはあの黒い女が。
そして、巴津火のガラス玉のお陰で、沸々と力が沸いて来るような感覚だった。
「(この水は…潮、つまり海、だな。実に心地良い。
後でこいつに感謝しなくてはな。)
準備は出来ている。」
巴津火の呼びかけは聞こえるが、何も言わないことにした。
巴津火たちに任せる、と言うことだ。
433
:
マンドラゴラ 守護神
:2011/10/09(日) 02:02:48 ID:bJBnsqT6
>>431
巴津火が戻ってきて、顔には満足したような感情が見えるので、
これでいいのだろうと手放しに農夫は安心する。
白龍たちと違って彼が土をいじくっている者だから、ここに水の神聖があるかどうかは分からない。
そして巴津火が、彼に内緒で心の呼びかけを向こうへしていることも。
彼の思考した、悪意のない呼びかけに中の神が反応する。
敵意がないので力は使えないが、意識だけは巴津火と白龍へ流れ込んだ。
-あらぬ時刻に現れ、呼びかける貴様は何者だ。
多大な神性を持つ者が、ここにようはないはずだ-
彼らの頭の中に反響するのは、
落ち着いた雰囲気を持った男性神の声。彼は二人の強大な神に、若干の警戒をしていた。
434
:
巴津火
:2011/10/09(日) 02:12:12 ID:1gBuqmPQ
>>432-433
今はまだ、白龍の感じるたゆたう潮の気配は落ち着いている。
これが逆巻き荒れるときは、本殿の神格を滅ぼす時なのだ。
「いいぞ、どこからまず始めればいい?雷か?」
言葉ではそう農夫に尋ね、同時に雨雲を呼び星空を消しながら
巴津火は心中に聞こえた男性神に心中で問いかける。
(双神を護る者よ。ボクは竜宮の次期当主、巴津火だ。知りたいことがある。
穂産姉妹の神話、ボクが見たこの不自然な情景は本当に正しいのか?
そして神代はなぜ化け物呼ばわりされている?天界は何故、神代に双神の討伐など命じたのだ?)
メデゥーサの残した情景を思い返しながら、知りたかったことの答えを聞こうとした。
435
:
白龍
:2011/10/09(日) 02:20:05 ID:BQ990e1A
>>433-434
(……………。)
巴津火と男性神の会話が脳内に響く。
今はただ聞くだけしかできないので密かに巴津火に力を送る。
彼女もまた、雨雲を自由に扱える神格であるが故、
いつも以上に強力な雨雲が出来あがってもおかしくない。
436
:
マンドラゴラ 守護神
:2011/10/09(日) 02:32:33 ID:bJBnsqT6
>>434
神社を中心とするこの空間の空にだけ、暗雲は立ちこめた。
雷鳴などを伴う雲の音も、農夫の事前にしておいた遮断の結界によって防音され、
あたりに人や妖怪がいようと、中の様子に気づく者は一人もいない。
-海の申し子よ、その質問に答えよう。
神代は、神話と違うことなき化け物だ。存在は全てに害なし、
心は、あらゆる全ての崩壊を担う。
だが力の強大さは、神格を失えど未だ強大なあの穂産姉妹神の妥当を可能にする。
それ故天は、産み親の復讐という因果を与え、神代を討伐の徒とした。-
「そら、始まるぞお前ら!!」
-日本神話人世第34章は、、、天から広く伝わる。
そ、それ・・・それがどうあろうと・・・天はた、ただ・・・ただしく、
またすべ、ては正し・・・・いの、・・・・のだ-
男性神は落ち着いた響きで、質問に答えていく。
しかし、巴津火が雲を呼び出す際の、ごく僅かな本殿を破壊しようとした思いに、
その男性神の神格は反応し言葉が途切れ途切れになっていく。
自我が神格の役割に飲まれようとしているのだ。
437
:
巴津火
:2011/10/09(日) 02:45:22 ID:1gBuqmPQ
>>435-436
白龍の力が後押しして出来上がった雨雲は、おどろおどろしく垂れ込めて
暗い夜空でさらに黒く見える墨色の濃さとなった。
時折その中を雷光が走るその瞬間だけ、墨色の雲が灰色に光る。
そして雲が保てるぎりぎりの雷が、ついにあふれた。
天地の電位差を埋めようと、一本の高く伸びる木の梢を雷が叩く。
眩い光が当たりに満ち、大きすぎて全ての音が消えたと錯覚するほどの炸裂音が耳を打ち、
同時に衝撃が大気を揺るがせた。
雷光が消えた後は目が慣れるまでのしばらくの間、どう見透かしても漆黒の闇しかない。
その闇の中、守護の者にすら神代を化け物と言い切られて、巴津火は顔を顰めていた。
(許せ、守護の者。ボクはお前を討つ側の者。ボクは神代をこの下らぬ復讐劇から抜け出させたい。
同時に双神の無事を願う者らの思惑もあってここに居る。
今は護りの一角を、ボクに預けてはくれないだろうか。
ボクにその力があることを示せというのなら、ここでお前を倒して証明して見せよう)
役割に飲み込まれ行く守護神の自我を、闇の中から感情の渦巻く紫濁の瞳がじっと見つめていた。
神格とはそうあらねばならぬことを、神格である巴津火の半分は理解している。
しかし守護者と神代のそれぞれの運命に、もう半分の邪神の巴津火は嫌だとダダを捏ねているのだ。
「ぐおおおおおああああああっっっ!!!!」
それが怒りなのか悲しみなのか、己ですらよく判別のつかぬままに、巴津火は声を上げて荒ぶった。
呼応するようにあたりを満たす水の気配が激しく渦を巻き始め、雨雲からは叩きつけるように雨が落ちはじめる。
白龍はその逆巻く波のように社を叩く、水の気の荒れぶりを肌で感じることだろう。
それは、全力で暴れる時が来たのだという合図でもあった。
438
:
白龍
:2011/10/09(日) 02:59:51 ID:BQ990e1A
>>436-437
(神代、貴様が疑問の頂点だったのか。)
巴津火が暴れ始めれば、水気も暴れ狂う。
白龍もその時を待っていた。
「(我を蘇らせたのが神代の為であったとしても。
最後まで手助けはしてやろうじゃないか。)」
荒れ狂う雨を自分の水と融合させ、一対の巨龍を生みだした。
それを巴津火達の援護へ回し、次の行動を考えて始めた。
439
:
守護神
:2011/10/09(日) 03:04:09 ID:bJBnsqT6
>>437
雷が、一本の木に落雷として落ちた時、
本殿の扉の奥に祀られた、飾り気の少ない神体の目が光り振動をし始める。
その光景は妖気のある者から見れば、
神格の力が暴発を犯しかねないほどに増大し始めているものだった。
-し、し,神話のただしさを。もと、めよ。
全て、、、ての幸福、は、は穂産の・・・死の、元に-
途切れていく残酷な言葉を最後に、男性神の自我は忘失された。
そして残ったのは、現れたのは、
彼らの目の前にそびえたつ、大剣を背負ったゆうに3メートルの丈を超える、
仁王の怒りを表したような憤怒の大男であった。
「我、邪を斬り捨てる者なり」
先ほどの穏やかさは見る影もなく、轟く怒号に似た声とともに、
大男の大剣は神性を纏って巴津火や白龍たちへ横に薙ぎきるように振るわれる。
440
:
巴津火
:2011/10/09(日) 03:15:58 ID:1gBuqmPQ
>>438-439
雨粒が社を、大地を、強く叩いてはじける。
白龍に比べまだまだ荒削りで洗練されていない荒っぽい水の妖力が、農夫の張った結界の中を
縦横に荒れ狂う。それは形を成してすらいない。
本殿の屋根には繰り返す波に叩かれる時のような圧力がかかり、建物はミシミシとゆれた。
引き剥がされてばらばらになった扉は、雷に打たれて折れた立ち木と共に、
波に揉まれる時の様にあたりを妖気の流れに乗って漂い、時に巴津火自身をも傷つけた。
(神話は正しくなどない、神代の親が間違いな訳でもない、あるがままであって何が悪い!)
全てに嫌だと横に首を振り、半邪神は守護神に正面から抗った。
その大剣の横なぎの一撃を、両手に握ったガラス玉を核に生み出した水流で受けて立とうとしたのだ。
「ボクは避けないぞ、守護者!」
両掌の水の渦は速度を増し、大剣の一撃を推しとどめ、あわよくば剣をうばいとろうとして
小さな身体の巴津火は踏ん張った。
それは真っ向勝負であると同時に、白龍もしくは農夫にチャンスを作ることも視野に入れていた。
441
:
白龍
:2011/10/09(日) 03:32:02 ID:BQ990e1A
>>439-440
(我は神話のせいで…何もかも……。)
ギリリと歯を食いしばり、何かを想い返した。
あの時の哀れな自分が誰かと重なる気がして。
他人事だけど自分の様に感じて。…こんなの嫌だ。
(守護神よ、我は邪神・バラウール。
貴様が邪を切り捨てるのならば、この我を切り刻んでみよ!!
もしそれが出来ないのなら…我の質問に答えろ!!
神とはなんだ、邪とはなんだ、神話とはなんだ、どうして我はこうなってしまったのだ!)
巴津火の作ってくれたチャンスを見逃さず、白龍は宙へ飛んだ。
漆黒のオーラが辺りの水や壊された物を飲み込み、白龍の爪に纏わりついた。
それは守護神との一騎打ちの攻撃となるだろう。
442
:
守護神
:2011/10/09(日) 03:38:35 ID:bJBnsqT6
>>440
「おい!もう少し頭を冷やして戦え!」
水流の大きさに、結界が少しばかり押されそうになる。
不意に巴津火の様相が変化したために反応できなかった農夫は、
慌ててその結界の強度を高めて、それを押し戻していた。
困惑の中巴津火に大声で呼びかけるが、今の彼に声は届かないのかもしれない。
「目前、何があろうと、斬る」
剣を止められた守護神は、奪い去ろうとする力をものともせず、
元の構えに体勢を戻した。
農夫のほうは結界に専念し、攻撃の手は白龍や巴津火に譲っている。
>>441
剣を中段に構えた守護神は、天から降下する白龍のほうを見据えた。
強く剣の柄を握りしめた守護神は、剣を頭の上に掲げ振りかぶる。
「神とは正、邪とは裏、神話とは、守り」
自我の奪われた男性神の声は無く、怒りにゆがむ口から出た言葉は神格のものだった。
飛来する白龍が、自身の射程の内に入りこむタイミングに合わせ、
守護神は上に抱えた剣を、縦に白龍をたたき落とさんと振りおろした
443
:
巴津火
:2011/10/09(日) 03:44:55 ID:1gBuqmPQ
>>441-442
一度は拮抗したものの、両掌の水の渦は守護神の剣に当たって徐々に削られてゆく。
破邪の剣は確実に巴津火の邪神としての力、守護神に抗おうとする力を殺ぎとって行った。
ついに刃が核となって回転するガラス玉に触れ、ガラス玉は嫌な音と共に砕け散った。
「……ちっ!!」
慌てて両手を引いて飛び下がったが、ガラスの破片は掌を傷つけた。
ただひたすらに荒ぶるだけだった巴津火は、これで少し冷静さを取り戻す。
農夫に言われたとおり、少し落ち着いて戦う気になったようだ。
「白龍、金髪、少しの間、押さえを頼む!」
傷ついた掌を胸の前で合わせ、妖気を練り始めた。
その妖気は立ち上るのではなく、弱まったかのように静かなものとなった。
(双神の守護者。神話が正しいとするなら、討伐されるべきお前も邪となるだろう。
ならば邪であるお前がその刃で絶ち切る邪とは、一体何だ?
守護たるお前の名を明かせ。お前が望むならボクが役割を受け継ごう)
低く静かに流れ出した妖気は大地に潜り、ゆっくりと染みとおってゆく。
一度は激しかった雨足も弱まって落ち着いた。
しかしまだ、黒い雲は雷光を蓄えている。
444
:
白龍
:2011/10/09(日) 03:55:10 ID:BQ990e1A
>>442-443
(我はそれによって世界から隔てられた。
周りからすべて、そして自分までも。
だったら正義も邪悪も…必要無い。守りと言う物の存在も塗り替えるまで。)
手に溜めた邪悪な力を纏うと、振り下ろされた剣だけを狙って弾き飛ばそうとした。
守護神の力も強大だが、こちらも負けてはいない。
その邪悪な力は、白龍その物なのだから。
(巴津火、後は任せた。)
445
:
守護神
:2011/10/09(日) 04:03:11 ID:bJBnsqT6
>>443
、
>>445
いつの間にか白龍、巴津火、
そして自身で三角の形になるような場所に移動していた農夫。
巴津火にも巻き込まれず白龍の障害にもならないここから、
守護神へ向けうねる鞭のような木々を生やした。
それらは蛇のように守護神の足に巻きつき、その脚による動きを封じる。
「足は止めた。後はお前がやってくれ巴津火」
動きを抑えられ、剣も弾かれた守護神は怒りを増し、
天に向けて怒号を放った。
「邪は裏、邪は死、邪は破綻、
我は断ち切る、秋牙羅未の名の元に!!」
もはや怒りに狂った守護神は、白龍にはじかれた剣先を巴津火に向け、
またも無計画に飛び込むように振り下ろす。
446
:
巴津火
:2011/10/09(日) 04:11:48 ID:1gBuqmPQ
>>444-445
農夫の結界を揺さぶっていた荒々しい水の妖気が、一度静まった。
そして今度は結界を吹き飛ばしそうな勢いで、神社を囲む八方位、ガラス玉を埋めた場所から
水柱が立ち上がる。
一つ一つが大樹の幹ほどに太いその柱は、それぞれに形を変えた。
水の柱は有角の蛇の頭となり、その鎌首は雲からの雷光を纏い八方より守護神へと迫る。
大きく開いた大蛇の顎の、その牙には紫の雷光が煌いていた。
クシャナダ
「雷牙・草薙蛇!!」
いつもの巴津火なら扱えてせいぜい3つまでの水蛇の頭。
それが八方に封じた玉のお陰でその中央では存分に振るえる。
今なら同じ水の力を持つ白龍が、雷雲を支えていてくれるのだ。
まず鬼門・裏鬼門からの2つの頭が、飛沫を鬣のように上げながら狂える守護神の剣を持つ両手へ、
残る六つの頭が首、両肩、腹、両足に絡みつき、雷の牙を突き立てようとする。
そしてその瞬間、八本の雷光が一度にはじけ、轟音とともに守護神は眩い光に包まれた。
447
:
白龍
:2011/10/09(日) 04:23:18 ID:HbHPxpxY
>>445-446
「先程と比べて、巴津火の妖気が安定している。これなら問題ないな、戻れ水竜。」
巴津火達の援護の必要無くなり、水竜を自分の隣に呼び寄せた。
「見方によっては正義も悪も変わってくると言うのに・・・。それでも神話は決まり事なのだな・・・。」
一息付き、巴津火を見守る。
448
:
守護神
:2011/10/09(日) 04:31:32 ID:bJBnsqT6
>>446
、
>>447
守護神の全身に、草薙蛇の電流がほとばしる。
体の至る所から電撃による炎が灯り、音を立ててその全身を焼いていく。
しかし、守護神はダメージにも怯まずに巴津火へ、
渾身の大剣を、自身の炎をまとって縦に大きく振りおろした。
「邪を、断ち切る!」
断末魔のように言葉を吐いたかと思うと、
守護神の神体の各部分に、修正不可能の皹が走った。
八の雷牙が体を貫ききり、膨大な量の神性の電圧が守護神を支配していた、
神格ごとを光とともに破壊する。
神格を失った守護神は、剣さきを巴津火の頭上3尺ほどまで近付けたが、
存在と自我の崩壊によって全身が岩のように崩れ去った。
449
:
巴津火
:2011/10/09(日) 05:01:08 ID:1gBuqmPQ
>>447-448
神格である巴津火の半分は、消えてゆく守護神を惜しみ悼んでいた。
邪神のもう半分は、存分に暴れることを楽しみ満足していた。
雷光と共に八つの水蛇の頭も消え、力を使い果たした巴津火は腕を上げることも出来ないまま
目の前に振り下ろされる炎の大剣を不思議な気持ちで見つめていた。
なぜかそこに一切の恐怖はなく、仮に貫かれたとしてもそこに破壊とは異なる意図があったことを
知るだけのような気がした。
そして巴津火を傷つけないすれすれの所に大剣は落ち、運命に狂わされた神格は崩れ落ちた。
(秋牙羅未。お前が本当にこの剣で断ち切りたかったものは)
かくん、と地べたに力の抜けた膝をつき、まだ炎の残る剣に疲労で痺れた手を伸ばす。
(……神話で定められた皮肉な運命だったのか?)
物語には役割が必要で、神話と言えどもそれは同じ。
誰かが悪い役を演じなくてはならないのだ。
雷雲も消えて、星の光が天に戻りつつあった。
全てが終わると、思い出したように身体のあちこちが痛む。
無節操に暴れた巴津火の自業自得だ。
450
:
白龍
:2011/10/09(日) 10:42:30 ID:HbHPxpxY
>>448-449
「巴津火。ほら、背中、乗れるか?」
守護神が壊れ散るのを見届けると、複雑な気持ちになりながらも巴津火に気を使う。
(秋牙羅未、貴様はこうなる運命を理解した上でこの道を選んだのか。
我はこの新しい運命に従えるのだろうか。)
自分の存在意義が自分でも良く解らず、この先何をすればいいのか、全く解らないのだ。
神話に従い、邪として生きればいいのか、新しい主の力となればいいのか。
そんなことを考えているうち、胸が締め付けられる感覚に襲われた。
451
:
マンドラゴラ
:2011/10/09(日) 18:08:13 ID:bJBnsqT6
>>449
、
>>450
崩れ去った守護神は、今や砂や塵のように粉々になり神社に吹く風に、
儚くも全てが吹き飛ばされ空間の中に混ざって消えた。
神体も同様に霧散して、その大男がいた場所に姿はない。
「まあ、お前らの間でどんなことがあったのかは知らんが、
何も知らんおらからはただ、おつかれ、とでも言っておくぞ。
そこの龍もな」
始まりの乗り気な巴津火と、戦闘中の苦悩に呑まれそうな巴津火と、
そして今何かが抜けた様な放心の巴津火。
様子の変化は白龍にも見られていて、そこから流石に農夫も彼らの間で、
なにがしかの対話と、何がしかの葛藤があったことを知った。
しかし蚊帳の外である彼に、巴津火へかける言葉が浮かばないからなのか、
唯巴津火の肩を何か思うように二度軽く叩くだけである。
そして彼らから数歩離れた場所につき、農夫はライターをこする。
巴津火が大人しく白龍に背負われたかは分からないが、
彼らがこの炎に飛び込めば、あの時立ち寄った公園へと飛べるだろう。
「巴津火、お前はしんどそうだからな。何なら家までの火も使ってやるぞ。
そんくらいの働きはしたしな」
人の背丈ほどになった炎を背に、農夫は振り返って言った。
452
:
巴津火
:2011/10/09(日) 18:55:25 ID:1gBuqmPQ
>>450-451
「うん」
守護神の大剣の、自分の身の丈ほどのその大きさに梃子摺りながらも
なんとか片手で柄の側を持ち、杖の代わりに使って震える膝で立ち上がる。
ほとんどの力を使い果たした巴津火は、大剣を握って白龍の背中に縋るのがやっとだ。
傷ついた手が掴んだ白龍の白い毛に、新しい赤い染みがつく。
「…すまない」
白龍に、そして農夫に気遣われて、へとへとのお子様はどうにも身体が重いのだ。
「牛神神社へ、頼みたい」
完全な神格かもしくは完全な邪神であれば、ここまで疲弊はしなかったかもしれない。
内側に抱える相反するものに振り回されなどせずに、巴津火も役割に飲み込まれて
守護神と同じく何の感情もなく淡々と行動していたのだろう。
相反するものを不純物として含んでいたからこそ、作られた存在でありながら戦いの中でも
完全な心を持っていることに巴津火自身もまだ気づいていなかった。
「……もう、今日は歩けそうにないんだ」
そう呟いて、白龍の背中の白い毛に額を埋めると巴津火は目を閉じた。
453
:
名無しさん
:2011/10/09(日) 19:29:50 ID:HbHPxpxY
>>451-452
「ふふ、気にするな。巴津火の活躍、面白かったぞ。」
普段、白龍は人を乗せないのだが、巴津火は別である。
今日頑張ったのはこの小さな邪神なのだから。
(神格と邪、半分半分。しかもまだまだ未熟。
この先、どうなるか楽しみだ。)
巴津火を背負うと、炎の中へと入っていく。
牛神神社へと巴津火を送り届けると、白龍は農夫に話し掛けた。
「今日の礼は忘れるなよ。それともう一つ。榊と話がしたい、後で我から伺うから伝えてくれ。」
454
:
マンドラゴラ
:2011/10/09(日) 21:08:47 ID:bJBnsqT6
>>452
全員が黒炎に包まれて、炎は一瞬大きく燃え盛ったかと思うと、
またも一瞬のうちにそれは霧散して、後の神社には何者の影もなかった。
彼らの視界が再び二色に包まれた後、
霧散した炎の向こうから見る景色は、あの時より少し時間が経って、
あたりの民家の電燈はほとんど全てが消えているあの公園だった。
「牛神か、分かった今行くぞ、ってこいつは寝てんのか」
もう一度ライターで発火して、今度に赤黒い炎が上がるのは、
巴津火の指定したあの神社だった。
しかし出現した場所は神社の本殿から少し外れた、
巫女たちがよく支度などするような、小さな建物の前だった。
「悪く思うなよ巴津火。ここの住人は苦手なんだ」
最後に扉の前で眠りこける巴津火に、農夫は苦笑いで言い残す。
しかし巫女たちの結界も性格なのですぐさま、
眠りこける巴津火は巫女たちに発見され、ふかふかの布団で眠らされるであろうことも想定していた。
>>453
今日で5度目となるライターの発火いた後、公園で白龍と対面する。
「もちろんだ。この借りは、まあどこで返しゃあいいか知らんがともかく、
どっかで返す事は約束するぜ」
少し真剣な面持ちで話すものだから、こちらも身構えていたが、
思ったのと違ってフラットな為、農夫は気が抜けて笑った。
「榊か。まあ確かにあれはいろいろ不審な奴だからな。
気持ちは痛いほどに分かるぞ」
白龍の意見ももっともだと、若干違った理解などして農夫はうなづく。
必ず伝える事に約束して農夫は、
白龍公園に残して、あの黒炎と共に去って行った。
/これで落ちにさせていただきます
/二日間絡みお疲れさま&ありがとうございました!!
455
:
巴津火
:2011/10/09(日) 21:24:31 ID:1gBuqmPQ
>>453
>>454
白龍の背中でうとうとと眠りながら、巴津火は消えていった守護神の名残を感じ取っていた。
それは握ったままの大剣にうっすらと残り、牛神神社の社務所に着いて、その扉に
そっと寄りかからされたときも巴津火のすぐ傍にあった。
穂産姉妹神を守護してきたこの剣は、いずれ姉妹と巴津火が対峙した時にそれぞれの行方を
占うことになるだろう。
その時までしばしの間、巴津火が預かることになった。
そして大剣と眠る巴津火を巫女達が見つけたのは、農夫と白龍が再び公園に戻り、
二人が別れたその少し後のことである。
//お二人ともお疲れ様&絡みありがとうございました!
456
:
零なか
:2011/10/09(日) 21:39:49 ID:HbHPxpxY
//絡みありがとうございました!
457
:
病気組
:2011/10/12(水) 01:38:45 ID:/AfNAO.Q
本スレ
>>974
(焼け爛れてやがる……腐臭に弱いのか?)
右半身が爛れた水町を見た東雲が気付いた。
東雲にとってこの侵入者は、小鳥遊と同じく、敵でもあり味方でもある。
侵入者にはなんの恨みもない。むしろ小鳥遊を殺したいのは山々だ。……しかし彼が死ねば、自分も死ぬ。
再び姿を消した水町に、苦々しく東雲が叫んだ。
「おいテメェ!! いい加減にしと――」
「この人数相手に、一人で何とかなるとでも?」
真っ直ぐに突進する、姿を消したはずの水町の行く手を、河童の姿になった纏が阻もうとした。
ふわりと長い三つ編みが揺れ、前髪の奥から鋭い眼光が覗く。
「同じ水界の者の手を掛けるのは気が引ける……こともありませんね」
ニオイがしますよ、と、水町の腕を掴もうと手を伸ばす。
腕を掴めば、その怪力を持って水町を押さえ込もうとするだろう。
本スレ
>>975
「もうすぐ元に戻るから待ってーって危なっ!!」
「んなっ、そこのけ坊主!」
焦った日野山が飛び出し、巴津火の首根っこを持って引き寄せようとする。
しかしこの二人、弁当事件以降和解しているのだろうか。
(日野山は暴走している時のことを何も覚えていないのだが)
458
:
水町
:2011/10/12(水) 22:00:17 ID:tElbSrz.
>>457
「ごがっ!!」
見えない何かが床に組み伏せられる。
徐々に色めき始める水町は、焼け爛れた右手を掴まれて床に押し付けられていた。
>>975
ほんの数瞬前。
(取った!!)
透色の水町は既に纏の目測の数歩前を行っていた。
臭いで位置を探るのには時間がかかる。
“見る”よりもほんの一瞬、思考が必要になるのだ。
その一瞬がまたしても勝負を分けた、かに見えた。
(!? おのれ・・・っ!)
急に飛び出してきた巴津火にまたしても動きが阻まれた。
振りかぶった腕を止め、その場で急停止したのだが・・・
「ぐ・・・貴様等・・・、なんのつもりだ!」
組み伏せられた水町は憎々しげに口を開く。
「答えろ小鳥遊医師! 不老の力を得たのなら、それで満足しておけばいいものを!
この時代に不死の妙薬など完成させればどうなるかも想像できんのか!!
貴様が人に齎す物は、未来を作れぬ歪んだ進化だ!! 不老不死とは誕生の否定だ!
妖の生きる様を知りながら! 現代における妖の有様を知りながら!
なぜわざわざ我々の居る位置まで堕ちようとするのだ!! 答えろ!!!」
科学の最も強い部分は共有力にある。
例え言語が違おうと、文化が違おうと、宗教が違おうと。
基礎知識さえあれば、世界のあらゆる人間と発見を共有できるのだ。
もし不死の力が完成すれば、携帯電話やパソコンのように。
数年も経たずして世界中に蔓延する。
459
:
巴津火
:2011/10/12(水) 22:31:03 ID:1gBuqmPQ
>>457-458
襟首を引っ張られてよろけたのと、水町自身の躊躇とで、寝ぼけ巴津火に怪我はなかったようである。
自分を助けた者が誰かに気づき、ようやく頭の覚めてきた巴津火は礼の代わりに日野山へ
ちょっぴりすねた口調で言った。
「お前か…助かった。
弁当の件はこれでチャラにしてやる」
食べ物の恨みは根深かったけれど、ここで礼を言わないわけには行かない。
そして組み伏せられた水町の言葉に首を傾げた。
「何のつもりかはボクが聞きたい。
不死の妙薬?そんなもの、小鳥遊が作る必要は無い筈だぞ。
必要なら人魚の血も九穴貝も、十分あるんだ」
治療の術を試そうといずみや日野山を死体から起こしたことは知っているが、
小鳥遊が研究で目指すのはあくまでも生きた人間、生きた妖怪を治すこと、だと巴津火は思っている。
少なくともその研究には、患者を不老不死にする意図は無いはずなのだ。
(根本に誤解か、あるいはボクの知らないことがあるようだ)
「この水妖を殺すな。話を聞きたい」
小鳥遊と水町の双方の話を聞こう、と思って巴津火はそう言った。
460
:
病院組
:2011/10/12(水) 23:22:49 ID:???
>>458-459
水町の右手を掴むと、すかさず捻転させて床に組み伏せる。
彼の上に乗っかった纏は、無表情のまま彼を見下げた。
ぐぐ、と彼女が僅かに体重を掛けるだけで、激しい痛みが襲うだろう。
「一瞬、逃したと思ったのですが。甘いのですね、あなたは」
床に押し付けられた水町によって、憎々しげに、怒りの籠った言葉が吐き出される。
その矛先である小鳥遊は、冷たい顔をして、ゆっくりと水町に歩み寄っていく。
彼の問を、彼の怒りを、正面に受けながら。
――答えろ、そう叫ばれた時、小鳥遊の足元には、床に臥した水町がいた。
「なんのつもり?」
不意に、小鳥遊の表情が歪んだ。
「勘違いしてるみたいっすが、僕の目的は元々不老不死じゃないっすよ。僕自身の不老不死は、あくまで成行きにすぎない。
本来僕の目的は、全ての病を治療する「霊薬」を作ること。もちろん――「死」すらも克服できるものを。
そしてそれをもって、命を救うこと。それが僕の目的っすから」
足元の水町に語りかけながら、巴津火に目くばせする。
つまり彼の目的は、「生きているものを治すこと」だけでなく、「死にゆくものも繋ぎとめること」でもあるのだ。
しかし水町が「歪んだ進化」だと言った途端、その雰囲気が激変した。
背後にいた東雲たちが、ぞくりと背筋を震わせる。
「不老不死が誕生の否定だというなら、死は生きること自体の否定だ」
目を剥いた小鳥遊が、水町の頭を掴み上げる。
「死は「終わり」だ。今まで経験したことも、積み上げたものも、覚えたものも全てなくなる。消え去る。そこで終わってしまう。
だからこそ人は怖れる。死ぬことを、消え去ることを。
しかし死とは単純だ。命は簡単に消える。ほら、今あなたの命を奪うことだって、簡単にできる。
けれど、ここで終わるのは嫌でしょう? ……まあ、しないっすけどね」
しゃがみこみ、水町に歪んだ瞳を突き合わせる。
「――誰かの命が救えるなら、僕はどこまででも堕ちてやる」
僕たちは、悪役だ。
461
:
水町
:2011/10/13(木) 00:09:26 ID:tElbSrz.
>>459
>>460
「そうか・・・」
組み伏せられた水町が瞳を閉じる。
どこか遠くを見るような、静まり返った声。
「私は300年、“水難”の神格として多くの人の命を奪ってきた」
組み伏せられた火脹れの右腕。
しかし、水難の呪の篭った左腕はどこへ・・・
「死を乗り越えることと不老不死がどう違うのだ。
得心したよ、小鳥遊医師よ。貴様は人をどうしたいのではなく。
何の下心もなく、ただ死を怖れ、人を救いたいのだな」
その左手は・・・
「安心したよ、無知なクソガキ共が」
白いタイルを伝い、建物全体に水難の相が走る!
突如として消火栓が暴発し! スプリンクラーが弾け飛ぶ!
連続した爆発音に気をとられた瞬間!
水町と纏の立場が逆転していた。
組み伏せられた腕の関節がグニャリと曲がり、
その直後水かきのついた手が凄まじい力で纏の首に噛み付き、後ろの壁まで押し付けられる!
河童の上位種、水虎。その名は『水に潜む恐ろしい者』を意味する。
金属のドアをひしゃげた腕力、天井に張り付く柔軟さ。
そして剥奪されたとはいえ、多くの信仰を集めた全国区の神格持ち。
もとより娘々子河童などに組み伏せられるわけはなかった。
「ふざけるな! 死んだ者が生き返っていいものか!!
死を乗り越えていい生き物などいるものか!
貴様等がやっているのはただの死からの逃亡だ!!
堕ちるのは勝手だ! だが他の人を巻き込むな、貴様の逃避行に道連れを作るな!!
死者の居場所などこの世界にはないのだ!!!」
ミシミシと纏の首から骨の軋む音が鳴り、水町は右手を心臓部に突きつけ。
魂魄を抜き去った。
462
:
巴津火
:2011/10/13(木) 00:42:55 ID:1gBuqmPQ
>>461-462
小鳥遊が表情をゆがめたとき、巴津火に寝ぼけた表情は既になかった。
ぶつかり合う価値観、その怒りと狂気との渦をじっと見つめている巴津火は
どこか得体の知れない感情をその紫濁の瞳に浮かべて笑っている。
生きようと、生きていたいと望む小鳥遊は神格である巴津火の半分に心地よい。
そして静かなる狂気は陰を好む蛇としての性を満たす。
さらに相対する価値観同士の激しい争いは、邪神であるもう半分を悦ばせる。
しかし、巴津火の機嫌が良かったのはそこまでだ。
建物が揺れて水が荒れ、水町が組み敷いた纏から魂魄を抜き取ったとき、
その魂魄を握る水町の右手首を、巴津火の左手が掴んだ。
「水虎か。
お前の言い分はしかと聞いた。だがここまでの好き勝手は許さないぞ。
この建物もこの人間も、ボクのものだからな。それ以上をするならボクが相手だ」
不穏な気配とともにただ掴んでいるだけで、拘束まではしない。
水町の右手が魂魄を手放して戻すなら、逃走するも戦いを続けるも可能だろう。
巴津火に深追いの意思はないのだ。
「それともボクを道連れに、黄泉の国へ赴くつもりか?」
道連れを作るな、と今叫んだばかりの水町に、少々意地の悪い問いを投げかけて
紫濁の瞳がにぃっと笑った。
463
:
病院組
:2011/10/13(木) 08:24:04 ID:/AfNAO.Q
>>461-462
水町の静かな声がする中。
右腕を掴んでいた纏は、いち早くその違和感に気付いた。
圧倒的優位にいるはずなのに、下に押し伏せたものから感じる圧力。威圧感。
――強さ。
(コイツ――)
しかし、次の瞬間、水難の呪が診療所に走った。
建物中のスプリンクラーや消火器が、爆発音を立てて弾け飛ぶ。
突然の爆音に、彼女が一瞬の隙を生み出したのを誰が責められよう。
その一瞬を付かれ、気付けば纏は背を壁に押しつけられていた。
手を引き剥がそうと全力を込めるが、拮抗するには至らない。
彼女も金属製の扉をこじ開けるくらいできるだろう。しかし彼の豪腕(ちから)はそれを勝った。
(純粋な力でも私より――)
纏は「死」を覚悟した。
それでも依然として無表情のまま、心中で溜め息を漏らす。
ここで終わるのか、と。
魂魄が抜き取られる直前、纏はうめきにも似た声を絞りだした。
「小鳥遊療介……あなたは戦い続けるべきだ」
「「「「!!」」」」」
一瞬の出来事だったのだ。
爆発音に気をとられ、もう一度水町を見た時には、既に纏は壁に押しつけられていた。
そして――。
「纏さん!!」
小鳥遊の叫びも虚しく、魂魄を抜き取られた纏は、力なく腕を落とした。
ぶらり、と横に揺れる。
白衣に潜めたメスを持ち、飛び出そうとした小鳥遊の腕を、東雲が引き止めた。
「……っ、東雲さん!?」
「落ち着けクソ医者、テメェがどーこーできる相手じゃねェ! それに」
がしり、と、抜き出した魂魄を持った水町の腕を、巴津火が掴んだ。
そうだ、このガキが黙って見ているわけがない。
あの水妖が水界の者なら、今この場において重要なのは、あの「殿下」だ。
「おい!」
そこに、日野山の声が割って入った。
「黙って聞いてりゃあ偉そうに……俺たちの存在を全否定する気か?
確かにあんたは正しいかもしれん。だが俺たちは不老不死になった訳じゃない。半妖にはなったが、纏先生と小鳥遊先生がまともな人間に戻すと約束してくれた」
「そーよそーよ! ていうかあんたらは何百何十年って超生きてるだから、人間だっていーじゃん! 死から逃げちゃいけないなんて、誰が決めたのよ!」
もう一回腐らせちゃうから、と、日野山の背中に隠れた黄道が腕を出す。
黙ってはいたが、東雲にとってもこの状況はいただけなかった。
纏が死ねば、血清薬の完成は確実に遅まるだろう。
彼女に死なれるわけにはいかなかった。
464
:
水町
:2011/10/13(木) 17:00:33 ID:tElbSrz.
>>463
「・・・」
口を挟む半妖2人をチラリと横目で流し見て、
水町は苦々しく奥歯を軋らせた。
頭をよぎる考えを飲み下す、グルグルと回り続ける。
まともな人に戻ってどうする気だ、と。
そのまま社会や家族の元へと戻る気か、と。
確かに時間をかければ人の世界もそれに適応するだろう。
死んだ人を受け入れられるよう社会が適応し、移り変わっていく。
死者が当然のように生き返る、狂気の国へと・・・。
左手を外すと、ドサリと纏が崩れ落ちる。
「生きることを否定する気はない、命の在り方を決め付ける気は無い。
そんな義務や権利はどんな神にも仏にもありはしないのだ。
だからこそ私は一人で来た。小鳥遊医師の殺害も、今晩の強襲も。
全て私の意志だ、正しさも間違いもあるものか」
だが・・・。そこの2人はどうなる?
そのことに気づかせてしまえば、どんな風に思うのだろう?
言い訳のように、大義のように、水町は言葉を選びながら語りかける。
「貴様等が死者すらも救いたいというなら、私はそれが気に食わない。
ただ気に食わないが故に、私は貴様等の可能性を間引きに来た」
>>462
掴まれた右手。
幼稚で考え無しの悪意を、水町は恐ろしく冷たい眼で睨みつけた。
「貴様だったのか」
お前がこの歪な事態を招いたのか。
お前が3人の人をこの妖の世界に引き込んだのか。
「貴様さえ居なければ・・・」
どこか楽しそうな巴津火の腹積もりとは裏腹に、
水町の内心は憎悪で煮えくり返っていた。
「貴様を相手にする気はない、貴様が何をしようが。
今から小鳥遊医師を殺害することはできる」
もう迷いはない、それは可能だ。
しかし、それでどうなる?
仮に今自分が小鳥遊医師と刺し違えても。
この考え無しの悪意が、また遊び半分に人を狂わせることも充分ありえるのだ。
465
:
巴津火
:2011/10/13(木) 19:35:19 ID:1gBuqmPQ
>>463-464
犬御に引き止められる小鳥遊を、ちらりと巴津火は流し見る。
「東雲、よくやった。そのまま小鳥遊を護っていろ」
犬御自身が殺したいと憎む男を護れと、恋敵の顔と声とが犬御に命じる。
その皮肉を知ってか知らずか、紫濁の瞳の悪意は満足げに笑っている。
「ボクが居なければ小鳥遊を殺すつもりか。それは困るな。
この男の持つような心地よい狂気はなかなか見つからないんだ。
お前の抱くその強い憎悪も悪くはないが、ありふれている」
3人の人間の命と人生を狂わせた元凶は、そう言いながら
水町の掴む纏の魂魄をその手から取り返そうとした。
「お前が小鳥遊を殺すことができるように、ボクにもお前を殺すことはできるぞ。
だが、お前はお前で面白い」
じっくりと言葉を選び、己の意を語る水町の冷たい視線を楽しむ幼い邪神は、
水町の抵抗さえも玩具として楽しむつもりのようだ。
「お前は正しさも間違いもない、お前の意思でここへ着たと言う。ならば問おう。
300年の間、水難を司る神格にあったというお前がなぜ、そんなにも人間ごときの生死に
肩入れをする?今は神格の重荷も、人々の祈りを聞くこともないと言うのに」
幼さゆえのその好奇心は、水町にしばしの猶予を与えた。
そして答えを待つ紫濁の瞳は、ただ面白がるだけでなく、幾分の真剣さを帯びはじめている。
(神格を奪われて尚、ここまでの働きをする。何がこの者を動かすのだ)
いつか神格の役割も竜宮も放り出して、望むがまま奔放に生きたい、
その思いはまだ巴津火の中にくすぶり続けている。
穂産姉妹や水町のようなかつての神格は、そんな巴津火自身の考え方を大きく変える
切欠となりうることに、この半神にして半邪神は薄々気づき始めていた。
466
:
病院組
:2011/10/14(金) 01:31:43 ID:???
>>464-465
床に崩れ落ちた纏は、翠色の瞳を開いたままぴくりとも動かない。
魂魄が抜き取られたのだから当然だ。
小鳥遊は激しい怒りに歪んだ顔で、水町に喰ってかかろうとしている。
それを東雲が掴みとめていた。
二人を見た黄道は、スカートの裾をぎゅうと握り締めて叫ぶ。
「纏センセーを返してよ、ばかぁ!」
「じゃあこっちだって俺たちの意思だ。
お前さんがいくら強くても、こちらと簡単に間引かれる気はねーぞ。
……くそっ、腹減ってイライラしてきやがった!」
右腕を引きちぎり、黄道が肉塊の戦士たちを生み出す。
口から炎を噴出しながら、日野山が構える。
(――無理だ)
東雲はその身に水町の強さを感じ取っていた。
半妖のうえ、実戦経験の少ない二人が、彼の相手になるわけがない。
だが小鳥遊を引き留めている以上、下手に手は出せない。
そこで、巴津火と一瞬目が合った。
「テメェ……」
悪意の含まれた言葉に、ぎりと奥歯を噛みしめる。
だが、この自制のきかなくなっている医者は、確かに自分の命綱だ。
じゃらりと、自分を拘束する鎖の音が聞こえるようにも思えた。
467
:
水町
:2011/10/15(土) 19:13:38 ID:tElbSrz.
>>466
にわかにいきり立つ黄道と日野山をチラリと見据え。
水町は心の中でため息をつく。
(厄介なことになったな)
このまま巴津火を無視して戦いに挑んでもいいが、
また同じことが繰り返される可能性が出てきた以上、続けるわけにはいかない。
最悪今回の犠牲が全員無駄死にになる可能性すらある。
(まぁそもそも、放っておいてもなんの問題ない可能性すらあるというのに)
そのことが常に水町を悩ませ続けたのだ。
どんな形であれ、人の営みであることには変わりはない。
彼等のやることと人が医療を進めることに差異を見出すことは困難だった。
ならば口を出すことも余計なのでは、と。
「・・・邪魔だ」
纏の魂魄を奪おうとする巴津火の手を力いっぱい跳ね除けると、纏の胸に差し出した。
光り輝く野球ボール大の魂魄は、水面に沈んでいくように纏の胸に溶け込んでいく。
「返すから少し黙っていろ」
魂魄が溶け込むのを確認すると、そのまま纏を掴んで2人の元に投げ飛ばした。
>>465
やがて巴津火に向き直る。
「人間“ごとき”か、神性“ごとき”が偉そうに」
吐き捨てるように呟くと、また何処か遠くを見るような目になった。
「・・・大した理由ではないさ、私は人に変わって欲しくないだけだ。
多くの人の死に携わってきた者として、死者をも治療する薬など広まって欲しくない。
それだけの事よ」
水町は巴津火が納得するような答えを持ち合わせていなかった。
持っていたとしても答える気は無かった。
今の水町にとって巴津火はただ憎いだけの存在なのだ。
「貴様があの男の狂気の為だけにこの事態を招いたというなら。
私はやはり彼等の進化を間引く必要がある。
今や私は腐臭と同じくらい竜宮の者が嫌いだからな」
また口実のような建前を並べる水町。
468
:
巴津火
:2011/10/15(土) 20:30:14 ID:1gBuqmPQ
>>466
>>467
いずみと日野山がいきり立ち、さあこのまま戦闘か、と思われたその時。
噴出した水を動かそうとした巴津火の耳に微かに届くものがあった。
(こざるが泣いてる?)
水町の水難の呪により建物の水道管を伝った水の衝撃。
それを沈めるためとこれからの戦いのために呼び出そうとした水が、遠い病室の夷磨璃の泣き声を
巴津火にも伝えたのだ。
巴津火が動作を止めたその一瞬の中で状況が変わった。
水町は纏の魂を戻し、いずみ達の方へ纏の身体を預けていた。
「戦うんじゃないのか?…神性ごとき?」
何か不思議なものを見るように、水町の吐き捨てた台詞を繰り返し、
その言葉と纏を返した行動との整合性を探りきれない幼い心は戸惑ったように揺れる。
(もし神格というものが捨て去れるものならば、この者の言うことも繋がるのかもしれない)
ふとそこへ思い至った巴津火は、水町へ再び好奇心に満ちた、しかし挑戦的な視線を向けた。
水町の意図したこととは異なるかも知れない。
しかし巴津火にとって水町の立場が、酷く自由に満ちたものに見えたのは確かだ。
つづく水町の言葉に、再び巴津火の口元に楽しげな笑みが浮かぶ。
「竜宮嫌い、か、お前とは気が合いそうだ。
お前がどうしてもあいつらの可能性を間引きたいなら、ボクを負かしてみろ。
何時でもお前の相手をするぞ」
夷磨璃に影響の出る今この場では、派手に戦うつもりはなかったのでこう言ったのだが
しかしこの時確かに、具体的な方法は定めていなかった。
こうして幼い邪神は気づかぬまま、水町に有利な挑戦権を与えてしまっていたのだ。
469
:
病院組
:2011/10/15(土) 23:55:29 ID:???
>>467-468
「 ――、ふ……」
すう、と微かに胸が上下する。
直後纏は、黄道と日野山に向かって投げ飛ばされた。
「お、っとと。おい、纏先生!」
日野山が慌てて纏を受け止める。
意識は失われたままであったが、顔を見れば生気が戻っているのは明らかだ。
黄道と日野山が、同時に安堵の溜め息をつく。
いきり立っていた小鳥遊も、纏の安全を確認して、僅かだが落ち着いたようだ。
とはいえ、怒りが収まった様子はないため、東雲はいまだ気が抜けなかった。
(間引きだかなんだか知らねーが、また面倒なことになりそうだ。
チッ、クソ医者の前じゃ下手なこともできねェ……)
そこへ飛び込んだ巴津火の発言に、東雲は眉を潜める。
そんな簡単なことを言っていいのか――そう尋ねようとすると、目下の小鳥遊の視線に気付いた。
こちらへ向けられる淀んだ瞳に、背筋が粟立つとともに、その意図を読み取る。
――『黙っていろ』。
この巴津火の発言は、小鳥遊たちにとって都合のいいものなのだ。
470
:
水町
:2011/10/17(月) 09:53:09 ID:tElbSrz.
>>469
「そうか」
表情には出さずともイライラを募らせる水町。
どうしてここで貴様がしゃしゃり出てくるんだと。
なぜ小鳥遊医師の問題なのに、わざわざコイツを通さなければいけないのだと。
どこまでも邪魔な奴だ、どこまでも問題をややこしくする奴だ。
(だがこれは好機だ、この者の考えを改めない限り問題の根本は解決しない)
真に人の生死を考え、小鳥遊医師に肩入れしているならばこちらは出る幕ではないが。
あの竜宮の使いとこの主を見る限り、全くの考えなしだ。
(人に死すらも克服させる妙薬。
老衰以外のあらゆる死因をこの世から失くすことさえできる力・・・。
この愚か者が気まぐれに人に与えるには、あまりに大きい問題だ)
だがそれは逆に、あらゆる死因を乗り越えるチャンスを未来の人々から奪うことでもある。
生きるはずだった者、失う悲しみを全て・・・。
「では小鳥遊医師の所有権をかけて貴様に挑戦したい。
方法と日時はそちらに任せよう」
ポツリとそう呟くと、水町は巴津火に背を向けた。
>>469
「最後に小鳥遊医師よ、1つ聞かせてもらいたい」
水町は暗い水底のような眼で、真っ直ぐに小鳥遊を見据えた。
「私の言うことが理解できず、または意にも掛けないのならば。
なぜあの時『堕ちてやる』などと言ったのだ?
貴方がただ人を救いたいだけならば、堂々と正義を名乗ればよかろうに」
二者の間で1つだけ決定的な思い違いがあった。
水町は小鳥遊を悪などとは思っておらず、
むしろただ救いたいのであればひたむきな善であるとすら思えていたのだ。
ただその果てにある結末が怖ろしい故に、水町は彼等を消そうとした。
未知の結末さえ鑑みなければ、彼等は人の救世主ですらあるのだ。
471
:
巴津火
:2011/10/17(月) 18:50:25 ID:1gBuqmPQ
>>469-470
「纏、無事か」
息を吹き返したらしい女河童に声を掛けたのは、その身を気遣ってではなかった。
「無事ならこざるを頼む。さっきからあいつが泣いてる」
今の纏では水町の相手はできないことは判った。
しかし、夷磨璃を診にいくことなら彼女にもできる筈なのだ。
「小鳥遊の所有権を?」
水町の言葉に、むむ、と眉間に皺を寄せて巴津火は小鳥遊を見た。
しばらく考え込んだ後に眉間の皺は消え、水町に向き直ると頷いた。
「よし、乗った。そのかわりボクが勝ったら、お前にある事を一つ手伝ってもらうぞ」
いつか竜宮も神格も捨てる時に、この水妖に逃走の協力をさせる腹積もりでこの半邪神は頷いた。
「勝負はこの場所で。しかし普通に戦えば病棟の患者に影響がでるか…。
何か他の勝負事を、できれば小鳥遊自身に決めさせようかと思うがどうか?」
ちなみに中の人的には秒数コンマ以下で勝敗の決まる事を想定中。
元人間である小鳥遊医師達ならば、ダーツなりルーレットなりゲームなり、
人間臭い勝負の決め方を提案しても不自然では無い筈なのだ。
472
:
病院組
:2011/10/19(水) 00:59:39 ID:???
>>470
「……」
深い闇を湛えた瞳に秘められた意味を探るように、視線を繋ぎ合わせる。
しばらくして、小鳥遊はふ、と軽く息をついた。
「この薬を完成させるまでに」
その視線は水町を逸れ、横目で隣の東雲に移る。
目が合った瞬間、東雲は思わず肩を揺らした。
しかしそれはほんの一瞬で、すぐに視線は水町に戻る。
「かかる『犠牲』に対して、僕は正義を名乗る気はない」
それは東雲だけでなく。
黒蔵、黄道、日野山――そしてこれから増えるであろう者達。
「それだけっす」
東雲は、苦々しい顔をして奥歯を噛んだ。
(……これだ。この医者の怖ェところは。
狂ってやがる、本当に、真っ直ぐに)
>>471
「あのなあ坊主! 纏先生はまだ」
「ええ、わかりました」
日野山の腕の中で、纏はぱちりと目を開いた。
むくりと体を持ち上げると、ぽかんとする日野山と黄道を置いてさっさと扉の方へ歩いていく。
「纏センセー、平気なの?」
「あなたに心配されるほどヤワではありません、黄道いずみ」
「ちょっ! いずみ、俺が着いていくからここで待ってろよ」
部屋から出ていく纏を追って、日野山も出ていく。
置いて行かれた黄道は、ぶうと頬を膨らませて、小鳥遊達のいる方を見た。
「――僕の所有権、っすか。僕が決めていいんすか?」
自分の所有権についての勝負内容を自分で決めるとは、なんともおかしいことだ。
小鳥遊はくつくつと笑いながら、人差し指を立てる。
「……では、こういうのはどうでしょう」
「『クラップス』。二個のダイス――サイコロの出目を競うゲームっす。
ここでは出目の数が多い方が勝ち、少ない方が負け、ということでどうでしょうか」
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