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97
:
窮奇
:2011/06/09(木) 22:26:18 ID:mwvR0u1Q
「いいや、私達の転生は少し違うよ。記憶や力を受け継ぐだけの転生さ。
過去の記憶と現在の心がゴチャゴチャでなかなか大変だったんだよぉ」
だが幸運なことに・・・いや、不幸にも。
獄門鳥と天逆毎の思想はピタリと一致し、善人を食らうと云われる魔獣・窮奇の名で呼ばれるまでに至った。
しかし逆心の触手が織理陽狐の殺意の琴線に触れたとき、表情を引きつらせる。
ドロリとした悪意は、急に張り詰めるような敵意へと変わった。
「・・・やらせると思うか?」
夜行神を庇う様に黒い触手を噴き出す。
それは強大な密度で圧縮され、可視にもなった逆心の触手だった!
「残念だねぇ・・・、キミもこれを見れば・・・。
もう少し喜んでくれると思ったんだけどなぁ・・・っ!」
目を見開く、古の装束を破くことなく。
まるで初めからそうであることが前提のように、白い翼がスルリと現れた。
ドクドクと溢れ出す強大な妖気。
百鬼の主となり、夜行神の力を一部取り入っているのだろう。
かつて犬御と対峙したあの時は強大ながらも不安定な波長だったが。
今回はまるで大山の如く、安定している。
「・・・潰させやしないよ、この存在があれば。もっともっと多くの想いをへし折れそうなんだ。
幸せなヤツを簡単に不幸せにも出来る、不幸せなヤツの想いをもっともっと加速させることが出来る」
拠り代の必要が無くなった、完全なる天逆毎が具現化する。
巨大な獣面の女神は、真っ赤な瞳で織理陽狐を見下ろした。
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