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イベント優先スレ

872黒蔵:2012/02/19(日) 16:29:05 ID:3FBgi9l6
>>870-871

「氷亜さん?」

近寄ってきた気配に、黒蔵は目を開けた。

「お店で借りた服、駄目にしちゃった」

死から免れはしたものの、今だ重傷で横たわったままの黒蔵は、浅い呼吸の中で
クラブからの借り物の衣装の件を詫びた。

「お店にも迷惑かけるね」

黒蔵の仕事に穴が開くのだから、その分のしわ寄せは他のメンバーに行くのだろう。
もしかしたら、それだけでは済まないかもしれない。

(虚冥さん、怒るだろうなぁ…)

「あっちは天狗さんが勝ったんだ」

二人の《七罪者》と天狗、《生玉》の様子を見て取った黒蔵は安心した。
凍りついた鬼達からの妖気は相変わらず感じ取れないままであるが、《暴君》が天狗の軍門に下る
ということはその配下の悪鬼達もまた、夜行集団の傘下に加わるのかもしれない。

「……人が来る。氷亜さん、これお店で預かっておいてくれる?」

傍らの獅子王を指して氷亜に託す。これを現場に置いておくわけには行かない。
既に遠くからは、緊急車両のサイレンが聞こえ始めていた。
《生玉》の力でも《七罪者》二人に加え、黒蔵までも回復させるには少しばかり時間が足りないだろう。

「もう行って。氷亜さんまで警察に事情を聞かれることになるのはまずい」

これから人目も増えるだろう。氷亜の容姿はどうしても目立つのだ。

(お店のことだけは、黙っていよう)

この件がガス爆発として処理されることは、この時点での黒蔵はまだ知らない。
人間に何か聞かれたら、ホストクラブについては当たり障りの無い返答で済ませるつもりでいた。
氷亜に後を頼み、喋り疲れた黒蔵は目を瞑る。
このまま人間達に運ばれて、回復すれば色々事情を聞かれることになるだろう。

今回、《生玉》が天狗のものとなったことで、夷磨璃の回復手段としての《生玉》を交換条件にして
巴津火と取引するという手段を、黒蔵は失ったのだった。


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