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イベント優先スレ
860
:
黒蔵
:2012/02/16(木) 20:27:13 ID:3FBgi9l6
>>857-858
「何?」
ただの物と思って何気なく拾い上げた《生玉》は、言葉ではない方法でその意を黒蔵に伝えてきた。
(四十萬陀に会いたい。山に帰りたい)
《生玉》により足首の痛みが薄れ行くのと共に、恋心が、里心が、ひどく掻き立てられる。
それは死の覚悟を、生き延びる意欲へと転じた。
そこに、天狗からの一喝が降って来る。
「いっ?!これ、天狗さんのだったの?」
天狗の威圧感に思わず身を竦めて、反射的にジャケットの内ポケットに羽と《生玉》を押しこんだ貧乏ホストが、
破壊された《羅生門》から吹きあがった炎から、左腕で庇った顔を再び上げたときにはもう、
15匹のうちの5匹の悪鬼が黒蔵に向かって来ていた。
(嫌だ!!!死ぬのは嫌だ!!!)
寄って来る悪鬼たちへ、黒蔵は遮二無二右手の獅子王を振り回す。
死への恐怖と生への執着は、内ポケットの《生玉》にも伝わってゆく。
(絶対に生きて帰る)
太刀筋も何もなったものではないが、それでも獅子王は空を切って低く楽しげに唸り始めていた。
「え?…あ?……おお?」
重たい筈の獅子王を、片手で振っていることに黒蔵が今更気づいたときには、
獅子王の動きに誘われるかのように、折れていたはずの足首で一歩目を踏み出していた。
獅子王の唸りが高まる。それは巨大な猫が満足気に喉を鳴らしているような音だった。
「うわぁぁぁぁいっ??!」
慌てて左手も太刀に添えたが、獅子王は己で望むかのように動き、黒蔵を振り回す。
やがて彼らは悪鬼の間を舞い始めた。かつて織理陽狐が獅子王を扱ってみせたときのような
優雅さは無いものの力強く、その気まぐれな動きは捉え難かった。
一打
右足が強く地を蹴った。
二拍
踏み込んだ左足の沈み込みをバネに、一匹目の鬼へ右下から左上へと斬り上げて、
次の鬼へと跳んでゆく。
獅子頭も囃子も無いが、その足裁きと跳躍は厄を祓い幸を呼び、
祝いの場を寿ぐ獅子舞のそれだった。
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