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857天狗:2012/02/15(水) 22:14:54 ID:EK/9fLvc
>>854,>>856
巨大な赤子にしがみ付かれ、どんどん炎上していこうとするビルを天狗は見つめる。
その顔には、裏表の一切を感じさせない程のおぞましい怒りが浮かんでいた。
それはここにいる人も妖怪も大差なく、
思わず身を委縮させてしまうほどの膨大な妖気と威圧感と共に発せられる。

「ほうほう、不遜的・・・
 よもや俺の所有物を破壊しようなどとは・・・万死に値する!!」

怒りと同調して天狗の体から炎が噴出し、再び天狗は高速で死神に接近する。
唯のた打ち回るだけな触手の茂みを意に介さず力技でかわしていった。

「そして・・・奇妙的、なにかはわからんが大袈裟な物が飛び出しおった」

その中でも、暴君が門を召喚した事を視界の端に捉え、小さく愚痴るように呟く。
すると天狗は突如、自身の両腕に妖気を多量に纏わせて、赤子の腹部辺りを二か所突き刺した。

「黒蔵!!絶対的な命令だ!!
 この建物から出たその何かは、もちろんわしの所有物!!決してそれから手を離すな」

腕を突き刺したままの天狗は、黒蔵の方を向かずに唯吠えて命令する。
それがなにかを天狗は一切知らない。しかし、絶大な程に我儘な天狗の欲望は、
その何か分からない物も自分の所有物と勝手に決定していた。
黒蔵に言い残してから天狗は、腕を突き刺したまま背中の黒い羽を広げた。
すると天狗は大きく羽ばたいて、死神と共に上空へと上昇していく。

空に連れ去られた赤ん坊の今現在いる高度は、眼下にあるビル群が霞んで見える程。
天狗は赤ん坊がビルを焼かぬ様、空へと退場させたのだ。

「絶景的、実に心地よい眺めじゃ。しかし、お前よ。
 これから捨てられる立場のお前からは、この世界どう見える?」

それから天狗は静かに赤ん坊に囁いてから、赤ん坊に突き刺していた手を離した。
死神は天狗という上空での支えを失くして凶悪な高度から落下するだろう。
そして赤ん坊が落ちるであろう地点は、丁度暴君の召喚した門の真上であった。


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