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80織理陽狐/送り妖怪戦闘部隊:2011/06/05(日) 13:38:14 ID:DDrxEC0A
>>79
織理陽狐らの視線は、窮奇からすぐに背後の、胎動する巨大樹へと移った。
見上げれば、毒々しく発光する明らかに異質なそれが視界を占領する。
得体の知れないものに対する恐怖が、彼らの背筋を凍らせた。

「何、あれ……!?」

四十萬陀の声が恐怖でうわずる。
「七生、落ち着くのよ」と五月が自分に言い聞かせるように宥める。

織理陽狐は睨むように巨大樹を一瞥する。
窮奇の百鬼夜行であるという、禍々しいそれ。
だがいつまでも眺めるということはせず、窮奇に視線を戻す。

「どういう意――、っ!!」

激しい音と共に、地面が大きく揺れる。
織理陽狐が背後を振り向くのと同時に、岩壁が彼の視界を覆った。



「きゃあぁぁ!!?」
「ちッ!!」

東雲が四十萬陀に手を伸ばすも、届くことなく遮断された。
天逆楼の端に弾きだされた送り妖怪たちは、固い地面に投げ出された。
衝撃に倒れ込む四十萬陀の元に、翠狼が駆け寄る。

「七生姉さん、大丈夫ぜよ!?」
「痛たた……うん、平気じゃん。皆、怪我はない!?」

他の仲間たちも、遅れながら立ち上がる。
しかし、そこに東雲と和戌の姿はなかった。

「犬御の兄さんと和戌とは離れてしまったみたいぜよ」
「そんな……、!?」

四十萬陀が辺りをきょろりと見回す。
視界の奥に、悍ましい魔王の使いが映った途端、彼女の表情は凍りついた。


「七生たちとは離れたみたいだね……」
「くそッ!!」

忌々しげに岩壁を殴ると、東雲はゆるりと振り向いた。

「仕方ねェ……さっさと目の前の奴をぶっ殺して、七生を助けに戻るぞ」

頷いた和戌が、背後に首を動かす。
彼らの視線の先には、魔王が待ち構えていた。




「……どういうつもりじゃ」

行く手を阻む岩壁を睨みながら、織理陽狐が呟く。
だが窮奇に向き合った織理陽狐の顔は、意外なほど落ち着いていた。

「あやつらにあまり舐めてかからぬ方がいいぞ」

その言葉は、自信に満ち溢れている。


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