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541送り妖怪勢/天ッ堕/四十萬陀 七生/織理陽狐:2011/08/17(水) 03:14:27 ID:0rvvBuFg
>>538>>540
笹船を作り、そっと川に浮かべていると、突然黒蔵が立ち上がった。
なんだか分からず、四十萬陀は困惑したそうに首を傾げる。

「黒蔵君?」

しかしその時、ふと四十萬陀は感じた。

(あ、)

胸の奥がきゅっと熱くなる感覚。
ずっと昔、自分を守ってくれた、あの暖かさ。

(なんだろう……暖かい……。
 懐かしい――)

『黒蔵君、ってこの子なのね。
 ふふ、僕、七生を頼んだわね』

白鼬はくすりとほほ笑むと、川の向こうへと消えていく。
そして――。

「さあ、思い残すことはないな!
 盛大な送り火を、今こそ上げるのじゃ!」

織理陽狐の高らかな声が響き、高い夏の空に、花火が上がった。
それは人の上げる花火とは違う、炎を作る妖怪が打ち上げる、力強い火の華。
狐火と願いの炎も織り交ぜられたそれは、見る者の心を揺さぶる力があった。

>>583
「……」

先程まで、焼きそばに夢中だった天ッ堕も、自然に夜空を見上げる。
まっさらな無垢な瞳に、生者の、死者の、想いのつまった花火が、焼付いた。


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