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イベント優先スレ

44伊吹:2011/05/28(土) 03:27:55 ID:tElbSrz.
>>43

「そうだな、また会おうぞ」

 薄い笑いを浮かべ、小さく吐き出した。
 転生できるのはあくまでヤマタノオロチの魂であり、
 ただの人だった自分はただ消えていくだろう。

 いつしか人にも忘れられ、存在しないものとして。
 歴史を知る者にしか語り継がれまい。伊吹大明神の名は、竜宮でも地上でも。
 あくまでオロチの別の名の1つでしかないのだ。

 まぁそうでなくても。
 これだけ多くの者の命を奪っておきながら、生きようとは虫のいい話である。

 解峯に小さく頭を下げ、
 足音すら立てられない伊吹が大蛸に近寄り語りかける。

「・・・勝手を承知で1つ、頼みたい」

 胸に刺さった天業雲を引き抜き、小さく囁く。

「巴津火を生かしておいて欲しい・・・オロチの転生には時間がかかる。
 それまでに万が一に備え、オロチの名を継いでいる者は必要だろう」

 邪神であっても、反転させられただけであっても。
 オロチの力と神聖は絶大な力を持っていることは確かだった。
 竜宮自体も、ヤマタノオロチという絶対の存在が無ければとうに瓦解していただろう。
 伊吹自身も人でありながらこの地位につけたのはその為なのだ。

「あの女が居ない限り、オロチの神聖は裏返ることは無い。
 私はただあの女に誑かされ、邪悪の力と知恵を注がれた。
 悪いのは全て人であるが故の私の弱さだった。そう・・・伝えて欲しい」

 最後に、と付け加え。
 伊吹は弱く微笑んだ。

「少なくとも・・・“表”の私はみなの事が大好きだった。
 私はこの竜宮で生きることができ、幸せだった。
 今まで世話を掛けたな、ありがとう。カムイ・・・

 その波間に存在が崩れ落ち。
 伊吹の存在は消え去った。


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