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イベント優先スレ
360
:
黄道 いずみ
:2011/08/09(火) 00:43:50 ID:0rvvBuFg
>>357-359
「わっぷ!」
突然抱き上げられ、黄道はきょとんとした顔で黒蔵を見下げた。
だが「緋桐」という聞き覚えのない名前で呼ばれ、少し不機嫌そうな顔をする。
「はぁ? 誰それ? 私緋桐なんて名前じゃないんだけど、ちょっと、お兄ちゃん、離してよっ!
あ、ちょっと満月そんなに手首引っ張ったら――」
黒蔵に持ち上げられ、宇佐田に手首を掴まれ、体を揺らしたことで、ぐいっと腕に思わぬ負担がいってしまう。
その瞬間の黄道の表情は、まるで、何かに怯えているようだった。
そして、
「あ」
どさっ、と。
突然、何かが地面に落下した。
何かの拍子に壊れてしまった、人形のパーツのように。
少女は地面に落ちたものを、無表情に眺めていた。
自分の腕を。
肘あたりからちぎれた右腕の断面は、グロテスクに血に濡れている。
もちろん少女の腕からも、ぼたぼたと血が垂れているのだが、本人はまるで痛みなど感じていないようだった。
「……壊れやすいんだってば、もう。超最悪なんですけどー」
チッと軽く舌打ちをしてから、黄道は体を捻った。
その小さな体から出ているとは思えないほどの力で、黒蔵の腕から抜け出そうとする。
抜け出せれば、落ちた腕を拾いあげ、三人から距離を取ろうとするだろう。
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