[
板情報
|
カテゴリランキング
]
したらばTOP
■掲示板に戻る■
全部
1-100
最新50
|
1-
101-
201-
301-
401-
501-
601-
701-
801-
この機能を使うにはJavaScriptを有効にしてください
|
イベント優先スレ
32
:
叡肖『』 古蛸「」 解峯〔〕
:2011/05/27(金) 23:14:22 ID:1gBuqmPQ
>>31
「遊びすぎじゃ、この馬鹿者」
『うぇ?逃げられた?』
〔……お前な〕
いきなり方向転換した衣蛸を、古蛸の赤い触腕が救い上げてずいと押し返した。
その腕にはあまり余力がないようで、孫を押し出した古蛸の腕は伸びたままであった。
「おいたわしや、のう、主様」
伊吹の背に声をかけた赤い巨体は縮み、古蛸は何時ものとおり、赤い衣の壮年の人物の姿を取った。
その片目は瞑れ、手の指は数本がちぎれて青く染まっている。
部下の蛸たちがその身体を支え、傷の手当てをしながら指示通り、伊吹の方へと運んだ。
気がついた叡肖が慌てて解毒の文字を祖父の身体に記したが、
心配ないと告げる古蛸のその声は割れてしゃがれていた。
「まだ悪あがきなさるおつもりか、主様。
窮奇に誑かされたとて、我らは主様だからこそ慕いもし、従って居るのですぞ」
しばし咳き込んで、古蛸は言葉を継ぐ。毒の雫がその唇からぽたりと落ちた。
「磯臭い竜宮が面白くないこともありましたろう。山が恋しくもありましたろう。
それを知っているからこそ我ら海の者どもは、ある程度の主様の自由が聞くように
極力その荷が重くならぬように、我ら自身でこの竜宮を支えてきたのです」
先ほど伊吹の放った、竜宮への苛立ちの言葉が本物なのは傍に居たこの大臣にも判る。
なにも竜宮を私物化するために古蛸は大臣となった訳ではない。
一大事が起こっても対応できるよう、組織の維持や整備にも努めては来たのだ。
単に力あるだけでは、命ひしめく海を束ねる竜宮の維持などできはしない。
主である伊吹にどれほどの負担が掛かっているかは、古蛸も目の当たりにしてきたのだ。
「主様や、本当にそれが主様の願みなのですか?」
どこか寂しげにそう呟くと、伊吹が部屋の扉をあけるのを、あえて古蛸は止めはしなかった。
新着レスの表示
名前:
E-mail
(省略可)
:
※書き込む際の注意事項は
こちら
※画像アップローダーは
こちら
(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)
スマートフォン版
掲示板管理者へ連絡
無料レンタル掲示板