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30
:
叡肖『』 古蛸「」 解峯〔〕
:2011/05/27(金) 22:23:07 ID:1gBuqmPQ
>>29
〔よし、第二陣かかれ!第三陣待機!〕
伸びた黒蔵を担いだままの解峯がきびきびと蟹たちの指揮を執る。
その目が海牛に気づいた。
〔第三陣、海牛殿の援護に回れ。必要に応じて菖蒲の使用を許可する!
主様を止める事を第一とせよ!〕
朱蟹達が駆け寄り、毒竜の足元を駆け回り、いくらかは踏み潰されながらも
菖蒲の一部を鋏で切り取るとバケツリレーのように手渡しで仲間の蟹に分配し始めた。
蟹たちは一枚づつ菖蒲の葉を持つと、脱皮してなお走る伊吹の下へと駆け寄ってゆく。
「…なんじゃ、いつも可愛がってやってるのにつれないのぅ」
叡肖に袖にされた古蛸は、その口の中に飛び込んできた毒銛ごと悪樓の頭を噛み砕いた。
毒が嘴状の歯の間からごぼりと溢れ、さしものアッコロカムイも苦しげに咳き込む。
太い触腕が宙を震えながらうねり、赤く輝く巨体が揺れた。
「孫や、わしは少し休むぞ。遊ぶのも程ほどにな」
巨大な蛸は、その身体に取り付いてきた部下の蛸達に、しばし身をゆだねた。
しかしその青い目は尚、戦いの行方を追っている。
『あははっ、『悪い』けど俺、君みたいな『良い』女の尻は追っかける性質なんだ』
筆で投げキスでもするように、窮奇に向かって墨の雫を飛ばしながら追いかける叡肖。
なぜか飛んでゆく黒い雫は綺麗にハート型。
フ○コちゃんを追いかけまわすルパ○三世状態なのだが。
『キューウちゃーん♪』
笑った表情で窮奇を追う衣蛸の、その目だけは据わっていた。
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