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257叡肖「」 黒蔵『』:2011/08/06(土) 13:58:36 ID:1gBuqmPQ
>>254-266
『お待たせしま……』

グラスを載せたトレイを手に入ってきた黒蔵が、場の異様な雰囲気に凍りついたように動かなくなる。
一呼吸置いて喋ろうとした黒蔵を叡肖は片手を挙げて制した。

「いいから黒蔵はサーブを続けて。今いらっしゃったレディも、この場で野暮なことは無しですよ」

つ、とトレイに手を伸ばした叡肖は、オレンジジュースのグラスを取ってメリーに差し出しながら
その腕でさりげなく女性からメリーを庇う。最悪の場合に備え、外への伝達係としての確保だ。
その仕草に触発されて、慌てて黒蔵もトレイのグラスをそれぞれの注文者の前の卓に置いて行く。
それでもその合間には、横目でちらりと新規の客を見た。

〔あの女の人、あれだよな?〕

あの時、寺院の吹き飛ばされた扉の破片で出来た傷も、左肘の槍傷も、河童の膏薬で
ほぼ治りかけているが跡はまだはっきりしている。
途中からは巴津火に入れ替わっていたので、あの後どうなったか黒蔵には判らずじまいだ。

「さてお二人とも、どうします?
 どうやらこちらに事情通が現れたようですが、彼女に聞きましょうか?
 それともご自分の口から話しますかね?」

叡肖は今度は姉妹に向けてそう尋ねた。

(氷亜殿はいかがするおつもりか、まだ姉妹を縛ったままにしておきますか?)

姉妹の隣にいる氷亜に視線でそう尋ねると同時に、黒蔵にも、
女性からのオーダーも受けるように指先の動きで促す。

『あの……お客様のお飲み物は何に致しましょうか』

促されて一瞬表情が引きつったものの、空のトレイを小脇に、おずおずと黒蔵が女性に声をかける。
動きのぎこちなさが、その心中の戸惑いや不安をあらわしていた。


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