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101
:
窮奇
:2011/06/12(日) 21:37:44 ID:9sTbjS2w
>>100
高々と飛び上がった相手。
頭上の織理陽狐を見上げ、思考を巡らせる。
(・・・嬉しいかぎりだね、ここまで真っ直ぐ私に逆らってくれるとは)
巨大な焔の天蓋が、閻魔の槌のように振り下ろされるとき。
天逆毎も亡者の腕のような無数の黒い触手で跳ね飛ばした。
想いの焔は逆心に毒され、無残にも灰色の砂となって崩れ落ちてしまう。
「さぁて・・・想いから来る焔もそろそろガス欠だろう?」
巨躯を再びその小さな身に収め、いつもの姿に戻る窮奇。
多少息は上がっていたが、それでもあの悪意ある笑みは絶やさなかった。
「夜行神はもちろん傷つけさせないけど、ここからは本気で相手しよう。
“夜行神を守る為”じゃなくて“キミを倒す為”に戦うよ。
ここから先は逆心も使わないし、天逆毎の開放形態にもならないよ。
大火力バトルで決着なんて、強い方が必ず勝つ戦いなんて・・・あまりに不本意だからね」
(内緒だけど、それは私達が絶対に勝てない戦いでもあるからね)
ほんの少し、心の中でつぶやいた後。
ただ楽しそうに、嬉しそうに、窮奇は織理陽狐へと語っていく。
百鬼の主としてではなく、大妖怪・天逆毎でもなく。1人の妖怪、窮奇として語っていた。
「キミはなぜ私が不幸を追うのか、と考えていたよね。・・・まぁこの際だから教えてあげるけどさ。
別に私は不幸を求めているわけじゃないんだ。幸せになってほしい方向が、キミ達とは真逆なだけさ」
悪意の篭った、粘りつく口調。
それでも彼女が語るのは、心の底からの真意だった。
「あべこべにしたいんだよ、私は。嫉妬と同情の塊さ。
幸せなヤツほど不幸に成れば『良い』、不幸せなヤツが負けたら気分が『悪い』」
「『悪い』ヤツほどその想いを遂げて欲しい。『良い』ヤツぶってるヤツほど悩んで、苦しんで、『悪い』ヤツになって欲しい」
「救いを求める者ほど破滅させたい、欲深い者ほど失わせたい、自分だけを見る者ほど相対する敵を理解させたい」
ただただ己の全てを語りかけた。
心を否定し、想いに逆らうこの在り方の全てを。
「さて・・・第2ラウンドと行こうじゃないか。
キミも変に隠し事してないで、いい加減に化けの皮を剥がしたらだうだい?
これから見せる“私”の特性は・・・逆心よりも最低で悪質だよぉ!」
逆心の黒い触手が束なり、形を変え・・・やがて一本の色鮮やかなのキャンドルになる。
その先端には、勾玉のような紫の炎が揺らめいていた。
リ バ ー ス ・ デ イ
「名付けて 【 お誕生日をもう一度 】 」
夜行神の特性から誕生した百鬼の主・窮奇のみのオリジナルにして、紫狂の象徴のような力。
その特性の具現を、窮奇は剣のように振りかざした。
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