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ソロール用スレ
259
:
人間の味方…?
:2012/03/27(火) 17:22:47 ID:SmXQZqJk
飛葉「おや?瞳さんは?」
次いで医務室へ入ってきたのは、飛葉だった。
夢無「さっき帰っちゃったみたいです…」
飛葉「そうですか……少し話したい事があったのですが……また、今度にするしかなさそうですな……」
夢無「あの……飛葉さん。瞳さんって、人間、人間、って変わった方ですね。」
飛葉「彼女は、九十九神。人間によって生み出され、人間に使われた存在ですから。」
夢無「私たちとは、違うんですね……」
飛葉「……そうかも……しれませんね……」
不安そうな表情を浮かべる夢無と、困ったような表情の飛葉だった。
260
:
黒狼の憂鬱
:2012/04/16(月) 09:23:36 ID:/AfNAO.Q
「…………ハァ」
その日、東雲犬御は異常なほど落ち込んでいた。
巨体の狼は、現在、鬱蒼とした森の奥に絶賛引き籠もり中だ。
黒くて大きな体を丸め、耳を折り畳み、尻尾はだらんと垂れてぴくりとも動かない。
全身から溢れ出る欝オーラは翠狼でさえ近付けないものがある。
彼がどうしてこうなったのか。理由は単純。――四十萬陀七生のせいだ。
黒蔵が去り際に渡したメモは、東雲の手によって四十萬陀に渡った。
正直、彼にとってこの役目はかなり辛い。
東雲→四十萬陀→←黒蔵という構図で、東雲が黒蔵からの別れ(しかも二度と戻らないかも分からない)の手紙を四十萬陀に手渡すのだから、かなり辛い。
手渡す瞬間なんてもう、心臓バックバクである。命懸けの戦闘より数倍の緊張感だ。和戌姉とかに任せりゃよかったと今さら後悔するが、四十萬陀は訝しげな表情でメモを開いた。
「…………」
丸い瞳が見開かれる。
食い入るようにメモを読み終えると、四十萬陀は焦った表情で東雲を見上げた。
「嘘だよね」とでも、彼に問い掛けるように。
けれどもこれは嘘でもなんでもない。東雲はこれから、黒蔵が既に去ったことを伝えなければならない。
(あのガキ、やっぱ最後に一発殴っときゃァよかった)
――それからの展開は想像するに容易い。
事情を聞いた四十萬陀は、黒蔵が既にいなくなったことを知り、力を失ったかのように膝を落とした。
呆然とした瞳で、メモをもう一度見遣る。
『泣かないで欲しい』
そうかかれた一文が、四十萬陀の黒い瞳に映る。
結局、四十萬陀が泣くことはなかった。
正しく言えば、誰かの前で泣き顔を見せることはなかった。
「……そう、」
小さく呟いた四十萬陀は、ゆっくりと立ち上がった。
まるで生気を失った彼女に、東雲は「昔」の彼女を見ているようで、
「七」
「ごめん」
しかし、その言葉すら遮られてしまう。
四十萬陀は東雲に背を向けると、暗い闇の中に翼を広げていってしまった。
慰めることも止めることも、今の東雲にはできなかった。
(嫌われた、よなぁ……確実に……)ドンヨリ
黒蔵から手紙を受け取り、止めなかったのは事実なのだ。
深いため息は止まらない。四十萬陀に嫌われたら彼はこれから何を生き甲斐に生きていけばいいのだろう。
変態医者の実験動物(モルモット)として、ただ生かされるだけの日々を送らなければならないのか。
(いっそシニタイ)
東雲は頭を丸めると、憂鬱を押し込めて無理矢理眠りなついた。
261
:
夜雀の決断
:2012/04/16(月) 09:24:21 ID:/AfNAO.Q
――袂山の奥の奥。
この場所は、袂山に住む妖怪の中で四十萬陀しか知らない秘密の場所だ。
そこで、四十萬陀はぺたりと座り込んでいた。
片手には黒蔵のメモが握りしめられている。
(……黒蔵くん)
どうして、連れていってくれなかったの?
どんなことがあっても、一緒にいる、って決めたのに。
あなたがどんな罪を背負っていても、あなたが妖怪じゃなくなっても。
(なんで……)
しかし、涙は零れてはくれなかった。
まるであの一文に縛られているかねように。
四十萬陀はそっと瞼を閉じる。
(私、泣かないよ、黒蔵くん。
あなたが戻ってくるまで。
心は、ここに置いておくね)
262
:
鹿羽町決戦 1
:2012/04/27(金) 21:24:54 ID:tElbSrz.
「鹿羽町に巨大な妖気反応! 同場所で複数の爆発も確認されています!!」
「妖気レベルA+! スーパーセルクラスです!!」
「対象特定! 国際指名手配のN⑬、コードは〝バックベアード″!!」
「半径50km圏内の住民に避難勧告発令!!」
「対特殊生物部に出動令! 指定された装備で現場に急行してください!」
喪服のような黒いスーツで風を切り、芹沢は特殊拳銃と黒塗りの七首を取る。
「とんだVIPのお出ましか・・・」
鳴り響く警報。重い足を引き摺り、出動する。
(無人地区、町とは名ばかりの最終処分場、鹿羽町ならおおっぴらに秘密部隊も・・・陸上自衛隊すら動かせるということか)
この危険度Aクラス超えの相手なら確実に話し合いで済まない、殺し合い・・・下手すれば戦争にすらなる。
また殺すのか、また排除するのか。
エゴの為に、生態系の中で生き抜く為に。
「話も通じないような外道か、自我すら持たぬ怪物であってくれ。それも駄目ならせめて人類と対等以上の力を持つ存在であってくれ」
そんな自分勝手で不謹慎な望みを呟くと、瞳を開き鹿羽町へと駆け出した。
263
:
鹿羽町決戦 2
:2012/04/27(金) 21:55:46 ID:tElbSrz.
――鹿羽町、某ビル屋上
「派手にやっちゃってまー」
ペンキが剥げ、赤錆た柵の向こうから双眼鏡を覗く黒服の青年。
特製の薄型コンピューターから流れ出す情報を眺めている。
「国際指名手配? しかもロンドの元幹部とか・・・」
指を滑らせ、一通り画面を弄り終えると。
一息着いてカチャカチャと装備を確認する。
「・・・まー、とりあえず。国際指名手配だろうがロンドだろうが。
平和を乱す妖怪ってんなら、俺が動かないわけにはいかないな」
〝スイーパー″安全保障部隊隊員、黒井礼は朽ちた策を蹴破ると。
屋上から風を切って飛び降り、爆心地へと走り出した。
264
:
鹿羽町決戦 3
:2012/04/27(金) 22:22:22 ID:tElbSrz.
「わはははははははははは! 効かぬわぁ!!」
軍用のアサルトライフルの弾丸も、対妖怪用の銀の弾丸も
バックベアードの黒雲のような体を素通りしていく。
「まとめて吹き飛んでしまえーーーーー!!」
大気が変質したかと思った矢先、黒い雪が辺りに降り積もった。
アサルトライフルが火を噴いたとき、その火花に引火し黒い雪は灼熱の熱風と化した。
「クククク・・・、妖怪を誘うはずがニンゲンが来てしまうとは予想外だった!!
だがニンゲンごときにこの我輩がやられるはずないわーーーーーーー!!」
火の海と化した鹿羽町の3番地にて、魔眼の黒雲は高笑いを上げる。
無双の如き強さを誇るアメリカのこの妖怪は高らかに自らの名を名乗った。
「我輩の妖怪としての名は『ハーバー・ボッシュ、オストワルト法』!!
下らぬ自然由来の神などではなく! 西暦以来! 最も多くのニンゲンを多く殺した文明の正体よ!!!」
―ハーバー・ボッシュ、オストワルト法―
大気(水素・窒素)からアンモニアを、アンモニアから硝酸を作り出す化学技術。
これにより人間は、当時希少だった火薬を無尽蔵に作り出すことが可能となり、
19世紀末から20世紀の戦争はそれ以前とは比べ物になら無いほどの犠牲者を出すことになった。
だがこの発明は化学肥料の元でもあり、地球の人間に対するキャパシティを大きく増加させることにもなっている。
もし化学肥料が無ければ60億の人口のほとんどが飢餓状態にあるだろう。
あらゆる意味で西暦上、最も人間の個体数に影響を与えた発明であるといえる。
265
:
失いたくないもの 1/2
:2012/10/31(水) 13:36:52 ID:SmXQZqJk
稲山家――日が暮れてきたころ、十夜の部屋の扉が開く。
『ただいま、十夜。』
妖気の溜まり場で傷を回復し終わった七郎が、稲山家に帰って来たのだ。
「お帰り、七郎。怪我はもう大丈夫なの?」
『ああ、もうこの通りだ。』
七郎は静かに十夜のベッドに腰掛ける。
『ところでよ。十夜。一つ聞くが…』
「何、七郎?」
七郎が真面目な顔で話し始める。
『どうしてあの森に行ったんだ?あの事件のニュースはお前も見ていただろ?』
「う……それは……その……猫が……」
『猫ってお前……まさか、猫があの森に入って行って危ないと思ったから追いかけたってんじゃねぇだろうな……』
「ごめん!その通りなんだ!」
それを聞いて七郎は怒ったような表情になる。
『ったく……どうしてお前は、そういつもいつも』
「ごめん七郎!でも、放っておけなかったんだ……結局、猫はすぐに見つかったんだけど……」
十夜は、その時の様子を話す。ちなみに猫は無事助かったようだ。
266
:
失いたくないもの 2/2
:2012/10/31(水) 13:39:36 ID:???
『それで、お前が迷っちまってあの猿と出くわしたってか?
……十夜、お前自分がどれだけ危険な事をしてたのか、わかってるのかよ!いつも俺が助けに行けるとは限らねえんだぞ!それに助けに行けたとしても、相手に勝てるとは限らねえし、お前を連れて逃げられるとも限らねえんだぞ!今回だって、波洵がいなかったらヤバかっただろう!?』
「七郎……本当にごめんなさい……」
十夜は、目に涙を浮かべながら謝った。
『……まあ、今回は助かったんだ。お前が戻って来てくれて助かったって面もあるしな……
ただ、今度から本当に無茶はするなよ。』
そう言った七郎の顔は、いつもの優しい表情に戻っていた。
「うん……ごめんね七郎。」
『もう、謝んなくていいって。それより、お前そろそろ飯の時間だろ?行って来いよ。あまり遅いと十夜の母さん心配するぞ?』
「あ、そうだった。じゃあ、七郎。また後で」
『ああ。あと、ついでに飯食い終わったらでいいから俺の味噌頼むわ。』
「うん、わかった。」
そうして、十夜は自分の部屋から出て行った。部屋に残った七郎は、腰掛けていたベッドにそのまま寝そべり――
『……本当に無茶はするなよな。相棒を失うってのは辛ぇんだぞ。』
――静かに呟いた。
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