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【貴様ら】戦士、鉄獄に行く!!Part3【どけっ】

91名@無@し:2022/09/02(金) 23:11:40 ID:MM0IdAf2
ありがとう、ライカ

「宇宙ロケットの打ち上げが延期になったらしい」
 鉄獄から帰還した私は、防具屋でそんな噂を聞いた。多くの金と資材、人員を費やして建造した宇宙ロケットが、わずかなエンジンの不備によって、打ち上げの機会を逃してしまったという。それを聞いたときの私は、幸せな夢を見ているさなかに叩き起こされた子供のように、どうしようもなく不機嫌な顔をしていたに違いない。打ち上げ延期の報告は、かねてより宇宙の神秘に憧れていた私を、落胆させるのに十分であった。
 店を出て、重い足取りで我が家へと戻る。そんな私の下に何者かが走り寄ってきた。一頭の犬だった。野犬かと身構えたが、そうではない。よく見ると首輪を嵌めている。その色は共に産みだす主義の人々に好まれるという赤だった。尻尾を振っていることから、私に対して友好的であることが分かる。
 目の前の犬を眺めているうちに、私はある宇宙に行った犬のことを思い出していた。かつてその犬は人間の代わりに宇宙へと旅立ち、生きては帰らなかったという。その犬の犠牲によって人類は宇宙進出のすべを得て、宇宙、そして月面へと辿り着いたのだ。もし、その犬が今もどこかで人間を見守っているとしたら、宇宙進出を前にまごついている私たちを嘲笑っているだろうか。あるいは嘆いているだろうか。
――応援しているぞ。
 どこからか声が聞こえた、気がした。私の内なる感情が、自らに言い聞かせたのだろうか。無意識に私の口から言葉が漏れたのかもしれない。あるいは、目の前の犬が呟いた、そんな妄想すらも頭をよぎった。いずれにせよ、その言葉は私に希望を与えた。そうだ、宇宙進出の礎となったその犬は、きっと人間を応援しているはずだ。きっと上手くいく、ロケットは無事に宇宙に届くと励ましているに違いない。いつしか前向きな気持ちが、私の心身を満たしていた。
 エンジンが壊れたのならば、直せばよい。失った信頼は、ロケット打ち上げ成功の報告によって取り戻せばいい。たとえ転んだとしても、何度でも立ち上がり、未来を摑むのが人間という生き物だ。なにより人間のHDは10、ハイ=メイジであってもそこそこの打たれ強さを確保できるうえに、成長が早く呪文の習得も早い。私たちはけして無力ではない。足りないのは明日への一歩を踏み出す勇気、そしてテレパシー付きの★☆防具だけなのだ。耐性が山盛りだとなおよい。
 私はカオス魔導の書を開くと、詠唱の最後に「ありがとう」の一言を添えた。そしてマジック・ロケットを宇宙に向けて、ではなく、目の前の赤Cに向けて発射したが、こいつは小銭しか落とさなかった。
(終)

C<宇宙船オリオンを載せた宇宙ロケットSLSの再打ち上げは日本時間9月4日午前3時を予定! みんなで応援しよう!


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