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『DISSIDIA INFINITY』
1
:
はばたき
:2011/04/01(金) 21:00:21 HOST:zaq3d2e548d.zaq.ne.jp
どうも、はばたきです。
この度、総合アンソロジーにて以前設置したネタ企画『DISSIDIA SUPER ROBOT WAR INFINITY』
本格的にリレー小説として発足してみる事に致しました。
詳しい事は、オリジナル設定資料館wikiにて設定していますのでそちらを参照してください。
それでは、お気に入り頂けましたら、ごゆるりとご堪能くださいませ。
2
:
はばたき
:2011/04/01(金) 21:03:24 HOST:zaq3d2e548d.zaq.ne.jp
次元の彼方に君臨する二柱の神は
数多の世界から招いた戦士達を率いて
熾烈な戦いを繰り広げていた
コスモスとカオスの力は等しく
闘争は果てしなく続くはずだったが―――
『恋の鍔鳴り』
最強の幻想の殺し手たる少年、四象零。
奇跡の敵対者とまで言われたその剣は、しかし己の為に振るう事は無く。
彼は語る。
ただ護りたいものがあると、愛するものがあると。
しかし、その気持ちの在り処を彼は未だ知らない。
己が愛する者とは誰の事であるか、その想いの向かう先を―――
ティナ「愛?」
零「そ、愛とか・・後は恋かな?」
何故戦うのか?
その問いに対して碧の衣を纏う少年は、あっけらかんとそう答えた。
零「俺の原動力って結局そこだから。記憶は曖昧だけど、そこだけは頼れるつーか」
誰かを想う、それが自分の縁だと零は語る。
その言葉に心から頷けない自分。
その事実に、改めて自分の心の違和感が大きくなったようで、少女は一抹の寂しさを覚えた。
零「あ〜、そう暗くなられるとこっちが困る・・・」
慌てたように、頭部の猫の耳を思わせる髪が首の動き合わせて揺れる。
達観したような大人びた雰囲気のこの同世代の少年の見せる意外な可愛げに、自然頬と心が和らぐ。
ティナ「誰か・・・好きな人がいるの?」
零「さて、ね・・・」
肩をすくめるような動作。
意外な答えに、目を瞬かせていると
零「言ったろ?記憶は曖昧。心の芯には何かそういう動機で自分が動いてたのは解るんだけど、誰の為だったかが思い出せない」
ティナ「それって・・・」
それは、不安にはならないのだろうか?
自分にとって、一番大事なものが欠けていると言う事実に、この少年は心を潰されたりしないのだろうか?
零「やー、それが意外と平気なんよね。案外と元の世界ではフラれたりしてるのかも知れん」
冗談めかして笑う零の様子には、確かに悲観は見られない。
それは頭ではなく、感覚で自分の信じるものを理解している者の目だ。
ティナ「―――私も・・・」
零「ん?」
ティナ「私も、誰かを好きになれば、そんな風に思えるかな?ううん、誰かを好きになれるかな?」
不安げにそう語る少女の頭を、零はぽんぽんと撫でてやり
零「なれるさ」
優しい声音でそう言った。
3
:
はばたき
:2011/04/01(金) 21:03:59 HOST:zaq3d2e548d.zaq.ne.jp
ティナ「でも、私は・・・」
零「俺も昔はそうだった」
何か言いかけたティナを制すように、零はそう呟いた。
ティナ「え?」
零「俺にもそういう、人間染みてない頃はあった。けど、今はご覧の通りだ」
少女の不安を看破したように、零はすっぱりと言い切る。
零「でも、俺には”姉さん”がいたから。だから今の俺がいる」
だから、お前にも―――
述懐するような言葉。
優しい瞳が少女の瞳を捉える。
降りる沈黙。
ティーダ「何らぶってるんっすかー」
沈黙は、能天気な声で破られた。
”らぶ”という単語に、数秒凝り固まった二人だったが、やがて顔を赤らめた零の方が素早く身を離した。
零「だ、誰がらぶか!?」
カズキ「いやぁ、男と女で二人っきりで愛とか恋について語らうなんて、誰がどうみてもらぶでしょう」
ニマニマと笑うカズキとティーダ。
普段、零にはやり込められる機会の多い二人は、これ幸いとばかりに意趣返しの構えだ。
零「ほう、デバガメとはいい趣味をしているな?」
ティーダ「いやいや、俺らの事はお気になさらず」
カズキ「存分に、愛について語ってくださいっす」
見事な連携を見せる二人の言葉に、ぐうの音も出ない零。
セシル「二人とも、からかうのはその辺にしといた方がいい」
更なる追撃を仕掛けようとする二人を制したのは落ち着いた声。
やっと、PTの良心が来たかと零は胸をなでおろす。
セシル「他人を想う心、いい事じゃないか。僕は彼の言葉に賛同するよ」
零「お前も聞いてたんかい」
なでおろした胸に、再度心労が溜まっていく。
ティーダ「気づかない方が悪い」
カズキ「つーか、ちょっと鈍すぎますよ先輩?気緩んでるんじゃ」
零「よし、お前ら二人そこへ並べ」
笑顔で拳を鳴らす。
音は出ないので、別のぐうを出す事にしたようだ。
カズキ「ちょ、ま!」
ここに来て、やりすぎたと気付いたか、逃げの構えに入る二人。
だが、零のスピードは二人の反応を上回る。
セシル「零、暴力は・・・・」
ティーダ「セシル!流石っす」
セシル「程ほどに」
カズキ「止めて下さいよ!?」
抵抗空しく、四象伝来究極奥義地獄ウメボシの餌食になる二人。
そして、そんな仲のよい(?)彼らの様子を見て
ティナ「これが・・・愛?」
テン「や、絶対違うと思うよ?」
4
:
蒼ウサギ
:2011/04/23(土) 21:20:43 HOST:i114-188-250-101.s10.a033.ap.plala.or.jp
『誰かを呼ぶ口笛』
光と闇の力を司る精霊を己が能力とする少女、八神マリア。
戦いを好まぬ彼女の優しさにとって、戦いを義務付けられるこの世界は過酷を極めていた。
時々、彼女は思う。
何故、自分はこの世界に来たのだろうと。
誰のために? コスモスを勝利に導くためだろうか?
悩んでいるときはいつも、青い空ばかりを見つめていた。
マリア(今日もなんとかカオスの人達を退けることができたけど……)
俯いて黙考する。いつまでこんな戦いが続くのか? また何故、自分は戦い続けているのだろうと。
理由は、わかっている。コスモスを勝利に導かなければ自分は元の世界に帰れないし、この世界が大変な事になってしまうということも。
だが、理屈では理解できていても、心の奥底では葛藤していた。
戦いたくない。戦ったら、また何かを失いそうな……そんな予感が時々過るから。
マリア「元の世界に帰ったら……私は戦わなくて済むのかな?」
マリアの失われた記憶の断片に残っているのは「大切な人が待っているということ」のみ。
それ以上は思い出せないでいた。
考えているうちに自然と空を見つめている目が下へと下りていたそんな時だ。
ティーダ「なーにしてるっすか?」
マリア「あ……ティーダくん」
いつも明るい表情でやってきたティーダに釣られるかのように、自然とマリアの表情もほころぶ。
ティーダ「ここんところ毎日そうやって、空、見てるよな。日向ぼっこ?」
マリア「ううん、そうじゃないの。ただ、こうしていると何か大切な人のことを思い出せそうで……」
ティーダ「ひょっとして、彼氏?」
マリア「え? それは、わかんないけど……」
小さく笑いながら俯くマリアの隣に、ふいにティーダが並んだ。
そして。
ピィーーーーーー!
指を輪にして鳴らした指笛。
まるで、本物の笛のような甲高く大きな音が青空に響いて、マリアは思わず目を丸くした。
ティーダ「これ、誰かを呼ぶ時の合図なんだ。やってみなよ」
マリア「え、あ、うん……」
指を輪にしてティーダのように指笛を吹いてみるも、マリアのそれは息が勢いよく放出されるだけの不発に終わった。
マリア「吹けないよ……」
ティーダ「練習ッスね。でも、マリアならすぐ吹けるようになるッスよ」
グッっと身体を伸ばして地べたに寝転ぶティーダ。マリアも、ティーダに合わせるかのように並んで座った。
マリア「ティーダくんは誰か待ってくれている人いないの?」
ティーダ「思い出せないっす。……でも、さっきのマリアの話を聞いて、どうも他人事とは思えなっかたんだ」
マリア「ひょっとしたら、ティーダくんにも待ってくれている人がいるのかもね」
ティーダ「マリアみたいなコだったら、嬉しいんすけどねぇ」
何処までも続く青い空を見上げながら、ティーダはぼやいた。
5
:
はばたき
:2011/04/26(火) 21:25:54 HOST:zaq3d2e41f0.zaq.ne.jp
『背負う重み』
護るべき者を持つ二人。
だが、互いの信条は真反対。
そんな中、零は己の心構えを諭して聞かせた。
オニオン・ナイト「―――何で、あんたは無駄に相手を挑発するんだ!」
零「人を誰彼構わず喧嘩売ってるチンピラみたいに言うな」
肩で息をするオニオン・ナイトが噛み付けば、零は地面に胡坐をかいて言い返す。
探索の途中、カオス側の戦士とニアミスした彼らは、つい先ほど死闘の末、これを退けた所だ。
オニオン・ナイト「全く、もうちょっとで戦わずに済む所だったのに・・・」
いつも通り、手八丁口八丁で強敵との戦いを回避しようとした所を、零の「知らん」の一言で台無しにされたオニオン・ナイトはご立腹だ。
自殺願望でもあるのかと、恨めしげな視線を送れば、零は零で、
零「別に。負ける気がないから戦ったまでだ」
オニオン・ナイト「負ける気がって・・・気持の問題じゃないだろ?」
現実問題として、戦った結果はこの様だ。
この飄然とした男がインチキ染みて強いのは知っているが、それでも限度というものがある。
だというのに、
零「いずれ戦う相手だ。なら、常在必勝ってな」
それともお前は負ける気で戦ってるのか?と問い返される。
オニオン・ナイト「そうじゃないけど・・・でも、僕は少しでもリスクを減らそうとだねぇ・・・」
零「ほう、誰かの分まで背負って戦う男の台詞にしちゃ生温いな」
オニオン・ナイト「な・・・」
あまりにも挑発的な発言に、反論しかけるが、次の瞬間言葉を飲み込む。
零の視線がいつに無く厳しい光を宿していたからだ。
それこそ射殺さんばかりに・・・。
零「戦うって事は、誰かの夢を、想いを食い潰すことだ。対価として賭けてるのは命だけじゃない。自分の、他者の願いを天秤に掛けての殺し合いだ」
零は言葉を選ばず、真っ直ぐに言い切る。
それが尚の事、彼の言葉を重くしていた。
零「他人の行く道を潰して屍の上を逝く。リスクなんて次元はとうに通り越してるんだ。誰かの想いを踏みにじるからには、自分も殺される覚悟の無い奴に戦う資格はない」
オニオン・ナイト「・・・あんたは、カオスの奴らの願いも肯定するの?」
零「願いに善悪も貴賤もないさ。あるのは唯、道がすれ違うからぶつかり合うって事実だけ。信念の削り合いだ」
肯定もしないが否定もする気は無い。
唯相容れないからぶつかり合う。
許容出来ないから叩き潰す。
零の思考はシンプルなようで深い。
零「でもだからこそ、な。信念の薄い奴から食い潰される。気持の問題とか言ったな?そんな生易しいもんじゃない。全霊を賭けて退けない奴らとぶつかった時、勝つのは胸に一本芯を通してる奴だけだ」
だから、と、言葉を切った瞳は鋭い。
零「お前、このままだと潰れるぞ?」
オニオン・ナイト「っ!!」
6
:
はばたき
:2011/04/26(火) 21:26:48 HOST:zaq3d2e41f0.zaq.ne.jp
持ってまわった言い方を避けた一言。
遠慮の無いその一言に、オニオン・ナイトは一瞬固まる。
オニオン・ナイト「・・・わかんないな」
ややあって、納得できないという風に首を振って、その場を後にする。
どうにも、彼の信条と自分の信条は食い違うようだ。
そんな風にため息をつきながら、零は天を仰ぐ。
スコール「珍しく荒れているな」
零「アンタから話しかけてくるのも珍しいがな」
振り仰いだ向こうに別行動していたメンバーを見つける。
バッツ「でも、実際珍しいよな。お前って、割と誰にでも態度柔らかいのに、今日はなんかカリカリしてるぞ?」
零「別に・・・」
特に変った所は無い、という風情で何気なく視線を投げた・・・つもりだったが、自然、瞳が動いて捉えてしまう。
遠くで、話し込むティナとオニオン・ナイトに。
スコール「成る程、嫉妬か。案外と大人気ないな」
指摘されて、思わず付いていた頬杖をかくん、と崩す零。
零「子供に嫉妬してどうなるってんだよ」
パタパタと明らかに挙動不審な様子で手を振る零だったが、今度はバッツが目を光らせる。
バッツ「ほっほう、愛の伝道師もターゲットを定めましたか」
零「人を色情魔みたいに言うの止めてくれます!?」
はあ、今度こそ疲れたため息をついて、零は立ち上がる。
零「そういうんじゃないさ。ただ、無くしてからじゃ遅いって事もある。後悔だけはしたくないんでな」
いろんな意味で、という言葉は心中に仕舞い込み、零は歩き出す。
胸にじくと染みる不完全な、だがはっきりとした痛みを感じながら―――
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