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総合アンソロジースレ
1
:
勇希晶
:2006/02/07(火) 23:11:02 HOST:softbank220063219079.bbtec.net
え〜、SRWSAGAアンソロジースレが盛り上がっているようなので、便乗して立てます。
ルールは以下の通り。
※アンソロジーSSは既に連載されている作品・キャラのみでお願いします。
※季節ネタ時事ネタなど基本的にジャンルはオールオッケー。バッチコーイ!!(ぉ
※ただし、18禁表現(露骨な性表現等)は却下です。絶対にそう言う内容を書き込まないで下さい。
※他人のキャラを著しく貶めるようなものも禁止します。トラブルの原因になりますので。
※荒らし、煽りに反応しないで、管理人さんに報告しましょう。
※みんな仲良く。これが一番大事。
それでは、スタートです!!
2
:
新堂涼
:2006/02/08(水) 00:23:05 HOST:softbank218119098031.bbtec.net
スーパーロボット大戦DS
発売日:8月予定
ストーリー
いつしか世界は戦いの輪廻から逃れられなくなっていた。
なぜこうまで戦うのか?
15年前の地球連邦軍と宇宙革命軍の戦争によって大ダメージを受けた地球。
そして3年前のナチュラル、コーディネイターの争い。
教えろ、何故人は戦う?
何故平和を望まない?
だが世界には、平和を望む者たちが居る・・・
そして今、平和の為に立ち上がる・・・
参戦作品
機動戦士Ⅴガンダム
新機動世紀ガンダムⅩ
絶対無敵ライジンオー
無敵ロボトライダーG7
マジンカイザー
機動戦艦ナデシコ
機動戦士ガンダムSEED
新規参入
JINKI:EXTEND
日本の女子中学生、津崎青葉は母に呼ばれ南米ベネズエラで巨大ロボット「人機(ジンキ)」のパイロットとなる。
そして3年後、日本の1人少女柊赤緒もまたジンキのパイロットとなる・・・
地球防衛企業ダイ・ガード
12年前に撃退した未確認生物「ヘテロダイン」に対して人類は「21世紀警備保障」が所有する大型ロボットを起動させる。
その名はダイ・ガード!
機動戦士ガンダムSEEDDESTINY
先の大戦より2年・・・ザフトの「新型MS強奪事件」から世界は再び戦火に見舞われる。
オーブのキラ・ヤマトとアスラン・ザラ、そしてザフトのシン・アスカは巨大な運命の戦いへと飛び込む・・・
寺田プロデューサー インタビュー
Q:今回、DS初のスパロボとしてどういった心境で取り組みましたか?
A:最高傑作を作る、という心構えで取り組みました。
今年で15周年を迎えるスパロボとして恥じない出来にしたいと思いました。
Q:新規参戦作品はどうやって決めましたか?
A:まずダイ・ガード、「トライダーG7」と共演させたいと思ってました。
大企業と中小企業ってどこか不釣合いかもしれませんが・・・
次にJINKI、大変苦労し作り上げたアニメ版がベースなのでその良さを殺さず、そしてそれを越える作品にします。
最後にSEEDDESTINY、福田監督の言う「3人の主人公」というのを主軸に置いて見ました。
もちろんシンも味方になります。
最後に1つ、これは全て自分の妄想です。
ただ、JINKIはスパロボに参戦して欲しい。
3
:
蒼ウサギ
:2006/02/09(木) 23:48:07 HOST:softbank220056148230.bbtec.net
○祝福される二人。
それは現在、スーパーロボット大戦ロ○トセ○チュリー、スーパーロボット大戦S○GAに出演中である。
星倉悠騎が某サイトの某リレー小説を見ことが事件の始まりだった。
悠騎「なんだよこの説明染みた出だしは・・・・・・まっ、いっか。
さて、どれどれ・・・・・・・」
衝撃5秒前・・・4・・・3・・・2・・・1・・・0
悠騎「なっ、なにぃ〜〜〜〜〜〜!!!?」
衝撃の瞬間から数日後・・・・・・
悠騎「ユウト・・・・・・お前って奴は・・・あさみちゃんという者がありながら」
ユウト「いきなり何だよ・・・・・・」
悠騎「いや、今は祝福しよう。親友として!」
ユウト「・・・・・・はい?」
悠騎の言っていることが訳分からない様子の天神ユウト。
そこへやって来たのは八神マリアである。
マリア「一体、どうしたんですか?」
悠騎「おぉう、マリア・・・・・・大変だったな。体の具合はいいのか?」
マリア「・・・・・・はい?」
悠騎「困ったことがあれば何でも言えよ。G・K総力を挙げて協力する」
マリア「だから何を言ってるんですか?」
悠騎「これから先、辛いこと、悲しいことがいっぱいあるだろうが、二人仲良く頑張って乗り越えてくれ」
ユウト「悠騎、人の話、聞いてないだろう?」
と、そこへ次々にオリジナルキャラ達がやって来た。
シュウヤ「ふぅ、これでオレも「伯父さん」と呼ばれてしまうのか・・・・・・」
イヴ「私は「おばあちゃん」ですね。フフッ、でも孫ができて嬉しいわ」
マリア「あの〜、兄さんもお母さんも何を言っているの?」
龍次「くぉらぁ!ユウト!! マリアを泣かしたら許さんからな! マグナドラゴンで踏み潰す!(滝涙)」
速人「泣くな、龍次」
ユウト「えっと・・・・・・どういうこと?」
トウヤ「まっ、とりあえずおめでとう。お祝いは今度送らせてもらうよ」
アイ「パチパチパチ・・・・・・(拍手)」
アイの拍手に合わせてユウトとマリアを祝福する一同。
当の本人達は、もうチンプンカンプンである。
悠騎「さぁ、二人も辛いだろうけど・・・・・・」
と、そこに連れてこられたのは、北條あさみとREIである。
あさみ「ゆ、ユウくん。幸せにね!」
パシャ「ミュ♪」
ユウト「あさみ、いや、幸せにって言われても何が何やら・・・・・・」
そして一方では・・・・・・
REI「マリア、お前が幸せならオレは充分だ。 これからはお前やユウト、そして彼女も護る」
マリア「え? え? か、彼女?? あのREIくん? 彼女って・・・・・・?」
悠騎「それでお前等、いつ結婚式あげるんだ?」
ユウト&マリア「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・はい?」
マイ「結婚式〜〜〜♪ おいしい食べ物いっぱ〜い♪」
レイド「会場はどこにすっかなぁ。やっぱ教会だよな、うん!」
悠騎「仲人は、オレに任せろ! って、なに呆然としてるんだよ、二人とも」
ユウト「そりゃ、呆然とするよ・・・・・・・」
マリア「なんでいきなりそんな話になってるんですか?」
悠騎「あん? だって、あのコ・・・・・・・」
悠騎が指差す方向・・・・・・そこには
アリサ「・・・・・・・なに?」
悠騎「あのコ、お前等の子供だろ?」
ユウト&マリア「違(う)(います)!!!」
オリキャラ一同「えぇぇぇぇぇっっ!!?」
マリア「そんなに驚かなくても・・・・・・」
結局、悠騎の独断と偏見が生み出した馬鹿騒ぎは、これにて終わった。
悠騎「色々似てるじゃん・・・・・・orz」
アリサ「その秘密は・・・・・・私の出演しているリレー小説で明らかになる(予定)よ」
悠騎「本当か!?」
アリサ「多分・・・・・・」
―――完。
4
:
新堂涼
:2006/02/10(金) 00:31:00 HOST:softbank218119098031.bbtec.net
>>2
で書いた妄想スパロボ新作をモデルにしたアンソロジーを投下、JINKIがメインだったりします。
どうも、柊赤緒です。
今私は大変な敵と戦っています。
青葉「キリビト・ザイ!赤緒を返してもらう!」
なーんか、青葉がガオガイガー、ぽいっし〜。
青葉「みんなの命!俺が預かる!」
両兵・ルイ・エルニィ・メル・つかさ「「「「「おう!!!!!」」」」」
全員1人乗りコックピットに無理矢理乗り込んでるしぃ〜
その頃、オーブでは・・・
『今日宇宙でザフト軍に暴行を加えたとしてスーパーフリーガンダムパイロット、キラ・ヤマト暴行容疑で逮捕しました』
カガリ「我が弟よ・・・何を・・・」
これでオーブの敗北は間違いない・・・と思ったら。
アスラン「やーいやーい、パクリMSのパイロット〜」
シンがいじめられてた。
つづく(マジ)
5
:
SD
:2006/02/13(月) 22:37:37 HOST:usr211019181033.tcn.ne.jp
○バレンタインデー 稜&琴美の場合○
稜「……お前、今何て言った?」
茂「……今言った事、信じられへんか?」
信じられない。
まさにそんな感じの顔をして、稜は茂を睨んでいた。
丁度、数分前の事だった。
稜は琴美と茂の三人で、あるファミレスに入っていた。
注文を終えた後、琴美は飲み物を取りに席を外した。
するとその時だった……茂が、稜へとある質問をしてきたのだ。
はたして明日、稜はどうなりそうなのか……と。
明日は2月14日……そう、バレンタインデーである。
茂はどうせ琴美から貰えるんだろうと稜をからかうが、彼は苦笑しながらそれに返答をした。
「羨ましいか?」と。
だが……ここで茂は、稜が全く予想していなかった言葉を返してきたのだ。
「自分には既に、彼女がいる」……と。
丁度、一年前から付き合いだしたらしい。
当然ではあるが……これには稜も、驚かずにはいられなかった。
まさか、茂に先を越されていたとは。
そう思い、呆然としていた。
稜「ま、まあそりゃ……色んな意味で驚いてる。
いや、お前がもてないとかそういう意味じゃねぇからな?
人付き合いはいいし、顔もまあまあだし……」
茂「ならええわ……せやからな、明日は凄い楽しみなんや。
付き合って、丁度一年目のバレンタインデーやで?
一体、どんな事になるかって思って……」
稜「そりゃ、期待するよな……バレンタインデーって事は、お前が告白された側って事か?」
茂「ああ、そや……ほんま、信じれんかった。
まさか自分が片想いしとる相手から、本命もらえるなんて……最初は冗談か思とったわ。
そいつが持っとったの、手作りのチョコアイスやったから。
チョコレートだけに、チョコ冷凍とでもギャグかましてくるんかいって。」
稜「……今、お前には悪いけどアホかって思った。」
茂「五月蝿い……勿論、その場で頂いたわ。
そしたらな……ほんまに、信じれんこと言ってきたんや。
……チョコと一緒に、自分の気持ちも貰ってくれるかって。
もう、何が何だかほんまに分からんなって……ワイもその場で、好きやって返した。
それから、付き合い始めたわけ。」
稜「へぇ……まあ、そりゃ確かに期待するよ。」
茂「でもそういうお前やって、明日は楽しみなんやろ?
浜崎がお前の為に、手作りでチョコくれるわけなんやし……」
稜「まあな……滅茶苦茶楽しみだよ。
チョコが美味いとか不味いとか、そんな問題じゃなくて……あいつが俺の為に作ってくれるってのが、嬉しくてさ。」
琴美「味の方も、期待してくれていいんですけど?」
丁度その時だった。
紅茶の入ったカップを片手に、琴美が戻ってきた。
どうやら話の最後のほうは、彼女に聞こえていたらしい。
稜のすぐ真横に座り込んで、微笑みながら彼に言う。
琴美「稜さんがそう言ってくれるのは、凄く嬉しいけど……やっぱり好きな人には、美味しいのを作りたいですから。
だから……期待しててくださいね?」
稜「琴美……ああ、勿論。
お前が作ってくれるの、楽しみにしてるからな?」
茂「おいおい……人前で惚気んなや。
見せ付けられる側の気持ちにもなってみぃ。」
稜「お前だって、今思い切り言ってたくせに。」
茂「うっさい。」
その後、何だかんだで時間は過ぎていった。
明日の運命の時を前に……三人とも、胸を高鳴らせていた。
きっといい日になってくれるように……そう、期待を膨らませていた。
6
:
SD
:2006/02/13(月) 22:37:47 HOST:usr211019181033.tcn.ne.jp
=浜崎家 台所=
琴美「よし……これで完成♪」
翌日……2月14日。
琴美は朝早くから台所に立ち、ある物を作っていた。
自分にとって、最も大切な相手……稜に渡すためのチョコを。
流石は料理上手の琴美が作ったチョコ。
綺麗に飾りつけがしてあり、見た目は上々。
味の方も、恐らく申し分ないだろう。
後はコレを渡すだけ……琴美はいてもたってもいられなくなった。
今すぐにでも、稜に会って手渡したい。
付けていたエプロンを取り、携帯電話を手にする。
そして……一度深呼吸をした後、稜へと電話をかけた。
早く話がしたい……会いたい。
そんな気持ちに駆られながら、相手が電話に出てくるのを待つ……そして。
稜『もしもし?』
琴美「稜さん♪」
稜『琴美……その様子だと、ようやくチョコが出来上がったって所か?』
琴美「はい……それで私……稜さんに会いたくなっちゃったんです。
ちょっとわがままですけど……今すぐ、会いにいっていいですか?」
琴美は声を弾ませ、稜に話しかける。
今までにも、同じ様な気持ちになる事は何度かあった。
今すぐに、稜に会いたい……彼に、甘えたい。
そんな思いが、琴美を急かさせていた。
それを察したのか、苦笑しながら稜は返答をする。
勿論、OKである。
稜『……俺も今、凄いお前に会いたくなった。
そんな風に言われちゃ、やっぱりさ……』
琴美「ふふっ……えっと、稜さんって今何処にいるんですか?」
稜『何処だと思う?』
彼の居場所を聞き、すぐにでも会いに行こうと琴美は思っていた。
しかし……稜はその質問に対し、すぐには答えなかったのだ。
自分の反応を楽しんでいるのだろうか。
そう思い、琴美は彼が話してくれる時を待っていたが……その瞬間だった。
突然……背後から、何かに引き寄せられたのだ。
琴美は思わず電話を落とし、自分を引き寄せてようとしたものに手を触れる。
それは、紛れも無い人の手だった。
まさか……胸を高鳴らせながら、琴美はゆっくりと背後に振り返った。
するとそこには……予想通り、彼がいたのだ。
稜「正解は、お前のすぐ側でした。」
琴美「……ずるいですよ、勝手に入ってくるなんて。」
稜「俺に合鍵くれたの、お前じゃん。」
琴美「そうでした……本当、会いたかった。」
稜「俺も……実はさっき言ったの、半分嘘。
お前の言葉聞く前から……滅茶苦茶俺、お前に会いたかった。
だから、つい我慢できなくなって……家飛び出して、ここにきたってわけ。」
琴美「稜さん……そんなこと言われると、私も我慢できなくなりますよ?」
稜「もう出来てないくせに。」
琴美「それもそうですね。」
稜の背へと両手を回し、しっかりとしがみつく。
二人とも……御互いの気持ちが同じだという事を、嬉しく感じていた。
ずっと昔に離れ離れになり、そして今になってようやく出会えた運命の相手。
これからは……絶対に、離れはしない。
何があっても、離しはしない……そう、二人は強く誓い合っていた。
しばらく、見つめあった後……そっと唇を合わせた。
ホンの数秒間、軽く触れるだけだったが……相手の想いが、十分伝わってくるのが分かった。
稜「……チョコの味、微妙にしたな。」
琴美「あ、そういえばさっき味見したんでしたっけ……」
稜「結構、美味かったな……んじゃ、食べていいか?」
琴美「勿論……貴方の為に作ったんですから♪」
7
:
SD
:2006/02/13(月) 23:57:23 HOST:usr211019181033.tcn.ne.jp
○バレンタインデー アリク&ファリアの場合○
アリク「……どんなのが来ると思う?」
ログ「まあ、そりゃファリアの事やから手作りやろな。」
アリク「それは分かってるよ……そういうことじゃなくて。
何か、ただのチョコじゃないって……そんな予感がするんだ。」
2月14日、バレンタインデー。
この日……アリクは迫る運命の時を、色んな意味で不安に思いながら待っていた。
ファリアは間違いなく、自分の為にチョコを作っているだろう。
問題は、それがどんなチョコなのかという事である。
この時アリクは、直感で感じていたのだ。
ファリアが作るチョコは……普通のチョコとは、何かが違うと。
ログ「まあ、それはそれでええやん。
これで普通と違う手の込んだのが出てきたら、それってお前の為に力を入れたってことやろ?
お前の為に力を入れるって……この幸せ者。」
アリク「お前なぁ……」
ログ「ほんま、お前って素直やないな。
何時も、ファリアの事彼女ちゃうって言って……あいつの事、ほんまは好きなくせにな。
照れ隠しもええけど、そろそろ素直にあいつに気持ち伝えてやったらどうや?」
アリク「でも……何か気恥ずかしいんだよな。
……そりゃ確かに、あいつの事は嫌いじゃないよ。
というか、寧ろ……」
ファリア「アリク、お待たせ〜。」
その時だった。
アリクの言葉を遮り、ファリアが部屋へと入ってくる。
その手には、今出来上がったばかりのチョコレートを乗せた皿があった。
それを見て、アリクは妙な事に気づいた。
チョコが……複数あるのだ。
一口代のチョコが、幾つか皿の上に乗っているのである。
何故こんな形にしたのか……アリクとログは、不思議に思う。
すると、それを見てファリアは満面の笑みを浮かべ……そして。
ファリア「じゃあ、アリク……食べさせてあげるね♪」
アリク「え、食べさせるって……っ!?
お、おいお前……まさか?」
アリクは半端ではなく動揺していた。
それもその筈……ファリアは己の口へと、チョコを加えたからである。
食べさせてあげる。
その言葉とこの行動……意味する事は一つしかない。
アリクは顔を赤く染め、とっさに顔を背けようとしたが……その直後だった。
ファリアが彼へと抱きついてきて、そしてそのまま押し倒す形となったのだ。
アリクのすぐ目の前には今、ファリアの顔があった。
息が頬にかかるほどの、相当な近距離である。
二人とも、自分の鼓動が早まるのを感じていた……そして。
ファリアは一度微笑むと、アリクの唇へと己のそれを重ねてきた。
口の中に入れていたチョコが……アリクの口へと運ばれる。
口移しでチョコを渡す。
この余りにも大胆すぎる行動に、アリクはただ呆然としていた。
しかも、一つだけで終わる事はなかった。
ファリアは新たな一個に手を伸ばすと、再び口にそれを入れる。
アリクは逃れようと思って、とっさに体を動かす。
しかし……逆にコレが仇となった。
8
:
SD
:2006/02/13(月) 23:58:21 HOST:usr211019181033.tcn.ne.jp
ファリア「きゃっ!!」
アリク「あっ……」
立場が逆転してしまった。
今度は逆に、アリクのほうからファリアを押し倒したかのようになってしまったのだ。
逃れるつもりが、これでは全く逆である。
その上……ファリアはこの行為の意味を、アリクの思惑とは全く正反対の向きで受け止めたのだ。
ファリア「アリク……もう。」
アリク「ご、ごめんファリア……こんなつもりじゃなかったんだ。」
ファリア「いいよ、言わなくても。
私はアリクが大好きなんだもん……他の人じゃ絶対に嫌だけど、アリクだから♪」
ぎゅっと、ファリアが下から抱きついてきた。
何やら、とんでもない事になってしまった。
そう思い、アリクは呆然としていたが……この時、彼は笑っているファリアの顔を見て、思ってしまったのだ。
そして不覚にも、それを口に出してしまった。
アリク「……可愛い。」
ファリア「え……アリク、今何ていったの?」
アリク「え……あっ!?
い、いや何でもないから……」
ファリア「嘘、今私に絶対何か言ってくれたもん。」
アリク「だから、大した事じゃ……」
ファリア「もう決めた。
アリクがもう一度、いってくれるまで……絶対に離してあげないから。」
アリク「ファリア〜……」
しっかりとしがみつかれ、アリクには成す術が無かった。
彼女が待ち望んでいる言葉を言えば、素直に解放されるかもしれない。
しかし……逆にコレを切欠にして、余計に彼女が甘えてくるかもしれない。
どの道、アリクには逃げ道がなかったのだ。
もう、今日のところは諦めるしかないか……そう思って溜息をつくと、アリクはそっとファリアを抱きしめた。
そして……観念し、彼女に言葉を継げた。
アリク「……さっきのお前、凄く可愛かった。」
ファリア「ありがと、アリク……♪」
その後、予測どおりにファリアはベッタリとくっついてきた。
本当、とんでもない相手に惚れられてしまった。
そしてとんでもない相手に、惹かれはじめてしまった。
そう思いながら……アリクは、ファリアの頭を撫でた。
9
:
名無しさん
:2006/02/14(火) 21:58:42 HOST:softbank219032251136.bbtec.net
スパロボ、それぞれのバレンタイン
〜α主人公's編〜
・カーラの場合
カーラ「はい!ユウ!バレンタインのチョコ♪」
ユウ「ん・・・・」
雑だけど普通。
・リオの場合
リオ「はい!リョウト君!」
リョウト「た・・・・食べきれない・・・・」
豪華絢爛。
・クスハの場合
ブリット「ごっほぉ!げるごっふぉっ!!」
クスハ「だ、大丈夫!?ブリット君!?」
薬膳チョコレート。
・極めつけレオナの場合。
レオナ「あ、あの・・・・タスク・・・・このチョコ・・・・」
そう言いつつ手渡したチョコは
タスク「れ、レオナ・・・?なんか色んな所から泡と紫の煙が・・・」
無視しつつレオナは
レオナ「あ、その、勘違いしないで下さる?義理ですから!」
タスク「いや・・・だから・・・・」
レオナ「それで・・・食べてくださるわよね?」
タスク「いや・・・・」
レオナ「食べるでしょ?」
タスク「はい・・(T−T)・・ぱく」
レオナ(ドキドキ・・・・・・)
レオナはドキドキしつつ後ろを向いた。
嗚呼タスクはどんな感想をこのチョコに持つのだろう。
期待と不安で一杯である。
・・・十分後
レオナ「タスク?」
振り向いた。
溶けかかった腕が地面から生えていた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
レオナ「マドハンドォォォォ!!??��(゜Д゜;)」
更に十分後バブルスライムに。
10
:
ヤス
:2006/02/14(火) 21:59:05 HOST:softbank219032251136.bbtec.net
↑の俺です。すいません・・・・
11
:
ゲロロ軍曹
:2006/02/14(火) 22:20:51 HOST:p5164-ipad32okayamaima.okayama.ocn.ne.jp
○バレンタインデー オリキャラ学園・天上院明日香&丸藤亮の場合○
=オリキャラ学園・正門前=
明日香「・・はあ。遅いわねえ、亮ってば・・。」
可愛らしいマフラーと手袋を着用した、オリキャラ学園の冬用の制服を着て待ち人を待ってる、遊戯部の女子部員の一人で凄腕女性デュエリスト、天上院明日香。
そんな彼女の手には、綺麗にラッピングされた小さな箱があった。
明日香(・・、な、何でドキドキしてるのかしら、私。ただ、いつもと同じどおりに接して、それで渡せばいいだけなのに・・。)
彼女の待ち人、丸藤亮は彼女より年上の男性だが、二人は昔からの顔なじみなので、仲の良い友達のように会話できていた。しかし、今の彼女は、なぜか亮の顔を考えただけでも顔が赤くなってしまうのである・・。
明日香(お・・、落ち着くのよ、明日香!こ、こんな時こそ、平常心・・、平常心・・。)
そう思いながら、彼女はゆっくりと深呼吸して、気持ちを落ち着かせた。そして、ふと空を見上げた。
明日香(・・十代や万丈目君たちにはちゃんと渡せたのに・・、どうして、亮に渡そうと思うときだけ・・、こうなるのかしら?)
そう、彼女は亮以外の同じ遊戯部の男子部員とかにきちんとチョコを渡した。もちろん義理チョコであるが。(万丈目は結構喜んでたりする。)
だが、待ち人、丸藤亮に対しては、いわゆる『手作りチョコ』という奴を用意しているのだった。彼女的には、別に深い意味はないらしいが・・。
明日香「・・まったく、亮の奴、いつになったら出てくるのよ・・。」
思わず愚痴をこぼす明日香。すると・・
???「・・、俺ならすでにここにいるが?」
明日香「え・・?」
聞き覚えのある声が聞こえたので、声のした方向を向いてみた。すると、そこには予想どうり、彼女の待ち人がいたりする・・。
明日香「り・・、亮!?」
あまりの事態に、珍しく心から驚いた顔をする明日香だった・・。
12
:
SD
:2006/02/14(火) 23:13:19 HOST:usr211019181033.tcn.ne.jp
○バレンタインデー 裕樹&柳の場合○
柳「後はコレを、冷やして固めたら……」
台所に立ち、柳は小鍋を手にしていた。
今日は2月14日……バレンタインデーである。
自分にとって、最も大切な相手へと……裕樹へと渡すためのチョコを、作っていたのだ。
鍋の中にある溶けたチョコを、ハートの型に流し込む。
今、柳の中では様々な思いが交錯していた。
初めて出会った時から……裕樹の事だけを、ずっと想い続けてきた。
裕樹は……自分の全てを変えてくれた。
まだ、彼と出会う前のことだった。
その頃の柳は、今の彼女とは全く正反対だった。
内気で引っ込み思案で……進んで誰かと接するという事を、全くしなかったのだ。
自分の殻に閉じこもってばかりの日々。
友達も出来ず……いつも、寂しく一人で過ごしていた。
そうなったのは、恐らく……彼女が持つ、聖印が原因だろう。
まだ幼い内は、聖印は親が受け継いだまま。
聖印を受け継ぐに相応しいと判断されるような年相応になった時。
その時に初めて、聖印は受け継ぐことになる。
つまりそれまでは、普通の人となんら変わりなど無いのだ。
しかし、それでも……自分は普通の人とは違う。
そんな思いが、柳を苦しめていた。
自分は、周りとは違う……誰かと接しようとする度に、柳はその事実を再認識してしまい、苦しんでいたのだ。
その為に、誰かと接する事を拒んできていた。
そんな彼女の事を、事情を知る全ての者達は哀れに思っていたが……そんな時だったのだ。
もしも柳と同じ境遇の者が、彼女の前に現れたりすれば。
初めて、何も気にする事無く対等に接する事の出来る者が現れたりすれば。
もしかすると、少しは柳も変わってくれるんじゃないだろうか。
充はそう考えた結果、すぐに零次へと連絡を取ったのだ。
柳と同じ、聖印を受け継ぐ者を……裕樹を連れてきて欲しいと。
そして……とうとう柳は、裕樹と出会った。
最初の内は、柳もどう彼と接すべきかを悩んでいた。
幾ら同じ境遇の人間とはいえ、いきなり仲良くなるという事なんて無理である。
だが……そうやって悩んでいた柳の心を、裕樹は開いてくれたのだ。
「かわいい。」
裕樹が柳を見て、最初に言った言葉だった。
柳にとって……その言葉は、何よりも嬉しかった。
人との係わり合いを拒んできた、彼女にとって……
誰からも言われることのなかった、初めての言葉なのだから。
それからだった……柳は徐々に、裕樹には心を開き始めたのだ。
彼は自分と同じ境遇だったが、自分とは正反対だった。
聖印の事は一切、気にしないで……誰とでも、進んで接していた。
友人も多く、笑う事の多かった裕樹。
そんな彼の姿に、何時しか柳は憧れるようになっていた。
自分も、彼の様になりたいと……柳は周囲に対して、心を開き始めた。
今の様に、明るく優しい柳へと……変わっていったのだ。
初めて出会えた、気の許せる相手。
共にいて、辛い思いをしなくてもいい相手。
自分の事を……変えてくれた相手。
その存在に、柳は心の底から安息を覚えていた。
裕樹に……惹かれていったのだ。
何時しか……気がつけば、裕樹の事以外を考えられなくなっていた。
どうしようもない程に、彼の事が好きになっていた……愛してしまっていた。
13
:
SD
:2006/02/14(火) 23:13:41 HOST:usr211019181033.tcn.ne.jp
裕樹「柳、どんなチョコ作ってるのかな……?」
丁度その頃だった。
柳から、チョコを作り終えるまで楽しみに待っていて欲しいと言われ、裕樹は自室で過ごしていた。
付き合い始める事になって、初めてのバレンタインデー。
自分が好きな相手が、自分の為に心を込めてチョコを作ってくれている。
そう思うと、思わず顔が綻んでしまった。
思えば……今まで、本当に長かった。
柳の事を、初めて好きになったあの時から。
自分達が……初めて出会った、あの時から。
まだ柳と出会う前の事だった。
その頃の裕樹は、今とはどこかが違っていた。
他人に進んで接し、優しくそして明るく振舞うその姿は、一見今と何も変わりないだろう。
だが……それは、本当の裕樹の姿ではなかった。
周囲に演じていた……偽りの姿だった。
そんな姿を演じる事になった原因は、柳と全く同じだった。
他の者には無い、特別な力……聖印。
それを持つ者として、裕樹は柳同様に、自分の境遇を苦しんでいた。
自分は、周囲とは違う……普通の人とは違うのだと。
柳はその事実から逃れるために、人との係わり合いを拒んだ。
だが裕樹は……彼女とは違い、別の事を恐れていた。
それは……孤独だった。
自分は誰とも違う……自分には誰もいない。
そんな思いが、何時しか裕樹の中に渦巻くようになっていた。
裕樹は兎に角、その事実から逃れたかった。
誰からも見放されたくない……そんな思いから、彼は自分から周囲に接するようになったのだ。
そうするようになって以来、裕樹には多くの友人が出来た……確かに、孤独を逃れるようにはなれたのだ。
しかし裕樹は……そんな己の姿を、心のどこかで愚かに思っていた。
自分の本当の姿は、誰も知らない……誰にも見せられない。
誰かと接すれば接するほど……孤独から逃れようとすればするほど、裕樹は苦しんでいった。
彼は求めていたのだ……素の自分を見せる事が出来る相手を。
そんな時だった……柳の事を知ったのだ。
零次から、自分と同じ境遇の者と出会えると聞かされた時。
裕樹は、期待を膨らませずに入られなかった。
ひょっとすると……柳は、自分と同じ苦しみをしているんじゃないかと。
彼女の前ならば、もしかすれば……自分の本当の姿を、見せられるんじゃないのかと。
そして、いよいよ出会った時……裕樹は内心、焦っていた。
実際に面と向かうと、何て言えばいいのだろうかと。
しかし一歩踏み出さない限り、前には進めない……ここは、自分の素直な気持ちを言えばいい。
そう思い……裕樹は、たった一言柳に言ったのだ。
彼女を見て、真っ先に思ってしまった言葉を……「かわいい」という一言を。
するとそれを聞いた柳は、裕樹に進んで接してきてくれたのだ。
自分に対して……笑顔を浮かべてくれた。
もしかしたら嫌われるんじゃないかと、何処かで恐れを持っていたが……それも全て、打ち砕かれた。
裕樹はコレを切欠に、柳に自分の姿を見せていった。
今まで見せてきた、偽りの姿とは全く違う……本当の自分を。
柳の笑顔が見たいから……もっと、自分の姿を見て欲しいと。
それからだった……裕樹が柳以外の誰に対しても、本当の姿を見せ始めたのは。
偽りの姿を捨て、周囲と本当の意味での友人となれたのは。
そう……裕樹は柳と同じなのだ。
彼女の御蔭で……変わる事が出来たのだ。
裕樹はそんな彼女に、心から感謝をしていた……それは何時しか、恋心に変わっていた。
気がつけば、どうしようもないほどに、彼女の事を好きになってしまっていた……愛してしまっていた。
14
:
SD
:2006/02/14(火) 23:14:21 HOST:usr211019181033.tcn.ne.jp
柳「裕ちゃん、お待たせ♪」
それから少しした後。
出来上がったチョコを片手に、柳が部屋に入ってくる。
満面の笑みを浮かべ、とても嬉しそうにしている柳。
そんな彼女の姿を見て、裕樹にも自然と笑みが浮かんできた。
早速柳は、裕樹の側へと座り込もうとする。
しかし……ここで、予想外すぎる事態が起こってしまった。
突然、部屋全体が大きく揺れた……地震である。
柳「キャァッ!?」
裕樹「柳!!」
とっさに裕樹は柳の手をとり、そのまま彼女を抱え込んで机の影へと隠れた。
規模自体はそれ程でもなかったのだが……今の裕樹には、そんな事は考えられなかった。
柳を守る……その一念以外に、心の中にはなかったのだから。
少しした後、揺れは収まった。
裕樹は腕の力を緩めて、柳を解放する。
彼女に怪我も何も無いところを見て、安心するが……しかし。
すぐに裕樹は、柳の表情が優れない事に気づいた。
あまりにも、残念そうな……暗い顔だった。
裕樹は、一体何があったのかと、彼女の事を心配したが……その原因を、すぐに察する事が出来た。
柳の手の中にある物……裕樹の為に作ったチョコが、真っ二つに割れてしまっているのだ。
折角作ったチョコが、台無しになってしまったのだ。
柳「そんな、折角作ったのに……」
裕樹「柳……」
悲しみが徐々にこみ上げてくる。
自分の思いを込めた結晶が、無残にも破壊されてしまった。
その衝撃は相当な物だった。
柳にとって、裕樹は他の誰よりも大切な……掛け替えの無い存在なのだから。
それなのに……こんな結果に終わってしまうなんて。
自分の思いが、消えてしまうなんて……涙が零れ落ち、床をぬらす。
その姿を見て、裕樹は柳の心情を察した。
彼女が自分の為だけに、どれだけ思いを込めていてくれたのかを……心の底から実感した。
このままではいけない……そう思い、裕樹はすぐに言葉を発した。
自分は今まで、彼女が一緒だからこそ此処までこれたのだ。
だから……コレから先も、一緒でいたい。
何をするにも……一緒にしたい。
裕樹「……一緒に、作り直そうよ。」
柳「えっ……?」
裕樹「柳が僕の為に、思いを込めて作ってくれたんだから……僕もそれに答えたいんだ。
柳の為に、僕も何かをしたい。
僕は柳が一緒にいてくれたから、今の僕になれたんだ……これからも、柳と一緒に色々な事をしたいんだ。
ずっと、柳と一緒にいたいんだ……一緒にしよう、柳?」
柳「裕ちゃん……うん♪」
そんな裕樹の言葉は、何よりも嬉しかった。
柳は笑みを浮かべ……裕樹の胸へと、自分の体を預けた。
自分達は常に一緒だと……そんな裕樹の言葉が。柳には何より嬉しかったのだ。
幼い頃の自分を変えてくれた、掛け替えの無い相手。
誰よりも愛しい、たった一人の相手。
もはや二人には……御互いの存在が、必要不可欠になっていた。
いつまでも、ずっと一緒にいる。
そう心に誓い……その想いを相手に伝え合うかのように、唇を重ね合わせた。
君が流す涙 拭うためだけに 僕はここにいるよ
雨上がりがきれいなように 泣けば心透き通る
丘の上で見渡す世界は
今日も愛で溢れてるはずなのに
迷い生きる僕らは気づかず
やさしい愛の歌さえ届かない
守りたい ただあなただけを その笑顔輝く日々を
守りたい 孤独に囲まれ 悲しみに揺れる心を
いつの日も
15
:
勇希晶
:2006/02/15(水) 22:21:44 HOST:softbank220063219079.bbtec.net
※CAUTION:このアンソロジーはわかる人だけわかる内容となっております(ぇ
※また、このアンソロジーはフィクションです。実在の人物・団体などに『一切』関係御座いません(マテ
その為、苦情などは受け付けかねますのでご容赦を。
※以上の事に納得された方のみ、先にお進み下さい。
???「・・・・で、何故私達はこんな格好をしているんですの?」
緑の鬘を被った女性が愚痴を言う。
???2「俺が聞きたいよ・・・・。」
蒼い長髪の鬘に白いローブの少年がうんざりした表情で呟く。
???3「でも、似合ってるとおもうよw」
頭に妙な物体をつけ、ドーランを顔に塗った少女が褒める。
だが、
???「冗談はお良し下さいませ。何故好きこのんでこんな地味な格好をしなくてはなりませんの?」
女性は乗り気ではないようだ。
???2「そうだね・・・。いつもの格好と違って新鮮な感じがする。」
何気ない言葉に女性の表情が変化する。
???「・・・・・そうかしら?」
不安げに呟く女性に、少年は笑顔で告げる。
???2「うん。結構似合ってるよ。」
???「(ドッキーン!)・・・・・・・ニ、いえ『キール』様♪」
なにやら、熱い視線を少年に投げかける女性。否、『ファラ』。
だがしかし、少年はその視線になにやら不吉な事を悟り、
『キール』「(げ・・・・!?)な、なんだい、『ファラ』?(汗」
逃げようとする。が、
『ファラ』「そーれ!! 『臥龍空破ぁ!!』?」
『キール』「うわぁぁぁぁっ!?」
逃げる間もなく上空にアッパーで吹き飛ばされる。
???3「あらら、あんな所に登っちゃった♪」
クスクスと笑いながら少女。
『ファラ』「『キール』様ぁ〜! 私の胸に飛び込んでらっしゃぁぁぁい!!」
大きく腕を広げ、受け止める格好を作る女性。
『キール』「ちょっと待てぇぇぇ!? なんでこんな高さから飛び降りなくちゃならないんだ!?」
大声で拒絶する少年。否、『キール』。
最もである。何せ、彼がいる場所は地上100m以上の高さなのだから(マテ
『ファラ』「勿論、私を愛して下さっているからですわぁ〜!!」
臆面もなく言い放つ『ファラ』。
『キール』「えぇぇぇぇっ!? なんでそんなことになってるんだよぉ〜!?」
半泣き状態の男性を尻目に、
???3「うわぁ♪ 『ファラ』ってば大た〜ん♪」
少女はやや顔を赤くしつつ喜んでいるようだ。
『キール』「『メルディ』!? そんな所にいないで助けてくれよ〜!?」
『キール』は少女、否、『メルディ』に助けを求めるが、
『メルディ』「バイバ!! ウ ワエム ムイティオム ドゥンディスティエムドゥ ヤイオディ スプンエクウムグ♪」
きょとんと首を傾げながら意味不明の言語を口走る。
『キール』「こんな時だけ戻るなぁ〜っ!?」
そこに精一杯のツッコミを入れる『キール』。
『ファラ』「さあ、早く飛び降りてらっしゃぁぁい!!」
『キール』「無理だ!!」
『ファラ』「大丈夫! 『イケる、イケる!』ですわぁっ!!」
もはや、『ファラ』の耳には何も届かないようだ。
『キール』「使う所違うって!!! 『リッド』もそこでねてないで助けてくれ〜!!」
『ファラ』にツッコミを入れつつも、今まで出番の無かったもう一人に助けを求める『キール』だったが、
『リッド』「・・・・・面倒くせぇ。」
赤毛の鬘を着け、腹出しルックで寝そべりつつ剣玉に興じていた青年は一言の元に却下する。
そして、
『キール』「・・・・・・もう、いやだ・・・・・・(TT」
『キール』は絶望的な表情で呟くのだった・・・・・。
To Be Continued・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・?
16
:
藍三郎
:2006/02/16(木) 10:24:19 HOST:softbank219060041115.bbtec.net
○或る雪の日に・・・○
エイトヴィー「うわぁ〜〜綺麗だねぇ・・・」
一面に広がる銀世界を見て、エイトヴィーは感嘆の声を漏らす。
そして、元気良く降り積もった雪の上を駆け回るエイトヴィー。
それを見て、後から歩いてくるラズロは
やや微笑みを浮かべてこう告げる。
ラズロ「おいおい、はしゃぎすぎて転ぶなよ、エイト」
季節はちょうど真冬。昨日から降り続いている雪で、
この地方一帯はすっかり雪景色へと変わってしまった。
ラズロとエイトヴィーの二人は、この機会を利用して、雪が積もった近くの裏山に遊びに来たのである。
二人とも、背は中学生ぐらいに低く、華奢な体格をしており、
端から見ていると“仲良く遊ぶ二人の美少女”にしか見えない。
しかし、ラズロにエイトヴィー、類稀なる美貌を持つ二人の性別は共に“男”であり、
しかも同性でありながら、最愛の恋人同士でもあった。
二人とも、寒さを防ぐため、毛皮のコートを身に纏っていた。
コートの種類は二人とも全く同じで、いわゆるペアルックという奴だ。
違うのは色だけで、ラズロはピンク色の、
エイトヴィーは水色のコートをそれぞれ着用している。
雪の上を楽しそうに走り回るエイトヴィーを、
どこか微笑ましそうに見つめていたラズロだったが、
ここでふと悪戯心が芽生えてくる。
ラズロ「エ・イ・ト♪」
エイトヴィー「ん?なぁ〜に・・・ふわっ!?」
恋人に呼びかけられ、振り向くエイトヴィーだったが、
振り向いた途端に、真っ白い塊が視界の中に入ってきた。
塊は顔に命中し、弾けて顔中に降りかかる。
冷たくひんやりとしたそれは、ラズロが投げつけた雪の塊だった。
ラズロ「ははははは!いい顔になったなぁ!!」
雪が顔中にかかったエイトヴィーを見て、ラズロは大笑いする。
エイトヴィー「もう・・・ラズロくんったら〜〜〜」
突然の雪攻撃に、頬を膨らませるエイトヴィー。
しかし、彼もその場に屈みこむと、雪を掬い上げて手に雪玉を形作る。そして・・・
エイトヴィー「えぃっ!」
エイトヴィーもラズロ目掛けて雪玉を投げつける。
爆笑していたラズロは、見事に顔面に食らってしまう。
ラズロ「ぶふっ!?」
エイトヴィー「えへへへへ・・・お返しだよ!」
ラズロ「こいつ・・・やったな・・・おりゃ!」
再度雪玉を投げつけるラズロ。ぶつけられ、投げ返すエイトヴィー。
やがて、降り積もる雪景色の中で、二人きりの雪合戦が始まった。
顔や体に雪を浴び、お互い雪まみれになっていく。
やがて・・・10分ほど後・・・
雪投げの攻防で体力を使い切った二人は、
二人並んで雪の上に仰向けに倒れていた。
エイトヴィー「はぁ・・・はぁ・・・もう、ラズロくんったら・・・
いきなり雪をぶつけて来るなんて、ひどいよぉ・・・」
ラズロ「ははっ・・・悪かったな。けど、お前もノリノリで投げ返してたじゃねぇか」
エイトヴィー「うん・・・そうだね・・・言われてみれば、楽しかった・・・かも♪」
ラズロ「しかしお前の顔・・・俺がやったとはいえ、ひでぇなぁ。
ちょっと見れたもんじゃねぇな」
雪まみれのエイトヴィーの顔を見て、そう評する。
エイトヴィー「へう!?そうなの・・・やだ、早く落とさないと・・・」
ラズロ「任せろ」
ラズロは上体を起こすと、倒れているエイトヴィーの上へと覆い被さった。
ラズロ「俺が・・・綺麗にしてやるよ」
そう言って、エイトヴィーの頬に顔を近づけると、唇から赤い舌を出す。
そして、妖しく蠢く舌先で、エイトヴィーの頬についた雪を舐めとった。
エイトヴィー「ひゃ・・・はぅっ・・・」
可愛らしく、かつ官能的な声を上げるエイトヴィー。
その声を愉しげに聞きながら、ラズロは丹念に、舌で雪を舐めていく。
ラズロ「変わった味の雪だな・・・」
エイトヴィー「ほえ?」
ラズロ「エイトの味がする・・・」
エイトヴィー「ラズロくん・・・はっ・・・ひゃぁっ・・・」
頬を赤らめるエイトヴィー。
17
:
藍三郎
:2006/02/16(木) 10:28:07 HOST:softbank219060041115.bbtec.net
しばしされるままになっていたエイトヴィーだが、吐息混じりにこう漏らす。
エイトヴィー「ねぇ・・・ラズロくんの顔も、雪だらけだよね・・・」
ラズロ「あん?そういやそうだな・・・」
エイトヴィー「ぼ、僕も・・・ラズロくんの顔、綺麗に拭いてあげたいな・・・」
ラズロ「エイト・・・ああ、頼むぜ♪」
エイトヴィー「うん、任せてよ♪」
今度はエイトヴィーがラズロの顔に顔を近づける。
そして、ラズロがやったのと同じ様に舌で頬の雪を舐めとっていく。
ラズロ「エイト・・・うっ・・・
最高だ・・・お前は最高に素敵だよ・・・」
しばし気持ちよさそうに舐められていたラズロだが、
舌を伸ばしてエイトヴィーの舌を絡め取る。
エイトヴィー「んっ・・・」
舌を中空で絡ませたまま、二人の顔が接近し、互いの小さな唇が重なり合う。
二つの影が、より強く密着しあい、そして――――
・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・・
・・・
エイトヴィー「ひゃっくし!!」
天使がくしゃみをしたならば、まさにこんな声を出しただろう。
大変可愛らしいくしゃみをすると、エイトヴィーは厚着を寄せて寒さを堪える。
二人が雪山から戻ってきた翌日・・・ラズロとエイトヴィーは、共に風邪を引いてしまった。
熱は40度を軽く越えており、二人とも顔面を紅潮させて震えている。
バルデス「いやぁ・・・はっはっはっ・・・
まさか若の風邪引いた姿をお目にかかる日が来ようとは・・・
いやはや、長年お使えしていますが、このようなお姿を拝見したのは初めてです。はい」
風を引いた二人の世話のため、
ラズロに呼び出されたバルデスは、にやけた表情で視線を送る。
ラズロ「うるせぇハゲ。さっさと粥を作りやがれ」
バルデス「はいはい、すぐにお作りしますよ。しかしまぁ・・・ぷふっ!!」
厚着に身を包み、マスクをして、額には氷水の入ったビニール袋を頭に載せている。
普段のラズロとは全く違う間抜けなスタイルを目にして、思わず笑いがこみ上げる。
ラズロ「黙れ」
ラズロは短くそう呟くと、口に刺していた体温計を投げつける。
グサッ!!
体温計の先端は、忍者の投げたクナイの如く、
見事にバルデスの額に突き刺さった。
バルデス「グギャーーーーーッ!!!」
突き刺さった部位から、ドピュッと血が吹き出す。
額から流れる血を抑えつつ、慌てて応急キットのある棚へと向かうバルデス。
ラズロ「たく・・・ハゲごときに笑われるはめになるとは・・・
我ながら何とも間抜けな話だぜ」
エイトヴィー「しゅぎからは、あったかい場所でするようにしゅよーね♪」
ラズロ「ああ・・・そうだな」
鼻水で濁った声を出すエイトヴィーの姿を見て、強く同意するラズロであった。
※ ・・・・・・の間に何があったかはご想像にお任せします(爆
18
:
新堂涼
:2006/02/16(木) 23:30:23 HOST:softbank218119098031.bbtec.net
>>4
の続き
シン「うるへ〜!アスランこそなんだ!セイバーガンダムじゃないか!」
確かにセイバーだ
しかし
セイバー「問おう、貴方がマスターの敵か?」
セイバーガンダムはシンに質問した。
シン「・・・Fateだ!」
レイ「来るぞシン!この流れだとあれが・・・!」
ちゃらら〜 ちゃら〜ら〜 らら〜
シン「こ、このテーマは・・・レーツェルさんのテーマだ!」
しかし来たのは・・・
なのは「我が共フェイトよ!行くぞ!」
フェイト「応!」
なのはにおんぶされてるフェイトだった。
なのは・フェイト「行くぞ!竜巻斬艦刀!一文字ぎりぃぃぃぃぃぃぃぃ!」
この日、オーブは地上から姿を消した・・・
すんまそん
19
:
ヤス
:2006/03/14(火) 22:03:34 HOST:softbank219032251136.bbtec.net
何作か後のスーパーロボット大戦
謎の敵「ファッハッハッハッハ!!核弾頭の嵐を食らうがよいわぁ!!」
新しい味方キャラ「核ミサイルを持ち出すなんて!!条約違反だぞ!!」
謎の敵「なんとでも言うがいいわぁ!貴様らは全員死ぬのだ!」
新しい味方キャラ「させるか!お前の凶行を止めてみせる!」
その会話を見つつアムロ、甲児、マサキは思う・・・
―――地球に隕石突き落とすロリコンがいたなぁ・・・
―――衛星突き落とす馬鹿もいたなぁ・・・
―――ビーム一発で惑星真っ二つにするロボットがあったなぁ・・・
―――人類皆溶かして一緒にしちゃおうとかアホな事考えてる爺もいたなぁ・・・
―――撃てるぞ!イデオンガンがぁ!!
アムロ・甲児・マサキ「「「許してやれよ、核ミサイルくらい。」」」
20
:
ヤス
:2006/04/08(土) 21:29:27 HOST:219-096-249-090.jp.fiberbit.net
もしもシリーズ
もしもマサキとリューネが結婚とかしたら。
リューネ「・・・・はぁ」
リューネは悩んでいた。
結婚して早5年、
マサキを送り出し、家事やって、昼ドラ見て、
スポーツジム通って、帰ってきたマサキを迎える、
そして夕ご飯。何もない、穏やかな日々。
リューネ「そう、何も無いのよ・・・」
夫婦といえばまぁ、いわゆる一つの大人の営みがあってもしかるべき、
だがウヴとかの次元を超えた超絶炸裂鈍い男マサキはリューネの
「そろそろ子供欲しいなぁ♪」
とか
「ねぇ、アタシ酔っちゃった♪」
等のアプローチに対しても
「へぇ」「大丈夫か、すぐに薬持って来てやるからな?」
等等と言って全てスルーしてきた。
リューネ「だが・・・だが結婚五年目の結婚記念日の今日こそは!!」
リューネの戦いが始まる・・・(続く
続くんかい
21
:
ヤス
:2006/04/08(土) 21:48:44 HOST:219-096-249-090.jp.fiberbit.net
キィィィ・・・
リューネ「・・・来た!!」
スーツを着たマサキが帰ってきた。
リューネは『旦那を落とす百の言葉』と書かれた本を置き、玄関に向かった。
マサキ「ただいま〜」
マサキがあらわれた!
リューネのこうげき!
リューネ「お帰り〜、ねぇ、今日はご飯にする?・・・それとも、あ、あ、アタシ?」
笑わないで下さい、彼女も精一杯なんです。
マサキ「あぁ、ご飯。」
ミス!マサキはひらりとかわした!
リューネ(っつぅぅう!流石、マサキ、一筋縄じゃいかないか・・・でも!)
ご飯を食べたマサキは次は風呂に入った。
マサキ「い〜い湯〜だ〜な〜・・・・」
リューネ(ラウンド2!!)
リューネ「ねぇ、マサキ、背中流してあげよっか?」
リューネはラ○ディンをとなえた!
マサキ「いらない。」
マサキのマホ○ンタ!
リューネ(いっつううう!!)
リューネに213のダメージ!
風呂からあがったマサキにリューネは最後の策を講じていた。
マサキ「あれ?」
マサキが目にしたのは一つの布団に枕が二つと言う奇妙な光景だった。
リューネ「ご、ごめ〜ん、マサキ、もう一つの布団は謎の香港マフィアの怪火星人に拉致られちゃって、
そ、それで、その、今夜は一緒の布団で・・・・」
リューネはメガ△テを唱えた!
マサキ「しょうがないな、解かった。一緒に寝るか。」
リューネ(いやったぁ!これで、マサキとやっと結ばれる・・・)
〜数分後〜
マサキ「ZZZZZ」
しかし、マサキにはきかなかった
リューネはくだけちった
22
:
ヤス
:2006/04/08(土) 21:58:48 HOST:219-096-249-090.jp.fiberbit.net
次の日の朝
マサキ「おはよ・・・ってなんかテンション低いな、お前。」
リューネ「ふふふ・・・そう?」
マサキ「なんか、どす黒い悲しみのオーラがお前を包んでるぞ?」
リューネ「なんでもない、なんでもないわよぅ・・・・」
マサキ「あ、そうだ!すっかり忘れてた!」
マサキは突然思い出したように、かばんの中を探り出した。
リューネ「?」
マサキ「ほら。手だせ。」
リューネ「?」
マサキはリューネに何かを手渡した。
それは、ペンダントだった。
マサキは恥ずかしそうに鼻の頭をかきながら言った。
マサキ「いや、だってほら、確か、昨日結婚記念日だろ?五年目の、だから・・・」
リューネ「・・・・・・・・・・・・・・・うん、ありがとう。」
マサキはベホ○をとなえた!
リューネはHPがぜんかいふくした!
23
:
璃九
:2006/06/15(木) 00:03:26 HOST:softbank220045007138.bbtec.net
○炎術天女○
むかしむかしのお話です。
そこは人間の住むのとは全く違う世界。
その世界で、この話は起こりました。
―――そう、世にも有名な『炎術天女』のお話です。
皆さんも一度ぐらいは耳にしたことがあるでしょう。
・・・ところでこのお話、本当にあったことだと言われれば、信じますか?
そして、実は隠されたお話があると言われれば・・・聞きたいと思いますか?
このお話は、神様が人間に話すことの出来なかった――――――
悲しい、悲しい物語です――――――
ここら周辺の土地は、昔からある一族が代々所有してきた場所だった。
そして、そこには炎のように紅く、太陽のように荘厳な宮殿が建てられている。
その宮殿の一室に―――この物語の主人公はいた。
窓際に置かれてあるベッドのようなものに、思兎<シュントゥ>はうつ伏せていた。
先ほどから部屋のドアがドンドンと叩かれているが、そんなものはお構いなしだ。
女性「思兎さま!お客様がお見えになられてますよ〜!」
思兎「『いない』・・・って言って。」
顔をわざと扉と逆の方向に向け、思兎は冷たく、しかしある種の威圧を含んだ声音で言う。
女性「し、しかし・・・」
思兎「いいから『いない』って言って!疲れてるの!誰にも会いたくないのよ!!」
今まで溜まっていた怒りを一気に吐き出した。
少しばかりスッキリしたが、それでも気分は落ち着かない。
思兎は、この一族始まって以来の天才だった。
類まれな素質と能力、美貌、そして人望が彼女にはあった。
その素質はまだ完全に覚醒しきっていないが、将来的にはその能力で高みを目指すことも十分に可能だろう。
・・・故に、様々なことに利用され続けていた。
思兎の能力の高さはともかく、この一族は決して高い地位にいるわけではない。
他の地位の高い一族や様々な勢力などが彼女の力に目をつけ、それを利用しようと目論んだとしても・・・
思兎の一族―――及び、思兎自身もまた、それを拒むことが出来ないのだ。
ある時には戦争に、ある時には舞踏の披露に―――
元々日当たりの良い性格であった彼女は、それら全て、以来さえあれば引き受けていたのだが・・・
思兎「もう・・・いい加減にしてよ・・・」
心の奥底で、彼女はいつも言葉を吐いていた。
一族のためとはいえ、正直辛い。
酷いときには何日も何週間も延々と力を出し続けたこともある。
身体的にも精神的にも、彼女はボロボロだった。
女性「は、はぁ・・・」
返事をするのも面倒になり、思兎はもう口を開かなかった。
すると、扉を叩いていた女性は、諦めたようにため息を一つ。
女性「申し訳ございません・・・その、お嬢様は・・・」
???「いえ、構いません。こんな時に無理して尋ねてきた自分が悪いんですから・・・」
女性は扉の前で、おそらく、尋ねてきた客人に向かって言った。
続いて、客人の―――少しトーンの低い男性の声が聞こえてくる。
思兎「――――――え?」
その声に反応して、思兎は思わずベッドから顔を上げる。
聞き間違いか。
客人の声が・・・今、自分が最も『会いたい』人の声に聞こえる。
???「では・・・その、思兎さまによろしくお伝えください。どうか無理はなさらないようにと・・・」
聞き間違いではない。
この客人の声は、紛れも無く――――――
彼だ。
ほとんど反射的にベッドから飛び降りて、思兎は扉の方へと駆け出す。
先ほどのように拗ねている様子はない。
その表情は一変して、輝いていた。
思兎「銀獅<フェイファン>!」
思いっきり扉を開いて、思兎は彼の名前を呼んだ。
思兎「待って!銀獅!!」
24
:
璃九
:2006/06/16(金) 23:12:16 HOST:softbank220045007138.bbtec.net
去ろうとしたところを呼び止められて、銀獅は部屋の中へ招き入れられた。
部屋の中央に置かれた椅子に礼儀正しく座り、目の前に置かれたカップに注がれた茶を一口すする。
思兎「ごめんね。せっかく来てくれたのに追い出そうとして・・・」
銀獅の前にテーブルを挟んで座り、思兎は言う。
銀獅「いえ、こちらこそ。お疲れのところに突然訪問してしまい、申し訳ありません。」
思兎「ううん!いいんだよ!銀獅なら、どんな時だって大歓迎するんだから!
それに・・・どんなに疲れてたって銀獅がいてくれれば、私は平気。疲れなんて吹き飛んじゃう♪」
銀獅に向けるその笑顔からは、確かに疲れている様子など微塵も感じさせない。
そんな彼女の様子を見て、銀獅も安心したように微笑を浮かべる。
思兎「とにかく、ゆっくりしていってよ♪お仕事も終わったばっかりで時間あるんでしょ?
私、銀獅とお話したいことが色々あるんだぁ〜♪」
無邪気なまでの微笑みが一層輝いて見える。
が、銀獅の方は、少し控え目な、かつ落ち着いた雰囲気で、思兎に向かって言う。
銀獅「あぁ、いえ・・・お気遣いはありがたいのですが、生憎、すぐに別の仕事がありまして、あまり長居は―――」
思兎「えー!?」
全部言い終わる前に、テーブルから身を乗り出した思兎が文句を飛ばした。
思兎「なんでなんでぇ!?せっかく久しぶりに会えたのにぃ!本当にスグに行っちゃうの!?」
銀獅「はい・・・すみません。」
思兎「銀獅、ちょっと働きすぎだよ〜!たまには仕事を休んでさ、私とゆっくりお話しようよぉ!」
銀獅「と、言われましても・・・俺は一兵士にすぎませんから・・・上の命令に背くわけには・・・」
苦笑を浮かべる銀獅、そして、頬を膨らませて文句を飛ばし続ける思兎。
二人の間では、しばらくそのままの状態が続いたが・・・
やがて、思兎の方が一つため息をついて、
そして、多少気を落としたような表情になり、椅子に腰掛けた。
銀獅「働きすぎと言いますと、思兎さまの方こそ・・・最近、思兎さまの様々なご活躍を耳にしますが・・・無理は禁物ですよ?」
思兎「仕事のことは・・・確かにつらいけどさ、何とか我慢できる。
けど・・・銀獅と会えないのは嫌!またお仕事でずっとずっと会えなくて・・・
本当は少し離れるだけでも嫌なのにぃ・・・」
そのすがりつくような表情と声音は、少しばかり銀獅を困惑させた。
何せ、その思いは彼自身同じなのだ。
・・・しかし、仕事に対する責任というものもある。
自分のことを優先して、そちらを放っておくわけにはいかない。
やがて銀獅は、意を決したように口を開いた。
銀獅「俺・・・どうしてもやらなきゃならない仕事が、もう2、3あって・・・
また、しばらくここを離れます。」
思兎「・・・・・・」
銀獅「だけど、実はその仕事が終わったら、しばらく暇になるんです。」
思兎「え・・・?」
俯かせていた顔を上げ、思兎は銀獅を見た。
銀獅「その時は俺、真っ直ぐに思兎さまのところに来ます。
それで・・・俺でよければ、是非、お話のお相手に。
何日だろうと付き合いますよ。」
銀獅は優しく微笑んだ。
その笑顔が、思兎の心を安心させる。
きっと彼は、約束を守ってくれる。そう信じられる。
思兎「・・・分かった。」
やや間があったものの、思兎は頷いて言った。
思兎「我慢して待つよ・・・だから、今のこと、約束だからね!絶対、絶対に守ってね!」
銀獅「はい、必ず。」
思兎「えへへ・・・♪じゃあ、その時にしよっかなぁ・・・」
銀獅「・・・?何がですか?」
思兎「それは『ヒ・ミ・ツ・♪』。帰ってきたときのお楽しみだよ〜♪」
銀獅「はぁ・・・」
そう、次にあった時にこそ、ちゃんと伝えよう。
紛れもない、自分の気持ち。
ずっと一緒にいてほしい―――その思いを。
――――――けれども、二人が交わした約束は、決して守られることはなかった。
胸に秘めたこの思いを伝えることは、決して出来なかった――――――
25
:
名無しさん
:2006/06/18(日) 22:32:17 HOST:softbank220059131169.bbtec.net
<<お茶を飲むようにa・chi−a・chiアーチボルド>>
第一話
因みに顔文字は使いたかっただけである。
アーチボルドは椅子にすわりユウとカーラを見る。
落ち着いた物腰で、だが何処か気味の悪い印象を与える、そんな視線。
アーチボルド「さて、ご苦労様でした。早速で悪いのですが、次はリクセント公国に向かってもらいたい。」
ユウ「リクセント公国?何故です。」
アーチボルド「決まってるでしょう?これからのDCの拠点にするには環境的にも地理的にもあそこが一番都合がいい。」
カーラ「て・・・アタシ達は帰ってきたばっかだってのに・・・!」
アーチボルド「いや、何、御二人には先に行って貰い、軽く脅しつけて、交渉しやすいようにしてもらいたいだけですよ。
それにほら、僕の場合だとつい、趣 味 に 走 っ て し ま う 可 能 性 が あ り ま す し 。」
ユウ「!!!!」カーラ「アンタってのは・・・!!」
ユウとカーラは思い出す。竜虎王発掘現場でこの男がもたらした惨状を
誰も掘り起こして戦いの道具にしようなどと思っていなかった、ただ純粋な学者としての好奇心で発掘していた学者達。
このアーチボルドという男はそれらの人間を無残に虐殺した。しかも心の底から楽しんで。
アーチボルド「まぁ、僕が行ってもいいんですが、リクセント公国の民衆には盾にもなってもらわなければなりませんのでね。」
あからさまに残念がって両手を挙げる。
ユウ「・・・了解。いくぞ、カーラ。」
カーラ「・・・・・・・・うん。」
部屋を出ようとする二人にアーチボルドは声を掛ける。
アーチボルド「ああ、そうそう、ユウキ君だけ残って下さい。」
ユウ「?」
さぁ、頑張って!アーチボルド!
でも、もし断られたら・・・・
駄目じゃない!そんなに弱気になったら!
で、でも・・・・・
大丈夫!だって、貴方今日のこの日の為に一生懸命ユウ君が好きそうな紅茶を血まみれでさがしたんじゃない!
う・・うん。
そんな貴方の心に気づかない筈が無いよ!きっと貴方の気持ちに答えてくれるって!
そ、そうだよね・・・・ウン!アタシ、頑張るよ!
そうそう!その意気!ファイト!
あたし達には無敵の呪文があるわよ!
うん!絶対・・・絶対大丈夫!!
アーチボルド「最高級の紅茶が手に入ったのですが、一緒にどうですか?」
ユウ「すいません、いりません。」
アーチボルド「ええええええ!?Σ(´Д`;)」
ユウ「用はそれだけですか?では。」
ユウはそれだけ言うと部屋を出て行った。
ユウ(ティーバックの紅茶なぞ邪道だ・・・・)
部屋にはアーチボルドと一人の兵隊が残された。
アーチボルド「・・・・・・・・・・・・・・ ( ゚д゚)ポカーン」
DC兵「あの・・・アーチボルドさん、俺でよければ紅茶、付き合いますよ。」
( ゚д゚)
( ゚д゚)
( ゚д゚ )
アーチボルド「うん・・・・・」
・・・・・美味しいですね
・・・・・うん。
26
:
ヤス
:2006/06/18(日) 22:32:49 HOST:softbank220059131169.bbtec.net
再びやってしまった・・・↑俺ですので。
27
:
新堂スプラッシュ
:2006/06/19(月) 18:59:45 HOST:softbank218119098031.bbtec.net
かつて、2ちゃんでこんな物を書いていた。
ディスティニーVSギルガザムネ(ドルチェノフ)
ドルチェノフ「そらそらそら!どうした若造!手も足も出んか!?」
ギルガザムネの激しい攻撃に手も足も出ないディスティニー。
シン「ふん、あんたは今の攻撃で・・・」
素早く間合いを開くディスティニー。
シン「俺に手の内を全て見せた!」
ドルチェノフ「な、何ぃ!」
シン「あんたの弱点を見つけた・・・それは」
アムロ「それは・・・?」
シン「剣を振り下ろす時
よく喋る」
ドルチェノフ「バカめ!そんな事しかわからなかったのか!」
再び襲い掛かる!
ザンっ!
ドルチェノフ「な、何ぃ!」
ギルガザムネの右腕を切り落とすディスティニー。
アムロ「おお!ギルガザムネに致命傷を与えたぞ!」
銀河「さっすがぁ!」
北斗「この勢いを殺しちゃダメだ!次にギルガザムネに一番近い機体はドコにあるの!?」
姫子「やめてよチカネちゃん〜、髪の毛の臭い嗅がないでぇ」
千歌音「姫子の髪、いいにおい・・・」
一同(ダメだ・・・!)
28
:
ゲロロ軍曹(別パソ)
:2006/07/05(水) 21:29:41 HOST:i219-167-180-105.s06.a033.ap.plala.or.jp
=二人のHEROマスター=
※このお話は、遊戯王デュエルモンスターズGXの第68話<VSエド(後編)炎のフレア・ネオス>の後日談的ストーリーです。
=???=
そこは、アメリカにある、とあるカードデザイナーの家・・。
彼はいつものように、カードのデザインを描いていた。そしてその隣には、銀色の髪の毛をした、最愛の『息子』が彼の作業に目を輝かせながら見ていた・・。
この少年の名前は『エド・フェニックス』。後に若き天才プロデュエリストとして活躍するのだが、この頃はまだ可愛らしい容姿の少年である・・。
そして、彼の父親は人気カードゲーム『デュエルモンスターズ』の発売元『インダストリア・イリュージョン社』に勤める、優秀なカードデザイナーなのだ。
そんな父を、エドはかっこよく思い、同時に、誇りに思えていた・・。
父「・・ほーら、できたぞ、エド。」
新しく書いてみたモンスターのデッサンをエドに見せるエドのお父さん・・。
それは、どこか怖い感じを持ちながらも、力強く、そしてなおかつかっこ良く見える、ある『ヒーロー』の絵だった・・。
エド「わぁ・・、かっこいい・・!!ねえねえ、父さん!このモンスター、なんて名前なの!?」
父「ふふ・・、このモンスターはな、『D・HERO(デスティニー・ヒーロー)』の一人、『ドグマ・ガイ』だ♪」
エド「・・?ディー・・、ヒーロー・・・??」
聴いたことがない言葉に、首をかしげるエドだった・・。
29
:
SD
:2006/08/21(月) 23:16:24 HOST:usr211019181033.tcn.ne.jp
○永別○
ビット「よう……また来たぜ、相棒。」
何処までも続く、青い草原。
その傍らに建てられている、広々とした共同墓地。
そこで今……ビットはワイン瓶を片手に、ある墓の前に立っていた。
その墓の前にあるのは、通常では考えられないほどの……とてつもない数の、供え物だった。
数え切れないほどの種類がある、多くの花束。
生前、その人物が好きだった日本食や、酒の類。
更には刀や拳銃まで置かれるという始末。
ビット「ったく……お前は本当、色んな奴から好かれてるよな。
始めて見たぜ……死んだ後も、こんなに色んな奴が寄ってくる奴なんてよ。」
「ええ……全くですね。」
ビットの後ろから、花束を持った一人の男性がやって来る。
本来ならば、この世界には決していない存在。
時空の壁を越え、その先にある異世界より現れた大魔道士……クラウス=ド=シングス=エターナル。
彼はビットに一礼すると、墓に花を添えた。
ビット「お前、こっちの世界に来るのは相当きついんじゃなかったのか?」
クラウス「ええ……時空の壁に綻びがないから、魔力を全開にしてギリギリって感じです。
でも……無茶をしてでも、ここには来る価値はあるんですよ。」
ビット「そうだな……俺もお前も。
クライドとか裕樹とか、マリアとか響夜とか……数え切れねぇな。
皆……マスターには、散々世話になったよな。」
もはやこの世にはいない、誰よりも強く、そして優しかった最強の戦士。
戦場の覇者……マスター=ファースト。
彼は多くの者達に……希望を与え続けていた。
亡き今も……その存在は、皆の心に大きく息衝いていた。
戦場の覇者がこの世を去ったのは……二年程前の事であった。
彼は、自らの手で……己の長く険しかった人生に、終止符を打ったのだ。
30
:
SD
:2006/08/21(月) 23:45:17 HOST:usr211019181033.tcn.ne.jp
=月光花病院=
それは、二年前の事だった。
マスターとビットは、知り合いが勤めているこの月光花病院へと、二人で訪れていた。
しかしそれは、病気だとか怪我だとか、そういう理由からではない。
彼等がここを尋ねたのは、単なる健康診断である。
二人は順次それらをこなし、後は結果を待つのみだった。
ロビーの椅子に座り込み、一息をつく。
ビット「あ〜……やっと終わったぜ。
健康診断って、丸一日絶食しなきゃいけねぇのが辛いよな……」
マスター「全くだな……まあ、これで終わりだ。
今日は久しぶりに、二人で何処か飯でも食いに行こうか?」
ビット「お、いいな……それじゃ、ちょっと前から行きたい店があったんだけどよ。」
本日の昼食について話していた、その時だった。
突然、病院内にある放送が入った。
なんて事ない、職員の呼び出しか何かだろう。
そう思っていたのだが……それは違っていた。
今思えば……この放送こそが、全ての始まりといえたかもしれない。
『マスター=ファースト様。
ブラック先生が御呼びですので、至急第三診察室へとお願いします。
繰り返します、マスター=ファースト様……』
マスター「私に……ブラック君から?」
ビット「おいおい、あいつがお前を呼び出すなんて珍しいな……何かあったのか?」
二人を呼び出した者こそ、彼等の知り合いの医師。
かつては共に戦場を切り抜けた、頼りになる仲間……通称、Dr.ブラックと呼ばれる青年である。
多忙な身にも関わらず、自分を呼び出すという事は……少なくとも、友人同士としての会話ではないだろう。
マスターはすぐに席を立つと、診察室へと向かっていった。
呼ばれたのは彼一人という事で、ビットは待つことにしたのだが……それにしても、何か気になる。
ビット「……覗いてみっか。」
こっそり、ビットはその跡を付け始めた。
この直後に……どれだけ重い現実が待ち受けているか、この時は思いもよらなかったであろう。
=診察室=
マスター「……これが、そうなのか?」
ブラック「……ええ。」
その後……診察室に辿り着いたマスターは、ブラックからある物を手渡されていた。
先ほど撮影した、CTスキャンによる断面写真である。
マスターも、軍属に身を置く身……医療の心得はそれなりにあった。
そして……自分の身に今、何が起こりつつあるのかも。
マスター「実を言うと……三日ほど前から、自覚があった。
ただ、あの時は、単なる度忘れだと思っていたが……」
ブラック「……初期段階とはいえ、写真を見る限りでは、既に異常が現れています。
よりにもよって、最悪の早期性……このペースじゃ、後三年で……」
深刻な会話を交わしている二人。
そして……ドアの前でそれを盗み聞いていたビットは、驚きを隠せなかった。
CTスキャンではっきり見えるほどの異常……早期性で、後三年持つか持たないか。
その言葉を聞き……ビットはすぐさま、診断室に駆け込んだ。
いきなりの来訪に、当然ながら二人は驚きを隠せなかった。
ブラック「ビットさん……聞いていたんですね。」
ビット「……どういうことだよ、ブラック?
お前達、一体何を言って……」
その時……ビットの目に、机の上に置かれている数枚の写真が飛び込んできた。
それに映されているのは……話の内容から察するに、マスターの物であろう……脳の断面写真である。
しかもそれは……通常の物と比べて、脳の大きさが違っている。
明らかに、マスターの脳は……
ビット「……嘘、だろ?
待てよ、おい……じゃあ、まさか……!!」
マスター「……ああ。
どうやら、それが私の病気らしい。」
写真から見られる、脳の大きさの異常。
自覚症状があり、早期性……早くて三年。
ここでビットも……事の大きさを、全て理解した。
今、戦場の覇者を蝕んでいる病は……
マスター「……アルツハイマーだ。」
31
:
SD
:2006/08/22(火) 00:16:53 HOST:usr211019181033.tcn.ne.jp
アルツハイマー。
人の脳細胞が、通常の何倍という早さで死に逝く病気である。
その主な症状は……記憶障害。
認知能力の低下、計算力の衰え……自我の崩壊。
自分が今まで培ってきた、記憶の全て……それを失い、やがて最後には死に至る病。
死んだ脳細胞は、決して元には戻らない。
現代医学において、その進行は遅らせられる事は出来ても……治療は不可能。
ビット「……マスター。
お前……まさか、もう何かを……?」
マスター「……ああ。
ここ三日間の記憶が……妙に薄れているんだ。
どれだけ、思い出そうとしても……ぼんやりとしか、浮かんできていない。」
ビット「っ……ブラック!!
兎に角、何でもいい……マスターを助ける方法は……っ!!」
ブラック「……」
ビットの問いに対し、ブラックは閉口したままだった。
それが意味するのは……ビットの問いに、答えられないという事。
現状……彼が知りえるあらゆる手段を用いたとしても……マスターを助ける手段は、何一つないのだ。
ビット「っ……くそぉっ!!」
全力で、拳を壁に叩きつける。
こんな悲惨な現実が、果たしてありえるだろうか。
マスターは今まで、通常の人間では確実に死に絶えるであろう多くの修羅場を……全て生還してきた。
どれだけの逆境に置かれようと……必ず生き延びてきた。
生ける伝説……不死身という位置に、極めて近い存在。
そのマスターが、病気で……よりにもよって、不治の病であるアルツハイマーに侵され、死を宣告されるなんて。
とても……信じられる話ではなかった。
ブラック「……どれだけ最先端の医療法を用いたとしても、治療は不可能です。
例え、この世界中の名医が集まったとしても……精々、進行速度を遅らせるのが限界です。」
マスター「……どうやら私も、ここまで見たいだな。」
己の死期が近いことを悟り、マスターは一息をついた。
これまで、幾多の死線を潜り抜けてきたが……今回ばかりは、もう逃れる事は出来ない。
大人しく……己の死を容認する以外に、道はないのだ。
人は何時か死ぬ……それが自然の摂理である。
ビット「……待てよ、マスター。
確かに……認めたかねぇけど、アルツハイマーは不治だ。
けど……そんな簡単に、自分がここまでだとか言うんじゃねぇよ。
お前らしくもねぇ……まだ生きれるなら、限界まで生き延びろよ……!!
自分はもうここで死ぬんだ、みたいに……そんな風に言うんじゃねぇよ!!
今まで、お前が言ってきたことを忘れたのか!?
命を簡単に投げ捨てるなって……生きれる限り、精一杯生きるって!!」
マスターの言葉に対し、ビットは猛反撃する。
生きる望みがないとはいえ、それでも生を諦めてはならない。
少しでも……一分でも一秒でも長らえられるのならば、生き延びろ。
生きるのを断念したかのような言い方は、間違っても言うな……そう、大声で叫んだ。
それは、かつてマスターが多くの者達に言ってきた言葉そのものだった。
言葉の重みを誰よりも知っている、他ならぬマスターには……ビットの気持ちは、十二分に分かっているはずだった。
だが……マスターは今……その言葉を、己自ら裏切ったのだ。
マスター「……すまない、ビット。」
ビット「マスター……待てよ。」
マスター「確かに、お前の言うとおり……精一杯、生きたいという気持ちはあるんだ。
だが……この病気にかかってしまった以上、もう限界なんだ。」
ブラック「マスターさん……」
マスター「……このまま病気が進行すれば、私は記憶を次々に失っていく。
そして最後には、私自身の自我も……全て崩壊してしまう。
そうなれば……私の思いも、貫き続けてきた信念も……全てが消し飛んでしまう。
私が私でなくなるのは……辛いんだ。
いや、本当に辛いのはその事じゃない……己を失う事よりも、もっと辛い事がある。
私は今まで……お前や仲間達と一緒に、多くの時を過ごしてきた。
悲しい事、辛い事も確かにあったが……それ以上に、楽しい事や嬉しい事があった。
その思い出は、他の何物にも変えられない……大切な宝だ。
私は……それを失いたくはないんだ。
だから……逝く気でいる。
この思いの全てが消え去ってしまう前に……発とうと思うんだ。」
32
:
SD
:2006/08/22(火) 23:13:38 HOST:usr211019181033.tcn.ne.jp
それから……およそ、二時間後の事だった。
今後の事の相談の為……マスターは、病院に残る事にした。
そして……一人病院から出たビットは、何ともやりきれない気持ちでいた。
当然である……唯一無二の親友が、目の前で死の宣告を下されて。
その上、己の手で……その命を絶とうとまで、言い出したのだ。
アルツハイマーで、記憶の全てを失うその前に。
自分が自分でいられる内に……掛け替えのない思い出が、全て消え去る前に。
マスターは今……安楽死という形で、自らの生涯を遂げようと考えている。
ビット「ふざけんじゃねぇ……なんでだよっ!!」
確かにそれは、マスターからすれば最善の方法とも言える。
だが……残された者の悲しみ・苦しみは、半端な代物ではない。
ビットは今、自分がどうすればいいかを苦悩していた。
もしもマスターが、アルツハイマー以外の病気にかかっていて、そう言い出したならば……殴り倒してでも、止めただろう。
だが……今のままでは、マスターに待ち受けるのは死よりも残酷な運命。
自我が崩壊した、ただ生きているだけの……人形の様な存在。
大切な思い出の全てを無くした、単なる人間の抜け殻……そんな状態では、生き延びる事の方が残酷かもしれない。
ビット「……肝心な時に、俺には何も出来ねぇのかよっ……」
自分が知る限りでは、ブラックは世界最高の名医。
かつて、異世界を旅した時に出会った天才……神月零次とも、彼ならば渡り合えるだろう。
その彼が、はっきり宣言したのだ……マスターを助ける方法は、何もないと。
この世界中の名医を集めようと……無駄なのだと。
ビット「……待て、よ?」
その時だった。
ビットの中に、ある閃きが生まれた。
ブラックは言った……「『この世界中』の名医を集めても無駄だと。」
そう……この世界では、マスターを助ける事は出来ない。
だが、それなら……この世界じゃないとすればどうなるだろうか。
今まで、この目で見続けてきた……多くの奇跡を起こし続けてきた、彼方の世界なら。
あるかもしれない……マスターを、助ける手段が。
ビット「……そうだ。
まだ、終わっちゃいねぇ……!!」
ビットはすぐに走り出した。
勿論……時空を超える力など、彼には存在していない。
しかし……あの人物の力を使えば、不可能じゃない。
ビットが急ぐは、マスターの愛弟子にして、彼にとっても大切な仲間……クライド=ダークライムの元である。
かつて、異世界からの旅路から、帰還した際……彼は手にしていた筈。
時空を越える力を持った大魔道士と、連絡を取る事が可能な……あの道具を。
33
:
蒼ウサギ
:2006/08/23(水) 23:01:43 HOST:softbank220056148026.bbtec.net
○もしもあのキャラが・・・・・・・○
=もしも蒼ウサギのオリキャラ達がメイド喫茶で働いたら・・・・・・・=
・八神マリアの場合・・・
マリア「お、おかえりなさいませ・・・・・・ご、ご主人様////」←かなり照れ
客1「え〜と、この「メイド手作りのケーキセット」をもらえるかな?」
マリア「か、かしこまりました、ご主人様/////」
注:この時点でオチがわかった方・・・・・・読み飛ばしてもOKです。by蒼ウサギ
マリア「お、御待たせしました。ご主人様/////」
メイドマリアが持ってきたのは赤や青や紫や緑が色々混ざったドロドロベトベトな
・・・・・・不可思議物体だった。
客1「・・・・・・・・・き、君が作ったの?」
マリア「は、はい・・・・・・味は良い筈なんですけど・・・」
客1「なら、ちょっと食べてみようかな・・・」
今、ここに一人の挑戦者が摩訶不思議料理に挑む!
一同、敬礼!<(`´) (マテ
客1「おぉ、確かに美味いよ! いや、こりゃ絶品―――」
その瞬間、この客の目は白目を剥き、痙攣しつつ倒れた。
口からは泡なんかも吐いちゃったりして・・・・・・
マリア「ご、ごめんなさい〜〜〜〜〜〜」
毎度、お馴染みのオチでした・・・・・・
・マイ・クロフォードの場合・・・・・・
マイ「おかえりなさいませ〜、ご主人様☆」←割とノリノリ
客2「え〜と、じゃあこの「萌え萌えパフェ」ってのを・・・・・・」
マイ「ごめんなさい、ご主人様ぁ。それ、品切れなんですぅ」
客2「そ、そうなの? じゃあ、この「日替わりティーセット」ってのを・・・」
マイ「すみませ〜ん、それも・・・・・・」
客2「えぇえ!? そ、それじゃあ何か適当に腹の膨れるものを頼むよ」
マイ「え〜っと・・・・・・それでしたら「水5リットル」なんていかがですか?ご主人様」
客2「・・・・・・・はい?」
マイ「お腹は膨れると思いますよ。ご主人様☆」
客2「あの・・・水だけ?」
マイ「はい、食べ物は・・・・・・私が全部食べちゃいましたから〜♪
ほんの味見のつもりだったんですけどね・・・・・・てへ☆」
マイを雇うのなら、店の赤字を覚悟してください・・・・・・
・神里ナユの場合・・・・・・
ナユ「おかえりなさいませ! ご主人様!」←常に一生懸命
客3「う〜ん、何にしようかな〜?」
メニュー表を見ながら悩む客。
それをじっと待つナユだったが、
彼女は客の鞄についているマスコットキーホルダーの目を奪われた。
ナユ(あ、あれは・・・・・・マジ○ガーZ!? Σ(−−☆
しかも一部にしか出回っていない限定ヴァージョンだぁ!(≧∇≦)」
客3「ん? 君、どうしたの?」
何やらウズウズしている様子のナユに客が不審がる。
ナユ「ななななななななな、なんでもないですよ、ご主人様(汗」
客3「あ、そう? ん〜、それにしても何にしようかな〜」
なおも悩み続ける客・・・・・・一方、ナユは・・・・・・・
ナユ(う、うぅぅぅぅ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜)
ナユ我慢メーター
・・・10%突破・・・・30%突破・・・・・70%突破・・・・・90%突破――――
メーター激しく振り切れました。
ナユ「も、もうダメ! 好きです!! 愛してますぅぅ!!!」
客3「え? えぇぇぇぇ!?」
客への突然の愛の告白・・・・・・・ではない。
我慢の限界をものの数秒で突破したナユは客の鞄についているマスコットキーホルダーを手に取り・・・
ナユ「あぁぁ〜〜〜♪♪ マ○ンガーZぉぉぉ〜〜♪♪♪\(≧▽≦)/」
ウットリとした表情で頬擦りをした。
客3「え、え〜っと、君?」
ナユ「あぁぁぁぁ〜〜〜ん♪♪♪ たまらないよぉぉぉぉ♪♪♪♪♪」
ナユちゃん、只今、自分の世界にドップリ浸り中。
用がある方はあと2時間ほどお待ち下さい。
客3「待てねぇよ」
ごもっともです。
「萌え」よりロボットの「燃え」に興味がある方は気が合うかもしれません。
§
今回はここまで・・・・・・・これが続くのか、シリーズ化されるのかは蒼ウサギ本人も不明である。
34
:
魔神鋼平
:2006/08/24(木) 03:03:41 HOST:p3111-ipad08sinnagasak.nagasaki.ocn.ne.jp
○もしもあのキャラが……… PartⅡ○
=もしも魔神鋼平のオリキャラ達がメイド喫茶で働いたら………=
・シルヴィア・ノーランの場合
シルヴィ「おかえりなさぁい、ご主人様ぁ」←超投げやりw
客1(うっわ〜〜、超美人!胸もデカイしモデルみてぇ………)
シルヴィ「ご注文は?」←ちょっと威嚇気味w
客1「あ、えっと………この「メイド特選激辛パスタ」ってのを……」
シルヴィ「かしこまりました〜………」←やる気なしw
注:はい、オチは予想通りですw
シルヴィ「おまたせしました〜」
シルヴィがトレイに乗せて持ってきたものは、比較的まともそうなパスタであったが………唐辛子・豆板醤・ねり辛子・ハバネロetcetc......そんな数々の香辛料が一緒に載せられている。
客1「え?」Σ(゚Д゚;≡;゚д゚)
そして、情け容赦なくパスタにトッピングされていくそれら………
客1「ま、まさか………」(((((((( ;゚Д゚)))))))ガクガクブルブルガタガタブルガタガクガクガクガクガク
シルヴィ「ほれ、食え」
そして、半ば投げやり気味にそれを口元に運ぶ。臭いだけで最早目が痛くなるシロモノだ。
客1「ひ、ひぃ!こ、これはちょっと………」
シルヴィ「お食べなさい、ご主人様」←無駄にいい笑顔w
客1「はい!」
…………全治二週間だそうでした………w 姐さんをこういうところで働かせちゃいけません!w
・火乃宮優の場合
優「いらっしゃいませぇ〜ご主人様ぁ〜」←ネコミミモードw
客2「キタ─wwヘ√レvv〜(゚∀゚)─wwヘ√レvv〜─ !!」
優「ご注文は何になさいます?」
客2「こ、この「ネコミミメイドの手作りグラタン〜熱々一瞬御奉仕一生スペシャル〜」ってのを………」
優「はぁい」
優「お待たせ致しましたご主人様〜」
出されたのは、あっつあっつのグラタン。一口サイズにそれをフォークで切り取る優。
優「ちょっと待ってて下さいね。ふぅ〜、ふぅ〜」
ネコミミメイドにふ〜ふ〜してもらえる喜び……真○狩りなど比較にもならん!w(by魔神)
優「はい、あ〜ん」
客2「あ、あ〜〜………」
嗚呼、素晴らしき哉至福の一時………しかし、直後に肩に手が置かれた。
???「ちょっと君、こっち来て貰おうか?」
振り返るとそこにいたのは…Kが三つほど付いた名前の例のアレかハン○ラビの団体さんwネオ・アト○ンティスといえば一部の人なら分かるだろうか?とまぁ、そう言った人物達だった。
親衛隊A「我等『火乃宮親衛隊』の前でその様な狼藉………死をも覚悟しての事だろうな?」
客2「え?」Σ(゚Д゚;≡;゚д゚)
親衛隊B「小便は済ませたか?神様にお祈りは?部屋の隅でガタガタ震えて命乞いする心の準備はOK?」
そして、連行されて逝く客……
余談ですが、二週間後に太平洋の真ん中に浮かんでいたドラム缶の中で簀巻きにされて詰め込まれていたとかなんとか………
………いや、それ営業妨害ですから。親衛隊の皆さん。
いろんな意味ですいませんw m(_ _)m
35
:
新堂スプラッシュ
:2006/08/24(木) 12:22:19 HOST:softbank218119098031.bbtec.net
○もしもあのキャラが……… PartⅢ○
=もしも新堂スプラッシュのオリキャラがメイド喫茶で働いたら・・・=
空「え〜、本日は母さんとアキバのメイドカフェに来ました〜」
渚「ふふっ、私はもう年だからメイドになんかならないからね」
空「おっと、店員さんが来るぞ」
???「お、おかえりなさい・・・」
渚「あら?ちょっとこの娘・・・?」
空「まさか・・・?」
注:ここから先は危険なので覚悟を決めてください
空「おい、お前白根和人だろ?」
和人「違います」
空「即答か・・・」
和人「ご、五番テーブルへ・・・」
空「穂波たちにバラすぞ?」
和人「穂波姉ちゃん達が無理矢理・・・あ!」
空「やっぱり」
和人「こ、この事はカナちゃんとかには・・・」
空「XBOX360とスパロボXOで手を打とう」
和人「は、はい・・・」
36
:
藍三郎
:2006/08/24(木) 22:46:20 HOST:softbank219060041115.bbtec.net
○もしもあのキャラが・・・・・・ PartⅣ○
=もしも藍三郎のオリキャラ達がメイド喫茶で働いたら・・・=
・オーレリー・エルランジェの場合・・・
オーレリー「はぁ〜〜い♪おかえりなさいませ、ご主人様♪」
客1(ひゃ〜〜可愛い子だなぁ・・・
しっかし、この妙にキラキラしたメイド服・・・メイドよりは、お嬢さまって感じだな・・・)
オーレリー「本日は、このわたくし、貴方様に仕えるメイドとして
誠心誠意、ご奉仕の心を持って、最高のおもてなしをさせていただきますわ!!
さぁ、まずはお料理を召し上がれ〜〜♪」
テーブルに次々と料理が運ばれてくる。
客1「うわぁ・・・凄ぇ・・・」
並べられた料理は、まさに絵にも書けない美しさの、高級フランス料理の数々だった。
牛の丸焼き、魚の蒸し焼き、キャビア、フォアグラ、トリュフ・・・
雑誌やグルメ番組でしか見られないような高級料理が、所狭しと並んでいた。
オーレリー「ご主人様のために取り寄せた最高級の厳選素材を惜しみなく使った、
超一流のシェフによるフランス料理のフルコースですわ♪
お酒も、シャンパンにドンペリ、30年もののロマネ・コンティをご用意しておりますの♪
さぁ、ご主人様、至福の一時をお過ごしくださいませ♪」
エプロンを翻し、くるりと回転するオーレリー。
そして・・・美少女に接待され、高級料理に舌鼓を打つという夢のような時間が過ぎた・・・
客1「ふぅ〜〜食った食ったぁ・・・」
その時、客の肩をコンコンと叩く者が・・・
見ると、後ろには従業員らしき男が立ち、一枚の紙を手渡した。
客1「ん?・・・何?伝票?どれどれ・・・」
伝票には・・・料理代、酒代、サービス代締めて、
○百万●千円という高額が記されていた・・・
客1「――――――――――――――――(灰化」
オーレリー「うふふ・・・ご満足いただけましたでしょうか?
またのお越しをお待ちしておりますわ♪ご主人様♪」
ぼったくりバーならぬぼったくりメイド喫茶・・・(ぉ
37
:
藍三郎
:2006/08/24(木) 22:48:09 HOST:softbank219060041115.bbtec.net
・黒薔院鴉凛栖の場合・・・
アリス「やっほ〜〜〜♪いらっしゃ〜〜い♪
漆黒のゴスロリメイド、アリスちゃんのお部屋にようこそ〜〜♪」
客2(うわぁ、黒髪ロングに黒のメイド服・・・これが本物のゴスロリか〜〜
まるでお人形さんみたいだな・・・)
アリス「うふふふ、どう?あたしの自慢の衣装なんだよ〜〜可愛いでしょ?」
客2「うんうんうん!!」
激しく同意する客。
アリス「えへへへ、ありがと♪
さ〜〜て、今日はあたしのお友達も呼んであるんだよ〜〜〜
皆〜〜、ご主人様が来てくれたよ〜〜〜出ておいで〜〜〜♪」
アリスが呼びかけると、店の奥からずらずらと、メイド達が現われた。
しかも、全員が極めつけの美少女である。
客2「こ、こんなにいっぱい・・・マジで!?」
アリス「さぁ皆、ご主人様に、しっかりご奉仕しちゃってね〜〜♪」
客2に元へと一斉に向かうメイド達。
大勢の美女メイドに囲まれ、まさにこの世のハーレムである。
メイド1「ご主人様、ご注文は何に致しましょうか?」
メイド2「ご主人様、お召し物はいかがいたしますか?」
メイド3「ご主人様、お疲れでしょう。肩をお揉みしましょうか?」
メイド4「ご主人様、お風呂でお背中を流しましょうか?」
メイド5「ご主人様・・・私、ご主人様のことが・・・」
客2「うはぁ〜〜〜〜・・・天国にいるみたいだぁ・・・」
美女メイドからのご奉仕攻撃を受け、夢心地になる客。
アリス「くすくす。もうじき、本当の天国に連れて行ってあげるわ♪」
その様子を見ながら、アリスは意地悪そうな笑みを浮かべる。
「オ・・・オオオオ・・・オオオオ・・・」
アリスの瞳に映るもの・・・
それは、メイド服を着た腐乱死体(ゾンビ)達に囲まれて、上せあがる客の姿だった・・・
グシャッ―――――――
38
:
藍三郎
:2006/08/24(木) 22:49:19 HOST:softbank219060041115.bbtec.net
・ラズロ・コルテッサの場合・・・
ラズロ「お、また一人来たか・・・次は使える奴だろうな?」
通された先には、テーブルの上に足を置き、ふんぞり返るメイドがいた。
メイド服自体は非常に似合っているのだが、その態度はメイドとはかけ離れている。
客3「あの・・・ここって、メイド喫茶ですよね?」
ラズロ「そうだぜぇ。わかってんなら、
何ボケっと突っ立ってんだ!まずは店の掃除をしろや!」
客3「ええ!!?何で俺がそんな事・・・」
ラズロ「口答えするな!とっとと動けグズが!!」
来た早々、罵詈雑言を浴びせるメイドに、客は混乱していた。
客3「ちょっと、ここメイド喫茶でしょう!なんで客がメイドの命令を聞かなきゃ・・・」
ラズロ「あん、わかってねぇな。
メイド喫茶ってのはな、客であるお前らが奴隷となってメイド様にご奉仕する場所なんだよ!
そんぐらい知っとけボケが!!」
客3「えええええ!!?」
メイド喫茶の常識からかけ離れたムチャクチャな事を言われ、客は理解不能に陥った。
ラズロ「何だ・・・何か文句があんのか?あん?」
ドスの効いた声で、客を正面から見据えるメイド。
その視線には、冷たい殺意が込められており、
客は蛇に睨まれたカエルのように竦みあがってしまう。
逆らったら殺される・・・生物の本能で、客はそれを察知した。
客3「あ、ありません・・・」
ラズロ「大体よぉ・・・俺様のメイド姿なんて、
年に一度見れるか見れないかっていうレアな代物なんだぜ?
こんなに可愛い姿の俺様にご奉仕できるんだ。奴隷になれて幸せだよなぁ?ん?」
客3「は、はい・・・」
口答えが許されない以上、客は肯定するしかない。
ラズロ「ククク・・・わかったか?わかったんなら・・・さっさと働けカスが!!」
椅子から立ちあがり、メイドは客のふくらはぎを思いっきり蹴りつけた。
ラズロ「おらぁ、掃除が終わったら次は飯だ!さっさと作って来い!」
客3「はい!メイド様!!」
ラズロ「何だこの料理は!刺激が全然足りねーぞ!もっと辛いのを作れ!!」
客3「はい!メイド様!!」
ラズロ「ソースが靴にかかっちまった・・・・・・嘗めろ」
客3「はい!メイド様ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
39
:
璃九
:2006/08/30(水) 22:47:04 HOST:softbank220045007138.bbtec.net
○もしもあのキャラが・・・・・・ PartⅤ○
=もしも璃九のオリキャラ達がメイド喫茶で働いたら・・・=
・カズキの場合(ぇ
―――簡単に状況を整理しておこう。
今日は普通に学校があって、普通に部活をやって下校したはずだ。
ただ、校門をくぐった辺りで「れお」と遭遇して―――
そっからの記憶が一切ない。
ということは、またアイツに何かされたのか。
「あの野郎・・・(−−#」
―――まぁ、そんなこんなで現在にいたるわけだが・・・
メイド達「いらっしゃいませ、ご主人様〜♪」
カズキ「・・・・・・?」
何で自分はメイド喫茶にいるんだろう?
メイドA「ほら!そこの新入りのアナタ!ちゃんとご挨拶しなさい!」
カズキ「へ?は、あ・・・」
いや、そんなこと言われても・・・
そりゃ確かに自分の身体を見回してみれば―――
メイド服なんて着てるし、黒い長髪のカツラなんて被せられてるし、
鏡を見れば、自分自身でも到底他人としか思えないような、神がかったメイクが施されてさえいるし、
おまけに、何をどうやったのか声まで弄られていて、完全な女声になってる。
だからって―――俺は男だ。
しかも、知らない間にこんな所に来たわけだし。
カズキ「色々と言いたい事はあるが・・・ここは大人しく逃げた方が良さそうだな・・・」
幸い、店は混んできていて、店員の娘達の注意も散漫になっている。
クルリと身を翻して、店の裏口へと向かおうとする。
「あ、あの〜・・・」
カズキ「ひゃ、ひゃい!?」
ふいに背後から声をかけられて、思わず間抜けな声を出してしまう。
冷や汗を流しながら、ゆっくりと振り返ると・・・
そこにいたのは、一人の男性客だった。
カズキ「え、えと・・・な、なんでしょうか・・・?」
とりあえず、店員のメイドさんに見つかったわけでなくてホッとするが・・・
少しばかり警戒して、苦笑を浮かべて応対する。
で、相手の男性客の方は、顔を赤らめつつ、何かを言いにくそうにしていたが・・・
やがて、意を決したように―――
客「―――好きだ。」
カズキ「―――ハイ?」
なんて言いやがった。
客「一目見たときから感じていた・・・君は!まさに僕の運命の人だ!どうかつきあってくれ!!」
カズキ「―――――――――」
完全石化中。
何?つきあってくれ?
―――冗談じゃねぇ。
カズキ「バッ―――何言って―――」
客「つきあってくれ!良いと言うまで、僕は君を離さない!!」
カズキ「ま、待て!この―――抱きつくな!
いいか、話を聞け!俺はこんなナリだが、一応男だ!
誰かの陰謀で、こんな所にいるけど・・・でも、男だし!好きな人もちゃんと―――」
客「構わん!」
カズキ「!?Σ( ̄□ ̄;)」
客「いや、むしろ『実は男でした』みたいな展開の方が、僕は萌える!
鰤とかツィーとか!!」
カズキ「わけ分からん!何だその悪趣味な―――
ってゴルァ!抱きつくな!離れろぉおおお!」
一撃、掌底を男性の顔向けて放つ。
見事に命中して、客は勢いよく転がっていく。
カズキ「―――あ、ヤベ・・・」
反射的にとはいえ、ほとんど手加減なしで放った技だ。
これを受けて、まともに立ち上がれる一般人は―――
客「フ・・・フフフ・・・今のは・・・中々良かったぞ・・・」
訂正。奴は一般人に非ず。
即ち・・・変態。
あんなこと言ってやがるし。
客「尚更気に入った!是非僕とお付き合いを―――」
カズキ「だぁああああ!こっち来んなぁああああああ!!」
勢い良く裏口から飛び出すカズキ、そしてそれを執拗に追い掛け回してくる男性客。
結局、この後この姿のまま、街中を舞台に追いかけっこを続けたそうな――――――
○おまけ
―――数日後
カズキの目の前に、数枚の写真が置かれている。
いずれも、数日前の『あの惨劇』を写していた。
で、それらの写真を得意気に広げているのは・・・
「駒野れお」という名の、人の皮を被った悪魔―――
れお「いや〜、これら写真を色々な人にばら撒くか、
そのネガを、ある男の子に高額で売るか迷ってるんすけど・・・
どちらにすべきか友人として意見を聞かせてもらえないっすかねぇ?」
カズキ「・・・・・・・・・・・・・・いくらだOTL」
いつか絶対に殺す。
そんな決意を固めた、今日この頃であったw(ぉ
40
:
ゲロロ軍曹(別パソ)
:2006/08/30(水) 23:11:22 HOST:i219-167-180-103.s06.a033.ap.plala.or.jp
○もしもあのキャラが・・・・・・PartⅥ○
=もしも銀魂のキャラ達がメイド喫茶で働いたら・・・=
・ヅラの場合(をぃ!?)
メイド喫茶に入った一人の男性客。そこを出迎えたのは、まあ綺麗な黒い髪をしており、ドレスも結構ふりふりなメイド服で似合っているのだが・・、どう考えたって男だった。
桂「よく来たな、ご主人様。見たところお一人か?」
客「え!?は、はい・・。えっと・・、あんた、メイドさん、だよね・・?」
桂「メイドさんではない、桂だ。」
客「へ!?いやいや、あんたの名前なんか聞いてないって!!俺はただ、メイドさんかどうかを・・。」
桂「メイドさんではない、桂だ!まったく、一度行ったことを理解できんのか?無礼なご主人様なことだ・・。・・まあいい、今から席に案内してやる。」
客「は、はあ・・・(な、何だよこいつ・・(汗))。」
とりあえず空席に案内されたお客は、メニューを開いてみた。だがそこに書かれてるのは・・
んまい棒 100円
んまい棒 100円
んまい棒 100円
(エンドレス・・・)
・・としか書かれてなかった(汗)。
客「をぃぃぃぃ、ちょっとまてやこれぇぇぇ!?」
桂「どうした、ご主人様。そんなに怒鳴り散らしては、心臓が破裂するぞ。」
客「してたまるかぁ!?・・つーか、なんだよこの店のメニューは!?メイド喫茶なのになんでんまい棒しかおいてねーんだよぉぉ!?」
桂「何をたわごとを・・、んまい棒こそ究極の菓子!!ごてごてした洋菓子なんぞよりもよっぽどいいからに決まってるであろうが!!」
客「馬鹿だろあんた、つーか馬鹿だよあんた!?もういい、責任者呼べ、責任者をぉぉぉ!!」
桂「・・仕方あるまい、少し待っていろ・・。」
そして数分後、桂がつれてきたのは・・、ぶっちゃけ、『お○けのQ○郎』のぱくりっぽい、ぺんぎんお化けみたいな奴だった・・。
客「も・・、もういやだぁぁぁ!!帰る、俺は帰るからな!!」
桂「まて、ご主人様。まだ注文を聞いて・・」
客「いるか馬鹿野郎〜!!!」
そういって、『ばあん!!』という音をたてながら出て行く客・・。
桂「・・やれやれ、おかしなご主人様だったな。なあ、エリー。」
エリザベス『まったくですよ、ほんと・・。』
41
:
勇希晶
:2006/08/30(水) 23:13:53 HOST:softbank220063219079.bbtec.net
○もしもあのキャラが・・・・・・・○
=もしも勇希晶のオリキャラ達が執事喫茶で働いていたら・・・=
※このアンソロはオチがない場合があります(ぇ
・神崎士朗の場合
士朗「お帰りなさいませ、お嬢様。」
礼儀正しい一礼をして客を出迎える銀髪の青年。
客1「(ドッキン)え、ええ。ただいま。」
士朗「ご注文は如何致しますか?」
客1「あ・・・、えっと、このアイスティーで・・・」
士朗「アイスティーですね。かしこまりました。」
士朗「お待たせ致しました。アイスティーでございます。」
客1「ありがとう。・・・ん、おいしい・・・」
士朗「お気にいられたようで幸いです。」
柔らかく微笑む士朗。
『しろうのこうげき! かいしんのいちげき!』
客1「(ドッキーン!)ま、まあ悪くはないわね。ところで、あなた彼女とかいるのかしら?」
頬を上気させつつ問う客の女性。
士朗「いえ。生憎とそういうものには縁がありませんで・・・」
客1「そ、そう・・・。」
士朗「ありがとうございました。またのお帰りをお待ちしています。」
客1「・・・あの、この後時間があったりしますか?」
先程の応答を元に微かな期待を込めて問う客だったが、
士朗「・・・申し訳ございません。妻が待っていますので。」
思いもよらない返答に呆然とする客。
客1「え? だってあなたさっき“彼女とかには縁がない”って・・・」
士朗「はい。妻以外とは付き合ったことはありません。」
あっさりと答える士朗に、興ざめする客。
客1「そういう意味だったなのね・・・」
士朗「・・・あの、何か気に障ることでもありましたでしょうか?」
客1「いいえ。別に何でもありません。」
士朗「それは重畳でございます。それではまたのお帰りをお待ちしております。」
再び、微笑む士朗。
客1(・・・この笑顔は反則よね・・・また来よう。)
・・・アレ? オチなし?(汗
42
:
ゲロロ軍曹(別パソ)
:2006/08/30(水) 23:46:08 HOST:i219-167-180-103.s06.a033.ap.plala.or.jp
○もしもあのキャラが・・・・・・PartⅥ○
=もしも銀魂のキャラ達がメイド喫茶で働いたら・・・=
○神楽編
男性のお客がメイド喫茶に入ると、何でか店の売り物らしきケーキを食べてるメイド服の女の子が出迎えてくれた。
神楽「いらっしゃいませヨー、ご主人様。あんた一人アル?」
客「え?あ、ああ、そうですけど・・。」
神楽「ち、使えねーなーおい、どうせ来るならもう2、3人連れてこいよボケ。」
客「あれぇぇぇぇ!?何それ、何その反抗的態度ぉぉ!?ここほんとにメイドカフェなのぉぉぉ!?」
神楽「いちいちうるせーアル、バカご主人様。さ、とっととついてくるアル、ごしゅ・・、バカご主人様。」
客「いちいちご主人様の前にバカってつけるなぁぁぁぁ!!」
そんなこんなながらも、とりあえず空席に案内されたお客。とりあえずメニューをみて、注文すること数分・・
神楽「お待たせしましたヨー、ご注文のチョコレートパフェアル。」
客「・・あれ?何これ??何で殆ど空なの??」
そう、その運ばれたチョコレートパフェは、もう殆ど中身がない状態だった・・(汗)。
神楽「すいまっせーん、運んでる途中で蒸発してしまったアル〜。」
そういってる神楽の口は、チョコレートだらけだった・・。(汗)
客「ウソつけぇぇぇ!!あんただろ、あんたが勝手に食ったんだろうが!!?」
神楽「をぃをぃ・・、人のせいにする気アルか?まったく、器が小さい男アルよ・・。」
客「ふ・・、ふざけんな、このチビメイドぉぉ!!」
そういって客はキレて、神楽に殴りかかろうとするが・・。
神楽「・・ほぁああちょぉおおおお〜!!」
客「(がきゃああああ!!)あぺらぱろぉぉぉぉ〜〜〜!!」
あっさり返り討ちにあってしまい、ガラスを割りながら店の外にぶっとばされた・・(汗)。
数日後、全治4ヶ月の客の病室に、あの店で割ったガラス代を請求する紙が届き、客は「理不尽だろうがぁぁぁ!?」と叫んだとのこと・・・(汗)。
43
:
ヤス
:2006/08/31(木) 00:01:06 HOST:softbank220059131169.bbtec.net
○便乗もしもあのキャラがメイド喫茶で働いていたら○
ある一人の男性がメイド喫茶に入った。
???「おかえりなさいませご主人様・・・・・・」
その女性は金髪が良く似合う凄く美人だった。
レオナ「私料理も担当させていただいておりますレオナ・ガーシュタインと」
――――終――――
と、まぁここで終わるのもなんなんで少々続きをば
レオナ「お冷になります、ご主人様」
テキパキとした作業で、だがちゃんと作業をこなしていくレオナ
客「ああ、有難う。」
客がそう言いつつお冷を飲むと・・・・
あ
あ?
焼ける
のど
熱い
痛い
あがえっれ
ぬ? 焼ける
客「がっは!あ、・・・・ああっっがああああああ!!??」
レオナ「む、ご主人様具合でも悪いのですか?」
客「ちょ、この、水!何が、はははは、入ってるんだよ!?!?」
喉を押さえつつ苦しむ客
そんな客にレオナ嬢はあっさりと
レオナ「ああ、これは当店自慢の水でして、体に極限までの痛みや苦しみを与え、
それに耐え切ったものに多大な力をもたらす水が使われております、
自分達はコレを「クスハ栄養ドリンク」又は「超神水」とよんでおります。」
客「んなこたぁどうでもいいわい!!」
44
:
神守柳
:2006/08/31(木) 12:35:15 HOST:softbank218133032078.bbtec.net
○もしもあのキャラが・・・・・・ PartⅥ○
=もしも柳のキャラがメイド喫茶で働いていたら・・・=
・舞夢の場合
舞夢「いらっしゃいませ〜ご主人様〜〜♪」
るんるん気分で客を出迎える舞夢。
舞夢「ご注文はいかがされましょうか」
客「じゃ・・・・じゃあこのア・ラ・もーどプリンパフェで・・・」(マテ
舞夢「かしこまりました〜♪」
そう言って奥へと向かう舞夢・・・しかし、この客はただの客じゃなかった!!(ぉ
客(ぐふふふふ・・・・プリンをあそこにわざとこぼしてふきふきさせてやる・・・ぐふふふ)(激しくマテ
妄想と空想が入り混じりなんか固有結界みたいな雰囲気をかもちだしながらその客は鼻息荒く待つ。
だが・・・・それは儚くも激しく打ち破られることになった。
舞夢「お待たせいたしました〜〜、どうせならと思いまして、私自身が作らせてもらいました〜」
客「(やっと来たか・・・・)ありがとうございます」
裏に様々な計略を巡らせながらターゲットとその道具を見る客は、その道具の方に、思わず目をこすって何度も見てしまった。
客「そ・・・・それは何・・・?」
舞夢「ふぇ?ア・ラ・もーどプリンパフェですよ〜?」
ア・ラ・もーどプリンパフェ(?)『ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ・・・・!!!(ボコボコボコボコ)』
気泡をプリンから発し、異臭と摩訶不思議な液体Xがパフェの底を埋め、そこから何やらこの世の物とは思えない叫び声まで聞こえる。
そう、舞夢はこれを『創造』してしまったのだ。それが、彼女の料理なのだ。
客「スイマセン、トイレに行ってきていいですか?」
舞夢「何言ってんですか♪こんなにおいしそうなのに・・・・」
客「スイマセン・・・まずそれ食べも・・・ぶっ!」
舞夢「ひど〜い!せっかく『造って』あげたのに・・・・」
どこから取り出したのか右手に鉄のハリセンを持って左手で頬を触って悩む舞夢。
机にはそれで叩かれた客が伏せていた。
客「造ったって・・・字が違うでしょ字がぁぁぁ!!」
舞夢「・・・・・・・・食べてくれないんですか・・・・?ご主人様・・・」
目を潤ませて客を見つめる舞夢を見て、客は悪い気がしてある決意を固めた。
客(これを食べたら絶対にここにこないようにしよう・・・・でも・・・もしかしたら美味しいかもしれないし・・・もうどうにでもなれ!!)
パフェを左手で支え、右手でスプーンを持つ。
そして・・・・意を決してスプーンで中の『モノ』をすくい、口へと運んだ。
その後どうなったかは・・・・・・皆さんの想像にお任せします(マテ
○おまけ・・・・その2
――――数日後
舞夢「う〜ん・・・何が駄目なのかなぁ・・・」
戒「お?どうした?」
舞夢「いや、ね・・・・どうしてか・・・私お客様から避けられてるみたいで・・・」
どうしてだろう・・・と舞夢は頭を抱える。
ケビン「何かしたの?」
舞夢「う〜ん・・・ちゃんと接客して、注文も受けて・・・・完璧なのになぁ・・・」
戒「他に何かしたんじゃねぇの?そうだな・・・せっかくだからって注文された料理作ったとか」
冗談交じりで笑いを浮かべながらケビンはまさか〜と言って一緒に笑う。
舞夢「え?それ駄目なの?」
戒&ケビン「当たり前だ!!」
その後、戒とケビンに説教される舞夢であった・・・・・・。
45
:
きつぐ
:2006/09/02(土) 21:01:21 HOST:AH1cc-09p106.ppp.odn.ad.jp
○もしも、あのキャラが・・・・・・Part・・・・・・いくつだ?(汗○
=もしも、きつぐのオリキャラたちがメイド喫茶で働いていたら・・・・・・=
メイド達「いらっしゃいませ〜、ご主人様〜♪」
テン「・・・・・・・・・何故俺はこんなところに来てるんだろう」(←客として来ている。間違ってもメイドはやってない。
ヒメ「いらっしゃいませ〜」(とてとて
ユメ「いらっしゃいませ〜」(とてとて
テン「・・・・・・・・・ん?ちょっとマテやっ!?年齢的に問題大有りだろうっ!?それわっ!?」
まぁ、まずは軽くジャブから(ぉ
フィー「ご主人様・・・・・・お席にご案内させていただきま―――」(←硬直
テン「・・・・・・?」
フィー「わーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!?」
響き渡る絶叫。こっちも十分に驚いたが・・・。
フィー「なななななななっ、なんでキサラギが居るのですかなんで!?」
テン「いや、なんでと言われても・・・・・・たまたま入ったらというか・・・なにか別の意思が働いたというか・・・・・・んで、何故にお嬢が?」
そういう企画なのでしょうがない(ぉ
フィー「で・・・・・・注文は?」(←なげやり
テン「接客態度がなってねぇぞ・・・・・・」
フィー「貴方に対してだけですから」(←営業スマイル
テン「・・・・・・・・・・・・あー、お勧めとかある?」
隣でテーブルを拭いていたメイドさんの目がきらりと光って、
フィー「なにがいい―――」
メイド「スペシャル入りま〜〜〜〜すっ!!」
まだ、頼んでねぇっ!?(ぉ
「スペシャル入ります!」「スペシャル入ります!」「スペシャルです!」「おおスペシャル!」「スペシャル入りましたーーーーーーーっ!」
入っちゃったらしい。くそっ、ドンときやがれっ!何がなんだかわからないけど。
メイド「はい、“まず”は飲み物です♪」
テン「いや、どーみてもただのジュース―――」
メイド「はいここからがスペシャルっ、チャーーーーーーーーーーーーンスっ!!」(SE:パンパカパーーーン
どーでもいいけど、あんた何者?(ぉ
メイド「この中から、くじを引いてください!」
何も考えずに近場のやつを引く。
メイド「おおっ!?はい、大人しくしててくださいね♪」
メイドさんが何かを懐から取り出して、フィーの頭に装着。
フィー「え?」
メイド「らぶらぶスペシャル絶好調!猫はお膝で丸くなる!サービスはもちろん当店人気ナンバーワンの―――」
フィー「待ってくださいっ!!まさか、あぁっ!?さっき付けたのはネコミミですかっ!?こんなもの・・・・・・は、はずれないっ!?」
テン「・・・・・・・・・・・・・・・・・・つか、人気ナンバーワンだったのか」(←現実逃避中
ここだけの話、皆がナンバーワン(ぉ
フィー「やりません!私やりませんから!絶対にそんなこと出来ません!」(ぴこぴこ
メイド「えー、いいじゃん、お膝。きっとあったかいんじゃないかにゃー。にゃー」
フィー「・・・・・・・・・・・・そ、そんなこと軽々しくするものではありませんっ!!」(ぴこぴこ
メイド「その間はなにかにゃー?・・・・・・あ、盗られちゃったよ?お膝」
フィー「へ?」(ぴこぴこ
ユメ「はにゃ〜〜、あったかい・・・・・・」(←ネコミミ装着済
ヒメ「うにゅ〜〜、ゴロゴロ・・・・・・」(←ネコミミ装着済
フィー「き、キサラギィィッ!!」(ぴこぴこぴこぴこぴこぴこ
テン「俺、何もしてねぇだろぉがぁっ!?つか、客に手をあげるのはやめ―――」(SE:ドンガラガッシャーーン
ちなみに、“ぴこぴこ”はネコミミが動く音(ぉ
メイド「派手にやられたね〜、大丈夫かい?」
テン「うぅ・・・・・・一応、立てる程度には・・・・・・」
メイド「じゃ、はい♪」
テン「こ、これは・・・・・・・・・?」(滝汗
メイド「請求書♪」
おあとがよろしいようで(ぉ
46
:
藍三郎
:2006/09/03(日) 22:34:33 HOST:softbank219060041115.bbtec.net
※この話は「戦国BASARA2」の世界観に、
「SAMURAI DEEPER KYO」のキャラクターを加えたIFストーリーです。
○戦国BASARA外伝 「鬼眼」対「覇王」!!○
時は戦国乱世・・・
数多の英雄豪傑が天下統一に乗りだし、世はまさに群雄割拠の時代を迎えていた。
尾張の織田信長、甲斐の武田信玄、越後の上杉謙信、三河の徳川家康・・・
世に名高き名将達が、天下の覇権を巡って骨肉相食む争いを続ける中・・・
また一つ、天の座を狙う巨星が、乱世へと名乗りを上げた。
豊臣軍・・・
総大将・「豊臣秀吉」率いるこの軍は、最近台頭し始めた新興勢力である。
新勢力である彼らは、他の勢力に対抗するため、
戦国最高の天才軍師・「竹中半兵衛」の主導の下、
いかなる手段も選ばず軍隊が強化されており、
他勢力の兵士も積極的に登用、引き抜きされている。
そのため、全軍中最も多種多様な兵種が存在している。
軍団規模は日を追うごとに膨れ上がり、
その近代的な技術力と多種多様な兵種は、新興勢力ながら脅威となっていた。
荒れ果てた大地・・・
この不毛の地では、豊臣軍本隊と遭遇した徳川の軍勢とが、
激戦を繰り広げている真っ最中だった。
「「「「「「ウォォォォォォォォォ!!!!!」」」」」」
無数の兵士たちの叫びが、あたかも暴風雨のように戦場に木霊する。
百を優に越える兵士達の群れは、各々武器を構えて、雪崩の如く押し寄せる。
その先には、一人の男が立っていた。
秀吉「・・・・・・」
数百の大群が押し寄せてくるにも関わらず、男は腕を組んだまま、無言で屹立していた。
六尺を越える巨体に、赤と黒の甲冑を身に纏っている。
その手には何の武器も携えておらず、ただ手甲が嵌められているのみだった。
太い眉毛の下に覗く双眸は、鬼のような威圧感を湛え、
また一方で一点の曇りも無いかの如く澄み切っていた。
この男こそ、「豊臣秀吉」。
乱世を平定し、日本を変えるため立ち上がった「覇王」である。
兵達の駆け足が地面を地響きの如く揺らしても、男は泰然自若として動かない。
やがて、兵達が構えた無数の槍の穂先が、秀吉が穿たんと向けられた時・・・
秀吉「むぅん!!!」
秀吉は気合一閃、その鬼の如き巨腕を無造作に振るった。
たったそれだけ。
ただそれだけの事で、圧倒的なまでの「力」の波動が生み出され、
並み居る百の兵達を、紙人形の如くあっさりと散らした。
かすっただけで兵達は呆気なく吹き飛び、薙ぎ払われ、戦場に屍を晒した。
後方には、さらに数百の大軍が控えていた。
だが、兵達は百の兵を一瞬で屠った秀吉の力に戦慄し、二の足を踏んでいた。
秀吉「行くぞ・・・その命をもって、我が国の礎となれ!!」
秀吉は両腕を広げ、敵の軍勢に無防備に突撃した。
怒涛の如く突進してくる秀吉に、敵兵は慌てて弓に矢を番える。
まだ秀吉が接近するまでには距離がある。
一気に矢を放ち、あのバケモノを射殺すのだ―――!
多数の弦を引く音と共に、一斉に矢が放たれた。
天空に飛翔した数百の矢は、雨霰の如く秀吉に降り注ぐ。
その身に受ければ、無数の矢が突き刺さった血みどろの彫像が出来あがる事だろう。
だがそれも・・・覇王の前には無力だった。
秀吉「はぁっ!!!」
兵達を薙ぎ払った時と同様、腕を大きく振る秀吉。
まさに、雲をも消し飛ばす豪拳。
飛来した数百の矢は、拳圧で巻き起こった爆風によって吹き飛ばされた。
弾き飛ばされた矢は、逆に敵の軍勢に飛んで行き、矢を射った兵達の体に突き刺さる。
秀吉「見るがいい、この戦場に枯れし万骨を!!」
総崩れとなった敵軍を、秀吉は容赦なく蹂躙した。
その巨腕で敵を吹き飛ばし、体を掴んで握り潰す。
圧倒的な恐怖と力・・・
「裂界武帝」・・・三界をも裂く帝王の前に、
兵たちは屍を晒すか、無様に逃げ惑うしか無かった。
47
:
藍三郎
:2006/09/03(日) 22:43:20 HOST:softbank219060041115.bbtec.net
兵士「く、くそぉ・・・!」
生き残った兵達の中でも、まだ志気の残る者達は、捨て身の覚悟で秀吉に槍を向ける。
起死回生のチャンスに賭け、秀吉の背後から特攻をかけるが・・・
「愚かだね。君達は何故死ににいく?」
ヒュッ―――――!!
兵士「ぎえぇっ!?」
歪な断末魔と共に、彼らの顔の鼻から上がズバッ・・・と分かたれた。
鮮血に染まる眼で、彼は見た。宙を踊る、白蛇の如き刃の姿を・・・
秀吉「半兵衛・・・お前か・・・」
秀吉の傍に忽然と現われたのは、白衣に青い布を肩にかけた一人の青年だった。
秀吉とは正反対のすらりとした体つきに、端正な顔を紫色のマスクで隠している。
手に携えた武器は、一件普通の日本刀のようだが、刀身には縦列の割れ目が走っていた。
関節剣「凛刀・雫卦(しずか)」・・・刀身が複数のパーツに分かたれており、
鋼線で接続され鞭のようにしならせる事の出来る特異な剣である。
半兵衛「余計な気遣いだったかな?秀吉」
透き通った声で離す青年の名は竹中半兵衛。
戦国最高の天才軍師と称され、その智略と頭脳で、
現在の豊臣の軍隊を築き上げた人物。
そして・・・総大将・豊臣秀吉の無二の親友である。
秀吉「見ろ半兵衛・・・何と情けない姿だ」
秀吉は地平線の先に目をやる。そこには、敗れて逃げ惑う兵達の姿が映っていた。
秀吉「だが、これがこの国の現実だ・・・半兵衛、やはりこの国は弱い!」
目に見える世界の、はるか先を見据えながら、秀吉は続ける。
秀吉「外の世界の脅威も知らず、小事に拘り争いを繰り返すばかり・・・
このままでは、いずれ国は腐り、より大きな力に呑みこまれる・・・!
国を富ませ、兵を強くせねばならぬ。そのために、この国を一つにする!」
「富国強兵」・・・
日本を世界に通じる強き国にする・・・その理想を掲げ、豊臣秀吉は決起した。
まず戦国乱世を終わらせ、天下を統一する。その後に、日本を強く生まれ変わらせる。
天下統一も、秀吉にとっては単なる通過点・・・彼の目指す世界は、天下のその先にあった。
半兵衛「秀吉・・・僕が君の軍を大きくしてみせる。
だから、君は己の理想に向かって突き進んでくれ」
竹中半兵衛は、そんな秀吉の理想に最も強く共鳴した者だった。
無二の親友のために、そして、彼の抱く理想のために。
半兵衛は、豊臣軍を最強の軍隊にすべく、命を削る覚悟を決めていた。
秀吉「うむ・・・頼りにしているぞ。半兵衛」
親友に、言葉だけで返事を返すと、秀吉は前に出て拳を天に突き上げた。
秀吉「我こそが時代の父!我が創るは、国の行く末!!」
「「「「「「ワァァァァァァァァァァァ・・・・・・!!!!」」」」」」
大歓声と共に、秀吉の周囲に豊臣の旗が立ち昇った。
半兵衛の手によって選りすぐられ、豊臣秀吉に絶対の忠誠を誓う精鋭達である。
秀吉「我が拳が、時代を変える!!」
秀吉の体から、眩いばかりの光の闘気があふれ出る。
「覇王」の風格を全身から放つ君主の姿に、豊臣の兵たちは昂揚した。
秀吉の威光をその目にし、半兵衛は微笑みを浮かべた。
他を凌駕する覇王・豊臣秀吉。理想に燃え、使命感に満ち溢れた兵士達。
そして、時代の先を行く豊臣の軍事力。
これらが揃えば、天下統一を必ず成し遂げられる。
半兵衛には、その揺るぎ無い確信があった。
半兵衛(だけど・・・唯一の不安材料は・・・)
半兵衛は黙って胸に手を当てる。
最近は収まってきているようだが・・またいつ牙を剥くかわからない。
彼の最大の懸念材料は・・・彼自身の中に眠っていた。
半兵衛(時間が・・・時間だけが僕をこうも駆りたてる・・・!)
今更命など惜しくは無い。
だが、秀吉の理想を叶える事なく朽ち果てるのは、死よりも恐ろしい事だった。
一分一秒でも時が惜しい。半兵衛は最後まで秀吉の下で戦い抜ける事を切に願った。
48
:
SD
:2006/09/04(月) 00:31:22 HOST:usr211019181033.tcn.ne.jp
○異界の魔道士○
クライド「……嘘だろ。
先生が、アルツハイマーなんて……どういうことだよ、おい!?」
ビットが月光花病院を出てから、数十分後。
彼は、マスターの愛弟子であるクライドの元を訪ねていた。
本来ならば、マスターの口から直に聞かせたかったが、状況が状況。
ビットは現状を、クライドに一切合財説明したのだ。
勿論……クライドにとって、それは容認できる事ではなかった。
自分にとっては、もはや父同然の師であるマスター……彼が死ぬなど、信じられなかった。
だが、現実は残酷である。
ビット「……全部、本当の事だ。
マスターはアルツハイマーに侵されて……自分自身を失っちまう前に、死ぬつもりだ。」
クライド「そんな……ふざけんなよ。
何で……何で……っ!!」
どうしようもない怒りが、そして悲しみがこみ上げてくる。
クライドは床に両膝を着き、その場で涙を流した。
何故、マスターでなければならないのか。
彼はまだ、死んではならない……この世界にはまだ、戦場の覇者の力が必要なのだ。
そして何より……自分には、彼が必要なのだ。
絶望に打ちひしがれ、ただただ、クライドは涙を流した。
彼にとってこの事態は、最悪としか言いようがなかった
しかし……その絶望を打ち砕く希望は、まだ残されている。
ビット「クライド……俺もお前と同じだ。
あいつを……マスターを、死なせたくねぇ。
だから……俺は、最後の最後まで悪足掻きをするつもりでいる。」
クライド「え?」
ビット「この世界の医療が限界なら……異世界に行って、マスターを助ける手段を探すんだよ。」
クライド「あ!!」
この時、クライドの顔から絶望の色が消え去った。
彼もマスターやビットと同様に、時空を越えて異世界へと旅立った経験があった。
そしてその時……彼は仲間の大魔道士から、ある代物を手渡されていた。
時空の壁をも越え、対話を可能とする通信機……真紅の瞳。
あれを使えば、あの大魔道士を……クラウス=ド=シングス=エターナルと会話が出来る。
彼の力を使えば、時空転移を行える……異世界へと旅立てる。
クライド「そうだ……異世界に行けば、先生が助かるかもしれない!!」
ビット「ああ……諦めるには、まだまだ早ぇ。
やろうぜ、クライド……マスターの奴を、俺達の手で救うんだ!!」
クライド「ああ……ちょっと待っててくれ。
真紅の瞳は今、ネビアが持ってるんだ……すぐに持ってくるよう、電話するから。
それと、ファクトと凛、マユにも連絡しておく。
俺達二人だけじゃ、人手不足になりそうだしな。
ラビット隊とかグングニルの奴等にも、出来れば話しときたいけど……あいつ等の連絡先、知らないからな。
だから、連絡の都合がつく奴等……GUNLOCKのメンバーを、全員集めてみる。」
ビット「分かった。
確かに、これは俺達だけの問題じゃねぇ。
今までマスターと関わってきた奴、全員にとっての問題だしよ。」
49
:
ヤス
:2006/09/05(火) 23:57:04 HOST:softbank220059131169.bbtec.net
<<元ネタ、嘉門○夫>>
マサキ「あ、甲児、甲児じゃねぇか!」
豹馬「はい?」
マサキ「俺だよ!マサキ!マサキ・アンドー!いや〜、相変わらず凄いモミアゲだな!」
豹馬「いや、俺豹馬ですけど。」
マサキ「またまた〜、冗談が上手いんだから甲児は。」
豹馬「いや、だから俺は豹馬だって。」
マサキ「解った解った、今日は豹馬って呼んでやるよ。」
豹馬「いや、だから本当に俺は豹馬なんだって!」
マサキ「いい加減にしろよ!」
豹馬「どっちがだよ!?」
マサキ「いいか、甲児、お前は俺の戦友で、マジンガーZのパイロット数々の戦場を共に駆けた仲じゃないか!」
豹馬「いやだから俺は本当に豹馬なんだっつぅの!!」
マサキ「あー!そうかよ!お前が認めるまで俺はここを動かないからな!お前は甲児だぁぁぁ!!」
豹馬「あ〜!もう!解ったよ!俺は甲児!お前の戦友でマジンガーZのパイロット!満足か!?俺は甲児ですぅぅぅ!!」
マサキ「嘘付け、お前は豹馬だ。」
50
:
SD
:2006/09/06(水) 23:42:11 HOST:usr211019181033.tcn.ne.jp
※この話は、「∞ 〜Infinity〜」の564の続きに当たります
○離したくない○
―――俺、戻ってきたら……誰よりも真っ先に、お前に会いに行くからな。
―――だから、俺の事、待っててくれよな。
―――絶対に、約束だぞ
―――また会えたら、その時は……
稜(……あれから、結構経ったよなぁ。)
琴美「……稜さーん?」
東京都内のとある場所に位置する、ケーキ屋。
その隅にある席で今、二人はケーキを食べていた。
遡る事少し前。
御互いに気持ちを伝え合い、晴れて恋人同士となった後の事だった。
琴美は稜に向かい、こう言ったのだ。
「折角付き合い始めたんだから、一緒にデートしたい」
勿論稜はその頼みを、喜んで受け入れた。
彼とて気持ちは、同じであったからだ。
そして二人は、仲良くWMCの東京支部を出、ここに至った訳である。
その最中だったのだ。
稜が手の動きを止め、何やら考え事をし始めたのは。
どうやら、琴美の声も聞こえていないようである。
一体どうしたのだろうか……確認しようにも、本人がこちらに反応してこない。
もっと大きな声を出すか、彼の体に触れるか……そうでもすれば、多分気付くだろう。
そう思った琴美は、ここで思わぬ行動に出た。
琴美「稜さ〜ん♪」
稜「ん……っ!?」
琴美は稜の頬へと、軽くキスをしたのだ。
ここでようやく稜は、琴美が自分を読んでいる事に気付いた。
しかし、彼女がとってきた大胆な行動に、驚き呆然としている。
席が隅故に誰も見ていなかったから、良かったが……
稜「……もうちょい、別の方法って無かった訳か?」
琴美「だってぇ……嫌でした?」
稜「ったく……嬉しいに決まってるだろ?」
本当、可愛過ぎる。
目の前の少女の行動全てが、嬉しくてたまらなく感じる。
どうやら自分は、よっぽど病気のようだ。
ここまで、彼女に夢中になってしまっているのだから。
稜「ちょっと、昔の事思い出してたんだ。
俺とお前が、離れ離れになっちまった時の事。」
琴美「あの時の……あ。
もしかして、最後に稜さんが言ってた事ですか?」
稜「……よく覚えてるな。」
琴美「当たり前ですよ……私にとっても、あの日は忘れられない日なんですから。
あの日から、私は……ずっとずっと、稜さんの事ばかり考えてたんですよ?」
稜「……俺もだよ。
お前の事、気がついたらいっつも考えててた……心の底から、好きになってたんだろな。
……あの時俺が言った事、覚えてるよな?」
琴美「勿論ですよ……また会えたら、その時は」
稜「また一緒に、二人で遊ぼうな……やっと叶ったよな。
まあ、あの時の俺達と今の俺達とは、ちょっと違うけどよ。」
琴美「昔は友達同士……だけど、今はそれ以上ですからね♪」
稜「ああ……もう、絶対離れたくねぇ。
もしもまた、あの時と同じことがあったら……俺はそいつに逆らう。
全部放り出してでも、お前の側にいてやるよ。」
琴美「稜さん……」
稜「琴美……大好きだ。」
例え……全てを敵に回してでも構わない。
もう、二度と側から離れない。
何があろうと……一生、側にいたい。
ずっと……ずっと一緒に。
51
:
新堂スプラッシュ
:2006/09/08(金) 23:59:52 HOST:softbank218119098031.bbtec.net
スーパーロボット大戦DS
発売日:12月予定
ストーリー
世界は様々な可能性を秘めている、
それがパラレルワールドである・・・
ネオセンチュリー100・・・
シャア・アズナブルの起こした地球寒冷化作戦は大詰めを迎えていた。
小惑星アクシズは今まさに地球に落下しようとしていた・・・
だがロンドベル隊のMS,スーパーロボットは最後まであきらめず、自らの機体を使いアクシズを押し上げようとした。
そして、νガンダムから放たれた光・・・それが終わりであり
始まりであった・・・
別の地球は地獄だった・・・
人類は未知の敵「BETA」と戦い・・・
「宇宙革命軍」と「新地球連邦軍」の争い・・・
そして「ブラックロッジ」なるテロ組織・・・
この地獄で彼らは何を守り、何のために戦うのか・・・
答えは見つからぬまま彼らは決意した・・・
死んでたまるか!!!!!
生きろ、真実を掴む時まで・・・
参戦作品
機動戦士ガンダム スターダストメモリー
機動戦士Zガンダム
機動戦士ZZガンダム
機動戦士ガンダム 逆襲のシャア
機動戦士ガンダムF91
機動新世紀ガンダムX
マジンガーZ
ゲッターロボG
UFOロボグレンダイザー
超電磁ロボコン・バトラーV
超電磁マシーンボルテスⅤ
闘将ダイモス
新規参戦
マブラヴ・オルタネイティヴ
機神咆哮デモンベイン
またやってしまった新作妄想・・・
あー、これ現実しねぇかな?
52
:
藍三郎
:2006/09/11(月) 00:45:28 HOST:softbank219060041115.bbtec.net
○もしもあのキャラが・・・PartⅦ(で、いいんだっけ?○
・風上月さんの場合
アイス「どうも〜、こんにちは〜」
ルナ「は〜〜い♪おかえりなさいませ、ご主人さ――――」
営業スマイルで出迎えたルナは、客の顔を見るや否や顔を凍りつかせた。
ルナ「て、あんたかよ!!」
アイス「やぁ、ルナさん。
あなたがこの喫茶店で働いているという噂を聞いて、早速駆けつけましたよ♪」
笑顔で挨拶するアイスに対し、ルナは渋い顔のままだった。
ルナ「あっそ・・・誰がチクったのかしら・・・カズキ?後でシメとか無いと・・・」
と、小声でぶつぶつ呟く。
アイス「それにしても・・・ルナさんの給仕服姿、
初めて拝見しましたが、中々お似合いですね♪」
ルナ「そ、そう?」
普通に褒められて、返す言葉に困るルナ。
アイス「ええ、財産狙いで、メイドとして大富豪の家に忍び込み、
包丁で雇い主の一族を次々と血祭りに上げていくルナさんを想像すると・・・
フフフ・・・ゾクゾクしてきますねぇ・・・ああ、私も刺されたい・・・」
自分で自分の体を抱きしめて、興奮に震えるアイス。
ルナ「私は古いミステリー小説の犯人役かっ!
というか、メイド服からそんな妄想するのはあんただけよ・・・」
アイスの妄想にルナは呆れ返ってため息を吐く。
ルナ「まぁ、一応客だからそれなりの扱いはしてあげるわ。
とっとと座って注文して料理食べて金払って帰りなさい。
今すぐUターンして店から出ていってくれるのが、私としては一番嬉しいけど・・・」
アイス「はははは・・・その客を客とも思わぬツンケンした応対が、
また私の心に響きますねぇ。これがルナさん流の“おもてなし”の心でしょうか?」
ルナ「またバカなことを・・・」
呆れるルナの方を見ながら、アイスは近くの椅子に着席しようとするが・・・
アイス「・・・おっと、この椅子には仕掛けがあって、
座った瞬間電流が流れる・・・な〜んて事は無いですよね?」
ルナ「あるかっ!!
いいからさっさと注文しなさい!!」
乱暴にメニューを叩きつけるルナ。
アイス「では、この『メイド手作りのあつあつナポリタン』を頂きましょうか」
ルナ「はいはい・・・では、少々お待ち下さいませ、ご主人様」
棒読みでそう言うと、踵を返して厨房へと向かう。
アイス「いや〜〜ルナさんの手料理なんて初めて食べますよ。楽しみですね」
ルナ「何言ってるの?メイドの手作りなんてウソっぱちよ。
料理は他に作る人が別にいるの」
アイス「え?そうなんですか?」
ルナ「おまけに、パスタもソースも出来合いのをレンジでチンしたものよ。
コンビニで売ってるスパゲッティあるでしょ。あれとほぼ同じと言っていいわね。
これで2500円なんだから、ぼったくりもいいとこだわ」
アイス「何とまぁ・・・」
ルナ「店長が言うには、『メイド狂いのヲタクにどーせ味なんかわかりゃしねぇ。
奴らはメイドが出した物なら残飯でも美味しく食べるんだ』だ、そーよ」
アイス「腐ってますねぇ・・・でも、その客を思いっきりバカにした態度には、好感を覚えます♪
でも、いいんですか、そんな企業秘密を私にバラしちゃって」
ルナ「何でかしらね・・・もうどーでも良くなってきちゃった。
儲けている割には給料も安いし・・・そろそろ辞めるつもりだったしね・・・」
53
:
藍三郎
:2006/09/11(月) 00:46:03 HOST:softbank219060041115.bbtec.net
それから・・・約1分後・・・
ルナ「はい、お待たせしましたご主人様。
さっさと食べて回れ右してお家に帰りやがれこの野郎」
敬語と罵倒を一緒くたにして使うルナ。
アイス「では、いただきます。あ―――・・・もしかして・・・」
ルナ「『爆竹が入ってるのでは?』とでも言うつもり?んなわけないでしょ」
アイス「何と・・・私の考えを読むとは・・・
あなたも段々、この私のことが理解できてきたようですね♪
お互いを理解し会うことこそ、関係を深める第一歩です♪」
ルナ「気色悪い事言うな・・・好きでわかってきたわけじゃないわ・・・」
アイス「では、レトルトでもルナさんの心の篭った料理、いただきます」
ルナ「勝手に妄想して食べてなさい。私はあっちで漫画でも読んでるから」
完全にやる気を無くしたように、さっさと店の隅へと引っ込む。
アイス「・・・おや?」
静かにスパゲッティを食べていたアイスは、ふと何かに気づいた。
アイス「ルナさん、ルナさん」
ルナ「・・・?何よ?」
アイス「ほら、見てください」
面倒くさそうに立ちあがるルナに、パスタを掬ってあるモノを示す。
アイス「このスパゲッティ・・・髪の毛が入ってますよ?」
見ると、赤いソースの間に一筋の紫色の髪が混じっていた。
ルナ「な!!!」
アイス「あーっはっはっはっは!!
料理に髪の毛を入れるなんて、気づきにくいですが地味に効くイヤガラセですねぇ!!
私の心にも、グサリと響きましたよ♪」
ルナ「ちょ、ちょっと違うわよ!私は知らないわ・・・!」
アイスは耳を貸さずに、残ったスパゲッティを一気に食べる。
アイス「いや〜〜・・・ご馳走様でした♪
貴女のご奉仕、堪能いたしましたよ。では、また来ますね〜」
勘定を支払った後、アイスはうきうきした足取りで店を後にした。
残されたルナは、突っ立ったまま小さく呟いた。
ルナ「・・・何この敗北感・・・つか、もう二度と来んな」
54
:
新堂スプラッシュ
:2006/09/13(水) 00:45:31 HOST:softbank218119098031.bbtec.net
3度目のスパロボ新作妄想。
世界が壊れる時
あなたと一緒に居たい
それだけでいい、それだけで・・・
PS3、初スパロボ
「スーパーロボット大戦 LOVE&DEATH」
参戦作品
新機動戦記ガンダムW
新機動世紀ガンダムX
機動戦士ガンダムSEED
真(チェンジ)ゲッターロボ
GEAR戦士 電童
マシンロボ クロノスの大逆襲
機甲戦記ドラグナー
新規参戦
機動戦士ガンダムSEEDDESTINY
熱血最強ゴウザウラー
勇者指令ダグオン
神無月の巫女
JINKI:EXTEND
マウラヴ・オルタネイティヴ
機神咆哮デモンベイン
世界の終わりに、ひとりぼっちはいや・・・
55
:
勇希晶
:2006/11/05(日) 23:18:19 HOST:softbank220063219079.bbtec.net
※このSSは、他のリレーSSと如何なる関係も持ちません。
※また、一部の人間にしかわからないネタがあります。普段チャットルームに行かない人は読まないことをお勧めします(ぇ
○Good Morning?○
朝。どこにいても誰にでも日々の生存を継続している以上は必ず経験する時間帯。
目覚め。それは活動の第一歩として生物が経験し続けること。
“彼女”にとっても普段ならば何の取り立てもなく過ぎていくコト。
だが、この朝は違っていた。
“彼女”「・・・・・・・・・」
朝。いつも起きる定刻をやや過ぎた時間に、“彼女”は目を覚ました。
“彼女”(ここ・・・は・・・?)
自分の部屋のベッドとは違う匂いと、自分の部屋とは違う生活臭(におい)。
そして。
“彼女”「!?!?!?!?」
意識が一瞬で覚醒する。
“彼女”(な、ななな、ななななっ?!)
あまりに衝撃的な事実に、思考回路が一瞬でショートする。
そんな中悲鳴を挙げなかったのは日々の訓練の賜物か。
“彼女”(なんで、私はこんなことを?!)
声に出さず心中で叫ぶ。
それはそうだろう。なんせ朝起きたら自分の知らない間に、世界で一番愛する人の腕の中にいたのだから。
状況的には喜ばしい事かも知れない。だが、そう楽観できるほど“彼女”の人生経験は深くなかった。
“彼女”(落ち着け。落ち着きなさい。まずは・・・そう、状況整理。)
冷静に、自らの置かれた状況を把握する為に動く。
まずは、隣で先程の自分と同じように寝ている“彼”を起こさないように片手で自分の身体を探る。
“彼女”(服・・・は着てる。下着も脱がされた形跡はない・・・)
それを確認して“彼女”は安堵感と共に軽い寂寥感を覚える。
“彼女”(・・・まだ、駄目なのでしょうか・・・)
ふと、その寂寥感に突き動かされるように、未だ成長途中(と信じたい)な為控えめな自分の胸に手を当てる。
以前読んだ本によると、男性はおしなべて大きい方が好きだということだった。
目の前の“彼”もそうとは限らないのだが、それはそれ。恋は盲目と言うべきか、恋する乙女の妄想と言うべきか。
とにかく、“彼女”は自分の控えめな胸にちょっとした劣等感(コンプレックス)を抱いていたりする。
“彼女”(・・・っ、今はそんなことを思っている場合ではありません! 状況整理状況整理・・・)
ヘンな方向へ行きかけた自分を叱咤し、再び状況整理に入る。
“彼女”(昨日は確か・・・)
自分の昨日の行動を顧みる。
確か、自分は自宅でデスクワークをしていたはずだ。
だが・・・
“彼女”(・・・そこからの記憶がありません。・・・一体何故私はこんな状況に・・・?)
と、
“彼”「・・・ん・・・・」
“彼女”「!!!!!」
僅かに“彼”の瞼が動き、“彼”の目覚めがもう間もなくであることを悟る。
“彼女”(え、ええっと、こう言う時は一体どうすれば〜〜?!)
以前にもにたような経験はあったものの、あの時と今では状況がちょっと・・・いやかなり違っている。
以前は二人とも見知らぬ土地だった。だが、おそらくここは“彼”の自宅。
“彼女”も男性の部屋に入った経験が皆無ではないが、状況が状況だけに軽いパニックを起こしていた。
そんな“彼女”の心中を知るはずもなく、“彼”が目を覚ます。
“彼”「ん・・・・・。おはよう。」
“彼女”「お、おはようございまひゅっ?!」
寝ぼけ眼で挨拶してくる彼に挨拶を返そうとして、かんでしまう。おまけに声もかなり裏返っていた。
そんな“彼女”の様子を見て、“彼”はクスリと笑い、
“彼”「おはよう。麻耶。よく眠れたかい。」
“彼女”――降矢木麻耶が一番好きな笑顔で、笑いかけてくれた。
みるみるうちに自分の顔が上気していくのがわかる。
こんな状況でそんな顔されたら、どうしていいのかわからなくなる。
その結果、
麻耶「お、おはよう・・・ございます・・・・・・か、和摩。」
真っ赤なトマトのようになった顔で、呟くように“彼”――霞和摩へ挨拶を返すのが精一杯だった。
・・・この後、昨晩の出来事と、自分がこうなるまでの状況を和摩からその場で聞いた麻耶は、より顔を羞恥に染めることになるのだが・・・・・・・
それはまた、別の話。
56
:
ゲロロ軍曹(別パソ)
:2006/11/06(月) 13:07:13 HOST:proxy02.std.ous.ac.jp[pc3f056.std.ous.ac.jp]
〜嘘予告〜
その日彼女、『神楽坂明日菜』は、思いがけない出会いをする・・。それは、なんかトカゲっぽい生き物だが、普通のトカゲよりもかなりデカイ体で、それでいてちょっとデフォルメされてる、なんか可愛らしさを感じる、奇妙な生き物だった・・。
明日菜「・・、あ〜、私、つかれてんのかしら・・?さっさと帰って寝よ・・。」
彼女は『それ』の存在を真っ向から否定したいようで、かるーく現実逃避しながら帰路につこうとしてた。だが、『それ』自身はその言葉に「かっちーん!」ときた様子で・・。
?「おいこらぁ!俺のこと無視すんなぁ!!たかが人間の分際でぇ!!」
明日菜「う・・、うっさいわよ!私も今だって色々と大変なのよ!!あんたみたいなのに関わったら、更に大変そうな事になりそうっぽいから、無視したくもなるわよ!!」
?「訳わかんねー事いってんじゃねぇぇ〜!!」
するとその生き物は、助走をつけて明日菜に殴りかかろうとした。だが彼女はこれでも『バカレッド』などと呼ばれるほど学力は低いが、運動神経はずば抜けてる女子中学生。とっさに奇妙な生き物の奇襲を回避する・・。
明日菜「あ、危ないじゃないの!いきなりなにすんのよ!?」
?「!?(こ、こいつ、俺の攻撃をよけた・・!?)」
少し呆然とする奇妙な生き物。そして明日菜はその隙を見逃さなかった。
明日菜「こんのぉ・・、(ダダダダダ、ダァン!!)これでも喰らって・・、反省しろぉぉぉ!!(怒)」
?「んな!?(どげしぃぃ!!)あべひぃぃ〜〜!?」
明日菜が助走をつけて放ったキックが見事炸裂!奇妙な生き物は、ごろごろと転がって見事にK.O.となった・・。
明日菜「・・・・はっ!や、やば、やりすぎた!!なんかつい、反射的に・・。」
反射的にやった攻撃で、あれほどの威力出すんですかい、あんたは・・?(汗)
明日菜「ちょ、ちょっとあんた、大丈夫?!ねえ!??」
?「きゅう〜・・・・。」
明日菜の呼びかけもむなしく、奇妙な生き物はいまだ気絶したまま・・。そんな事態のなか、明日菜はただため息をつくしかなかった・・。
(続く)
57
:
ゲロロ軍曹(別パソ)
:2006/11/06(月) 14:29:51 HOST:pc49.edu.ice.ous.ac.jp
そして少し時間がたって・・・、
?「う・・・、うーん・・・?」
奇妙なトカゲっぽい生き物がゆっくりと眼をあける。ふと、頭の上になにやらひんやりするものがおいてあるのを感じた。すぐさま確かめると、それは水で冷やされて濡れているハンカチだった・・・。
?「なんでこんなのが・・・?」
「あ、やっと気がついた?」
奇妙な生き物はその声に気付き後ろを見てみると、先ほど自分に強烈なキックを当ててくれた張本人、神楽坂明日菜がいた・・・。
?「おまえ!さっきはよくも『・・悪かったわね。』・・・へ?」
いきなり謝罪の言葉をかけてきた明日菜に、少し拍子が抜ける奇妙な生き物・・・。
明日菜「・・・だから、悪かったっていってんの。まあ、いきなりあんたが殴りかかってきたことで頭にきたんだけど・・あれはちょっとやりすぎだったって反省してるわよ・・。」
何だかばつが悪そうな表情で謝罪する明日菜・・・。そんな中、奇妙な生き物はふと自分の手にある濡れたハンカチを見て思ったことがあった・・。
?「もしかしてこれ・・、お前が?」
明日菜「・・まあ、ね。あのままあんたをほっといて逃げるってのは、どうにもできなかったし、それに・・、私のせいだって、自覚してたし・・。」
苦笑いの表情を浮かべながら答える明日菜。そしてそれを黙って聞いていた奇妙な生き物・・。
?「・・あのさ、あんた、名前は・・?」
明日菜「?私の名前??」
明日菜の問いかけに、「こくっ」、と黙って首を縦にふる奇妙な生き物。そんな様子を見ながら、明日菜は少し微笑ながら自己紹介をすることにした。
明日菜「アスナ。神楽坂明日菜よ。」
?「ふーん・・・。・・よーっし、決めた!」
明日菜「??」
?「俺の名前は『アグモン』!俺、今日から明日菜の姐御の『子分』になる!!!」
・・・・・・・・・
・・・・・・
・・・
明日菜「……、はあああ!???」
あまりにも唐突な「アグモン」という奇妙な生き物の発言に、明日菜はただただ驚きの声をあげるしかなかった・・・(汗)。
明日菜「ちょ、ちょっと待ちなさいよ!なんだってあんたが私の子分になるのよ!?・・・っていうか、姐御って呼ぶな!!」
アグモン「いいじゃんか!俺、姐御から色んなこと教わりたいんだよ!!」
明日菜「だから、姐御って呼ぶなっつてんでしょうがあ!!(怒)」
そしてそれから数分ほど二人は口論していた。だが、そんな彼女たちの元に、ある人物が現われた・・・。
?2「・・・おい、神楽坂。お前こんなとこで何やってんだよ・・?(溜息)」
明日菜「え・・?」
聞き覚えのある声がしたので、その声の方向を振り向くと、そこには眼鏡をかけた女子中学生らしき少女がいた・・・。
(続く・・・)
58
:
ヤス
:2006/11/10(金) 21:55:11 HOST:softbank220059131169.bbtec.net
彼女の名前はラミア・ラヴレス
ATXチーム所属
イスルギ重工の新兵器テストパイロット
だが、それは表向きの姿―――
ラミア「私達はこことは別の世界、平行世界からやってきた―――」
さぁ、物語を始めよう、決して語られる事の無い、もう1つの鋼鉄の戦士たちの話を―――
<<スーパーロボット大戦OG2―――AnohterStory―――>>
3
2
1
どかーん
てってけてーてってけてーてけてけて(BGM)
エクセ「わーい!!よいこの皆〜集まれ〜!」
ラトゥーニ「えと、その・・・あつまれぇ・・・・」
エクセ「なぜなにクロガネの時間だよ〜!!」
タスク「プロローグ台無しだぁぁぁぁ!?」
キョウスケ「題名はさんだら世界変わってるぞ。」
ラミア「皆さんこんばんわ、なぜなにヒリュウ改の時間です。ラミア・ラヴレスでございますです。
アシスタントはお馴染みラトゥーニお姉さんとウサギエクセレンお姉さまでございますです。」
タスク「突っ込みたいことは沢山あるけど時にエクセさんにラミアさん、その格好はなんですか。」
リョウト「て言うかなぜなにクロガネじゃあ・・・」
見るとエクセレンはバニー姿、ラミアは女医の格好をしている。
エクセ「いやぁ〜、やっぱりウサギさんと言えばこの格好でしょ〜う♪」
ラミア「止めろと言われれば止めるが・・・」
タスク「 い や 、 大 歓 迎 で す 。 」
キョウスケ「それで何でまたこの奇妙奇天烈なセットをブリーフィングルームに作ったんだ?」
リョウト「なぜなにクロガネ・・・」
ラトゥーニ「えとですね、ラミアさんがこれからラミアさんの世界のお話をしてくれるって言う事で・・・」
ラミア「はい、向こうでの戦闘記録等をお話すれば此方でも役にたつのではないのかと思い。」
エクセ「そう、数少ない相手の情報が聞ける上に、向こうの世界のアタシ達の武勇伝も聞けて一石二鳥。」
キョウスケ「質 問 に 全 く 答 え て い な い ぞ 。」
ラッセル「まぁ、いいじゃないですか、この戦況下相手の情報が少しでも欲しいのは変わらないですし、まぁ格好はアレですけど。」
エクセ「理解が早くて助かるぴょん♪てな訳でラミアお姉さん!お願いします!」
59
:
ヤス
:2006/11/10(金) 21:56:39 HOST:softbank220059131169.bbtec.net
↑の続き
ラミア「それではお話します・・・」
タスク「ごくり・・・・」
ラミア「新西暦245年、地球は未曾有の危機にありました、世界中は核の炎に包まれ植物は枯れ、
放射能により生物一匹生きていけない環境になりました、更にその混乱に乗じ「ティターンズ」と呼ばれる組織が
連邦軍内で増徴、更に宇宙ではザンスカール帝国ネオジオンOZマリーメイア軍という軍事勢力が着々と力をつけました。
更に外宇宙からムゲゾルバトス帝国宇宙怪獣銀河帝国ギシン星人キャンベル星人バーム星人ガイゾックインスペクターゲストバッフクラン
ポセイダルグラドス星人アル=イー=クイスM78星雲からやってきた謎の巨大人間ギシン星人ディラド星人ギャンドラー
ザ・ブーム星人アインストシリーズ木星蜥蜴ゼントラーディメルトランディボアザン星人ギム・ギンガナムフリーザ
更に遥か太古から地球に潜んでいたミケーネ帝国恐竜帝国妖魔帝国巨烈兄弟
あとなんか世界征服っぽいこと企んでいるかもしれないDrヘルにBF団ヌビア・コレクションデビルガンダムラオウ山○組
更に異世界からドレイク軍MUそして謎の敵使途・・・・多くの敵勢力に対抗する術も無く地球は占領されました
・・・・・・ここまでで何か質問は?」
タスク「 敵 多 す ぎ ま せ ん か ? 」
ラミア「うむ、そう言うと思ったぞ、タスク少尉。だがこの話には続きがあってだな・・・
だが絶望している地球の民に救いの救世主が舞い降りたのだ。」
キョウスケ「救世主?」
ラミア「異世界から黒い色の馬に乗って北斗鼻毛神拳三千年の歴史全てを継承した全身ゴムのサイヤ人11代目マフィアのリーダー戦部ワタル
彼の究極奥義『超級念働爆砕武神鉄山昇竜真空波動マダンテ竜巻旋風残影百烈ゴムゴム葱
ハリケーン超電磁斬鋼メテオ脱衣ジャーマン元気パワーゲイザー』により敵勢力は殆ど葬りさられた。」
タスク「な ん か や た ら と 何 処 か で 聞 い た 事 が あ る 技 だ と 思 う の は 気 の せ い で す か ? 」
60
:
新堂スプラッシュ
:2006/12/08(金) 22:43:27 HOST:softbank218119098027.bbtec.net
オリキャラ学園 予告
―あ、はい、死亡確認しました、白根和人と榛名裕奈・・・・―
二人は、死んだはずだった・・・
しかし、それは奇跡だったのか・・・
柔らかな 風に抱かれ
和人「大丈夫だよ、僕たちは、今立っている場所は、天国とかそんな場所じゃないよ」
あなた思うココロ 切なくなる
裕奈「いつか、私たち消えちゃうのかな?」
丘の上 一人きりで
和人「絶対って言えないけど、僕は裕奈を放したりしないから」
季節 見送っているの
裕奈「信用したいけど、まだ出来ない・・・」
青空の向こう 何が見えるのかな?
里子「永遠なんて言葉はね、おとぎ話の中だけなのよっ!」
勇気が欲しい 静かに 祈ってる・・・!
光真「これが・・・愛するって力なのか?」
もう戻れない あなたの腕に
章賀「ふざけるな・・・!そんな不確定要素な力で何が出来る!」
包まれていた優しい日々
郷時「さて、お前たちの正念場だ、じっくり見させてもらうぞ」
夏の記憶かすかに残ってる
和人「絶対、絶対に放さない!」裕奈「わかってる・・・!」
小さな花火 消えない 今でも・・・・
裕奈「ねぇ、お願いしてもいい?」和人「いいけど・・・恥ずかしい事は、ナシだから」
オリキャラ学園〜僕と君が望む永遠〜
やったら確実に悶死しそうです・・・
61
:
新堂スプラッシュ
:2006/12/09(土) 21:51:40 HOST:softbank218119098027.bbtec.net
オリキャラ学園 予告
立ち上がれ 気高く舞え 運命(さだめ)を受けた戦士よ
千の覚悟身に纏い 君よ 雄々しく 羽ばたけ!
和人「この世界の僕たちは、もう死んじゃったのかな?」
闇の時代を告げる 鐘が遠く鳴り響く
裕奈「どうするの?これから・・・」
戦う友よ今君は 死も恐れずに
和人「いやだ・・・僕は逃げない・・・!」
瓦礫の街を染めて 沈む夕日は紅
裕奈「もういいよ和人!このままじゃ死んじゃうよ!」
愛する星の未来を 守る為
里子「ふふっ、ここが私の最後の実験場ね・・・」
おお神の刃は 人の愛
光真「頭が・・・頭ああぁぁぁぁっ!」
祈りを込めて 貫け!
章賀「俺が・・・俺が世界を変えればいい!」
立ち上がれ 気高く舞え 運命(さだめ)を受けた戦士よ
郷時「それが答えなら!もう迷うな!全力で進め!」
明日の平和への礎になれ!
熱くなれ!大きく咲け!天に捧げし命よ!
和人「これが!」
裕奈「最後の!」
和人、裕奈「「一撃だあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」」
弱き者の盾となれ!そして!世界を!導け !
それは とてもちいさな
それは とてもおおきな
とてもたいせつな
あいとゆうきのおとぎばなし
オリキャラ学園〜オルタネイティヴ〜
こっちはこっちで暑い展開で燃えそう。
62
:
新堂スプラッシュ
:2006/12/16(土) 19:59:29 HOST:softbank218119098027.bbtec.net
オリキャラ学園 予告
明けの彼方に見据え 立ち尽くす戦士(ひと)よ
和人「この世界に来た意味が、わかった気がする・・・」
今君は誰を思う・・・
裕奈「私は、和人を信じるから」
ああ 赤く燃える この朝焼けに
未来(あす)託した翼が 飛び立つ
さあ 風になれ 命の炎 燃やし尽くせ!
和人「行こう!」
裕奈「うんっ!」
Get your way どんなときも 君の名を忘れない
里子「さあ!今日は特別大放出セールだよ!」
Get your way 空に散った 心の叫びを知れ!
光真「やるじゃねぇか!それでこそ男だぜ!」
Get your way 君がくれた かけがえの無い時間を
章賀「殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやる殺してやるぅぅぅぅぅぅっ!!」
僕らはこれからも生きる!
(人は生まれ そして消える なんのために 誰の為に?)
君が居ない時を生きる!
郷時「さあ行け!俺たちの屍が貴様等の足場だ!」
(君の名前 君の涙 君の心よ)
名も無き英霊(たましい)よ 永遠に・・・
裕奈「私たちは!」
和人「絶対に!
和人・裕奈「「あきらめない!」」
絶望の学園に咲き乱れる、一握りの希望、そして未来。
オリキャラ学園〜オルタネイティヴ〜
ついに完結!!
するかもしれないなぁ・・・
63
:
新堂スプラッシュ
:2006/12/31(日) 13:15:58 HOST:p4202-ipbf615marunouchi.tokyo.ocn.ne.jp
予告
しろいなみと ワイキキビーチ(アロハ!)
郷時「貴様は・・・先生が死ねと言ったら!死ぬのか!」
魚雷先生「!!」
うかぶうかぶ ディナークルーズ(マハロ)
光真「よし待ってくれ、話を聞こう、お菓子でもつまみながら」
女子全員「「「「だまれ!!」」」」
わすれられない おもいで
章賀「我友を汚さないでくれ・・・あいつは純白の処女ままで」
テン・カズキ「あいつ男だろ!」
ココナッツのかおり ああハワイ
里子「あー、グアム行きたい」
全員「「「「「何で!!!」」」」」
ギャグマンガ日和(馬鹿かあんた!)
和人・裕奈「だめだこりゃ・・・」
今年最後のネタ、こんなのでごめんなさい。
64
:
SD(限定復活)
:2006/12/31(日) 21:20:33 HOST:usr211019191129.tcn.ne.jp
○暁の翼○
多次元連結世界クロスディア。
本来ならば決して交わる事のなかった、幾多もの並行線上の世界が交わる世界。
その裏で暗躍し、そしてその支配を目論む、一つの組織があった。
若き総統ディア=バルバートが収める、秘密結社……『ベルモーダー』
組織の力は強大で、全勢力を以てすれば、大陸制覇をも容易いとまで言われている。
そんなベルモーダーの中でも、特に優れた実力を持つ、七人の戦士がいた。
彼等は『暁の翼』と呼ばれ、そして個々が、その力の象徴ともいえる称号を与えられている。
もしも、七人全員が揃ったならば……どれ程の被害が及ぶか、検討がつかない。
これまで、暁の翼が七人全員揃って戦う事など、一度もなかった。
その為、この疑問が解決される事はなかった……しかし。
とうとう、今宵……暁の翼は、七人全員がその牙を剥く。
ディア「……いつか来るだろうとは、一応思っていた。
けど、まさかこんなに早く来るとはね……」
ベルモーダーのアジト。
クロスディアのはたして何処に位置しているのか……その一切が不明。
今、その広間には八人の男が集っていた。
文武の両面において、圧倒的な力を誇る天才。
結社の若き総統……ディア=バルバート。
その身に魔獣の力を宿した、人にして人に在らざる存在……人を超越した人。
暁の翼が一人、『魔人獣』……ドーマ=オルステルド。
命無き人形を、さながら生物が如く操る、鬼才の傀儡師。
暁の翼が一人、『ドールマスター』……ルビ=ホルム。
己が命を力に変え、立ち塞がりし全ての敵を、黄泉へと誘う破戒僧。
暁の翼が一人、『黄泉の使者』……無明。
武術の暗黒面に魅入られ、それを振るうに相応しい相手を求め続ける、殺人拳を極めし使い手。
暁の翼が一人、『痩せ狼』……デスモンド=マードッグ。
荒ぶる剣気を刃に宿し、全てを両断する悪魔の剣士。
暁の翼が一人、『断魔』……ディアボロこと、ディアガ=ブロークス。
飽くなき探究心を内に秘め、あらゆる学術に精通する魔性の賢者。
暁の翼が一人、『未知の探求者』……Dr.インタレスト。
強大過ぎる破壊衝動に身を任せ、全てを屠る狂乱の操者。
暁の翼が一人、『暴乱騎』……久木轟矢。
一騎当千の実力を持つ七人は、今……ディアから、一つの共通した任務を与えられた。
エシェントアース大陸には、強大な軍事力を持つある一つの王国がある。
その宝物庫には……自分達が捜し求めている、封魔の鍵が存在しているかもしれない。
この様な情報が、部下から入ったのだ。
その王国を……暁の翼七人で攻め落とそうと、ディアは考えたのだ。
相手の軍事力が優れているとはいえ、流石に全員を持ち出す必要はないかもしれない。
最初は、そう思ったが……七人全員集えばどれほどの物になるか、それを見てみたくもあった。
もしも鍵が無かったとしても、それはそれで構わない。
将来敵に回るやも知れぬ相手……ましてやその戦力が大きいならば、早めに潰しておきたい。
出来る事ならば、ディアは自分自身も共に出向きたかったのだが……
ディア「僕には一つ、やらなければならない事がある。
共に戦えないのは、正直残念だ。」
Dr.インタレスト「気にするな。
あの術式は、お前の力無しじゃ不可能だからな……私達に任せておくといい。」
デスモンド「まあ、ゆっくり待ってろ……俺達がさっさと片付けてやるからよ。」
無明「では……行くかな。」
轟矢を除く六人は各々のポケットから、一枚の黒い羽を取り出した。
ベルモーダーが、空間転移の際に用いる魔道具『アビスウィング』である。
そして、それを取り出さなかった轟夜は、その代わりに……赤いアビスウィングを取り出した。
彼の扱う『武器』が特殊すぎるが故に、彼の為に特別に用意された魔道具……カオスウィング。
七人はそれを、目の前へと放り投げる……直後、空間が裂けた。
そしてその裂け目へと、七人が飛び込んだ。
己が敵を……完膚なきまでに、叩き潰す為に。
65
:
SD(限定復活)
:2006/12/31(日) 22:26:09 HOST:usr211019191129.tcn.ne.jp
デスモンド「着いたか……予定地点からは少しだけ離れてるが、まあ問題は無ぇな。」
空間転移を終え、各々が目的の場所へと到達した。
今回の作戦は、七人がそれぞれ城壁を取り囲み、七方向から同時に仕掛けるというものである。
腕時計で今の時刻を確認する……攻撃開始まで、後一分。
デスモンド「目に物見せてやるよ。
コオオオォォォォォォッ……!!」
デスモンドは壁に手をつき、闘気を掌の一点へと集中させ始める。
必殺の一撃……ゼロ・インパクトの体勢である。
この王国の城壁は、戦車砲の直撃にも耐えうるように作られている。
しかし……それだけの防御力がありながらも、この男の前には、一切通用しなかった。
デスモンド「破ァァァッ!!」
デスモンドの掌から、爆発的な量の闘気が放出される。
その余りにも凄まじすぎる破壊力に、城壁は耐え切れず……爆ぜた。
そして、それとほぼ同じタイミングで……残り六箇所でも、爆音が響いた。
今……殺戮の宴が、始まった。
Dr.インタレスト「材料は一級品で、建築の技術も申し分ない。
並の軍隊相手ならば、これで十分防げただろうけど……」
王国城門前。
門の崩壊音を聞きつけ、周囲の兵士達が一斉に集まった。
そこで彼等を待ち受けていたのは、白衣に身を包む青年……Dr,インタレストである。
彼は、目の前に大勢の兵士がいるにも関わらず、そんな事は気にも留めずに歩を進めてゆく。
兵士達はそれに対して、一斉に武器を構えた。
この男は危険すぎる……これ以上進ませてはならないと、彼等は本能で感じ取った。
そして、一人の兵士が矢を放とうとした……その瞬間だった。
その兵士の肩が、赤い光に打ち抜かれた。
この時、Dr.インタレストの周囲には……何時の間にか、幾つかのビットが浮遊していた。
Dr.インタレスト「私に武器を向けるのなら、最低でも十人単位にしておくといいよ。
君達のレベルでは……私と渡り合おうと思うならば、それ位はしないと、釣り合わないからね。」
兵士1「っ……う、うおおおお!!」
一人の兵士が雄たけびを上げ、飛び掛る。
それを合図に、他の兵士達も一斉に攻撃を仕掛けた。
インタレストはそれに対し、ビットを迎撃に向かわせる。
光線を乱れ打ち、向かってくる兵士達を次々に打ち貫く。
そして、彼自身も攻撃を仕掛けにかかった。
白衣の下から、数本のメスを取り出し……踏み込んで、一閃。
すれ違った兵士達の腕から、鮮血が迸る。
極めて正確に、兵士達の頚動脈を切り裂いたのだ。
66
:
SD(限定復活)
:2006/12/31(日) 22:26:44 HOST:usr211019191129.tcn.ne.jp
兵士2「あっ……あああぁっ!?」
Dr.インタレスト「まだだ……知ってるかな?
よく、水は電気を良く通すというが……血液の伝導率は、水の比じゃない。
血中は、鉄分を初めとする金属イオンが……極めて豊富だからね。」
Dr.インタレストの掌から、電流が迸る。
マテリアを用いた、雷属性呪文……サンダガ。
同系統の呪文の中では、最高クラスの破壊力を持つ術……まして流血している彼等には、余りにも強すぎた。
大量に噴出した血液を通じ、電流が走る……兵士達の命は、一瞬にして奪われた。
Dr.インタレスト「呆気ないね……この程度じゃ、私一人でも十分制圧可能じゃないかな?」
ルビ「はははっ……どうしたのかな、皆?
まだまだ、開幕したばかりじゃないか♪」
兵士3「こいつ、ふざけやがって……!!」
城門から西方向へと、やや離れた地点。
そこで兵士達を待ち受けていたのは、ドールマスター……ルビ=ホルムだった。
彼の目前には、全長180cm程の……一体の、人形が立っていた。
ルビの持てる技術の全てを結集させて作り上げた、最高傑作……殲騎士。
殲騎士は、目の前の兵士を嘲笑うかのごとく、口をパクパクと動かした。
その仕草は、まるで殲騎士が生きているかのように見えるが……殲騎士を操っているのは、勿論ルビである。
ルビの身に付けている手袋からは、殲騎士へと、目に見えない透明な糸が伸びている。
それを用いて、ルビは殲騎士を操っているのだ。
ルビ「ふざけてなんかいないさ……君達が駄目すぎるから、そう見えるだけなんだよ♪
だからさぁ……雑魚は雑魚なりに、死ぬ気でやってくれないかな?
じゃなきゃあ……つまらなさすぎるんだよね。」
殲騎士の十指の全てから、刃が出現する。
そして、直後……殲騎士は大きく跳躍し、上空から兵士達へと襲い掛かっていった。
落下地点にいた兵士の胸を切り裂き、更にその場で回転。
周囲にいた者達を、ズタズタにする。
数秒して、回転が収まると……比較的ダメージの軽い兵士へと、殲騎士は抱きついた。
その胸部から……無数の刃を出現させて。
超至近戦用の秘密兵器……アイアンメイデン。
兵士4「ガアアァァァァァァッ!!??」
ルビ「お休み……永遠に。」
ルビはここで、更なる追い討ちを仕掛ける。
小指を軽く動かし……殲騎士の体内電流を、放出したのだ。
胸部を無数の刃で貫かれた上に、零距離からの電撃……こんなえげつない一撃を受け、無事でいられる筈が無い。
兵士は口から血を吐き、絶命した。
そのあまりにも残酷な光景に、見ていた兵士達の顔が凍りつく。
ルビ「まだまだ、楽しい人形劇はこれからだよ♪」
67
:
SD(限定復活)
:2007/01/01(月) 23:05:34 HOST:usr211019191129.tcn.ne.jp
兵士1「た……退避いぃぃぃぃぃぃっ!!」
王国の丁度、真東に当たる地点。
そこに出現したのは、インタレストやルビ達とはまた違う……凶悪無比な敵であった。
兵士達は、迫り来る相手に攻撃を仕掛けつつ、全力で後退し続けていた。
しかし……彼等の持つ銃では、相手に傷一つ着ける事すら適わなかった。
余りにも……自分達と相手とでは、そのレベルが違いすぎたのだから。
轟矢「かかかっ……おいおい、逃げてんじゃねぇよ!!
綺麗に、ぶっ壊してやっからよぉ!!」
『暴乱騎』久木轟矢。
彼の使う武器は、常識で考えれば、決して『武器』と呼べる代物ではない。
他の六人とは違い、彼がたった一人だけカオスウィングを用いた理由は、ここにあった。
今、轟矢は……全長60m、横幅80mという異常な大きさを持つ、巨大なロードローラーに乗っていた。
これが彼の武器……改造型ロードローラー『クレイジーローラー』である。
その取りすぎた後には……文字通りに粉砕されたl兵士達や家屋があった。
轟矢はアクセルを命一杯踏み込み、兵士達目掛けて突撃を仕掛ける。
兵士達は決死の銃撃を試みたが、クレイジーローラーの装甲の前には、全く通用しない。
攻撃が通用しないと悟ると、すぐさま彼等は全力で逃げに出たが……逃げられるわけが無い。
クレイジーローラーの今の時速は、軽く120km以上……その上、横幅80mの巨体ときた。
骨の砕ける音と共に、兵士達の断末魔が、ロードローラーの真下から響き渡る。
当然、こうなって生きていられるわけが無い。
轟矢「かかかっ……最高だぜ、この感触。
プチプチっとよぉ……ん?」
眼前に何かを確認し、轟矢はクレイジーローラーの進撃を止める。
戦車……それも、十台ほどが一斉に立ち並んでいる。
どうやら自分の撃破には、これ位を用意しなきゃいけないと判断されたらしい。
中々、光栄ではあるが……しかし、これでもまだ役不足。
クレイジーローラーの撃沈には……全然足りない。
兵士2「撃てえぇぇぇぇぇぇっ!!」
砲撃が一斉に開始される。
クレイジーローラーへと叩き込まれる、集中砲火。
これだけの物を受ければ、例えキングベヒーモスが相手だとしても、一溜まりも無いだろう。
しかし……クレイジーローラーは、ベルモーダーの化学力を結集した秘密兵器の一つ。
これだけの一斉放火が相手であろうと……決して、倒れはしない。
兵士2「なっ……!?」
轟矢「マイティーガード……防御系マテリア魔法の、最高レベルだ。
物理攻撃、魔法攻撃……こいつを使りゃ、どんな攻撃だってガタ落ちさせられるぜ。
こうなりゃクレイジーローラーは無敵よ……ぶっ潰してぇなら、核兵器でも持って来いってんだよ!!」
クレイジーローラーのサイドから、二丁のガトリングガンが出現。
銃口が火を噴き、戦車に銃弾が次々と打ち込まれる。
その連射に耐え切れず、戦車の装甲が弾け飛んだ。
そして、動きが止まったその一瞬を狙い……クレイジーローラーが、突撃した。
戦車は、まるでカステラかと思えるかのように……あっさりと、潰れてしまった。
中の兵士達は、当然……即死である。
轟矢「かかかっ……あ〜、マジに楽しいなぁ!!」
68
:
SD(限定復活)
:2007/01/01(月) 23:22:50 HOST:usr211019191129.tcn.ne.jp
ディアガ「ふん……温いな。」
数秒ほど遡って、轟矢の元に戦車郡が駆けつけた時。
他の者達の元にも、同様に戦車が送り込まれていたのだ。
たった一人の人間を相手に、幾らなんでも大げさではないだろうか。
まともに考えれば、そう思うのが普通なのだが……相手は、まともではない。
『断魔』ディアガ=ブロークス……通称、ディアボロ。
この悪魔の剣士は……戦車郡を相手に、生身で圧倒していたのだ。
ディアガ目掛け、集中砲撃が仕掛けられる。
しかし、着弾寸前……ディアガは高く跳躍し、己の得物を逆手に構えた。
2mを越える、一撃必殺の大太刀……ヘルシングブレード。
その切っ先へと、剣気を集中させ……そして、突き刺す。
兵士3「がっ……!?」
切っ先は、丁度真下にいた兵士を、脳天からぶち抜いた。
他の戦車は、ディアガへと一斉に砲身を向けるも……撃つ事が出来ない。
この状況で撃ってしまえば、味方を殺すことになるのだ。
その為、彼等は硬直してしまったわけだが……この行動は、死を意味する。
ディアガを前に、動きを止めるなど……無謀以外の、何物でもない。
ディアガ「ヘルシングブレード……刻閃斬!!」
ヘルシングブレードを抜き、最も近くにいた戦車へと飛び掛った。
そして、剣気を刃全体に込め……一閃。
目の前の戦車は、見事なまでに……真っ二つに切り裂かれた。
戦車を剣で両断するなど、前代未聞である。
驚きと恐怖のあまり、兵士達は震えが止まらなくなっていた。
大太刀を携え、目前の敵を全て切り伏せてゆく、ディアガのその姿は……正しく『悪魔』
ディアガ「足りないな……今のもう三倍は持って来い。
それ位でなきゃ、こっちがつまらんぞ。」
デスモンド「コオオオォォォォォッ……破ァァァッ!!」
膨大にして強大な闘気が生み出す、圧倒的破壊力。
その直撃を受け、戦車が爆ぜた。
既にこれで、三機の戦車が破壊されている。
生身で……しかも、何の武器も用いない、素手にである。
例えどの様な敵が現れようと、己が拳で粉砕するのみ。
それが、『痩せ狼』デスモンド=マードッグの信念であった。
他の追随を許さぬ、天才的格闘センス。
人間が生み出せる量の限界を超えているであろう、異常なまでの闘気。
その二つを以てすれば、如何なる武器が相手であろうと……敵ではない。
デスモンド「どうした……まだまだ、始まったばかりだぜ!!」
目の前の兵士へと、強烈な拳が打ち込まれる。
嫌な音を立て、肋骨が崩壊した。
しかしこの兵士の不幸は、まだ続く。
デスモンドは、兵士の胸倉を掴み……他の兵士へと、豪快に投げつける。
そして、すぐさま投げた方向とは反対側に跳躍。
拳にありったけの闘気を乗せ……目の前の戦車に、一撃を叩き込んだ。
戦車の装甲が、砕け散り……デスモンドが、めり込んだ拳を引き抜き離れると同時に……爆発した。
デスモンド「戦車とは、初めて殴りあったけどよ……全然、大した相手じゃねぇな。
もうちょい、骨の有る奴を用意してこいよ……!!」
69
:
SD(限定復活)
:2007/01/21(日) 22:17:57 HOST:usr211019191129.tcn.ne.jp
無明「大人しく去れ……そうすれば、命までは取らぬ。
こちらとて、無駄に殺生をするつもりはない。」
兵士1「ふざけんな!!
このまま、おめおめと引き下がれるかよ!!」
兵士達に降伏を進めるは、『黄泉の使者』無明。
彼は、極めて好戦的な他の五人とは違い、必要以上の殺生を好まぬ性分であった。
それ故、こうして抵抗を止めるよう呼びかけているのだが……当然、応じる訳が無い。
寧ろ、火に油を注いでしまったような形となってしまった。
兵士達は無明の態度に怒り、闘志を剥き出しにしてきたのだ。
無明「……致し方ない。
しかし、これも求世の為……許せ。」
兵士2「撃てえぇぇぇぇ!!」
無明目掛けて、一斉射撃が行われる。
拳銃、マシンガン、グレネード、戦車の砲撃。
常人ならば、一瞬で肉塊と化すだろう怒涛の攻撃。
防ぎきるなど、到底不可能と思われた。
しかし……無明は、その予想を大きく裏切った。
無明「克っ!!」
懐から無数の札を取り出し、自らが持てるありったけの法力を込める。
そして、勢いよく目の前へとばら撒いた。
法力の込められた札は、防御力を得、堅固な壁を為す。
迫り来る砲撃は、全て札の盾に命中し……その奥の無明には、一切のダメージを与えられていなかった。
まさか防ぎきられるなどとは、思ってもみなかった。
兵士達は唖然とし、思わず硬直してしまう。
その瞬間を狙い、無明は飛び出した。
再び複数の札を取り出し、法力を込める。
兵士達はとっさに迎撃仕様とするも、時既に遅し。
無明はその手の杓杖を高速で回転させ、兵士達の武器を次々に払い落とした。
そして、札を地面に押し付け……力を解き放った。
無明「滅せよ……土竜!!」
兵士達の足元が、急に盛り上がった。
彼等はバランスを崩し、転倒しそうになるが……その直後に、予想外の攻撃が襲い掛かってきた。
地面から……巨大な、土の竜が出現したのだ。
竜はうねりを上げて上昇し、周囲の兵士達を次々に弾き飛ばしていく。
その後、急降下……大きく口を開け、強靭な牙で戦車へと喰らいかかった。
戦車は無残に噛み砕かれ、そして爆散する。
爆発により、土の竜は頭部を吹き飛ばされ、消滅するが……竜の与えた被害は、甚大だった。
ありえない……誰もが、開いた口を防げないでいた。
無明はそんな様子を気に止めもせず、再び札を取り出し……すぐ側の民家へとそれを押し付け、またも力を解放した。
直後、民家の壁が盛り上がり……そこから、石で出来た虎が出現した。
無明「長き修練によって手にした、我が法力……黄泉への土産にするがいい。」
70
:
SD(限定復活)
:2007/01/21(日) 23:20:11 HOST:usr211019191129.tcn.ne.jp
兵士1「そんな……馬鹿な……!!」
ドーマ「目の前で起きている事が、そんなに信じられないか?
だが……これは、立派な現実だ。」
まるで、悪夢を見せられているかのようだった。
たった一人の人間に……この国の精鋭部隊が、全滅させられてしまったなどと。
いや、この言い方は少し不適切かもしれない。
というのも……目の前のこの男は、人間ではないのかもしれないのだから。
言うなれば、その男は……魔物。
ドーマ「さっさと片付けさせてもらうぞ……!!」
ドーマの背中が隆起し……そこから、漆黒の翼が出現した。
さらに、両手の爪が急激に伸び、そして両手が引き締まり硬化し始める。
その変化を終えた時……彼の両手は、まるで猛禽類のそれとなった。
これこそが、『魔人獣』ドーマ=オルステルドの能力……魔物化。
ドーマがこの力を手に入れたのは、数年前の話になる。
彼は、一匹の魔物に寄生されてしまい、その身に魔物を宿すようになってしまったのだ。
その魔物は、ドーマの中で成長を遂げていった。
そして、成体となった時……魔物は、ドーマの肉体を乗っ取り自らの物にしようと企み、それを実行に移した。
しかし……逆にドーマは、凄まじい精神力で、その魔物を自らの中に取り込んだのだ。
それ以来、彼は人間ではなくなってしまった。
自らの内に、魔物の力を取り込み……人間でも魔物でもない、新たな存在と化したのである。
ドーマは翼を大きく広げ、強く地を蹴った。
大鷲が空を舞うように……目の前の兵士目掛けて、猛スピードで滑空する。
兵士1「う……うわああああぁぁぁぁっ!!」
兵士は震える手で拳銃を構え、ドーマにその銃口を向ける。
しかし、その引き金が引かれるよりも早く……ドーマの爪は、兵士の喉笛を切り裂いた。
鮮血が迸り、ドーマの手は返り血で紅く染まりあがる。
兵士は声を上げて助けを呼ぼうとするも、もはやそれは適わなかった。
声帯を切り裂かれ、声を出す事が出来なかったからだ。
ドーマは兵士にトドメを刺すべく、さらに腕を変化させる。
今度の凶器は、爪なんてレベルではない……カマキリの持つ、鎌である。
兵士はすぐに逃げ出そうとするも、恐怖で足が動かない。
そして……刃は、振り払われた。
兵士の首が、肉体から離れて宙を舞い……地面に落ちると、ゴロリとボールの様に転がった。
その死に顔は恐怖に引きつり、色は真っ青であった。
ドーマはその首を拾い上げ、しばし観察した後……食らった。
頬の肉が食い千切られ、そこから血が滴り落ちる。
ドーマ「ふん……まあまあだな。」
獲物に食らいつくハイエナが如く、ドーマは男の生首を食らった。
人間を超越した結果、ドーマは一つだけあるデメリットを得てしまった。
それは、食欲である。
人間であった時とは比べ物にならないほどの食欲が、身に宿ってしまったのだ。
普通に、人間だった時と同じ食事を取っていたのでは、飢えを満たす事は到底出来なかった。
その為ドーマは、より多くの物を食らう為に……倒した相手の肉を食らうという習慣を身につけたのだ。
それは、人間とて例外ではない。
ちなみにドーマには、あらゆる毒素に対して免疫がある為、何を食らおうが肉体に影響が出ない。
例え猛毒を持つ河豚が相手だとしても、全く問題ないのだ。
ドーマ「さて……そろそろ、大詰めと行こうか。」
更なる獲物を求めて、ドーマは歩を進める。
時を同じくして、他の五人も同時に動き始めていた。
この王国の中枢部……中央に聳え立つ、巨大な王城へ向けて。
71
:
ヤス
:2007/01/28(日) 22:58:43 HOST:softbank220059131169.bbtec.net
<<スーパーロボット大戦OG2―――AnohterStory―――>>の続き
>>58
>>59
より
ラミア「まぁ、その必殺技で生き残ったのが今のヴィンデル率いるシャドウミラーだったわけだ。」
タスク「長い前振りやったね。」
ラミア「そしてそのシャドウミラー追撃の任を任されたのがベーオウルフ、つまりキョウスケ中尉だ。」
キョウスケ「なるほど、奴が俺をベーオウルフと呼ぶのはそういう理由か。」
タスク「因みに向うのキョウスケ中尉の部下に俺はいたのか?」
ラミア「ああ、記録に残ってはいる。」
タスク「どんなの?どんなの?」
ラミア「タスク・シングウジ少尉、恋人の手により毒殺。」
タスク「・・・・・・・」
ラミア「・・・・・・・」
その他「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
全員((・・・・・うっわぁ、なんかこっちの世界でもありそうな・・・・))
ラッセル「そ、そうだ!タスクがいたなら僕もいたんですか?」
ラミア「うむ、ラッセル・バーグマン、上司の手により鎖骨を割られ名誉の戦死、二階級特進」
全員「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
タスク「なんかどうにも洒落にならないな、俺たち。(ヒソヒソ」
ラッセル「ええ、なんか明日にも同じ末路を辿りそうで正直不安です。(ヒソヒソ」
72
:
SD(限定復活)
:2007/02/03(土) 14:18:05 HOST:usr211019191129.tcn.ne.jp
○強さの根源○
クラウス「すみません、急に呼び出したりして。」
ワイス「気にするな。
他ならぬ、お前の頼みだからな……だが。
私をこうして呼び出したという事は、何か深刻な問題が起こったんだな……違うか?」
喫茶店の隅の一席。
位置上、他人に会話を聞かれる恐れは無く、自分達の姿も見られる事は余り無い。
そんな所に、二人は集った。
時空を越える秘術を持つ大魔道士、クラウス=ド=シングス=エターナル。
創造神の定めた運命に逆らい自由を手にした戦士、ワイス。
世界の危機を救った勇者に数えられる猛者二人。
二人が久方ぶりに顔をあわせる事になった切欠は、つい数時間前。
クラウスはワイスに連絡を取り、会って直接話したいと言い出したのだ。
いきなりの呼び出しにワイスも驚かされたが、クラウスがこうして自分を呼び出すという事は、ただ事ではない。
ワイスはすぐさま、彼の指定したこの喫茶店へと駆けつけ、そして今に至る。
クラウス「ええ……ワイスさん。
あなたにとって、今までで一番恐ろしいと感じた相手は誰ですか?」
ワイス「一番恐ろしかった相手……?」
クラウス「はい。」
ワイス「……やはり、あの男だろうな。
単純な強さの問題じゃない……私にとってあいつは、今でも最大の敵だ。」
クラウス「ま、そうでしょうね。
そう答えると思っていましたよ……私は時空を越え、多くの世界を旅してきました。
そして、多くの敵と戦ってきましたが……つい最近になって、彼等の共通点が分かった気がするんです。」
ワイス「奴等の共通点……?」
クラウス「はい……飽くなき欲望を抑えられず、闇に取り込まれた利根川。
力こそが全てを支配できるという己が執念に従い続けた、カルマ。
己という存在を生み出した人間に、憤怒を抱いたアゼル。
世界の全てに絶望し、己が自由になる世界を望んだアクト。
自身の正義を振りかざし、世界を浄化しようと目論んだクレイア。
人間の持つ傲慢さによって生み出された、封印の魔物。
自らの過ちで愛する人を失い、弟を闇から救い出せなかった事に悲しみ、全てを一からやり直そうとした朧。
欲望、執念、憤怒、絶望、正義、傲慢、悲しみ。
皆……何かしらの感情を、強く抱いていました。
そしてそれ故に……私達とは、違う道を歩んだ。」
ワイス「……確かに、その通りだな。
……私を何故呼び出したのか、大よその見当がついた。」
クラウス「……今度の敵は、これまで出会ってきたどの相手よりも、強大かもしれません。
私が感じた力の波動……あれは、紛れも無い『憎しみ』の感情です。
性質からすれば、アゼルの抱いていた絶望に近いでしょうが……アゼルより、力の度合いは強大です。」
ワイス「……だが、何もしないままというわけにはいかない。
敵がどれだけ強大であろうと、立ち向かい戦う……そうだろう?」
クラウス「ええ……ワイスさん。
私も勿論、協力します……頼めますか?」
ワイス「言ったろう?
それが私の役目……償いだとな。」
時空の彼方で再び、邪悪な存在が現れようとしている。
強大な憎しみに捕らわれた、かつてない脅威。
それに立ち向かうべく……再び、戦士達は立ち上がった。
邪悪を打ち倒し、全てを救う為に……!!
73
:
新堂スプラッシュ
:2007/02/05(月) 22:21:09 HOST:softbank218119098027.bbtec.net
オリ学予告・・・かな?(そろそろ自信がなくなってきた?)
夢 ただの夢
飛鳥「ねぇ、キス・・・とかしてもいい?」
なのに胸 ふるえてる
穂波「ば、ばか!そんな事・・・」
恋を知って くちびるが
飛鳥「邪魔するな!この筋肉馬鹿!」
バラティエ「待ちたまえ、まだ話は―」
せつなさにあなただけを呼んだ
穂波(まずい・・・このままじゃ・・・!)
なのは「顔色が悪いようですけど、大丈夫ですか?」
Waitin`for you 私の思いに早く
篠原「人は同じ過ちを繰り返す、それはお前も同じだ!」
吐息の羽飛ばして 抱きしめにきてください
ヴェルン「ち、違う!俺は」
篠原「彼女が止めてくれるとも?結局他力本願だな!」
大胆な告白 こころが望んでる
飛鳥「あ・・・いや・・・これは事故で・・・」
晶「・・・こんの・・・ぶぁかあぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
あなたを見つめる目から ひとしずく
穂波「いや、私ってさ、恋の1つもしたいけど、その相手がなんと言うか・・・」
シルヴィ「・・・・・・」
こぼれる情熱は 涙のせいにして
穂波「ぶっちゃけ、恋の経験の無い人の意見は・・・役に立たないです」
シルヴィ「コロス・・・!」
誓いましょう 二人は何度も
穂波「それじゃ1つ!」
飛鳥「必殺技でも繰り出すか!」
めぐり合うの Dream
オリキャラ学園 ストロベリー・パニック
74
:
新堂スプラッシュ
:2007/02/08(木) 22:05:38 HOST:softbank218119098027.bbtec.net
オリキャラ学園 嘘予告(これでやっと解放された)
人は 幸せになると
他人の幸せを壊したくなる
置き忘れた アスファルト 染めてゆく 雨の匂い
どうして?
どうしてって
懐かしさに吹かれ 流れ行く街に包まれ
他人の幸せなんて、見たくない
コワレそうな横風が ため息さえ打ち消した
篠原「わかるだろ?脳からドロドロ、何かが流れ落ちる感じが」
トラワレナイ場所で 空に抱かれてオモイガミチタ
穂波「ここに居ると、人間じゃ、なくなる・・・?」
サヨナラ ゆれていた 切なくて ずっと・・・
飛鳥「人が壊れるって、死ぬって事じゃない?」
サヨナラ 君だけは 微笑んだ ずっと・・・
篠原「聞こえるか?この欺瞞と欲望に満ちた声が・・・」
サヨナラ ゆれていた 切なくて ずっと・・・
穂波「どろどろねぇ、あんただけじゃないの?そういった腐った脳持ってるの?」
サヨナラ 喜びは かみしめて ずっと・・・
飛鳥「お前なんかに・・・壊されてたまるか!」
決して
触れてはいけない
恐怖
オリキャラ学園〜アナザヘヴン〜
75
:
勇希晶
:2007/02/08(木) 22:46:51 HOST:softbank220063219079.bbtec.net
○Who marriged he―――?
某月某日。世間は現在開催中の日米対抗野球のことで沸き返っている時節。
その日米対抗野球が行われている、日本最大級のスタジアム。
最終日故に今だ熱狂さめやらぬそのスタジアムの駐車場から、出てくる一台の車があった。
???「ふう・・・やっと出てこれた。なかなか放してくれないんだもんな・・・。」
苦笑しつつ、だがどこか満足げな表情で運転する男。やがて車は高速道路の料金所を通り、高速道路の流れにのる。
男の名は風上一樹。1シーズン二桁勝利は当たり前の、今や押しも押されぬ日本球界きってのエースピッチャーである。
今日も今日とて、日本から海の向こうへと渡り大成功を収めた先輩達と真っ向勝負を繰り広げてきたのだ。
イチロー、ゴジラ、リトルゴジラ・・・。
流石と言うべきか初球ホームランを打たれたりもしたが、野球を始めた頃から憧れていた人達と対戦でき、ほぼ完璧にシャットアウト出来たことに、一樹は大きな満足感を得ていた。
もちろん、そんな一樹に対して海の向こうからのオファーも山のように来ている。
しかし、そららのオファーを総て彼は蹴っていた。もったいないと嘆く人間は大勢いたが、彼は断固として拒否の意志を貫いていた。
その理由はただ一つ。愛する家族がいるからである。
それだけならば家族を一緒に連れていけばいいだろう。だが彼はそれを良しとしなかった。
環境の変化がもたらす影響の大きさを彼は身を以て知っていたのだから。
カズキ「・・・早く帰らないとな。」
自然と気がはやる。ようやくオフがとれ、愛する人の元へ帰るのだから仕方のないことだろう。
自分が結婚した時の事を思い出し、一樹の顔に笑みが浮かぶ。
相当反対されたこともあったが、今となってはいい思い出だ。
そんな彼が結婚した相手とは――――
<選択肢>
1―――月野万智だ。
2―――風上月だ。
3―――オーレリー・エルランジェだ。
4―――ルクス・メイブラックだ。
5―――???だ。
※注:このSSは一部フィクションです。
76
:
璃九
:2007/02/13(火) 23:26:32 HOST:softbank220045007138.bbtec.net
○Who marriged he―――?2
(手始めに『1』で)
間もなく車はとあるマンションへとたどり着いた。
駐車場に車を置き、トランクから荷物を取り出したカズキは、自分の部屋まで駆け足で歩いていく。
そして部屋の前にたどり着くや否や勢い良く扉を開けた。
カズキ「ただいま!」
玄関に足を踏み入れ、部屋中に響くような声で帰りを知らせる。
そんな彼に―――
クラッカーの弾ける音と、大量の紙吹雪・紙テープが襲い掛かってきた。
マッチ「お帰りなさ〜〜〜〜〜い♪」
同時に、驚いて硬直してしまった彼へ、一人の女性が抱きついてくる。
彼女が―――カズキの妻、月野万智だ。
カズキ「わっ―――マッチ!?び、ビックリした・・・」
マッチ「エヘヘ〜♪ごめんごめん♪でも、待ちきれなかったんだもん♪」
目を輝かせてカズキを見上げるマッチ。
幸せそうな笑顔だ。
可愛らしくて思わず抱きしめたくなる。
いや、何でもなかったら遠慮なく抱きしめている。
ただ今は―――
マッチ「ね?ね?ご飯の準備、もう出来てるよ?早く食べよ♪」
カズキ「あ〜、いや、確かに腹は減ってるんだけど―――」
両手で自分の体から離れるようにとマッチに促す。
カズキ「今日はまた一段と体が汚れててさ・・・
悪いけど、先にシャワー浴びてくる。」
ユニフォームから着替えてはいるものの、体中に染み付いた泥と汗は隠しようがない。
今日はいつもより一段と激しい試合だったから尚更である。
マッチ「ん、分かった。じゃ、マッチは―――」
視線をカズキの足元へと落とす。
そこにあった荷物を、少し屈んで彼女は持ち上げた。
マッチ「お洗濯しておくね。」
カズキ「おぅ、サンキュ♪」
言うなり、カズキは駆け足で風呂場へと向かった。
マッチ「よいしょ・・・と。」
洗面所で荷物の中身を全部取り出す。
汚れたユニフォームやタオル、空のペットボトルや手帳など、
パンパンに押し込まれていた荷物を、一気にその場に広げた。
ちなみに、扉1つ隔てた向こう側は風呂場になっていて、カズキがシャワーを浴びている最中だ。
マッチ「るんる〜ん♪・・・ん?」
広げられた荷物の中から、ユニフォームとタオルだけ取り出し、傍にあった洗濯機の中へ入れようとした時だ。
汗や泥が染み込んでいるはずのユニフォームから何か・・・
マッチ「・・・香水の匂いがする・・・」
77
:
璃九
:2007/02/13(火) 23:27:06 HOST:softbank220045007138.bbtec.net
一方、風呂場で―――
カズキ(―――にしても、今日は記者の人多かったなぁ・・・
やっぱ最終日だから向こうの人も気合入れてるか。)
凄い勢いで体中を擦る。
カズキ(お陰で部屋の狭さも重なって、ほとんど記者さんと密着状態だった。
女性記者さんの香水の匂いが酷いの何のって・・・)
マッチ「・・・・・・」
ジト目でユニフォームを見渡すマッチ。
何気なく裏返してみると・・・
マッチ「――――――!」
カズキ(仕舞いには将棋倒し状態になって、記者さんの顔が体中にぶつかって来るし。
女の人までいたからな・・・アレは正直困った。)
わしゃわしゃと頭を洗う。
カズキ(そーいやその時、ユニフォームに口紅の跡がついちゃったけど・・・口紅・・・・・・)
ことに気づいたのは、丁度頭の泡を洗い流し終えた時だった。
カズキ「・・・・・・・・・・・あ゛」
まずい。
口紅―――確かつけたまま鞄の中に放り込んでいたはず。
もしそれがマッチに見つかりでもしたら・・・
カズキ「やべっ―――!」
タオルを腰に巻いて、急いで風呂場から飛び出すカズキ。
カズキ「あのさ!マッチ!ユニフォームのことなんだけど―――」
マッチ「ん♪」
心臓が止まりそうになる。
何せドアを開けたすぐ目の前に、彼女が立っていたからだ。
それもとびっきりの笑顔で。
マッチ「ユニフォームがどうかしたの?」
カズキ「あ、いや・・・」
小首をかしげて尋ねてくる。
両腕を背中に回しているのが気になるが、その様子だとまだバレては―――
マッチ「ユニフォームの―――」
安堵した瞬間、彼女は再び口を開いた。
でも明らかに雰囲気が変わっている。
笑顔のままとはいえ、目が笑っていない。
しかも、何だかドス黒い声になったのは気のせいじゃないだろう。
背中に廻していた両腕を体の前へと伸ばし、両手で持っていたモノを、彼女は広げて見せた。
マッチ「この口紅の跡がどうかしたのぉおおおおおおおおおお!?」
どーみても勘違いしています。
本当にありがとうございました。
カズキ「―――い、いや!ちょっと待て!それには深い理由が―――」
思わず後ずさるカズキ。
それに合わせてマッチもゆっくりと前進する。
マッチ「理由?」
また小首をかしげる。
もっとも、先ほどのような可愛らしさなど微塵も無く、黒いオーラが彼女を渦巻いているが。
マッチ「そう・・・マッチも、もう大人だもの。
理由ぐらい聞いてあげる。でも―――」
広げていたユニフォームを後ろへと放り投げる。
同時に背中へと手を伸ばし、マッチは―――
マッチ「返答次第では・・・無理心中もいとわないから!」
何処からともなく自分の得物を取り出した。
鋭い刃を持つ『包丁』を。
カズキ「!!?Σ(´Д`lll)」
マッチ「さぁ・・・何か言ってよ。
でも最後ぐらい、愛してるって言って欲しいな・・・」
カズキ「既に死亡確定!?」
マッチ「大丈夫よ・・・マッチも一緒だもの・・・」
カズキ「待て待て待て待て待てぇえええええええええええ!!」
必死に弁明するカズキ。
カズキ「違うんだ!事故だったんだよ!ちょっとした拍子に女の記者さんが―――」
マッチ「そう!相手は記者の人なの・・・!?」
カズキ「だぁ〜〜〜!話を聞い―――うぉおおおおおお!!?」
だが、聞く耳持たず。
マッチは遠慮なく得物を振り下す。
紙一重のところでそれを避けたカズキだったが―――
カズキ「でっ!?」
たまたま落ちていた石鹸に足を滑らせ、そのまま湯船の中へと落ちていく。
カズキ「―――ブハッ!?ゲホゲホ・・・」
転んだ拍子に壁に頭をぶつけ、しかもお湯を飲み込んでしまい、
激しく咳き込みつつも、頭がグラグラして朦朧としてくる。
マッチ「ふふ・・・ふふふふ・・・」
そんな彼の視界にぼんやりと、微笑みながら歩み寄ってくる妻の姿が映った。
カズキ「ま・・・マッチ・・・」
マッチ「カズキ―――」
歩み寄ってくる彼女。
カズキを見下ろすその表情は一変して―――
穏やかな微笑を浮かべていた。
マッチ「―――愛してるよ♪」
78
:
璃九
:2007/02/13(火) 23:27:36 HOST:softbank220045007138.bbtec.net
次の日―――
男性「―――で?また嫁さんとケンカしたのか?」
カズキ「おぅ」
とあるドームの控え室。
チームメイトのとある選手と、着替えながら話すカズキ。
男性「なんつーか・・・相変わらず大変だな。」
カズキ「いいのさいいのさ。昔からだから慣れてるし。
何だかんだで誤解も解けて仲直りも出来たしな。」
男性「そうか・・・ならいいが―――」
落ち着いた口調で話す男性。
その視線が、カズキの頭の方へと動いていく。
男性「・・・大丈夫か?」
カズキ「気にすんな。『戒め』ってやつだよ。
不注意だった自分に対するさ。」
実際、大丈夫ではなさそうなのだが・・・
何せ頭に刺さっているからだ。
鋭い刃を持つ『包丁』が。
男性「・・・そうか」
とはいえ、この男のことだ。
本人が大丈夫と言うのだから大丈夫なのだろう。
もう今更驚いたりはしない。
カズキ「よし、そろそろ行くか。」
男性「あぁ・・・」
その日、風上一樹は頭に包丁という奇抜な姿でマウンドに立った。
にも関わらず、同じチームのメンバーはおろか、
敵チームや実況アナウンサー、観客たちですら、その姿に突っ込むことはない。
皆は知っているのだ。理由を。
何せ彼がこの姿でマウンドに立つのは初めてじゃない。
全員、何気ない顔をしているが心の中では思っている。
(((またやったのか・・・)))
「さぁ、風上投手!今日は先発でマウンドに立ちます!
あの姿、試合前からダメージは大きいようですが、不死身と呼ばれるだけはある!
幾度のケンカを経ようとも、今日も平然とした表情でバッターと対峙します!!」
カズキ「好き勝手言ってくれるぜ・・・こっちは結構つらいんだぞ・・・?」
1つため息をつく。
が、そこはプロの選手、
一瞬で気持ちを切り替え、集中力を高める。
そして―――間もなく試合開始・・・
「さぁ!風上投手!本日第1球目―――」
カズキ「――――――!」
「投げた――――――!!」
今日もまた彼が投げる。
頭に包丁が刺さっていようと、お構いなく投げ続ける。
何度も何度も―――
これまでも、そしてきっとこれからも。
「ストライ――――ック!!バッターアウト!!」
カズキ「ふぅ・・・」
でも誰も心配したりしない。
これもまた、皆は知っているからだ。
風上一樹は不死身だということ、
何より―――
何だかんだで、この夫婦は毎日仲良くやっているということを。
マッチ「キャ〜〜〜!今日のカズキもカッコイイ〜〜〜〜〜♪」
(続く・・・?)
79
:
SD(限定復活)
:2007/02/25(日) 19:06:31 HOST:usr211019191129.tcn.ne.jp
○得体の知れぬ存在○
ヌレーヴ「迅……いないのか?」
邪神教団本部に置かれている、大規模な研究室。
この研究室は実質、あのマッドサイエンティスト……影沼迅の私室として扱われている。
アクトからの用件を伝える為、ヌレーヴはこの研究室を訪ねていた。
はっきり言うと、ヌレーヴはあまり此処には来たくは無かった。
まるでこの部屋には、迅の放つあの威圧感が。
感じるだけで身の毛が弥立ち、背筋が凍りつくかの様な、不気味な何かが充満しているかのように思えたからだ。
ヌレーヴは、これまで多くの者達の気配を感じ取りながら生きてきたが……とりわけ迅は、極めて異質だった。
例えるなら……『蛇に睨まれた蛙』の蛙側になった気分とでも、言えばいいだろうか。
兎に角、ここには余り長くいたくはない。
早急に用件を済ませ、さっさと部屋から出たかったのだが……迅の姿が見当たらない。
いないのだろうか……ヌレーヴは歩を進め、研究室内を見回す。
すると……意外な、この研究室には似つかわしくない、ある小物を発見した。
机の上に置かれた、小さな写真立てだった。
まさかあの迅が、こんな物を自室に置いているとは、想像出来なかった。
マッドサイエンティストといえど、やはり人間か。
そう思い、ヌレーヴは苦笑気味に溜息をついたのだが……直後。
肝心の写真を見て、ヌレーヴの表情が一変した。
ヌレーヴ「なっ……!?」
そこに写っていたのは、信じられない光景だった。
大学のキャンパスをバックに、白衣を着た数人の者達が、並んで写真を取っている。
その写真の中央に、迅は立っていたわけだが……問題だったのは、迅の隣に立っている人物だった。
そこには……自分が知っている、ある人物が立っていたのだから。
ヌレーヴ「そんな……そんな馬鹿な!?
なんで……なんで迅が、充と一緒に写っているんだ!?」
人の隣に写っているのは、坂山充……柳の父親だった。
しかもその姿は、自分の知っている彼に比べて若い……大学のキャンパス前という事から、学生時代に撮った写真だろう。
だが……だとしたら、これはとんでもない事になる。
ヌレーヴは、迅の正体が何者であるのかは、既に知っていた。
元ブリュナーク参番隊隊長……かつて自分と敵対していた大組織の人間。
最初は、違う世界の同じ人物だと思い、気にも留めていなかった。
だが、先日……烈夜によって、迅が異世界の人間であると明かされた時。
彼が裕樹と柳を知っていると知った時……ヌレーヴは、迅が同じ世界の人間であるという事実に気付く事が出来た。
ヌレーヴ「あいつが俺と同じ世界にいたのなら……この写真はありえない。
充と迅とじゃ、二十以上年が離れている筈だ……!!」
充と迅との間では、相当な年の差がある。
しかし、この写真では……充と迅は、まるで同い年。
せめて1〜2歳の年の差しか無い様に見える。
確かに二人とも、年の割りに若く見えるような風体ではあるが……それにしたって、これはありえない。
さらに……ここでヌレーヴは、あるとんでもない事実に気がついた。
ヌレーヴ「……嘘だろ?
迅の姿が……今と全く変わっていない?
そんな……じゃあ、まさか迅は……!!」
ヌレーヴが導き出したのは、恐るべき仮説。
普通ならば、ありえない……しかし、それ以外には考えられない答えであった。
遅れて数秒後、研究室の奥の方から足音が聞こえてきた。
とっさにヌレーヴは写真立てから目を逸らし、足音の聞こえる方へと歩いていく。
そこにいたのは……やはり、写真と全く姿が変わっていない、迅であった。
迅「ん……ヌレーヴさん。
研究室に来るなんて、珍しいな……どないしたんですの?」
ヌレーヴ「……アクト様が呼んでいる。
転移装置の事で、少し話がしたいそうだ。」
迅「転移装置……ああ、この前の件か。
すまんなぁ、わざわざ来てもろて……おおきに。」
迅は研究室を出、アクトの元へと向かっていった。
その後姿を見つめながら、ヌレーヴは底知れぬ恐怖を感じていた。
自分の仮説どおりとするならば、迅は……アクトと並んで。
いや、それ以上に危険な人物……もしかすると、人間ですらないのかもしれない。
何故なら……
ヌレーヴ(奴は……影沼迅は、年を取っていない……年を取らない存在になる……!!)
80
:
璃九
:2007/03/02(金) 22:04:34 HOST:softbank220045007138.bbtec.net
○Who marriged he―――?3
(続けて『2』で)
車がマンションへとたどり着く。
トランクから荷物を取り出し、カズキは足早に自宅へと向かった。
カズキ「ただいま〜」
玄関へたどり着くなり帰りを告げると、間髪入れず女性の声が返ってきた。
ルナ「お〜、お帰り。」
リビングから顔を覗かせたのは、彼の妻―――『風上 月』だ。
穏やかな笑みを浮かべながらカズキのところへやって来る。
ルナ「ご飯出来てるから、さっさと食べちゃいなさい。」
カズキ「あぁ―――あ、いや・・・でも先に風呂に―――」
ルナ「んなもん後でいいから!」
言うなり強引にカズキの手を引いて、リビングへと連れていく。
ルナ「こっちは腹減ってんのよ!
アンタが帰ってくるのずっと待ってたんだから!」
少し不機嫌そうな顔で覗き込んでくる。
彼女はいつもこうだ。
少なくとも家に帰ってくる日は、どれだけ試合が遅くなろうとカズキのことをずっと待っている。
食事もカズキが帰るまで絶対に手をつけない。
カズキ「何だよ。先に食べててくれて良かったのに・・・」
だからカズキは決まってこう言う。
別に毎回意識しているわけじゃない。
ただ純粋にルナのことを思うと、自然にこの言葉が出てしまうのだ。
ルナ「バーカw」
そんなカズキに向かって、ルナは少しはにかみながら答えた。
ルナ「私はアンタと一緒に食べたいのよ♪」
ルナ「・・・量はあるんだから落ち着いて食べなさいよ。」
カズキ「ははへっへんらはらひょーはへーはほ(腹減ってんだからしょーがねーだろ)」
ルナ「食べながら喋るな。行儀の悪い・・・蹴るわよ?」
ルナが少し動くような素振りを見せると、
テーブルの向かい側に座っているカズキは首を大きく横に、次いで縦に振る。
ルナ「分かればいいの。」
元の姿勢に戻って箸を取る。
カズキの方も再び食事に没頭していた。
ルナ「・・・どうかしら?」
ふと尋ねてみる。
数日続いた日米試合の疲れを少しでも癒して欲しい。
だからちゃんと掃除して、部屋中をキレイにした。
結局強引に食事にしてしまったが、風呂もちゃんと入れてある。
料理の方も―――喜んでもらうために、一段と気合を入れて作った。
ルナ「おいしい?」
カズキ「ん―――おう。」
口に含んでいるものを一気に呑み込んでカズキは答えた。
カズキ「美味い。うん、ホテルの高級料理なんかよりも、姉さんの料理の方が絶対に美味い。」
ルナ「本当!?良かった♪」
カズキを真っ直ぐに見つめ、にっこりと笑ってみせた。
すると突然彼は目を丸くして、動かしていた箸をピタリと止めた。
よく見ると頬が少し赤らんでいて視線を横のほうへ逸らしている。
ルナ「・・・ん?どーしたの?」
カズキ「・・・や、まぁ、いいんだけどさ・・・」
呟くような声で彼は続ける。
カズキ「唐突にそーゆー顔するのは止めてくれ。ドキッとするだろ。」
ルナ「はぁ?」
今度はルナの方が目を丸くした。
ルナ「・・・何を言うかと思えばそんなストレートに・・・」
まったく、この辺だけは昔から変わっていない。
尤も、昔は大半が悪口や皮肉だったから、ストレートに褒められることに実は慣れていなかったりする。
だから夫婦となった今でも、褒められると少し驚いてしまうし―――
何より凄く嬉しくなる。
ルナ「そんなに可愛かった?w」
また満面の笑みを浮かべ、からかうように言う。
カズキ「・・・・・・」
まだ照れがあるのか、カズキはしばらく無言のままだった。
81
:
璃九
:2007/03/02(金) 22:05:07 HOST:softbank220045007138.bbtec.net
「ニュースの時間です。」
食後に風呂に入り、上がってきた頃には、もうかなり遅い時間になっていた。
頭をタオルで拭きながらリビングに入ると、丁度、深夜ニュースの始まりを告げるアナウンサーの声が聞こえてくる。
カズキ「あ〜・・・もうこんな時間か。」
テーブルにたどり着き、食事の時と同じ位置に座る。
向かい側ではルナが頬杖をつきながらテレビを見つめている。
カズキ「まだ寝ないのか?」
ルナ「アンタこそ。試合で疲れて眠くないの?」
テレビから目線を移し、体ごとカズキの方へと向き直る。
カズキ「疲れてるのは疲れてるんだけど・・・なんか、未だに興奮してるんだよな。
今日ほど盛り上がった試合なんてなかったしさ。」
あの熱狂の中、憧れの選手たちと、そして最高の仲間たちと―――
最高のプレーをした。最高の球を投げた。
思い出しただけでも震えてしまう。
カズキ「今日はホント・・・最高だったよ。」
ルナ「ふぅん・・・」
カズキ「反応薄いな・・・いや、だってさ―――」
それからしばらく、ルナはカズキの話を聞いていた。
試合のこと、野球のこと、チームのこと―――そして自分のこと。
とにかくカズキは夢中で話してくれた。
きっと自分のやっていること、自分の好きなことに、とことん熱中しているのだ。
素敵だと思う。カッコいいとも思う。
自分の好きなものに夢中になり、そのために頑張っている。
ルナはそんなカズキの姿が好きだった。
そして、カズキが自分の話をしてくれることが嬉しかった。
でも、反面―――
少しだけ寂しいのも事実だった。
ルナ「・・・あ、そうそう。私も今日―――」
話が一段落つき、今度はルナの方が口を開こうとするが―――
カズキ「お!丁度やってる!アレだよアレ!!」
はしゃぐようなカズキの声と、テレビから聞こえてくる歓声と音楽が、その言葉を遮った。
カズキ「あの場面だったんだよなぁ、失敗したの。
アレなければ、もうちょっと点抑えられたんだけど・・・」
ルナ「あ・・・あぁ、そうね・・・」
カズキ「でもこの後凄いんだぜ?ほら!上手くカバーに入ってるだろ!?」
ルナ「う、うん・・・いや、知ってる・・・それより―――」
カズキ「まぁ、後ろの守備の協力があったお陰でもあるんだけどな。
しばらくこのメンバーで試合したっていいぐらいだw」
ルナ「・・・・・・」
話はさらに続いた。
今、カズキの頭の中にあるのは野球のことだけなのだろう。
お陰で、向かい側に座るルナが俯き加減で体を小刻みに揺らしていることに全く気づいていない。
うん、分かっている。
野球のことになるとこうなってしまうのは、前々から分かっていたことだ。
でも―――いい加減限界だった。
ルナ「―――あぁもう・・・!」
思い切り机を叩き上げて立ち上がるルナ。
カズキがそれに驚いてルナの方へ向き直った時には―――
強力な跳蹴りが、顔面を直撃していた。
ドゴォッ―――!
瞬間、部屋中に轟音が鳴った。
随分久しぶりに喰らった気がする。
人の体を壁にめり込ませるほどの威力を持つ、この蹴りを。
カズキ「ぐ・・・が・・・」
でもそれを受けて生きている、かつ意識を保っている辺り、
自分の不死身っぷりはまだ健在なのだと改めて実感する。
とりあえず壁から抜け出して、よろめきながら立ち上がる。
カズキ「なにすんだよ!?」
ルナ「うっさいバカ!人の話を聞こうともしないで・・・!」
とうとうぶちきれた。
今までためていたものを全部吐き出す。
ルナ「分かってる、分かってるわよ!アンタのことは!
試合だってずっと見てた!アンタらがどれだけ凄いかってのも分かってる!
『あなた』のことは・・・全部!全部分かってる!!
何かに夢中になって一生懸命頑張るあなたが好きだから・・・!」
カズキ「姉さん・・・?」
ルナ「だから!外にいる時は自分のことだけを考えてていい!
でも・・・でも!せめて一緒にいる時だけは―――」
ゆっくりとカズキへ歩み寄る。
両手でカズキの服を掴み、彼を見上げたときには、
彼女の表情にもう怒りはなかった。
ルナ「もっと私を見て。もっと私に触れて。
もっと・・・私だけに夢中になってよ・・・!」
仄かに潤んだ瞳がカズキを覗き込んでくる。
いつもは強くて大きく見えるルナが―――
この時だけは小さくて、凄く弱々しく見えた。
82
:
璃九
:2007/03/02(金) 22:06:00 HOST:softbank220045007138.bbtec.net
カズキ「・・・・・・」
カズキは何も言わなかった。
ただ、なんとも言えない表情でルナを見つめている。
しばらく二人の間に重苦しい空気が流れた。
ルナ「・・・・・・」
少しわがままだったかもしれない。
言ってしまってから後悔した。
カズキ自身に悪気がないというのは分かっているのに―――
頭の中が少しだけゴチャゴチャになる。
とにかく落ち着かなければ。
ゆっくり離れようとする。
ルナ「・・・ごめんね、私―――」
カズキ「―――何で誤るんだよ・・・!」
片腕で抱きしめられ、引こうとしていた頭が胸に埋まったのはその時だ。
ルナ「―――!」
カズキ「悪かったのは俺の方だ。
自分のことばっかで、姉さんの話、聞こうともしてなかった。
ホントにごめん。」
真剣な表情と声音だった。
カズキ「か、勘違いするなよ!?俺だって姉さんのこと全然思ってないわけじゃない!
外にいるときだって、姉さんのことずっと気にしてて・・・
それに、家に帰ってから自分のことを姉さんに話すのは、姉さんに1番聞いてもらいたいからだ。
姉さん、どんな話でもちゃんと聞いてくれるから、凄く気分が楽になる。
俺の話で姉さんが笑ってくれると嬉しくて・・・」
一瞬、カズキは目を伏せた。
カズキ「でも、違ってたんだな。見ているつもりで・・・ちゃんと姉さんを見れてなかったんだ。
だから・・・俺がずっと話してりゃいいってことじゃないって気づけなかった。
ごめん!けど、俺が姉さんのこと好きって気持ちは嘘じゃないからな!」
ルナ「・・・・・・」
何だ。
結局、二人とも勘違いしていただけだ。
カズキはカズキなりに、ルナを喜ばせようとしていただけ。
それを―――ルナ自身が無意味に疑ってしまった。
ルナ「・・・妻失格だわ。」
カズキ「姉さん?」
ルナ「つまらないことで疑って、つまらないことで怒って・・・勝手に不安になって。
こんなんじゃ私、あなたと―――」
カズキ「そんなことない。」
力強い声で否定する。
カズキ「夫婦だからって、互いの全てを知ってるわけじゃない。
姉さんとは長いつき合いなのに、結婚して初めて知ったことだってたくさんあった。
姉さんだってそうだろ?」
ルナ「・・・うん」
カズキ「互いのことを知らなくて、互いのことを知りたいから・・・
だから夫婦になるんじゃないかな?
好きだから互いのことをどんどん知りたいと思う。
でも、好きなのに互いを知らないから・・・多分、不安になるんだ。」
やさしく笑って、諭すようにカズキは言う。
カズキ「俺だって不安になることがある。
でも、姉さんが「好き」ってくれる間は、俺は姉さんの傍にいてもいいんだって―――安心する。
姉さん、俺は―――」
抱きしめていた腕を解き、カズキは両腕でルナの両肩を掴んだ。
ルナを真っ直ぐに見つめる。
カズキ「姉さんが好きだ。妻失格だなんて思ったこともない。
俺は姉さんの傍にいたいし、姉さんには傍にいて欲しい。
だから、俺に何か足りないものがあったら・・・何でもいい、ハッキリ言ってくれ。」
ルナ「あ・・・」
これだけ―――自分を思ってくれている。
私もだ。
ルナ「私も―――」
ふいにカズキの背中に手を回し―――
頬にそっと・・・キスをする。
カズキ「ッ――――――!?(///)」
頬が一気に赤く染まる。
ルナ「あなたの傍にいたい。だから―――」
カズキ「・・・おう。」
そこから言葉は要らない。
互いに何を言いたいのか、何を伝えたいのか・・・
二人は分かっているからだ。
ルナがもう一度、カズキに顔を近づける。
そのままキス―――と、思いきや、
カズキの耳元にそっと口を近づけ囁いた。
ルナ「愛してるわ、カズキ」
カズキ「あ、愛してるよ・・・姉さ―――」
思いを伝えるべくカズキも同じことを返そうとするが、
そこまで言って、彼は一端口を止めた。
ルナが不思議そうな顔を浮かべる。
そんな彼女に笑って―――
彼もまた、彼女の耳元で囁いた。
カズキ「―――愛してるよ、ルナ」
83
:
SD
:2007/03/12(月) 23:25:04 HOST:usr211019191129.tcn.ne.jp
○スーパーロボット大戦 BRAVE OF BLAZE 番外編『空手家と狼と』○
零次「手掛かり無し……どうやら、宛が外れたみたいだな。」
調査員1「ええ……身代金目当ての誘拐を主とする、大規模犯罪組織。
もしやと想ったんですが……」
日も暮れ初め、夕焼けで紅く街が染まり始めた頃。
今は使われていない廃ビル内で、神月零次は溜息をついていた。
つい数分前……彼は数人の仲間達と共に、この廃ビルをアジトとしていた、ある犯罪組織を壊滅させたのだ。
その組織の主な活動内容は、高額な身代金目当ての誘拐。
零次達がこの組織に関わったのは、ある事件が切欠だった。
零次「裕樹、柳ちゃん、充……お前等、一体どこにいるんだよ?」
調査員1「零次さん……」
零次の息子の裕樹に、その恋人である柳。
柳の父親にして、零次の唯一無二の親友である充。
この三人が、つい半年ほど前に、謎の失踪を遂げたのだ。
何らかの事件に巻き込まれた可能性は、極めて高い。
そう考えた零次は、それまで務めていた病院を退職。
そして、三人の探索を行う為に調査隊を結成した人物……裕樹と柳の親友である、ヴェルン=バックライドの元を訪ねた。
零次はヴェルンへと、自らを調査隊に加えて欲しいと申し出たのだ。
この申し出を受け、ヴェルンは悩んだ末に彼を調査隊に加える事を決意。
そして……事態は今に至る。
この犯罪組織が、もしかしたら三人の失踪に絡んでいるのではないだろうか。
そう考え、零次はアジトを突き詰め乗り込んだわけなのだが……宛は見事に外れてしまった。
溜息をつき、縄で縛った犯人達を見やる。
零次「まあ、こいつらを捕まえれただけでも良しとするか。
俺達が何とかしなきゃ、もっと被害が出てたかもしれねぇんだし……」
調査員2「……そうですね。」
零次「そう暗い顔すんなって。
大丈夫だ、きっとあいつ等は見つかる……信じようぜ。」
それから数分した後、外からパトカーのサイレンが聞こえてきた。
犯人達を引き渡す為、連絡を入れておいたのだ。
兎に角、皆疲れが溜まっているに違いない。
警察に犯人達を引き渡したら、今日の所は終わりにしよう。
そう考えながら、零次は警察の到着を待っていたのだが……その時だった。
犯人「うおおおお!!」
零次「なっ!?」
調査員1「こいつ……縄が切れてる!?」
犯人の一人が突然立ち上がり、階段目掛けて全力疾走をし始めたのだ。
拘束する際、刃物の類は確かに全て没収した。
縄を切っての脱出は不可能……その筈だったのに、逃げられたのだ。
何故、彼等が逃亡を果たせたのか……答えは単純だった。
彼等は……自らの歯で、ロープを噛み切っていたのだ。
猿轡をせず、口元を自由にしていた事が災いしてしまった。
すぐさま零次は、逃げた犯人を追いかける。
調査員も数名を残して、後を追いかけていく。
犯人(くそっ……ここで捕まってたまるか!!
折角あの場所を抜けて、自分でここまで組織を大きくしてきたってのに……!!)
調査員2「零次さん、どうします?
一応、銃弾はまだ残っていますが……」
零次「駄目だ……この状況じゃ、奴を死なせないよう狙えるかどうか分からねぇ。
せめて、一瞬でもあいつの足が止まってくれりゃ……ん?」
犯人が一瞬でも止まれば、足に銃弾を打ち込みその動きを止められる。
そう言った、まさにその直後だったのだ……犯人が、その足を止めたのは。
何故、こんなタイミングで逃げるのをやめたのか。
調査員の一人は素早く拳銃を抜いたが、零次はそれを抑える。
この状況での発砲は危険……直感的にそう感じたのだ。
一体、何が起こっているのか。
零次達は、男の前方を確認してみる……すると。
そこには……ある一人の男が立っていた。
空手の達人である零次すらも、その姿を見ただけで恐怖を覚えるような……最悪の存在が。
犯人「あっ……あぁっ……!?」
デスモンド「……よう。
元気そうじゃねぇか……裏切り者よ。」
犯人「何で、どうして……どうして、あんたがこんな所に……!?」
痩せ狼……デスモンド=マードッグ。
殺人拳を極めた、最強最悪の武術家が……男の前に立ちはだかっていたのだ。
84
:
SD
:2007/03/12(月) 23:27:03 HOST:usr211019191129.tcn.ne.jp
デスモンド「中々、活きの良い闘気を感じて来てみりゃ……面白い事になってんじゃねぇか。」
犯人「お……俺を殺しにきたってのか!?」
デスモンド「馬鹿言え……誰がお前の様な小物を、態々殺しに来るってんだよ?
任務のついでの寄り道だ……」
突如として現れたその男……デスモンドを前にし、誰もが畏怖を抱いた。
その身から放たれる莫大な闘気の波が、空気を通じて伝わってくる。
零次を含めた全ての者が、体の震えを隠せないでいた。
数人の調査員は、拳銃を握ったまま立ち尽くしていた。
例え銃火器を持っていたとしても……この男に、勝てるのだろうか。
今までに感じたことの無い恐怖が、彼等を支配していた。
果たしてどうすればいいか、零次達には分からなかった。
兎に角、デスモンドの出方次第……彼等は、相手がどう動くかを窺っていた。
だが……この判断は、最悪の結果を招くハメとなった。
犯人「じゃ、じゃあ……」
デスモンド「……アホが。」
犯人「え……っ!?」
デスモンドは、自分を狙ってきたわけではない。
そう聞かされ、安心した……まさにその瞬間だった。
デスモンドは一瞬の内に間合いを詰め、僅か数センチという距離まで迫ってきていたのだ。
その右の拳に宿るは、莫大な闘気の塊。
犯人がそれに気づいた時には、全て遅すぎた。
全力を込め、デスモンドは腕を振りかぶり……犯人の胴体へと、全力で拳を叩きつけた。
この瞬間、犯人の肋骨の全てが、音を立てて崩壊した。
だが、事態はこれだけでは収まらない……次の瞬間に、拳の闘気が弾けたのだ。
犯人は吹っ飛び、凄まじい勢いで壁に叩きつけられる。
その胸には、大きな穴がポッカリと空いていた……丁度心臓のある部分を、抉られていた。
勿論、これで息が有る筈が無い……即死である。
デスモンド「どんな雑魚だろうが、裏切り者を生かしとく道理なんざねぇんだよ。
まあ、いい準備運動にゃなったぜ……こっからが本番なんだからよ。」
零次「お前……一体、何者だ!!」
デスモンド「俺か……?
俺は、ヘルプリズナー「ダークレイス」参番隊隊長。
『痩せ狼』……デスモンド=マードッグだ。
おっと、お前の方は自己紹介しなくていいぜ……神月零次。
世界一の腕を持つ天才外科医にして、空手の達人……違うか?」
零次は、デスモンドの言葉に驚きを隠せなかった。
自分の素性を知っているという事は、大した問題ではない。
本当に問題なのは、この男の素性……世界支配を狙う大組織、ヘルプリズナーの隊長格という事である。
零次も、ヘルプリズナーの噂は多くの者から聞かされていた。
その精鋭部隊であるダークレイスの隊長格は、今現在、参番隊と四番隊しか確認されてはいないが……
その戦闘能力は、一個中隊にも匹敵するという。
特に、参番隊隊長の……痩せ狼の力は、ヘルプリズナーの総帥をも上回ると聞いている。
デスモンド「何が目的だって顔をしてんな……いいぜ、教えてやるよ。
こいつは、お前にも十分関係有ることだからな……」
零次「俺に……?」
デスモンド「俺は任務を終えて、帰る最中だったんだがな……寄り道したくなっちまったんだ。
このビルの中から、半端じゃねぇ闘気を感じたんでよ……興味を持ったんだ。
さて、此処まで言えばもう分かるよな……?」
零次「っ!!」
デスモンドが何を求めているか、零次は瞬時に理解した。
そして、その直後……デスモンドの強烈な蹴りが、零次目掛けて繰り出された。
零次はとっさに腕を十字に交差させて、その一撃を防御する。
しかし……デスモンドの一撃は、余りに強烈過ぎた。
踏ん張りきれず……零次は、凄まじい勢いで壁へと叩きつけられた。
コンクリートで補強されている筈の壁が、嫌な音を立ててへこむ。
零次は今まで、他流の格闘家達とは勿論の事、人外の生物との戦いをも経験してきた。
その数は、恐らくは千を越えているに違いない。
しかし……デスモンドは明らかに、その千の内の全ての存在を上回っている。
いや、それどころか……千の全てが同時にかかったとしても……勝てないかもしれない。
零次は、心底恐怖を覚えていた。
自分は……とてつもない相手に、喧嘩を売られているのだと。
零次(冗談だろ……こいつ、本当に人間か!?)
デスモンド「ほぉ……成る程、中々鍛えてるみたいじゃねぇか。
並の奴なら、今ので両腕の骨が完全に砕け散ってんだが……面白ぇ。
どうやらこいつは……久々に、全力を出せそうだぜ。」
零次(くそっ……やべぇな。
こんなのと、真正面からやり合って……俺に勝ち目なんてあんのかよ?)
85
:
SD
:2007/03/16(金) 03:05:44 HOST:usr211019191129.tcn.ne.jp
デスモンド「カアアァァァァァッ!!」
零次「ちっ……ふざけんじゃねぇぞ、おい!!」
壁に叩きつけられた零次目掛け、デスモンドは追撃を仕掛けてきた。
拳にありったけの闘気を集中させ、猛烈なスピードで叩きつける。
シンプルだが、極めて強烈な必殺の一撃……この一撃にガードが通用しないのは、既に証明済みである。
回避するしかない……零次は大きく目を見開き、迫り来る拳を睨みつけた。
そして……拳が顔面を捉えようとした、まさにその瞬間。
零次は、すぐさま身を屈め……寸での所で、デスモンドの拳を回避したのだ。
普通に横に跳んで逃げる方が、遥かに安全。
それにも関わらず、零次がこんな危険な回避方法を選んだ理由は、一つ……反撃を狙う為だ。
零次「ラァァァァァァッ!!」
デスモンド「むっ!!」
零次は強く床を蹴り、デスモンドの顎目掛けてアッパーカットを叩き込んだ。
デスモンドの戦闘能力は、自分を遥かに上回っている。
真正面から格闘をして勝てる可能性は、限りなく皆無に近い。
この様な状況で零次が取れるのは……奇襲しかなかった。
カウンターを取る形で打ち込まれた、全力のアッパーカット。
流石のデスモンドも、一瞬とは言え、この一撃に怯みを見せた。
その瞬間を狙い、零次はデスモンドに組み付き……仲間の調査員達へと、指令を与えた。
零次「今だ、こいつを打て!!」
調査員1「え……!?」
調査員2「けどそれじゃあ、零次さんまで!!」
零次「躊躇ってんじゃねぇ!!
こいつを潰すチャンスは、今しかねぇんだ!!」
調査員3「う……ウワアアアァァァァッ!!」
デスモンド目掛けて、調査員全員が発砲した。
零次もそれに合わせて、拘束を緩めデスモンドの体を蹴り飛ばした。
勝負が始まって間もない今こそ、完全な本気を出し切っていない今こそ。
この今こそが、デスモンドを倒せる唯一のチャンスだった。
ありったけの銃弾が放たれ、デスモンドへ迫っていく。
このままの状況では、全弾までとはいかないだろうが、銃弾はデスモンドを確実に貫通する。
そうなれば、零次も銃撃を浴びる事になる。
重傷は免れないだろうが……デスモンドを倒せるのならば、それも構わない。
零次はすぐさまガードを取り、僅かでも銃弾のダメージを抑えようとする。
これで終わりだと、誰もがそう思っていた。
しかし……それは大いなる間違いだった。
零次には、誤算があった……デスモンドのポテンシャルを、大幅に見誤っていたのだ。
この男には……銃弾の嵐など、通用しないのだ。
86
:
SD
:2007/03/16(金) 03:06:17 HOST:usr211019191129.tcn.ne.jp
デスモンド「舐めてんじゃねぇぞ……テメェ等ァッ!!」
銃弾が命中するまで、一秒もかからないであろう距離にまで近づいた、その瞬間だった。
凄まじい量の闘気が、デスモンドの全身から溢れ出し……彼の体を覆い尽くした。
闘気をまるで、鎧の様に纏ったのだ。
銃弾は、デスモンドに命中した……そう、命中はした。
だが……それによってダメージを受けたのは、デスモンドではなく……銃弾の方であった。
命中した銃弾は、弾頭から潰れていき、次々に床へと落ちていった。
デスモンドの肉体の硬度が……銃弾を遥かに上回っていたのだ。
皆が呆然とし、立ち尽くす。
『信じられない。』
この時、皆の気持ちは見事に一致していた。
デスモンドは、己の数百倍はあるであろうロボット相手でも、生身で立ち向かう男。
この様な拳銃では……掠り傷一つ負わせる事すらも、適わないのだ。
デスモンド「今度は、こっちの番だ……!!」
零次「っ……逃げろぉ!!」
零次は直感的に、皆へと逃げるよう叫び声を上げた。
このまま彼等がこの場にい続けては、確実に殺されてしまう……何としても、逃がさなければならない。
そんな零次の意志を察したのか、調査員達は階段へと走り下の階へと逃げ去っていった。
これでこの部屋には、零次とデスモンドの二人だけとなった。
デスモンドの全身を纏っていた闘気が、その両足へと収束されていく。
そして蹴りを放つと同時に、闘気の塊が打ち出された。
零次はとっさに横に跳び、直撃を免れたが……闘気の塊は、そのままビルの壁に直撃。
壁を粉砕し、外へと繋がる大穴を開けた。
零次(何て威力だ……じゃあ、さっきの拳も本気じゃなかったのか!?)
闘気を塊にして打ち出すよりも、その塊をそのまま叩き込んだ方が、破壊力があるに決まっている。
しかし今の闘気弾は、先程の拳よりも確実に威力が上。
これが意味する事は一つしかない……加減されていたのだ。
あの一撃でも、腕の骨が砕けるのではないかという程の破壊力があったというのに、それでまだ本気ではない。
ならば、この男が完全な本気を出した場合……どれだけの破壊力が、生まれるのだろうか。
零次(……まずいな。
勝てる要素が、全然見当たらねぇ……!!)
87
:
SD
:2007/03/17(土) 20:14:22 HOST:usr211019191129.tcn.ne.jp
デスモンド「その顔……理解したみたいだな。
俺が今まで、本気じゃなかったってのを……」
零次「……本気を出すに相応しい相手かどうか、試してたって分けか。
けど俺があんな真似したから、気が変わったって訳か?」
デスモンド「ああ……ただ、先に断っておくとだ。
俺は別に、お前が一対多数でかかってきた事や拳銃を持ち出した事に対して、怒りを抱いてるわけじゃねぇ。
その場の状況を上手く利用するのは、当然の戦法だからな……」
零次「……そういうことか。」
デスモンドは、零次を認めたのだ。
零次は自らの危険を顧みずに、一斉射撃という策を即座に取る事が出来た。
よっぽどの判断力、決断力、思考力。
そして度胸が無ければ、これ程の真似は出来ない。
デスモンドとて、歴戦を潜り抜けてきた猛者。
勝負を決めるのは、決して身体能力の差だけではない……その点は、十分に理解している。
だからこそ、本気を出す必要があると……そう判断したのだ。
零次(……逃げ切れる可能性は、限りなく零に近いな。
エレベーターも階段も、あいつの背中側……使うには、あいつを突破しなきゃならなくなる。
そいつは幾らなんでも無茶だ……それに、仮に突破できたとしてもだ。
このビルは、何年も放置されていた廃ビル……エレベーターは使えねぇ。
階段で逃げるのも、こいつのスピードを考えたら……掴まるのがオチだ。
となると……退路は、さっきこいつが開けた大穴しかなくなっちまう。
けど、この高さから外に逃げろってのは……無理だ。)
退路は完全に断たれた。
これで、零次が生き残れる道は一つしかなくなった。
デスモンドを倒し、そして生き残る。
それ以外に、もはや道は無い。
零次は構えを取り、デスモンドの出方を窺った。
未知の強敵を相手に自分から飛び込むのは、やはり自殺行為だからだ。
対するデスモンドは、そんな零次とは真逆……即座に飛び出してきた。
拳に闘気を集中させて、真っ直ぐに突き出す。
それと共に、闘気の塊が打ち出され……デスモンドは、そのままスピードを落とす事無く急接近してきた。
闘気弾によってこちらの動きを制限し、拳を叩き込もうという魂胆である。
ならばと、零次は一か八かの賭けに出た。
零次「闘気弾を回避したところに、拳をぶち込むってんなら……回避しなきゃいい話だ!!」
デスモンド「ほぅ……!!」
闘気弾が零次の胴体を捉えようとした、その瞬間。
零次はまるで円を描くかのように、大きく両腕を廻した。
それにより……闘気弾が、零次に命中せずに掻き消えたのだ。
廻し受け。
あらゆる受け技の要素を兼ね揃えた、受け技の最高峰。
手馴れの者が使えば、火炎放射器の炎までも掻き消さる事が可能な奥義である。
零次はそのまま、真っ直ぐに手刀を繰り出した。
狙うは急所……喉元。
闘気による防御をしていない今ならば、この一撃で相当のダメージを与えられるに違いない。
二人の腕が交差する。
零次の手刀か、デスモンドの拳か。
勝負の行方は……
88
:
SD
:2007/03/17(土) 20:14:53 HOST:usr211019191129.tcn.ne.jp
零次「嘘だろ……!!」
デスモンド「くく……危なかったぜ。」
零次の手刀の方が、デスモンドの拳よりも早かった。
だが……デスモンドは、それを防いでいた。
顎を下ろし、顎と首元で手刀を白刃取りしたのだ。
ならばと零次は、もう片方の拳でとっさに殴りかかろうとしたのだが……それよりも、デスモンドの方が早かった。
強烈な掌打が、零次の胴体に打ち込まれる。
襲い来る強烈なダメージに、零次は顔をしかめる……そして。
デスモンド「コオォォォォォ……破ァァァッ!!」
ドゴオォォォン!!
零次「カハッ……!?」
デスモンドの掌から、莫大な量の闘気が放出された。
零次の体が宙を舞い、そして地に伏せた。
零距離からの、莫大な闘気放出……ゼロ・インパクト。
デスモンドが最も得意とする、必殺の一撃……その破壊力は、絶大だった。
着ていた服はズタズタに裂け、零次の上半身が露出される。
その腹部には大穴が開いており、そこから内臓器官が見られる。
肋骨は、その殆どが崩壊。
折れた骨が内臓に突き刺さらなかったのは、不幸中の幸いではあったが……酷すぎる重態に、変わりは無い。
夥しい量の血が、床を真紅に染めていく。
零次は、生きているのが奇跡という程の状態に追い込まれたのだ。
零次「ッ……!!」
デスモンド「今の感じ……防弾チョッキを着てやがったのか。
しかも、ゾル・オリハルコニウム製の線維を織り込んだ特注品か。
考えてみりゃ、あの連中を捕まえに来たんだから、防弾チョッキは当然の装備だ。
全く……通りで、一撃で殺せなかった訳だぜ。」
零次達はこのビルに乗り込む際、防弾チョッキを着用して挑んだ。
それも、44口径の銃弾すらも余裕で防げる特注品を。
ゾル・オリハルコニウム製の線維を織り込んで作った、地上最強の防具。
だが……デスモンドは、それを諸共せずに粉砕した。
そしてその上に、零次に瀕死の重傷を負わせた。
もしも防弾チョッキが無ければ、零次は即死していたであろうが……着用していても、この有様である。
デスモンドは、余りにも強すぎた。
零次一人の力では、到底太刀打ちできないほどに……!!
89
:
SD
:2007/03/21(水) 22:49:47 HOST:usr211019191129.tcn.ne.jp
デスモンド「神月零次……世界でも随一の空手家。
まあまあ、楽しめたっちゃ楽しめたかな……」
倒れこんでいる零次にトドメを刺すべく、デスモンドが少しずつ歩み寄って行く。
零次はぼやけた視界の中で、迫り来るデスモンドを捉えようとする。
御互いの間に、余りにも大きな実力差がありすぎた。
やはり、無謀過ぎた挑戦であったか。
朦朧とする意識の中、零次はこれまでの人生を振り返っていた。
零次(……ここまでか。
悪ぃ、皆……許してくれ。
ヴィーダ、どうやら俺もそっちに行かなきゃいけねぇみたいだ。
また……仲良くやろうぜ……)
デスモンドが、零次の側へと立つ。
その拳には、莫大な量の闘気が宿っている。
この一撃を頭部にでも打ち込まれれば、それで確実に終わるだろう。
体に全く力が入らない……逃げたくても、逃げようが無かった。
零次は、ゆっくりと瞳を閉じる。
裕樹達の捜索を申し出た時から、覚悟は出来ていた。
武術家として、戦いの最中で死ぬのも悪くは無い。
そう思い、己が死を受け入れようとするが……その直後であった。
デスモンドが……その覚悟を根本から揺るがす、衝撃の一言を放ったのだ。
デスモンド「まあ、裕樹の親父ってだけの事はあったな。
あいつの実力は、親父譲りだったって訳か……」
零次「え……!!」
零次は、己が耳を疑った。
デスモンドは今……確かに言った。
ずっと探し続けていた、自分の息子……裕樹の名を。
何故、この男が裕樹の名前を知っているのか。
何故、裕樹の実力を知っているのか。
ここで零次は、全てを悟った。
裕樹達の失踪……その真相は、ヘルプリズナーにあったのだと。
非情なる必殺の拳が、零次の顔面に迫る。
この時零次には、先程までとは全く真逆の思いが到来していた。
零次(やっと見つけたんだ……裕樹達の手掛かりを……
死んでたまるかよ……こんなところで……!!)
デスモンド「っ!?」
デスモンドの拳が、零次の顔面を捉えようとしていた、まさにその瞬間であった。
零次の腕が動き……デスモンドよりも早く、その拳を、顔面に叩き込んでいたのだ。
もはや、一ミリたりとも体を動かせない程の重傷を負っていた筈。
それにも関わらず……零次は、復活を遂げたのだ。
ゆっくりと立ち上がり、零次は構えを取る。
流石のデスモンドも、この異常事態には驚きを隠せないでいた。
デスモンド「テメェ……そんな重傷で、どうやって……!!」
零次「……まだ、終わっちゃいねぇ。
舐めんなよ……デスモンド!!」
90
:
SD
:2007/03/21(水) 23:18:58 HOST:usr211019191129.tcn.ne.jp
零次「アアアアアァァァァァァァッ!!」
勢いよく前に踏み込み、貫手を繰り出す。
デスモンドはそれを回避しようと、即座に足を動かす。
だが……回避しきれない。
デスモンドの腕が斬れ、血が流れ出す。
先程繰り出してきた貫手よりも、凄まじく速い。
それに……攻撃力も桁違いである。
闘気を集中させていなかったとはいえ、まさか腕を斬られようとは。
零次は間を空けず、即座にアッパーカットを仕掛ける。
デスモンドはとっさに闘気を腕に集中させ、十字に交差させて防御した。
全力で固めれば、MSのビームサーベル相手でもビクともしない、鉄壁の防御。
流石の零次でも、この防御を相手に拳は無謀すぎた。
拳が嫌な音を立て、鮮血を撒き散らす。
骨が砕けてしまったかもしれない……零次は、拳を押さえ膝を着く。
しかし……何と、対していたデスモンドも後方へと吹っ飛ばされていた。
零次の意地の一撃は、デスモンドを突き動かしたのだ。
デスモンド「ククク……面白ぇ!!
これだぜ、俺がずっと求めてたのはよ……!!
力を手にして以来、ずっと探してた……心から楽しめる相手!!
あらゆる格闘家は勿論の事、特機やMS!!
果てには、機械獣の様な化け物どもとも俺は殺りあってきた!!
それでも……ここまで高ぶった事はなかった!!
久々に俺は、恐怖を感じた……こいつはやべぇんじゃねぇかって思った!!
俺はこの手で、お前を本気で潰してやりてぇ!!
神月零次……最高だぜ、テメェは!!」
零次「俺は……必ず生き残る。
生き延びて、裕樹達を助け出す……大穴の一個や二個がどうした!!
拳の一つぐらい、喜んで捨ててやる!!
お前を倒して、生き延びる為ならよ!!」
91
:
SD
:2007/03/27(火) 23:57:02 HOST:usr211019191129.tcn.ne.jp
二人が同時に打って出る。
もはや、相手を完膚なきまでに打ちのめす事以外、二人の脳裏には無かった。
デスモンドは掌から闘気を放ち、衝撃波を巻き起こす。
零次はそれを廻し受けで流し、一気に間合いを詰めた。
そして再び、貫手を繰り出す。
デスモンドは即座にありったけの闘気を放出し、全身に闘気の鎧を纏う。
この鎧は、先程銃弾を防いだ時のそれよりも遥かに上。
陽電子砲の直撃すらも乗り切った、痩せ狼の最強形態。
生身の零次を相手に使うには、余りにも強大すぎる奥義であった。
だが……零次の貫手は、その防御すらも打ち貫いたのだ。
コークスクリューを繰り出すかの如く、腕全体を回転させながら繰り出された一撃。
それは、闘気の鎧をも切り裂き……デスモンドの首筋を斬った。
さらにそこから、零次は更なる追撃を仕掛けた。
強く床を蹴り、跳躍……鎧の裂け目である首筋目掛けて、強烈な後ろ回し蹴りを叩き込んだのだ。
デスモンドはこの一撃に怯み、思わず体勢を崩しそうになる。
しかし、ここで倒されるわけにはいかない……すぐさま間合いを離し、持ち直した。
ここまで防戦一方だった零次が、ついに優性に立てたのだ。
デスモンドはその顔に、微笑を浮かび上がらせる。
まさか零次がこれ程までの潜在能力を秘めていようとは、嬉しい誤算であった。
零次はデスモンドと違い、闘気を扱う事は出来ない。
身体能力でも、明らかにデスモンドより劣っている。
だが……零次はそれにも拘らず、互角の戦いを繰り広げている。
零次は、己が限界を遥かに越えた実力を発揮していた。
全ては、彼の『生き延びたい』という強い意思による物であった。
今や、精神が肉体を完全に凌駕しているのだ。
デスモンドも、その事には薄々気付き始めていた。
やはり最後に物を言うのは、本人の気力である。
ならば自分は……それを更に上回るだけの気力で勝負に挑むのみ。
デスモンド「コオオオオオォォォォォ………ッ!!」
全身を覆っていた莫大な闘気の全てを、両の拳へと集中させる。
そこへ更に、己が持てるありったけの闘気を一気に注ぎ込んでゆく。
あらゆる敵を葬り去る、最強の奥義……アルティメットブローの発動準備。
この一撃がまともに命中すれば、零次は勿論……このビルまでもが、衝撃の余波で崩壊するだろう。
零次もそれに対し、拳を強く握り締めた。
次の一撃で、全てが決まる。
両者共にピクリとも動かず、その場に立ち尽くしたままであった。
そして、二人の間に一陣の風が吹いた……その瞬間。
零次「アアアアァァァァァッ!!」
デスモンド「うおおおおおおおおっ!!」
二人が同時に飛び出した。
全てを乗せた必殺の拳を、ただ全力で叩き込むのみ。
両者の距離が、急激に接近してゆく。
これで全てが終わる。
絶対に、終わらせてみせる。
二人の思いは奇しくも一致していた。
しかし……この思いは、思わぬ形で裏切られる結果となった。
92
:
SD
:2007/03/27(火) 23:57:54 HOST:usr211019191129.tcn.ne.jp
プシャアアァァァァァァァァッ!!
デスモンド「何ぃ!?」
零次「煙幕……!?」
調査員「零次さん、大丈夫ですか!!」
突然、二人の間に金属缶が投げ込まれ……そこから、大量の黒煙が発生した。
二人は煙に巻かれ、その動きを思わず止めてしまう。
スモークグレネード……それも、相当強力な代物であった。
投げ込んだのは、零次が逃がした調査員達であった。
彼等は零次を助け出す為、装備を整え戻ってきたのだ。
遅れて数秒後、テログループの逮捕にやってきた警官達も現場に入り……一斉発砲。
デスモンドへと、集中砲火を浴びせた。
調査員「零次さん、早く!!」
零次「……すまねぇ!!」
出来る事ならば、デスモンドとは完全な決着を着けたかった。
だが……元々自分の目的は、生き延びる事。
チャンスが出来た以上、それを活かさない手は無い。
零次はすぐに声のした方へと走り、転がり込む。
すぐに調査員達が彼へと駆け寄り……その傷の具合を見て、絶句した。
左拳は砕け、使い物にはならない。
胸には大穴が空くという、生きているのが奇跡であろう程の重傷。
こんな状態で……零次は、痩せ狼を相手に死闘を繰り広げていたのだ。
すぐに処置を施さなければ、零次は確実に死ぬ。
彼等は即座に、零次を外へ連れ出そうとするが……その直後だった。
デスモンド「待てよ、零次……まさか、これで終わりのつもりか?」
舐められたもんだぜ……分かってるくせによ。
有象無象が幾ら集まろうが、俺には勝てねぇって事をなぁ!!」
黒煙の中から、デスモンドが出現する。
放たれた銃弾は、彼に一切のダメージを負わせることは出来なかったのだ。
44口径のデザートイーグル……警官が持つ代物としては、間違いなく最強の部類に入る拳銃。
先程調査員達が放ったのとは、威力が桁違いの代物である。
それなのに……この男には、通用しなかった。
デスモンドは強く床を蹴り、目の前の警官へと飛び掛ろうとした。
だが……その瞬間に、恐るべき攻撃がデスモンドに襲い掛かってきた。
ビルの壁をぶち破り……量産型ゲシュペンストMK-Ⅱの手が、デスモンドを掴んだのだ。
拳銃の一斉発砲は、単なる足止めに過ぎなかった……こちらが本命である。
量産型ゲシュペンストMK-Ⅱは、そのままデスモンドをビルの外へと引っ張り出し、地面に叩きつけようとする。
しかし、その直後……拳が砕け散った。
デスモンドは、全身から闘気を放出し……拳を粉砕したのだ。
ならばと、パイロットはジェットマグナムを打ち込みにかかる。
対するデスモンドは、臆する事無く……拳で迎え撃った。
ズガアァァァァァン!!!
音を上げ、量産型ゲシュペンストMK-Ⅱの拳が砕け散った。
痩せ狼は……生身で、ジェットマグナムに打ち勝ったのだ。
さらにその直後、蹴りを繰り出し闘気弾を発射……量産型ゲシュペンストMK-Ⅱを、完全に粉砕した。
もはや化け物という言葉では、生易しいかもしれない。
誰もが息を呑み、デスモンドに恐怖を覚えた。
そしてデスモンドは地面に着地した後、再びビルへ戻ろうとするが……その瞬間であった。
突然、彼の背後から……義手をつけた一人の男が現れたのだ。
デスモンドはその義手の男……自分の仲間である牙龍の姿を見て、舌打ちをする。
デスモンド「ちっ……迎えに来たってか?」
牙龍「まあ、そんなとこだ。
こっちも任務の帰りなんで、丁度良かったからな……やりすぎだぜ、デスモンド。
ちょっとした騒ぎになってんじゃねぇか……これじゃ、後がめんどいぞ?」
デスモンド「……しゃあねぇな。
分かった、ここは大人しく撤退するとしよう……一応、収穫はあったしな。」
デスモンドはビルを見上げ、微笑を浮かべた。
神月零次……久々に、心から楽しめる相手を見つけられた。
次に会い見えるときは、必ず決着を着ける。
そう心に誓い……デスモンドは、その場を去っていった。
デスモンド(あばよ……また会おうぜ、零次。)
零次とデスモンド。
二人の繰り広げた壮絶な死闘は……始まりに過ぎない。
やがて、物語は始まりの時を迎える。
運命の歯車は、回り始めた……
To Be Continued……
93
:
SD
:2007/04/05(木) 04:11:07 HOST:usr211019191129.tcn.ne.jp
○始まりの時○
原田「いいのか、ワイス?
何なら、うちの舎弟を何人か貸してやってもいいんだが……」
ワイス「構わない……私の事なら、気にしないでくれ。」
クラウスに頼まれ、再び時空を越える決意をしたその日。
ワイスは原田の屋敷で、彼と食事を取っていた。
流石は日本最強の極道というだけあって、全てが一流の品ばかりである。
ワイスがこの屋敷にいるのには、勿論理由がある。
かつて、世界の全てを滅ぼそうとした教団との戦いを終えた後。
教団に属していた者達は皆その罪を問われ、罰せられた。
しかしながら、中にはワイスの様に、教団を裏切った人間も数名いる。
彼等は教団壊滅に大いに貢献してくれた、影の功労者である。
果たして、その罪の全てを償えたかどうかは分からないが……共に戦った仲間を罰するのは、気が引けた。
だが、彼等を罰しなければならないと主張する者は多い。
この対立は大きく波紋を呼び、政府すらも敵に回すハメになりかけた。
そこで動いたのが、他ならぬ原田であった。
彼は、日本政府に多大な影響力を持ち、そしてWWCを初めとする大組織ともパイプがあった。
その圧倒的な力を使い……事実の大半を揉み消したのだ。
その後、原田はワイスを初めとする者達に衣食住の手配をし、出来る限り普通の生活が送れるよう助力した。
もしも彼がいなければ、今のワイス達は無かったのだ。
原田「けど、世界の危機だってのに……一人で大丈夫なのか?
クラウスや稜達は、家族がいるから仕方ないにしても……誰か仲間は連れてけねぇのか?
マスターやガンビットはどうなんだよ?」
ワイス「今回の件は、あの二人には頼れない。
異世界への転移は、そう簡単に出来る代物じゃないらしくてな……今回は、二人の世界と繋ぐのは無理らしい。
今までが、都合が良すぎたのかもしれないな……大丈夫だ。
お前だって、私の実力は知っているだろ?」
原田「まあ、そりゃそうだが……」
ワイス「それにな……今回は、仲間を連れて行かないんじゃない。
連れて行けないんだ。」
ワイスの言葉を聞き、原田は素直に驚いた。
彼やクラウスはこれまで、マスターやビット達といった多くの異世界人と共に次元転移を行っている。
全ては、自分達一人の力では太刀打ち出来なかったが故である。
しかし……今回は何故か、それが不可能というのだ。
理由の検討が、全くつけられない……
原田は杯の酒を一飲みし、しばしした後、その理由について尋ねてみた。
94
:
SD
:2007/04/05(木) 04:14:32 HOST:usr211019191129.tcn.ne.jp
原田「……どういうことだ?」
ワイス「……どうもな、今回は私一人を転移させるだけが精一杯かもしれないらしいんだ。
これから行く世界は、確かに危機が迫ってはいるんだが……まだそれ程の脅威というわけじゃない。
次元と次元を繋ぐ壁は、さほど薄くはなってない。
私一人、出来てもクラウスと私の二人だけを転移させるのが限界らしい。
隔たりが薄い状態なら、多人数の転移も十分可能だが……」
原田「何だ、そういう事かい……そりゃ確かに、お前一人じゃなきゃ無理だな。」
ワイス「そういう事だ。
だが……ある意味、これは幸運といえるかもしれないな。
その世界が壊れる可能性が、少しでも低い時に戦いに臨めるのなら……それはそれでいい。」
原田「世界が壊れる、か……しかし、今一ピンと来ねぇんだよな。
それと俺達のこの世界と、どういう関係がある?」
ワイス「その事だが、そうだな……結構長い話になるぞ。
前に一度、ケニーの事は話したよな?」
原田「ああ……あの野郎、異世界で生き延びてやがったんだよな。
そこで、その世界のヌレーヴと会って……本来の未来を、変えようとしたんだろ?
本当なら、ヌレーヴは利根川に聖印を奪われる筈だったのに……ケニーは利根川を殺して、世界の未来を変えちまったんだよな。」
ワイス「ああ。
最も、利根川を殺して未来を変えた事には何の問題も無い。
私達が生きている世界には、無限の可能性がある……この世界も、その可能性の一つだ。
例えば、私は今日本酒を飲んでいるが……茶を飲んでいる可能性もあった。
何の飲み物を選んだか、それだけで無限に可能性が広がっていく……世界は分岐する。
私が酒を飲んでいる世界と、私が茶を飲んでいる世界。
選択次第で、並行世界は幾らでも生まれるんだ。
利根川が聖印を奪い生きた世界もあれば、奪う前に死んだ世界も存在する。
ケニーが未来を変えた世界もあれば、変えなかった世界も存在する。」
原田「未来は無限大、か……成る程ね。」
ワイス「そして全ての並行世界は、全てが密接に関係しあっている。
さっきの酒と茶の話は、根源は全く同じ……同じ親から生まれた、双子の様な物だ。
積み重ねられた積み木が、その一つを失えば崩壊するのと同じ様に……
一つでも並行世界が根源から消滅するような事になれば、全ての世界が終わるといっても過言じゃない。
クラウスはそれを知っているから、自らの力で世界を渡り歩いた。
利根川、アゼル、アクト、クレイア、封印の魔物、朧。
奴等は全員、世界その物を消滅させて零にする可能性があった……全ての世界が、終わる可能性があった。
クラウスはそれを避ける為に、奴等を倒しに挑んだんだ。」
原田「……今更ながら、凄い奴の仲間になったもんだと思うぜ。
世界消滅の危機か……一介のヤクザには、重すぎる話だな。」
ワイス「私もそう思っている。
まあ、クラウスが言うには……クラウス以外にも、世界の消滅を防ぐ為に異世界を渡り歩く奴はいるらしいがな。
イングラム=プリスケン、クォヴレー=ゴードン……クラウス以外にもこんなとんでもない役目を持った奴がいるんだ。
本当に、私達は井の中の蛙だとつくづく思い知らされるよ。」
原田「はは……恐ろしい話だぜ。
……頑張れよ、ワイス。
お前のいない間の事は、俺達が全力で対処してやるからよ。」
ワイス「ありがとう、原田……大丈夫だ。
私は、必ず生きて帰る……私には、帰る場所があるんだからな。」
ワイスは、原田が酌をした酒を飲み干した。
かつての自分には、帰る場所など無かった。
死んでも構わないという考えを、少なからず持っていたが……今は違う。
自分の帰りを待ち望む者達がいる……帰る場所がある。
その場所を守り抜く為にも……かならず、自分は生きて帰る。
そう強く、心に誓い……迫り来る運命の時へと、ワイスは心を馳せていた。
95
:
藍三郎
:2007/04/05(木) 21:38:12 HOST:161.73.183.58.megaegg.ne.jp
○Who marriged he―――?4○
(お次は『3』で〜)
風上一樹の運転する車は都市圏を離れ・・・やがて、郊外のある邸宅へと辿り着いた。
塀の上に設置された自動識別システムが作動し、
鉄格子状の門扉が勝手に開く。カズキは車を敷地内へと走らせた。
広大な庭に鎮座するは、横に幅広い三階建ての西洋館。
豪邸と言っても差し支えない規模の屋敷だった。
車から降りて、聳え立つ洋館を見上げるカズキ。
ヨーロッパから庭ごと切り取ってきたような、格調溢れる西洋建築。
ここが自分の城になって、それなりに時間が経つとはいえ、
外から見上げると、そのスケールの大きさに圧倒されてしまう。
これまでの住居とあまりにかけ離れているだけに、自分がこの屋敷の主という自覚がまだ乏しい。
自然と、手がネクタイを引き締めていた。
家に帰ったなら、むしろタイを緩めるべきなのだが、
この立派な館を前にすると、自然と緊張した気持ちになる。
肩肘を張る事は無いとわかってはいるが、これはもはや条件反射のようなものだ。
少し離れた場所から、水が流れる音が聞こえてくる。
屋敷の西側には、よく手入れされた見事な庭園が広がっており、
その中心部にはプールにもなる人工池と、噴水が設置されていた。
そして、正面玄関へと歩を進めると・・・
バタン、という音と共に、扉が勢いよく開かれた。
オーレリー「カ・ズ・キ・さっま―――――――♪」
次の瞬間、玄関から弾丸の如き勢いで何かが飛び出てきた。
ピンク色のドレスを翻し、勢いよく突っ走ってくる女性が一人。
カズキ「うわわっ!?」
自動車並みの速さで突進してくる彼女に、カズキは有無を言わさず抱きつかれる。
そのまま仰向けに倒れそうになるが、何とか踏みとどまって、
彼女を・・・自らの愛する妻を抱き留める。
オーレリー「お帰りなさいませ♪
お待ちしておりましたわ、カズキ様♪」
カズキ「オ、オーレリー・・・?」
彼女こそ、フランスの名家エルランジェ家の当主にして、
風上一樹の妻・・・オーレリー・風上・エルランジェだった。
ヨーロッパの正真正銘の貴族令嬢と日本の一高校生とでは、まるで縁が無いように思えるが、
それが結婚まで至った発端は、実に単純な物だった。
要約すればオーレリーの「一目惚れ」である。
元々惚れっぽかった彼女だが、たまたまダンス留学に来日した際、
風上一樹に出会ったことで、たちまち恋の虜と化した。
以後、カズキに対し果敢に、熱烈に、そして大胆にアタックを繰り返し、
その懸命な奉仕に、ついにカズキも陥落。
オーレリーの大願は成就し、二人は夫婦として結ばれた。
綿菓子のように膨らんだ紫色の髪を、宙に浮かせた彼女は、
まるで貴族のパーティーで着るような、瀟洒なドレスを身に纏っていた。
今日は確かに特別な日であるが・・・
衣装は別に特別ではなく、彼女はほぼ年がら年中、このようなドレス姿でいる。
強く肌を押し付けてくる妻に、いきなり抱き付かれた驚きとは別な意味でドギマギする。
結婚してから、もう幾度と無く繰り返されてきたアクションだが、
これだけは心臓を高鳴らさずにはいられない。
オーレリー「ささ、早くお入りになって♪
料理が冷めない内に、祝いの晩餐を始めましょう♪」
カズキ「あ、ああ・・・うわぁぁ!!」
女の細腕とは思えぬ力で、玄関へと引っ張られるカズキ。
ろくに返事をする間も無く、すっかり上機嫌の妻に屋敷へと連れられていった・・・
96
:
藍三郎
:2007/04/05(木) 21:39:35 HOST:161.73.183.58.megaegg.ne.jp
屋敷の三階には、外へ大きく張り出たテラスが設置されている。
そこからは、屋敷の外に広がる庭園をほぼ一望でき、大変よい眺めとなっている。
そのベランダにおいて、カズキ、オーレリー夫妻による
二人だけの祝勝会が開かれていた。
オーレリー「それでは!
カズキ様の記念すべき日米対抗戦勝利を祝しまして・・・乾☆杯♪」
白いテーブルを挟んで対面に座る二人は、
なみなみとワインの注がれたグラスを、軽く当てあう。
テーブルに並べられた料理は豪勢なフランス料理の数々だった。
前菜(オードブル)のサラダに、良い香りを放つヴィシソワーズ、
ローストチキンに白身魚のムニエル、血の滴るビーフステーキ・・・
一流フランス料理店のフルコースと比較しても遜色の無い豪華なメニューが、食卓を彩る。
さらに・・・この食卓の饗宴をオーレリーがたった一人で作ったというのだからさらに驚きである。
この屋敷に住んでいるのは、
カズキとオーレリーの二人のみで、使用人はただの一人もいない。
いや、日本の一般家庭と比べればそれが普通なのだが、
この屋敷の広さと豪華さを思えば、むしろ奇異に思える。
料理のみならず、この屋敷の管理はほぼ全てオーレリーが一人で行っている。
たまに業者を呼んで一斉に手入れをする事はあるが、
日常の家事・・・屋敷の清掃、洗濯、調理は全部オーレリーの日課である。
それら全てを毎日こなすのは、想像を越える重労働のはずだ。
それでも、常勤の使用人を雇わない理由はただ一つ・・・
オーレリー「カズキ様と、二人っきりでいたいから♪」
だそうである。
しかし、自分で言うだけあって、オーレリーは日々の家事を完璧にこなしている。
掃除などは、ダンス気分でやっているらしく、よい運動になるそうだ。
カズキ「いや・・・いつも思うけど・・・凄いな・・・」
出身がフランスである彼女の作る料理は、自然と洋食が多い。
彼女と結婚してからは、ほぼ毎日の洋食のメニューが続いた。
元々洋食好きの彼には願ったり叶ったりであり、
しかも、とびきり美味いのだからフォークが進まぬはずが無い。
それでも、今夜の料理は格別に豪勢だ。
料理を嗜むどころか、これでは逆に料理に飲まれる気分である。
オーレリー「試合に疲れた夫のため、わたくしも腕によりをかけて作りました。
さぁ、どうぞ召し上がれ♪」
妻に促され、カズキはフォークを料理へと伸ばす。
サラダを齧り、白身魚を口へと運び、じっくりと味わう。
カズキ「うん、美味しいよ!いつも美味しいけど、今日は特別に美味いというか・・・」
料理評論家ならば、ここで原稿用紙一枚近く費やして、
素材の産地にソースの材料を述べ、フランス料理の歴史を交えて考察しつつ、
魚の白身とソースが混じりあい、
いかに玄妙かつ深遠なハーモニーを奏でているか語るところであるが、
カズキにはそんなボキャブラリーは無く、ただ思ったままの感想を言うしかない。
オーレリー「きゃぁぁぁぁ!!嬉しいですわっ!!
ささっ、どんどんお食べになってくださいまし♪」
ちょっと褒められただけで、ややオーバーなまでの嬉しがりようである。
気の利いた褒め言葉の出ない自分が、ちょっと悪いような気さえしてくる。
ただ・・・カズキの思考は料理よりも、目の前の妻に奪われていた。
今夜のオーレリーのドレスは、
いつもの御伽噺のお姫様が着るようなコケティッシュな装いとは打って変わって、
肩口を大きく露出した、大人っぽいイブニングドレスである。
薄手のドレスは、滑らかな体のラインをくっきりと現しており、何とも艶かしい。
無邪気に微笑む少女らしい顔立ちと合わせて、独特の色っぽさを醸し出していた。
こうして向き合っているだけで、心臓が高鳴るのを抑えられない。
つい、しげしげと見つめてしまうのを誤魔化そうと、赤ワインを口に運ぶ。
カズキ(本当・・・俺の妻には勿体無いぐらいだなぁ・・・)
自分もプロ野球の世界で名声を得て、
世間の目からは何とか釣り合いが取れる(と思える)ようになったものの、
庶民の身としては、彼女の生まれ持った気品と美貌には到底及ばない気がする。
97
:
藍三郎
:2007/04/05(木) 21:41:39 HOST:161.73.183.58.megaegg.ne.jp
本当に・・・彼女はよくしてくれている。
自分がプロ野球に専念できたのも、妻が他の一切合財を取り仕切ってくれたからだ。
ヨーロッパでは、ダンス界の若きプリマドンナとして将来を嘱望されていたというに、
結婚後、彼女は何の躊躇いも無く専業主婦となる事を選んだ。
本当にそれでいいのか、と問うてみても、
「貴方に尽くす事が、わたくしの本当にやりたい事ですもの♪」
と満面の笑顔を見せられては返す言葉も無い。
最も、今でもダンスをしながら家の掃除をしたり、
近所の主婦を招いてダンスパーティーを開いているらしいので、
本人は十分満足しているらしいが・・・
そんな彼女に、少しでも報いる事はないかと考えた末・・・
カズキは、エルランジェ家に婿入りする事に決めた。
これで、エルランジェ伯爵家の血統は途絶えずに済む。
この場合、爵位を持つのはオーレリーのほうなので、自分は伯爵夫人ならぬ伯爵夫になるのだろうか。
戸籍上はカズキ・エルランジェとでもなるのだが、
オーレリーの希望もあり、野球選手としては高校時代からの風上一樹で通してある。
オーレリー「ねぇ、カズキ様・・・」
オーレリーは両肘をついて指を組み、その上に顎を乗せてこちらを見つめてくる。
何とも魅惑的な、ドキッとするまなざしだった。
吹き出さぬよう、赤ワインをごくりと飲み込む。
カズキ「な、何だい・・・?」
オーレリー「今夜は二人だけのささやかな夜食会でしたけれど、
近い内、本格的な祝勝パーティーを大々的に執り行いたいですわ♪」
カズキ「あ、ああ・・・」
来た。
何かイベントがあるたびにオーレリーはこうしてパーティーの提案をする。
オーレリー「ヨーロッパには、もう何度も行っていますし・・・
太平洋を豪華客船でクルージングしながら、船の上でのパーティーというのもいいですわね〜」
構想はとめどなく広がっていく。
オーレリー「いいえ・・・どうせなら、海の上より空の上・・・
空を飛ぶ飛行船の上で、夜景を眺めながら祝宴に興じるのも悪くないですわ。
そして、最後には大きな花火を打ち上げますの。
カズキ様の勝利と・・・わたくし達の変わらぬ愛を祝して♪」
最後の一言を言った後、彼女は「キャッ♪」と顔を赤らめた。
夢物語のような話だが、伯爵家の潤沢な資産や、
ダンサー時代からの色んなコネなどを駆使して、現実の物にしてしまえるのが彼女の凄いところだ。
それは、結婚してから世界中を振り回されてきた事でよくわかる。
だからといって、自分がセレブの仲間入りをしたという実感は無く、
未だそういう場では落ち着かないのだが・・・
妻が喜んでくれるなら、それで構わない・・・と思う。
98
:
藍三郎
:2007/04/05(木) 21:43:12 HOST:161.73.183.58.megaegg.ne.jp
カズキ「あ、あのさ、それはひとまず置いといて・・・」
オーレリーに会話の主導権を握られそうになったカズキは、急いで話題を変える。
このまま、1時間でも2時間でもパーティーの構想について話してしまえるのがオーレリーだ。
カズキ「これ・・・受け取ってくれるかな?」
懐から小包を取り出して、彼女へと手渡す。
今日は、試合の帰りにこれを買っていたので、少々彼女を待たせてしまった。
オーレリー「これは・・・?」
カズキ「開けてみてよ」
オーレリーは言われるままに包みを開く。
そこには、掌にのるサイズの小さなオルゴールが置かれていた。
表面には、天使を思わせる装飾が施してある。
箱を開いてみると・・・そこからクラシック曲が流れてくる。
オーレリー「オルゴール・・・ですの?」
カズキ「前に、その曲よく聴いていただろ?
こういうのって、相場がわかんないから、ちょっと安物かもしれないけど・・・ははは・・・」
贈り物をする際にも、どこか謙遜するのが彼らしい。
カズキ「今日勝てたのは、オーレリーが俺を一生懸命支えてくれたお陰だから。
これは、そのせめてもの御礼・・・大したものじゃないんだけど・・・」
試合で疲れきって、家に帰った時には、
いつでも妻が美味しい料理とともに出迎えてくれた。
四六時中家事をこなし、自分が野球に専念できるよう尽くしてくれた。
その献身が、励ましが、そして笑顔がどれほど支えになった事か。
どれだけ感謝してもし足りないほどだ。
一方のオーレリーは、まるで時が止まったように、
じっとオルゴールに視線を注がれたまま動かない。
カズキ「オーレリー?」
沈黙したままの妻にちょっと不安を覚えるカズキ。
もしや、既に同じのを買っていたのだろうか?・・・と考えていると・・・
オーレリー「う、嬉しい・・・」
彼女の大きな瞳が潤み、涙が溢れ出す。
カズキは少々狼狽する。まさか泣かれるとは思わなかったのだ。
オーレリー「カズキ様が・・・わたくしにプレゼントをくださるなんて・・・
こんな・・・こんな嬉しい事はありませんわっ!!!」
感動してくれるのは、こちらとしても嬉しいのだが・・・
プレゼントぐらいでここまで感激されると、
大したお返しのできない自分が悪いような気さえしてくる。
オーレリー「ああ、カズキ様・・・愛していますわ―――――!!!!」
次の瞬間、感極まったオーレリーは椅子を蹴っ飛ばし、
食卓を飛び越えて、愛する夫の胸へ向かって跳躍した。
カズキ(あ・・・やば―――――)
今の彼女は、感激のあまり力の加減ができていない。
避けなければ・・・と思った瞬間には、既に遅かった。
カズキ「ぶっ!!?」
ほぼ自動車に匹敵する速度で抱きついた・・・
もとい、“激突”したオーレリーは、
その地点で止まる事ができず、カズキを抱き締め、勢いを乗せたまますっ飛んでいく。
そのまま二人は、テラスの柵を壊して、宙へと躍り出た――――――
そして・・・三階のテラスから直線距離にして5,6メートル近く飛翔した挙句・・・
二人組み合ったまま、眼下に広がる庭園の人工池へと“墜落”してしまう。
折しも、空に浮かぶは真円の満月。
月に届かんとするほどの水飛沫が、夜空へと舞い上がった。
99
:
藍三郎
:2007/04/05(木) 21:45:00 HOST:161.73.183.58.megaegg.ne.jp
カズキ「ぷはぁ!!」
カズキは水面から顔を上げ、冷えた外気に顔を晒す。
この池は比較的深めに造られている。
そのため、湖面に衝突して脚を折る・・・といった事態は避けられたようだ。
最も、痛い事には変わりないのだが・・・と、その時。
オーレリー「カ、カズキ様〜〜〜!!!ご、ご無事ですの〜〜〜!!?」
カズキより一瞬早く浮上していたオーレリーは、血相を変えて夫へと手を伸ばす。
安否を確認しているのか、肩を掴んで上下に揺さぶる。
だが、彼女も無我夢中なのか、掴んだ手がカズキの頚部を圧迫している事には気づかない。
カズキ「オ゛・・・レ゛リ゛・・・く、ぐるし・・・」
オーレリー「はっ!!ご、ごめんなさい!!」
溺死するよりも窒息死しそうな夫に気づいて、オーレリーは慌てて手を離す。
カズキは二、三咳払いをして、喉に詰まった水を吐き出す。
オーレリー「カズキ様、お怪我はありませんか!?」
カズキ「ははは・・・だ、大丈夫・・・オーレリーの方こそ・・・」
覇気の無い声を漏らしつつ、妻の状態を気遣う。
オーレリー「わたくしも大丈夫ですわ。
それより・・・ああ・・・わたくしったら・・・またやってしまいましたわ・・・」
恥ずかしさと自己嫌悪で、赤くなって俯く。
暴走するあまり力を制御できず、今回のような事態を引き起こしてしまう事は、
頻繁・・・ではないが、ままある事だった。
オーレリー「夫をこんな目に合わせてしまうなんて・・・わたくし、妻失格ですわね・・・」
それでも、今回はかなり応えたようだ。
カズキ「い、いや、反省してるのはわかったから、そんなに落ち込まないで・・・
ほら、俺丈夫なのが取り柄だし、こんなのは慣れっこだから、さ!」
並の人間なら確実にデッドオアアライブで怒り心頭間違い無しであるが、この風上一樹は並の人間ではない。
家庭の事情やら、生来の運の悪さやら、パラレルワールドから続く因縁やらで、
生死の境を何度も彷徨ってきた彼は、こういう危険状況に対して、異様な鈍感さと耐性があった。
カズキ「それに・・・俺はそんな元気いっぱいなオーレリーを好きになったんだから・・・
あまり沈んでいるとこは見たくないし・・・」
その言葉に、オーレリーはカバッと顔をあげる。
思わぬ愛の言葉を聴かされ、その顔は羞恥とは別の感情で真っ赤になっていた。
オーレリー「も、もう・・・カズキ様ったら!
今日はどれだけ私を喜ばせてくだされば気が済みますの!」
一方のカズキも、改めて見る妻の姿に心を奪われるのを感じていた。
頭から水をびっしょりと被ったオーレリーは、ぞくりとするほどの艶かしさを放っていた。
露出した肌は水に濡れて真珠のような光沢を放ち、
体にぴったり張り付いたイブニングドレスは、濡れたせいでやや透けて見える。
これには、異性に対して鈍いカズキでさえも、
ドキドキするのを通り越した興奮を覚えずにはいられなかった。
100
:
藍三郎
:2007/04/05(木) 21:48:30 HOST:161.73.183.58.megaegg.ne.jp
カズキ「な、なぁ・・・オーレリー・・・」
そんな心中を気取られまいと、カズキは新たな話題を振る。
オーレリー「?何ですの?」
カズキ「こんな時に聞くのも何だけど・・・
オーレリーは、どうして俺のことを好きになったんだ?」
確かに、お互い池の中でびしょ濡れになっている時に聞く質問ではないと思う。
だが、こういう状況だからこそ、普段の遠慮を取り払って言える事でもあった。
カズキ「もしかして・・・ヘタレてるのが可愛いとか、じゃないよな?」
自分で思いついた何とも情けない・・・
けれども、一番可能性がありそうな例を挙げてみる。
それに対してオーレリーは・・・
オーレリー「ええ、それもありますわね♪」
屈託の無い笑顔で、あっさりと肯定した。
オーレリー「もちろん、武道で鍛えた逞しいお体も、素晴らしい野球のセンスも、
夢に向かって諦めずに努力するお姿も、困った人を放っておかれない優しさも、
決して折れない心の強さも・・・
それから・・・ちょっと優柔不断で頼り無さそうなところも・・・」
最後は心なしか小声になった。もちろんカズキの耳には届いている。
カズキ(う・・・一番最後で落とすかなぁ・・・)
それから、オーレリーはカズキを正面から見据え、
眩しいほどの笑顔と共にこう言った。
オーレリー「ぜんぶ、ぜぇ〜んぶ、愛おしく思いますわ。
わたくしは、カズキ様の全てを、わたくしの全てを懸けて、誰よりも何よりも愛していますの!!」
カズキ「・・・・・・」
まさに全身全霊の愛の告白に、カズキは強く胸を打たれた。
こんなにも、自分を愛してくれる妻がいる。
それだけで、胸を張って言える。自分は、世界中の誰よりも幸福な人間だと。
カズキ「オーレリー・・・」
もう自分には、これに応えられる愛の言葉なんて見つからない。
だからせめて・・・
オーレリー「カズキ様・・・」
彼女の背中に手を回し、自分の元へと抱き寄せる。
オーレリーもまた、力強さなど全く無い優しい手つきで、夫の体を抱擁する。
彼女の濡れた柔肌に触れる事で、心地よい感触と共に彼女の体温が伝わってくる。
見つめあったまま、彫像のように顔を動かさない二人。
その内では、心臓が機関銃のように高鳴っていた。
オーレリーは、薄く目を閉じる。
カズキは、そんな彼女にゆっくりと顔を近づけ・・・唇へとキスをした。
オーレリー「んっ・・・」
唇で繋がった事で、彼女への愛おしさが一気に膨れ上がる。
背中に回した指で優しく撫で、唇をさらに強く吸う。
カズキ「んんっ・・・オーレリー・・・」
オーレリー「カズキさま・・・あん・・・ふぅ・・・!」
嬉しさと愛しさと快感で、オーレリーは体を悶えさせる。
繋がった唇から漏れる嬌声と共に、パシャパシャと水音が鳴った。
やがて・・・
唇を離した二人は、吐息を漏らしながら、夢見るように見つめあう。
夜空に浮かぶ白金の月が、二人のいる水面をスポットライトのように照らしていた・・・
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