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タブンネ刑務所14

97ショーケースの裏側で:2017/07/02(日) 01:53:42 ID:ESC9g.5c0
そうこうしてるうちに3時間近く経ち、チビママンネの故郷の林に辿り着いた

「それじゃタブンネちゃんたち、出てきて〜」
「ンミミ…」「チィ・・・」

3人は林の近くに車を停め、そこでチビママンネ親子を解放した
2匹ともマーカーをつけておき、間違えて捕まえないように配慮も万全だ
11月の午後6時はもう夜だが、星と月が林を薄明るく照らしている
社長はビデオカメラを回していた。後で証拠として女子社員に送るつもりなのだ

「ここがタブンネちゃんたちの故郷だよ〜」
「ミィ… ミィ…!」「チィ!」

チビママンネは小ベビンネを抱きながらキョロキョロと辺りを見回し、聞き耳を立てた後
トテトテと走りだして脇目も振らずに林の藪の中に入って行った
一刻も早く社長たちから逃げたかったのだ

「…行っちゃったね」
「…はい」
「…私たちも帰ろうか」

社長一行も車を出して帰っていく。3人とも往復6時間の長旅でとても疲れていたのだ

「ミィ!ミィ!ミィ!」

わが子を落とさないように気をつけながらも、林の中を全速力で走るチビママンネ
帰ってこれた事が嬉しくて気持ちは逸るばかりだ
思えば地獄のような三日間だったが、思い出すのはあの女子社員の事だ
一緒にベビの世話を頑張って、おいしい食べ物をくれて、怖い人間から守ってくれて
痛かったお乳を治してくれて、おっぱいも出るようにしてくれて…
悪い人間たちからこの子を取り返してくれたのもあの優しい人間かもしれない
ひょっとしたら、優しい人間は悪い人間にに脅されるか騙されるかして
無理やり酷い事をさせられていたのかもしれない
もしそうだとしたら、悪い人間から助け出して、ここに連れてきてあげたかったな…

「ミィ!」
「ミッミ!」

チビママンネの妄想は不意に浴びせられタブンネの声によってストップさせられた
その声の主はあのお隣さんタブンネである

「ミ、ミィィ…」

本来ならば再会を喜ぶべき場面だが、チビママンネは後ろめたさを感じていた
ベビたちを全員連れ戻してくると言って飛び出したのに、助けられたのは僅かに自分のベビ一匹
お隣さんのベビは一匹残らず人間に連れ去られてしまったのだ

「ミッミミィ! ミィ!」
「ミミィ…!」

それにも関らず、お隣ンネは再会できたことに素直な大喜びだ
お隣ンネは自分のベビの事を人間にさらわれた時点で死んだと思って諦めていた
もちろんベビたちが可愛くない訳はないし、大事じゃない訳でもない
以前に思い知った人間の強さと恐ろしさと兄貴分に蹴り飛ばされた子タブンネの看病
この二つの要因での断腸の思いでの決断である
チビママンネも2日帰って来なかった時点で死んだものと思っていたのである
しかし、この自分よりずっと若い小さなタブンネは諦めずに人間の棲家へと押し入り、
遂には一匹だけであるがわが子を取り戻してしまったではないか
その勇気と奇跡にはただただ賞賛し喜ぶばかりだ




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