したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |
レス数が1スレッドの最大レス数(1000件)を超えています。残念ながら投稿することができません。

タブンネ刑務所14

93ショーケースの裏側で:2017/07/02(日) 01:50:06 ID:ESC9g.5c0
「ふぇっ!?チカちゃんが買うざんすか!でも大丈夫ざんすかね?このおちびちゃん飼うの難しそうざんすよ?」
「あのお母さんタブンネも一緒に買うつもりです」
「それはいかんざんすよ、あのマーマさんは借り物ざんすのに」
「あ、そういう事なら返さなくて大丈夫ですよ。オマケとしてつけてあげてください」
「なら大丈夫ざんすね、それじゃあ私もオマケして特別に仕入れ値で売ってあげるざんすよ」
「ありがとうございます!」

トントン拍子で買うことが決まり、女子社員は水槽をよいしょと持ち上げて控室に持っていこうとした
買うことが決まった以上ここに置いとけないという理由だが

「あー、買うんだったらこれに入れちまったほうがいいですぜ
 一番安いやつだけどこんなチビなら一個で大丈夫でしょう」
「あ、ありがとうございます」

そう言って弟分から手渡されたのはモンスターボール
女子社員が小ベビンネにそっと押し当ててみると、小ベビンネは光とともにボールの中に吸い込まれ、
手の中で2、3度揺れたかと思うと、しゅんとその動きを止めた

「私、ちょっと控室に行ってきます!」

お礼もそこそこに女子社員は控え室に急ぐ、早くチビママンネに会わせてあげたいという気持ちからだ
一人暮らしを始めたばかりでポケモンを2匹も飼うのには不安はあったが、今は楽しみの方が勝っている

「これからずっと一緒かぁ… ふふふ」

準備室に向かう途中で、女子社員は色々と妄想していた
フカフカの寝床を作ってあげて、でも寂しがったら皆で一緒のベッドで寝て
オボンの実とポケモン用のおやつ、どっちが好きかな?
おちびちゃんが大きくなったら、一緒に公園にでも行ってポケモンのお友達も作ってあげよう
大きくなったらきっと怖がりも直ってて…
さみしい一人暮らしで、帰りが待つポケモンが居ることはどんなに素敵な事だろう!
女子社員の中で、タブンネたちと一緒の生活への期待がどんどん膨らんでいった

「フゥゥ…フゥゥ…」

一方、控室ではチビママンネが目を覚まし、そして絶望していた

目覚めたときには居て然るべきはずのベビの姿はなく、愛しい声もすでに遠く聞こえない
ショーの後購入希望者が殺到し4匹とも一瞬で売れてしまったのだ
さらに外からの小ベビンネの声も聞こえなくなっている
ベビたちがいなくなった部屋はシンと静かだ
自分がここで大勢のベビの世話に奮闘していたことが夢だったかと思えるほどに

「フフゥ… フゥ… フフ…」

ひとしきり絶望しきった後、チビママンネはもそもそと奇妙な事を始めた
糞や尿やヨダレのシミがついたペットシートの切れ端を拾い集め、寝床の毛布の上に乗せていく
掃除をしているかと思われるかもしれないがそうではない、ベビたちの痕跡を集めているのだ
知らない人から見れば汚く臭い紙屑だが、チビママンネにとっては大切なベビがここにいたという証、
すなわち形見。ベビのうちの誰も死んではいないが
こんなことをしてもベビが帰ってくる訳ではない、何の意味もないのはチビママンネも分かっている
だがそれでもやらずにはいられない、心が壊れてしまいそうなのだ




掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板