したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |
レス数が1スレッドの最大レス数(1000件)を超えています。残念ながら投稿することができません。

タブンネ刑務所14

69ショーケースの裏側で:2017/06/21(水) 01:54:17 ID:rZcSsmAg0
一方、切ないのはチビママンネである
せっかくお乳が出るようになったのに、人間が作る粉ミルクの方がいいだなんて…
確かに一つの乳首を10匹で分けると量が足りなくなるのは当たり前で
しかも争いをしながらではとても腹を満たすどころではない
ついでに言うと味も粉ミルクの方が美味しい
つい昨日までは心安らぐ光景だった哺乳瓶でお腹を満たしていくベビたち
だが今ではそれに激しく心乱され、嫉妬や悲しみ、やり場のない怒りすら覚える
チビママンネは歯噛みしてそれをじっと見ているしかなかった

「チィチィ… チィチィ…」「ミィ…」

だが、小ベビンネにとっては何があろうとチビママンネの母乳が一番だった
争うベビ達に次々と乱暴に吸われ、乳首はヒリヒリと赤く充血し
母乳はもはや枯渇寸前で唇を濡らす程度にしか出なくなっている
しかし小ベビンネは必死に吸い続け、チビママンネは授乳の体勢を崩さずその痛みを必死に堪える
大勢のベビのお腹を満たせる人間と哺乳瓶、そして一匹のベビのお腹をも満たせない自分
チビママンネは情けなさと自分への怒りで母乳よりも量が多い悔し涙を流すのだった

「ん?ひょっとしておっぱいが出尽くしちゃったざんすか?
 じゃあマーマさんに代わって私がミルクをあげるざんすよ」
「チィィ!」「ミィィ! ミィィ!」

一足早く授乳が終わり、小さな親子の事が気になったざんす男
母乳の出が悪い事を察し、小ベビンネに哺乳瓶の吸い口を向けるも逆に怖がられてしまう
チビママンネは声を張り上げてやめてと懇願すると、ざんす男は突然の大声に驚いて一歩退いてしまう

「そのちっちゃい子は甘えっ子でお母さんタブンネの手からしかミルクを飲まないんですよ」
「あー、ナルホドナルホド。それじゃあマーマさんにお任せするざんす」
「ミィー…」

女子社員の助言に納得したざんす男はチビママンネに哺乳瓶を手渡す
渡されたその後、チビママンネは胸に哺乳瓶を抱きしめてブルブルと震えだした
せっかく母乳が出るようになったのに、こんな物に頼らなくてはならないなんてという悔しさのためだ
ざんす男が心配そうに見つめる前で一分近く震えた後、
チビママンネは片手で小ベビンネを遮って吸うのを止めさせ、すっくと立ち上がった
プライドより小ベビンネの空腹を満たすのが先決だと覚悟を決めたからだ

「ミィ!」
「チィチィ… チィチィ…」

チビママンネは哺乳瓶の吸い口を小ベビンネの口元に向けるが
小べビンネはそれに見向きもせず、母親の足にすがりついた
チィチィ、チィチィとお乳を求める鳴き方で鳴きながら

「んー… やっぱりマーマさんのおっぱいが一番なんざんすかねぇ」
「ミィィ… ミィィ…」

チビママンネは哺乳瓶をゴトリと落とし、立ち尽くしたままさめざめと泣いた
人間も、子タブンネですらやっていた哺乳瓶でミルクを与えることすらも自分は出来ないのかと
チビママンネの母親としてのプライドは、皮肉にも母乳が出たことによってズタズタになろうとしている

「まぁー、そう泣かないでチョーダイ。美味しいものを食べればおっぱいも出るようになるざんすよ
 ミナツ君、マーマさんに滋養のある物を持ってきてあげるざんすよ」
「はい」

チビママンネと小ベビンネの問題は残ったが騒ぎは収まり、社員たちは準備室を後にする
その時、食品売り場に行こうとする気が利く社員を女子社員が呼び止めた

「ミナツさん… ごめんなさい。ミナツさんの方が正しかったです
 私はただタブンネ達がが可哀そうだと、家族と一緒にいる方が幸せだとそれだけしか考えてなくて」

チビママンネが単独でベビンネたちを育てる力が無いことを目の当たりにし
女子社員の考えはすっかり変わっていた
あのベビンネたちは優しい人間に飼われるしか幸せになる道はなく
自分はその橋渡しの勤めを全力で果たすしかないと
ただ、心配なのはあの小さなベビンネだ
チビママンネの傍らでしか生きられないあの子は、一体これからどうすればいいのか…

「…チカさんが言った事は何も間違ってないと思います
 ただ、言うならもっと早く、できれば企画の段階で意見すべき事であったというだけで…」

女子社員はこの企画を言い渡された時、
かわいいポケモンがいっぱい見れると少し楽しみにしていた自分を思い出し、そして恥じた




掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板