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タブンネ刑務所14

681檻の夫婦(前):2021/12/19(日) 13:14:15 ID:zWWFhj3Y0
うちのバンバドロとハブネークのための生き餌製造機は、いまのところとても従順で大人しい。
生き餌製造機の正体は、リビングのど真ん中に置いた、大きな金網のケージの中で巣食っている一組のタブンネの夫婦。元々、火山噴火の影響で食い詰めていた奴らだった。
奴らを飼い始めた時、ロトムを通して俺は言った。

「お前ら夫婦はもうこのケージからは出れないと思え。子どもがどんなに恨もうが喚こうが、責任を持って子どもを差し出すこと。苦しい状況でメシを食わせてやってるんだ。生き餌を差し出す条件を守れないのなら、お前らを飼っておく意味なんてない」

しょっちゅうハブネークが這い回っているリビングで、この夫婦は牢獄の囚人のように監視されながら暮らしている。
俺は、最初っから、産んだタマゴの数はごまかしようがない環境にこだわっていた。最初の約束を違える事だけはないように。巣作り用の新聞紙と餌のオボンをケージの天井から投げ与え、ゴミバケツの処理だけしておけば、定期的にタマゴを生んで孵化させ、やがて乳離れした子を差し出してくれるように。
ケージの中と外で発生する揉め事は、案の定、タブンネの子を隠したり見つけ出したりするような方向には向かわなかった。予想通り、食べられるために生まれてきた子が両親に反抗するような事ばかり。夫婦の方は覚悟を決めてうちに飼われているけれど、ケージの中で生まれてくる子の方はそんなこと知ったこっちゃないという話らしい。当たり前といえば当たり前のことだ。

奴らを飼い始めて2ヶ月後、1回目の子の引き渡しの時だった。その時に差し出されるはずの子は4体だった。
最初の1体は反抗心に燃えて大暴れする性質だったらしく、最後の最後までケージにしがみ付いて大泣きしながら抵抗していた。あまりにも大暴れするのでウザさにロトムがキレて夫婦に一喝、慌てた夫婦の♂の方が子どもをケージの柵から叩き落として殴りつけ、しまいには子を無理矢理に持ち上げてケージに首を突っ込んだハブネークに直に食わせた。
食われる時にも絶叫が上がった。断末魔は甲高い鳴き声で、俺の耳にえらく響く。耳の良いタブンネ達にはなおさら聴覚のダメージになっただろう。子を持ち上げていた♂は苦渋の顔で、♀の方も真っ青な顔で立ち尽くす。残った3体の子は両親とも距離を取り、ケージの片隅で互いに抱き合って震えていた。
やがて子どもたちの内、真ん中の子が涙を流しながら俺を見る。意を決したように何かを言った。ロトムが通訳した。

「食べられて死んじゃうのは分かってるけれロ、どうしてもきょうだいで一緒に死なせてほしい、って言ってるロト。誰かが最後に生き残ることだけは怖いらしいロト」
「……なるほどねぇ。どうするバンバドロ?」

3体を食べるはずのバンバドロに尋ねてみる。ヤツはうちの土間に繋げていて、興味津々でこちらを見ていたのだ。訊かれた方はちょっと考えて頷いたから、俺も頷いた。

「ハブネーク。そいつらは順番に噛みついて弱らせてから、バンバドロの方に咥えて渡してくれ」

その指示もロトムが通訳しているから、タブンネ達にも通じる。子ども達はもう反抗しなかった。泣いてたけれど。なされるがままに毒の牙を受けて土間にドサドサと放り出される。
バンバドロは滅茶苦茶に張り切っていた。希望通り、ぐったりと横たわる子ども達をまとめて積み上げてから一思いに踏み潰す。
一瞬で土間の上に3体分の圧縮ミンチができあがり、バンバドロが食らいつく。リビングのゲージの中からもその有様ははっきり分かったはずだった。




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