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タブンネ刑務所14

54ショーケースの裏側で:2017/06/14(水) 03:16:37 ID:ddkwLB.g0
「あれ?まだ寝ないんですか?」「ミーミィ…」

すぐにでもベビの傍で寝たいはずであろうが、チビママンネはすぐに横にはならなかった
解決すべき問題があと一つ残っていると思い込んでるからだ
ベビーサークルの柵のごしにキョロキョロと何かを探すように周りを見回しているが
女子社員はその意図がさっぱり分からなかった

「ミィミ、ミ」「えっえっ?これを私に?」
「ミィーミミ〜」

目を覚ましていた勇者ンネが自分が寝ていた座布団を女子社員の下へずるずると引きずってきた
そしてチビママンネと一緒にミィミィと何かを訴えかける
なぜ自分の寝床を渡そうとするのか最初は女子社員は分らなかったが、
ふかふかの座布団とチビママンネの心配そうな顔を見比べるとその心を察する事ができた
チビママンネと勇者ンネは女子社員の寝床が無いことを心配していたのだ
タブンネたちの無垢だけどちょっとズレてしまった優しさに、女子社員はフフッと噴き出しててしまう

「ふふ、心配ありませんよ」
「ミィ?」「ミー?」

女子社員はベビーサークルのすぐ傍に部屋にあった座布団を三枚並べて即席の布団を作り
その上に掛け布団代わりのバスタオルを無造作に置いた
この11月、本当はもっとちゃんとした掛け布団が欲しかったが、これ以外に掛けられそうなものはない
実はベビンネたちが寝てる毛布は気が利く社員が女子社員のために用意したものなのだが、
その事を伝えてなかったので残念ながらその意図は伝わらずに終わってしまった

「ミーミィ〜」「ミィ〜ミ〜」「みんな、おやすみなさいです」

寝床が出来たことでチビママンネは安心して寝床に戻ってベビたちの傍で横になり、
勇者ンネも座布団をチビママンネの隣へずるずると運んでそこで丸くなる
やはり一人で寝るのは寂しかったのだ
女子社員も部屋の電気を薄明かりに変え、座布団の上で横になった

眠りに落ちるまでのまどろみの間、チビママンネは奇妙だが、どこか覚えのある安らぎを感じていた
それはまるで、かつて夫と一緒に眠っていた時のような不思議な安心感だった
自分の傍で眠るあの優しい人間
怖い人間の暴力から守ってくれて、でもその後にベビンネみたく泣いちゃって
夫ンネみたいな強さとベビンネみたいな弱さを一緒に持っている不思議な人間
彼女の事を考えると、今までわからなかった人間と一緒に暮らしたがるポケモンの気持ちがよく分かる気がした

チュパ・・・ チュパ…

(…ん? またお乳?)

真夜中、微かに聞こえる濡れた音によって女子社員は不意に目が覚めた
まだ夢うつつのまま枕元に置いておいた懐中電灯で音がする方をそっと照らしてみると
小ベビンネがまたチビママンネのお腹にむしゃぶりついていた
また膿を吸ってしまわないか心配になったが、どうやら寝ぼけて闇雲にお腹を吸っているだけのようだ
その様子が可笑しくて様子を見ているうちに、ある事に気づく
うつ伏せで母親のお腹を吸うその姿勢が、昨晩見たケージの壁を舐めていた2匹の子タブンネと全く同じなのだ
そう、あの子タブンネたちは引き離された母親の夢を見て泣いていたのだ
小ベビンネが舐めているのは温かい母親のお腹だが、あの子タブンネたちが舐めていたのは冷たい金属の壁だ
そこに救いは何もない

その事に気づいた瞬間、罪悪感がおぞ気となってぞわぞわと全身を走った
そして少しでも逃れようとしたのだろう、体を丸めバスタオルを口元までたくし上げ
両目を力いっぱいギュッと瞑って必死に眠りに逃げようとする
もしかして、自分も仕事だからと言い訳して無自覚にタブンネたちを傷つけていて
あのチビママンネとベビンネ達からお乳を奪った悪人とそう変わらないのではなかろうか?
どんなに体を震わしても、女子社員の体の中から冷たいものが消えなかった

「ごめんなさい・・・ ごめんなさい・・・」

どんなに女子社員とチビママンネが仲良くなったとしても、明日はきっと辛い一日になるのだろう
女子社員は子タブンネをお金に変える店員で、チビママンネは子タブンネたちを守る母親なのだから




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