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タブンネ刑務所14
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4ベビ生後17日目
連日の悲劇から立ち直る間も無く、親子お別れへのカウントダウンは着実に進んでいる。
お隣のママさんが殺されて以降、何も口にしていなかった4ベビ。
ママンネは相変わらずブッ壊れたテディベア人形のようにストール内に座り込み、朝の給餌にも一切手をつけなかった。
絶望で満たされたママンネの感情は触覚を通して4ベビにもしかと伝わっており、それに呼応するように彼らもまた生気を失い、囲いの一箇所でおしくらまんじゅう、静かに過ごしていた。
しかし膠着を破ったのは最も幼さが残っている妹ンネ。朝の給餌から30分後、空腹に耐えかねて立ち上がった。
妹「ママ.....チスンチスン...。おなかすいたチィ。おっぱいちょーだい。ママ。おねがいおねがいチ。」
ストール越しに柵の隙間から短い腕を伸ばし、ママの肩をチョコチョコと掻いて可弱く呼びかけた。
ママ「......ミ?........ミィ......」
ママンネは一度立ち上がり、狭いストール内にうつ伏せに横になると、身体四半分を持ち上げて柵に腕をかけ、授乳姿勢を取る。完全に惰性のみで動いているような一連の動作であった。
ママの動きを見て上3ベビもストールに擦り寄り、仲良く乳首に吸い付いた。
妹ンネは本能的にチィチィ声を漏らしたが、他の4匹は無言、チュパチュパという音だけが響き渡る、何とも不思議な空間であった。
ものの1分も経たぬうち4ベビは口を離すと翻り、また囲いで身を寄せ合って静かに寝過ごした。誰も敢えて声に出したりはしなかったが、ミルクの出があまり良くなく、芳しくもなかったようだ。
ママ「.........ミッ.........ミッ......」
ママンネは柵から手を離し、ノソノソと動いてまたうつ伏せに寝そべり、子供達から見えぬ様に両腕に顔をうずめると、しくしくと泣き出した。
半ば自分の方から放棄していたとはいえ、満足に授乳も出来ない自分の無力さが本当に惨めでならなかった。
ママ(ごめんミィ...可愛いベビちゃん達....
...4ママちゃん....ミィもきっとあと少しで、おんなじトコロに行くミィから...待っててミィ...。)
——
昨日の強い精神的ショック、また2食抜いたことや睡眠不足も影響しているが、母体としてのママンネの身体はとうにピークを過ぎ去っている。本人もそれは感じていた。
今回の産卵に至っても、ママンネの乳腺が張っていたのはせいぜい4ベビ孵化から1〜2日くらい。
今ママンネが野生に帰って駆除や捕獲されたとしても、誰も子引きとは思わないだろう。
昨日からだけで考えても、ママンネの老け込みは一気に加速していた。
タブンネ種の寿命を考えればママンネはまだ血気盛んな齢と言えるのだが、ハイペースで何匹も孕み、産み落とし、育てを繰り返している為、身体にしても、おっぱいにしても、命分というものには限界があった。
——
ママンネは二の腕で目を擦って涙を拭うと、スクッと起き上がってストール前部まで歩き、モシャモシャと飼料を平らげ、不味い水をゴクゴクと飲み干した。
彼女の目には力が蘇っていた。
妊娠や産卵自体は決して望んでいるわけではない。
こんなゴミ溜めのような屋舎に生涯閉じ込められ、無理やり別れさせられる、可哀想な命。できれば生まれてこないで欲しい。
それでも傍らで過ごす4匹の我が子。彼等を無碍にする事なんてできない。
自分の命にはまだ意味がある。
無慈悲なジレンマを抱え続けながらも、懸命に使命を、生き甲斐を模索し、それを全うする強い母の姿がそこにはあった。
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