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タブンネ刑務所14

496キルクスタウンのタブンネ:2021/03/01(月) 18:39:08 ID:vGNA8xdA0

野外探索を始め7日目の夜、またイオニア廃棄場で食事を採った後、少し長めに温泉で暖を取ると、キルクス広場を抜け、9番道路と呼ばれる道へとたどり着いたタブンネ親子。

吹雪による視界の悪さは相変わらずだが、これまでと違い完全に開けた野外に出たことで、タブンネの胸に一縷の希望が灯る。

少し進むと水場を発見した。温泉と違いかなり水温が低かったが、水場の確保は野生で生きる上では必須条件。
後は餌場と、出来るだけ目立たないような住処候補地。

更に足を進め橋を渡ると草むらがあった。

—どこかに、どこかに実のなるような木はないか

タブンネは視線を上げ、吹雪の中必死に草むらを掻き分けて進む道中何かに足がぶつかり、ネチョっとした感触を覚えた。

「キョーーッ!グチョグチョグチョ」

草の中で寝ていた見知らぬポケモン(トリトドン)を蹴飛ばしてしまい、起こして怒らせてしまった。

「ヒッ!ご、ごめんなさ......ッ」

タブンネが謝る間もなくトリトドンは紫の体液を吐き出し、咄嗟に避けたがタブンネの右脇腹にモロにかかってしまった。

驚いて逃げ出したタブンネ。幸いベビにはかからず、毒などでもなかったようでダメージを負うこともなかったが、浴びた箇所は変色し、タブンネのバケモノ度はより一層凄みを増した。

トリトドンは追ってくるようなことはなかったが、精神的に驚きと恐怖を感じたタブンネはこの日の捜索打ち切り、一目散キルクスまで踵を返し走り続けた。


やがて温泉までたどり着き、汚れた体毛をゴシゴシと擦ったが痕は落ちきらず、タブンネはショックを受けた。

これまでの捜索の中で一番と言っていい、手応えを垣間見た行脚だったが再度訪れる気にはなれなかった。

あのポケモンが自分達と仲良くしてくれるとは思えない。闘うということを知らないタブンネにとって、非友好的な種族との共存は考えられなかった。

後は、南西部。この街の南西外れにも、今日と同じような開けた道があること(湯けむり小道)は、初日の行脚で視認していた。勘としては良さげな道であった。
希望を失いたくないが為か、これまでは敢えてそこに足を向けず、半無意識的に最後までその進路を取っておいたタブンネ。

—明日は、明日こそはきっと新居を見つける...!

落ち込んでいても仕方ない。タブンネは心の中で気合を入れると、ベビを胸に抱き、ダンボールの上に腰を下ろした。




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