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タブンネ刑務所14

469キルクスタウンのタブンネ:2021/02/20(土) 15:54:06 ID:PwpugYIc0

タブンネは夜中に拠点を離れ、全域とはいかないまでも、キルクスタウン街中を歩き周り、あらゆる場所を観察するようになった。

主な理由は他の餌場を確保すること。また今の寝床は悪くはないが、より死角が多く目立たない立地に新居を構えられるならそれに越したことはないと思った。

イオニアの廃棄場で得られるのは野菜芯や木の実皮だけ、量も安定しているとは言い難く、少食なタブンネでさえも時々侘しさを感じた。
蓋の隙間から流れ出る匂い、また木陰から観察した人間の行動などから、ポリバケツの中に残飯が多く入っていることは想像に易かった。
これを倒して中を漁ろうかと何度も頭によぎったが、自分と同じだけの高さがあり、重量もかなりある。倒した後元通りに片付けるのは相当に難儀なことが明らかで、その中を物色するのは涙を飲んで諦めた。

人の寝静まった古都を歩き回ったタブンネ。
ここにはいくつかの集合住宅や宿屋があったが、この街は通年降雪地。ゴミ捨て場は殆ど蓋つきの頑丈なタイプで、タブンネにはどうしようもなかった。

幼少期ママがゴハンを探してくれた場所は木柵の一側面が完全に開けていて、上から網をかけるタイプの簡易なものだった。
結果死んではしまったが、街暮らしの長かったママンネはかなり賢い位置に住処を構えていたと言えるかもしれない。


夜中の徘徊を始めて3日目、タブンネは新たな餌場を発見することに成功した。
イオニアから程近い位置に店を構える
  「ステーキハウス」
キルクスの中では比較的大きく、人気店でもあったその建物の片脇に、イオニアのそれと同じような条件の廃棄場があった。
蓋つきポリバケツに残飯、剥き出しのビニール袋に産廃という事は変わりなかったが、産廃の量と種類がイオニアよりも多かった。
マトマやロゼルといった香辛料が割と実を残した状態で、またトリミング処理された生肉の端部分が捨てられていて、タブンネには高栄養な食事を可能にした。

タブンネは肉食種ではない為、生肉が美味しいと感じるわけではなかったが、それは貴重なタンパク源となり、マトマは辛かったが、それを食せば体温が高まる効果があった。また特に嬉しかったのはロゼル。少し香りは強いが、その甘い味はタブンネの嗜好に合っていて、久しぶりのご馳走であった。

ステーキハウス廃棄場は対面に集合住宅が建っており、その窓から丸見えの立地になっていた為住処にすることはできなかったが、住宅と廃棄場の間には柵があって、万一姿を見られてもすぐ逃げれば問題は無く、タブンネにとって非常に貴重な餌場となった。




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