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タブンネ刑務所14

366カンムリ雪原のタブンネ 三つまたヶ原編:2021/01/24(日) 22:11:55 ID:.pjsQMZQ0

 「ミッ!ミッ!ミィィィィィ!!!」─ 熱いぃ!誰か助けてぇ!! ─

背中に炎がついたタブンネは急いで階段を駆け上がりゴロゴロと地面を転がり消火を試みる。
必死の消火活動の甲斐あってか炎を消す事は出来たが、背中の毛は全て焼き尽くされ焼け爛れた皮膚が丸出しになっていた。
タブンネはうつ伏せになり、ぜぇぜぇと息を切らしながら痛みに必死で耐えている。
ふと、目線の先にはリーダータブンネにいやしのはどうを放っている番いタブンネの姿が見えた。
彼女に治してもらおう。そう思った火傷タブンネは這いつくばりながら番いタブンネの方へ向かっていく。
痛む体に苛まれながらタブンネは「なぜ自分はこんな苦痛を味わっているのだろう」と考える。
本当であれば今頃は安全な土地でオボンの実を食べながら仲間たちと共に笑っていたはずなのに。
火傷タブンネはかつて夢見ていた未来と現実を比較し、現実の惨めさ、苦痛さに耐えかね歯を食いしばり涙を流し始める。
それでも生き残りたい一心で進んでいると突然頭上から声をかけられた。

 ─ ちんたら這いつくばってんじゃねぇよ、すぐ追いついちまうぞ ─

声の主はサザンドラだった。サザンドラはニヤニヤと笑みを浮かべながらタブンネをからかう様に周囲を飛び回る。
火傷タブンネは恐怖で体が竦んでしまった。歯をガチガチと鳴らし体を震えさせている。

 「ミゥ……ミゥミゥ……」─ い、嫌だ……死にたくない……見逃して…… ─

恐怖に耐えかねた火傷タブンネは頭を抱え丸くなりながら、サザンドラに命乞いをする。
その姿はあまりにもみすぼらしく、みっともない。酷く滑稽でついついサザンドラは吹き出し、笑ってしまう。
自身が馬鹿にされていることは当然火傷タブンネにも分かる。だがそれ以上に自分が何もできないことも理解していた。
ただただこの場がこれで終わり、サザンドラがどこかへ行ってくれることを願う。
しかしそんな火傷タブンネの願いは脆くも崩れ去った。
「見逃すわけねェだろ」と言い放つとサザンドラは火傷タブンネの背中に両頭で思いっきり噛みついた。
神経がむき出しになった皮膚にギザギザの鋭い歯が刺さり激痛が走る。火傷タブンネは目をチカチカとさせ声にならない悲鳴を上げる。
サザンドラはそのまま脆くなったタブンネの背中を喰い破り始めた。
ぶちぶちと背中の皮膚が喰い破られる痛みで「ミギァァァァァァァァァ!!!!」と遺跡全体に響き渡る叫び声をあげるタブンネ。
気絶できればよかったのだがタブンネ特有の頑丈さがそれを許さなかった。
サザンドラも勿論それを理解していた。皮膚を喰い破る時は臓器を傷つけないよう注意を払いながら行っていた。
火傷タブンネは自身の血液でできた血だまりの中央で背中の皮膚を失い臓器をさらけ出した状態になっていた。
胸椎とあばら骨の間から弱弱しく心臓と肺が動いているのが分かる。
だが当のタブンネ自身はすでに虫の息だ。舌をだらりと垂らしながら消え入りそうな呼吸を繰り返している。

 「ミ……ミゥゥ……」─ なんで……僕たちが……こんな目に…… ─

火傷タブンネは自身の境遇を嘆きながら事切れた。




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