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続・N男語

119名無しさん:2016/05/28(土) 21:53:35

『その日ぼくらは他愛ない遊びをしたような気がする』
『…空腹を忘れるくらい』

「ぼく…帰らないと」
「…とうさんが」

「…また会える?」

『父さんはそれから数日たってから フラっと帰ってきた』
『”家庭の事情”で地方から関東に引っ越してきたミノミは』
『友達がいなかったんだろう、だから僕と遊んでくれた』
『読み書きも彼女に教わった』
『世界が変わった』

小高い丘の上、草むらに腰を下ろして話す2人

「カラちゃん 学校行ってないんだよね…」
「なんで?」

『「喰種だから」なんて言えるわけもなく』
『よく分からない言い訳をした』

「? ふーん」
「…私も カラちゃんの家に生まれたかった」

「え?」
「ミノミの家は食べ物もあるし綺麗な寝床もあるんだろ?…なにが不満なの?」

「変な慰め方」
「カラちゃん」
「どっかに行きたいって思うことない? 遠いところに…」
寝転がってそう話すミノミの肩には生々しい痣

『赤や青や紫』
『「家庭の事情」で出来たであろうアザや生傷は、』
『彼女の生命力を感じて』
『それはそれは』
『うつくしかった』

「お前 町下りたろ」
場面変わり、テントにてトルソーに詰め寄る父親

「なんでメシ調達してやってる俺を 危険な目に逢わせようとすんだ!?」
「そんなに町に出たいなら テメェ一人でやっていけ!!」
「…ったく メシぐらい調達してくりゃ こっちも報われるっつーのに…」
そう吐き捨ててテントを出ていく父親

『結局僕は子供で』
『どんな屑だろうと 僕は親にすがるしかなかった』
『…そんな僕に ミノミは』
『手を差し伸ばした』
『僕は彼女の手をとった』
『…ただ、』
『どこへ向かえば良いかまではわからなかった』

「すごいね カラちゃんの家 秘密基地みたい」
トルソーのテントに招かれたミノミ

「海が見えるところに行きたいな 昔住んでた町は港が近かったんよ」
「船がたくさん泊まってるんだよ」

「僕…運転できるようになるよ」
「ミノミを海まで連れて行ってあげる」

「約束?」

「約束」


深夜、ふと目を覚ますトルソー
起き上がると、隣で寝ていたはずのミノミの姿はなくなっていた

『なにかの音で目が覚めた』
『濡れた枝でたき火でもするような…』
『テントの裏に回ると、』
『ミノミは素っ裸で 父さんに解体されていた』

「おうっ お前もやれば出来るじゃねーか」
「ほら こっち来て手伝え」

父親を八つ裂きにするトルソー

『気がつけば 父さんは死んでいた』
『とくに感情はなかった』
『……そこからは‥』
『君も知ってる通り』

回想終わり

「……僕は…」
「ミノミを海に連れていってあげたかった…」
涙を流すトルソー

「(自分の手足を奪った相手に同情するなんて…)」
「(どうかしてる…)」
「(ちゃんと話せば…)」
「(わかってあげられるか……も…)」
次週


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