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【セ】貴婦人焦がすは鉄の檻【ドラクルージュ】
129
:
”艶福卿”コンラッド
:2018/09/20(木) 01:02:39
「そうか、であればこれ以上私が口を挟むこともあるまい」
「とはいえ、何かあれば我が領主へ文を出されよ」
「すぐに馳せ参じる」
柔らかく笑む艶福卿。
しなやかで強く、そして優雅であれとする心。
それさえあればどんな道も光がさす。
彼はそう信じている。
「行こう。サーラ」
130
:
“月蝕卿”サーラ
:2018/09/20(木) 01:16:16
彼女らには、領地を治めることは難しい。
しかし―――それでも、領地に騎士は必要だ。
故に彼女らは、この地を離れることはできない。
「騎士と異端に時の枷はありません。」
「縁あらば、またお会いすることもあるでしょう。」
「―――それでは、またいつか。」
最後に一つ、礼をして。
静かに身を翻す。
131
:
『貴婦人焦がすは鉄の檻』
:2018/09/21(金) 01:40:18
【リネット卿】
「……ええ、またいつか」
【ライネット卿】
「本当に、ありがとうございました」
【リネット卿】
「またいつか――――またいつか!」
乙女たちは静かに手を掲げる。
その手の内には、具現化にて生み出されたいくつもの花弁。
騎士と従者の出立を祝福するように、花弁が高々と振りまかれる。
騎士と異端に時の枷は無く――――それ故に、悠久に果ても無く。
またいつか、と。
その言葉に、どれほどの祈りが込められたものか。
花弁が舞う。
貴卿らが呪われた城を後にして、やがてその城が見えなくなるまで。
風に乗った一片の花弁は、遥か彼方まで貴卿らを見送るのであった――――――――
――――――――――――【終の幕、閉幕】
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