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【セ】貴婦人焦がすは鉄の檻【ドラクルージュ】
1
:
DR死魚
:2017/12/06(水) 23:01:06
貴卿らがいかなる騎士であるか、こと細かに問いはすまい。
また、その必要もないであろう。
故に此度の発端を詳らかにするのであれば、事はさほど複雑でもない。
即ち、貴卿らはある女騎士に救いを懇願された。
不徳の騎士、のさばるも我が力及ばず。
どうか我が姉を救うため、力添え願いたい、と。
不徳を討つは騎士の定め。
騎士道に則り、貴卿らは不徳の住まう『ゲヒェンリッヒ城』へと向かう事にした。
常夜国騎士譚RPGドラクルージュ――――『貴婦人焦がすは鉄の檻』
今宵、貴卿らを常夜へと誘わん。
104
:
”艶福卿”コンラッド
:2018/05/26(土) 00:05:25
「欲することでどれだけのものを穢した」
「私には貴様の方がよほど酷いものに映ると知れ」
言葉が己に跳ね返る。
否、それはどこかにいたはずの、いつかいたはずの若者の話だ。
艶福卿、コンラッドの身には帰らぬ言葉。
移動はしない。
騎士は目の前の敵を強く見続ける。
105
:
”艶福卿”コンラッド
:2018/05/26(土) 00:09:07
「ライネット卿。ここは危険だ。これ以上、花が傷つけられる様を見たくはない」
ライネット卿には宮廷に下がっていただく。
106
:
“月蝕卿”サーラ
:2018/05/26(土) 00:29:03
リネット卿には、そのままの位置で待機していていただきましょう。
こちらに来ても良い事はありませんし。
107
:
『貴婦人焦がすは鉄の檻』
:2018/05/27(日) 22:47:56
【ライネット卿】
「は、はい……御武運を……!」
――――――――――――――――――――
【玉座】アイアンサイド卿、コンラッド卿
【宮廷】サーラ、ライネット卿(熱烈な味方役)
【庭園】リネット卿(喝采役)
――――――――――――――――――――
・アイアンサイド卿(存在点16)
【玉座】は、玉座周辺である。領域:《堕落!おお堕落!》が具現化している。
【宮廷】は、嬌声響く玉座の間である。
【庭園】は、玉座の間手前の廊下である。
……では、次のターンへ移行する。
各々方、【ノブリス・オブリージュ】にて喝采点と……【抗う力】を獲得せよ。
玉座にいるコンラッド卿は、獲得する【抗う力】が減少する点に注意せよ。
また、両者とも《正視に耐えぬ悪徳》を受けている点に注意せよ。
――――――――サーラ卿より、手番を開始されたし。
108
:
“月蝕卿”サーラ
:2018/05/27(日) 23:30:33
ライネット卿とすれ違うように、玉座へと歩み寄る。
直後―――おお、これは如何なる仕儀か!
まるで切り取られたかのごとく、玉座周辺が深い闇に包まれたのだ!
逆もまた然り。玉座の間近にある者たちには、あたかも外側が切り取られたかのごとく見えたであろう。
如何なる者が、真祖の恩寵なき真なる闇を越えられようか。
今や二つの領域は、闇の帳にて完全に切り離されたのだ!
「色々と目に余りましたゆえ、覆いをかけさせていただきました。」
「不作法の程は、お許しを―――」
足取りは軽やかに、翻る手は冷酷に。通る声は、涼やかに。
鋭利な刃が、獣に迫る。
まず畏怖点を1点獲得。現在の畏怖点は6点となります。
このうち2点を使い、行い判定のダイスを2個増やしましょう。残る畏怖点は4点ですね。
diceBot : (6D6) → 21[3,6,4,6,1,1] → 21
栄光の目がふたつ。3,4,6,6,1,1,10,10となりますね。
まず玉座に移動。10にて《黒く黒く満たせ》(目標値8+1)を使用。玉座と宮廷の境界は、私の[境界具現化]を解除しない限り何人たりとも通過できません。
さらに1,10にて《この身は猟犬》(目標値10+1)を旦那様に使用。次の旦那様の行いの目標値をすべて2減少いたします。
3,4にて《影は傍にて離れず》(目標値6+1)、6,1にて《振り向けばそこに》(目標値6+1)。旦那様に1点、アイアンサイド卿に3点のルージュを与え、アイアンサイド卿へのルージュを2点得ます。私の得るルージュの属性は憐にでもしておきましょうか。
最後に6にて《称賛の声はなし》(目標値4+1)。畏怖点を1点獲得。これで残る畏怖点は5点になります。
109
:
『貴婦人焦がすは鉄の檻』
:2018/05/27(日) 23:57:18
御武運を――――すれ違いざま、乙女の声援が従者にかかったやもしれぬ。
正義を――――その背に、乙女の悲願が投げかけられたやもしれぬ。
二人の姫君を、闇にて切り離す。
これより演じられるは、あまりに浅ましき堕落者の末路であるが故。
短剣を突き立てられた獣が――――喜悦に、悲鳴を漏らした。
――――――――――――――――――――
【玉座《堕落!おお堕落!》】アイアンサイド卿、コンラッド卿
《黒く黒く満たせ》
【宮廷】サーラ、ライネット卿(熱烈な味方役)
【庭園】リネット卿(喝采役)
――――――――――――――――――――
・アイアンサイド卿(存在点13)
【玉座】は、玉座周辺である。領域:《堕落!おお堕落!》が具現化している。
【玉座】と【宮廷】の間には、境界:《黒く黒く満たせ》が具現化している。
【宮廷】は、嬌声響く玉座の間である。
【庭園】は、玉座の間手前の廊下である。
――――――――次なる行動は、コンラッド卿によるもの也。
110
:
”艶福卿”コンラッド
:2018/05/28(月) 00:40:51
「サーラ! 苦労を掛ける」
コンラッドの鎧が霧と化し、この世から失われる。
しかし霧は未だ消えず。新たな形をこの世に産み落とす。
まるで舞踏会に華を添えるが如き美しい礼服。
それこそが艶福卿であるコンラッドの真の鎧。
全てを舞うかのように優雅に行うという意思の表れである。
「さぁ、まだ我が手を緩めるには至っておらんよ」
喝采点を1点受け取り、2点使用する。
diceBot : (6D6) → 27[4,5,3,6,6,3] → 27
栄光の目によって 4,5,3,6,6,3,10だ。
《麗しき我が血統》(目標値17-1 10+6使用)を使用。
形態具現化。これより宣言する[行い]の対象が[自身]以外である時、その[行い]の間合いは1増加し、与えるルージュは1点増加する
《武勲知らせる囁き》(目標値4-1 3使用)
アイアンサイド卿にルージュを1+1で2点を与える。
《甘き口づけ》(目標値8-1 3+4使用)
アイアンサイド卿と1+1で2点を与え合う。
《華散らす銀閃》(目標値3-1 5使用)
アイアンサイド卿に1点ノワールを与える。
《騎士のたしなみ》(目標値4-1 6使用)
アイアンサイド卿に1点ノワールを与える。
これで4点のルージュと2点のノワールのはずだ。
111
:
『貴婦人焦がすは鉄の檻』
:2018/05/29(火) 23:43:51
【アイアンサイド卿】
「おおお……!」
ひとつ、ふたつ、みっつ!
踊るように、次々と黒血が迸る。
玉座を穢し、蒸気となって溶けていく。
罪を示す、醜悪なる黒血だ。
――――――――――――――――――――
【玉座《堕落!おお堕落!》】アイアンサイド卿、コンラッド卿
《黒く黒く満たせ》
【宮廷】サーラ、ライネット卿(熱烈な味方役)
【庭園】リネット卿(喝采役)
――――――――――――――――――――
・アイアンサイド卿(存在点7)
【玉座】は、玉座周辺である。領域:《堕落!おお堕落!》が具現化している。
【玉座】と【宮廷】の間には、境界:《黒く黒く満たせ》が具現化している。
【宮廷】は、嬌声響く玉座の間である。
【庭園】は、玉座の間手前の廊下である。
112
:
『貴婦人焦がすは鉄の檻』
:2018/05/29(火) 23:47:40
――――――――――――――――――――
【玉座《堕落!おお堕落!》】アイアンサイド卿、コンラッド卿、サーラ
《黒く黒く満たせ》
【宮廷】ライネット卿(熱烈な味方役)
【庭園】リネット卿(喝采役)
――――――――――――――――――――
・アイアンサイド卿(存在点7)
【玉座】は、玉座周辺である。領域:《堕落!おお堕落!》が具現化している。
【玉座】と【宮廷】の間には、境界:《黒く黒く満たせ》が具現化している。
【宮廷】は、嬌声響く玉座の間である。
【庭園】は、玉座の間手前の廊下である。
113
:
『貴婦人焦がすは鉄の檻』
:2018/05/30(水) 23:36:02
――――では、アイアンサイド卿の行動となる。
《正視に耐えぬ悪徳》目標値:4 間合:0〜1 対象:他の1体(コンラッド卿)
次のターン、対象が使用する[行い]の[目標値]は1上昇する。
この[行い]は[PC人数]回使用してよい。
《堕落の偶像》目標値:14 間合:0〜1 対象:エリア(玉座/コンラッド卿・サーラ)
対象のエリアにいる任意の存在が持つ全ての[絆]に、加えられているルージュと同量のノワールを与える。
《禁じられた悦び》目標値10+2=12 間合:0 対象:他の2体(コンラッド卿・サーラ)
対象の【潤い】を1点減らす。
――――騎士よ、異端よ、[抗い判定]を選択せよ。
【アイアンサイド卿】
『暗い……暗い……暗いぞ……!』
『暗いのは……嫌だ……輝きがなくては……輝きが……!』
傷付いた黒山羊が、己の胸を掻きむしる。
飛び散る黒血――――それが、じゅうと音を立てて香気へと変じる。
堕落の獣が放つ、醜悪なる魅了の香気――――騎士とて、浴びれば正気を保つのは容易ではあるまい。
114
:
”艶福卿”コンラッド
:2018/06/05(火) 22:57:01
《正視に耐えぬ悪徳》に抗う力1点で対抗しよう。
diceBot : (1D6) → 3
一つ足らず。コンラッド卿は敵の攻撃をかわしきることはかなわなかった。
115
:
“月蝕卿”サーラ
:2018/06/05(火) 23:02:08
では、こちらの[抗う力]2点を使い、《正視に耐えぬ悪徳》に協力して抗いましょう。
出目を合計すれば1ゾロでも問題なく判定に成功しますので、判定は省略。
116
:
『貴婦人焦がすは鉄の檻』
:2018/06/06(水) 22:50:51
では《正視に耐えぬ悪徳》が無効化され、アイアンサイド卿の存在点は【6点】となる。
《堕落の偶像》《禁じられた悦び》は発動――――各員ノワールを獲得し、潤いを減らしたまえ。
117
:
“月蝕卿”サーラ
:2018/06/06(水) 23:03:32
己へのノワールが4点上昇。渇きが1点上昇。
リネット卿へのノワール(妬)が2点上昇。
旦那様へのノワール(妬)が3点上昇。
アイアンサイド卿へのノワール(殺)が2点上昇。
潤いが1点減少。残る潤いは2点となります。
118
:
”艶福卿”コンラッド
:2018/06/07(木) 00:00:15
自身へのノワールが2点
コンラッド卿へのノワール(殺)が2点
潤いを1つ失い残り1
119
:
『貴婦人焦がすは鉄の檻』
:2018/06/12(火) 00:02:52
では、最後に絆奏――――各自はアイアンサイド卿に【殺】のノワールを受けよ。
そして各自が【抗う力】を1点ずつ獲得し――――第三ターン。
サーラ卿より、手番を開始せよ。
120
:
“月蝕卿”サーラ
:2018/06/14(木) 00:59:45
呻く黒山羊の喉元に、突き立つ刃。
肩を、手を、足首を。矢継ぎ早に貫く刃。
騎士も、異端も、堕落者とて、その程度では死ねまいが―――
肩を射抜かれれば、手に力は籠らぬ。
手首を射抜かれれば、手は動かぬ。
足首を射抜かれれば、歩みは進まぬ。
喉を射抜かれれば、言葉は紡げぬ。
無論、傷が癒えれば刃も抜けよう。
傷が癒えるまでに、さほど時間も掛かるまい。
しかし、それはもはや、問題ではない。
何故ならば。嗚呼、何故ならば。
121
:
“月蝕卿”サーラ
:2018/06/14(木) 01:01:01
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/ __ r‐、 ,‐‐、
/ __ .,´ `i/ Vヾ二´ /`‐-‐イ\
/ ,ィ´ ∨_ j { l / 人
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/ . / / ./ / , -‐‐ -、 `ヽ |
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/_,イ i / { | l 乂.ノノ)'乍芹ミX / ∠z7 /} |
/ l i/ ∧ l | :Yイ ハ Vノ // ,イリヾ.:| / ,' /
', .| ./ ∧ | l 乂.ノノ) `¨ / {-' / リ!/'/
V . { / ∧i l i l',|:Yイ ハ ∨厶イ)
\∧/∨ 〉 | ! l l 乂 ノノ)、 __ イ |.乂`Y ―――それでは、後はお願いいたします。
/ ,´! ト、| l l Yイ ハ |`:く ! | 乂ハ ・ .・..・ .・ .・ .・
/ ` 、}.|.l 乂ノ.ノ) l__ ∧/ 八 乂`Y 私は、部屋の片付けがありますので。
/ l/ :Yイ ハヘ ∧./ j 乂ハ
〉、 く⌒Y⌒ヘ ∧ <⌒Y⌒>
,':::::`ヽ、 :レ介ーく∨∧ ∨ハ⌒ヾイ
i::::::::, -‐==、-- 、 :| ハ 乂 ∨∧ 人 ....彡′
!:::::/ \ ヽ!乂ミ=ー、 ∨∧  ̄
_. l::::/ `、:::::::ヽ `ヽ::\∨∧<ヽ-、
/ \ |::/ ! `、::::: ヽ _ ∨.へ.ィ/ /
―――狩りの時間は、もう終わり。
後に待つのは、裁きの時だ。
diceBot : (7D6) → 31[6,6,6,2,4,5,2] → 31
6,6で栄光の目が成立し、10が追加。さらに渇き1点を保持しているため、6のうち1つが7になります。
つまり宣言に用いることのできる出目は7,6,6,2,4,5,2,10となりますね。
2,10にて《嘲笑う因果の車輪》を宣言。このラウンド中、私は行いの目標値を1増やす事で、その行いを2回宣言できます。
5,2,7にて《影は傍にて離れず》(目標値6+1)を2回、6,6にて《怪物を見る目とは》(目標値5+1)を2回、4にて《血塗られた業》(目標値4)を1回宣言いたします。
アイアンサイド卿にルージュを6点、ノワールを3点与え、私はアイアンサイド卿へのルージュを4点獲得します。
おや、アイアンサイド卿への絆が潤いになりましたね。これで手持ちの潤いは3点です。
122
:
『貴婦人焦がすは鉄の檻』
:2018/07/03(火) 04:58:20
――――アイアンサイド卿の存在点が、0になった。
各自、【潤い】を一点獲得せよ。
――――――――交戦意思を持つな脇役がいなくなったため、戦闘処理を終了とする。
【アイアンサイド卿】
「バカな……!」
踊るが如き、従者の猛攻。
……否や否。
主従の舞踏と、そう呼ぶべきか。
美しき薔薇は花弁を散らし、月を蝕む者は湖上の如く。
穿たれ、穿たれ、穿たれる。
獣の黒血が玉座を濡らす。
【アイアンサイド卿】
「何故だ……!」
「何故、私のものにならない……!」
獣が吠える。
喉に刃が。
血を吹き、血を吐き、言葉が消える。
ど、と黒山羊が膝を突いた。
……限界、ということだ。
堕落者は今、討伐され――――
_ィ<二二二二二/}トニニ―_
_ィニ/ 。...¨..<二二/.....jj...}二二ニィ.〉
_-=ニニ/。.......゚..>个ー-f ⌒Y...ノ ̄)/.../
《...>-〈..,,ィ⌒i 人_ノ⌒< ̄>ノ⌒>/== ―ミ
`\ 〉 t__ し<:.:.:ト:.:.:.:.:.:.:.:.:Y⌒>' ̄> ¨¨⌒ヽ \
r≦__/^爪:.:.:.、:.:.:.斗z≧'':.:.:.:.:}`ー <ミ=ー
', /¨:.:‐:‐ト、:.:.ミ ィ存歹;.:ヽ:.:ト............/∧ 〉 )
乂{:.:.:.:.:|ハリ ,\  ̄¨V:.:.:リ.:.\......../∧ / / 「――――――――罪状」
}Ⅵ:从f苡 ル人:.:.:.:.:.\...._〉ニ≦/
乂:.ゝ _ ノイ:.:.ト:.:.:.:.:.:.:.Yヽ≦三三三ニ==ー _
/:.:.:ト. ‘ ル从ハ:.:ミ.:.:.:.}_  ̄¨¨ ・・==三三三三ミ
.:.:.:.:.小)≧o。__,,,≦zzzyVヘ:、.:V...........ヽ
/.:.:.:∧トミ _《ニr]i[ョ二彡〃......リ...≫==》
{.:.:.〈/ >... ̄...辷宀¬二《......../" > ¨¨`-…ミ
>x:ミ《......_彡斥ニ‐二二ヾ≪ // \
// 厂¨¨/二、○''二二二Y , ' / >…==ミヾ \
// / ,'ニ二二二二二二ニ] { / /¨¨ ̄ ̄ `y 〉
// / {二二二,ニ二二二ニj { V /{ λ 厂 Ⅳ
〈 v二ニ_^二二二ニ入 j{ {iiiy//} Ⅳ'\
《≧ry三}二二○二二二二Vニ>{ {iiiV/从 |////\
/ 」ニ二二二二二二ニY 〈 iiirV//乂 ノ//////\
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/ >二二二^ミ二二二ぇY ¨と y//////////////\
/ >ニ二二二'○、二二二二ニ\ 〈_У//////////////∧
,‘ >ニ二二二二二二二二二二ニへ〉 V,////////////,/ /
f≧<二二二ニイ'|二二二二二二二\ V//////////// /
/¨¨ヾ\二≫゚/| [二二二二二二二二〉 ∨////////// /
/ >…イ' ト “<二二二二二>' イ V ̄_ ̄_]./
/ / i \“<二二>”< 八
――――いる。
いる。
既に。
黒き御髪を小さく揺らし、鎖を鳴らして現れる。
ヘルズガルド家現当主、マルグレット公――――堕落者に、判決を告げる者。
【マルグレット公】
「我欲に呑まれ、民を虐げ」
「快楽に溺れ、従者を弄び」
「人心に病を投じ、醜くも堕落を晒す」
「――――その上で騎士に敗れた以上、貴卿に下す判決はただひとつ」
「いざ開け、地獄の門」
開く、開く、開く。
彼女の背で、地獄の門がゆっくりと開いて往く。
地獄の亡者どもが白き腕をまさぐらせ、道連れを求めていた。
獄卒共が、その奥から堕落者を嘲笑っている。
鎖が伸びる。
黒山羊を捕らえた。
【アイアンサイド卿】
「い、いやだ……!」
「私は、私はまだ、なにも手に入れていない!」
「ライネット! ああ、私のライネット!」
「何故だ! なぜ君は私の側にいないのだ!」
「どうして君は、私のものにならないのだ! 何故!」
黒山羊が喚く。
その巨体が、徐々に地獄へと誘われて行く。
誰も抗う事など出来ぬ。
常夜国の、罪人である限りは。
二人の乙女は、二度と姉妹が引き裂かれることがなきよう、白き指を互いに絡ませる。
リネット卿が、ライネット卿が、涙ながらに怒りを宿す。
123
:
『貴婦人焦がすは鉄の檻』
:2018/07/03(火) 04:59:00
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ニニニ=-ヽニ=-‐=ニニニ込、 ./i:i:i:/. / //} 「――――騎士道を知らぬ畜生に」
ニニニニ=-}ニニ=-‐=ニニニ_ r::、 {i:i:i:/ ‐七I〔i:i:/: i
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:
『貴婦人焦がすは鉄の檻』
:2018/07/03(火) 04:59:43
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125
:
『貴婦人焦がすは鉄の檻』
:2018/07/03(火) 05:01:30
「「……さようなら、領主様」」
乙女らの最後の呟きは、如何なる想いが込められたものか。
黒山羊が、喚き散らして地獄へと。
亡者獄卒の無数の腕が、堕落の獣を掴んで離さぬ。
【アイアンサイド卿】
「嫌だ……!」
「私は、嫌だァッ!」
【マルグレット公】
「残念ですが――――」
「汝、罪有り」
「地獄への幽閉を、執行します」
獣の怨嗟の叫びごと……地獄は、深く飲みこんだ。
重々しい音を立て、地獄の門が閉まっていく。
後に残るものはといえば、血塗られた玉座があるばかり。
……堕落者は、地獄へ堕ちたのだ。
【マルグレット公】
「…………お疲れ様でした」
「堕落者を見事に討ち取った貴卿らの名声は、未来永劫語り継がれることでしょう」
マルグレット公の淡白な称賛が、どこか場違いに響き渡った――――
126
:
”艶福卿”コンラッド
:2018/07/05(木) 23:34:34
「手間を取らせました」
コンラッド卿は静かに礼をした。
地獄の中を垣間見たものの、彼の心に揺らぎはない。
自身もあそこに落ちるのかもしれないという不安はない。
潤い、満たされた心に影の差し込む隙間はない。
「……さて、では、帰るとしようか」
「貴卿らはどのようにする?」
127
:
“月蝕卿”サーラ
:2018/07/06(金) 00:07:46
処刑が執行される中、無数の使用人らが具現化し、手際よく民らを戒めから解き、穢れを掃き出す。
かくて執行終わりたる頃には、堕落者が宴の残滓は、今や玉座の血痕が残るばかり。
堕落者は繋がれた。もはや、民らが脅かされる事はない。
「―――勿体無きお言葉にございます、閣下。」
サーラ・ヘルロット・フォン・カルンシュタインは考える。
猟犬に誉は不要。ただ餌があれば、それでよい。
故に、称賛にはさほど関心を抱かない。或いは、抱けないのか。
ともあれ、ただ一点を除き、一通りの掃除は完了した。
ただ一点―――血塗られた玉座を除いては。
「―――畏まりました、旦那様。」
ちらり、と。血塗られた玉座を見遣り。
ちらり、と。姉妹を見遣り。
そして、まるで何事もなかったかのように、涼やかに応じる。
128
:
『貴婦人焦がすは鉄の檻』
:2018/09/20(木) 00:40:18
【リネット卿】
「そうですね……どうしましょうか」
【ライネット卿】
「領主がいないまま、というわけには行きません」
「民のためにも……新たな領主を見つけなければ」
ふと視線をやれば、既にマルグレット公の姿は無い。
次なる罪人を裁くため、遍歴の旅に戻ったのだろう。
あのお方は決して一か所に留まるということを知らぬ。
【リネット卿】
「……我々は……強制的な叙勲から、まだどれほども年月を経ていません」
「私に至っては夜獣」
「私たちが領を治めるというのは、いささか難しいことでしょう」
彼女らは確かに騎士ではあるが……その心根は、およそ民に等しい。
貴族としての務めを果たせというのは、いささか酷だろう。
【リネット卿】
「ですから――――――――」
リネット卿の瞳が、そっとコンラッド卿を捉えた。
捉えて――――遠慮がちに微笑むと、瞳は姉へと向けられた。
言いかけた言葉があった。
その言葉は、そっと乙女の胸の内に。
【リネット卿】
「――――代わりを探すことにいたしましょう」
「探し、待ち……やがてこの領が元の通り穏やかになるように、身を砕きますとも」
そう言って――――乙女たちは、美しく笑ったのだった。
彼女たちを閉じ込める檻は、もうないのだから。
129
:
”艶福卿”コンラッド
:2018/09/20(木) 01:02:39
「そうか、であればこれ以上私が口を挟むこともあるまい」
「とはいえ、何かあれば我が領主へ文を出されよ」
「すぐに馳せ参じる」
柔らかく笑む艶福卿。
しなやかで強く、そして優雅であれとする心。
それさえあればどんな道も光がさす。
彼はそう信じている。
「行こう。サーラ」
130
:
“月蝕卿”サーラ
:2018/09/20(木) 01:16:16
彼女らには、領地を治めることは難しい。
しかし―――それでも、領地に騎士は必要だ。
故に彼女らは、この地を離れることはできない。
「騎士と異端に時の枷はありません。」
「縁あらば、またお会いすることもあるでしょう。」
「―――それでは、またいつか。」
最後に一つ、礼をして。
静かに身を翻す。
131
:
『貴婦人焦がすは鉄の檻』
:2018/09/21(金) 01:40:18
【リネット卿】
「……ええ、またいつか」
【ライネット卿】
「本当に、ありがとうございました」
【リネット卿】
「またいつか――――またいつか!」
乙女たちは静かに手を掲げる。
その手の内には、具現化にて生み出されたいくつもの花弁。
騎士と従者の出立を祝福するように、花弁が高々と振りまかれる。
騎士と異端に時の枷は無く――――それ故に、悠久に果ても無く。
またいつか、と。
その言葉に、どれほどの祈りが込められたものか。
花弁が舞う。
貴卿らが呪われた城を後にして、やがてその城が見えなくなるまで。
風に乗った一片の花弁は、遥か彼方まで貴卿らを見送るのであった――――――――
――――――――――――【終の幕、閉幕】
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