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サーナイト18禁小説スレ4【R指定】

414号:2010/05/15(土) 20:06:08 ID:IOu751Yw

それは、突然起こった。

一人の男が自転車に乗っている。別にどこか変わっている訳ではは無い。何処にでもいそうな青年だった。
どこかに出かけるつもりだったのか、それとも出かけた帰りだったのか。

全身に鈍い痛みを感じ、その直後に、周りの景色がはっきりと見えなくなった。
目の前が真っ白になった、というのが一番わかりやすい表現だろう。
男は、何が起こったのか一瞬わからなかった。
何もできず、必死で転ばないように自転車をこぎ続けた。前が見えないので、かなりの恐怖を感じるはずが、そんな事を感じる余裕も無かった。
耳元で、バチバチと火花が散るような音が聞こえた。次第にその音は大きくなり、やがてその音しか聞こえなくなった。
そして、男は意識を失った。


その日、とある踏切で人身事故が起こった。
目撃した人の話によると、自転車に乗っていた青年が電車が来る寸前の踏切に突っ込んだ、
ということだった。
だが、一つ、おかしな事があった。
警察が何処を調べても、出るはずのものが出なかったのだ。
それは―――青年の死体。
いや、正しく言うのならば、死体どころか、一滴の血痕さえも無かった。自転車は電車に敷かれ、メチャクチャになっていたというのに、乗っていたはずの青年がいなかった。
まるで存在そのものがこの世から消えてしまったかのように―――。


それは、悲劇でもあり、奇跡でもある、一つの物語の始まりだった。

「う…ん…」
男が目を覚ますと、そこは木々が生い茂る森だった。
「……どこだっけ…ここ…?」
ゆっくりと手足を動かしてみる。痛みは無い。特に怪我もしていないようだった。
「…なんで森に…?てか、こんな森あったっけ?」
ゆっくりと見回すと、本当に木しか見えない。相当大きな森のようだった。
「…たしかチャリに乗ってたはずだよな…俺…」
ガサッ!
「!」
後ろから急に物音がしたので、男は急いで姿勢を低くし、音がした方に身構えた。
「(人…じゃぁなさそうだな…小さすぎる…)」
そこにあった茂みを何かが移動していた。
ゆっくりと音を立てないように物陰に隠れ、音の方を探っていると、そこには―
「(…!?)」
―どこかで見た事のある、犬のような生き物が歩いていた。
「(目がいかれちまったかな…?)」
目をこすってみても変わらない。
「(ポチエナ…だったけ…?)」
そう。空想の生物であるはずのポケモン、その中の一種のポチエナだった。
「(何がどうなってるんだ…!?やっぱ目がいかれちまったか?)」
バキッ
「(ヤベっ!)」
どうやら枝を踏んでしまったらしい。乾いた音がもりに響く。
『!』
音に気づいたポチエナが走って逃げていった。
「…行っちまった」
男が呆然と立ち尽くしていると、今度は上空から甲高い叫び声が聞こえた。


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