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三夜一夜の果て

17utsm3@飢者髑髏喜一第03話:2012/08/09(木) 23:18:51

剣の世界マーガレットに度々生ずる現象「死の欠片」は幻である。
高速で6点のダメージを2回。それで相手を倒せなければ己が消滅し相手には傷すら残らない。わずかHPに15点振るだけで死の欠片は露と消えてしまうのだ。
剣の世界が生まれて間もない頃、幾度もの死の欠片が生まれ、相手に届かずに消えていった。決して斬れぬ幻の刃。ゆえに、マーガレットの世界の住人達はHP15を費やさない。死の欠片が幻であるのだから、HPはそれほど必要ないというのが一般的な見解だ。

だからこそ、ごく稀に「まさか」は起こる。

戦女神ヘレンの住まうリリオットの貴族令嬢マーガレットは一瞬何が起こったのか理解できなかった。公騎士団という私兵を配備し絶対の安全が確保されたこの屋敷において、己の身は絶対に安全である。絶対だからこそ、「まさか」の事態は起こり得るはずがなかった。もし「まさか」が失敗したら? もし「まさか」を読まれていたら? その使い手はマーガレットの用いる武力に囲まれ、為すすべも無く死んでしまうだろう。後先考えない分の悪すぎる賭けだ、狂ってるとしか思えない。

マーガレットは正論を自分にしみこませつつ、それとは真逆の現実をゆっくりと認識する。死の欠片は0ターンで決着するため戦闘ログやカウントといった概念は存在しない。ただ勝敗の結果のみが残り、一体どうやって「それ」をやったのかといった過程は省かれる。
結論を述べると、ベッドにいたはずのガシャドクロ・キーチはマーガレットの横をすり抜けて逃げ出し、一陣の風を生みだした。その風のせいか、マーガレットは妙にスースーする感覚を覚えた…というか、あれ、無い、えっ、まさか、私の…

「わたくしのぱんつが…!」

マーガレットの唯一の隙に飢髑髏喜一は容赦なく襲いかかった。



ウェルディメンテ・パパスは思索を巡らせていた。
これから魔女のアパルトメントへ入るのは良い。魔女がいようがいなかろうがネタを作る事はできるだろう。しかし、昨今の流行を見るに魔女はネタとして今一古いとも思っていた。何かもう一押し、民の興味をひくものを足せたら…! パパスは脳髄の奥から溢れ出る言葉の波に身を委ねた。独り言を忌み嫌ってはいるものの、トランス状態にいれば不思議と枝葉のようにアイディアが出た。あとは、いつもの通りそれらの枝と魔女という枝を組み合わせればよい。

「黒髪の男」「理解不能」「白髪の男」「謎の呟き」「田舎の男」「いかん、男しかいないじゃないか。」

「違う…もっとオカルトな…」戦乙女ヘレン」「f予算」「封印宮」「封印宮…」「そうか封印宮!」

一つ決まればあとは芋づる式だ。出鱈目であろうが何だろうが要素を全て関連付けていけばいい。長年その所在すら解らない伝説だけが一人歩きした封印宮! もしその所在が、徹底して隠されていた故だとすれば?
隠されたものは見つけるための鍵が必要だ。封印宮というほど厳重なのだから…その鍵は例えばセブンハウスやヘレン教団といった勢力が保持しているに違いない。セブンハウス、そうだ、彼らが鍵を七つに分け一つずつ保有しているのだ。権力の象徴たる七つの破片…すなわち、暗弦七片! その一つを魔女が所持していたが、暗殺されたのだ。『虚妄石』『地図』『ランプ』『イヤリング』『指輪』『柱時計』『衣装掛け』! おお素晴らしい! 次々にアイディアが湧いてくるぞ!



パパスは歓喜に震えていたため、背後からかけてくる人物に、その人物を追う公騎士団達に気付かなかった。
「キィ〜! 私のぱんつをお返しなさい!」
「ケケッ! 気付かねぇ奴が悪いってな。…おっと\やべえ/!」

飢髑髏喜一はそこでバランスを崩し、手に持ったものを落としてしまった。
公騎士団が追ってくる。彼は跳躍し、騎士団がそれを追う。
後に残されたのはパパスと一枚の布切れだ。

拾い上げ、まじまじと見つめて

「……ペルシャ家の『衣装掛け』じゃないか。」パパスは呟いた。


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