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きせいくるしんでしね その4

15年経っても名無し:2011/06/14(火) 08:16:09 ID:ex681Khc0
tiraura

325NanashiBird:2013/08/20(火) 14:36:07 ID:/mYaQ.5s0
鯖落ちage

326NanashiBird:2013/08/20(火) 14:36:39 ID:/mYaQ.5s0
みす

327NanashiBird:2013/08/20(火) 23:11:14 ID:ib/q9za.0
おいでよVIPRO! 〜定期試練の巻〜

第8話「くっ、し、静まれ、俺の右腕……ッ!!」



ゴミがびびに刺されて死ぬ少し前の話。

いつもより人気の少ない溜まり場の真ん中にびびがいた。
そこへ天使猫が声をかける。

「あー今日も暇だなー。なんか楽しいことはないかなー」
「びびさーん、お手紙ですよー」

びびはVIPにはびこる悪を濃縮したような、黒い笑顔が似合う女忍者である。
これまでに退屈凌ぎと称して幾人ものVIPPER達を手にかけて来た正真正銘の殺し屋だ。
ただし上の二行はびびの自称なので、あまり信じてはいけない。

「うっせえけどぬこは殺さないよ。配達さんくすこ」
「にこっ」

乗り物の蛙の上でだらしない格好のまま天使猫から手紙を受け取るびび。
差出人を見て「ふん」と鼻を鳴らし、にやにやしながらびりびりと封筒を開ける。
見守る天使猫も笑顔を浮かべているが、こちらはABの聖服に似合う穏やかな笑顔だ。

「まったくあいつもしつけーなー、かー」
「返事は出すのかな?」
「眠いからまた今度やな」

びびはわざとらしく欠伸をしながら読み終わった手紙を蛙の鼻先にくっつける。
蛙は少し匂いを確認すると、びびの腕は食わないように気をつけながら一口で手紙を飲みこんでしまった。
やることが終わり、びびは昼寝でもするかと、太ももと尻をさらけ出したさらにだらしない体勢になる。

「そういえば久しぶりにその格好見たな」

蛙の上で寝そべった上下逆さまの状態で、びびは天使猫を見上げる。
天使猫はというと返事が無いとのことなので帰るつもりだったらしい。
声を掛けられたので、びびに背を向けた状態から振り向いた。

「そうかな?」
「だってあれやぞ、最後に見てからええと、いち、にぃ、さん……ああめんどくさいやっぱいいわ」

びびが指折り数えるのを止めると、テレポートした天使猫の姿が消えるのはほとんど同時だった。
残された光の軌跡を横目に見てびびは呟く。

「何年たっても、クソ真面目は変わらんなぁ」

そしてびびは昼寝を始めるのだった。


場面を戻し、現在のゴミ当番は。
予期せぬエラーにも負けずにセージキャッスルの不思議空間を突破して、
何回目かのヴァルキリー神殿までやってきた。
いつ来ても不思議と懐かしい雰囲気の、宙に浮かぶ厳かな空間である。

「よーし、転職したら盗作頑張ろーっと」

ゴミは神殿に降り立つと、神殿に住まうエインヘリアル達の中から目的の人物に声をかける。
一見どう見ても普通のローグだが、そこはかとなく神聖な雰囲気を纏ったチェイサーのお姉さんだ。

「すんません、覚えてるかどうかは知りませんがまた転職おんしゃす!!」
「む?」

彼女は自分に近づくゴミを見て、訝しげに眉を動かした。


つづく

328NanashiBird:2013/08/20(火) 23:45:28 ID:vKEuC9us0
>>327
こっそり更新乙!わっふるわっふる

329NanashiBird:2013/08/23(金) 23:59:43 ID:2UPGSQQI0
test

330NanashiBird:2013/08/24(土) 00:05:10 ID:Ch4wTnUQ0
さくらんへ

クーラーきかせてハッシュポテトレンチンしてたらブレーカーぶっとんで
ルーターその他復旧に手間取ってしまいました、ごめんあさい
もうちょいしたら戻れるかもしれないけど戻れないかもしれません
びびより

331NanashiBird:2013/09/01(日) 00:14:53 ID:YCci8PDI0
おいでよVIPRO! 〜定期試練の巻〜

第9話「あるゴミの物語」


エインヘリアルのチェイサーは目の前に立つゴミ当番の姿をしげしげと眺める。
ピンク色の髪をかきながら何やら考えているようだ。

「俺の顔なんかついてます?」
「いやね、そういう訳じゃないの。じゃないんだけど……」

言葉を濁した後、チェイサーはゴミに指をつきつける。

「あんたコッチじゃないわ」
「・。・?」
「転職すべきはチェイサーじゃないって言ってんの。不思議ね、確かにローグっぽいと思ったんだけど、転生前はアサシンだったはずよ」
「・。・。・??」

この人はいったい何を言ってるんだ?
ゴミ当番の頭脳が理解を拒む。
それっておかしくね、だって俺はゴミ当番なんだぜ。

「ちょっと待って下さい。先月まで影葱だったのに、流石に何かの間違いでしょwwwwwwwwww」
「影葱?」
「シャドウチェイサー!」
「はあ? あの伝説の? 何それジョークのつもり?」

今度はチェイサーの目が点になる。
その目ははっきりと「こいつ頭おかしいんじゃないか?」と言っている、間違いない。
気の強そうなお姉さんにそんな目で見られた日には、ゴミは生え際が5ミリ程後退するのを感じた。

「だ、だって……もう何年も前に秘伝が見つかって、転職できるように……」

しもろどもろに呟くゴミ当番の背後から、やかましい別の声が口を挟む。
話を横で聞いていた、同じエインヘリアルのアサシンクロスだ。

「おおおおおお、君よく修行してきてるねーーーーー!!! 偉いぞお、えいっ!」
「Job Level Up !!」
「む、この声ざくろか? アサシンやめてABになったんじゃ……ってああああ、何しちゃってくれたのおおお!?」

ゴミ当番が振り返ると、そのアサシンクロスの顔はどこからどう見てもざくろだった。
そしてゴミが驚愕している間に、頼んでも無いのにざくろ(仮)は勝手にゴミをアサクロへと転職させてしまったのだ。
一瞬光に包まれたかと思うと、ぴったりとしたシーフの衣装は布の多いアサシンクロスの服へと変化する。
天空の神殿に吹く風が赤いマフラーをぱたぱたと揺らす。

「これで毒瓶飲み放題になったよ! やったね!」
「やったじゃないか」
「やだやだやだ! 俺は元々影葱なんだい!!」

石畳に転がりのたうって抗議するゴミ当番。
アサクロが嫌な訳ではないのだが、それよりこれでは影葱になれないという絶望感が、ゴミの心をゆっくりと包みつつあった。
ざくろも何がどうなったか知らないがこんなところで転職役に出世しているし、もう嫌だ、訳が分からない。

この世界にはVIPROが存在しない。
一次転職試験が廃止されておらず、魔王モロクは今も封印されたまま。
それに加えてたった今、三次転職が普及していないということも判明した。

最初は過去の世界なのかと思ったがそれにしてはモリソバやざくろ等、知っている連中が知らない人生を歩んでいる。
倉庫の中身は元の世界と対して変わっていなかった。
つまり、時間軸はそれほどぶれていないのだ。
ならばなぜローグではなくアサシンということになっているのか。
VIPROが無かったら自分はアサシンになっていたのだろうか――?

バサリ。
清廉な気配がゴミに近づいてきたのはそんな時である。

「若いエインヘリアルよ、随分とお悩みのようですがいかがなさいました?」
「実は……色々あるけどとりあえず、そこのksざくろが俺の話も聞かないで――」
「聞かないで?」

バサリ。
声の主は、口を開けて話を中断したゴミを不思議そうに見下ろした。
見下ろした、というのは別に彼女がゴミより背が高いとか、高い場所から覗きこんでいるというわけではない。
彼女自身が宙に浮いているため、人と話す時は自然とそうなってしまうのだ。

「お困りでしたら力を貸しましょう。それが我ら戦乙女<ヴァルキリー>の使命ですから」

輝く翼に包まれた優雅な微笑み。
ゴミが見上げるその顔立ちは以前見たものと異なる。
代わりに、ゴミは彼女の顔を見て、まったく別の人物の名前を思い浮かべた。

「ベルがヴァルキリー……だと……?」


続く

332NanashiBird:2013/09/09(月) 00:36:22 ID:l4oo9GWQ0
あまりゴミにショック与えると頭つるつるになるで

333名も無き小宇宙:2013/09/30(月) 02:08:05 ID:y1qJOZrk0
おいでよVIPRO! 〜定期試練の巻〜

第10話「次回作にご期待ください(仮)」


「ベルがヴァルキリー……だと……?」

驚愕のあまりゴミ当番は言葉を詰まらせる。
目の前にいるのは輝く鎧を身にまとい、背に白い翼を生やした美しい美女だ。
見慣れた、とまでは言わないが何度か関わったことのあるその女性は間違いなくヴァルキリー。
なのに、なのにである。

「まあ、彼女が何か問題を?」
「ざくろはいつでも問題だらけです。だがそんなことはどうでもいい」

ぱっつんの前髪とあどけない表情がどこからどう見ても愛妻のフリベルその人だ。
色々とずれたこの世界ではこんなこともあるのか。

「ベル!?」
「はい!」
「そしてわたしがざくろだ」
「やっぱりベルだwwwwwwwいつからヴァルキリーやってるのん?」
「不思議な問いですね、私は昔からこうですよ。具体的にはえーと、えーと……昔からですよ」

ここではそういうものらしい。
世界が違うならこういうこともあるのだろうと、ゴミ当番は改めて思い直す。
だがひとつだけ、どうしても納得できないことがある。

「なんでアサクロやねん!?」
「おかしいですね。貴方の転職はチェイサーのはずですが。あ、でもデータはアサクロですね。あれえ?」

ヴァルキリーというかベルもゴミの転職に違和感を感じているようだ。
そういえば先ほどのチェイサーも一瞬不思議そうな表情を浮かべていた。
やはり身に覚えのない転職先には何か手違いがあるのだろう。

「うーん……不具合でしょうか」
「きっとそうです、そうに違いない。ヴァルキリー様のお力でなんとかなりませんかねぇ?」
「もう転職してるから無理です!」
「がーん」

言い切られてしまった。
転生者の管理人であるヴァルキリーがそう言うのならばもうどうしようもない。
影葱に戻ることは諦めて、このまま暗殺者として生きるしかないのか……。
打ちひしがれるゴミ当番は、ふとあることを思いつく。

「そうだ、元の世界に戻ろう」

当たり前といえば当たり前のことだ。
むしろ今まで強く考えていなかった方が不思議なくらいである。
いや、これまでは影葱になって元の力を取り戻せば何とかなるんじゃないかと事態を楽観的に捉えていた。
しかしそれもどうやら不可能らしい。
漠然とした希望が絶たれたならば、現実的に帰るための手段を探すべきだろう。
それに、元の世界に戻れば影葱の自分がいるはずだ。

「ゴミ当番の真の冒険は、ここから始まる!」

一人で決意表明を済ませるとゴミ当番はテレポーターに声をかけ、フリベル(とざくろ)のいる神殿を後にした。



終わらない

334名も無き小宇宙:2013/10/02(水) 00:11:09 ID:N/bHpp7.0
わっふるわっふる

335名も無き小宇宙:2013/10/24(木) 22:01:46 ID:ctsJAfzU0
おいでよVIPRO! 〜定期試練の巻〜

第11話「〜閑話休題その1〜」


ボクの名前はせった、アコライトをやっています。
ボクにはお姉さんが二人いて、大きいお姉さんが修羅、二番目のお姉さんがメカニックをそれぞれやってます。
姉妹そろってVIPROのメンバーで、ボクは小さいので主に姉達のサポートをしています。
お姉さん達はとても強くて、ボクには辿りつけないような所で毎日モンスターを退治しているんだそうです。
いつかボクも、狩場を一人で走り回れるようになるのかなあ?
そんな自分はあまり想像できませんが、やっぱり冒険者として憧れます。

でもそれは遠い先の話。
今は、今できる仕事を頑張ろう!

「せったちゃん!」
「あ、りじーちゃん。おはよう」
「オハロー!!」

いつものように、一日はたまり場から始まります。
今日はお友達のりじーちゃんも一緒なので、少し楽しくなりそう。
りじーちゃんはボクより小さなスーパーノービスで、とても可愛いけどすごくしっかり者です。
彼女にもルーンナイトのクールなお姉さんがいるし、ボクとちょっと似ているかも。
ボクは朝からにこにこ笑顔のりじーちゃんに尋ねます。

「おねーちゃんもう来てた?」
「うん。せったちゃんのお姉さん、夜明け前から出掛けたみたいだよ」
「ふええ、また寝坊してないのに寝坊したみたいに言われちゃうよお・・・」
「大変ねー」

修羅のお姉さんはとても早起きで、いつもボクがまだ寝てるような時間に出て行きます。
ボクも頑張って早く起きようと思ってるんだけどなかなか上手くいきません。
りじーちゃんの隣りに腰をおろし、溜息をついたボクはすぐにまた立ち上がりました。
いつものことなのでりじーちゃんは何も言いません。
同時に取り出した青ジェムを放って、おもむろに叫びます。

「ワープポータル!!」
「ん」

魔力を感知して水色の光の渦が現れます。
その瞬間にカートをひいたメカニック……二番目のお姉さんの姿が渦の中へと消えていきました。
タイミングはばっちり、当然です。
遠くから走って来るお姉さんの速度をちゃーんと計算したのですから。
ポータルに飛び込む瞬間に見えたお姉さんの目が「いい仕事だ」と言っていたような気がします。
朝からいい調子です。

「今の完璧だったよね?」
「うん、(ちょっと引いちゃうくらい)息ぴったりだったね」
「よっしゃ!次も頑張るよ!」

りじーちゃんにも認めてもらえてさらにテンションが上がります。
嬉しくなって思わずそこにいたぺんぎんの頭をぺしぺし叩きたい気分です、叩きませんが。
代わりにちょうどそこにいたたまごうどんのプロペラをぐりぐり回してしまいます。

「うー」
「オハロー!!」
「メリーさんおはよう!ねえねえ聞いてよー」
「ああ、見えてたから話さなくても大丈夫だよ」
「「さすがメリー!」」

たまり場の平和な朝は、こうして時間が過ぎて行くのでした。
ボクはもっとお姉さん達の役に立てるよう頑張りたいです。



その1終わり

336名も無き小宇宙:2013/11/11(月) 20:21:12 ID:wKl7P7Vk0
最近VIPでスレを見かけないが
とうとう解散しちゃったのか?

337名も無き小宇宙:2013/11/12(火) 13:36:44 ID:KEWGHUpc0
無かったらたてろ

338名も無き小宇宙:2013/11/28(木) 07:55:25 ID:.H62U6qk0
スマホ規制 Y(・∀・)Y かに
かなしみ

339名も無き小宇宙:2013/12/01(日) 05:09:32 ID:dn7YAZIg0
おいでよVIPRO! 〜定期試練の巻〜

第12話「そいつの名はゴミ当番」

プロンテラ北東の森を抜け、ミョルニール山脈が途切れた先に海に突き出た丘がある。
大聖堂で聖職者の資格を得た後に修験者モンクを志す若者はこぞって彼の地に足を運ぶ。
彼らの目的はより高度な修練。
すなわち聖カピトーリナ修道院への入門だ。
森の終わり、海原を背景に佇む荘厳な寺院は今昔全ての修行僧にとって永遠の聖地に他ならない。

そんな修道院の片隅、丁寧に整えられた庭園のベンチに並んで腰かける少女達がいた。
おしゃべりに花が咲く昼食の真っ最中である。

「ねえ、ゴミ当番って知ってる?」
「えー今週はわたし違うよ」
「そうじゃないよ、ゴミ当番って人の名前」
「なにそれ、名前? 人の名前なん?」
「うん」

落ち着いた友人の言葉に、もう一人の少女の笑い声が弾ける。
おこぼれを狙っていた鳩や海鳥達が一斉に飛び立った。

「マジwwwwwwwwwwwww信じらんねーwwwwwwwwwwwwwww」
「アーブルちゃんぱんつ見えるよ」
「だってないしょちゃんwwwwwwwwwwwゴミってwwwwwwwwwwwww
 ゴwwwwwwwwミwwwwwwwwww当wwwwwwwwww番wwwwwwwwwww」

ベンチの手すりをばしばし叩く活発な少女も、もくもくとパンを齧る少女も、
高位の修行僧であり転生職のチャンピオンの装いに身を包んでいる。
転生によって若返るのはよくある話だが、この二人の場合外見と実年齢にそう差はないだろう。
つまりは若くしてそれだけの実力を手に入れたということだ。

「で、何だっけ。そのゴミ当番(ブフッ)がなんだって?」
「そうそう、どうでもいい話なんだけど」

ひとしきり笑い終えたアーブルが思い出したようにないしょに尋ねる。
ないしょは潮風に長髪を揺らして何でもないことのように切り出した。

「今朝『僕の知り合いいません?』って聞いて周っていたとこを警備の人たちに追い出されたんだって」
「ふーん、本当にどうでもよかった。そいつはなんで追い出されたん」
「師父に報告に来た人は、挙動不審なアサシンクロスを追い返したって言ってたかな」
「なんだ変質者か、それじゃしょうがないね」
「そうだね」

アーブルは食べ終えたパンの包みをぐしゃぐしゃと丸めて伸びをする。
午後の修行までもう少し時間があるくらいか。

「そんな話より先週の阿修羅大会のこと聞きたいんやけどーやけどー」
「そう? でも話すことあんまりないよ、いつも通りだったし」
「かーっ、さすが可愛くて強いそして可愛いを地で行く逸材やわー」

二人はベンチからほど近い屑かごに手元のゴミを放り込んだ。
海からの風に今度は背を押されながら、ないしょは「なんとなく」と呟く。

「知ってる気がするんだよね、ゴミ当番。アーブル心当たりとかないの?」
「ないないないwwwwwwwwwそんな知り合い死んでもおらんわwwwwwwwwwwwwww」
「うーん、そうか」

歴戦の少女達はじゃれながら庭園を後にする。



続く

340名も無き小宇宙:2013/12/07(土) 15:25:48 ID:ZDQATz5s0
こうすると俺の印象が変わるな

俺「お前さあ、お前の役目って何よ?うんこの警備でしょ?違うか?」
肛門「・・・そうです」
俺「だったらさ、さっきはなんでうんこ通してしまったんだ?」
肛門「だって、屁ですっていわれたから・・・」
俺「そうか、でも実際はうんこだったし、お前はそれを通してしまったわけだ。俺が怒ってんのは、うんこが嘘をつく可能性を予測できていなかったんじゃないかってことなんだよ」
肛門「でも自分、うんこと屁の見分けできないし・・・」
俺「それなら見分けが着くまでは両方通すんじゃない。俺がいいって言うまでは気合いでどっちも止めること。うんこの警備が仕事なんだから、仕事を完遂すえうためにやれることは全部やれよ」
肛門「でも自分、一人だけだし、向こうはうんこと屁相手じゃ2対1で数で負けてるし、
そもそも自分そこまで身体強くないですし・・・」
俺「そうは言ってもお前は肛門なんだから、やるしかないだろ。それとももう仕事は嫌か?やる気なくしたか?」
肛門「・・・」
俺「やる気がないんじゃ仕方がないな」
肛門「・・・あります」
俺「何だ、もう一度はっきり言ってみろ」
肛門「やる気、あります・・・!」
俺「おう、じゃあそのやる気見せろよな。二度と満員電車の中で脱糞させんじゃねーぞ」

341うずらの卵:2013/12/09(月) 13:37:34 ID:PyA1sE0M0
規制された新規なのだが
ここで合ってるかわからないのだが

342名も無き小宇宙:2013/12/09(月) 13:58:18 ID:M8jYIRsg0
>>341
ここであってるよ
wikiは見たかい

343名も無き小宇宙:2013/12/09(月) 17:51:54 ID:PyA1sE0M0
>>342
そこそこ読んだんだが
とりあえずプリ目指しつつバッジを取りに行くことにするよ

344名も無き小宇宙:2013/12/15(日) 23:03:36 ID:yUQsTkfQ0
かけるで

345名も無き小宇宙:2013/12/15(日) 23:05:19 ID:TQwRZ/Hk0
きせいくるしんでしね

346名も無き小宇宙:2013/12/15(日) 23:06:08 ID:oXm81eNk0
てすとsage

347名も無き小宇宙:2013/12/15(日) 23:07:47 ID:/gZJA7OQ0
てすと

348名も無き小宇宙:2013/12/15(日) 23:15:45 ID:ZD8GPeno0
どれどれ

349名も無き小宇宙:2013/12/22(日) 18:45:46 ID:tqZO9ckU0


350名も無き小宇宙:2013/12/31(火) 11:00:27 ID:LAKQ/Q5w0
年末規制とかびっくりだよ

351名も無き小宇宙:2014/02/18(火) 23:07:50 ID:T291tDig0
定期規制されたぱぴこ

352名も無き小宇宙:2014/03/10(月) 03:16:47 ID:tjP/NIJ.0
>>339の続きを待ってるんだがいつになるんですかね!

353名も無き小宇宙:2014/03/11(火) 07:47:46 ID:3s6wRexk0
>>352

おいでよVIPRO! 〜定期試練の巻〜

第13話「もういくつ寝ると」


早朝。
まだ仄暗いカピトーリナの森に、冷たい潮風がゆったりと霧を流し込む。
東の空は少し白く、西の端はミョルニールの陰が紫の稜線を描いている。
じきに夜明けだ。
ないしょは立ち上がって伸びをすると、置いていた鉄カゴを背負い直す。
カゴの中身はとったばかりの薬草や山菜。
時々こうやって、トレーニングがてらに夜明け前に摘みに出ることがある。
朝露に濡れた柔らかい新芽は良質な素材になるため様々な場面で重宝するのだ。
料理当番に渡して朝食に一品加えるのも美味しいし、知り合いの錬金術師に売って小遣い稼ぎをするのも悪くない。
金銭的に来るしいわけでもないが、朝の日課はないしょにとってささやかな楽しみの一つだった。

開けた森の下草を踏みつけ、速いペースで寺院の正門を目指す。
時折枝の上を移動したり、あえて崖を飛び越えたりと体を動かしているうちに、
ないしょの額に小さな汗の玉が浮かび始める。
冷たい朝の空気は吸い込むたびに心地よく体を冷やしてくれるものの、
肩に食い込む鉄カゴの紐が、やはり辛い。
(……あそこの木に着いたら、ちょっと休憩)
恐らくこのまま進んでも寺院まで体力は持つが、朝から限界に挑むほどの無茶をする道理もないだろう。
ないしょは枝ぶりの大きな木の元に辿りつくと、先ほどのように鉄カゴを置き、自身も木陰に座りこんだ。
足を投げ出して見上げる空は、先ほどよりも随分明るくなった。
ちょうど日の出が過ぎたくらいだろうか。
「今日の朝ご飯、誰が担当だっけなあ」
そうして雲を眺めるないしょの汗が引いたころ。

「だ! か! ら! 何回も言ってるじゃねえかwwwwwwwwwwww」
「残念だが真面目に答えるまで何度でも尋ねるぞ」

閑静な森の朝に何やら騒がしい声が響いた。


続く

354名も無き小宇宙:2014/03/13(木) 21:07:31 ID:qC3C4zto0
わっふるわっふる

355名も無き小宇宙:2014/03/21(金) 11:48:50 ID:VWYt2PLc0
しんきなんだけど規制されてるんでここにかくわ
たまりばいけばいいんか?

356名も無き小宇宙:2014/03/21(金) 12:04:03 ID:e.2U8kV60
>>355
そうだよ
職に迷ってるならノビのままで行くと相談乗ってくれるぞ

357名も無き小宇宙:2014/03/21(金) 12:08:49 ID:VWYt2PLc0
モロク崩壊くらいまではやってたんだけど
R化?とかはまったくわからんわ

とりあえずたまり場いくわ
名前はあたまのおくすり

358名も無き小宇宙:2014/03/21(金) 12:18:11 ID:i7VEwQ6Q0
>>357
しんきちゃんちゅっちゅ

359名も無き小宇宙:2014/03/31(月) 04:42:03 ID:3S.P0rzk0
おいでよVIPRO! 〜定期試練の巻〜

第14話「光の戦士たち」


(この声……)

突然の声に驚くないしょだが、すぐに片方は知り合いのものだと思い当たる。
木の枝によじ登り声のする方向を見ると、いた。
見覚えのあるグランペコを傍らに、体格のいいパラディンの男性が赤毛の男を詰問している。
結構近いところだ。

「改めて聞こう。お前はいったい誰で、ここで何をしている?」
「そんなの決まってらwwwwwwwwwwww」

パラディンが静かな声音で尋ねるが、対する男、恐らくクラウンの声量はその倍はある。
赤毛の男は叫びながらハープをかき鳴らす。

「休日の朝にやることはひとつ!! 光の戦士・キュアヘナギに目覚める特訓だっぜえwwwwwwwww」
「……」

はあ。
ないしょの溜息は図らずもパラディンとシンクロした。
彼の後ろ姿が疲れて見えたのは気のせいじゃなかったらしい。
ちなみにあのパラディンはカピトーリナの警備を担当する聖騎士団員だ。
名前は知らないが大きな魔族の角飾りを付けているので遠目にもすぐ分かる。

「ハッピネスチャーッジで今日こそ覚醒できる! こいよNew Awaking, Foooooooo !!」

自称光の戦士の口上はいつまでも終わりそうにない。
あのパラディンはこれを聞くの何回目なんだろう。
同情を覚えながらもないしょはいそいそと鉄カゴを背負い、こっそりその場を離れた。
それからさほど時間をかけずにないしょは修道院の正門をくぐる。
予定より少し遅れたが朝食には充分間に合う時間だ。

「んんー、ちょっと疲れたかな……」
「スミマセーン、チョットオ話イイデスカー」
「はい?」

カゴを片付けて食堂に向かおうと思った矢先、背後から声がかかる。
ないしょは振り返ると同時に気を練り上げ、瞬時に全身に巡らせてさらに気功を生み出す。
背後にいたのは全身黒装束の男。
うん、怪しい。
そう認識するや否や、ないしょは生み出した気功を全て男に打ち出した。

「ウギャアアアアアアッ」
「……よし」

男が悲鳴を上げて倒れるのを確認すると、ないしょは今度こそ『お話』するため男に近寄る。
ぼろぼろの腰布に骨を連想させる手甲や鎧。
黒髪のその男はまるでアサシンクロスのよう……というかアサシンクロスそのものではないか。
勘任せでも先手を打っておいて正解だった。
今日は変な客が多い日だ。

「お兄さん、誰? 暗殺者?」
「うう、ひどいっ……ぼくは怪しい者じゃありません……人を探してるだけで……」

説得力の欠片もない。
でもしばらく立てないだろうし、このまま聞くだけ聞いてみよう。

「誰を探しているの?」
「誰かはまだ分からないんだけど僕を知っている人をだね」
「探して殺すの?」
「なんでや!? 殺さないよ!」

暗殺者が何を言っても信用ならない。
ならないが……この男はあまり悪い人ではなさそうだ。
知り合いを探しているというのも多分本当だろう。
話すうちに、男はふと何かに気付いたような顔をした。

「あれ、もしかしてないしょちゃん?」
「! ……うん、そうだよ」
「おおおおっ、やっぱり!」

驚いた。
ということはこの人が探しているのは自分だろうか。
そう思えば確かにどことなく見たことがあるような顔の気がしなくもなくも……。

「俺だよ俺おれ、ゴミ当番!」
「変な名前」
「ひどい!」

……知らない、やはり気のせいのようだ。
ないしょが素直に男、ゴミ当番? に伝えると、彼は酷く落ち込んだ。
残念だが知らないものは知らないのだ。

ないしょはゴミ当番の体力を回復させ、先ほどの非礼を詫びて彼と別れた。
そのまま釈然としない気分で寺院の石畳を歩くこと数分。

「あっ」

しまった、朝食……。
ないしょは急いで鉄カゴを片付けると、すでに皆が集まっているだろう食堂へ向かった。



続く

360名も無き小宇宙:2014/04/03(木) 12:25:50 ID:SlMUG/a60
期待age

361名も無き小宇宙:2014/04/20(日) 11:16:05 ID:0Zayw7fg0
てすてす

362名も無き小宇宙:2014/04/20(日) 16:24:51 ID:y9PgBAD20
おいでよVIPRO! 〜定期試練の巻〜

第15話「ネタバレ:ゴミは二度死ぬ」


 ルーンミッドガッツの終わり、国境都市アルデバランからさらに北へ進むと気候が変わり土と岩が織りなす乾いた山岳地帯が広がる。色彩豊かなルーンミッドガッツとは異なる、そこはシュバルツバルト共和国の領域だ。ちなみにアルデバラン国境線の手前に位置するものの、正確にはシュバルツバルトに属している。
 共和国の首都ジュノーはそんな荒々しい大地を見下ろすように、雲間に浮かぶ文字通りの空中都市である。
 石造りの町並みから伺える神話級の重厚な歴史と知識がそのまま街の、ひいては国全体の至宝と言えよう。

 そんなジュノーの南西部、住宅が立ち並ぶ一角をひとり白髪の男が歩いていく。
「ふんふふーん」
 彼が着ているのは、白い前合わせの東方の料理人が愛用する着物の一種だ。取っ手が着いた重そうな銀の箱をぶら下げ、男は慣れた様子で入り組んだ路地を進む。
 天頂の太陽が昼時を告げている。陽光に照らされて、いつもは辛気くさいセージキャッスルも今は遠くに浮かぶようにくっきりと見える。
 明るい景色に目を細めつつ、岡持の男モリソバは目的の玄関に立つと丸いドアノッカーに手を伸ばす。建物は中央にスペースが空いたコの字型の古い2階建ての屋敷だ。
「まいどー、出前ののれん屋ーす!」
 ガツンガツンとノッカーを容赦なく木の扉に叩きつけ、大きな声で中に呼びかける。だが少し待っても返事はない。モリソバはさらに待ってからもう一度、先ほどよりもさらに大きな声を上げた。
「ちわーっすませーん!」
「うるさあああい!」
 ブンッ!
 若い女の声とともにモリソバの背後から突如ガラスのビンが飛来し、それをモリソバが避けるとビンは扉にぶつかった。割れたビンが派手に液体をぶちまける。
 そして扉は炎上し、あっという間に金属のノブとノッカーだけになった。
 薬品と焦げの臭いにモリソバは言葉を失う。
「まったく昼間っから騒がしいですね! 勧誘ならお断りですよ! can you understand !?」
「え、何すかwwwwwwwww」
「かんゆうとキャンユーをかけてんのよ言わせないでください!」
 ブンッ!
 追加で飛んできた2本目は何とか受け止め、モリソバは2階の開いた窓を見上げる。頭を包むような丸い金髪の少女が窓枠にもたれてモリソバを睨んでいる。
「……あれ、なんだうどんやさんですか」
「なんだ、じゃないすよwwwwwwwwwww今俺死にかけたしwwwwwwwww」
「ごめんなさいね! それじゃ伸びる前に持って来てくださいね、師匠のと私のとーで何ゼニーかな、えーとえーと」
 尋ねたわけではなかったらしく、モリソバが答える前に窓が閉まる。
「駅前ちょまwwwwwwwww」
 モリソバは置いていた岡持をひっつかみ、扉の残骸をまたいで屋敷に足を踏み入れた。


続く

363名も無き小宇宙:2014/04/20(日) 17:40:48 ID:jR9mMCsU0
誤:ちなみにアルデバラン国境線の手前に位置するものの
正:ちなみにアルデバランは国境線の手前に位置するものの

文章が分かりにくくなる脱字した Y(・∀・)Y かに

364名も無き小宇宙:2014/05/06(火) 23:11:45 ID:/p4V2D020
おいでよVIPRO! 〜定期試練の巻〜

第16話「改行だいじ、ちぃおぼえた」

錬金術師は変人が多い。
偏見かもしれないが、モリソバはしみじみとそう感じていた。

「出前君ごめんねごめんね、少しだけ待っててね!」

屋敷の主人の女錬金術師にそう言われてからもう20分は経っただろうか。
駅前の師匠である彼女と駅前とで2階にこもったきり一向に降りてくる気配はない。
モリソバは一度は遠慮した椅子に深く腰掛けて彼女たちの支払いをひたすら待つ。

「もーまた失敗だよ! 駅前ちゃん次の火種急いで!」
「何回やっても運ゲーですねー」
「ボクの理論は成功率20%増しなはずなのに、おかしいなあ」

時折そんな会話と爆発音、それにうどんをすする音が聞こえる。
彼女たちいわく、文字通り"錬金"を試みているとのこと。
かけうどん2杯分の手持ちがないと分かるや否やこの手段に走る師弟の常識はいったいどうなっているのか。
モリソバは棚に並ぶ研究ノートの背表紙を眺めながら思う。
自分に置き換えると、代金の代わりといって獲物をしとめてくるようなものである。

「あるあr……いや、ないわwwwwwwまだですかーwwwwwwww」
「もうすぐできるよ!」

椅子から立ち上がり階段に向かって叫ぶと返事が返ってくる。
どうやら成功したようだ。
やがて壷を抱えた駅前と師匠が降りてくる。

「お待たせ! いつもごめんね! はいお代金」
「まいどありゃりゃしたwwwwww」

受け取る壷はずっしりと重く明らかに屋敷が一つ買えそうな量の金が詰まっている。
今日の錬金は大成功だったようだ。
普段の3倍はあるだろう。
モリソバは壺から金塊を一つ取り出すと残りは駅前に押しつける。

「へいお釣り」
「えっ」
「えっ、じゃないよwwwwwアホスwwwwwww」

毎度ながらこの錬金術師の価値感覚はおかしい。
今の金塊だけでもかけうどん何杯分にもなるというのに師弟はそろってきょとんとしている。
とくにランカーに名を連ねる師匠だけでもしっかりしないとまずいだろう。
ぶる印のホワイトスリムポーションといえば多くのファンがついていて、年間の売り上げはすさまじい。

「余った分で製薬材料でも買おうずwwwwwwww」
「うーん、お言葉に甘えてそうするよ。駅前ちゃん、次ゴミさんが来たときは全部買い取ってあげてね!」
「はーい」

ゴミさん、という単語からモリソバの脳裏にひとりの人物が浮かぶ。
店でいつもたまごうどんを頼む常連の名前が確かゴミ当番だったはずだ。
シーフ職だから材料集めで稼ぐのもおかしな話ではない。
しかも転職して今は確か……確か……。

「あれwwww葱かwwwアサクロかwwwwwんんwwwwww」
「ん、ボクが知ってるゴミさんはアサクロだよ」
「だよなwwwwwwww」

モリソバが記憶しているゴミ当番もアサシンクロスで間違いない。
ほぼ確実に同一人物だろう。
なぜ一瞬とはいえ彼がチェイサーのような気がしたのか。

「葱、ゴミ、葱……うーん……そうだwwwww白葱かって帰ろwwwww」

そしてモリソバは葱と金塊を手に店に戻った。


続く

365名も無き小宇宙:2014/05/24(土) 14:07:02 ID:NBP.Nc760
さっき拾ってもらった新規だけどよろしくな
名前は後輩。

366名も無き小宇宙:2014/06/02(月) 14:07:15 ID:hhPbp4nE0
VIPしんでるううう

367名も無き小宇宙:2014/06/02(月) 16:04:23 ID:iic3/w8.0
vipオワタ

368名も無き小宇宙:2014/06/05(木) 19:22:00 ID:7OFKsEck0
久々に規制されたンゴ

369七誌河内守:2014/08/01(金) 19:48:04 ID:I4GxCldw0
おいでよVIPRO! 〜定期試練の巻〜

第17話「暗部(極秘)と暗闇(曖昧)と」


とある時刻、わからない場所。
暗闇に何者かの声が響く。
声は果たして男か女か、奇妙に反響してまるで捕らえ所がない。

「首尾は」
「順調です」

無機質な返事とともに暗闇から一人の男の姿が浮かび上がる。
巻き付けるような薄い衣に人骨を思わせる装甲。
無音の鋭い身のこなしは紛れもなくアサシンクロスのものだ。
男はさらにいくつか短い言葉を付け加えていく。

「残りは3と7、明日終わらせます。受け渡しはいつも通りに」
「そうか」

男の言葉は声と言うよりもいっそ音と表す方が相応しい。
それほどに低く抑揚のない話し方だった。
30秒にも満たない簡潔なやりとりだが両者の間ではそれで十分らしい。
初めの声は頷いたような気配を最後に完全に沈黙した。
恐らくはこの場を離れたのだろう。

「……」

沈黙が続く。
男は目を伏せたまま動かない。
そのまましばらくが過ぎ、声の主が去ったと確信すると男はようやく息をついた。
微動だにしなかった青髪がわずかに揺れる。

「……」

男は懐に手を入れて一枚の紙を掴み出す。
広げても手のひらに収まるほどの紙片には文章が書かれている。
指令書の類のようだ。
男の目が文字を追う。
指定の場所以外では決して開くなと但されたその内容はと言うと、

「帰りに卵とミルクお願い」
「……」

男は一度瞼を閉じ、開く。
目には疲労の色が濃い。

「……給料上がんねえかな」

切実に呟く姿はただのくたびれた青年のようである。
おまけにため息を一つ残して、男は闇にその身を溶かした。


続く

370七誌河内守:2014/08/17(日) 05:12:18 ID:LIFO.jV.0
このGXのモデル誰だろ・・・

371七誌河内守:2015/03/01(日) 01:25:11 ID:Xne4yzvc0
おいでよVIPRO! 〜定期試練の巻〜

第18話「今日も明日も明後日もずっと」


首都プロンテラより南に下り、砂漠を掠めるように南東へ進むとすぐに小さな海峡にぶつかる。
橋を使えば人の足でも楽に越えられる程の狭い海の先は、やがて湿潤な木々の立ち並ぶ山林に、
そして山林を超えた先に構えるのが大陸の玄関口、アルベルタの港町だ。

だが靴先の小石のような、小さなこの島にはもう一つ人の住む集落が存在する。
大海から吹く風がもたらす豊かな雨に育まれた幽玄の森。
その最中の谷と川、山と木々の合間にひっそりと佇む隠れ里。
山岳の都市フェイヨンは長い時を、閉ざされた山林の中で過ごしてきた。

が、それも今や昔の話である。


「ただいまー」

青髪の男がガラガラと引き戸を開けると、すぐに調理の香りが鼻をつく。
夕飯の支度はすでに始まっているようだ。
こちらの声は届いているはずだが、奥から聞こえる物音は一定のリズムを保ったままである。

(少し遅くなったな)

戸を閉めてボロいマントを脱ぎ、木造の廊下を進めばすぐに調理場だ。
男が覗きこむと、長い髪の女性がゆるゆると食材やら鍋やら包丁を操っている。
いつものことながらこちらを見向きもしない。
男は女性の邪魔にならないように中に入ると、調理台の脇に袋を乗せる。
そこで初めて顔を上げた女性に、男は適当に声をかける。

「シチュー?」
「グラタン」
「惜しい」
「惜しくない」

我ながら味気ない会話だと思う。
まあ確かに、シチューに卵は使わないな。
10秒足らずのやり取りの間に女性は袋の中身を広げると、無言で作業に戻る。

「……」

彼女の背中を虚しく見つめた後、男は調理場を横切り奥の座敷まで進む。
障子に囲まれた正方形と部屋の中央には質素な脚の短い机と敷物が数人分。
男はしかし板間には上がらず、土間より一段高い縁に腰かけた。
そして思い切りベキベキバキバキと伸びをする。

「ぐええ、疲れ溜まってんなーちくしょー」

ぼやきながら手に持っていたマントを板間に敷くと懐から様々な薬品や器具を取り出す。
面倒だがこういった作業は出来る限り早めに終わらせるに越したことは無い。
凝った首筋を揉みながら、男は毒薬の調合を始めた。

調合は慣れたもので狙った分量を目測や経験で(適当に)配合していく。
材料を刻み、加熱して混ぜ合わせる作業は先ほどの調理場とどことなく似ている。
味見――は当然しないが。
そもそも無味無臭が最良とされる毒薬に味も何もあったものではない。

「しょうゆ、いや、コンソメ風味というのも悪くないな……」

アホなことを呟きながら黙々と毒ビンの数を揃えて行く。
混ぜ合せた液体を専用のビンに写し分け、空いた器にまた試薬を投入する。
流れ作業を繰り返し、手持ちの材料が無くなった頃合いに女性の声がかかる。

「出来た」
「こっちも終わった」
「手、洗って」

調理場から出て来た女性は男が広げた色々に顔をしかめると、それだけ言って戻って行った。


続く

372七誌河内守:2015/03/01(日) 01:48:24 ID:DSxNzNj60
シチューとグラタン似てるじゃん!
惜しいじゃんって突っ込んじゃったよ

373七誌河内守:2015/05/22(金) 01:22:05 ID:1I7vK50o0
おいでよVIPRO! 〜定期試練の巻〜

第19話「手作りっていいよね」


畳の上に置かれた盆に器が三つ並んでいる。
髪の長い女性は鍋つかみをはめた手でそのうちの一つを取り上げた。

「ルルグラタン、お待ちどう」

両手で差し出された熱々の器に大盛りのグラタンが溢れている。
青髪の男はそれを受け取りながらも、目の前の光景につい言葉を漏らしてしまう。

「でかい」
「ああ、でかい」

同じく隣りに座る黒髪の男が神妙に頷く。
男を見ると彼の視線はグラタンから微妙に外れている。
大きいからしょうがないね。

「冷めないうちに食べてて」

エプロンを外しながら台所に消える女性、ルルアンタを見送りつつ、
言われた通り二人は先に食事を始めた。
焼き色のついた香ばしいチーズにぷりぷりとエビと鶏肉が胃袋を刺激する。

「うまいだろ」
「うまい。きょれさんいつもこんなのを食べてるんですか?」
「たまにかな」
「死んでしまえ」

木のスプーンでグラタンを運びながら他愛のないやり取りを交わす。
やがてルルが戻ってきて、三人はそれぞれ自分の食事に集中する。
少し早めの静かな夕食。
相手は部外者と無口な同僚だが、きょれと呼ばれた青髪のアサシンクロスは
他人と過ごす平和な時間がそれなりに気に入っていたりする。

部外者と同僚。
そう、きょれは少し涙目になっている(理由は不明だ)この男のことを知らない。
それどころか、つい先ほどまでこの建物にいたことも知らなかった。
何でもきょれが訪れる前日にルルがフェイヨンの森で拾って来たのだとか。
自分達と同じアサシンクロスの服を見て、同職のつもりで手を貸したんだろう。

「ルル先生、御馳走になるついでに後でEDPのやり方教えてちくり〜」
「……」
「あーはいはい、俺が教えるから」
「きょれどのぉおおおお」

一方の男はきょれとルルのことを最初から知っていたという。
確かに彼の態度の端々からは昔馴染みに接するような親しみを感じる。
ルルに言わせると「同僚じゃないけど仲間っぽい」らしい。
言葉の意味はよく分からないが今は妙に納得している。

食事の片づけを終え、先に仕事のあるルルを送りだしてから、
きょれは男に先ほど作った毒薬の瓶を一つ渡した。

「ここに毒瓶がある」
「あります」
「開ける」
「開けます」
「毒を武器の刃に塗ればおk、塗り直しをサボらないのがコツな」
「まあ簡単!」

咄嗟の時に一瞬でこなせなければ意味がないのだが、まあそれは適当に覚えるだろう。
手持ちがないと言うのでさらにいくつか瓶を渡すと、それだけで土下座せんばかりの礼が返ってきた。
なんという腰の低さだ。

「それより野良アサシンか何か知らないけど、立ち場が不安定なら無茶なことはやめときなよ」
「そうするわー出来ればきついのとかマジ勘弁だわー。あ、そうだ」

仕事の支度を整えるきょれの背中に、男は一言二言残すと改めて礼を告げて出て行った。
それから少しの時間を置いてきょれも建物を後にする。
フェイヨンでの作業も終わったことだし、ここに戻ることはないだろう。

(今夜中にアルベルタ、それからゲフェンだな)

日が隠れたばかりの空はまだ薄明るく、だが森の木々はすでに藍色の闇に沈んでいる。
繁みに踏み入れたきょれの姿は瞬く間に影の中へと消えた。


続く

374七誌河内守:2015/05/27(水) 12:04:46 ID:TBFHOdVY0
きょれ・・・


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