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隔離部屋〜眠れぬ夜の姉ちゃんの為に〜

531第5話<14>:2004/09/23(木) 20:37
冬の早朝は、まだ闇の底に沈んでいた。
きんと冷え切った部屋の中で、オガミはむっくりと起き、立ち上がる。
暗い森の中に長くいたせいで、オガミの目は暗がりにも素早く慣れる。
炬燵を降りようとして、オガミは床の上のカズナリを見た。

背中を丸め、眉間に皺を寄せて、小さく息をついている。
眠っているはずなのに、なぜか苦しげにも見える。

ふと、予感がオガミの胸をよぎった。
あまり心地のよい感触ではなさげだった。

さらに注意深く、カズナリの表情を窺おうとしたが、
オガミは何かを思い出したように、さっと顔を背けると、
カズナリとは反対側の床に、音も立てず着地した。

台所に立ち、いつものように、小さなボウルに水を張る。
どんなに寒い朝でも、オガミは勤行を欠かさない。


手桶に水を汲む。
苦しげに息をつく、カズナリの横顔が、なぜか目に浮かぶ。


オガミは、頭から切るように冷たい水を被ると、
迷いを断ち切るように、低い声で真言を唱え始めた。


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