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隔離部屋〜眠れぬ夜の姉ちゃんの為に〜

515第5話<6>:2004/09/17(金) 21:43
『はい』
流れてきたのは、確かに聞き覚えのある、懐かしい声だった。
桁の大きい携帯の番号が、カズナリは未だに苦手で、
無事ひなたに繋がったことに胸を撫で下ろす。

「ひなた?……ごめんな、邪魔して」
『ううん、今一息ついてたから……どしたの?』
「ん、別に用はないけど……どうしてるかなー、って」
『そっか。それ、なんか嬉しいな……
うん、あたしはぼちぼちがんばっとったよ。カズは?』
「俺も、今まで図書館で」
『あ、そうなの。なんだー、あたしも行けば良かったかなぁ』
「でも、2人だと集中できないだろ」
『だねえ。カズもいよいよ、本気モードだねえ。いいことだ』
「まあな」
『今どこから?公衆電話?』
「うん、西公園の電話ボックス。さみいよ」
『ふーん。…そう言えば、けやき通りのライトアップって今日からだよね』
「あ、そういえば」
『今……5時か。そろそろ始まるね』
「うん」
『あたし、今から行くよ。気分転換したいし』
「え?」
『カズは自転車?あたし地下鉄で行くから。
四番町の駅の出口で待っててくれる?』
「だって……いいのか?」
『そんな、2,3時間さぼったからって揺らぐ実力じゃないでしょ?お互いに』
「はは、そっか……じゃ、待ってる」

受話器を置き、力を込めて電話ボックスのドアを閉めると、
カズナリは走り出した。
ひなたが身支度して家を出るまでには、それなりに時間もかかるはずで、
そんなに急ぐ必要は少しもなかったのだが、
思わず走り出さずにはいられない気分だった。


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