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お薦めミステリー紹介スレ

114:2009/11/01(日) 22:46:16
横溝正史『八つ墓村』を読み始めたところです。いや〜やっぱり冒頭からグイグイ引き込まれるなあ(^^)

その前に、マーガレット・ミラー『狙った獣』(創元推理文庫)を再読していたので感想を。

ミラーの代表作との呼び声も高いこの作品、じつは初読時にはそれほど感心しなかったのですが、
今回読み直してみて解説の宮脇孝雄氏による
「レッテルを超えていまだに新鮮」「内容の高さにおいて他の追随を許さないものがある」
という言葉に頷かざるを得ませんでした。

メインのトリッキーな仕掛けは今では手垢のついたものになっていますが、
とにかくこのネタを今から半世紀以上前(原書は1955年刊)にやっていたというのが凄い。
映画化された某有名作品よりおそらく数年早いはず。

また何より強烈な印象を残すのは、若くして深い孤独感と人生への倦怠を抱え、他者に心を閉ざし引き込もって
暮らすヒロイン像の斬新さ。これは全く古びていないばかりか、むしろ非常に現代的な説得力があります。
全編に横溢する「気品ある狂気」とでも言うべきミラーならではの緊迫感はやはりさすがという他ない。
そして、あまりにも痛切にして詩的なまでに美しく、また映像的でもあるラスト。
基本的にミラー作品はやりきれない結末ばかりなのですが、胸を抉る度合いではかなり上位に来ると思います。

全体の構成の見事なバランス、伏線やミスリードの巧みさ、そして“フィニッシング・ストローク”の決まりっぷりなど、
ほぼ全てが完璧だった『まるで天使のような』に比べると、
終盤の引っかき回し具合がややアッサリしていて食い足りない感もありますが、
この物語は280ページほどのボリュームでちょうどいいのかも。いや、これは再読して本当に良かった。

……え〜〜例によって品切れですが(泣)


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