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ダンゲロス流血少女MM:生徒会応援スレ
1
:
流血少女GK
:2015/08/01(土) 23:45:07
生徒会用
40
:
タイガービーナス(1st 千本桜 明菜)
:2015/08/10(月) 18:58:05
※このSSの採点は一十の経験点と生徒会の点数に反映してください。千本桜明菜イラストへのお礼SSです。
一十はエピソードがないので口調や性格に関しては割と想像で書いてます。イメージと違ったらごめんなさい。
妃芽薗学園、剣道場の中央。正座し、瞑想しながら一人の少女が精神を集中している。
桜色の着物に身を包んだその少女の姿勢には一点の乱れも無く、実に凛としている。
そんな彼女の背後から飄々と忍び寄る、もう一つの桜色の気配があった。
「やあっ!」
「ふっ!」
突如、剣戟の音が道場に響き渡る。
桜色の髪の少女が振り下ろした大剣は、桜色の着物の少女が鞘から抜き放った長刀に止められた。
――もし、この場を観察している人間がいたなら、一瞬、花びらが舞うような幻想を見たかもしれない。
「とんだ、ご挨拶ですね。十さん」
「ふふっ、相変わらず隙が無いですね、明菜さんは」
着物の少女の名は千本桜 明菜(せんぼんざくら あきな)。妃芽薗学園、剣道部の部長。
大剣を持った少女の名は一 十(にのまえ くろす)。妃芽薗学園、西洋剣術部所属。
共に学年は高等部3年、東洋と西洋……異なるルーツを持つ剣術使いであり、共に桜シンボルカラーに持つこの二人は入学以来、何かと縁があった。
時には共に学園の悪に向かう仲間として、時には互いに切磋琢磨するライバルとして。
「……で、今日は何の用でしょうか?」
「それが……明菜さんに関する気になる噂を耳にして…」
「噂?」
「はい」
十はスカートのポケットから一枚の紙切れを取り出し、ぴろっと広げて見せた。
明菜は十が取り出した紙に視線を向ける。
そこには、信じ難い内容が記されていた。
*****************************************
『衝撃の事実!! 剣道部部長、千本桜明菜の正体はゴリラ!!!!』
『長年、妃芽薗学園を苦しめて来た剣道部のゴリラ達、その総元締は他ならぬ千本桜明菜だった!!』
『人の皮を被った獣、千本桜明菜の信じられぬ正体!! 血を好み、肉を食らう野生の本性!!』
『見よ、これがその真実の姿だ!!』
*****************************************
「な、な、な、な……」
普段は冷静であり、めったな事では動揺しない千本桜明菜であったが、この時ばかりは流石に目を丸くした。
そこには明菜に対する目も当てられぬ醜聞、彼女の正体がゴリラであり、学園の平和を掻き乱す諸悪の根源であるという全く心当たらぬ出まかせが並び立てられていたのである。
――ご丁寧に彼女がゴリラ化したイラストまでもが紙面には添えられていた。かなりの達筆であり、事情をまったく知らぬ人間には彼女が本当にゴリラであると信じさせる力がある。
41
:
タイガービーナス(1st 千本桜 明菜)
:2015/08/10(月) 18:58:25
「あははっ、流石に驚いてますね、明菜さん!」
「あ、あ……当たり前でしょう! 一体なんですか、これは!!?」
滅多に目にすることのない明菜の取り乱した姿。
それを見て満足そうに笑みを浮かべる十。
「いや、私も酷いなー、と思って。けど、本当に今学園に出回っているものなんですよ、これ。何か心辺りはあります?」
「……まったくありません」
明菜は憮然とした姿で否定する。
もっとも一 十も本心からこんな噂を信じている訳ではない。
そもそも妃芽薗学園において真っ当に剣を振るう者にとって、ゴリラとは忌むべき存在である。
剣の道を心の底から勘違いした連中によって、妃芽薗学園にはゴリ剣などという剣道を徹底的に乏しめる存在が設立されていた時期もあった。
その魔手は西洋剣術部にも伸びており、明菜と十はそんな進撃のゴリラ達に共に立ち向かった仲でもある。
なので、十がやってきたのは噂の真偽を確かめる、というのは単なる口実であることは目に見えていた。
「ふーん、でも明菜さんをゴリラに例えたい人がいる気持ちは分からなくもないかも?」
「……どういう意味ですか?」
「それは、その、明菜さんはたくまししいですから?」
「…………」
十の楽しそうな様子に、これは明らかに自分をからかいにきたな……と察する明菜。
十から発せられる百合粒子が濃度を増す。
これに心を乱されてはいけない……明菜は心を強く持ち、反撃の刃を切り出す策を練る。
「なるほど……。しかし、ゴリラに例えられるようなこの学園の剣術使いは果たして私だけでしょうかね?」
「……? どういう意味ですか?」
「明日は我が身……という言葉もありますよ? 十さん」
そう言うやいなや、明菜は十が広げている自らの醜い姿が掲載された紙をひょいと取り上げ、それをくるくると丸めると、十の豊満な胸の谷間へとぐいっと押し込んだ!
「なっ……」と顔を赤らめ、思わず飛びのく十。
「せいぜい、自分の身の周りにもよーく注意しておくのですね? 十さん」
「せ、せ、せ、セクハラですよ! これはっ!」
「……おや、謂れのないことをした、言った覚えはありませんよ。……お互いに、ね?」
立場を逆転させ、今度は明菜が余裕の笑みを浮かべる。
一方の十は、一呼吸おいて落ち着きを取り戻すと、胸元に突っ込まれた紙を放り投げ、大剣を両手で握り直し、構える。
「……なるほど、どうやらドイツ流剣術と日本剣術。どちらが最強か」
両手剣を突き出す十。
「ふむ、ここで決着を付けますか……望むところ」
刀を鞘に納め、居合の構えを取る明菜。
「いざ」
「尋常に……」
『勝負っ!!』
大量の桜の花びらと巨大な百合粒子が舞い、二人の美しき剣士が互いに火花を散らす!
……が、その時!
42
:
タイガービーナス(1st 千本桜 明菜)
:2015/08/10(月) 18:59:15
ド――――ン! ド――――ン! ド――――ン!
突如、巨大な衝撃が妃芽薗学園に響き渡った。
それは剣道場の近くで発生しており、道場全体を激しく揺らした。
「なっ……!」
「きゃあっ……!」
突然の事に、今まさに斬り結ばんとしていた明菜と十、二人の剣士がバランスを崩す。
巨大地震か? そんな思考を巡らせる暇もなく、必死に体勢を整えようとする二人。
――――彼女たちは知る由もないが。
この衝撃は地震によるものなどではなかった。
それは妃芽薗学園高等部1年、メテオライ投子によって学園に降り注がれた巨大隕石によるものである。
魔人、メテオライ投子はまだ1年でありながら来るべき就職活動への恐れが非常に強く、就職したくねえという想いが天に通ずると隕石を降らせる事のできる能力を持っていた。
更に近年、妃芽薗学園では高等部3年、人事部に所属する魔人、陸道 舞靡(りくるうと まいなび)による圧迫面接の頻度が増しており、
特にアピールポイントを持たないメテオライ投子は日に日に強まる就活への圧力に天へお祈りする回数も加速度的に増えていた。
それによって、学園には日夜隕石が降り注ぐこととなり、この日は剣道場の近くがその対象となったのである。
就職活動に特に問題を抱えず、平和な学園生活を送る学生にとっては実にはた迷惑な話であったが――、ともあれこの災難(トラブル)によって、この剣道場内部でもとてつもない事態が起こった!
「ん……」
「ふぐっ……」
それはどのような流れであったか――。
二人の少女は突然の振動にまず己の身を剣によって傷つけぬよう、明菜は刀を抑えて仰向けに、逆に十は大剣後ろに放って前向きに倒れた。
互いに向かい合っていた二人がこのような倒れ方をすれば重なり合うのは自明の理。
――さらに、二人の美少女がぶつかりあって倒れ込む時、その二つの顔が重なり合うのは万有引力に等しい大自然の法則と言えよう。
あるいは――それは百合粒子の導きであったのかもしれない。
千本桜明菜と一十、二人の唇は今、触れ合っていた。
「ん……んっ……」
「ぐ……んむっ……!?」
突然触れ合った唇から、一十はその舌を明菜の唇の表面に這わせる。
あまりにも自然で――滑らかな動き。突如与えられた快感に明菜は戸惑い、驚きを隠せない。
(こ……こらっ……やめ……)
抗議の声を上げようとするとも、その口は完璧に塞がれ、動かすことすらままならない。
剣の勝負では百戦錬磨の明菜であったが、キスにおいては素人同然――。
生まれながらにして天賦の才を持つ一十の魔性のテクニックにはされるがままであった。
「ちゅっ……ちゅっ……ん……」
「ふ……あむっ……」
一十の舌が巧みに明菜の唇をなぞる。
頑なにその口を閉ざす明菜であったが、強い肺活量を持つ彼女でも、その滑らかな感触には耐えられない。
やがて、その鉄壁の門はこじ開けられていく。
「ああっ……」
明菜が息継ぎをするやいなや、ぴちゃぴちゃと淫靡な音が剣道場に響き渡る。
互いの舌が遂に絡み合い、苦悶の表情を浮かべる明菜。恍惚の表情を浮かべ、懸命にその口内を弄ぶ十。
この空間には少女達以外には誰もいない。ただ百合粒子の濃厚な白い香りが漂うのみである。
いつまでその啄みは続くのか。やがて、十の手が明菜の胸元にも伸び……。
43
:
タイガービーナス(1st 千本桜 明菜)
:2015/08/10(月) 19:00:22
「やめなさいっ!」
ドン!という音を立て、明菜が突如十を両手で突き飛ばした。
常人ならばそのまま身を任せていたであろうが、常に美しく高潔であらんとする明菜の精神は実に頑強であった。すんでのところで一十の腕を拒絶する。
「あ、ご、ごめんなさい!」
ふっと、十も我に返る。
これまで徹底的に明菜を攻め抜いていた彼女であったが、これまでの行為は彼女の本心によるものではなかった。
一十、彼女は決してノーマルであり、女性を襲うような心の持ち主ではない。
ならば何故キスが上手いのか? 明菜を快楽の虜にしようとしたのか? それは彼女の持って生まれた性(さが)としか言いようがない……。
「まったく……、やはり野生の獣はあなたではないですか、十さん」
はだけられた着物の胸元をきゅっと締め、明菜は顔を赤らめながら抗議の声を上げる。
「い…いやっ、違いますっ……! 私は決してそんなんじゃ……!」
必死に否定する十であったが、明菜はやれやれ……と呟きながら身なりを整え、すっと立ち上がる。
「……すっかり水を差されてしまいましたね。決着はまたいずれ……もちろん、剣の方ですよ?」
「え、ええ……もちろん!」
十もまた、放った剣を拾い上げ、身だしなみを整える。
「ともかく、おかしな噂に関する知らせについては感謝します。風紀委員の方でもこれは調べてみましょう」
「ええ……。私も学園内の身内にこうした事に関する調査が得意な子がいるんです。彼女にお願いして調べてもらってみますね」
そう言って、一十は道場を後にする。
その後ろ姿を見送り、明菜はふと唇に手を当て、先ほどまでの感触を思い出す。
(まったく……最近は妙に心を乱されてばかりですね……)
つい先日の、謎の背後に忍び寄った男の事を思い出す。更に最近仲良くなった懸命に強くなろうとする、自分と同じ美しいものを愛する後輩。
いけない、自分は美しくあらねば、懸命に周りに浮かぶ自らを迷わす幻影を振りほどく明菜。
ふと、先ほど十が放り投げた紙切れに目を移す。
醜い獣と化した自分……あの姿は本当に謂れの無き姿か?
「馬鹿馬鹿しいことを……」
明菜はその紙切れを拾い上げ、天に向かって放り投げる。
そして一閃――。電光石火の如き居合抜きで、その紙が地に落ちる前に両断した。獣となった自らの姿ごと。
「やはり、徹底して斬らねばならないですね、この学園に巣食う化物を」
明菜は何かの決意を新たにする。
だが、その姿はどこか儚げであった。
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