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ダンゲロス流血少女:01事前応援スレ
97
:
雨月星座
:2015/08/07(金) 22:10:05
未来は刻一刻積み重なる過去によって作られるのか?
「百年……、重いなぁ。それをひっくり返すのは中々骨が折れる。いいえ……見えない」
「じゃあ、私の勝ちってことで洗いざらい吐いてもらうよ、塩十字団の刺客!」
「は?」
タイガ―ビーナスこと紅井影虎は転校生「雨月星座」に辛うじて勝利し、立ち上がりながらも荒い息を吐いていた。茜色の夕日はいまだ健在で星座の星を塗り潰すようだった。
魂の入っていない器を作り出し、魂を自在に移動させる『私たちが星座を盗んだ理由』。
手に掴める距離だと思ったから、幾光年を隔てた恒星はここにいる。魂を盗み取れる。
酷く身勝手な能力だったが、今の彼女に関係はなかった。
認識とは何を置いても"見る"ことからはじまる。
聞く/触る/匂う/味わう=感じる
人間本位に観測して現実を好き勝手に改変する彼女にとって、認識を阻害する分身の術は相性が悪過ぎた。ふふふ……、と精一杯の虚勢を張るかのように嗤う星座を見て、少し不気味に思った。
「僕は……星座は、連中とは関係ありませんが、約束はしていない気がしますが約束は約束。
今、この学園は魂の草刈り場になっているのですよ。死者は黄泉がえり、声を上げようとも奪われているから届かない、歩むたびに激痛が走るマーメイド……、僕らはそんな状況に置かれているんですよ?」
「どういうこと……! ここは平和な学園じゃないの?」
一笑に伏すことは出来ただろう。けれど、戦いの中で感じた真剣さは嘘と感じさせない。
「そう思うなら来た道をお帰りなさい。元いた場所に帰れるでしょう。大切な友人を見捨てて逃げ出すなら先に進むがいい。今なら蜘蛛の巣から逃げられるから――。
繰り返すが、星座は、紅井さん、あなたがそう言う輩と勘違いしたから怒っていた」
そこまで言うと、星座は崖に身を躍らせた。
「それでは紅井さん、メロウズでまた会いましょう」
止める間は無かった。慌てて駆け寄ったところで間に合いはしない。
落ちながら放たれた言葉が印象に残ったのが救いだったか。
「あ、それと。紅井さん、あなたが図書室に推薦図書で勧めていた探偵小説――凄くつまらなかったです。あそこでクレーンは無いでしょう。あんなもの、三毛猫ちゃんなら怒りますよ?」
妙に余裕があるのが――救いだった。
「……帰ろう」
傷はなく、勝利することが出来た。自分の理想とする姿に近づけた。
あの先輩の言葉に従うわけではなかったけれど、今はただ美鳥の無事を見たかった。
それだけは、何重とブレている私にとってたった一人の真実だったから――。
……この帰路にタイガービーナスはもう一人の変身ヒロイン「仔狐クリス」に襲われてあえなく敗北する。
それはまた別の話であるのだが。
★
終了
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