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ダンゲロス流血少女:01事前応援スレ

85雨月星座:2015/08/01(土) 20:00:03
途中までですが、SSを投下します
得た経験点はタイガービーナスさんに寄付します

1T目星座VSタイガービーナスSS 虎よ、虎よ! わが赴くは星の群



 まえがきに代えて雨月星座から読者の皆様へご挨拶があるようです。

 僕は名前を雨月星座といいます。転校生です。
 あの天空を支配する星に代わり「星座」を号するのはこの僕であると自負しています。
 現に、輝きを失ったあの夜空を見上げる者は少なくなったと思いませんか?
 故に、人と言う極小の身に一等星を詰め込んだこの星座こそが、何よりも『星座』足り得るのです。
 もう誰も信仰していない色情狂の糞親爺の神話など、覚えなくて済むのですよ?
 (ここで星座は憎々しげに空をねめつけます)

 矮小な人間は己の似姿を象って作った偶像を今も崇めている。あの星々の持つ可能性を理解しきれず、この青い星すら塵芥に過ぎないことを理解できない古の人を憎んだ、そう言うことです。
 気に病む必要はないですよ、それが魔人と言う生き物なのですから。
 既存の星座に代わり、僕と言う星座を見上げてください。きっと黴の生えた神話には拠らない、そんな素敵な物語が生まれるでしょうから。
 (ここで星座は優しげに髪を撫でつけます)
 
 さて、少々話を戻しましょうか。
 転校生の定義とは多岐に渡ります。一義に定めるのも無粋でしょう。
 単に強い魔人に与えられる称号? いいえ、強さの定義こそ多岐ではありませんか。
 識家に属するワールドメーカーとその眷属? いいえ、対抗勢力はいくらでもいます。
 
 それとも――転び、校(くらべ)、生きる?
 これは僕たちの意見ですが、世界を回り、比べることが出来ればその人は違った認識を持てる。
 通常とは異なり、大きく広がった可能性、それを持てる魔人だからこそ、強いのかもしれません。
 (ここで星座は物憂げに息をつきます)
 
 魔人の他にも世界を定義づけられる自由(事由)は大量にあり、一個に定めるのは難しく思えますね。
 ここはひとつ、辞書を引いてみようではありませんか。
 
 確かに探偵も、ラーメンも、手芸者も。ここでは少々毛色が変わっていてですね……。
 何よりも、魔人、そして転校生は異能の力として広く衆愚に頒布された概念です。
 言葉の定義は時代と世界によって異なってきて、本来の意味を失ってしまうのでしょう。
 けれど、これらの異能の下敷きになっている以上は職能と、そこに込められた最初の意味は不変であると信じています。……だからこそ始末に負えませんが。
 
 ――「塩」をご存じありませんか? 



 珍妙な風体をした女が海坂を歩む。
 海坂とは海神と人との国を分かち、繋ぐ境界上の場所。
 期せずにして、彼女はそこに立っていた。外界から隔離されたことに気付きもせずにこの砂利道を辿っている。夕暮れ時、一人離れて熱気を帯びた風を避けるようにして歩き続け、ここにいた。
 ……想い人を置いてきたのはどう言った了見だろう?

 女の名を紅井影虎(あかい えいこ)、またの名をタイガービーナス。
 海からやって来た最新にして最悪の概念『塩』の眷属である。
 塩にどういった悪意を付け加えるか? などと言っても正気を疑われるだけだ。それを成し得てしまったのは人として有り得てはならない大罪である。塩十字団と言う意味不明な団体であった。
 そして、虎穴に手を突っ込んでしまった紅井はその力を一端を得てしまった。
 
 知らない、と言う事は時に罪になり得ると言う事を彼女は知らない。
 知らないと言う事すら知らなかった。

 切り立った崖道を進み、崩れかかった切妻破風の廃屋を横目にして進んでいくと。
 道の真中に、黒い闇が蹲っていた。声をかけようかと迷っていると闇は立ち上がる。
 それは空の色だった。体中に身に着けた光が舞った。残酷な西日さえ橙色に染まって恥じ入るように見えた。

 「やあ、きみも転校生なんて面倒な肩書を得て難儀しているクチかい?」
 夜空に似合うまるで死人のように真っ白な肌をした乙女であった。
 日の光を蓄えるわけでなく、自ずから光を放つその正体は星の光。天空から二十の星座を奪い取ったその人、星座と言う名の転校生。
 みるひと・みられるひと、人を二つに分かつとするなら紛れも無く後者に位置するそんな人でした。




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