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ダンゲロス流血少女:01事前応援スレ

59仔狐クリス:2015/07/31(金) 02:36:51
【仔狐クリスと十星迦南】 

自分より、格上の存在にノックダウンされた次の日。
私は体力回復に努め、勝てる算段を練った。

昨日の戦闘では、大きな傷を負うことはなかったが、体力の回復には時間が掛かりそうだった。
人の気配がない閉ざされた世界で、私は一人、校舎を背に座って休んでいた。
ぼんやりと、今夜また起きるであろう戦闘での戦法を考えつつ、空を見上げて土星先輩のことも考えていた。

――私が消えた後、先輩はどうなっただろうか。
――無事だろうか。
――また白いフードを被った少女に襲われたりしてないだろうか。

そんな思いが頭に浮かび、ただここで何もすることができないまま回復に勤しむしかない我が身を恨みながら、虚空を睨んでいた時のことだった。

「――星を見るのが好きなんですか?」

その声を聞いた瞬間、私は跳ねるように身体を起こした。

いつの間にか近くに立っていたのはカジュアルな服装をした銀髪の少女。

戦闘が始まるのは夜からだと無意識の内にそう決めつけていたが違ったのだろうか。まだ体力は回復仕切っていない。このまま戦闘するのは些か危険だ。なんとかして逃げる算段を立てなくては――

そんな焦る思考を打ち切る様に、その少女は口を開いた。

「あはは。まだ夜じゃないから戦いませんよ。わたしとしても今戦うのは本意じゃないし、リラックスして欲しいです」
「そんな言葉で隙を突こうとしたって無駄です」

私は警戒心を解かずに強めの口調で応えた。
少女は困ったように頭を掻いてから、言った。

「んー困ったなぁ。暇つぶしの相手になってもらおうと思ったんですけど、随分疑り深い人みたいですね。まぁいいや、そこで立ったまま話相手になってくれるだけでも構わないです。応じてくれればお礼に昨日貴方が戦ったあの強敵の情報を提供してあげちゃってもいいですよ」

それから彼女は私のさっきまでの行動を真似るかのように、校舎を背にして座った。
私は目を見張った。
明らかに臨戦態勢をとっている私を前にくつろぐように座るとは何事かと。
どれだけの余裕があればそんなことができるのだろう。
昨日私が破れた敵について知っているということは、その仲間かとも疑ったが、どうにも私と同格の匂いしかしない。
ならば、この座るという動作は彼女なりの譲歩というやつだろうか。それに昨日の敵の情報を得られるというならば、ぜひ知りたいところだ。

「……分かりました。話相手でいいなら応じましょう」

私は構えを解き、立ったまま校舎に背を預けた。
立った状態ならば、何か相手が仕掛けてもある程度対処できるだろうと思ったからだ。それにずっと警戒したままでは心身ともに疲労し、回復がおぼつかなくなる。
ある種の賭けだったが、一応相手を信用してみることにしたのだ。

銀髪の少女はそれを見てにっこりと笑い、こちらに話を振ってきた。

「多少は信じてもらえたようで嬉しいです! まずは自己紹介しません? 私、迦南っていいます! 十星迦南!」
「……仔狐クリスといいます」
「こぎつねクリス……成る程、クリスさんって呼びますね! で、クリスさんにもう一度聞きたいんですけど、星を見るのが好きなんです?」
「いえ、私は別に……知り合いに一人、星を見るのが好きな人はいますけど」
「あれれ、空を見上げてたから好きかな―と思ったのに。でも、その知り合いの人とは仲良くなれそうですね!」

この銀髪の少女と土星先輩が果たして仲良くなるだろうか。……仲良くなれそうな気はする。土星先輩は、誰隔てなく仲良く慣れるタイプの人間(惑星?)だ。更に趣味が合うとなれば、私とアンジーちゃんの話題で花咲かせたようにきっと仲良く話すのだろう。
迦南と土星先輩が楽しそうに会話している様子を想像して、少し胸が痛くなった。


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