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ダンゲロス流血少女:01事前応援スレ

55雨月星座:2015/07/30(木) 22:00:16
 
 常に濡れてる私だけど、誠意ってものは案外通じる物だね。
 日和見を決め込んでいる部員が多いのは困りものだけど、絶対に敵に回らないと確認が取れたのは大きい。状況を整理してみましょう――。

 部長派、いや正確には私主導なのだけど明確に味方と言い切れるのは私と葡萄月(アマリー)だけ。
 雨月は部長のためなら動いてくれるでしょうけど、何しでかすかわからないし……、嵐とみた方がいいか。

 花月は今話した通り、必要以上に言語に便宜を図ることはないでしょう。
 熱月さえいてくれれば、いてくれるだけで何もしなくても睨みは効くんだけど……。
 風月は席としてまだ使えない。

 霜月もどう動くかわからないけど、少し脅し過ぎたか……。アレが離れることは考えづらい。
 雪月はあれで優しいお兄ちゃんに絆されてるから正攻法、それも短期間で攻略するのは骨が折れる。 
 霧月を引き込むのは問題外、その労力だけで計画が遂行できる。こんなことなら槭を殺さずにいればよかった……。

 他三人は私達に刃向うだけの我は無いけど、暦の方からアプローチを掛けられたらどうなびくかわからない。下手に裏を教えていないのが仇になったか――!
 この辺りなら別にいくらでも替えはいるけど、下手に動いて均衡が崩れるとあっち側に持っていかれる。ギリギリで過半数を回避できていたんだから、取り込むのも下策。 

 芽月、葡萄月、雨月:部長派
 花月:局外中立
 熱月:無関心
 風月:欠番
 霜月、雪月、霧月:副部長派
 牧草月、果実月、収穫月:日和見

 上の構図はカランドリエと暦、両方に通じる花月もよく知っているはず。
 別に副部長の率いる暦の傘下に入るのが嫌と言うわけではない。
 けれど、下手に使い潰されるのは御免と言う物だ。

 ……余程思いつめた顔をしていたのだろうか?
 ワイングラスから姿を消した代わりに、赤ら顔をした甲冑が動き出していた。
 私の肩をぽんぽんと叩く。

 「いや、もうさ。おめェの"令嬢"計画手放した方がいいんじゃね?
 てンでバラバラに動いているのが俺ら革命暦って連中なんだけどよ、まとめ役のお前さんまで好き勝手してどうするよ? 
 心配しなくても"探偵"連中とどっぷりな以上、あの腹黒だって必要以上にはどうにか出来ねェよ」
 「しかし……」

 いや、分かりきっていたことだ。カランドリエを暦に巻き込んだのも、同時に探偵を巻き込んでカウンターパートにしたのも朋友であるアマリーの功績だ。
 私のささやかな計画もつまらない嫉妬心から来る意趣返しに過ぎないと認めよう。 
 「あいわかった! 近日中に試作品をそっちによこすから手出しは無用と伝えて」
 「はいよッ。ただ霜月と雪月がどう動くかは気を付けろよ、アイツもそっちにまで手を回すつもりは毛頭ねェだろーからなァ」
 
 承知。
 だけど、それは同時に雨月がどう動くか手綱を取るわけではないということ。
 それを知ってか、ニヤリと獰猛な笑みを見せるのが太歳だ。この女とも伊達に長く付き合っているわけではない。互いの心中など手に取るようにわかる。
 
 「あ、そうそう。雨月だけど紅井と転校生同士の交戦に入ったらしいよ」
 「寅忍ねェ、結構前に滅んだって聞いてるけど?」
 「引き籠ってる割りには耳が早いのかもしれないね。ははっ」
 「へっ、百年の前もカビの生えた探偵に後れを取るようなマネはしねェよ」
 「華美の映えた探偵ね、まぁその通りだと思うよ。"令嬢"のモデルにいいんじゃないかな?」
 「知ってて垂れ流してンのざァ知らねェが、俺は賛成しないぜ?」
 
 なんだかんだで楽しいことが大好きな二人。
 結果を知ったところで、笑い方、その程度の変化で済まされるのかもしれない。




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