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ダンゲロス二次創作スレ
1
:
鳩子
:2009/12/16(水) 21:11:07
本戦の応援SS・イラストとはまた別に、好きなときに好きなものを好きなように投稿するスレです。
内に秘めた中二力を思う存分開放しちゃって下さい。
【ダンゲ専用あぷろだ】
tp://0006.x0.to/oo/upload.cgi
パスは「dng」
161
:
ε
:2011/10/29(土) 00:38:25
¶¶¶
ダンゲロス子:「先輩帰りはどうするんスか?電車ッスか?」
徒守:「いや、歩きだな。お前は?」
ダンゲロス子:「アタシは電車だけど、まだちょっと時間あるからどっかで時間潰そうかな…」
徒守:「これから本屋によって斧の入門書を買おうと思うのだが、一緒に来るか?」
ダンゲロス子:「いいッスね!」
こうして我々の斧部部活動見学は終わった。
軽はずみな気持ちで斧部の部室を訪れた我々であったが、
入部するからには部活動として真斧(真剣の意)に取り組まなければ他の部員達に失礼であろう。
入部するかどうかは、まだわからないが今回の斧部見学は非常にためになる時間であった。
やはり斧というものには他にはない魅力がある。また見学にいってみようか。
¶¶¶¶¶¶¶¶¶¶¶¶¶¶¶¶¶¶¶¶¶¶¶¶¶¶¶¶¶¶¶¶¶¶¶¶
ダ ン ゲ ロ ス 斧 部 ! 部 員 募 集 中 !!
¶¶¶¶¶¶¶¶¶¶¶¶¶¶¶¶¶¶¶¶¶¶¶¶¶¶¶¶¶¶¶¶¶¶¶¶
162
:
白金
:2011/10/29(土) 01:22:09
わーい斧部SSだー。εさん ありがとう。ありがとう。
さり気に徒守出してくれてありがとう。
剣術が斧から発達したのか…ダンゲロス世界の斧すげーーwwww
163
:
ヌガー
:2011/10/29(土) 03:10:52
斧の鍔迫り合いってどういう状況なんだよww
164
:
米ット
:2011/10/29(土) 14:08:08
剣術自体が斧術から派生www
165
:
サンライズ
:2011/10/29(土) 15:00:20
¶¶¶『斧部の部室に遊びに行こう番外編〜斧で学ぶ鍔の歴史〜 』¶¶¶
ダンゲロス子「その斧についてるの、鍔っすか?」
部員「うん、鍔だよ」
徒守「剣でも無いのにどうして鍔が?」
鍔とは一般に、柄を握る手を誤って刃で斬らぬようにするための物と理解されている。
しかし斧はその刃の形状から握る手を斬る心配など無いのでは?
2人が抱いた疑問はそのようなモノであった。
部員「ハハハ、剣の鍔は確かに手を斬らないためのモノだけど、鍔自体は元々
斧から生まれた物なんだよ。斧における鍔は別な役割があるんだ。」
そういうと部員は大きな巾着袋を持ってきた。
部員「斧を携帯する斧使いは、刃の部分がむき出しにならないよう、こういう袋を被せておくんだ。
剣みたいに鞘に納めるなんて出来ないからね。」
そう言うと、自分の斧の刃にその袋を被せ、紐を引くと、鍔に空けられた2つの斧にそれぞれの紐を通し、
きゅっと結んだ。
ダンゲロス子「なろほど〜これで斧を安全に携帯できるんすね。秀逸っす。」
部員「まあ斧は無骨な武器だから、申し訳程度の装飾という意味もあるね。」
剣術の始まりは斧術、剣鍔の始まりは斧鍔(ふがく)、斧という武器の歴史の深さを改めて知った2人であった。
166
:
minion
:2011/11/02(水) 20:53:20
『佐賀探索 〜佐賀を探そう〜 本編・前編』
結成された調査隊を前に、一一(にのまえ・はじめ)は精一杯の威厳を持とうと口を開く。
「さて、と…………じゃあまずは確認なんだけど」
「おーっ、なんだかリーダーっぽいね!」
「調査隊だし、隊長、の方が良くないかな?」
「坊やで隊長…………微笑ましいわね、七五三みたいで」
がやがや、と好き放題、口にする三人。なんだかんだで女三人寄れば姦しい。
どう見ても隊長としての威厳の欠片もないが、それも致し方ない。鈴木三流(すずき・みりゅう)、北部理里(ほくぶ・りざと)の二人は自分よりも上級生で、鏡宮那雲(かがみや・なくも)は学年こそ同級であるものの、背の高さを比べれば差は明白。
「まぁ、いいんだけど…………慣れてるし……」
弱い立場なのはいつも通りなので、それほど凹みはしなかった。
気を取り直して言葉を続ける。
「この中で、『佐賀』について何か知ってる人って、いるかな?」
まずは初期情報の摺り合わせから始めよう。何をするにしろ、現状把握は大切である。
意外にもしっかりとした一の方針に、茶化し気味だった少女たちも少しだけ真面目な表情になる。
「『佐賀』って一体何なんだろうな〜? 人の名前? どこかの名物とか?」
「『佐賀』…………『新潟』遠征の肩慣らしにはなりそうねえ」
「『佐賀』…………不思議な名前ね」
辛うじて『佐賀』を地名として認識していたのは、理里のみ。一自身も家族から話を聞いていなければ似たり寄ったりだっただろう。
つまり、世間一般の認識では『佐賀』はこの程度のものだった。
「とりあえず現状、分かっているのは何処かの地名、って事くらいか」
『新潟』を死の匂い漂う災禍の魔境だとすれば、『佐賀』は神秘のヴェールに隠された幻妖の秘境。
危険度で言えば『新潟』に軍配が上がるものの、その正体不明度で言えば『佐賀』は他のあらゆる秘境を抑え、群を抜いていた。
「うーん、これだけじゃちょっと分からないね!」
「地図を見ても載っていない訳だし…………どうしようかしらね」
日本政府が公式に認めている地図に、『佐賀』の所在は無い。そこにどのような政治的判断が含まれているのか、魔人とはいえ高校生の彼らには窺い知れない事だった。
「じゃあ、問題の解決法が分からない時の最善の行動を取るとしようか」
いきなり壁に突き当たった一行を前に、年長者らしく落ち着いた台詞を口にしたのは鈴木だった。
「手近な機械を分解するとか!」
「手近な可愛いコを構うとか?」
「どっちも何の解決にもなってないんじゃ……」
那雲と理里の自分の欲望に正直な解決法(?)に突っ込みを入れる一。そんな彼女たちを尻目に、鈴木は行動を開始する。
おもむろにスマートフォンを取り出すと、連絡先を呼び出す。
彼女が会長を務める組織──────『SLGの会』。
SLGとは、Short-Lived Glowの略称であり、魔人能力の中でも比較的弱い、役に立たないとされる能力を持つ者たちを指す。
会長の鈴木は妃芽薗学園生であるが、SLGの会は希望崎学園にも支部が存在し、今回の彼女の来訪はその視察も兼ねていた。
そして、その会員仲間は妃芽薗学園や希望崎学園だけに留まらず、全国に散らばっている。
「自分で解けない問題の解決法はね。分かる人間に聞く、ってこと」
『佐賀』の情報を求めるメールの文面を手早く打ち込むと、会員仲間へ向けて一斉送信。
たちまちのうちに、ひっきりなしに返信が来る。その殆どは有益な情報ではなかったが、その中に一つだけ。
《私は知らないけど、確か伊藤さんが、千葉とか滋賀とか佐賀とか、そんなような地名の近くに住んでるとかいう話を聞いたような…………》
「伊藤さん、ね…………!」
だが、その肝心の伊藤からの返信は来ていない。
鈴木は今度は直接、電話を掛ける。
1コール。2コール。3コール。
なかなか出ない。那雲や理里も事の推移を黙って見守るしかない。
コール数が二桁を越え、一が思わず声を掛けようとしたそのときだった。
《…………はい…………もしもし……》
「伊藤さん? 鈴木です。…………どうしたの?」
伊藤の声に混じる怯えの響きを、鈴木は聞き逃さなかった。
《本当に………………鈴木さん、なの……?》
「ええ、そうよ。大丈夫。あなたには私達がついてるから。何も怖がる必要なんてないからね」
やはり、様子がおかしい。情報を聞き出す前に、まずは落ち着かせないと。
鈴木は彼女を安心させようと、柔らかい声で宥めるように声を掛け続ける。
167
:
minion
:2011/11/02(水) 20:56:31
だがその気遣いも虚しく、伊藤はうわ言のように掠れた声で呟く。
《私、私……。見たんです……。『佐賀』……らしきもの。あれは…………》
「伊藤さん! 落ち着いて!」
《…………ああ! 窓に! 窓に!》
「っ! どうしたの!? 返事をして! お願い! 伊藤さん! 伊藤さん!?」
ぶつり。鈴木の必死の呼びかけに、しかし無情にも回線は途切れ、ツーツーという無機質な電子音が返ってくるだけだった。
「………………っ!!」
無力感と自らへの怒りにスマートフォンを握りしめた鈴木の肩を優しく叩いたのは、理里だった。
「行きましょう。立ち竦む前に出来る事がある筈だわ」
「そうだよ! すぐにその子のところに行こう!」
那雲も、そして一もそれに続く。
「伊藤さん、って子はどの辺りに住んでるんですか?」
「確か…………九州だったと思う。長崎……だったかな」
三人の言葉に鈴木は少しずつ、冷静さを取り戻す。
「こうなったら、なんとしてでも『佐賀』を見つけ出さなきゃ。おそらく彼女は、『佐賀』の秘密に触れてしまった……!」
「『佐賀』って九州に存在するのかな? それならテクノロジーの粋を極めた旅客機に乗って行くしかない!」
「大まかな場所が分かっただけで収穫ねえ。あとは現地で考えましょう」
伊藤という女生徒には悪いが、おかげで事態は大きく動く。理里の言葉を皮切りに、調査隊は行動を開始する。
「急がなきゃ! いつまでも『佐賀』が九州に留まっているかどうかわからない!」
「待っててね『佐賀』! この私がバラバラに解体してやるぞっ!」
「え……? 『佐賀』って移動したり、解体できたりするようなものなの……?」
ふと疑問に思った一の発言程度では、走り出した三人の勢いを止める事など出来はしない。
「ほら、ぼーっとしてないで行くよ、一ちゃん!」
ぐずぐずしていては置いて行かれる。慌ててついていくしかなかった。
東京から長崎までの交通手段としては新幹線と飛行機、その二つが考えられたが、那雲のたっての希望もあり飛行機での移動が選ばれた。
格安航空会社の普通席と言う事もあり、お世辞にも快適とは言えない座席とサービスだったが、旅費は希望崎学園生徒会の予算から出ているので文句は言えない。
「飛行機ってすごいよね、ソプターちゃん! 人類の文化の極みだね!」
「キュキュー」
それでも離陸すると、窓からの景色に大満足の那雲。小さな飛行機械と一緒になって子どものようにはしゃいでいる。
「機内に連れ込んでもいいのかな……」
心配する一の不安など、どこ吹く風である。
「まぁまぁ、いいじゃない。それより坊や、蜜柑剥いてあげたから食べなさい。はい、あーん♪」
「あ、あの、蜜柑はともかく、この姿勢ってどうにかなりませんか……?」
168
:
minion
:2011/11/02(水) 20:57:14
座席の取り方は、那雲&ソプターと鈴木。一と理里。それはいいのだが──────。
理里は席に座る一の膝の上に跨る形で、対面していた。
まるでセクシーキャバクラのサービスタイムのように──────もっと有り体に言えば、対面座位だった。
「だって、普通に座ってたら背中の翼が痛むんですもの。仕方ないじゃない? 離陸と着陸の時以外はリラックスしていたいの」
妖艶に微笑むと、魅惑の谷間を強調するように一の目前で双丘を揺らす理里。
「そ、それはそうです、けど……っ」
那雲は外の景色に夢中。鈴木も消息を絶った伊藤の事が心配なのか、腕組みをしたまま目を閉じて思案に耽っていた。
幸か不幸か、シーズンオフの平日。乗客も一たち調査隊以外には出張と思しき背広の男性やスーツ姿の女性、家族旅行か里帰りの親子連れなど、まばらで数える程しか居ない。客室乗務員が頻繁に回ってくるようなサービスの良さもない。
赤面して動揺する一の反応が面白いのか、その状況を嵩に理里は更に大胆な行動に出る。
「んっ♪」
剥いた蜜柑の一房を口に咥えると、目を閉じて顔を近付ける。
「えっ、ええーっ……?」
当然拒否しようとしたものの、応じるまで諦めそうにないその様子に、一は観念すると恐る恐る唇を開いた。
甘酸っぱい果実が、唇から唇へ。
親鳥が雛に餌を与えるように。
だがそこに含まれるのは親子の情愛ではない。もっと根源的な、生物としての欲求。
一つ、二つ、三つ──────数を重ねる度に、果実に塗れた唾液の量が増えてゆく。唇と唇のニアミス距離が縮まる。押し付けられた柔らかな胸の弾力が高まる。
五つを数える頃には、蜜柑は理里の口内を出発点として、外気に触れること無く一の口内に送り込まれるようになっていた。支えるように細腰に手が回される。
七つを数える頃には、蜜柑は理里の口内で咀嚼され、甘い蜜とのカクテルになって一の喉を潤していた。何も考えられなくなる。
そして、十を数え終わる頃には。蜜柑という素材の媒介は最早必要とされず、純粋な蜜を交換するようになっていた。
「ふふ…………ご馳走様でした」
「ぁぅ…………お、お粗末さまでした……」
食べさせられていた筈の一の方が、いつの間にか食べられていた。立場の逆転に、頬を染めて俯く。
「もう一つ、食べる……?」
二回戦を示唆するように取り出された二つ目の蜜柑。だが先ほどと同じで済む保証は、ない。
「え、えっと、その…………」
一が答を返そうとしたその時。
「てめぇら、動くんじゃねぇ!」
野蛮な怒声が機内に響き渡った。
数少ない乗客の視線が、声の主に集まる。
血走った目をした背広姿の男が立ち上がり、客室乗務員を背後から拘束していた。
その手に光るのは、どうやって持ち込んだのか一本のナイフ。人質の喉元に突き付けられていた。
単純に航空会社の不手際を責める事は出来ない。いくら持ち物検査を徹底しようとも、この世に魔人能力がある以上、不測の事態を防ぐ事は出来ないのだ。
武器を隠して持ち運ぶ。遠くから呼び寄せる。或いは、その場で作り出す。
そのような魔人能力がさして珍しくない世の中で、完全な防犯体制など存在し得るだろうか。
だが、それを逆手に取っておざなりな防犯対策で済ませ、コストカットとしている不届きな航空会社もあった。
ただ一つ言える事は、男が一般人であれ魔人であれ、逼迫した事態が発生したという事実だった。
「機長に告げろ! 今すぐ…………今すぐ、元の空港に引き返せ! 『佐賀』になんて近付いてたまるか!」
喚き散らす要求は、とても正常な精神状態とは思えない。まるで何かに取り憑かれているかのよう。
それはつまり、人質にされている客室乗務員の命の保障も無いと言う事。
乗客たちは恐怖に竦み、一言も発する事が出来ない。
突然の出来事に、一は周囲を見回す。
「どっ、どうしよう……?」
那雲は、広がる雲海から眼差しを戻した。
鈴木は、閉じていた双眸を静かに開いた。
理里は、笑みを浮かべていた唇を結んだ。
三人の魔人少女が持つそれぞれの能力。そのいずれが発揮されるのか──────。
結論から言ってしまえば、そのどれでも無かった。
事態は、意外な方向へと動く。
169
:
minion
:2011/11/02(水) 20:58:22
何の姿も見られなかった。
何の音も聞こえなかった。
何の兆しも表れなかった。
ただ、一が気付いた時には。
暴漢の背後に気配もなく出現した人影が、刃物を握るその手を鮮やかに捻り上げていた。
「ぐぁっ!?」
痛みに呻き、藻掻こうとした暴漢だったが。
くるり、と手首を捻られ、床に叩きつけられた。
その人物は男の首筋をハイヒールで踏みつけ気絶させるとそのまま、後ろ手に銀色の手錠を掛けて完全に無力化する。
「航空機の強取等の処罰に関する法律第一条、航空機強取等罪の現行犯で逮捕します」
冷たく事務的な、しかしこの上なく麗しい美声で罪状を読み上げたそのスーツ姿の女性は──────。
「かぐやさん!?」
「お久しぶりですね、へんた…………一さん」
艶やかな黒髪のスーツ美女は、間違いなく一の知る竹取かぐや(たけとり・かぐや)その人だった。
「どうしてこんなところに……っていうか、その格好は?」
前回のセーラー服とは打って変わって、びしっとしたダークスーツを着こなしたビジネスウーマン──────いや、隙のない軍人のような振る舞い。
「今日の私は、魔人公安。この頃流行りの女の子です。それ以上でもそれ以下でもありません」
変わるわよ? と真顔でポーズを決めるかぐや。
「いや、意味わかんないですけど…………っていうか、もう許してください……」
相変わらず行動が読めない。魔人公安というのは警察とは別系統の特別治安組織である。構成員は魔人能力を持つ者で占められており、文字通り少数精鋭の特殊部隊と言える。
とすれば、前回は任務として希望崎学園に潜入していたのか、それともあの後、魔人公安にスカウトされたのか──────?
「なになに、知り合いなのっ?」
最も好奇心旺盛な那雲がソプターを抱えてやって来る。
「えっと、前に任務で一緒になった人で……」
「竹取かぐやです」
第三者の登場に、先程までのとぼけた振る舞いはどこへやら、冷たく澄ました表情で名乗るかぐや。
「その魔人公安の竹取さんが、一体どうして?」
鈴木も立ち上がると、一の問いを継ぐように質す。
「極秘任務です。今のはただの偶然ですが」
組織の性質上、魔人公安は公に出来ない特殊な事件を扱う事も多いが、それだけに外部に明かせる情報は無い。そもそも、明かす義理も義務も無い。
たまたま移動中に発生した事件を職務的倫理観に基づいて解決した、と言われればそれ以上追及する言葉は無かった。
「まぁ、いいんじゃないかしら? 何事も無く片付いた訳だしね」
理里はのんびりとした口調で締める。かぐやの言動から、これ以上の追及の無益さを悟ったのだろう。
釈然としない思いはあったが、他の三人も一応は納得して諦めた。
「かぐやさんの事はいいとして…………」
床に転がったままの暴漢に、一同は目を向ける。少なくとも行動を起こすまではどう見ても普通のビジネスマンだったのだが。
突然の暴挙は、まるで気が狂ってしまったのか、或いは──────。
「ひょっとして、さっき魔人覚醒が起こった…………とか?」
極稀な例を除けば、魔人は元々は人として生まれる。そしてその成長過程において、突如として異能力に目覚め魔人となる。殆どは思春期に起こるものだが、それとて例外が無いわけではない。
そして魔人覚醒したばかりの者は大抵、その能力の制御を果たせずに衝動のままに暴走する。そこに本人の意思は存在せず、刑事的責任すら阻却される。いわゆる責任無能力者として扱われるのである。
つまり、先程かぐやは暴漢をいわゆるハイジャック犯として現行犯逮捕したものの、それが初めての魔人能力の現れであったならば不起訴処分となる。
この司法的措置が妥当かどうかは常に議論が分かれる所だが、今はそこは問題ではない。
「可能性は否定できませんね」
「でも、それなら何かきっかけはあった筈…………」
覚醒は唐突に起こるものだが、理由もなく起こるものではない。その多くは自己の認識から生まれる。
例えばそれは、漫画や小説に感化されてのものであったり、ふとした疑問や思考をきっかけにしたものだったり、或いは眼鏡に対する無限の愛だったりもする。
「飛行機に乗ってテンション上がっちゃった、とか!」
「うーん…………初めて飛行機に乗った子どもならそれも分かるけど……」
那雲の仮説にも、一の表情は冴えない。男が出張慣れしているビジネスマンにしか見えないからだ。
何か、腑に落ちない。
だが、一の思考はそこで中断させられる。
170
:
minion
:2011/11/02(水) 20:58:59
「うぐるるるる…………!」
不気味な唸り声が、無力化した筈のハイジャック犯から漏れる。白目を剥いたままふらふらと立ち上がると、口元からは涎さえ垂らしていた。
「『佐賀』ニ…………チカヅクナ……!」
ごぼごぼ、と得体の知れない音と共に不明瞭ながらも意味のある言葉が紡がれた。
手錠で拘束されたままの両手を、強引に開く。手首に食い込ませながらも、魔人公安特別製で有る筈の手錠の鎖を引き千切る。
「この男…………!? もしかして、『佐賀』の支配を受けて!」
身構える鈴木。だが、一瞬遅かった。
男は猛然と両手を振りかぶる。
硬い金属を叩く雷鳴のような轟音。
飛行機の壁に大きな穴が開き、ジェットコースターの如く激しく揺れる。
一たちは近くの座席に捕まって耐えるが、しかし──────。
他の乗客たちはそうも行かない。とりわけ、体重の軽い子どもなら。
幼い悲鳴が響く。
家族連れの中の幼女が衝撃に宙を舞い、裂けた穴から外へ──────。
その直前。
「危ないっ!」
しがみついていた座席から自らの手を離し、落ちゆくその手を掴む。
反動をつけて仲間の方へと放り投げ、幼女の身を託す。
「わぁぁぁっ!?」
一は、代わりにその穴に吸い込まれるようにして滑り落ち、空中へ投げ出された。
「鈴木ちゃん! その辺の椅子ひっぺがして下に投げて!」
誰よりも早く反応した那雲の言葉に、鈴木は返答の間を惜しんで素早く行動を開始する。頑丈に備え付けられた座席だが、魔人である鈴木の怪力の前には抵抗も虚しい。
べきべきべきぃっ!
悲鳴のような音と共に台座ごと椅子は引き剥がされ、開いた大穴へ投げ入れられる。
同時に、それを追うように那雲も飛び降りた。
プリーツスカートから工具を引き抜くと、文字通り目にも留まらぬ早さで両手が閃く。
「URYYYYYYYYAAAAAAAAAAA!!」
落下しながら空中で座席が分解され、瞬く間に別の何かに組み立てられてゆく。それは、精密なる羽ばたき飛行機械、Ornithopter。
これこそが鏡宮那雲の魔人能力『弱者の飛行機械』だった。那雲の前ではあらゆる部品は分解され、ソプターへと組み立て直される。
柔らかなシートも、固い台座も、リクライニング機構も、内蔵されたヘッドホンも、全てが等しく次々と新たな生命の一部へと生まれ変わってゆく。
生まれ落ちたソプターたちは先に落下した一を捕まえ、持ち上げる。一体では非力だが、数体集まれば──────。
「一ちゃん、げっとだぜー!」
「僕、ぽけもんなの……?」
自らもソプターに掴まりながら緩やかに落下し、一に追いついた那雲は満面の笑顔を浮かべた。
「そうね、捕まえて飼っちゃおうかしら?」
鈴木を抱えて羽ばたく理里も、上からやってくる。那雲が飛び降りた後、すぐに追ってきてくれたのだろう。
「勘弁してください…………」
助かった安堵と困惑で、ふぅ、と溜息。
だが、それも僅かひととき。
風が、震えた。
突然周囲の大気が禍々しさを帯びたかと思いきや、空中の四人を襲う。
激しい突風、翻弄する嵐。身動きするどころか、呼吸をする事すらままならない。
「わわわわっ!?」
「くぅっ!」
「きゃあぁっ!?」
「那雲ちゃんっ! 鈴木さんっ! 理里さんっ……!」
悲鳴も呼び掛けも、全てが荒ぶる暴風にかき消されて。
伸ばした手は、誰にも届くことはなく。
一の意識は暗闇に呑み込まれた。
<了>
171
:
minion
:2011/11/02(水) 20:59:38
『佐賀探索 〜佐賀を探そう〜 本編・前編』出来ましたー。
いつも通りセッションの再現性とか完全放棄です。無理なんだ……。
三人共に見せ場を作るのは難しい…………活躍してないぞ! って人は
ごめんなさい、次でもう少しがんばります……。
今回はえろいシーンは控えめにしておきました!
次回、「暗黒の秘境『佐賀』奥地3000キロに消えた幻の少女を追え!」に乞うご期待!
172
:
minion
:2011/11/09(水) 22:04:24
今一番熱い、日谷創面くん。そのお姉さん、日谷奴子ちゃん。
tp://s1.gazo.cc/up/s1_5349.jpg
このお姉さんならシスコンになっても仕方がない……のか?
通りすがりの切り絵職人が下絵を描いてくれました。シュゲイ!
173
:
日谷創面(SS担当)
:2011/11/09(水) 22:13:44
>>172
なにこれかわいいい!死ぬ氏のう死んだ!
174
:
minion
:2011/11/11(金) 19:28:21
しばらく佐賀の続きは取り掛かれそうにないので、時間稼ぎ。
Aマホ『ダンゲロス・ハルマゲドン開戦』の時のかぐやちゃん。
tp://s1.gazo.cc/up/s1_5511.jpg
やっぱり日本人は黒髪だね! …………あれ、かぐやちゃんそもそも地球人じゃなかったような……?w
またもや通りすがりの切り絵職人が下絵を描いてくれました。シュゲイシュゲイ!
175
:
オツカレー
:2011/11/11(金) 19:47:19
おおう……ありがとうございます!ありがとうございます!
minionさんには施しを受けっぱなしで申し訳ないです……
おおう、可愛い……ありがたや、ありがたや……
176
:
オツカレー
:2011/11/13(日) 16:51:38
裸繰埜夜見咲 らちか描きました……
p://blog-imgs-31.fc2.com/o/t/s/otsukaworks/dangerous027.jpg
設定資料風……
177
:
minion
:2011/11/14(月) 20:45:07
しばらく佐賀の続きは取り掛かれそうにないので、時間稼ぎその2。
Aマホ『佐賀探索 〜佐賀を探そう〜 』より鈴木さん。
凛々しさ控えめ、ろりしさ多め。
tp://s1.gazo.cc/up/s1_5769.jpg
鈴木さんは美少女! 異論は認めない!!
お絵かき妖精さんは鈴木さんが好きみたい。
178
:
稲枝
:2011/11/14(月) 20:59:06
>>177
なんて奥ゆかしいお嬢さん!! とても脳筋とは思えない
かわいーーーなああああ ありがとうございます。カチグミ!!
179
:
オツカレー
:2011/11/16(水) 22:17:41
戈止権現像(複製品)描きましたー
tp://blog-imgs-31.fc2.com/o/t/s/otsukaworks/dangerous028.jpg
後光をやりすぎた感はあるが反省はしていない。
180
:
オツカレー
:2011/11/16(水) 23:32:06
やまいちさんへ
俺の嫁優勝イラストですが、どのようなシチュエーションが良い等の要望はありますか?
181
:
オツカレー
:2011/11/18(金) 17:59:07
ダンゲロス俺の嫁優勝者:山一夜三
tp://blog-imgs-31.fc2.com/o/t/s/otsukaworks/dangerous029.jpg
ということで完成しましたー
182
:
かがみ
◆NsGJ9t.qAY
:2011/11/18(金) 20:39:50
この夜三画像をレズ画像にする場合、やまいちさんの脳内がどういう状況になるのか教えて欲しい。
183
:
やまいち
:2011/11/19(土) 01:06:29
>>182
まずレズ画像じゃなくて百合画像な。間違えんなよ。
そしてここまで直球な百合画像は素直に脳内がユリドルフィンで満たされます。
184
:
やまいち
:2011/11/19(土) 01:09:48
>>181
あ、こっちでも改めて!本当にありがとうございます!家宝にします!!
嫁も「この私かわいーなー」とかほざいて喜んでます!!
185
:
稲枝
:2011/11/19(土) 12:07:46
ゲーム的な意味は何も無い「魔法のトーフプリンセス・ヘルシー奴子」
tp://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=23137979
186
:
オツカレー
:2011/11/21(月) 21:13:30
白金虹羽
tp://blog-imgs-31.fc2.com/o/t/s/otsukaworks/dangerous030.jpg
完成しました
187
:
白金
:2011/11/21(月) 22:59:44
高校生剣士を作って良かったと素直に思える完璧な一枚です。ありがとうございましたっ
188
:
今日知ろう
:2011/11/23(水) 20:57:26
風巻とるね
tp://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=23243386
描かなきゃいけない気がした
189
:
あやまだ
:2011/11/24(木) 00:03:03
やったー、ハニワっ子だー、やったー!
ありがとうございますっ!!
190
:
仲間同志
:2011/11/26(土) 21:31:08
流血少女時の『プロローグ・千坂らちか』にて自キャラを使って頂いた感謝を込めて、
ダンゲロスSSにてSS作成に苦心していた陸猫さんへの応援SSをご本人快諾の元、公開致します。
らちかvs夢追(?)
tp://madromanticist.shisyou.com/home/content/ss035.html
長さの関係でスレに直接貼るのが憚られたのでURLのみ貼っておきます。
中身がダンゲロスSS風の見た目になっているのは、
「らちかと夢追の絡みが見たい」「じゃあ陸猫さんSSダンゲ中だし、そちらの〆切りに合わせて野試合風SS作って応援します」
等のその場のノリで作成したためです。
191
:
仲間同志
:2011/11/26(土) 22:08:47
らちかよ目立てage
192
:
サンライズ
:2011/11/27(日) 04:38:54
眼鏡っ娘のうちへに遊びに行こう
「兄さんっ…恥ずかしいです…っ」
「じゃあやめるかい?」
「兄さん…昔はこんなに意地悪なこと言わなかったのに…」
白王みずきはベッドの上で兄・みかどの愛撫を受けていた。
その性格にも関わらず、能力ゆえに多くの人に破廉恥な姿を晒してきた彼女だが、
兄に生まれたままの姿を見せるのはこれが初めてであった。
思い返してみると、不思議なことだが幼い頃一緒に風呂に入った記憶も無い。
「兄さん…好きです…愛しています…。」
「僕もだよみずき。君と一つになれるなんて、こんなに嬉しいことは無い。」
みずきも同じ気持ちだった。幾度と無く貞操の危機に遭ってきたが、今日こうして最愛の兄に処女を捧げることが出来る。
みかどの愛撫は首筋から腋の下、ささやかな双丘、脇腹を通り、やがて乙女の秘所へと至る。
そこは既に、「みずのはごろも」を纏えそうな程の潤いを湛えていた。
それを確認するとみかどはみずきの両脚をそっと開かせようとする。
「兄さん…っ」
「どうした?怖いのかい?」
「違うんです…。その…兄さんも…服を脱いで欲しいんです…。」
みずきが既に赤い顔をより赤くしながらそう言うと、みかどは苦笑して自身の派手な服に手をかけた―。
「ハッ…!!」
みずきがベッドで目を覚ましたとき、隣にみかどはいなかった。
というかそもそも最初から寝ていたのはみずき1人、つまりは夢オチである。
しっかりと着たままのパジャマがそれを証明している。
「私…あんな夢を見るなんて…。」
夢には自身の願望が反映されるのだと言う。
であれば、自分は兄との性行為を、と考えてまた顔が赤くなってしまう。
確かに、自分は兄に恋をしているのだけれど…。
「パジャマ…ぐっしょり…早く着替えなきゃダメですね…んっ…」
あんな夢を見たせいなのか、寝汗で濡れたパジャマを不快に感じ、着替えようと立ち上がった際に気づいてしまった。
ショーツの内側にまとわりついた、汗とは明らかに違う粘液の感触。
「みずき…今日はずいぶん長い『お着替え』ね…」
みずきの母は朝食を盛りつけながら独りごちた。TVではニュースキャスターが
各地のウルワシ系列の施設襲撃事件について的はずれな意見を述べている。
みずきは休日だと言うのにいつも通りに早起きして着替えに向かった。普段通りの朝。
小さな違和感があるとすればそのみずきのことだけだった。
「今日は最近出来たお友達の家にお呼ばれなのです。」
なんて言っていたから、お洒落な服にしようと思って悩んでるのかしら、などと考えていた。
降り注ぐシャワーの水を浴び続けて、みずきの火照った体は十分以上に冷えていた。
風邪を引くのではと思われそうだが、みずきはシャワーを止めようとしない。
まるで何かに打ちひしがれて、土砂降りの雨に自ら打たれているようにも見える。
「私…あんな夢を見て…下着を汚して…」
水のしたたるその肢体は、まだ見ぬ兄、いや姉のそれに姉妹だけあってよく似ていた。
肉付きの無い体つき、特にそれが顕著な胸、無毛の恥丘。
「いいんでしょうか、こんなことで…私、兄さんの言う立派な女性になれるんでしょうか…。」
自慰の経験も無いのに敏感なみずきは「お着替え」のたびに疼きを覚えていたし、それで秘所を濡らしてしまうこともあったのだが、
不可抗力的なそれに対して淫夢を見て濡らすというのは一線を超えているように思える。
しかし、今みずきの心を暗くするのは単に性的なことへの羞恥心だけでは無く、もっと根源的なモノが他にあった。
以前からどこかに抱えていた、自分の想いそのものへの罪悪感。近親者との恋愛などあってはいけないという倫理観。
自分は兄を慕うが故に、彼に認められる「立派な女性」を目指しているのだけれど、兄に恋をしている時点で「立派な女性」とは程遠いのでは無いか。
そんなジレンマが、淫夢を見た故の自己嫌悪と相まっていっそう心を締め付ける。
兄への恋を諦めて、単に妹として兄の言う立派な女性を目指せば、矛盾は無くなるのかも知れない。
しかし、そんな理屈と恋心は別問題である。
「兄さん…私どうすればいいんでしょうか…。」
ガラッ
「みずきーっ!風邪引くわよー!」
「お、お母さん!?ヘックシュンッ!」
193
:
サンライズ
:2011/11/27(日) 04:53:29
2時間程後、みずきは一家にやってきていた。
一∞はみずきと同じく「ユキ使」トーナメントに出場し、決勝戦に当たって眼鏡を貰ったり、
親身になって励ましてくれたりした恩人であり友人である。
「やあ、よく来たねみずきちゃん。今日はお兄さんの眼鏡かい?よく似合ってるね。」
∞が容姿を褒めるのは眼鏡を掛けている者だけで、しかも褒め方は眼鏡関係しか無い。
しかし、みずきは毎度∞にほめられることを嬉しく感じていたし、見かけは全く変わらないみかどの眼鏡と∞がみずきに贈った眼鏡を
見分けられる∞に感心していた。誰より眼鏡を愛し、眼鏡に愛されし少女というのは確かなようだ。
「ここが僕の部屋さ。」
「…!」
眼鏡の奥のみずきの瞳が大きくなる。∞の部屋は眼鏡に埋めてくされていた。
壁には∞と思えるほどの眼鏡が飾られ、眼鏡っ娘のポスターが貼られ、棚には眼鏡っ娘ばかりの美少女フィギュアが並び、
本棚を埋めるのも眼鏡関係の書籍ばかり―大空翼の部屋がサッカーボールに埋め尽くされるように、∞の部屋がこうなるのは当然のことと言えるだろう。
「す、素敵な部屋ですね!凄く∞さんらしいですよ!」
「そうだろう。僕も気に入ってるんだ。」
いつもは本心の読めない不敵な笑みを浮かべる∞とは思えぬ、澄み切った笑顔であった。
「正直ここまで来ると気持ち悪い」などと口に出そうものなら本当に殺されるかも知れない。
その後、映画「めがね」のDVDを見たり、眼鏡の歴史について語られたり、メガネファッションショーをしたり、
「そんなメガメガ言ってばっかじゃ白王さんも引いちゃうでしょ。」と言ってきた四が眼鏡をかけさせられて三回ほどイカされたりして時を過ごした。
「クシュンッ」
「みずきちゃん、熱があるみたいだね?」
「ふえっ…」
みずきが可愛らしくクシャミをすると、おでこを合わせて∞がそう言った。
「眼鏡サーチ」で彼女の体温が高くなっていることはわかっているのだが、敢えてそうしてみずきの反応を楽しんでいた。
「け、今朝ちょっとシャワーを長く浴びすぎて…その…風邪引いちゃったみたいです。」
普段なら自慰に耽るみずきを想像するところだが、その言い方にどこか影があることに∞は気づいていた。
「じゃあさ…お風呂入っていくかい?」
「おっお風呂ですか?」
「ニ六(ロマエ)くん、今お風呂入れるかな?この子、風邪気味みたいだから。」
「ああ。構わないぞ。ゆっくり温まっていくといい。ちょっと待っていてくれ。」
「あ、ありがとうございます。(固い感じだけど、良い人そうな外人さんです。ていうかいくつなんでしょうか?)」
一ニ六(ニノマエ・テルマエ・ロマエ)。ギリシア彫刻の如き風貌をしたイタリア人の一一族であり、
40代半ばといった印象の気難しそうな顔に反して、希望崎の1年生である。
ファーストネームが長いので、「ロマエ」という愛称で呼ばれている。
浴室の前で待っているとゴボゴボと音がして、その後にニ六がフルーツ牛乳を飲みながら出てきた。
「注文通り風邪に効く温泉を掘った。上がる頃には治っているだろう。」
「ありがとう。入らせてもらうよ。行こう、みずきちゃん。」
「はっ、はい。」
女同士でも恥ずかしいのかしっかりタオルを巻くみずきと全裸に眼鏡の∞が共に風呂場に足を踏み入れると、
みずきはここでもまた驚いた。一家は確かに豪邸だったが、それに比しても風呂場、いや浴場は格段に豪華だった。
中は古代ローマ風の装飾が施された見事な造りで、銭湯ほどの広さがある。
一家は大家族らしいので、これだけ広い方が一緒に入れていいのだろうか。
体を洗い、湯船に浸かる。ニ六の言葉通り、浸かった瞬間に全身に覚えていた軽い筋肉痛が和らいで感じる。
普通温泉の効能というモノは一度入ったくらいで現れはせず、だから湯治客などは数日かけて湯に浸かるのだが、
このお湯のそれは彼の魔人能力でブーストされているようだ。
194
:
ミスターK
:2011/11/27(日) 18:52:15
「Aマホダンゲロス 第48回「ミスダンゲロスで上位入賞しよう」 のSSの書きました。良かったら読んでください
tp://www.pixiv.net/novel/show.php?id=641345
195
:
ε
:2011/11/27(日) 19:17:12
>>194
やったー!てか、いろいろツッコミどころが多すぎるwwwwww
196
:
オツカレー
:2011/11/27(日) 20:35:04
>>194
面白かったですーwでも十萌ちゃんぶっ殺すのはいかがなもんだと思うんだぜw
197
:
minion
:2011/11/27(日) 21:29:26
>>193
やったー、眼鏡だー、やったー!
ダンゲロスSS一のエロあざとい子と、ダンゲロスSS一の変態眼鏡っ娘が
一緒にお風呂に入ったら、いったいどうなるんですか──────!?
あと、さらっと流されてますが四ちゃんの扱いがひどすぎるw(褒め言葉)
198
:
サンライズ
:2011/12/02(金) 02:45:09
「さっきの外国人のおじさんはどういう方なんですか…?」
「彼は僕の弟だよ。」
「おっ、弟さん?年下なんですか?」
「いや、同い年だけど。」
しれっと言う∞に、みずきはそれ以上何も言わないことにした。四やニ六以外にも、希望崎の一年生に一家の生徒がいることは知っていたし、
一姉弟には何か複雑な事情があるのだろうと察したのである。
「仲…いいんですね…。」
先ほどと同様、どこか影のある言い方だった。
「君たち兄妹だっていいんじゃないか?君だけじゃなく、兄さんだって何年も会っていない君のピンチに駆けつけてくれただろう。」
「兄さんは凄く立派な人です…。でも、私が兄さんを裏切ってるんです。」
「…。」
みずきは兄への秘めたる想いを∞に語った。そして、「立派な女性」であろうとするなら実の兄に恋なんてしてはいけないのでは無いかという悩みも。
「兄さんが私の気持ちを知ったら、軽蔑するんじゃないかって…。兄さんの妹でいる資格も、私には無いんじゃないかって思うんです…。」
優等生のみずきが後ろ暗い恋を涙声で語る様はゾクゾクくるものがあったが、それ以上に∞には言わねばならないことがあった。
「僕はそんなことは思わないな…。」
「えっ」と俯いていた顔を上げたみずきはどきりとした。特殊な加工が施されているのか、湯気の中でも曇らない眼鏡の奥で彼女を見つめる∞の双眸に。
「僕はみかど君の人となりなんて知らないし、だから彼が君の想いを受け入れるかまではわからない。」
「だけどね。妹が、形はどうあれこんなにも自分のことを想ってくれているのに…
それをつまらない道徳に囚われて軽蔑するような兄を、ぼくは兄とは思わないよ。君の兄さんは…そうなのかい?」
「…。」
みずきは思い出していた。小学生の頃、妹を苛めた男子と風紀を破って喧嘩したみかどのことを。
風紀皇帝が一番大事にしていたのは風紀では無く、それによって守るべきモノ。
「ありがとうございます…明良くんのときから、∞さんには教えられてばかりですね。」
涙ぐみながら、∞に抱きつくみずき。そんな彼女を膝立ちになって抱きしめる∞。剥き出しになった豊満な乳房に
美少女が顔を埋めるという、神聖さとエロティシズムの同居した宗教画のごとき光景であった。
「みずきちゃん…やっぱり君は最高だよ…」
「えっ…?」
それまではただみずきの頭や背中を優しく撫でていた∞の両手が、急にワキワキと動き出した。
虚を突かれたみずきは何も出来ずにタオルを剥ぎ取られ、その下の無防備な裸体が顕に―
「またタオル…だと…!?」
ならなかった。剥ぎ取られたタオルの下にはもう1枚のタオルが巻かれていたのである。
「隙を生じぬ二段構え、なのですっ…!」
「みずのはごろも」―タオルは瞬時に水の大きな拳となって突き出され、∞はそれをすんでのところで跳躍して躱した。
「ほうっ…やるじゃないか…」
199
:
サンライズ
:2011/12/02(金) 02:50:48
空中で回転し、飛沫をあげて着水する∞。一方、剥ぎ取られて湯に落ち、多量のお湯を含んだ本物のタオルは「みずのはごろも」の能力で、
水そのものの如くにみずきの体に纏われ、再び裸体を隠した。タオルに含まれていた水分は数瞬で両腕を覆い、肌にフィットしたスーツのような袖を形成する。
さらに、湯に浸かった両脚にもお湯を纏い、ニーハイソックスのように腿までが覆われる。
胴に巻いているのがタオルなのでやや間抜けだが、何だかアニメのヒロインのようなコスチュームだ。
本当ならタオルと違って脱げることの無い水着のような衣服を纏いたいが、そんなことをすれば乳首や陰部を擦られる快感に悶えてしまい、致命的な隙になる。
「本物のタオルの下に能力で精製したタオル。そんな用意があるってことは、警戒されていたわけか。傷つくなあ。」
「∞さん、エッチぃですから。」
顔を赤らめてそう言うみずき。事実、∞は今日みずきが風邪を引いていなくても一緒に風呂に誘うつもりだったし、
「泊まって行きなよ」と誘うつもりでもあった。
みずきの裸体を見たいだけでなく、自身の乳房や下腹の茂りもまるで隠そうとせず、むしろ見せつけるかのように仁王立ちしている。
いや実際に見せつけているのだろう。
「ふふっ…まあ、エッチなのは否定しないさ。眼鏡っ娘は性欲も120%マシだからね。
ミドちゃんだってそうだったろう?」
決勝戦の相手で、みずきを大会中ダントツで破廉恥な状態に追い込んだミドの名を出され、
みずきは更に顔を赤らめる。∞はそんなみずきを見てクスリと笑うと
一体どこに隠していたのやらーみずきのそれと同じデザインの眼鏡を手にしていた。
「眼鏡を掛けさせて可愛がってあげるよ。大丈夫、処女も唇もみかどくんに取っておいてあげるさ。
ぼくとは、そのときに備えてちょっとした練習だと思えばいい。」
「おっ…女の人同士でいくらしたって…男の人との練習にはなりませんっ…!」
「そうかな?わからないよ。」
みずきを救い、去っていくみかどを目撃した際、「眼鏡サーチ」によって
彼の体温変化が女性のそれであることに∞は気づいていたが、
それ以上そのことについて示唆するようなことは言わなかった。
みずきにはどういう理由でか隠されているようだが、自分が軽率に明かしていいことでは無いのだろう。
内心ではそのような思慮がありながらも、傍から見ると今の∞はミドと同じような痴女としか見えない。空いた左手をワキワキさせながら、みずきへと距離を詰める。
「ごめんなさい、∞さんっ…!」
みずきが勢い良く右腕を振り上げると、袖が水へと戻り、鞭の如くに∞へ襲いかかる。
メガネ=カタの達人とはいえ、肉体的にそこまで頑強で無い∞がまともに受ければ骨折くらいしかねない。
しかし、彼女の実力ならこれくらい難なく避けられるだろうと思った上での攻撃というより牽制に近いモノであった。
が、∞は迫る水鞭を前に微動だにしない。
左の掌を円を描くようにして回す。すると水鞭は弾かれるというより、その流麗な動きに流され、飛沫となって散った。
「マ・ワ・シ・ウ・ケ……見事な…」
肉体を透明化する魔人にして希望崎の体育教師・ψ南光澄(さいなん・こうちょう)はその流麗な技に息を飲む。
「そんな…」
牽制のつもりが、武器の1つのリーチを削られてしまった。
「みずきちゃん、手加減をしていちゃあぼくには勝てないよ?試合で見せた君の水弾は今よりずっと威力があったと思うけど。」
みずきが本気になれない理由は2つ、1つは∞の身を案じてのこと。
たとえ死んでも回復できる試合ですら相手を気遣うみずきが、
貞操を守るためとはいえ友人相手に本気になれるはずがない。
そしてもう1つは、本気で水弾を放てば、この浴場を恐らく傷つけてしまうこと。
2度の攻撃が水弾による射撃で無く、打撃だったのも躱された際に引き戻せるからであった。
水が大量にある状況はみずきにとっては有利なはずだが、同時に全力を発揮するには不利過ぎる状況でもある
200
:
サンライズ
:2011/12/02(金) 02:57:10
「優しいねえ。みずきちゃんは。そんなんじゃぼくにいたずらされちゃうけど、いいの?」
挑発するような笑みを浮かべながら更に距離を詰める∞。確かに、みずきは強能力には不相応に甘い。
年頃は同じでも、∞や救世のような殺人も辞さない者たちのそれに比べれば、彼女の戦いは子供のごっこ遊びと言うべきモノだろう。
が、そんな彼女で無ければ、きっと不動明良の心は救われなかった。今回も彼女は考えていた。友人を傷つけることなく、自身の貞操を守りぬく方法を。
左脚を湯から上げる。水面より下に隠れていた部分はソックスが異常に分厚くなっている。
「エイッ!」
左脚から放たれる湯の散弾。いや、散弾と形容するには水の粒子はあまりに微小で、それはまるで、
というか比喩でもなんでも無く、湯気であった。圧倒的な勢いで空間に広がる大量の湯気。
「…!」
押し寄せる高密度の湯気に∞は呑み込まれる。入浴中も使えるよう特殊加工が施されているはずの∞の眼鏡のレンズも流石に曇った。
「目くらまし…そういうのもあるのか…」
メガネ=カタの使い手は、メガネが使えない状態では身体能力は少なくとも120%低下、
一撃必殺の技量も63%低下する。無論、彼女ほどの使い手であれば低下率はそれどころでは無い。
「ヤアッ!」
更に、みずきは右足で強く湯船の底を蹴った。同時に纏っていた湯を後方に撃ち出し、その反動を乗せて一気に加速する。
水柱を上げて湯気を切り裂き、∞へと一直線に突進するみずき。
「うっ!?」
体当たりを食らわされるかと思った∞だが、みずきは彼女の両肩を掴み、勢いはそのまま湯船から飛び出す。
下になった∞の背中はみずきの右腕に残っていた湯がジェル状になって覆い、濡れたタイルの上に着地してズルズルと滑り、停止する。
床に寝た∞の上に馬乗りになったみずき。まるでみずきが∞を押し倒しているかのような体位、いや体勢であった。
「たまには押し倒されるってのも、悪く無いかな?」
眼鏡の曇りは既に取れているが、そのレンズには眼前に突きつけられた、湯を纏ったみずきの拳が映っている。
やや誇らしげな表情で∞を見下ろすみずき。
「私の…勝ちですね…」
∞の挑発はみずきに大技を撃たせて隙を作り、一気に間合いを詰めて蹂躙することを狙ったモノであった。
みずきが守りに徹したら、∞と言えども彼女を無傷のままもて遊ぶことはほぼ不可能であったろう。
しかし、彼女は今まで通り、あくまで甘い戦法で攻めを選び、それが意表を突いた。
「相変わらず甘いんだね。が、その甘さ嫌いじゃあないぜ。」
「眼鏡フラッシュ」
「眼鏡レーザー」とは違い、収束させない「ちょっと眩しい」程度の発光だが、それで十分だった。
みずきの隙を突いて、タオルの隙間から覗く幼女のような割れ目へと指を走らせる。
「ああっ…!」
敏感なみずきは突然の刺激によがり声を上げ、体を震わせる。
「む、∞さん…私の勝ちだったじゃ無いですか」
「そんなの君が一方的に宣言しただけだろう?そういう方面の甘さはやっぱり直した方がいいんじゃないかな。」
拳に纏わせていた水で攻撃を試みるが、今のみずきにはそれを出来るだけの集中力が無かった。
攻撃以前に、拳に纏わせていることも出来なくなり、「はごろも」からただの水へと戻り、バシャリと音を立てて飛び散った。
そして、∞がタオルの結び目を解くと、はらりと体から離れて落ちた。今のみずきは一切を纏っていない。完全な全裸である。
しかし、その時間は短かった。何故ならさっきの眼鏡を、∞がみずきに掛けさせたから。
201
:
サンライズ
:2011/12/02(金) 03:01:55
「ぼくは眼鏡が無い方が可愛いなんて言う輩は死ねばいいと思うけど、小さい胸が可愛いと思うことはあるよ。
大きくは出来ても、小さくはならないしね。」
顕になったみずきの貧乳に、∞が自身の豊かな乳房を押し付ける。互いの先端が触れ合うと、みずきはさらに嬌声を上げ、
桃色の突起は固く尖っていく。
「ダメェ…こんなエッチなことしちゃあ…ダメです…。兄さんに怒られちゃう…。」
「そんなことは無いよ。言ったろう、そんなことはつまらない道徳だって。同性だろうと血のつながりがあろうと。
神様は何も禁止なんかしてないのさ。」
「想像してご覧、みずきちゃん。この指は最愛の兄さんの指、この舌は兄さんの舌だって。
愛する人の体を求めることがおかしくってたまるものか。」
「兄さん…?兄さん…!」
みずきの眼鏡がキラリと光ったように見えた。∞はみずきの乳首を舌で、秘部を指で愛撫する。
やはりみずきの感度は相当なモノのようで、泉のごとくにこんこんと愛液が湧き出してくる。
「∞さん!…兄さん…!」
胸を愛撫する∞の頭をぎゅっと胸に押し付けるみずき。
「彼奴め…天稟がありおる」
ψ南は逸物を扱きながら独りごちた。ただ風呂を覗くだけのつもりが、目の前でレズプレイを始められ、
思わず襲いかかりそうになった彼だが、みずきの背中越しに∞が凄まじい眼光を向けたため、
刃牙に睨まれたスペックの如くその場で硬直した。
今のみずきは、明らかに自分から快楽を求めていた。みずきはエッチな女の子だった。能力がエッチなのではない。
彼女自身がエッチだから、能力もそうなってしまったに違いない。彼女がいくらコンプレックスに感じようと、
魔人能力は彼女の本性の発露に他ならないのである。
「みずきちゃん…気持ちいいかい?」
「ハイ、気持ち…いいです…!」
顔を真赤にし、涙声でそう言うみずきを見ているだけで、∞は自分がどんどん昂ぶっていくのを感じる。
今のみずきに愛撫を期待することは出来ないので、自分で股間に手を伸ばすと、茂みはお湯以外の液体でしとどに濡れている。
「みずきちゃんはやっぱり最高だよ…フフッ…あんっ」
どんどん高みへと登り詰めていく両者だが、先に達したのはやはりみずきであった。
頭が真っ白になり、ビクンビクンと痙攣した後、ぐったりとその場に倒れた。遅れて数秒後、∞もまた自らの指で絶頂を感じる。
「(エッチってこういうことなんですね…。兄さん、私…。)」
今はまだ意識がぼうっとしていて判断がついていないが、冷静さを取り戻したら死ぬほど恥ずかしがるだろう。
しかしそれももう数分先のこと…のはずだった。
ショロロロロロロロ……
「えっ…お、おしっ…」
絶頂により弛緩しきった括約筋では、急激にその出口へと流れこむ尿を止めることは出来ない。
みずきが失禁した黄金水はタイルに流れ出し、やがて水たまりとなった。
「あっ…ああ、わ、私…おしっこ漏らして…」
股間を中心にタイルに出来た黄色い水たまりに手をついて、みずきは呆然としていた。
熱に浮かされた頭は急速に冷えてゆき、先ほどまでの∞との行為、
そしてたった今やってしまった粗相への猛烈な羞恥の感情が沸き起こる。
「おやおや…みずきちゃん。君はどこまで素晴らしいんだい?」
「えっ…?」
202
:
サンライズ
:2011/12/02(金) 03:08:00
その黄色い水たまりを見て、その目を輝かせる∞。
「素晴らしいって…わ、私、お漏らししちゃったんですよ…。」
「君みたいな可愛い眼鏡っ娘を逝かせた上におもらしさせられるなんて…眼鏡っ娘冥利に尽きるね。」
そして、∞は両手を合わせて杓を作り、尿溜まりの前に跪いた。
その様は、聖なる泉から水を掬う聖女の如く、どこか神聖さの伴うモノであったが、しかし―。
「(この人、の、飲もうとしてませんか…?私のおしっこを…。)」
そのような行為を想像したことも無いみずきにも、∞が何をしようとしているのか察しがついた。
そして、ある種の賢者モードである今のみずきに、そんな行為は許容出来なかった。
「いっ…いっ…」
それはみずきにも無意識のうちのことであった。聖泉を成していた尿が、火事場のクソ力と言うべきか、
かつてない早さで∞の右手を覆い、ボクシンググローブとなった。
「…!」
「いっ………いっ……いやあああああああああああああああああああああああああ!!!」
BAKOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOOON!!
みずき渾身のアッパーカットは∞の顎を捉え、そしてインパクトの瞬間に放たれた尿弾は、
みずきが全裸であった故の威力で、彼女の体を車田漫画の如くに上空へ打ち上げた。
そして、何故みずきごときの、しかも座った体勢からのパンチを∞が躱せなかったかと言えば、
それは、尿に殴られて宙を舞い、湯船へと堕ちていく彼女の満足気な表情から一目瞭然だろう。
「ああっ!む、∞さーん!!」
「今日はお世話になりました。殴っちゃったのはホントにごめんなさい。」
失禁するまで弄ばれたにも関わらず、前半の台詞を一切嫌味なく言えるあたりがみずきの人の良さの証だろう。
一方、頭に包帯を巻いた∞もみずきを責める気は全く無かった。
「またいつでも遊びに来なよ。今度は泊まっていくといい。」
「そっそれはちょっと…∞さん…エッチなことしそうですし…。」
「あれ〜?あんなにお風呂場で喘いでたの誰だったっけ?」
「……意地悪…。」
頬を膨らませ、ジト目で睨みつける、みずきがあまりしそうにない表情もまた美しく感じた。何しろ眼鏡っ娘だから。
「…。」
夜9時半―課題を済ませたみずきは何をするでもなくベッドに寝転んでいた。
眠ってしまってもいいのだが、流石にまだ少し早い。今日は、凄い1日だったなと、心中で呟く。
∞にはエッチなことをたくさんされたけど…でも、大事なことを教わった。
兄に恋をすることも、性の快楽を求めることも、決して悪では無いのだと。
電気の光にミサンガをかざしてみると、目の前に兄の顔が浮かんでは消え、浮かんでは消えしている。
「いいですよね…兄さん…。」
兄の名を呼ぶと、みずきはどこか恥ずかしげに、下半身へと手を伸ばす。少女この晩、生まれて初めての自慰に耽った。
その頃、一家でも1人の少年が絶頂を迎えていた。一一である。彼が思い浮かべるのは、今日見てしまった2人の少女の裸。
パニックになって、自分も全裸のまま∞を抱えて浴場から飛び出してきたみずきと鉢合わせし、
みずきが更にパニクってこけたために顔面騎乗位の状態にまでなった。彼の能力「ToLOVEるメーカー」にとって、この程度のToLOVEるを引き起こすのは朝飯前である。
「白王さん…っ∞ちゃんっ…うっ…!」
ティッシュの中に吐き出される白い欲望の残滓。顔立ちも声も女の子そのものといった印象の彼だが、
男の象徴たるそれは不相応に立派だった。
「呼んだ?」
背後からの声に一気に鳥肌が立つ。よく知っている声。たった今オカズにしていた2人の少女の一方にして彼の姉(自称)・一∞。
「む…∞…ちゃん……。」
一番見られてはならない人間に見られてしまった。家族をオカズにしていたのがバレたのもまずいが、
それが彼女だというのが尚更マズイ。
「何…別にぼくはこれをネタに一くんをどうこうしようなんて全く思ってないよ。
ただ、弟があまりに性に飢えてるようだから、処理してあげようと思っただけさ。
妄想してたことを何でもお姉ちゃんに言ってご覧?」
「あ、ああ………。」
コンドームと眼鏡をすっと取り出していつもの笑みを浮かべる。願望が叶うというのに、なぜだか怖気が止まらない。
その性、何処までも不敵。その心、何処までも透明な闇。誰よりも眼鏡に愛されし少女──────その名は、一∞(にのまえ・むげん)。
203
:
minion
:2011/12/02(金) 05:51:01
やったー、眼鏡っ娘だー、やったー!
∞ちゃん無双すぎるw よく考えたら、一日で三人相手してるんじゃ……w
みずきちゃんはやっぱりえろい子だと思いました。
204
:
あやまだ
:2011/12/02(金) 11:28:21
おもらしだのひとりえっちだの、まったくこの子はけしかりませんな!
みずきのためを思ったような発言をしつつ結局おいしくいただいちゃってる∞ちゃんまじ策士ww
やー、おもしろかったです! ごちそうさまでした!
205
:
minion
:2011/12/21(水) 13:19:49
『眼鏡の悪魔』
私──────比良坂死育(ひらさか・しいく)は虚ろな瞳で、姉である比良坂灰土(ひらさか・はいど)を見つめながら、心の裡で静かに呟いた。
──────いったい、何が悪かったというのだろうか。
歯車の僅かな狂い。ちょっとしたボタンの掛け違い。
躓いた小石は、何だったのか。
──────そうだ、全ては。
あの眼鏡の悪魔が現れてから、狂い始めたのだ。
始まりは、ほんの些細な出来事だった。
学園で行われた他愛もないイベントで私たち姉妹が知り合ったその悪魔は、優しく、親しげで、そして何よりも──────狡猾だった。
ちょっとした好奇心。それとも、文字通り魔が差したというべきか。
姉は悪魔の甘言に乗り、差し出された眼鏡を掛けてしまったのだ。
おそらくは、ただのファッション感覚。年頃の少女ならば誰しもありがちな軽いお洒落のつもりだったのだろう。
だが、その火遊びとも言えない程のささやかな冒険心は姉を──────灰土を、灰燼に帰し、土に還す程にその身も心も灼き尽くす炎を生むこととなってしまった。
健常な視力を持つ者が度の入った眼鏡を掛けた際に感じる眩暈。
人によっては吐き気を催す事さえあるその気分の悪さを。
姉は認識してしまった。確かな生の証として。
死の対極である生。
タナトスに対するエロス。
死に近ければ、それゆえに生に敏感になる。
眩いばかりの衝撃は、何よりも激しく生を実感させる。
生きるという苦しみは、喜び。
何よりも肉体はそれを求めていた。
そして、求めていたものが満たされたとするならば。
充実感と共に溢れ出るその感覚を。
人は、快楽と呼ぶ。
無論、それを受け入れることに戸惑いと恐れはあっただろう。
しかし、その誘惑を断ち切る事は出来なかった。
死にたいという破滅願望。
生きたいという存在願望。
どちらも人に備わった本能的欲求だというのなら。
釣り合う天秤を傾けさせたのは、生の欲求──────性の欲求だった。
206
:
minion
:2011/12/21(水) 13:20:20
姉が自らを慰める行為に耽るようになったのは、その日からだった。
現場を目撃した訳ではなかったが、その必要はなかった。
何しろ、部屋に篭った後、或いは長い手洗いを済ませた後に出てくるその姿を見れば一目瞭然なのだ。
自分たち姉妹の代名詞でもある透き通るような白い肌がほんのりと薄桜色に色づいているのだから。
それでも、それだけでは姉を止めるつもりはなかった。
自らを慰める行為は非生産的であり、背徳的であるとはいえ、それ自体は決して罪に問われる事ではない。
たとえ、宗教的、倫理的に罪深いとしても。
異変を感じたのは、ある日のこと。姉が何者かからの電話を受けているところを偶然耳にしてからだった。
会話の内容は詳しく聞き取れなかった。
それでも違和感を感じたのは、その声の調子だった。
いつもなら自信に溢れ、他者を圧する口調を常とする姉の声が、微かに甘く濡れていた。
漏れ聞こえる言葉遣いこそ普段と何ら変わる所は無い高圧的なものだったが、その根底に流れる質感はそう、一言で言えば──────媚びていた。
例えば姉に彼氏が出来たというのなら、祝福もしよう。
嫉妬や独占欲が九割を占めていたとしても、残りの一割は純粋に喜ぶ気持ちが私にもあった筈だ。
だが、その時の姉の声に混じる媚びた甘さは愛しい恋人に想いを寄せる少女のものではなく──────主の機嫌を窺い、その命に従う事に歓びを覚える隷奴のそれだった。
次の日から姉が自辱を行う時間と回数は、日を追う毎に増えていった。
今思えばその時が、姉の最後の分岐点であったのかもしれない。無理にでも止めさせていれば、と思い返しては今更ながらに後悔する。
取り返しが付かない、今となっては。
数日後我が家に小さな荷物が届き、事件が起こった。
それまでは恥ずかしさからか決して眼鏡姿を見せなかった姉が、如何なる心境の変化か、私の目の前で眼鏡を掛けたのだ。
最初の日に受け取ったものとはデザインが違っていた。レンズの厚さ的に、度数が上がっているのだろう。
その眼鏡を、上気した顔で。
身内に痴態を晒す露出羞恥に身を震わせながら、邪な情欲に濡れた瞳をレンズ越しに潤ませて。
妹に見せつける事で、見られる事で。
浅ましく発情していた。
隣同士の部屋の壁越しに聞こえる苦しげな吐息と切なく押し殺した声が、歓喜の色に染まるようになったのはこの頃からだった。
再び数日後、姉の眼鏡が変わっていた。
今度は電話の声も荷物が届いた事も気付かなかったが、何が起こったかは明らかだった。
外出する、と姉が眼鏡ケースを手にしたままで口にした時、私は全てを悟った。
見られる事に歓びを覚え、より大きな快楽を求めて。
不特定多数の視線に晒されながら、昏い欲望を満たす。
その誘惑に抗しきれなくなったのだ。
夜遅くに帰宅した姉は、私の眼前で慌ただしく震える手つきで眼鏡を取り出す。
公衆の面前だけでは満足しきれなかったのか。それとも──────。
お預けを命じられ、焦らされ続けていた飼い犬が、漸く主人の許しを得たときのように。
甘やかな愉悦の快楽に溺れる喘ぎと嬌声を、姉はもう隠そうとしなかった。
207
:
minion
:2011/12/21(水) 13:21:07
私の目の前には、眼鏡があった。姉が最初に掛けた、最も度の弱い眼鏡だ。
最早この度数では姉は満足出来ず、役目を果たして静かに佇んでいたそれを、私はゆっくりと手に取る。
眼鏡を掛けてしどけなく恍惚の表情を浮かべる姉の姿。
調教され、飼い慣らされ、躾けられ。
それでもこの上なく、暗黒の幸福感に身を委ねていた。
双子である私たち姉妹は、性格こそ違うものの鏡に写したように同じ容貌をしていた。
同じ感性をしていた。
それならば。
私も姉と同じになれるのだろうか。
姉と同じように、共に──────。
生まれた時から、ずっと同じように。
共に深淵に堕ちる絶望と、それを上回る期待と歓び。
ごくり、と喉を鳴らす音が生々しく響いて──────。
遠くで、電話が鳴り始めた気がした。
「…………というような事があってはいけないからね。初心者が眼鏡を掛けるときは用法・用量・度数を守って必ず経験者の指示に従うように」
長い独り語りが終わり、眼鏡の少女は私たち姉妹に注意を終えた。
「くっ…………眼鏡がそんなに奥深いものだったなんて……!」
「そんな訳がないでしょう、灰土姉…………」
少し呆れながら私は、騙されている姉を軽く窘めた。全く、馬鹿馬鹿しい話だ。
「まぁ、冗談はさておき。眼鏡に興味がある事はぼくとしても嬉しいからね。折角の縁だから、この眼鏡はきみにプレゼントするよ」
そう言って、彼女は姉に派手すぎず、それでいて野暮ったさの無い趣味の良さそうなデザインの眼鏡を手渡した。
「へぇ、なかなかお洒落ね。有難く頂いておこうかしら」
答えた姉の声が、少し上ずって聞こえたのは、きっと私の勘違い。
眼鏡を見つめる私の胸が、きゅんと甘く疼いたのはきっと、気のせい。
「それと、電話番号も交換しておこうか。何かあったらいつでも相談に乗るよ」
彼女は優しく、親しげに微笑んだ。まるで──────悪魔のように。
<了>
208
:
minion
:2011/12/21(水) 13:22:01
Aマホ『羅漢との麻雀交流戦で勝利しよう』より、比良坂姉妹のおはなし。麻雀はしません。
DTさんは決してこういう話を読みたかった訳ではないと思うんですが、つい……。
minionさんは頭おかしいんじゃないだろうか……。
あ、今回はえろくはないです。短いし。
えろいバージョンを見たい方は、めがねめがねと書き込みを(略)
209
:
DT
:2011/12/22(木) 00:05:59
めがねめがね
210
:
サンライズ
:2011/12/22(木) 02:14:26
めがねめがね
211
:
稲枝
:2011/12/23(金) 00:26:25
ダンゲロス流血少女の全員集合絵です。
tp://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=23817526
直リンク↓
tp://img06.pixiv.net/img/inaesake/23817526.jpg
212
:
稲枝
:2011/12/23(金) 00:31:35
【重点】全員の場所と名前がわかった人のキャラの一枚絵を描きたいと思います【先着一名】【豆腐】
●一人一回
●できるだけわかりやすくそれぞれの名前と位置を書いて下さい。
ヒント
●キャラは全員分+転校生4人
●キャラ説通りの姿をしているとは限らない
●似たキャラは同じ場所にいることが多い
213
:
稲枝
:2011/12/23(金) 00:39:02
追加ヒント
●キャラ説通りの武器をもっているとは限りません!大抵素手です。キャラ同士の絡みに注目しましょう。
214
:
稲枝
:2011/12/23(金) 00:54:26
追加ヒント
●左側の黄短髪の子が視ているのは巨人の肩に乗った女の子。
●他の人の描いたイラストのデザインを参照したりしなかったりしています。
215
:
ゴクソツ機構汎用・イの15号
:2011/12/23(金) 01:30:46
イナズマさんの勇姿が 私には嬉しいです
感情はありませんが ピガッ
216
:
鳩子
:2011/12/23(金) 01:51:16
あってる!?
tp://0006.x0.to/23817526.jpg
217
:
稲枝
:2011/12/23(金) 01:52:08
追加ヒント
●髪型、髪の色などは特にキャラ説と同じとは限りません。
●キャラ同士の絡みを参考にして下さい
218
:
稲枝
:2011/12/23(金) 01:54:27
>>216
残念!4人外れです!
219
:
ははは
:2011/12/23(金) 01:59:14
どうだ!
tp://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org2412524.jpg
220
:
鳩子
:2011/12/23(金) 01:59:42
>>218
みくりや と あやがさきが逆
あとみづか と きはらが逆!
221
:
ははは
:2011/12/23(金) 02:00:44
>>219
これ無しで(*´ω`*)
222
:
稲枝
:2011/12/23(金) 02:02:26
>>219
残念外れです!
223
:
あやまだ
:2011/12/23(金) 02:08:05
文字でごめん!
tp://www1.axfc.net/uploader/Sc/so/303018&key=aaa
224
:
DT
:2011/12/23(金) 02:08:07
どうだ!
tp://0006.x0.to/oo/gif/kotae.jpg
225
:
ははは
:2011/12/23(金) 02:08:25
tp://www.dotup.org/uploda/www.dotup.org2412560.jpg
謎は全て解けた!
226
:
DT
:2011/12/23(金) 02:09:35
>>224
オンセ書いてねー!書いてない包帯がおんせ!
227
:
稲枝
:2011/12/23(金) 02:12:55
>>223
正解!
228
:
稲枝
:2011/12/23(金) 02:28:48
解答はこちら
tp://img06.pixiv.net/img/inaesake/23820370.jpg
tp://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=23820370
●らちかはかぐやを狙っている。
●破都宮は三上の能力対象
●七宮と焦土原はブラコンつながり
●忌祓とシックルは設定上敵対関係
細かい髪型や色などはさすがにチェックしきれませんでした。ごめんなさい。
229
:
しらなみ
:2011/12/23(金) 09:24:34
わーい、全体絵だ、わーい。稲枝さんお疲れさまでしたー
230
:
ε
:2011/12/23(金) 09:27:15
あんな弥勒菩薩みたいな奴いたっけ?と思ってたら戈止権現像かwww
231
:
稲枝
:2011/12/23(金) 11:58:29
髪の色などをやや修正しました。
tp://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=23824534
tp://img06.pixiv.net/img/inaesake/23824534.jpg
キャラ当てに参加してくださった皆さん、ありがとうございました!
232
:
minion
:2011/12/28(水) 20:12:11
『ダンゲロスSSエピローグ 〜眼鏡の王子様〜』
「あーっ…………ほんっと、疲れたなぁ……」
トーナメントでの激しい戦いを終え、ある意味最大の難関とも言える退屈な表彰式を乗り越えた少女──────伝説の勇者ミドは大会からの帰路、大きく伸びをしながら呟いた。
激戦に次ぐ激戦で傷ついた身体は治療を受けて回復していたものの、疲労感と厭戦気分まで癒えた訳ではなかった。
無理もない。本来なら自分など及ぶべくもない、己の実力を遥かに超えた化物たちと渡り合い、そして──────勝利したのだから。
「もうあんな戦いはこりごり! さ、帰ってぱーっ、と遊ぶぞーっ! 逆ナン! ホストクラブ! 性感マッサージ!」
未だに優勝を信じられない気持ちの方が多くを占めていたが、優勝賞品に指先で触れてみれば少しは実感も湧いてくる。
にへら、とだらしない微笑が思わず零れる。
”イデアの眼鏡”。
優勝賞金は持ち帰るには嵩張りすぎるので、目録を受け取るだけで後日の振込みという事になったが、この眼鏡は掛けて帰る事にしたのだ。
普段は伊達眼鏡であるミドに合わせ、”イデアの眼鏡”に度は入っていない──────今は。
理想の眼鏡であるところの”イデアの眼鏡”は、持ち主に合わせて自己判断で最適化する。
つまり、視力矯正を必要としないミドが持ち主となれば、そのレンズに度は必要ない。もし今後、ミドの視力が悪化するような事があればそれに対応するのだろうが。
勿論、”イデアの眼鏡”に秘められた力はそれだけではない。
それだけではない、何かがあるらしいのだが──────ミドにとってはどうでも良かった。
大変に貴重な文字通り伝説の装備であったが、何よりも大切な事は。
自らの力で勝ち取った栄冠。
虚飾でも虚構でもない。
夢でも幻でもない。
本当の、本物。
その証だった。
「渡葉美土(わたりば・みつち)…………いや、伝説の勇者ミド、だな?」
「へっ?」
それ故に、その喜びに浸っていたミドが気を緩めてしまっていたとしても、誰も責める事は出来ないだろう。
人気のない閑静な住宅地。街中のその空白地。
気付いた時には、既に前後の道を塞がれていた。
薄汚れた黒衣に身を包んだ謎の二人組。
前方には槍のように鋭い痩身の男。後方には熊のような巨躯の大男。
まるで出来の悪い死神を思わせるような不吉な出で立ち。
これだけの距離に近付かれるまで気付かなかった不明を、彼女の未熟と捉えるのは誤りであろう。
幾ら油断していたとはいえ、大会の優勝者であるミドに一人たりとて気配を悟らせなかった事から、いずれも相当の使い手である事に疑いの余地はない。
「凄いファッションセンスだねー…………乱交のお誘いなら嬉しいんだけど、そういう雰囲気でもないかなー?」
「”イデアの眼鏡”……大人しく渡してもらおうか」
軽口を叩くミドに取り合う様子もなく、端的に目的を述べる。
異国の行者、或いは乞食にも見える異様な風体の二人組。そのうちの一人、恐らくリーダー格であろう細身の男が再び口を開いた。
「手荒な真似をするつもりはない…………が」
その先は聞くまでもなかった。もし断れば実力行使に出る、というのだろう。
確かな実力に裏打ちされた自信。その気になれば、幾らでも好きに出来る。
──────そもそも、わざわざ声など掛けなければ不意打ちすら可能だったのだ。
敢えてそれを行わなかったのは言葉通り無駄な争いを避けようとしたのか、或いは小娘一人どうにでもなる、という嘲りか。
軽く見られるのには慣れている。それを勝機に変える事も。
233
:
minion
:2011/12/28(水) 20:12:23
とはいえ、一対一ならまだしも二対一は分が悪すぎる。大会では二人の敵と戦う三つ巴戦を経験したミドであったが、連携する二人の敵と戦った訳ではない。
しかも今のこの状況はその場合よりも更に悪い。一時的な共闘ではなく、確実な熟達性、連携性を持つであろう敵二人。
唯でさえその佇まいを見るだけでも、高い戦闘能力を持っている事は明らかだった。
それでは、大会参加者、中でもミド自身が立ち会った強者たちと比べてみればどうだろうか。
ミドの戦闘感覚は、両者に明確な上下を付けなかった。
希望としては勿論、下であってくれれば良かったのだが、願望を判断に組み入れたりはしない。事実を事実として認識できる冷静さがミドの強みであった。
強者は強者を知る、という言葉がある。しかしミドの意見は違う。
弱者こそが、より正しく強者を知るのだ。
力で、能力で敵わぬ相手であるからこそ、知恵と感覚を総動員し相手を知ろうとする。
それが出来なければ策も何も無い。
無残に噛み殺され、餌にされるだけだ。
正体不明である事に間違いはないし、軽んじられるような容易い相手とはとても言えない。
それでも死線をくぐり抜けたミドであるならば──────。
「分かった、分かったって。もー、仕方が無いよね、命には代えられないんだから」
降参、とばかりにミドは大きく両手を頭の後ろで組み──────。
「なんて、言う訳無いでしょ!」
背負ったナップザックの口に手を突っ込むと、取り出した煙幕玉を思い切り地面に叩きつけた。
たちまちのうちに真っ白な煙が辺りに立ち込める。
「プライドは、命でも買えないんだよ!」
勝ち取った栄光、その誇りは。
自分が自分である証明は。
誰にも屈したりはしない。
ミドは会心の捨て台詞を発すると、勢いをつけて走り出す。
前か、後か。二つに一つの選択肢、彼女が選んだのは大男の立ち塞がる後方だった。
未踏の前方よりも、歩いてきた後方の方が地形は頭に入っている。
それに、道を塞ぐ体積は遥かに大きいものの、鈍重そうな体躯の隙を突けば──────。
その目論見と共に駆け抜けるミド。
先程までミドの胴体があったであろう高さの空間を、轟音を立てて暴風が吹き荒れた。
大男がその丸太のような剛腕を横薙ぎに払ったのだ。
直撃していれば肺から空気という空気全て──────いや、それどころか血反吐と断末魔を撒き散らしていてもおかしくはなかっただろう。
それ程の威力を、脅威を感じさせた。
しかし実際にはミドはすんでの所でこれを避け、ほとんど飛び込み前転のような形で死の腕を掻い潜っていた。
転がる勢いを殺さず、むしろ活かすようにして立ち上がり、駆け出す。
逃げ足には何よりも自信があった。白煙を盾に、振り向きもせずミドは走る。
視界の悪さは同条件。だが予め逃走経路を視認して心の準備をしていたミドならともかく、男たちに追う術は無い。
その筈だった。
だが、次の瞬間。
「っ!?」
風を切り裂く鋭い音。
冷たささえ感じさせる痛み。
駆け出した勢いのまま、ミドは激しく路上にもんどり打って倒れた。
足首から流れ出る鮮血。鋭利な刃物で深く切り裂かれていた。
ナイフ、或いはそれに類するものを投げた──────そこまでは瞬時に判断が付いた。
しかし、いったいどうやって此方の位置を?
徐々に白煙が薄れてゆく。
ミドが苦しげに身体を起こし、振り仰いだ眼差しのその先には。
「無駄な事は止めろ。そんなもので我々の眼は欺けん」
冷酷に語る男の指先に握られていたその武器は。
恐ろしいまでの正確さと切れ味をもってミドを襲ったその武器は。
銀色に鈍く輝くメタルフレームの眼鏡だった。
234
:
minion
:2011/12/28(水) 20:13:14
特別に偽装した武器。いや、魔人能力──────?
考えてみれば当然の事だ。相手の正体を詮索する暇もそのつもりも無かったが、仮にも大会の優勝者を襲うような連中である。普通の人間である筈がない。
だがその正体を知る前に、ミドは更なる攻撃に晒される。
転げ回るようにして大男の前蹴りを躱すと、膝を突いたままで腰に吊るした剣を引き抜く。
牽制するかのように正眼に構えると、素早く思考を巡らせる。何か、状況を打開する策は──────。
しかしその一瞬の猶予さえ、大男は与えてはくれない。
望月を削り取るが如く弧を描いた中段の回し蹴りが、ミドを襲う。構えられた剣の刃先を恐れる事、微塵もなく。
鋼のような豪脚がミドの右肩を捉え、みしり、と軋むような破砕音が体内から響く。
同時に、自動車に跳ね飛ばされたかのようにブロック塀に叩きつけられた。
──────鎖骨、折れたかな。
他人事のように冷静に、僅かに眉を顰めただけで表情を保とうとしたミドであったが、そんな努力も虚しく大男は見透かしたように告げる。
「張り子の強がりは、剣だけにしておけよ」
やはり、見抜かれていた。ミドの持つ剣が実体を持たぬまやかしである事を。
ミドの愛剣「まるごし」は見かけこそ鋭い剣であるものの、その実、柄以外はただの幻影に過ぎない、虚飾の武器だった。
調べはついている、という事なのだろう。大会の帰り道の襲撃である、それも当然の事だった。
暴虐を受ける。
万全の体調であったとしても、避けられたかどうか。
大男の杭打ち機のような横蹴りがミドの肋骨に突き刺さる。べきり、と先程よりも格段に嫌な音がした。
「ぁうっ……!」
手荒な真似をするつもりはない、と言う前言は、必要と有らば即撤回する。
軍人のような冷徹な合理性。君子のような豹変ぶり。
ただの個人ではない。
それなら──────?
続けて加えられる攻撃による痛みが、徐々に麻痺してくる。
目が霞む。息が乱れる。うまく思考がまとまらない。
──────あー、もう一回くらい、セックスしときたかったなー……。
生存の危機に瀕した生物としての本能か、それとも素の欲望か。甚だ区別の付きづらい所ではあったが、そんな思考がミドの脳裏を過ぎって。
ミドは意識を手放した。
235
:
minion
:2011/12/28(水) 20:13:53
「…………回収するぞ」
「あぁ」
必要最低限の会話を交し、男たちは倒れたミドへと近付く。
だが、そのとき。
「酷い事をするね。眼鏡っ娘は全人類の宝だというのに」
ふわり、とブロック塀を越えてその前に立ち塞がったのは眼鏡の少女。心底嘆かわしい、といった表情で首を振りながら男たちに相対する。
「処分する」
不意の乱入にさえ、心を動かされた様子もなく痩身の男は目撃者の消去を決断する。そこに一瞬の躊躇もない。
邪魔者は、排除するのみ。冷徹な判断。
その冷血を受け流し、眼鏡の少女は続けた。
「なるほど、二人共言うだけの事はあってなかなかの実力者のようだ。ひょっとするとこのぼくでも危ういかもしれない」
空惚けたような表情で、飄々と語る。
「しかし、一つ考えてみてはどうだろう? 此処は人里離れた深い山中でもなければ、今は野蛮な原始時代という訳でもない」
「何が言いたい?」
迂遠な物言いに焦れたように、大男が問う。
だが、問いを返し話を続けてしまったのが、大男の失敗だった。
失敗というのが言い過ぎなら、浅慮だった。
問答無用で攻撃を仕掛けるべきだった。
しかし、そうはさせない、無視できない語り──────騙りだった。
その声を聞いた時点で、術中に嵌っていた。
「何が言いたい、だって? そうだね、ごく簡単な話だよ。簡単で、単純で、当然で、明快な話だ。何せ、ぼくは自他共に認める善良なる一般市民だからね」
肩を竦めて、溜めを作る。
「姿を現す前に、呼んでおいただけさ。警察を──────魔人警察を、ね」
パトカーの鳴らすサイレンの音が、聞こえ始めた。
治外法権である学校社会を卒業した魔人たち。その行先としては残念ながら犯罪者となる者も多い。超常なる力を持つ心弱き者が平穏に暮らすには、この世界は余りにも誘惑が多く、そして絶望に満ちている。
無論、一般社会はそんな彼らを許しはしない。道を過った魔人を糺すのも、また魔人の役目。
言わば体制側に与する分別のつく魔人たちが勤める治安組織。その最たるものが魔人警察だった。
「一般の警察官では何十人束になろうと、きみたちにしてみれば物の数ではないだろう。そこは論を待たないとしても、相手が魔人警察官だとすれば、話はどうなるだろうね?」
当然の話だが、練度や質というものがある。恐らく魔人の中でも実際の戦闘──────有り体に言えば殺し合いに特化しているであろうこの男たち二人を相手に、魔人警察官がそのまま互角の勝負が出来るかというと、その確率は低いと言わざるを得ない。
しかしそれも、あくまでも同数の場合において、である。
数は力。先程の話と矛盾するようだが、一般人と魔人では話が違う。
同じ魔人同士ならば──────多数の弱兵が少数の強兵を圧する事も十分に有り得る。
「つまり、まんまとしてやられた、と?」
持って回った長口上も、通報を受けて魔人警察が駆け付けるまでの時間稼ぎ。
「スマートじゃない、とは言わないでほしいな。さっきも言った通り、善良な一般市民の権利を行使しただけだからね」
悪びれた様子も無く、自称善良な一般市民は嘯く。
次第に近付き、大きくなってくるサイレンの音。
痩身の男と眼鏡の少女の視線が静かに冷たく交錯する。
その刻は、僅か。
「…………この場は退いた方が良さそうだな。”イデアの眼鏡”、暫し預けた………………一∞(にのまえ・むげん)」
怒りも無念さも、あらゆる感情も窺い知れぬ言葉を残し──────二人は立ち去る。
236
:
minion
:2011/12/28(水) 20:14:38
神経を逆撫でするけたたましいサイレンに、ミドは薄く瞼を開いた。
ぼんやりとした視界に映る人影。
不思議な浮遊感は、横抱きに抱えられているからだった。
「王子……様?」
ミドも勇者である前に、一人の乙女だった。
自らの危機を助けてくれた人物に、全乙女の理想像である”白馬の王子様”を重ね合わせる。
曖昧な意識、重なる逆光。僅かに確認出来たのは、垣間見える整った口元と、眼鏡のアンダーフレーム。
「うぇひひ…………イケメン眼鏡の王子様とセックス…………」
ミドも乙女である前に、一人のビッチだった。
助かった安堵の為か激痛に耐えられなくなったか、それだけを口にするとミドは再び気を失う。
「やれやれ…………困ったお姫様だね」
王子様と呼ばれた眼鏡の少女は軽く呆れたように、抱いた少女を見下ろした。
メガネ=カタ──────それは古代ヨーロッパの都市国家”グラッスィア”に於いて眼鏡原理主義を掲げた独裁政党”テトラグラストン”直属の親衛隊が用いた戦闘術である。
その戦闘技術は単純な近接戦闘から暗殺まで多岐に渡り、敵対国家だけではなく国内の反対論者まで恐れさせたという。
だが、”グラッスィア”滅亡と共に”テトラグラストン”も崩壊し、メガネ=カタは歴史の闇に消えた──────その筈だった。
それが何故、今この場所に──────?
顔を上げ、表情を引き締める∞。
「亡霊は、墓場で眠りに就いていればいいものを…………」
呟きは、やがて訪れる激動への予感だった。
『ダンゲロスSSエピローグ 〜眼鏡の王子様〜』改め『幻想魔眼結社テトラグラストン第一話 亡霊』 <了>
237
:
minion
:2011/12/28(水) 20:15:35
ミドちゃんまじヒロイン。たびびとさんちょっと痛々しくてごめんなさい。
あと、サンライズさんの設定をお借りしました。
今後はシリーズ化して色んな眼鏡っ娘を……(※第二話の予定はありません)
238
:
たびびと
:2011/12/28(水) 21:09:07
めがねー!
トーナメント本編ではほとんどヒロイン扱いしてあげられなかったので、
これはとても新鮮かわいいです! イデアの眼鏡、大切にします。
ありがとうございました!
239
:
サンライズ
:2011/12/28(水) 21:58:19
わーい。メガネ=カタ設定が使われてるー。でもメガネ=カタが古代ローマカラテみたいだwww
240
:
minion
:2012/01/04(水) 15:30:05
Aマホ『ミスダンゲロスコンテスト優勝』より一 二十六(にのまえ・にとろ)
tp://s1.gazo.cc/up/s1_10461.jpg
老子曰く、恨みに報ゆるに徳を以てす。
マッチョドラゴンさんは本当に、本当に、本当に猛省してくださいね。
次は許しませんよ! minionの顔も三度まで!
自動書記で寝てる間に勝手に出来ました。
241
:
minion
:2012/01/04(水) 19:47:30
『打ち捨てられし心の社』
ぴん、と張り詰めた一本の糸のような早朝の冷気。吐く息が靄のように白い。
「んっ……流石に寒いなぁ」
手編みの毛糸の手袋を填めた両手を擦り合わせながら、少し気弱そうな小柄な少年──────一一(にのまえ・はじめ)は思わず呟いた。
今日は一月四日、三ヶ日を過ぎたばかりである。それもまだ日の出前、夜の闇が辛うじて朝の光を抑え込んでいる。
しかしそのせめぎ合いもあと少しで覆るであろう境界の時間帯。
そんな時間に一が何をしているかと言うと、当たり前といえば当たり前、新年の参拝──────初詣である。
先日近所を散歩していたところ、竹林の奥で偶然に見つけたその神社はとても小さく、忘れられたようにひっそりと周囲の木々に溶け込んでいた。
一の傍には、他に誰もいない。
勿論、他の家族から除け者にされた、という訳ではない。家族と一緒の参拝はもっと大きな神社で既に済ませていた。
しかしそれはそれとして、小さいながらも神秘的なこの社に惹かれたのも事実。自然と一体化したような厳粛で清冽とした空間は、静かに一人で訪れるに相応しい。
これが例えば傍若無人な眼鏡の姉であったり、何かと口やかましい黒髪の姉であったり、酒乱の姉であったり、騒音と迷惑の申し子たる暴走双子姉妹たちであったり、誰か他の家族が一緒だとそうは行かない。
また、仮に比較的大人しい幼い妹たちや物静かで上品な姉たちだったとしても、一人である、という事からは程遠い。
毎日が賑やかな一家だが、時には心静かに過ごしたい、と思う事も一にはあるのだった。
そんな一の心境にうってつけだったのが、この名も無き神社であった。
いや、神社である以上は何かしらの名前があり、祀られている神も居る──────或いは居た、のだろうが、入り口の石碑に刻まれた文字は既に年月と風雨に晒されて風化しており、窺い知る事は出来なかったのだ。
ひょっとすると、いや、かなりの確率で最早忘れられ、打ち捨てられた過去の神域なのかもしれない。事実、この時間の所為もあるのだろうが他に人の気配は全くしない。僅かに早起きな小鳥の囀りが聞こえるばかり。
それでも一にしてみれば、大した問題では無かった。自分と向き合う場に、他者の存在は関係が無い。その必要も無い。
そんな口にするには恥ずかしく、益体もない事をつらつらと考えながらさして長くもない石段を上ってしまうと、すぐに拝殿に辿り着いた。
その前に鎮座する賽銭箱の存在がどうにか拝殿を威厳のあるもの足らしめていたが、それが無ければ粗末な庵にしか見えなかったかもしれない。
ほう、と一つ溜息を洩らすと一は財布から五円玉を一枚取り出し、賽銭箱に投げ入れる。
折角ここまで来たのだから、祈願くらいしてみるのも良いだろう。
からんからん、と底の木板に当たる音からすると、どうやら中はほとんど空っぽのようだった。参拝客が途絶えて久しいか、賽銭泥棒にでも狙われたか──────恐らく前者だろう。
「でも、逆に競争相手がいなくてお願い叶えてくれそうかも……」
健気にも前向きな思考を持つ事にして、一は古びた大鈴に括りつけられた鈴の緒を揺らし、二礼二拍手一礼。物知りな妹に教えられただけの付け焼刃の作法知識に過ぎないし、そもそも神社によっては作法に細かな違いも多いらしい。
とはいえ、そこまで詳しくない一にしてみれば、何とか敬意を尽くす努力は買ってもらえたら、という心境だ。
そう思いながら一は目を閉じると、願い事を心中で口にする。
242
:
minion
:2012/01/04(水) 19:47:44
「可愛い女の子や綺麗なお姉さんとたくさんえっちな事ができますように」
「って、声に出してないから! っていうか、そんな事お願いしてないからね!?」
ぱちり、と瞼を開けざまにツッコんだ一の目の前に居たのは。
「流石一さん、新年早々に罰当たり級の変態ですね」
一の内心を勝手に代弁した、紅白の巫女装束に身を包んだ流麗な美女──────竹取かぐや(たけとり・かぐや)だった。
もう変態なのはかぐやの中で確定事項のようなのでそこの訂正を求めるのは諦め、代わりにかぐや自身の出で立ちを尋ねる。
「なんて格好してるんですか…………」
「ん〜…………侵蝕?」
それを言うなら神職だろう、と一はツッコみたかったものの、あながち間違いでもない気がしてきて言わずにおいた。
「ちなみに今日は和服なので、履いてません」
「ええっ!?」
「靴を」
過剰に反応した一を挑発するように片足を持ち上げ、代わりに草履をぷらぷらと見せてくるかぐや。
「やーい、引っかかった引っかかった」
「子どもですか……」
見事に一杯食わされ、一は悔しさを隠そうと呆れた表情を作る。
それでも白いお御足が袴の裾から垣間見えたりして、内心ちょっと嬉しかったのは事実だったりする。
「まぁ、ぱんつも履いてないんですけどね」
「ぶはっ!?」
思わず吹き出してしまった。いや、冗談だと思うけどこの人ならやりかねない──────。
振り回されっぱなしの一だった。
それにしても、相変わらずの神出鬼没である。いつの間に来たのかとか、そもそも何故此処に居るのかなど、疑問は尽きない。
疑問は尽きないが、どうせ尋ねても惚けて教えてくれないのは目に見えている。
「はぁ…………」
全く困った人だ、と一は溜息をつく。見た目の第一印象はむしろ近寄り難い程の美人だと言うのに、意外にお茶目というかやりたい放題というか…………。
ただそんな一面があるからこそ、自分のように大して力も取り柄もないような人間でも、構えずに普通に会話する事が出来る。
ひょっとして、実はそこまで計算に入れて──────?
一瞬脳裏に過ぎった考えを、一は頭から追い出す。
──────いやいや、それはないよね。
「ところで、一さんは何をしに此処へ?」
聞きたかった事を逆質問され、一は我に返る。
「えっと……参拝、ですけど」
他に言いようもないので、素直に答える。
「散歩の途中でたまたま見つけて、ちょっと気になったっていうか」
「たまたま…………ですか」
それを聞いたかぐやの切れ長の瞳が、妙に真剣味を帯びる。今まで見た事がないような鋭さ。
思わず一も不安になってしまう。
「あ、あの…………かぐやさん?」
「うら若き女性にたまたまなんて言わせる一さんほんと変態ですね」
「あなたが勝手に言ったんじゃないですかー!?」
ちょっと真面目な表情したと思ったら、すぐこれだ……。と、一はがっくり項垂れる。
「とりあえず、嘘は言ってないみたいですね」
「嘘なんてつきませんよ……」
信用がなさすぎる、と悲嘆にくれる一。何も悪い事はしてないのに。
「おっぱい揉んだりはしましたけどね」
「あ、あれはちょっと手が当たっただけでっ……! ……っていうか、人の心を読まないでください!」
何ともやりづらい。
243
:
minion
:2012/01/04(水) 19:48:04
「まぁ、祈願するのは構いませんがあまり大層なお願い事はしない方が身の為ですよ」
「どういうことです?」
「身の丈を過ぎた望みは身を滅ぼす、というお話はよくあるでしょう」
確かに、昔話、或いは寓話ではしばしば見られる結末である。だが、何故それを今──────?
「気になるあの娘との仲が進展しますように、くらいなら害はありませんから」
ではもし、そんな微笑ましい願いではなく、もっと大それた願いなら──────?
「つまり、かぐやちゃんルートはおすすめしません、という事です」
「どれだけ高嶺の花なんですか……いや、まぁ実際そうなんでしょうけど」
いつものように煙に巻かれたような気もするが、諦めの境地だった。
結局その後は他愛もない話をしたり、良いように弄ばれたりして時間は流れて。
一人で静かに過ごす、という当初の目的は達成できなかったものの、それなりに充実した時を一は過ごす。
なんだかんだ言っても、かぐやのような美女と二人きりの時間を持てたのは幸運だと言って良いだろう。実際、彼女と話そうとしても近付く機会さえない者も多いのだから。
「じゃあ、そろそろ僕はこの辺で」
「はい、それではまた」
朝日も昇り、会話のきりもいいところで別れを告げる。
名残惜しい気持ちもあるものの、どうせまた思ってもみないところで会うのだろうから。
再会の約束はせずに、一は神社を後にした。
数日後、ふと気になって再び神社を訪れようとした一だったが、どうした事か幾ら探せども全く見つからず、二度と辿り着く事は出来なかった。
そしていつしかそんな神社があった事さえ忘れ、日常へと戻ってゆく。
──────その時が来るまでは。
<了>
244
:
minion
:2012/01/04(水) 19:49:21
ゆとりGKやホーリーランドもあるけど、どうしてもかぐやちゃんを書きたい。それがジャスティス。
minionの中ではかぐやちゃんはおとぼけやりたい放題キャラ。すごく使いやすい!w
245
:
オツカレー
:2012/01/04(水) 21:23:57
新年早々minionさん、素晴らしいお年玉をありがとう!
minionさんのかぐやちゃんはお茶目すぎて可愛いです!
今年は物騒なことにならないようにがんばります!
このお返しはいずれ……!
246
:
稲枝
:2012/01/06(金) 22:25:02
安価です。
自分の女性キャラの裸を描いて欲しいって方は、
>>247
にキャラの詳細と共に書いて下さい。
247
:
白金
:2012/01/06(金) 22:32:42
じゃあ白金光留 1次ダンゲロスの番長です。
248
:
稲枝
:2012/01/07(土) 18:20:27
かけましたー
白金光留さん
tp://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=24219076
249
:
稲枝
:2012/01/07(土) 23:51:00
ちょっと修正しましたー
tp://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=24227493
250
:
オツカレー
:2012/01/10(火) 23:37:32
遅れましたがヒャッハー団完成しましたー
tp://blog-imgs-31.fc2.com/o/t/s/otsukaworks/dangerous031.jpg
251
:
ぽぽ
:2012/01/10(火) 23:45:42
>>250
無茶振りを拾って頂き 有難う御座います!!
すっごく嬉しいです
252
:
稲枝
:2012/01/17(火) 13:14:40
初GIFアニメとして作ってみました
末永めしあ
tp://inaeyunomi.blog.fc2.com/blog-entry-89.html
253
:
minion
:2012/02/15(水) 01:37:20
バレンタインSSできましたー。minionバッカじゃないの!? minionバッカじゃないの!?
tp://www.pixiv.net/novel/show.php?id=817114
デザイン・設定・口調が違うって人はごめんなさい!
254
:
minion
:2012/02/15(水) 01:38:02
バレンタインSSのイラスト&一言コメントです。
<1>tp://s1.gazo.cc/up/s1_14318.jpg ボツラフ
tp://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=25089543 ダンゲロス子
一番手と言えばやっぱりゲロ子ちゃん。強引な先輩キャラもいいよね!
一くん爆発しろ!
<2>tp://s1.gazo.cc/up/s1_14319.jpg ボツラフ
tp://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=25089965 北部理里
えっちなお姉さんは好きです。またこんなプレイか!
一くん爆発しろ!
<3>tp://s1.gazo.cc/up/s1_14320.jpg ボツラフ
tp://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=25090304 夢追中
至って自然な展開と言うか、容易に想像できたので。死亡済みの正史と矛盾してるみたいでごめんなさい。
一くん爆発しろ!
<4>tp://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=25090671 鈴木三流
実際こんな感じじゃないかと思います。宝塚!
一くん爆発しろ!
<5>tp://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=25091188 鏡宮那雲
佐賀のときのイメージなので、ちょっと大人しかったかも。
一くん爆発しろ!
<6>tp://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=25091782 竹取かぐや(女教師24歳)
この組み合わせがなんだか一番楽しそう。相変わらずのスーパーお茶目タイムです。
一くん爆発しろ!
<7>tp://s1.gazo.cc/up/s1_14326.jpg ボツラフ
tp://s1.gazo.cc/up/s1_14328.jpg ボツラフ
tp://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=25092435 埴井葦菜
なんだこのニヤニヤ度は!? 安心のヒロイン力です。
一くん爆発しろ!
<8>tp://s1.gazo.cc/up/s1_14332.jpg ボツラフ
tp://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=25093447 守口衛子
この潜在力の高さ……! 末恐ろしい子!
一くん爆発しろ!
<9>tp://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=25093822 一∞&一四
tp://s1.gazo.cc/up/s1_14334.jpg ボツラフ 一刹那&一模糊
優しいお姉さんの気遣い+美少女のサンドイッチだと……? 羨ましい!
一くん爆発しろ!
一くんを爆発させる会の会長が描いてくれました。爆発四散!
255
:
minion
:2012/02/17(金) 19:34:30
tp://www.pixiv.net/novel/show.php?id=823808
葦菜のフラグを粛々と立て続けるだけの簡単なお仕事。一くん爆発しろ!
tp://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=25153258
SS読むのがめんどくせえ人はこっちだけでも(ネタバレです)
256
:
minion
:2012/03/09(金) 10:47:48
【ほとんど猥褻】SSできましたー。おねショタに耐性のない人は見たらだめです! なお、一部に特殊な場面がありますが、原案者のせいなのでminionは悪くない!【原案者のせい】
tp://www.pixiv.net/novel/show.php?id=873823
SSめんどくせえ、って人はヒロインのお姉さんだけでも。
tp://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=25645601
257
:
minion
:2012/03/13(火) 23:50:53
佐賀SSできましたー。え? 後編? 何の事です?
tp://www.pixiv.net/novel/show.php?id=886806
軽くえろいシーンがあるので、苦手な人は第三章だけ読み飛ばしてくだされば。
tp://www.pixiv.net/novel/show.php?id=886855 導入編
tp://www.pixiv.net/novel/show.php?id=886888 前編
258
:
ε
:2012/03/14(水) 05:29:22
ホワイトデーなので、なんかホワイトデーっぽいSSを
tp://ipusiron.seesaa.net/article/256212945.html
259
:
minion
:2012/03/19(月) 21:21:52
佐賀後編嘘予告。「鈴木さん の やりなげ ! こうかは ばつぐん だ!」
tp://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=25924413
260
:
minion
:2012/03/21(水) 00:14:16
一四一ホーリーランドSS。ホーリーランドのSSスレでは問題があるかもしれないのでこちらに投稿。
tp://www.pixiv.net/novel/show.php?id=907281
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