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凄腕の殺し屋Rに依頼するスレ

152R:2019/02/14(木) 21:45:59 ID:???
>>95の任務を完了したので報告する。

遂行日時:某日夕方
遂行場所:依頼人指定ビル


「ふーむ……」

背丈の低い少女が、依頼人指定の古い雑居ビルの中へ入ってきた。青いマントにシルクハットを被った子ども。依頼人の言う通り、確かに女子中学生ぐらいの幼い少女だ。
この少女こそ、今回の標的である「成歩堂みぬき」である。見たところ、確かに好奇心旺盛そうな少女だ。彼女もまた、首を突っ込んではいけないところに足を踏み入れようとしている。

この雑居ビルは敷地面積が狭く、廊下も狭くて古い。夜に開店する老舗のスナック一軒しか入っていないため、昼間のこの時間に人気は全く無い。

「被害者が最後に入ったスナック店がここ……ここから被害者の家までは距離がある……なんで、犯人は被害者がここに居るって分かったんだろう……いや、待てよ……」

ブツブツと独り言を呟きながら、標的は自分の指で顎に触れながら考える。どんな事件に関わっているのか私には分からないが、とにかく今回の標的は私の想定通りのルートをたどってビルの奥へと侵入してきた。エレベーターの中に入る。一階以外のフロアも念のため調べるつもりのようだ。
二階に、私が待ち伏せしていることにも気づかずに……。

私は大きな柱の側に身を隠した。
コツ、コツと彼女が手にしているステッキの先端が床を叩く音が近づいてくる。あと数歩前に出れば、私の首が縄にかかる。

「んん……?」

突如、みぬきの足が止まった。
私の気配に気づいたのだろうか。それとも子供の気まぐれか……何れにせよ、ここで焦ってはいけない。
すると、彼女は腰につけたウエストポーチに手を入れて、携帯電話を取り出した。着信音はマジシャンらしく「オリーブの首飾り」だ。

「もしもし、王泥木さん? うわわっ、どうしたんですか? 声が大きいですよ」

彼女は携帯電話を耳にあてがいながら歩いてくる。

「私は今、被害者が入店していたスナックのビルに……え、罠……? どういうことで――」


即座に彼女の首に縄を巻き付けーー

「あっ……!?」

標的の手から携帯電話が滑り落ちる。
私はその携帯をすぐさま足で踏みつけて破壊した。

「がっ、ひゅっ?! ぅあぁっっ……!?」

みぬきの首に縄がしっかりと食い込んでいく。首筋が絞られて血流が滞る。標的は白いブーツの足をばたつかせ、ステッキを振り回す。

グググググッッ……!!
「ぃぎぃっ、ぎゅううううっ!! ぅうっ……!」

私は縄を強く引いたり緩めたりを繰り返しながら、彼女の呼吸をコントロールする。首吊りならば脛椎を追って楽に死ねても、中途半端に息を吸い込めてしまうこの絞め方では簡単には死ねない。生と死の淵をさ迷う最も苦しさを、じわじわと長い時間をかけて味わうことになる。

「ぉひゅうっ……えほっ、えほっ……ぐぎぎぃっっ! ひはっ! はっ、はっ、ぁぎぃいいっ!!」

みぬきはステッキを手放し、両手を自分の首に回して悶え苦しむ。額からを噴き出し、肩を隠すマントの陰から、腋汗をボタボタと滲ませている。

「た……たひゅ、けっっ……ひっ、ひっ、ひっ…………!」

いよいよ少女マジシャンにフィナーレが訪れる。
彼女はこの世の未練を嘆くように短く早い呼吸を繰り返す。心臓の鼓動がどんどん早くなり、やがて静寂が訪れる……

「ぃっ、ひっ、ひっ……っ、ぅ……ぅ……」

そして、彼女のマジックショーに、幕が下ろされた。

「………………」

標的は完全に息を止め、どこか遠くを見つめているかのような目をしたまま、がくりと全身を脱力させる。頭がだらりと項垂れて、シルクハットが床に転げ落ちた。


事切れた彼女を連れ出し、ビルの裏口の路地にその死体を捨てておく。
外は天気が崩れ、彼女の顔とマジシャン服が雨に濡れていく。
死因がはっきりと分かるように、あえて彼女の首に縄を巻き付けたままにしておいた。
遺体はじき発見されるだろう。先程の携帯電話の話し相手が、まちがいなくこのビルに向かってくるはずだ。
私はすぐに用意していた車に乗り込み、逃走を開始した。

報告は以上だ。
1700万ドルをスイス銀行に振り込んでくれたまえ。


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