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リョナな長文リレー小説 第2話-2

404名無しさん:2019/01/14(月) 02:21:43 ID:???
「どうだリンネ。お前が育てたクローン1000号の力は。」

「……総帥……」

いつのまにか高官たちとの話を終えたレオナルドが、リンネに声をかけた。

「お前に任せて正解だった。ヒルダの人格は実に扱いやすかったぞ。薬物投与に耐える精神を育み、ここまで育てあげたのは間違いなく、お前の力だ。」

「……お褒めに預かり、光栄です……」

口ではそう言うが、全く嬉しいことなど1つもない。
この結果が変えられない運命だと知りつつも、リンネはヒルダを失ったという事実に打ちのめされていた。

「実験中、ヒルダにはいつも研究員から言って聞かせたんだ……この実験が終われば、元気になった体でリンネに会える、とな。」

「…………え?」

「リヴァイタライズの副作用は生半可なものではない。本人の体とは別にメンタルケアも必要なのだが……お前のおかげで全く苦労しなかった。」

「…………それっ……て……」

「お前に会いたいと暴れるヒルダにこう言ったんだよ……リンネが会いに来ないのは、あえてお前を突き放しているんだとな……実験が終わるまで甘えることができないように、ヒルダが痛みに負けず、自分の意思で体を治してもらうために来ないのだと。……会いたければこの実験が終わるまで耐えろとな。」

ガバッ!!!

気がつくと、リンネはレオナルドの胸ぐらを掴んでいた。

「フフ……どうした?言いたいことがあるなら言ってみろ。」

「……じゃあ、ヒルダは……!僕に会いたい一心で薬物投与を1人で受け続けて……あんな身を削るような痛みに毎日毎日耐えていたっていうのか……?」

「リンネ……私に当たるのはお門違いだ。お前がヒルダに会いに来なかったのは事実だろう?……まあ、そのおかげでヒルダも前向きになっていた。……早く実験を終わらせて、リンネと月花庭園に行きたいとな。」

「……ッ!!!」

月花庭園の名を聞いた途端、リンネの頭にヒルダの姿が浮かんだ。



「……うん。わたし、がまんする。いっぱいいたいのいやだけど……びょうきがなおるなら、もっといっぱいいっぱいがんばるっ!」

「トーメントにある、げっかていえん!おはながいっぱいで、よるになるとすっごくきれいなばしょなの。」

「……だからね、わたしのびょうきがなおったら……リンネ、つれていってくれる?」



「……ぅああぁッ!!!」

フラッシュバックと同時に、リンネは思わず振りかぶった拳を……

「……く……そ……がぁ……!」

辛うじて残った理性で、ゆっくりと引っ込めた。



「……フン。お前の功績は認めている……だが今の反応を見る限り、やはり精神的には未熟のようだ。」

軍服を整えながら、レオナルドは何事もなかったかのように吐き捨てた。

「…………僕のメンタルを試したというのなら……今のは全て嘘なのですか。」

「いいや。全て事実だ。気になるなら研究室に映像があるから見るといい……心が壊れないなら、な。」

「…………………………」

「……いいか、第零師団師団長リンネ。お前はナルビアの軍人となるために生まれてきたクローンだ。クローンがクローンに特別な情を抱くな。……それがお前とヒルダのためでもあるのだ。……今回のことは不問とする。私たちに作られた頭で良く考えろ。」

「…………ぐすっ……うぅっ……」

部屋を出て行くレオナルド。この会議室にはリンネとメサイアの2人だけとなった。



「……うぅ……ああぁ゛っ……!ごめん……!ごめんよ、ヒルダ……!……僕が君の側に……僕が君の側にいてやらなきゃ……ダメだったのに……!」

「…………………………」

少女のような顔立ちに合わない男泣きをするリンネを、メサイアは無機質な目で見つめていた。


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