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リョナな長文リレー小説 第2話-2

1 名無しさん :2018/05/11(金) 03:08:10 ID:???
前スレ:リョナな長文リレー小説 第2話
ttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/lite/read.cgi/game/37271/1483192943/l30

前々スレ:リョナな一行リレー小説 第二話
ttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/lite/read.cgi/game/37271/1406302492/l30

感想・要望スレ
ttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/lite/read.cgi/game/37271/1517672698/l30

まとめWiki
ttp://ryonarelayss.wiki.fc2.com/

ルール
・ここは前スレの続きから始まるリレー小説スレです。
・文字数制限なしで物語を進める。
・キャラはオリジナル限定。
・書き手をキャラとして登場させない。
 例:>>2はおもむろに立ち上がり…
・コメントがあればメ欄で。
・物語でないことを本文に書かない。
・連投可。でも間隔は開けないように。
・投稿しようとして書いたものの投稿されてしまっていた…という場合もその旨を書いて投稿可。次を描く人はどちらかを選んで繋げる。
・ルールを守っているレスは無視せず必ず繋げる。
 守っていないレスは無視。

では前スレの最後の続きを>>2からスタート。

704 名無しさん :2020/02/08(土) 17:02:22 ID:???
「受けてみなさいっ……忍影斬!!」
「ぬうっ……それは、精霊刀………!?」

精神攻撃を耐え抜き、銀帝に斬りかかるヤヨイ。
とっさにかわした銀帝だが、腕にわずかな裂傷が刻まれる。

精霊刀は従える精霊の数と強さによってその威力を増す。
手下がお菓子の精霊だけだった時は雑魚雪人にさえ通用しなかったが、今は格段に威力が増していた。

「そっちの雑魚と風の精霊……だけではない。『もう一人』いるな。だが何匹群れたところで結果は変わらぬ!」
「う………げほっ、げほっ!!」
「ササメさん!大丈夫ですか!?」
(さらっと雑魚扱いされましたわ…)

(ギンッ!!ガキン!!ザシュッ!!)

「うわ、すごい……!」
(な、なんかあのJK忍者、思ったより剣技レベル高いですわね)
「あれは……ヤヨイちゃん、じゃない。一体……?」
(え?あの動き、多分ドr…風の精霊とも違いますわよ?……じゃあ誰が…)

(ヤヨイ、よく動けたわね!さすがに精神的に限界かと思ったわ……ヤヨイ?)
(う……うん。なんとか、大丈夫……)
(あれ?ヤヨイも「」じゃなくて()で喋ってるってことは……今、表に出てるのって……)

「フブキ様を長年苦しめた報い……今こそ受けてもらうぞ、銀帝!!」
「なるほど……そういう事か」
(なんか敵は納得してるっぽい!?どういう事、ヤヨイ!?)

(私が、最初に氷漬けにされたとき……
サンタちゃんのクラッカーがならされても、悪夢から抜け出す力が残っていなかったの。
その時、あの人が助けてくれた。)

………………………………

「グッヒッヒッヒッヒ!!夢の中だと何しても死なねーから、色々やっちゃうもんねー!
いっけーイエティ!!サツキちゃんの足と両腕持って〜……地獄のゾウキン絞り!!」

「っぐ……は、放しなさいっ……!」
(うう……手足を掴んで、一体何を……ゾウキン絞りってまさか……)

「グロロロロロゥッ!!」
メキメキメキメキッ!!!
「「っひぎあああああああああああぁっ!!」」

「いやー!いつ見ても骨折音と血のエフェクトがド派手だなー!コマンド複雑すぎて実戦じゃなかなか出せねーけど!」
「イエティって、技がどれもこれも大振りでコンボがつながりづらいんだよな! よーし今日もいっぱい練習しちゃうぞー!」

私が追体験した、ユキメ先輩のお母さんの部下、サツキさんの過去。
夢の中……真っ暗な部屋の中で、格ゲーのトレーニングモードみたいに、自分の意志じゃ身動き一つできなくて……
イエティとかホワイトウルフとか、いろんな魔物に一方的にやられ続けるの。

絶対死んじゃう、っていうような大ダメージも、次の瞬間には元通りになって……
すぐまた、何度も何度も痛めつけられる。でもあの時……

(パアアアアアンッ!!)

「うおっ!?なんだ今の音!?」
「おい見ろ!空中に亀裂が……!!」

<異常発生……異常発生……悪夢空間に亀裂が発生。再構築します>
「うっぐ……何、あの亀裂…………これは…夢……?」
(あれは……………あくむの、でぐち……でも、もうだめ……私……もう、うごけな……)
「……だ……誰かいるの……!?」
「何だかわからねーが、嫌な予感がするぜ……イエティ!サツキちゃんを押さえつけとけ!」

「はぁっ……はぁっ………そうは……行かないっ…忍影斬!!たああああぁっ!!」
「グオォッ!?」
「何っ!?悪夢の中じゃ動けないはずなのに……!!」
「う、動けたっ……!…そうか、あの亀裂のおかげで、悪夢の力が弱まって……」

「くそっ!だが、無駄だ!イエティ超必ゲージ最大!!
ジャンプ強キック!下強パンチ!からのビッグフットスタンプ!」
(ドゴ!! ゴスッ!! ゴシャッ!!)
「んうっ!! うあっ! げううっ!!」
「そして超必投げ!アルティメットイエティバスターコンボ!」
「グオッ!!」
「うっぐ!……これ、は……普通の打撃…?」
「しまっ…!コマンドミスった……!!」

「い、今だっ……奥義・影刃蒼月閃!!」
「グアオォォォォォォゥッ!!」

「クッソがぁぁぁ!!逃がすな、イエティ!!」
「はぁっ……はぁっ……しっかりして……誰だか知らないけど……いるんでしょう、私の中に…」
(………う………ぁ………)

「グロロロロォ!!」
「やってくれたなぁ……だが、悪夢の中ならイエティだって何度でも復活するんだぜ……!」
「もうちょっとで結界も復旧するみたいだしな!コンボ表の上から下まで順番に試してやる!」

(そ、そんな……!!)
「……くっ……せめて、貴女だけでも……!!」

705 名無しさん :2020/02/08(土) 17:05:10 ID:???
(その後なんやかんやあって、私たちは奇跡的に脱出した……サツキさんがいなかったら、私は目覚めることができなかったかもしれない)
(ええ……かなり良いところで終わったわね。kwskしたら長くなりそうだから突っ込まないでおくけど)

「私の実体は、未だに氷の牢獄に閉じ込められている。
だから、今の私は影の精霊となって、精霊刀の持ち主に憑依しているのよ!!」

「……雑魚どもが、次から次へと群がりおって……消え失せろっ!!『凍月』!!」
「くっ……!!」

巨大な凍気と共に、氷の刃が振り下ろされる。
回避は不可能。受ければ刀ごと全身が凍り付くだろう。
かつてのサツキが銀帝に挑んだ時も、同じようにこの剣の前に敗れ去った……

(ガシッ!!)
「……ササメ………!!」
「はぁっ……はぁっ……『銀帝』……いいえ。お父様……もう、おやめください」

サツキの前に立ち、真剣白刃取りで銀帝の死の刃を受け止めたのは……ササメだった。

「そもそも……貴様はなぜ、その姿のままでいる。雪人の血に覚醒したのではなかったのか」

「……あなたの言うように、雪人からすれば人間など『雑魚』にすぎないのかもしれません。
ですが、彼らがいなければ、私は……あなたの前に立つことなど到底できなかった。」

「私は……今日、すべてを終わりにするつもりでした。
雪人は、人を襲って、苦しめる魔物……私の体にもその血が半分流れている。
何かのはずみで、さっきのように『雪人』として覚醒し、罪もない人々を……自分の大切な人を、襲い始めるかもしれない。
そうなる前にあなたを殺し、雪人達をすべて殺し、そして自分自身も……そう考えていた」

「なっ……」
(ササメ先輩……!?)

「だけど、お母様の過去を覗いた事で……私は自分の考えの浅はかさを知ったのです。
……私は、疎まれ捨てられた忌み子ではなかった。
私を拾い育ててくれたヴィラの集落、ミツルギの人々、様々な人たち。

雪人の血を引く私を、今日まで受け入れ支えてくれた皆さんのおかげで……
他人を苦しめねば生きていけない雪人の宿命に、私は打ち克つことができた。
お母様が示してくれた私の道は、間違っていなかった……
それを今、お見せします。
雪人の力、忍の技、そして……人の心。その全てを一つに束ねた、私の、この奥義で……!!」

「そんなものは……幻想にすぎぬ。 雪人の『宿命』は、そんなに軽くはない……
受けるがいい!!奥義『永久氷晶』!!」
「『雪月花』!!」

ササメと銀帝、二人の刀が交錯する。
雪人の悲しい運命に翻弄された親と子の、勝負の行方ははたして……

706 名無しさん :2020/02/16(日) 19:24:07 ID:WsW31b7A
「くうぅ……!はああああっ!」

「ぬおおおおおおおおお!!!」

ビュオオオオオオオオオオオ!!!

氷の氷華と父の氷晶が炸裂し、部屋中に吹き荒れる吹雪。
その勢いは凄まじく、サンタガールたちは吹き飛ばされないように耐えるのみで精一杯だった。

「ぐ……これじゃ、援護も何も……!」

「むむむ無理ですわ……!あっあっ!吹き飛ばされますわああああぁ!」

「お菓子の精霊さん!危ない!」

吹き飛ばされそうになったお菓子の妖精の小さな手をサンタガールが掴み、なんとか踏みとどまった。



「存外にやるな……腐っても私の血を引いているだけはある」

「負け……ません……!お母様のためにも……お母様と共に戦い命を散らした、サツキ様のためにも……!」

「くだらん。親子の絆だろうと、部下との繋がりだろうと……ここですべて砕いてくれるッ!!!」

ビュウウウウウゥ!!!!ゴオオオオオオオオッ!!!

「な、まだそんな力が……?あああああぁっ!!!」

その身に宿した雪人の力を全開放する銀帝。
先程までは互角に渡りあっていたものの、勢いを増した暴風雪の前に、ササメの足が後退する。



ビュウウウウウウウウゥオオオオオオオオオオオッ!!!

もはや銀帝の吹雪は、吹雪なのかもわからなかった。
目の前が白一色に染められたと同時に、初めて感じる体の感覚にササメは困惑する。

「くっはぁ……!この……感、覚は……?」

「ククク……それが人間どもが感じる、寒さという感覚よ。お前が感じることは今までなかっただろうがな……」

「う、はぁ、はぁ……こ、こ……これが……寒、さ……?」

「私の氷の前には絶対零度すら生ぬるい……お前はまた雪人の血を覚醒させてやろうと思っていたが、気が変わった。貴様も永久に凍結させて、雪人の糧となってもらおう。その美しい肢体でな……」

「……はぁ……ぅ……くぅ……!ま……け……ません……!」

言葉とは裏腹に、ササメの氷の花びらが、一つ、また一つと散っていく。
雪人のハーフとして生まれたササメは、今まで寒さを感じたことがなかった。
銀帝の圧倒的なまでの吹雪を浴び、初めて感じる身体の感覚に意識が遠ざかってゆく。



パリィン!

ササメの氷の花びらが、最後の一つとなった。

「は、は、はぁぁぁ……ぁ……」

「……フフ、怖いか?この氷の花弁が散ったとき、貴様も母親と同じように、永久に凍り続けるのだ……」

「はあああぁっ……ふううううぅ‥…!」

歯がガチガチと音を鳴らす。体の震えが止まらない、
目の前の氷柱は自分の髪だと気づいたとき、ササメの足は完全に凍りついていた。



(……寒さ、とは……こんな、にも……絶望的な……感覚……なのですね……)



銀帝の吹雪の前に、ゆっくりと目を閉じるササメ。
だがその時、豪雪の音に混じって声が聞こえてきた。

「……輩……!……けないで……負け……で!」

(……この声は……ヤヨイ……ちゃん……?)



「……諦め……で……!ササメ先輩!!!負けないでッ!!!」



必死に吹雪の中で声を上げるヤヨイの声に気づいたとき、閉じかけたササメの目が開いた。

707 名無しさん :2020/02/23(日) 15:28:13 ID:???
「……ヤヨイ…ちゃんっ……!?………」
必死に叫ぶヤヨイの声に、朦朧としていたササメの意識がほんの少し覚醒した。


「ちょっと、ヤヨイ…!?……無茶よ、戻りなさいっ……!!」
「冷気無効のサンタ服すら貫通する寒さですわよ!?……生身の人間じゃ、持ちませんわ……!!」
「って、つめたっ!!わ、私の服の中に入らないで下さいっ……!」

精霊やサンタガールですら耐えられない、荒れ狂う猛吹雪の中。
ヤヨイは体半分氷漬けになりながらも、ササメの元に必死に這い寄り、しがみつく。

「っぐ……こんな、所で……諦めちゃ、ダメです……先輩のお母さん……フブキさん、やっと目の前に……」
(………ビキビキビキビキッ!!)
「「うっぐ……あああああああぁぁ!!!」」

「先輩……これを………受け取っ、て……」
「……ヤヨイ…ちゃん……!!」
(パキンッ…!)

「……無駄だ。二人まとめて、氷漬けになるがいい」

咄嗟にヤヨイを抱き寄せるササメ。だが、銀帝の吹雪は、更にその威力を増していった。
やがて最後の花びらが散り、二人の体は氷に包まれて……

「フン。所詮は、人間の血が混じった半端者……この私に勝つ事など、不可能だったな」

……ササメとヤヨイは、互いに身を寄せ合ったまま、氷の柱に閉じ込められてしまった。


「さてと。妖精ども……ついでに、貴様らも凍らせてやる。我ら雪人の糧となるがいい」
「ぎょえぇぇぇ、こここ、こっちに来ますわっ……!!」
「うっ……動けない……風が、凍って……っぐ、あああぁっ……!!」

後衛にいたサンタガール+妖精ズにも、少しずつ冷気が迫っていく。
もはや、銀帝の暴虐を止めるものは誰もいないかに見えた。


(……寒い……ヤヨイちゃん、貴女は……今まで、こんな感覚に耐えていたのですね。
これほどの危険も承知で、私のために……ここまで着いて来てくれた。)
(…………。)
(ヤヨイちゃんの、体……とても、温かい……)

(……そうだ。確かに、私は……今まで本当の『寒さ』を知らなかった。
だけど、その代わり……お母様や、今まで出会った大勢の人たちから大切なもの……
『温かさ』を、私は知っている)


「だから……ここで、終わるわけにはいかない……『砕氷星鎖』っ!!」
(バキバキバキッ……!!)
「何っ……!!」


その時。

氷塊に大きく亀裂が走り、中からササメが現れた。
左腕に気絶したヤヨイを抱きかかえ、右手には、ヤヨイから受け取った『砕氷星鎖』を携えている。

そして、全身に纏っている凍気は……今までと、何かが違った。
雪人の長として長年君臨する銀帝も、感じたことのない種類の感覚。


「馬鹿な。下等な人間、中途半端なハーフごときが……銀帝の氷棺から脱出しただと……!?」
「はぁっ………はぁっ………
下等で半端……そんな脆く儚い存在だからこそ……人は、互いを想い、助けあう。
時にそれが……どんな寒さも、絶望さえも、乗り越えるほどの力を生み出すのです」

「ほざくな……そんな不安定なものに、この私が……
雪人の長たるこの銀帝が…惑わされるわけにはっ……!!」

「やはり……一度力で打ち倒さなければ、貴方に認めさせることは出来ないようですね。」

「…………」
「……決着を、付けましょう。
貴方に教えて差し上げます。お母様が……命がけであなたに伝えようとしていたことを」

両者の剣がぶつかり合う。激しい光と凍気が周囲を包み込み……

「「はああああぁっ!!」」

無数の氷の結晶が、咲き乱れる花のごとく舞った。

708 名無しさん :2020/02/23(日) 18:32:43 ID:???
(………ここは、一体……?……私は…………)
銀帝は……夢を、見ていた。

「お目通りが叶い光栄です、ゲンジョウ様……
この度、見習いとして新たに討魔忍衆に加わらせていただくことになりました、ササメと申します」

「うむ……事情はヴィラの民から聞いておる。……選抜試験でも、優秀な成績を収めたそうじゃな。
だが、討魔忍とは読んで字のごとく魔を討つ忍び。
事と次第によっては、おぬしの同族である雪人とも戦うことになるやもしれぬ。……その覚悟はあるか」

「ええ、もちろん。……むしろ、私はそのために討魔忍を志したのです。
攫われたお母様を取り戻し、邪悪な雪人達を殲滅するために……」

「うへー。アブネーねーちゃんだな!
でもメチャクチャ可愛いし、まだ1x歳になのにイイカラダしてるぜ!将来が楽しみだ!」

(あれは……ササメか。だが、雰囲気が今と別人……それに、なんだあの失礼なガキは…?)


「これ、お前は黙ってれ!……と。紹介が遅れたな。こやつはテンジョウ。
見ての通りの鼻たれ小僧じゃが……いずれは儂の跡を継ぐことになる。
そして、見習いとなったお主の教育係を務めるのは……」

「神楽木七華と申します。よろしくお願いしますね、ササメさん」

「七華はまだ上忍になったばかりじゃが、実に優秀な忍びじゃ。
彼女の下でよく学び、早く一人前の忍びとなるよう精進するがよい」

「この方が……?
こう言っては何ですが、とても強い忍びには見えませんが。
見たところ、歳も私とそう違わないようですし……」

「ええっ!?………そ、それはその。見た目が強くなさそうなのは、確かにその通りかも、しれませんが……」
「ちょwwwこのねーちゃん、けっこう言う事キツいなwww」

「……ふむ。七華の下には付きたくないか?
ならば……我がミツルギは、知っての通り完全実力主義。
七華と勝負して実力で示す事ができれば、配置については考え直すとしよう」

(そうか。これは過去の記憶……ササメが討魔忍になったばかりの頃、というわけか。しかし……)


「ええ、それで構いませんわ」
「え?い、いきなり勝負するのですか……?」
「安心してください。痛みを感じる暇もないよう、すぐに終わらせて差し上げます。
そんなおかしな人形を持ち歩いてるおかしな人に、長々と付き合うつもりはありません」
(……ピキッ)
「あ。ねーちゃんそれは……」「マズい、のう………」

「……ササメさん、と言いましたか。良いでしょう……
ですが、私は貴女ほど気が短くないので……ゆっくりじっくり、教えて差し上げます」

(なっ……さっきまでと雰囲気が……)

ギギギギギギ……
「っ!?…に、人形が動い………」
「まずは……言葉遣いと態度から、ですかね」

「いやあああああああああああぁぁぁぁっ!!!」

709 名無しさん :2020/02/23(日) 18:46:32 ID:???
「ぶはぁぁっ!!………こここここ、殺されるっっ!!!………って、あれ……??」

身の危険を感じ、銀帝は意識を無理矢理覚醒した。

「あ、気が付かれましたか……お父……いや。その……ええと」

気が付くと、すぐ横にササメがいた。
お互い、氷の力を使い果たしていて、しばらく戦闘は出来そうにない。

「……なんか随分うなされてたけど、大丈夫なの?このおっさん」
「ええと……雪人の『他人に回想シーンを見せる能力』で、討魔忍になりたての頃、お世話になった人の夢を見せて、人間の想いのすばらしさをわかっていただきたいこうと思ったんですが……」
「そ……それにしてはシーンのチョイスがかなり間違っていたような気が」
「こ、この手の能力には不慣れなもので、間違えたみたいです……
 では他に、そうですね……
 あの方の経営する和菓子屋さんでアルバイトをして、季節ものの特殊な服装で売り子をした時の事とか」
「あ。そっちの方がよかった」
「おいコラおっさん」
「というかうなされてるときのリアクションが、ボスキャラの威厳ゼロでしたわ?」

妖精ズもいた。そして……

「ふふふふ……この人、結構気が小さいですから。
いつも雪人の長としての重圧に苦しめられて……私に愚痴を吐き出すしかない、可哀そうな人」

「…………フブキ…………。
そうか………私は………敗れたのか」

「ええ。ササメに……私たちの娘に。
雪人としての力だけではない。あの子が自分で手にした、忍びの技と……人間の、絆の力に。
もう意地を張るのはやめて、話くらい聞いて差し上げたら?」
「ぐぬぬぬぬ………」
「あ、尻に敷かれてる系ですわねコイツ」

すっかり毒気を抜かれた父親、銀帝。
見た目はササメそっくりだが性格は意外とあっけらかんとした性格だった母親、フブキ。
……ササメは、互いの年月の隙間を埋めるかのように、互いに色々なことを話し合った。

………………

「おおおお、親子水入らずはいいですけど、待ってる間に寒すぎるぜーですわ!!」
「運動でもして体あっためないとマジで死ぬわこれ!!
ついでだから、例の鎖借りて氷柱に閉じ込められた人を助けてきましょ!」

「あ、でもあの鎖、訓練しないと使えないとかなんとか、そういう設定があったんじゃ…」
「うがあああああ!!そんなこまけーこと気にしてる場合じゃねーですわ!!」

「あ、私その鎖使えます!!生前に特訓したんで!!」
「ナーーイス影の精霊!!」
「自分で自分を助けるのもちょっとどうかと思いますけど!!」

そして……

710 名無しさん :2020/02/23(日) 19:01:54 ID:???
「部下たちも含め、雪人の生き方をすぐに変えるのは難しいが……少しずつ、考えてみようとは思う。
どの道、今のままでは雪人と討魔忍の衝突は避けられぬからな……
………それは、どうにかして避けたい」

雪人の長・銀帝は、人間との和解の道を歩むことを決意した。
あるいは、人間と敵対している現在よりも、イバラの道になるかもしれないが……決して、不可能ではないはずだ。

「おおう……まさかの『決まり手:人形女こわい』ですわ?」
「い、いや…別に、そういうわけではないぞ。人間の持つ力も侮れぬ、という事だ…うん」

(あの人形女は今ちょっと状況変わってるらしいけど…言わない方がよさそうですわね。面白いし)

「……私は一度、ミツルギに戻るわ。テンジョウ新陛下にも、挨拶しないとだし……」
「そうだな……それが良い。私からも、近いうちに使いを送ると伝えてくれ」
「すぐ戻ってくるから、浮気しちゃダメよ?」
「な………わ、わかっている…!」

「それに下界に戻るのは20年ぶりくらいだしー、せっかくだから色々見て回りたいわ!
てことで、おススメのお店とか案内してね、ササメちゃん!」
「は……はい、お母様」
「もーぉ。ササメちゃんたら、お母様なんて……フブキちゃんでいいわよ!!」

「……20年間仮死状態だったから、肉体年齢変わってないみたいね。あと精神年齢も」
「若作りの母親属性……通常攻撃が全体攻撃で2回攻撃しそうですわ」


こうしてササメ達は、母親フブキ、その部下サツキ、他囚われていた人々と共に雪人の城を後にし………


「いろいろと助けていただいて、ありがとうございました。
……お父様のような、素敵なサンタクロースになれるといいですね」
「は、はい!こちらこそ…!
ササメさんも、お父さんとお母さんと、仲良くしてください」

空に消えていくサンタガールを皆で見送った。
クリスマスどころかすっかり年が明けて、暦の上では春が近づきつつあったが、考えたら負けである。

「いやー……思った以上に色々あったけど、丸く収まってよかったです!
正直、私あんまり役に立ってなかった気がするけど……」
「ふふふふ……そんな事ないですよ。
私の力だけじゃ、きっと……こうして、ここに帰ってくることは出来なかった。
最後まで戦い抜く事ができたのは、ヤヨイちゃんや、サンタさんや、精霊さんや……皆のおかげです。
本当に、どうもありがとうございました」

ばつが悪そうなヤヨイに、ササメは優しく微笑みかける。
精霊たちの方にも向き直って、改めて頭を下げた。

「お礼なんていーって。その代わり……
あんたたち、これからトーメントと戦うんでしょ?
その時になったら……私らの方から、頼みたいことがある。止めてほしい奴がいるんだ」
風の精霊、お菓子の精霊は、いつになく神妙な面持ちで応える。

次なる戦い……最後の、負けられない戦いが、間近に迫っていた。
ササメとヤヨイ、そして討魔忍衆を待ち受けている運命とは……

711 名無しさん :2020/03/08(日) 14:17:03 ID:Fx3fdoF2
(今日も、ユキに会えなかった……)

サキはトーメント城の廊下を暗い表情で歩いていた。
リンネと繋がって脱走を図っていたことがバレ、リザによって重症を負わされ、舞の助けでリザを退けたが、留守にしている間にスネグアにユキを改造され……今は姉妹揃ってトーメントの駒に逆戻りだ。

いや、むしろ悪化しているかもしれない。

スネグアによって「サキは裏切ったふりをしてナルビアから情報を盗もうとしていたが、スネグアが本当に裏切ったと勘違いして、早まってユキを改造してしまった」ということにされているが……そんな建前を信じている人間はいない。

城の人間は全員、サキが本当に脱走しようとしたことを知っている。
そしてスネグアに弱みを握られていることも知っている。
つまり……以前とは周りからの扱われ方が違う。

ユキに会おうとスネグアの部屋や教授の実験室に行っても、雑に門前払いされるのが当たり前。さらに……


「んむぅ!?」


疲れ果てて歩いていたサキは、背後から音を消して迫る男の存在に気付かなかった。
突然後ろから伸びてきた手に口を塞がれたと思うと、体を乱暴に掴まれて近くの部屋に無理矢理連れ込まれる。

「よっしゃ、よくやった!」

「誰にも見られてねぇな?」

「まぁ別に見られてても問題ないけどな……そっちこそ邪魔な小娘、略してJKの舞ちゃんがいないのは確認済だな?」

「ああ、なんか王様に呼ばれてたっぽい。しばらくは出てこないだろうよ」

連れ込まれた部屋には別の男が2人いた。サキは知る由もないが、>>598とかでちょくちょくいた、サキ派のトーメント兵士である。

「んっ……んんぅ!!ぷはっ!!こ、のぉ……!急に何すんのよ!」

サキは他の十輝星に比べれば身体能力は低いが一般兵よりは十分強いし、邪術を使えば他の十輝星にも引けを取らない戦闘力を誇る。
こんなモブ共に襲われた程度、本来何ともないのだが……


「おーっと、抵抗するなよ……抵抗してもし俺らが傷を負ったら、暴れたサキちゃんのせいで怪我しましたって王様やスネグア様に伝えちゃうからな?ちなみに殺しても無駄な。俺らが戻らなかったらチクるように、別の仲間に伝えてある」

「そうなったら大変だなー、サキちゃんは処罰されるし、ユキちゃんはスネグア様の正式な奴隷。舞ちゃんも誰の下につけられるか分かったもんじゃない」

「お母さんも後追い自殺とかしちゃうかもね。他殺っぽいけど自殺処理される、ドラマでよくある感じの自殺の仕方を、さ」

「っ!」

一連の件以降、サキの弱みにつけこんで好き勝手してくる人間もいる。

家族と舞を人質にされてしまえば、サキはもう何も抵抗できない。

射殺す様な視線をクズ兵士たちに向けながらも……サキは体の力を抜いて、自分を掴んでいる男に身を預ける。

「おほっ!!ホントに抵抗止めたよ!!」

「スネグア様の話は本当だったんだな!」

「ヒヒヒ……これで、憧れのサキちゃんで滅茶苦茶できるのか……嬉しいなぁ!」

サキを掴んでいる兵士は、少し前までサキの口を塞いでいて、微かに彼女の唾が付着している手をベロリと舐めると……そのままその手で、サキの右胸を乱暴に握りしめる。

「ひゃっ!?ぐ、つぅ……!」

童貞らしい乱暴な掴み方。ただ痛いだけで、快楽など微塵もない。

「あー、やーらけー……なんかサキちゃんの胸って、現実離れしてないレベルの程よい巨乳さでいいんだよな……ベロォ!」

「ひっ!」

恍惚としながらサキの胸を揉みしだき、汗の浮かんだ彼女の首筋に舌を這わせる兵士A。ゾワゾワとした気色の悪い感覚に、サキの肌が粟立つ。

「あっ、おいお前だけずるいぞ!いくら直接捕まえた功労者とはいえ!」

「まぁまぁ、俺らも楽しめばいいじゃん……こうやって、さ!」

「っ!」

兵士Bがサキのお腹に向けて拳を振りかぶる。襲い掛かるであろう痛みを予期して、目をギュッと瞑るサキだが……

「おい、お腹はちょっと待ってくれ」

兵士CがBの拳を止めた。

「あぁ?なんで邪魔すんだよ?」

「いやさ、俺、実はガチ恋勢だったんだ」

「お、おう、そうか。唐突なカミングアウトありがとう……で?ガチ恋だから止めてあげてってことか?」

「バカ、そんなんじゃじゃなくてだな……お腹殴ったらえずいちゃうだろ?」

そう言いながらCは、Aに押さえつけられたままのサキに近づいていき……

「はぁ、やっぱりいい……無造作にしてるスピカと違って、髪もお肌もちゃんと手入れされてる……多分毎日ちゃんとそれなりの時間かけてヘアアイロンとかしてるんだろうなぁ……ねぇ、使ってるシャンプーとリンス教えてよ、グルシャンするから。あ、グルシャンっていうのはね、シャンプー飲むことでね……」

めっちゃ早口で気持ち悪いことを喋り始めた。心なしか口調も急にキモオタ化したように見える。

712 名無しさん :2020/03/08(日) 14:20:08 ID:Fx3fdoF2
「……キモ」

アイベルト辺りの無害なアホに言う感じの呆れ混じりの『キモ』ではなく、心の底から気持ち悪いと思っている、渾身の『キモ』であった。

「おい、シャンプーは飲み物じゃないぞ。腹壊しても知らないからな」

余談だが、兵士Bは割とガチめにCを心配していた。

「こんな顔して腹黒なのも、腹黒のくせに身内には甘いのも、強いけど戦闘キャラには勝てないくらいの程よい強さなのも、髪飾りとかニーソとかローファーとか、細かい所に光る女の子らしさも……なんていうか、ほんとに好きになっちゃったっていうか……」

サキからキモがられても同僚から心配されても構わずに、ガチ恋っぷりを披露する兵士C。サキの胸を揉んでいた兵士Aも思わずドン引きしていた。

「……好きとかいうなら、このクズ2人から助けるくらいしてみたら?ワンチャンに賭けることもしないで、好き勝手に甚振るだけなんて……そんなんだから彼女の1人もできないのよ」

「何にベットするかは、自分で決める……サキちゃんと付き合えるというメインキャラですら難しいワンチャンに賭けるよりも、モブキャラが好き勝手できる状況が来るのを待つことを選び、そして勝った!」

突然映画のカ○ジみたいなことを言った兵士は、顔をさらに近づけて、サキの頬を両手でガッチリと掴む。

「……だからダメなのよ……最初はアイツの好感度だって最低だったけど……なんやかんや、助けてくれて……」

サキが遠い目をして、リンネのことを想った瞬間……兵士Cは嫉妬の炎に狂った。

「んな!?まま、まさか、敵国に彼氏がいたって話も本当!?」

「へー、そうだったんだ……なぁ、部屋からカメラ持ってくるからさ、ビデオレター作ろうぜ。俺一回『うぇーい!カレシ君見てるー!?』って言ってみたかったんだよな」

「諦めろ……こいつ、聞いてないぜ」

「ちゃっかり彼氏まで作っちゃう性格も含めて、本当に最高だよサキちゃん!なんだかんだ普通の女の子らしさ全開じゃないか……!も、もう辛抱たまらん!!」

Cは早口でまくしたてると……サキの顔をホールドしたまま、口を近づける。

「っ……!何すんのよ!!」

「ぶげ!」

サキは咄嗟に、Aに抑えられていない足でCを蹴り飛ばしてしまう。

「あ……」

「ふ、ふふふ……!手ェ出しちゃったねぇ!!これをあることないこと捏造して報告したら、君の大切な人たちがどうなっちゃうかな!?あ、でもツバ付ければ治るかもね……ということでさぁ!サキちゃんの方からキスしてよ!!」

そして、それもCの計画通りであった。ガチ恋故に、無理矢理犯すみたいなキスをするのではなく、無理矢理サキの方からキスをさせるシチュエーションを作ったのである。

「お前すげぇな……」

「おいA!サキちゃんがキスできないだろ!その手を離せ!」

「はいはい、っと」

Aは言われるままに、サキの体を離す。解放されたサキだが、結局言うことを聞かなければならない状況には変わりない。

ぐっ、と唇を噛むサキ。言われるままにするしかない状況。しかし決断できずにいると……


「あのー、お楽しみのところ申し訳ないんすけどー、モブにヤられちゃうエロパートはスピンオフでやってもらっていーすか?」

いつから見ていたのか、天井から突然声と共に少女が降ってくる。

「ああ?ジェシカじゃねぇか。ガキは帰った帰った」

親切なおじさんと化したBがジェシカを連れ出そうとするが、ジェシカは動く様子はない。

「おっちゃん、あっしもリゲルに用があるんすよ。スネグアさん関係で」

「う……」

スネグア関係と言われると、この状況を作れたのもスネグアのおかげである兵士たちは何も言えなくなってしまう……ガチ恋以外は。

「ふざけんな!ここまでお膳立てしといてそりゃないだろ!!」

「バカ、こいつガキだけど結構強いんだから喧嘩売るな!しかもスネグア様関係だろ?」

「別の機会(スピンオフ)を待てばいいじゃないか。ほら、さっさと行くぞ」

AとBにズルズルと引きずられていくC。それを黙って見送ったサキは……ゆっくりと口を開いた。

「一応、礼は言っといた方がいいかしら?」

「いやいや、礼なんていらないっすよ。あっしはあっしで用があるのは事実っすから」

「用?」

「オカンの仇に記憶を取り戻してもらう為に、記憶喪失になった時と逆のことをして貰おうかな、と」

意味の分からないジェシカの言葉に眉をひそめるサキ。

「とりあえず会うだけ会って欲しいんすよ……サラ・クルーエル・アモットに」

713 名無しさん :2020/03/14(土) 22:28:05 ID:???
「コルティナさん!この間はありがとうございました!」
「おー、ルーフェにフウコ。お前ら、あれから元気だったなりかー?」
「はい、おかげさまで! あの。コルティナさんは『次の作戦』に参加されると聞いたんですが……!」
「そうナリよー。なんか、ヴェン何とかの第何小隊って所に呼ばれる事になったなり。
 数字は忘れたけど7じゃないことだけは確かなりよ!」

コルティナ・オプスキュリテ……
「ミッドナイトヴェール」の異名を持つ、ルミナスの魔法少女であり、シーヴァリアの円卓の騎士の一人『暗幕卿』と呼ばれていた。
『ぐーたら三姉妹』の三女、と言った方がわかりやすいかもしれない。

実際には姉妹じゃないので、誰が姉とか妹とか厳密に決まっているわけではないのだが、なんとなく三女っぽい位置づけである。

以前、ブルーバード小隊がトーメントの海上プラントの襲撃作戦に参加した際、
重傷を負ったルーフェやフウコを治療したのは、実はコルティナのオリジナル安眠魔法「スリーピー睡眠」だったりしたのであった。

「それで、コルティナさんが出発される前に、あの時のお礼をしたくて!」
「いやー、そんな本編に出てきてないような事でわざわざお礼だなんて…お前らイイ奴なりね。
アイツらに爪のアカでも煎じて飲ませてやりたいナリよ」
「え、アイツらって…?」

「それがさー。こないだの襲撃で国中に瘴気バラまかれて、みんなで国中を浄化作業してるじゃん?
で、帰ってくるとみんな『疲れたからそのマントで休ませて!』って言ってくるなり!
自分が安眠するために編み出した魔法なのに、なんでみんなを休ませて自分がずーっと働かなきゃいけないナリか!!」
(そ、そんな本編に出てきてないような事でキレられても……)

「え、ええと……わかりました!今日はそんなゆっくり休みたいコルティナさんのために、
私の使い魔のしーぷーちゃんを、フレンド登録しちゃいます!」
「めーー!!」
「おおーー。すっげぇ!もこもこなりー!」

ルーフェの呼び声に応え、羊型使い魔がぽん!と召喚された。
本来の持ち主はルーフェのままだが、フレンド登録する事によって
コルティナも自由にシープーを呼び出すことができるようになる!

……という事で、コルティナは早速しーぷーにガバっと抱きつき、そのもこもこ具合を堪能するのだった。

「……あー…………良いわこれ…………すっげー良い………」
「私もお気に入りなんですよー。気に入っていただけてよかったです!」

「…………。」
「…………。」

「……マジ最高だわー……ありがとうマジで……………ていうかこれ良いわ……すっげー良い……」
「あ………は、はい……どういたしまして……」

「…………。」
「…………。」

「めええええええ」

「…………。」
「…………。」

「…………。」
「……あ、あの。どうしていいのかわからなくなっちゃうので、一旦起きてもらっていいですか……」

「…マジ良いわ………これ…………『マジ良いわ』しか言えなくなっちゃうくらい、ホントにガチのマジで良いわコレ……」
「わ、わかりましたから……一旦起きましょう。ね? 話が空中停止しちゃってるので……」

「いやでもこれ、マジでほんと良いわ……最高にマジで良いわ……ルーフェっちには、ほんと感謝しかないわ……」
「…………。」

(………もしかして私……やっちゃいけないことをやっちゃったのでは……?)

714 名無しさん :2020/03/14(土) 22:44:13 ID:???
「よー!キリコにコルティナ、久しぶりだな!」
「ノーチェも元気そうなりねー!」
「やっぱこうなったかー。この人選、絶対リリスっちの差し金だろ」

……そんなわけで、ヴェンデッタ第12小隊に召集されたコルティナは、案の定というかなんというか、
同じく『ぐーたら三姉妹』と呼ばれていた『鉄拳卿』ノーチェ・カスターニャ、『裁断卿』キリコ・サウザンツと再会。
再び同じチームを組むことになったのであった。

「奴は円卓の騎士の中でも最弱……な姫騎士系リョナられ役だったのに、今じゃメインストーリーの中核を担う主要キャラ。
昔はうちらにパシりにされてたっつーのに、随分遠い存在になったもんナリ」

「それはともかく……確かヴェンデッタ小隊って、主要4か国から最低一人はメンバー出すんだろ?
てことは、ナルビアから来るのってまさか」

「いや……リンネきゅんもなんやかんやで物語の本筋にガッツリ食い込んでるし、
こういうはぐれもん部隊には回ってこないんじゃね?」
「……まあ言い方はメタいけど、実際そんな感じかもな。あいつナルビアじゃ最高幹部の一人らしいし。
だとしたら、一体誰が……」

「あのー、すいません。ボク、ここに来るように言われたんですけど……」
「ん?お前は……」

ヴェンデッタ第12小隊のブリーフィングルームに姿を見せたのは……
古垣彩芽。
言わずと知れた「運命の戦士」の一人、ボクっ子メガネっ子もやしっ子の発明ガール。
ナルビアで科学技術を学び、今回のトーメント王国への侵攻に合わせて他の仲間と合流したいと思っているが……

「主要キャラじゃねーか!帰れ帰れ!」
「ええええ!?何その理不尽な理由!?」

めっちゃ邪険に扱われた。

「あたしら、ただでさえ師匠キャラになったり先輩キャラになったり宿屋キャラになったり余計な個性がついちゃってるんだぞ!」
「これ以上キャラが濃くなったらリョナられ役にされちゃうだろ!」
「そうだそうだ!キャストオフが描かれたりしたらどう責任取ってくれるんだ!」
「スピンオフの事かな」

「とにかく!ナルビアじゃどんだけダラけてたか知らねえが、
その程度のキャラの濃さであたしたち『チームGTR』に入れると思ったら大間違いだかんな!」

「……ところで、今回の作戦内容ってどんなんなんだ?」
「それが、えーー……トーメント王国に潜入して、捕虜になってる連中に接触せよ、だと」
「ルミナスの魔法少女とか、ミツルギ最強女剣士と大陸最強拳法使いとか、しぇりめでゅとか、色々捕まってるなりからなぁ…」
「いやいや。そういうのは男キャラにやらせろよ。
あたしらみたいな美少女、捕まったら何されるかわからないぞ!エロ同人みたいに!」

「もちろん全員を国外脱出させるのは無理だから、
一旦敵の目に届かないところに身を潜めさせつつ、
連合軍の侵攻に合わせて、内側から攻撃を仕掛けて暴動を起こさせる……みたいな」
「なるほど絶対無理」
「なり」

「それなら……ボクの発明品が役に立つんじゃないかな。
『アヤメカNo.18「着れば透明になれるよ!キエールマント」』とか使えば、大抵の所には潜入できるよ」
「お前ド○えもんかよ」
「異世界人の科学力やべえ」

トーメント王国に仲間が捕らえられてる、という意味では、お互いの利害は一致している。
こうして彩芽はぐーたら三姉妹と協力し、トーメント王国に潜入することになった。
はたして、サラ、桜子、スバルの三人や、しぇりめでゅコンビなど、捕らえられた仲間を救い出すことは出来るのだろうか。

715 名無しさん :2020/03/15(日) 04:26:40 ID:???
「……はぁ、はぁ……!お、王様……き、きき、キスしちゃうんですか?そこにいるリザと……!ほ、ほひっ、ほひっ」

「なんだ教授……なんでお前が1番興奮してるんだ?」

「いやぁ……!最近VR兵器を開発したんですよぉ。それの応用でリザとキスしてる王様の体を遠隔スキャンしてデータ保存すれば、いつでもリザといやらしいキスがVRで鑑賞できる素敵データが出来上がっちゃうんですよぉ〜〜〜!!」

「…………」

「これを使って僕はいつでも金髪美少女JKとベロチューチュパチュパできるVRデータを作りたいんですよ〜〜〜!ぜったいにぃ〜〜〜!」

蚊帳の外の教授がト〇ブラウンの漫才のように好き勝手に騒いでも、リザの表情は変わらなかった。

「なるほど。儚げで危うげな金髪美少女のキス顔が、いつでもどこでもVRで楽しめるようになるわけだ。しかもかなり嫌がってる感じの、なぁ……」

「……………」

リザの顔が嫌悪感に歪む。
そのような対象として見られることばかりの自分の容姿にすら、最近は嫌悪感しか感じられない。
よく知らない自分に対してすぐにそのような感情を持つ男という生き物の感覚が、リザにはどうしてもわからないのだ。

「お!いま明らかにしかめっ面して嫌悪感出したな!今のお前の蔑んだような呆れたような表情、最高にキュートだったぞぉ。辛気臭いツラばっかじゃなくて、たまにはそういう顔もしろよリザぁ」

「……もういいです。するなら、早くすればいいじゃないですか」

「はぁ……そうやってすぐ拗ねんなって。安心しろ。俺様はなにもしないさ」

「……え?」

「えぇ〜〜〜!王様ああぁ!後生ですからリザにこれでもかといやらしいキスをしてくださいいい!お願いですからああぁ!」

教授の懇願も虚しく、王は踵を返してリザに背を向け出口へと歩き出した。

「リザ。今姉を殺すか答えが出せないのなら然るべき時にもう一度聞いてやる。その時にお前が俺様の言うことを聞かないようだったら……姉とお前の姉妹丼リョナをたっっっぷり楽しんでから、仲良く一緒に殺してやるからな」

「……………………」

「沈黙は肯定と取るぞ。まったく……闇堕ちするならちゃんと闇落ちして家族も全部殺すとか言ってみろよ。中途半端に愛情が残ってるからそうやって余計に悩むことになるんだ。なにが大切か判断したらそれ以外はきっぱり割り切ることだな」

「……………………」

何も言い返せなかった。
自分の中で大切なものが家族なのか、アウィナイトを守ることなのか、割り切ったつもりでなにも解決していない。
がむしゃらに力を求めるのも、自分の弱さを隠したいだけ。その事を考えたくないだけ。
考えれば考えるほど沼に嵌って頭痛がする。



「……教授、ありがとう。……私はこれで」

「くっ……キス顔堪能したかったのに……なぁリザ、お金なら好きなだけやるから俺とキスしてくれない?もう最近病んでるお前の姿が性癖に突き刺さってやばいから顔見るだけで勃起しちゃうんだよ。ほんとどーしてくれるん?責任取って?」

「……………………」

教授の戯言は無視して、リザは部屋を出ていった。

716 名無しさん :2020/03/15(日) 11:45:01 ID:???
「お前は……!」

「柳原、舞」

教授の部屋を出たリザは、柳原舞とバッタリ行き当たる。
舞はキッと射殺すような視線をリザに送った後に、唇を噛みしめながら横を通り過ぎようとするが……

「待って」

気づけばリザは、舞を止めていた。

「……なに?急いでいるのだけれど。ただでさえ王の部屋に呼ばれたと思ったら教授の部屋にいるとかでたらい回しにされて、サキ様のお側を離れてから時間が経ってるのに」

棘のある口調を隠そうともせず、鬱陶しそうにリザに振り返る舞。
自分がサキにした事を考えれば当然のことだが……リザにはその『当然』が分からなかった。

「異世界人である貴女がなぜ、サキにそこまで肩入れするの?」

「っ……!サキ様を傷つけたお前に、教える義理はない」

「お願い、教えて……私、異世界人と……篠原唯や市松水鳥と、このままじゃ、戦えないかもしれない……」

気づけば口から出ていたのは不安。リザにとってどこまでも眩しい存在であるあの2人。
自分と同じだったはずのサキは、家族も、信頼できる人も、恋人もいて……いつの間にか遠く眩しい存在になった。

なぜ異世界人とサキが信頼関係を結べたのか……自分にできないことをできたのか……暗い色を宿したリザの瞳に思うところがあったのか、舞はポツリポツリと語りだした。

「サキ様は私を救ってくれた……それにあの方は……私と同じだけど、同じじゃないんだ」

「え?」

「私も向こうではサキ様と同じ母子家庭だった。けれど、母が再婚してから……家に居場所がなかった」

故郷のことを思い出すように瞳を閉じた舞はかぶりを振ると、リザに背を向けて教授の部屋に入ろうとする。

「これ以上答えるつもりはない。こうしている間にも、サキ様を不埒な輩が狙っているかも……」

「おう、その通りだよ舞ちゃん」

その時突然、王の軽薄な声が響く。

「王様?まだいたんですか」

「神出鬼没が俺のいいところだろ。決して書き手が上のレスで俺様が教授の部屋から出ていってたのを投稿直前に気づいたわけじゃないからな!」

「はぁ……」

相変わらず意味の分からない事を言う王に、リザは生返事をする。

「それでだ舞ちゃん、君を呼んだのは、ちょっとサキのそばを離れてもらいたかっただけさ。今頃ジェシカかスネグア辺りに捕まってんじゃね?」

「なっ!?」

「ほらほら、早く行った方がいいぞぉ?」

「っ、この……!」

舞は一層強く唇を噛み締めた後、足早に去っていった。

「おーおー、色んなしがらみがあって国にしがみつく姿……お前なら共感できるんじゃないか?」

「王様……あまりサキに、酷いことは……」

しないでください、と続けようとして、リザは口を噤む。
自分がサキを追って深手を負わせたにも関わらず、そんなことが口を出る自分の2枚舌っぷりに、リザは自己嫌悪に陥った。

そんなリザのより一層暗くなる瞳を楽しみながら、王は愉快そうに語る。

「まぁ安心しろ、もうちょい虐めたら、サキへの当たりは緩くするつもりだ……戦争で活躍してくれなきゃ困るからな」

717 名無しさん :2020/03/15(日) 11:50:38 ID:uBnACP7I
「サラ……?誰かしらそいつ?助けてもらって悪いけど、協力する義理はないわ」

あれから色々あったのと、気に入らないリザと同じ金髪碧眼としか認識せずに水責めをしていたのもあり、サキはサラのことをすっかり忘れていた。

「まぁまぁそう言わずに。あっしを手伝ってくれたらもうちょっとマシな立場にするって、スネグアさんも言ってたっすよ。ずっとこの立場のままってのも嫌っすよね?」

にべもなく断ろうとするサキに対し、人懐っこそうな笑顔で少しずつ近づいていくジェシカ。

「どうせ騙そうってんでしょ……その手には乗らな……!?」

乗らない、と続けようとしたサキの言葉は、突然サキの首を掴んで来たジェシカによって遮られる。

「あ、があぁああああ……!」

「あっしさー、ずっと気になってたんすけど……ミシェルさんが逃げるの、アンタが手伝ったっすよね?」

ジェシカはサキの首を絞める手に力を入れると、そのまま体を持ち上げた。

「手伝いはしないまでも、見逃しはしたっすよねぇ。ぶっちゃけあの時のヘロヘロのミシェルさんが、誰にも見つからずに脱走できるわけないっすから。
……まぁ、あっしもミシェルさんは嫌いじゃなかったっすから、それは別にいいんす。急に敵国に亡命しちゃったフクザツな気持ちを、あんたにぶつけてるだけっす。」

「か、かひゅ……」

サキはメリメリと音を立てる首に手をかけて、必死にジェシカの腕を外そうとするが、万力の如く……いや、クワガタの如く締め付ける腕は、疲労困憊の少女の細腕では引き剥がせない。

「無駄っすよ。面倒な手下は王様に頼んで足止めしてるし、もうアイツ以外にあんたの味方はいない……まぁ、さっさと気絶した方が楽じゃないすか?」

「うぐううっ………!っが…あぁ………!」

しばらく手足をバタバタと動かしていたが……やがてサキは気を失った。




「ん……ん!?」

目を覚ました時、サキは全裸で寝台に拘束され、目と口も粘着性のある糸で塞がれていた。

(な、なに、どういう……!?)

困惑するサキの唯一塞がれていない耳に、どこかで聞いた覚えのある声が聞こえてきた。

「こんな事をして、意味があるの?記憶を失った時と、逆のことなんて……」

「試せるモンは何でも試すもんっすよ!それにこいつも十輝星だし、アンタが気に病むことはないっす!悪人への正義の鉄槌ってやつっす!」

「……そう」

(この声、あの金髪刑事!?そういえば奴の名前って……!)

ジェシカの言っていたサラという名前の人物を思い出したサキ。
同時に、サラが記憶を失った時と逆の事をするという断片的な発言の意味も分かってしまう。
事実、サキの拘束されている寝台のすぐ横には……12〜3万くらいしそうな、水滴拷問の機械があった。

「ん、んんーー!!んむぅうう!!」

何をされるか分かったサキは必死に体を捩り、塞がれた口からくぐもった声をあげる。

「なんスか急に暴れて……あ、耳も塞がないとダメだったっすね」

ジェシカが指から蜘蛛の糸を出すと、乱暴にサキの耳に突っ込む。

「んぶぅ!?」

完全に五感を遮断されたサキ。否が応でも以前アルガスで受けた水責め拷問を思い出してしまう。
それを再現して気に入らない人間に使っていた機械が、まさか自分に牙を剥くとは思いもしなかった。

「……貴女の言うようにこの子も悪人かもしれないけど、こんなに怖がってる子を痛めつけるなんて……」

「あーもーじれったいっすね!早くアンタの記憶を戻してあっしがアンタをブチ殺すんすから、レッツゴーっす!」

強引にサラの手を取ったジェシカは、そのまま水責めマシーンのスイッチを一緒に押す。


「ん、んんむうぅうう!!?」

718 名無しさん :2020/03/27(金) 05:10:35 ID:UsCBJaJU
「……!」
小鳥と鶏の鳴き声が聞こえる。階下からは朝御飯のいい匂いがする。
「怖い夢だった……」
まだ震える足でなんとか立ち上がり、日常に舞い戻っていくのだった。

おわり

719 名無しさん :2020/03/27(金) 22:00:30 ID:???
ぽたり。……ぽたり。…………ぼたっ

「…んむっ!!………っぐむ………ん〜〜〜〜〜っっっ!!」

「な、なにこれ……?……ただの、水………?」

「っそ。水滴拷問……これが結構効くらしいっすよ?
あっしもWikiで調べただけっすけど。
そもそも脳はすべての感覚をつかさどる超重要器官。
そこに微弱な、しかも無視できない程度の刺激を、ランダムに与え続ける……
……つーか、ついこの間アンタもされたはずっす。思い出さないっすか?」

………ぽたり。ぼたぼたぼたっ!!………
「……ひぐむっ!!…っぐむぉおおおおおぅっっ!?」

(効いてる…なんてレベルじゃないわ。始まる前の怯え方も異常だったけど、始まった直後から狂ったように暴れだして…)
「…………!!……お……思い出すわけないじゃない。……こんなふざけた事、終わりにしましょう」

拘束具を付けられた手足に血がにじんでいる。鬼気迫るサキの様子に戸惑いつつ、サラは停止ボタンに手を伸ばすが。

「ふざけた、事………?」
……ジェシカの声が、一段低くなる。

……ガシッ!!……ドカ!!
「っぐぁ……!?」
瞬時にサラに詰め寄り、片手で首を掴んで持ち上げ、力任せに壁に叩きつけた。

「あんねぇ……あっしはこれでも、大マジなんすよ。
別に、あっしのママが殺された事は、恨んではねーっすよ?
でも、あっしが復讐のため……アンタを徹底的に破壊して、ぶち殺すために生み出されたのは確かっす」

「っぐ…あ………は、なし………げほっ……」
ギチッ………ギリギリギリギリッ!!

……サラは両手でジェシカの手を引きはがそうとするが、ジェシカの手はビクともしない。
むしろジェシカは、サラの首の骨をへし折ってしまわないよう、懸命に力を抑えている様子だ。
人間と、人知を超えた魔蟲の力の差は、それほどまでに歴然としていた。

「アンタを見るたびに……あっしの身体が疼くんすよ。……あっしの中の蟲が、騒ぎ出すんす……
完全復活したアンタを、完全敗北させたい。破壊して、屈服させて、蹂躙して、絶望させたいってね……!!
あっしの牙も、爪も…あっしの体は全部、そのためにこの世に生み出された道具なんスよォッ!!」
「っぐ………あぁっ……!!」

ジェシカの瞳が妖しく輝くと、全身が甲虫の装甲で覆われていく。
両腕はカマキリの鎌とクワガタの鋏へと変化し、お尻からは蜂を思わせる鋭い針。
獲物を目の前にしながらお預けを食わされ、力を、本能を、抑えきれなくなっているのだ。


……ぐちゅっ!!
「………っ!?」
「この産卵管はぁ……クレラッパーの装甲をブチ破って、アンタの膣をぴっちりみっちり埋め尽くすように出来てるっす……
 こーんなゼロサム8Pカラーみたいなショートパンツなんて、濡れたトイレットペーパー同然っすわ!!」
「う、そ……そんなの、入るわけ……うぐあっ!!………が………あ、ぅ……っぐ!!
 いやぁぁぁぁぁぁっっ!!!」

720 名無しさん :2020/03/27(金) 22:03:05 ID:???
ずぶずぶずぶずぶっ!!

「うぁああああああああああああぁぁぁっっっ!!!」

人間の腕、いや脚ほどもある極太産卵管が、サラの秘唇を容赦なく貫く。
ジェシカの言う通り、産卵管は圧倒的な密着感でサラの膣道が埋め尽くし、内側の性感帯を全部一度にこすり上げていく。

「い……やあ………♥♥…こ、れ…だ…めっ……!!………ぬい……て………んにゃああああああ♥♥!!」
しかも、特に弱い部分を狙い撃ちにするかのように、産卵管表面に微細なイボイボが絶妙に配置されている。
…ほんの少し動かしただけでも……全身を激しい悦楽が電流のごとく駆け巡り、サラの理性をあっという間に焼き尽くしてしまう。

(な、に…これぇっ……こんな、感覚…♥…しら、にゃいぃぃ……♥♥♥)
「ぃ……♥♥………ぅ……♥♥♥♥」
「痛いっすかぁ!? 抜いてほしいっすかぁあ!? そんなワケないっすよねぇ!!!
あっしの身体から出るフェロモンで、アンタの身体ギュンギュンに発情しまくってておまんこもぐっちょぐっちょで、
根元まであっしの産卵管ずっぷし吞みこんじゃってんじゃないっすかぁあああ!!」

ぐちゅっぐちゅっぐちゅっグリグリグリグリグリ!!

「あ♥あ♥あ♥あ♥ああああああッッッ!!!……も、やめてぇえええ♥♥!!ゆるひへぇえええええ!!!♥♥♥」
(だ♥♥♥だ、めぇ……♥♥♥……これ、ほんとに、だめなやつ……♥♥♥♥)

(やっぱり、むり、だったのぉ…♥♥…あたしなんかが、マリアさん、みたいにたたかう、なんてぇ…♥♥♥)

(いまの、あたしのすがた……もし……アヤメたち……みられ……たら………っぉおおおお……♥♥♥♥)

いつしかサラは、敵であるジェシカにしがみついて、許しを乞いながら獣のような咆哮を上げていた。

マリアに助けられ、クレラッパーとして戦った日々の記憶。
彩芽たちと出会い、旅をした記憶。
それらがサラの脳裏に次々と浮かび上がっては……砂のように崩れ落ちていく。

「はぁっ…♥♥♥…はぁっ…♥♥♥…はぁっ…♥♥♥」

身体が動かない。特に下半身は、溶けてなくなってしまったかのように感覚そのものがまるでなかった。
サラは自らが撒き散らしたねばつく液体だまりの真ん中で、お尻を突き上げたまま突っ伏して荒い息を吐き続ける。

「…ふん。ただの軽〜い挨拶程度で、そこまで気持ちよくなれるなんて……いい気なもんっす。
今の腑抜けたアンタなんて、ゴキブリの餌にもなりゃしない。
早く、記憶を取り戻したアンタにあっしの卵を全〜〜部ブチまけて、内臓全部食い破ってあげたいっすわぁ……」

ジェシカは産卵管をゆっくりと引き抜くと、この上なく惨めな姿で突っ伏すサラの姿を一瞥する事もなく部屋を出ていった。

後に残されたのは、骨の髄までの恐怖と絶望、そして快楽を叩き込まれ、気を失ったサラと……

「…あう………っぐ…!!……っ………!!!」
………サラ達が争っている間中、ずっと水滴拷問に晒され続けていた、サキ。
異変に気付いた舞がこの部屋に駆け付けるまで、サキは延々と地獄の苦しみを味わい続ける事となった……

721 名無しさん :2020/03/27(金) 22:57:56 ID:2Y..UVLs
「こんなんじゃ全然、喰い足りねっすわ……
誰か……誰でもいいから、ブチ喰らえるエサは………」

……地下闘技場。
そこでは、トーメント王国に捕らえられた捕虜たちが闘士となり、日々過酷な戦いを強いられる。
観客達がそれを賭けの対象にし、ゆがんだリョナ性欲のはけ口にするという、まさに悪魔の娯楽施設である。

ジェシカの向かった先は、その選手控室……つまりは捕虜たちが捕らえられた牢獄だ。

「てなわけでぇ……お二人さんに相手してほしいっす。
もちろん二人まとめて、フル装備オプションマシマシの特殊能力アリアリでいいっすよ?
そのくらいじゃないと、楽しめないっすからねぇ」

「随分と、舐められたものですね………」
「良いでしょう。受けて立ちます……せいぜい後悔なさい」

勝てば捕虜から開放……という条件をちらつかせるまでもなく、『二人』はジェシカの誘いに乗った。


「赤コーナー!!
虫っぽいことは大体できる という大雑把にして最強最悪な特殊スキル持ち!
虫嫌いな人は観戦注意だ!『恐怖の気まぐれ虫娘』ジェシカー!!」

「「「ウォオオオオオ!!!!」」」
「やっちまえーー!!」
「虫子今日も世界一キモかわいいよー!!」

「青コーナー!!
シーヴァリア円卓の騎士は伊達じゃない!固い絆と完璧なコンビネーションを武器に、
無茶ぶり無理ゲー当たり前な地下闘技場を勝ち抜いてきた実力は本物!
『隼翼卿シェリー』&『睥睨卿メデューサ』……しぇりめでゅコンビの登場だー!!!」

「「「ヴァァァアアアアア!!!」」」
「なんだよ今日は普通の鎧かよー!!………アリだと思います!!」
「めでゅ様こっち向いてーーー!!!」

「実況は例によって私ジッキョー、解説はいつものカイセツさんでお送りします!!
さぁー! というわけで急遽始まりましたこのエキシビジョンマッチ!!
正体不明のインセクトガールvsどこか百合を超えたガチさを感じる危険なハードコアタッグ!
この勝負どうみますかカイセツさん!!」

「そうですねー。
しぇりめでゅコンビはシーヴァリア編後半の時点でやられ役になってたし、流れ的にも所詮かませ犬って感じですから…
たぶん次の書き手さんが1レスであっさり終わらせて終了なんじゃないですか?
それより私、聖剣3体験版と熱森をですね」

「ひひひひ……行くっすよぉぉぉ!!」
「シーヴァリア円卓の騎士の剣……」「とくとご覧なさい!!」
「「はぁぁああああああああぁぁっ!!!」」

「「「ウォォォオォォォオオオ!!!」」」
「ちょ、待ってください!そんな事言ってる間に試合が……って、これは…!?」

722 名無しさん :2020/04/02(木) 20:26:34 ID:4vmvxjBI
「ウ、ヴ、ギシャーーーー!!!」

実況が驚きの声をあげるのも無理はない。
突如叫び声をあげたジェシカの下半身がブクブクと膨れ、あちこちから虫の鎌や角、牙、さらには先ほどサラを犯し尽くした産卵管が大量に生えてくる。ジェシカの下半身はそのまま大量の虫の武器を生やしながら膨張を続け……最終的には、ワームやドラゴンのような大型モンスター程の大きさにまで到達した。
元の少女の姿のままの上半身が、ポツンと残されているのが余計に不気味さを増している。

「な、何ですかあの奈落の最終形態みたいな姿は!?」

「えー、ここで、解説助手として依頼を出したフォーマルハウト様と、通話が繋がっております。現場のフォーマルハウトさーん」

「解説さん、現場にいるのは私たちです!」

『ククク、やはりこうなったか』

声を加工して正体を隠しているため、観客たちには分からないが……スネグアの声が、実況席に置いてあるパソコンから響く。

「フォーマルハウトさん、一体どういうことですか!?」

『親の仇を殺す本能を無理矢理抑えた結果、破壊衝動が爆発したのさ。今まではミシェルから貰っていた薬で本能を抑えていたようだが、彼女が消え、さらには世界を越えてようやく見つけた仇の前でお預けを食らい……簡単に言えば欲求不満なのさ。ひとしきり暴れたら姿も戻るだろう』

「なるほど、だから最近のジェシカは荒れてたんですね!」

「解説さん、フォーマルハウト様、ありがとうございました!さぁ、一気にグロい形態に進化したジェシカを前に、騎士コンビはどうするのでしょうか!?」



「はっ!!」

剣を鞘から抜きながらの居合切りを交えた、高速剣術。シェリーの得意とする戦法で、襲い来る尻尾や舌を的確に切り落とす。

「今よめでゅ!」
「喰らいなさい!」

シェリーが時間を稼いでいる間に、メデューサの蛇剣ウロボロスがジェシカの巨大な下半身を這うように進んでおり、元の少女の姿である上半身を狙う。

「ガアア!!」

だが、一見弱点に見えた部位も、薄いが硬い透明な殻に覆われていて、攻撃を阻む。

「くっ、攻撃が通らない……!」

「こういう時にベルガやデイヴがいれば、助かるのだけれどね……」

「ないものねだりをしても仕方ないわ。何とか私が攻撃を通すから、しぇりはその間私を守って!」

「ええ!」

異形と化した少女と、二人の女騎士の戦いは続く。



そして、それと同じ頃……



「ふぅ、何とか忍び込めたな……みんな、このまま観光客になりすましつつ、捕まった仲間たちを……」

「あ、トーメント名物のクッコロポックル人形とかハーラーブレッドとか買ってこうぜ!アゲハ用に、ヤヨイ用に……テンジョウ様にはスケベーカリーでいいか」

「女の子の肌の柔らかさを再現したサンドバッグから転じて、滅茶苦茶人肌の暖かさに近い布団があるらしいなり!これで旅先でも安眠間違いなしなり!」

「この無骨なメリケンサック、あたしの趣味ピッタリだ……中々どうして、悪くないじゃないか、イータ・ブリックス」

「いやガチで観光を楽しまなくていいんだよ!?」

喧しい4人組も、王都に到着した。

723 名無しさん :2020/04/05(日) 16:03:06 ID:???
「………あれ………ここ、は………?」
サラが目覚めると、そこは見知らぬ部屋のソファの上だった。
体を起こして周りを見渡すと、近くのベッドには、サキがすやすやと寝息を立てている。
その横に控えているのは、柳原舞………ジェシカが去った後、二人を救出したのは、言うまでもなく彼女である。

「目が覚めたわね。ここは、私たちの隠れ家の一つよ。
……サキ様のついでに助けてあげたんだから、感謝しなさい」

「そう……ありがとう。………あの虫女は?」
「地下闘技場で、捕虜相手に暴れてるわ。ちょうどTVで中継されてる」

─────

ガキンッ!!ザシュッ!!ズバッ!!
「キャーーハハハハハハ!!
ムダムダムダムダムだっすよぉおお!!二人とも、あっしの蟲に喰われるっすァァアアアアア!!」

「くっ……まだ、まだ……このくらいでぇぇぇっ!!」
「しぇり、あぶないっ!!戻れ『ウロボロス』っ……!!」

「さあー大変なことになってきた!!
ムシムシ大行進状態のジェシカの猛攻を、しぇりめでゅコンビが鉄壁のコンビネーションで防ぐ!かわす!捌き切るぅぅ!!」

「ジェシカの発狂モードは、ますますヒートアップしています!
対するしぇりめでゅコンビは、今のところほぼ防戦一方!!
スタミナが尽きる前になんとか有効打を与えたい所ですが、あの怪物相手にはそれも難しいでしょう。
当然その後は、お約束コースへ一直線……」

「いわゆる時間の問題ってやつですね!その時を今か今かと待ちわびて、会場のボルテージもうなぎ上りであります!」

─────

「もう、いいわ………消して」

圧倒的物量の蟲の海に、徐々に飲み込まれていく二人の女騎士。
その光景を見たサラの表情からは、完全に血の気が引いていた。

「厄介なやつに目を付けられたみたいね……それで、どうするの?
本来、アイツの狙いは貴女なんでしょ?」

「私に、どうしろって言うの………今の私じゃ、あんな奴に敵うわけない。
……この世界に来て、つくづく思い知らされたわ。
マリアさんから『クレラッパー』の力を受け継いで、強くなったつもりでいたけど……
結局あの頃から、私は何一つ変わっていなかった。
彩芽や唯達…この世界に連れ去られた子を助け出すつもりだったのに、逆に助けられたり、足手まといになったり。
……私一人じゃ、結局何にもできない……」

「『どうしろ』、なんて言うつもりはないわ。『どうする』のか、聞いてみたかっただけ。
そもそも最初に出会った時点で私より弱かったあなたが、一人で出来る事なんてたかが知れてる」
「……言ってくれるわね」

サラは、舞と初めて遭遇した時のことを思い出した。
ほとんど何もできずに一方的に叩きのめされ、彩芽やアリサの助けで難を逃れた……サラにとって、苦い過去の一つである。

「でも正直あの時、あなたが羨ましかったわ。私はあの時『一人』だった。……だから、敗れた」
「…………。」

「……悪いけど、私たちはこの後、フォーマルハウト隊の指揮下として従軍する事になってる。
この隠れ家は引き払わなきゃいけないし、サキ様が目覚める前に出て行ってもらうわ」

今のサキと舞の立場では、脱走捕虜であるサラを匿うだけでもかなりの危険を伴う。
味方のはずのトーメント兵たちは信用できないし、この隠れ家も、いつ危険にさらされるかわからない。
まして、サキが気絶しており、サラを助けたのは完全に舞の独断……一時的に匿うだけでも御の字と言うべきだろう。

「……私にだって……今やるべき事くらい、わかってる。でも……」
ゆっくりと立ち上がり、体の調子を確かめ……部屋を立ち去ろうとするサラ。
だがその時……

(良いじゃなぁい……あの蟲娘ちゃんなら貴女を確実に、グッチャグチャに嬲り殺してくれそう♥
そして、貴女の魂は晴れて私の所有物になるってわけね♥……フフフフフ……)

……サラの頭の中で、忌まわしい悪魔『アージェント・グランス』の声が囁いた。

724 名無しさん :2020/04/05(日) 20:07:38 ID:???
「う、ぅ……!」

頭を抑えてふらつくサラ。だが耳を塞いでも、悪魔の声は変わらずに聞こえて来る。

(多分蟲娘ちゃんはお留守番だろうから、貴女を助け出そうとしてる『あの子』たちと戦いになるでしょうね。
そしてそれを見てられなかった貴女はぐちゃぐちゃに殺されるか、私と本契約する……どちらにしても魂は私のものね♪)

「あの子……?まさか、アヤメが……?」

「ちょっと、大丈夫?」

突然ふらついてブツブツと独り言を言うサラに、訝しげな目線を送る舞。


「え、ええ、大丈夫よ。ごめんなさい……それと、助けてくれてありがとう」

頭を抑えながらふらつく足取りで今度こそ部屋を出るサラ。そのまま、内なる声と会話を試みる。

「なぜ、そんなことを知っているの……?」

(ふふん、悪魔の力を舐めないことね。戦争の予兆であちこちに邪悪なマナが漂っている今、私に分からないことなんてないの)

「じゃあやっぱり、アヤメやアリサたちが、私やサクラコを助けに?」

(アヤメちゃんはいるみたいだけど、他は知らない子だわ)

「そう……今アヤメはどこにいるの?」

(そこまで教える義理はないわ。自分で探すのね……でも特別に、『足』を用意してあげたわ♪)

その声の直後、どこからか聞き慣れたエンジン音と共に、サラの目の前にバイクが無人で走ってきた。

「これは……」

アージェント・グランス。悪魔の化身。
サラがトーメントに捕まった時にナルビアのスパイがどさくさ紛れに盗み……それをまた彩芽が盗んだもの。
彩芽が持っていたはずだが、独りでに走り出し、今こうしてサラの前に戻ってきたのだ。

ブレスレットがないので変身はできないが……それでも移動手段があるのとないのとでは、大違いだ。

「ジェシカと戦うかは今は置いておいても……何もしないわけにはいかないわよね」

戦争の時は近い。彩芽たちが行動を起こすとしたら、その時だろう。それまでに覚悟を決めることができるか……今回も運命の戦士たちに任せきりになってしまうのか……


一抹の不安を覚えながらも、サラはバイクに跨って、当てもなく走り出した。

725 名無しさん :2020/04/11(土) 21:42:51 ID:???
「「たあああああぁぁっ!!」」

爪、鎌、産卵管、その他さまざまな蟲触手の大群を、次々に切り伏せていくシェリーとメデューサ。
虫たちの圧倒的物量に圧され、このままでは埒が明かないと、ここに来て二人は攻勢に転じていた。

「クックック……そう来なくっちゃっす……GGRRRRRRRAAAAAA!!!」

「「「ジュルルルルルルッッッ!!」」」
臆することなく向かってくる二人に、蟲触手の大群が襲い掛かる。

「甘いわっ!!」
シェリーは必要最小限の動きで行く手を塞ぐ触手を切り捨て、血路を切り開く。

「「ブオォォォォォォンッ!!」」
更に空中からは、毒蜂、甲虫、吸血羽虫などが群れを成す。

「こんな物で……私たちは止められないっ!!」
メデューサが鞭剣を振るい、迫りくる虫たちを次々と撃ち落としていく。

……足元に無数の蟲の死骸が散らばる。
飛び散る毒液が白銀の鎧を汚し、体力を削っていく……だが、二人は速度を緩めることなく走り、
一気にジェシカの本体へと迫った。

「奴の防御壁を破るには……」
「……私たちの、最大火力をぶつけるしかない。行くわよ、しぇり!!」

「サーペンツ・ペネトレイション!!」
「ヴァンダーファルケ・クライゼン!!」
……バキィィンッ!!

メデューサが鎖剣をドリル回転させながらの鋭い刺突。それに合わせて、シェリーが目にも止まらぬ連続切りを繰り出す。

「ヒヒヒヒ……あっしの『シェルターウォール』は、クロカタゾウムシ級の硬度を持つっす。
アンタら程度の力じゃ、貫けないっすよ」

「それは……どうかしらっ!!」「出でよ、翼ある蛇……」
「「ケツァル・コアトル!!」」

……ビキィィンッ…………!!
「おぉっ!?」

シェルターウォールに突きたてられた二本の剣の切っ先から、竜を象った雷撃が発生する。
雷の竜はシェルターの外殻にぐるぐると巻き付き、激しい熱を放った。

「あっちゃぁ……こりゃちょっと、ヤベー感じっすねぇ」

シェルター内部の温度が急上昇し、ジェシカの笑みが引きつり始める……

「ふ……確か、虫は炎に弱いんだったかしら?」
「このまま丸焼きにしてあげるわっ!!」

ドガアァァァァッ!!!

「………っ!!」
シェルター内で激しい爆炎が巻き起こり、その衝撃で外殻が粉々に砕け散った。


「おおおおっ!!なんと、大番狂わせ!!かませ犬かと思われたしぇりめでゅコンビ、強烈な一撃!!
ジェシカの上半身を……いや。ここでやったか!?とか言っちゃうと、大概フラグなんですが……」

煙が徐々に晴れ、シェルター内部の様子が徐々に明らかになる。
そして……シェリーとメデューサが目にしたのは、本体から切り離され、黒焦げになったジェシカの上半身の残骸だった。

「……どうやら、死んだみたいね」
「厄介な化物だったわ……倒せたのは貴女のおかげよ、しぇり」
「ふふ……めでゅの方こそ。貴方が背中を守ってくれるから、私はまっすぐ前を向いて戦える」
シェリーとメデューサは、手を取り合って、イチャイチャと互いの健闘を称え合う。
だが……

(どくん………どくん………)
巨大な昆虫の下半身は、未だ不気味に脈動していた。

726 名無しさん :2020/04/11(土) 22:17:43 ID:???
「決着ーー!! 巨大昆虫触手怪物と化したジェシカ選手でしたが、
シェリー&メデューサの合体技によって焼却されてしまいました!!」

「ジェシカ選手の蟲触手攻撃も圧倒的な物量でした、が……
それを掻い潜って本体に接近できたのは、二人の絶妙なチームワークあってこそ。
そして、最後のあの大技。実に見事と言わざるを得ませんねこれは」

「おおーい!まじかよぉお!大穴じゃねーか!!」
「くっそあああ!!俺の全財産がぁぁぁ!!」
「いやぁぁぁ!!今日こそめでゅ様の泣き叫ぶお顔が見られると思ったのにいぃぃ!!」

悲鳴と怒号に包まれる大観衆。……どうやらその大半は、シェリーとメデューサが負ける方に賭けていたらしい。

「まぁ、ここの連中らしい、というか……ほっといてさっさと帰りましょう」
「そうね、めでゅ……蟲の体液で下着までぐちゃぐちゃ。早く帰って……」
「ええ。久々に、ゆっくりシャワーでも浴びたいわね。しぇり……」

「クックック……そうは問屋が卸さないっすよぉ」
「「きゃぁあっ!?」」

手を取り合いながら、巨大虫の下半身から降りようとする、メデューサとシェリー。
だがその時。
新たな『手』が二人の足元から突然生え、がっしりと足首を掴んだ!!

「うっ……嘘……こんな事って……!!」
「何よこれ……一体、どうなってるの……!?」

「言ったはずっすよぉ?あっしは、虫っぽい事なら大体できるって………」

巨大虫の身体を突き破って現れたのは、二人のジェシカ。
シェリーとメデューサの身体にムカデのごとく巻き付きながら、カギ爪や触手で手足を絡め捕っていく。

……それだけでは、ない。

「キヒヒヒヒ……あっし『達』を倒したと思いました?甘いっすねぇ……」
…3匹目、4匹目。

「駆除したと思ったらわらわら大量に出てくるのって、虫っぽくないっすか?」
…次々に、巨大虫の残骸を食い破って新たなジェシカが二人の前に姿を現す。

「昔からよく言うっすよねぇ…」「…一匹見たら、30匹はいると思えって」
「しぇ…しぇりっ……」
「めでゅっ…!!」
つないだ二人の手が、力任せに引きはがされる。
分断されたシェリーとメデューサを、それぞれ十数匹ずつの殺戮昆虫が取り囲んだ。

「さぁ、第2ラウンドの、始まり…」
「いや……終わり、っすかねぇ?」
「「「ギヒヒヒヒヒヒヒッ!!」」」

727 名無しさん :2020/04/12(日) 20:44:13 ID:???
「久しぶり、マスター……『オリジナルカレー ハチミツ抜き ガラムマサラマシマシ』で」
「ほう、『白銀の騎士』様か、久しぶりだな。……生きていて何よりだ」

「え……ええ。あれから、色々あって……この店も、まだ営業してるとは思わなかったわ」

……サラが訪れたのは、イータ・ブリックス城下にある宿屋兼酒場、『邪悪にして強大なるワイバーン亭』。
その裏では『情報屋』としての側面も併せ持ち、サラがこの世界に来て間もない頃にはよく利用していた。

「ふん……俺もしばらく留守にしていたからな。……で、何が必要だ?武器か、それとも情報か」

一方、店主の男……『竜殺しのダン』も、唯たちと別れた後、つい最近戻ってきたばかり。
今は連合国陣営からの要請を受け、来るべき『戦争』に備えてトーメント王国内の情報を収集している。

「アヤメ・フルガキ…彼女がこの町に潜入していると聞いたわ。詳しい情報があったら教えて」
「ああ、あいつか。実は、この店で落ち合う事になっていたんだが……想定外の事態になってな」

そう言って、ダンがTVを付けると……映し出されたのは、闘技場の試合中継。
そこには先ほどサラが観た時よりも遥かに凄惨な、地獄絵図が繰り広げられていた。

─────

バキッ!メキッ!!
「やっ……やめてっ……ひっ!!」
シェリーは蜂型に変化したジェシカの一群に捕らえられ、空中で磔にされていた。
元々騎士の中では軽装だったシェリーの鎧は簡単に引きはがされる。

「さっきは、アンタらに」「あっし達の分身が、お世話になったっすからねぇ……」
「お礼に、じっくり時間をかけて」「たっぷりと、いたぶってあげるっすよ」

そこに他のジェシカ達が何匹も群がり、太くて長い毒針を次々と突き立てた。
ドスッ!!ザクッ!!ブスッ!!
「いやああっ!!ふぐうっ…!!……め、めでゅっ……助け……うごぉあああぁ!!!」
薄手のハイレグレオタードはあっという間にボロボロにされ、鮮血で真っ赤に染め上げられていく……

「しぇりっ!!くっ……あなた達……絶対に許さないっ!!『邪眼発動』……」
「おっと……ヤらせないっすよぉ?」
ビュッ!!

「きゃぅっ…!?」
石化能力を発動しようとしたメデューサだが、髪に隠れた『邪眼』が見開かれた瞬間……
横からジェシカの毒液が浴びせかけられた。

ジュゥゥゥゥゥッ……!!
「っいやぁあああぁぁぁっ!!…目……私の、目が……!!」
「別に一体や二体、石にされたところで、痛くも痒くもないっすけど…」
「……やっぱ多少はムカつくっすからね」
「アンタらのターンは……もう永久に回ってこないっすよ。ククク」

毒液に焼かれ、目が見えなくなったメデューサも、ジェシカたちに捕らえられてしまう。

「こっちは、相方ちゃんの目の前で公開産卵ショーといくっすかね……ひひひひ!」
「『本命』の前に、あんまり無駄打ちするのもイヤっすけど……」
「減った分は増やさせてもらうっすよぉ?」
「産卵、って……そんな……いっ、嫌ぁぁああああああああ!!!」

シェリーに比べて重装備なメデューサの鎧も、ジェシカ達の手に掛かればさしたる違いはない。
ロングスカートを引き裂かれ、腰部装甲は粉々に噛み砕かれ、サラを犯した時と同じ、極太の産卵管が鼻先に突きつけられる。

「がはっ………う、ぐ……やめ、なさい……め、でゅを……放せ…!」
「しぇ、りっ………うぅ……お願い、見ないで……!!」

「見えなくても大きさがよくわかるように、体中にスリスリしてあげるっすよ……けっけっけ」
「ほれほれ。抱き着いて、感触を確かめてみるとイイっす……!」
「ひ………!!」
(やっ……すっごい、太い……熱くて、脈打ってる……こんなの、無理よ……入るわけ、ないぃ……)

「ウォォオオオ!!いいぞ虫女ー!!」
「いけいけー!!ヤっちまえーーー!!」
「キャァァァァめでゅ様素敵ィィぃ!!私も犯したーい!!」

百合NTR+虫産卵の危機を迎えたしぇりめでゅコンビに、会場の熱狂は天井知らずに高まっていく。

─────

「…………。」
一方、中継を見てしまったサラは、今まで以上に顔色を失っていた。
あの偏執的な破壊衝動が、もしまた、自分に向けられたら……そう思うと、体の震えを抑えることができない。

「あの二人は、シーヴァリア所属の聖騎士だ。いずれ隙を見て、救出してこっちの戦力に加えるつもりだったんだが……」
「仕方ないわ……あのジェシカってやつは、正真正銘の化物よ。……勝てるわけない」

「おかげで………予定が早まっちまった。アヤメ達は、既に二人の救出に向かってる」
「なん…ですって……!?」

…ダンの予想外の言葉に、サラは思わず目を見開いた。

728 名無しさん :2020/04/18(土) 15:56:05 ID:???
「ぐっへっへっへー。男好きするいいボディっすねぇ〜。鎧で隠すなんて勿体ないっすよぉ」
「んっぐ…!!……う、っむ……ん、ぁぁんっ……っぐぅっ…!!…」

ローブと鎧を引きちぎりながら、下卑た笑い声をあげるジェシカ。
口を塞がれ、苦し気にうめく事しかできないメデューサ。
割れんばかりの大歓声と衆人環視の元、女騎士の身体を苗床とした悪夢の産卵ショーが繰り広げられていた。

目に毒液を浴びせられ、両手を蜘蛛糸で拘束された状態で、
咥内膣内菊穴耳穴……全身至る所に、太ささまざまな産卵管が差し込まれ、大量の虫の卵が注ぎ込まれる。
…文字通り、細身な身体がはちきれんばかりに。

「いいぞもっとやれーー!!」
「たまんねぇなぁ……あの女騎士、鎧の下はとんだドスケベボディだぜ!!」
「ああ、私のめでゅ様が……あんな無様で惨めな格好で、誰とも知らない虫の卵を孕ませられて、……最、高……」

「やめ…て………やるなら、私をやりなさいっ……彼女は……めでゅは……うぅ……!!」

その様子を、特等席で見せつけられているのは、パートナーとして共に戦っていたシェリー。
だが、ジェシカ達の針や鎌に全身を刺し貫かれて身動き一つできず、目の前で犯されていく親友を観ている事しかできない。

「ひっひっひ……彼女は…何だっつーんすかぁ?…大体予想はつくっすよぉ〜?
こんなエロい体と顔してるくせに、ガッチガチに鎧でガードしてるようなタイプって…
よほどのムッツリドMか、男嫌いか……」

「……見ない、で……おねがい……見ないで……」
「おんやぁ?………これは、隷属の刻印……なるほど、そういう事っすか……ひっひっひ」

メデューサの背中に刻まれた刻印を目ざとく見つけ、ジェシカが口元をゆがめた。
その時……


……ブツンッ!!

会場内の照明が、一斉に消える。

「おおーっと!?これは一体どうした事でしょう。真っ暗になってしまいましたよカイセツさん!?
 ただいま入った情報によりますと……どうやら、会場内のシステムがハッキング攻撃を受けているようです!」

「これは、まさか……近頃世界各地で暗躍しているという、スーパーハッカーAYMの仕業でしょうか!
だとすると、犯人が更に何かを仕掛けて来るかもしれません!!」

「おいおいマジかよぉぉーー!」
「騎士のねーちゃんが見えねーぞーー!!」
「くっそぉ…スーパーハッカーAYMめ!!お前が美少女だったらレイプしてやる!!」
「ふっふっふ……こんなこともあろうかと、望遠カメラの暗視機能でめでゅ様の艶姿をばっちり(ry」


「ん〜?誰だか知らないけど、乱入なら大歓迎っすよぉ?
……ちなみにあっしは虫っぽいこと大体できるんで、暗闇なんて何の目くらましにもならないっす」

辺りが闇に包まれ、観衆がざわめき始めた。

「ずいぶん有名だなスーパーハッカーさん」
「通称が糞ダサくて草なり」
「ボクが名付けたわけじゃないんだけど……そんなことより、第1作戦ゴーだ!!」

「おっけー!……でやっ!!」

物陰に潜んでいたノーチェが、ボールのようなものを、思いっきり投げる。
「『アヤメカイNo.089 バーニング照明弾』……発火!(ハッカーだけに)」

(ドーーーーン)
放り投げられたボールは、ちょうど試合場の真上あたりで突如爆発し、太陽のごとく燃え盛った。

「っお!?びっくりしたっす……何なんすか、あれ……は……?…」


闇の中で赤々と燃える光源。
ジェシカは、それを見ているだけで……魂が、光の中に吸い込まれていくような感覚を覚える。

ぶぉぉぉおおおおおおん………

「「ギエェェェェェ!!!!」」
「………は!?……っうおっ!!あぶねっす!!」

気が付いたら、ジェシカ達は一斉に羽を広げて、燃え盛る謎の火球に向かって一直線に飛んでいた。
飛び込んでしまった数匹の悲鳴で、残りのジェシカ達は何とか我に返る。
走光性……光に集まる虫の性質を利用した罠である。

「よし、今のうちだ!二人を回収して……」
「秘密通路で地下道に逃げるなり!」

キリコが格闘場の壁を叩くと、まるで忍者屋敷のように壁が回転して通路が現れた。
昔々は、唯やアリサ達も蟲から逃げるために利用した事があるという、由緒ただしい通路である。
塞いどけよって言いたくなるけど、それは置いといて……

「やってくれたっすね……絶対、逃がさないっす……!!」

729 名無しさん :2020/04/18(土) 19:52:50 ID:wOstanUQ
「あーくそ!メデューサの奴重いんだよ!!主に胸が!チクショウめ!!」

「お前が一番パワータイプなんだから我慢しろ!ちなみにシェリーは割と軽いぞ!」

「一番大荷物なのは撃退アイテム持たされてる私なり!あ、でも毛布で包んで浮かせてるから重くはないなり」

「えーと、次の別れ道を左に曲がって、2つ目の牢屋を壊してショートカットして……」

ノーチェがメデューサを、キリコがシェリーを抱え、コルティナはアヤメカイNo.64「殺虫カンシャク玉」をばら撒き、彩芽は眼鏡にインプットされた地下道の地図を見ながら最短経路を指示する。

役割分担しつつ順調に逃走していた一行。このまま首尾よくダンの店まで行けるかと思ったが……そう、上手くはいかない。

「ひっひっひ……地下は虫の巣窟と、相場が決まってるっすよー!」

「くっ……みんな!こっちだ!」

熱感知で正確に一行の位置を把握したジェシカが、カンシャク玉をものともせずに後ろから凄まじいスピードで追走してくる。
さらには、地下の虫たちが密集して彩芽たちの前に文字通り壁になって立ち塞がり、カンシャク玉で撃退する暇もなく、彩芽はやむを得ず逃走ルートを変える。

「ヤバいなりヤバいなりヤバいなりーー!このままじゃとうとう私たちもリョナられちゃうなりー!」

「キリコとコルティナはミツルギ編とルミナス編でそれなりにリョナられてたから手遅れだろ!」

「ノーチェてめぇ!一人だけ後方師匠キャラとかいう美味しい上に安全な位置につきやがって!」

「ふん!何とでも言え!多分今回も追い詰められたところでメインキャラが颯爽と助けに来てそいつがリョナられるパターンだし、私だけはリョナとは無縁に逃げ……おわぁ!?」

自分だけは助かる!という映画とかだったら死亡フラグな台詞を言った直後……ノーチェが突然転ぶ。
別に足を滑らせたわけではない。ノーチェに抱えられたメデューサが、いきなり後ろに体重をかけて転ばしたのだ。

「いってぇ……おいゴルァ!なにしやが……る……」

「ハァ……ハァ……!」

押し倒された格好のノーチェが文句を言うが、それは徐々に尻すぼみになっていく。
どう見てもメデューサの様子がおかしい。さっきまで犯されていた事を鑑みても、息が荒すぎるし頬も上気している。

そして何より……毒液で焼かれたはずの目が、まるで昆虫類かのような複眼になって復活していた。

730 名無しさん :2020/04/24(金) 03:23:39 ID:tsrYPuAA
「ヴヴヴ……ヴヴヴ……!」

ノーチェの背から転がり落ちたメデューサは、焦点が合っているのかもわからない複眼をギョロリと回しながら手を擦り始める。
それは明らかに人間の動きとは思えない、異質で、奇妙で、不気味なものだった。

「うえぇなんだこれ……!キッショ!円卓の騎士の中で1番のセクシー度を誇るメデューサが 、こんなになっちまうなんて……」

「ずっと某ロボットアニメの略称みたいにヴヴヴ言ってるなりよぉ……!これ、一体どうするなりか……?」

「どうするもこうするもこうなったら無理だろ!相手してたらあの親玉が来るし、シェリーだけでも連れて行くぞ!」

判断の早いキリコの言葉にうなずくノーチェとコルティナ。なんだかんだで1番人間のできているキリコの意見に従うことが多い2人であった。



だが──



「ダメだ。メデューサさんも助けないと……ちょっと気が引けるけど、ここで大人しくさせよう」

「ななな!?この状況で時間使うつもりか!?もうあいつはすぐそこまで来てるんだぞ!」

「そもそもの目的は、シェリーさんとメデューサさんの救出がメインクエストだよ。それを達成できないまま帰るわけにはいかない….この選択で今後の展開が変わるかもしれないし」

「………?ええっと……何て?ドラゴンクエスト?今後の展開?」

「……いったい何言ってんだこいつは……まあでも、最初の方に言ってた2人を助けるために来たのはそうだけど……」

「そ、そ、それに……なんか妙〜に説得力あるなり!これがメインキャラの発言力、スピーチスキルの力なりか……!」

異形と化したメデューサを諦める選択肢を捨て、アヤメカの入った鞄に手をかける彩芽。
以前の自分ならこんな危ない橋を渡ることはなかった。
迷わず逃げていた。
自己保身第一、いのちだいじにが1番大事な作戦だ。
そんな彼女を変えたのは、これまでの経験と、最近ヴェンデッタ小隊内で話題になっている第7部隊の活躍だった。



(唯……君は仲間を見捨てなかった。だからみんな君を信じて戦って、プラント作戦が成功したんだろ?……なら、君と同じ運命の戦士とやらのボクも、ここで頑張ってみるさ……!)



「ヴヴヴ……ヴヴヴヴヴ!!!」

「来るよ!3人とも気をつけて!」

初めてリーダーシップを取った彩芽の声が、地下水道に響き渡る!

731 名無しさん :2020/04/25(土) 17:27:32 ID:???
「ギシャァァァァァ!!」

メデューサの腕がサソリの尻尾のような異形に変化。
伸縮させながら、毒針攻撃を連続で繰り出してくる。
その太刀筋は、彼女がかつて得意としていた『蛇剣ウロボロス』を彷彿とさせた。
しかもあの頃以上に速く、重く、そして毒!

ビシッ!! バチン!! ガキン!!

ノーチェは渋々ながらも覚悟を決め、手甲『ストレングス・イズ・ザ・パワー』で攻撃を捌いていく。

「ったく、マジでやるのかよ!唯と言いコイツといい……異世界人ってのは、どいつもこいつもバカばっかりか!」
「それをお前が言うか……『くるみ』ちゃん」
「うっさいなーもう!!」

そこへキリコが横からツッコミを入れる。
そう。ノーチェの本名は「名栗間 胡桃(なぐりま くるみ)」……彼女もまた、異世界人なのであった。

「いっくぞおらぁぁああぁ!!」

(だいたい仲間っつってっも……私コイツの事あんまり好きじゃなかったんだよな。
新人とか後輩とか、平気でリョナって喜ぶようなヤツだったし………)

─────

(……ガキンッ!! ギュルルルルッ!! ザシュッ!!!)
「っきゃあああああああぁぁっ!!!」

「こんなものですか、リリス………
防御力だけは大したものですが、その亀のような鈍足では、私の『ウロボロス』の格好の餌食ですよ。
こうして全身を絡め捕って、隙間から刃を入り込ませて………」

(ギチギチッ……ギシッ………ずぶり!!)
「んっ………く………うっ、っぐあああああっ!?」

「ふふふ……このまま内臓を引きずり出してあげましょうか?
そもそも、この程度の実力で、円卓の騎士の末席に加えられるなんて……おかしいと思わなかったんですか?」

「はぁっ……はぁっ……ど、どういう、ことですか…!?」

「リリス・シヴリス。経歴書によれば没落貴族シヴリス家の子女。
騎士養成学校を優秀な成績で卒業したそうですが……シヴリスなんて貴族は聞いたことありませんわ。
あなたは一体、何者ですの?………と言っても、司祭様もおおよその見当はついているようですけどね」

「あの……おっしゃっている意味が、よく…っぐ!!……っう、あああぁ!!」

「これは、模擬戦の名を借りた尋問……いや、拷問。
貴方が心底から屈服するまで……徹底的に嬲って差し上げますわ、お姫様?」

「姫…?……い、一体、何の話…あんっ!!…きゃあああああ!!」

「………あーもう。うるせえな、おちおち昼寝もできねーじゃんか」
「貴方は…『鉄拳卿』ノーチェ…誰も来ないはずの、円卓の騎士専用地下訓練場に、なぜ貴女が!?」

「いやサボってたんだけど…………おい、そっちの新入り!」
「え?わ、私ですか!?」
「お前たしか、さっきコーラ買って来いって頼んだよな。覚えてねーけど頼んだ気がする!
グズグズしてねーで、さっさとキリコ達からも注文取って来い!」

「で、ですが私は……」
「何を勝手なことを。まだ拷問 …もとい、模擬試合は終わって」
「グダグダ言ってねーでさっさと買って来い!モタモタすんな!駆け足!!」
「は、はいっ!!」

─────

「いやー、懐かしいなぁ。……とか言ってる間にメデューサの懐まで潜り込んだぜ!」
「シャゲァァァァァッ!!!」
「こいつ……リョナシーンを回想内の他人に押し付けやがった」
「その発想はなかったなり」

「まあでもアレだ。そんな感じに、一番こっぴどくヤられてたはずのリリスの奴が…
コイツらの行方をマジで心配して、必死に探して、あたしらに『絶対連れて帰ってくれ』って頼んだわけで。」

「器がでかいのか、お人よしなのか……
世界を救ってやろうってな連中の考えは、あたしら庶民にはおよびもつかねー、ってな!」
(…ザシュ!!ザクッ!! ズバッ!!)
新たに伸ばされた触腕が、キリコの『千斬』で瞬く間に斬り落とされていく。

「……ギィィィッ!!」
追い詰められたメデューサは、目を大きく見開いた。
もともと持っていた邪眼の能力……それを、昆虫の複眼で増幅させた、全方位石化光線が発射されようとしている!!

「かくして我々『グータラ三姉妹』は、頭お花畑な女王様の元、平和なよの中で平和にグータラするために……
しょーがないから、たまにはちょっとくらいお仕事するなりよ。『ダークスモーク』!」

……短い詠唱から放たれた、コルティナの魔法。黒い煙が、ピンポイントにメデューサの視界を覆い隠す。

(すごい……この三人、ふだんはグダグダ言ってるけど、息がピッタリじゃないか…!)
メデューサの攻め手を次々塞いでいく完璧な連携に、
後ろで見ていた彩芽も思わず舌を巻く。

「ってことで、さっさと目ぇ覚ませ!!峰打ちアッパー!!」
「ギァァァァァアァァッ!!!」

732 名無しさん :2020/04/26(日) 12:16:36 ID:???
(ドゴッ!! ズドン!!)
「ギァァァァァアァァッ!!!」

ひとたび近づけば、『鉄拳卿』ノーチェの必殺の拳に砕けぬものはない。
何がどう峰打ちだったのか全くわからないが、とにかくメデューサは昆虫っぽい外甲を粉々に砕かれて戦闘不能に陥った。

「ギ、ギギギ……」
「…目ぇ覚まさないじゃん。しゃーない、今のうちにふんじばっとこうぜ」
「まあ単に殴っただけだしな。元祖虫女が来る前に、とりあえず移動しよう」
「まだ虫要素が抜けきってないし、安全なところで治療しなきゃなり」
「そうだね……でも、ボクが言いだしといてなんだけど、ここまで虫化しちゃって、ちゃんと治るのかな」

「つーか、無理だろ治すの。いっそ一回死なせちゃえば『王様のところで復活』するんじゃね?」
「いやー……ボクも殺されて復活した事はあるけど、あれはお勧めできないよ?
痛いし怖いし、血がいっぱい出るし、所持金半分になるし、何よりトーメント王にどんな事されるか」
なお我らが主人公は移動手段に使っていた模様。

「………アイツなら、何とかできるかもな」
しばらく考えた後、ノーチェがぼそりとつぶやいた。

「アイツって……もしかして、あのヒーラータンク女なり?」
「いたなー。そういやミツルギでちょっと会ったわ…でもあいつ、今どうしてるんだ?」
続いてコルティナとキリコも、彼女の存在を思い出す。

騎士志望の天才ヒーラー少女、ミライ・セイクリッド……
グータラ三姉妹も以前戦った事があったが、その反則じみた回復魔法には心底ウンザリさせられたものだった。

ただ一つ、問題があるとすれば……

「……聞いた話じゃ、ミライはトーメント攻略軍の一員に加わってるから……
今シーヴァリアから進軍中で、間もなくヴァーグ湿地帯へ辿り着く。戦闘が始まる前に合流できりゃいいんだが……」
「……あんまり時間はないって事か。……今はひとまず、安全を確保しよう」

ふたたびメデューサとシェリーを担ぎ上げ、地下水道をひた走る4人。
目指すダンの店は、あと少しのはずだ。

─────

「……ってなわけで、一応救出には成功したらしい。
アヤメ達は、もうすぐここにやってくる……下手すりゃ、例の虫女も一緒かもな」
「そう……今度出くわしたら…間違いなくバレるでしょうね。私の記憶が、戻ってる事」

ダンとサラは、酒場の地下室…下水道への秘密の出入り口の前で、彩芽たちの到着を待っていた。
その時……

「うわあああああああっ!!」
「出たなりーーーっ!!」
「くっそ、たまにゃーやる気出すかと思ったら…やっぱフラグかよぉぉおお!!」

通路の奥から、叫び声が聞こえてきた!
……どうやら「最悪の事態」が起きてしまったらしい。

「避けられない運命ってのは……どんなに逃げた所で、しつっこく追ってくるもんだ」
「ええ、わかってる………立ち向かうしかない、って事ね」

「…………。」
耳元で、また悪魔が何事か囁いていたが……サラはもう耳を貸さない事にした。

733 名無しさん :2020/04/26(日) 13:05:14 ID:???
時は僅かに巻き戻り、彩芽たちが逃走している間……

「っ!おいコルティナ!ちょっと持つの変われ!」

「え?ちょ、へぶっ!」

抱えていたメデューサをコルティナに投げ渡したノーチェは、近くの地下牢に駆け寄ると、馬鹿力で扉を開いて中に入っていった。

「おいノーチェ、何してる!早く逃げないと……!」

「うるせぇ!!」

止めるキリコを大声で一喝すると、ノーチェは地下牢の中に横たわれていた『死体』に駆け寄り、かき抱いた。

「ああ、くそ、どっかでおっ死んでるとは思ってたが……こんな所にいたのかよ、華霧……!」

「……ノーチェさん、ひょっとして、知り合い……?」

いつになく悲しげな声を出して死体を抱きしめるノーチェに、彩芽が恐る恐る声をかける。

「ああ、私の……友達だ。この世界に来てすぐ、はぐれたんだ……クソッ!モブ顔だから王も蘇生しなかったのかよ!」

ノーチェの腕の中にいるのは園場 華霧(そのば かぎり)……かつてルミナスとの戦争の前に、魔喰虫たちの餌にされて死んだモブである。

「なぁ、こいつも連れてっていいか?どっかで眠らせてやりたいんだ」

「いい話っすねー、不可能ということに目を瞑れば……なんつって!」

その時、突然ジェシカの声が響いたかと思うと……華霧の死体から伸びてきた鎌が、ノーチェの体を貫いた。

「が、はっ……!?」

「きっひっひ……『死体から沸いてくる』っていうのも……中々に虫っぽいっしょ? こいつの死体、ちょうど虫にやられてたっすし」

鎌に続いて全身を現したジェシカが、思いっきり鎌を振りぬいて、ノーチェを彩芽たちの方へ吹き飛ばす。

「うわあああああああっ!!」
「出たなりーーーっ!!」
「くっそ、たまにゃーやる気出すかと思ったら…やっぱフラグかよぉぉおお!!」

「ひーひっひっひ!!逃さないっすよぉ、このまま虫の苗床にして、あっしの分身を産むだけの存在にしてやるっす〜!」

慌てて逃げようとするが、負傷者が3人もいては逃げるのも叶わない。
ジワジワと迫るジェシカに、最早ここまでかと思われた時……



「待ちなさい、ジェシカ……貴女の相手は、私よ」

「……おんやぁ?」

「アヤメたちには……手を、出させないわ」

「サ……サラさん!!」

734 名無しさん :2020/04/29(水) 17:34:53 ID:???
「…サラ…さん………良かった…無事だったんだね…!」
「久しぶりね、アヤメ……色々話したいことはあったけど、あまり時間はないみたい。
みんなと一緒に下がってて」
サラは彩芽達をかばうようにジェシカの前に立ち、ハンドガンを構える。
かつて一緒に旅をしていた時と全く同じ、頼もしい後ろ姿がそこにあった。

「おい、お前らこっちだ!早く下がれ!!」
後から追い付いてきたダンが、重傷者を素早く担ぎ上げて退路を確保する。
……幸いジェシカが深追いしてくる様子はなさそうだ。
『本命』さえいれば、それでいい……そういう事なのだろう。

「その目、その雰囲気……もしかして記憶、戻ったんすかぁ?
ていうか実は、とーーっくに戻ってたとか?……ま、どっちでもいいっすけどねぇ……ククククク」
ジェシカの瞳が赤く輝き、全身が禍々しい装甲におおわれていく。
そして、目の前の一体だけではなく、通路の奥から同質の邪悪な気配が無数に近づいてくるのが、肌で感じられた。

「フフフフ……いよいよねぇ、サラちゃん…♥
ここでじっくり、貴女がぶち殺される所を見物させてもらうわ。
あ、本契約したかったらいつでも言ってね?
もし口が使えなくっても、心で私を呼ぶだけでいいわよ?それだけで、貴女の魂は……」
「…………。」

『悪魔』が耳元でささやく。サラは、振り返らない。ただ目の前の敵だけを見据えていた。


「……なんすかその目はぁ……ッヒヒヒヒヒ。そんなキラッキラした目ぇ見せられたら……
滾ってきちゃうじゃないっすかぁ……光に吸い寄せられちゃうのって……虫っぽくないすかぁぁ!?」

ジェシカが飛び掛かってくる。
サラは冷静にひきつけ、ハンドガンを撃ちながら紙一重で回避。
銃弾は、甲虫の装甲に弾き返される。

(……私は、ずっと、怖かった。
死ぬ事が、じゃない。
何もできないまま、この狂った世界を何一つ変えられないまま、消えてしまう事が……)


「ヘンシンできないのはちょーーっと残念っすけど、モー我慢できねっす!!
グッチャんグッチャンにしてやrっぼべ!!」
(ズドン!ズドン!ズドンッ!!)
「やってみなさい……やれるもんならね」

すれ違いざまに回し蹴りを叩き込み、脳天に残弾を叩き込む。
2匹目、3匹目のジェシカがすぐ背後に迫っていた。
カマキリの鎌と蜂の針を横っ飛びでかわし、マガジンを詰め替える。

(私がいなくなった後も、悪党どもはどこかで高笑いして、罪のない誰かが悲しみの声を上げる。
その声は誰にも届かなくなって…世界は、何も変わらない。)

(私のやってきたことも、マリアさんから受け継いだ正義も、私が死んだら全部無意味になってしまう。
そう思うと……怖くてたまらなかった。…どんなに悪党どもを逮捕しても、心が休まる日はなかった。
でも……)

「……さっきから、ブツブツうるさいっすねえぇ?」
「あっしが聴きたいのは、アンタの悲鳴っすよぉ」「っすよぉぉ?」
ブオンッ!! ガキンッ!!
「っく………!!」

横薙ぎに振るわれたかぎ爪を、拳銃でガードする……が、銃身が半ばから斬り飛ばされてしまう。
サラはやむなく銃を捨て、腰に差した小型ナイフを取り出すが……

「……ま、こんなオモチャでどうにかなる相手じゃないわよねぇ……♥
ところで、『次』は誰がいいと思う?
アナタのお気に入りのアヤメちゃんは、正直ちょっと貧弱すぎなのよねぇ。
どうせなら、前に一緒にいたサクラコって子か、いつだったかの黒セーラーの子とか…
さっき死にかけてたノーチェとかいう子も、なかなかオイシそうだったわねぇ…ふふふ」

(アヤメや、他のみんなに会って、少しずつ分かってきた。時空刑事の力なんてなくても……
正義の心を持っている人はたくさんいて、みんなそれぞれ、自分なりに戦っている。
闘技場に捕まっていた私を、アヤメが助けてくれたように。だから……)

「……あんたみたいなクソ悪魔、誰もおよびじゃないわ。アヤメも、サクラコも、他のみんなも。
諦めて、私と一緒に地獄に帰りなさい。あの子たちは……私が必ず守ってみせる。
それが私の……マリアさんから受け継いだ正義に、繋がっていくはずだから……!!」

「ふぅん……そこまで言うなら、貴女の魂だけで我慢してあ、げ、る♥
その代わり、地獄でたぁっぷり満足させてもらうわよ?」

全力で戦えば、あと10秒……いや、5秒は時間が稼げる。
それから口が動く限りジェシカを挑発して、徹底的にこの身体を嬲らせる。
うまくすれば、自分を殺した事で満足して、立ち去ってくれるかもしれない。

あとは…逃げ延びたアヤメ達が、きっとこの世界も、現実世界のことも……

「サラさんっ!!」

突然、誰かが耳元で叫んだ。
悪魔でも、虫女でもない。それは……

「あ、貴女…とっくに逃げたんじゃ……」
………彩芽が、サラのすぐ隣に立っていた。

735 名無しさん :2020/04/29(水) 18:06:22 ID:???
「ったくもー。すぐそうやって、一人で突っ込もうとするんだから……
ほらこれ!
ボクこういうの、バシッ!!とかっこよく投げ渡したりできないから、ちゃんと手渡さないとね」

……彩芽から手渡されたのは、以前敵に奪われたはずの変身ブレスレット。
クレラッパーに変身する……つまりはアージェント・グランスの力の一端を、一時的・限定的に借りるためのアイテム。
だが、以前とはどこか雰囲気が違うような……

「アヤメ……どうしてこれを?とっくになくしたと思ってたわ」
「いやー、(ナルビアの研究所に)偶然落ちてたのを拾ったっていうか……
でも、ただ拾っただけじゃないよ。
色々と中身を弄らせてもらって……なんかリミッターみたいなのがあったから、外してみたんだ。
たぶん以前とは比べ物にならないパワーアップしてるよ!」

「え?………そうすると、じゃあ……どうなるのかしら、この場合」
(はぁぁ!?ちょっとぉ!?このチビ、私の魔界アイテムに何してくれるわけぇぇ!?)

さすがの悪魔も、魔界のテクノロジーで作られたブレスレットを魔改造されるとは想定外だったようだ。
ブレスレットを改造して悪魔の力を無尽蔵に使うなど、
言うなれば「体験版のコードちょっといじったら本編丸々遊べちゃいました!」みたいなものである。
(あ、…ありえない。まさに……悪魔的所業だわ…!!)
「……ちょっと意味がよくわからないけど、とにかく使わせてもらおうかしら」

「サラさん、前にボクに言ったよね……パートナーにならないかって。
知っての通り、ボクは運動音痴だし、逆立ちしたってサラさんみたいに戦うことは出来ないけど……
その代わり、こういうボクにできる事でなら、全力でサポートする。……それじゃダメかな?」

「いいえ……十分よ。アヤメはアヤメのやり方で、あなたらしく。
そして、私は……やっぱり、こうじゃないとね!!………『閃光』!!」

女時空刑事サラ・クルーエル・アモットが<閃甲>に要する時間はわずか1ミリ秒に過ぎない。
ではその原理を説明しよう!
時空間に存在する未知の物質シャイニング・シルバー・エネルギーが超時空バイク「アージェント・グランス」によって増幅され、コンバットアーマーへ変換。
わずか1ミリ秒で<閃甲>を完了するのだ!

(い、いやぁぁぁっ……!?…なにこれ、私の力、全部吸い取られて……!!)
「何回聞いても何言ってるのかよくわからないっていうか、未知の物質とか言ってる時点で原理の説明になってないよね」

「そんな事より……すごいわね、これ。力がどんどん溢れてくる。
これなら5秒と言わず……10分くらいは持ちそうかしら」
「……5分で片づけられるさ。ボクとサラさんならね」
白銀のスーツに身を包んだサラ。
その横で、彩芽も対昆虫用のアヤメカイを取り出し、戦闘態勢を整える。

「ヒッヒヒヒ。……ついに出たっすねぇ、白銀の騎士ィィィ……」
「空気読んで、大人しくしてた甲斐があったっすわぁぁぁ……ギギギギギ!!」
「「ギシャァァアアアアア!!!」」
……ジェシカの大群が、一斉に飛び掛かってきた。
さながら、光に群がる羽虫のように。

「こういうの……何て言うんだったかしら?」
「『飛んで火にいる夏の虫』かな」

「オッケー……それじゃ、ガンガン行くから、サポートよろしく!」
「がってん承知!!」

736 名無しさん :2020/05/03(日) 21:41:31 ID:???
「アヤメカイNo.29『リフレクタービットまんまなやつ!』
…サラさん、ポイントA1、10時方向だ!」
「了解!ライトニングシューター・フルバースト!!」
バシュッ!!…ズドドドッ!!
「「んぎゃおおおおっ!?」」

彩芽が小型浮遊マシンを大量に放ち、指示に従ってサラがビームを放つ。
ビームがマシンに搭載されたミラーに乱反射し、何匹ものジェシカの群れを一度に焼き払った。
「ナイス彩芽!だいぶ敵を減らせたわ!」
「ピンボールシューターの計算アルゴリズムを効率化・応用したんだ。
端末の性能もナルビアで大幅バージョンアップしたし、計算も一瞬だよ!」

「くっそー。ちょぉぉっち劣勢っすねぇ……!!」
「奴のなんとかプラズマパワー、もしかして無尽蔵っすかぁ…!?」
「でもあっしもゲーマーの端くれ。ここで退くとかありえねーっす……狙うは」
「「「一発逆転っすよォォォ!」」」

即効性の毒針を手に、残った十数匹のジェシカが一斉に飛び掛かる。

「そろそろフィニッシュね……シルバープラズマソード・モードX…純粋起動!!」
対するサラは、必殺のシルバー・プラズマソードの二刀流、しかもフルパワー。
以前は限られた時間しか使えなかったが、クレラッパーの全機能がアンロックされた今は使い放題だ。

「ジャッジメント・サイクロン!!」
舞うような動きで二刀を振るい、迫りくる敵を次々に切り伏せる。

残り三体、その一体目。毒針の生えた腕を斬り飛ばし、胸板を串刺しにするが……

「ひっひっひ……げほっ…ようやく、取ったっすよぉぉ!!」
「!?…まだ生きて…」
「サラさん!!……」
(ドォォンッ!!)

……ジバクアリ、と呼ばれるアリの一種が存在する。
その名の通り、敵に襲われるとその身を破裂させ、粘性の毒液を撒き散らす。
……つまり、『自爆』もまた虫っぽい攻撃という事だ。

至近距離で、直撃を喰らったサラは……

(まずい、目が……!!)
アーマーこそ無事だったが、飛び散った毒粘液にバイザーの全面が塞がれ、片腕を封じられた。

「今度こそ」「もらったっすぁああああ!!!」
それらを脱する前に、二体目、三体目のジェシカが同時に襲い掛かる。

「正面!!」
(……ズドンっ!!)
彩芽が叫ぶ。同時に、サラがライトニングシューターのトリガーを引いた。

「ん、ぐぉぁ……マジ、すか……」
「あの、クソガキ……」
「先、倒しとくべきだったっす、ね………」
放たれた光条は、正面の二体目と……リフレクターに反射され、頭上の三体目、そして足元に潜んでいた四体目のジェシカを貫く。

……かくして、サラは宿敵ジェシカを倒し、悪魔に魂を奪われる「運命」を乗り越えた。
ジェシカは完全に死んだのだろうか?
だが、そう思わせておいて、実は密かに……というのもまた「虫っぽい」話ではある。

「ふぅ………どうやら、全部倒したわね」
「おかげで助かったよ……サラさんはやっぱり…ボクにとっての、ヒーローだな。
いちばん助けてほしい時に、ズバッと現れてズバッと助けてくれるんだから」

「アヤメ………それは、あなたも同じよ」
「…え?なんか言った?」

「なんでもない……ダンの所に戻りましょう。お腹すいたし、シャワーも浴びたいわ」
(……これで2度目。私がいちばん助けてほしい時に…貴女は現れて、助けてくれた)

「そうだね。下水とか虫とかですっかり汚れちゃったし。一休みしたら…桜子さんとスバルも探し出そう」
「ふふふ……目指すはチームアヤメ、リブートってわけね。」
「え。。そのチーム名はちょっと……」

緊張が解け、和やかに言葉を交わしながら仲間の元へ向かう二人。
だが……『チームアヤメ』の全員集合は、もう少し先の話になりそうだ。

なぜなら。

…………

「クックックック……噂の秘密兵器『メサイア』を前線に引きずり出せるかどうかは、
ひとえに君たちの働きにかかっている……期待しているよ、桜子、イヴ……他の諸君にも」

……春川桜子は今、王下十輝星「フォーマルハウト」のスネグアに従軍し、ゼルタ山地に向けて移動していたからだ。

「……そんな事より、あの約束……忘れるなよ」
「成功したら、今度こそ……開放していただけるんですか。あの子たちと、私たちを」

「もちろんだとも。奴を倒せとまではいわないが、首尾よく奴の弱点でも見つけ出してくれれば上等だ。
その時は、スバルちゃんやメルちゃん達と一緒に、君たちを自由にしてやろうじゃないか。クックック……」

737 名無しさん :2020/05/10(日) 09:48:20 ID:???
トーメント王城地下、廃棄施設。
劣化した拷問部屋、危険な魔物や大罪人を隔離した部屋など、トーメントの闇の更に深部が凝縮された場所。

リザは最近、そこへ毎日のように足を運び、凶悪な魔物や罪人たちとの戦いに明け暮れていた。
それは、来るべき戦いの備えて魔剣『シャドウブレード』の扱いに習熟するため……
というより、むしろ戦うことそのものが目的化しつつあった。

戦っている間だけは、余計な事を考えなくて済む……
戦っていないと精神を保っていられない。
そんな、極めて危うい状態に陥っていたのである。

「シャァァァァァッ!!」
「ッグルァァアアアアアアア!!!」
「メスァアアアアア!!」
三人の男が、巨大な鎖鎌を振り回し襲い掛かる。彼らはみな理性を失い、身体も半ば魔物化していた。

ジャキン!! ガキンッ!!  ジャラララッ!!
「はあっ!!……たあ!!………っぐ!」
錆びついた鎖は一見簡単に斬り落とせそうだったが、この地下施設に住み着いているだけあって一筋縄ではいかない。
鎖は強い邪術の力で蛇のように不規則に動き、リザの腕や首に絡みついていく。

ギリギリギリッ……ジャリッ……!!
「くっ………この、位で……」
呪われた鎖が、リザの首に食い込む。ざらついた感触と共に、白い細首から血が滲みだす。

「ヒヒヒヒ……」
「ツカマエタゾ」
「シネヤァァァアアアアア!!」
動きを封じられたリザに、三人…否、三体の異形が一斉に飛び掛かる。

「この程度で、やられるかっ……!!」
「「「ッグアアアアアアア!!」」」
だがリザは、シフトの力…テレポートを発動して拘束から逃れ、三体の魔物を「同時に」斬り伏せた。


「……はぁっ………はぁっ………今……の、感じだ…」
戦いを終え、一息つくリザ。……彼女が今発動したのは、普通のテレポートではない。
普通のテレポートなら、攻撃後に僅かな隙が生じ、一体を倒せたとしても他の二体に反撃されていただろう。

だから……「同時に」三か所にテレポートし、全ての敵を「同時に」倒した。
複数の可能性を選択する事で、一つだけを選択した時にはあり得なかった結果を導く。

新たな能力…「マルチシフト」とでも呼ぶべきか……に、リザは今、目覚めつつあった。

量子的ゆらぎを操作しているのか、あるいは篠原唯達のような『運命を変える力』の一種なのか……
詳しい理屈はリザ本人にもわからないし、また興味もない。

(この力を使いこなせれば、誰にも負けない。『戦争』にも…………勝てる)
………リザにとって重要なのは、ただその一点のみだった。

738 名無しさん :2020/05/10(日) 09:49:58 ID:???
「もしもーし。……電波わりーな。また潜ってんのか?
おーいリザ。きこえるかー?」

その時、リザのスマホにトーメント王から着信が入った。
現在地は、城の地下十階。
……こんな地下深くでも辛うじて通信可能なのは、教授の技術力によるものだろう。

「……はい」
「前に言ったかどうか忘れたが、お前は今回の戦争では『遊撃部隊』の隊長をやってもらう。
これからメンバーの顔見せするから、さっさと上がってこい」

「…………」
「返事ぐらいしろっつーの。
そっちにメンバーの一人を迎えに行かせるから、それ以上奥に行くなよ?行くなよ?絶対行くなよぉー?」

「……………………。」
リザがしばらく黙っていると、ブツリ、と音がして電話が切れた。

(……さっきの感覚…忘れないようにしないと)

新たな能力「マルチシフト」はまだ未完成。これまでは数日に一度発動できるかどうか……という程度だった。
しかし今日は、能力を発動するのは今ので2度目。
もう少し続ければ、完全に体得できるような気がする。

(……もう少しだけなら、いいよね…)
リザは迎えを待たず、さらに地下深くへ進もうとした。

その時………。

「ダメだよ、リザちゃん。そこから先は………地獄だよ」
「!?」

いきなり背後に、人の気配が現れる。
…誰かがリザに抱き着いてきた。

「トーメント城地下10階……ここは別名『黄泉比良坂』。この世とあの世の境界線」

背はリザよりやや低いようだ。
ふわりと揺れるオレンジ色の髪。
柑橘系のコロンの香り。
鈴の音のように甲高い、少女の声。
……どこかで、聞いたことがあるような気もする。

「この先に住んでる奴らは、今までとは比べ物にならないくらい、ずーっとずーっと強くて恐ろしい。
 今のリザちゃんじゃ、あっという間に殺されちゃうよ?」
「……放して。誰なの、あなた」

「私は、スズ。 
………スズ・ユウヒ」

リザは振りほどこうとしたが、体にうまく力が入らず、テレポートも発動できない。
柑橘系の香りに包まれているうちに、頭の中に霞がかかったように意識がおぼろげになっていく……。

◇◇◇◇◇◇

「『初めまして』だね、リザちゃん。
……私のことは『スズ』でいいよ」

「スズ・ユウヒ…?……あなたが……王様の、迎え…なの……?
 …王様の所へは、もう少ししたら自分で行くから…とにかく、離れて………」

激しい戦闘を何度もこなした後のような、疲労と倦怠感が全身を包んでいた。
いや、実際ここに来るまで戦いっぱなしではあったが……魔剣の力で倒した敵の力を吸い取り、体力魔力とも万全だったはずだ。

「ふふふふ……そんなにこの先に行きたいの?
……だったら、見せてあげるよ。この先に行けばどうなるか」

739 名無しさん :2020/05/10(日) 09:51:09 ID:???
<1>

「それって、どういう………
…!?…あれ、いない…?」

……気が付いたら、スズは消えていた。姿も、気配も、柑橘系の香りも、跡形もなく。

(いない……って、誰、が?………今、私……誰かと、話してたんだっけ…?)
…何も、残っていない。

(ええと、そうだ…。王様に、呼ばれてたけど……もう少しだけなら、いいよね)

体力、魔力とも問題ない。地上に戻る前にもう少し戦って、新しい能力の感覚を掴んでおきたかった。


…ここはトーメント城地下10階。
王国の創始者が建造したとされる巨大地下迷宮の『浅層』の終端で、別名を『黄泉比良坂』と言うらしい。
ここから下、地下11階から先は『中層』と呼ばれている。
どのくらい地下深くまで続いているのかは、誰も知らない。

下階へ続く扉が、目の前にあった。
リザは……ゆっくりと、その扉に手を伸ばす。すると……

(バタン!!シュルルルルッ!!!)
「なっ……!?」

いきなり扉が開き、
黒い影のような手が無数に伸び出してリザの全身を捕らえた。

「放、せっ……!!」

一瞬で、扉の中に引きずり込まれた。
扉の先はろうそく一つの明かりもない真っ暗闇。
影の手に捕らわれたリザは、成すすべなく引っ張られ、そして落ちていく。
はるか後方で、バタンと扉が閉まる音がした。
リザがその扉を開くことは、二度とない。

740 名無しさん :2020/05/10(日) 09:52:35 ID:???
<2>

「う………ここ、は……?」
…光さえ届かない、混沌と魔の領域にリザは堕ちた。

周囲は完全な暗闇。近くに壁らしきものはないが、広間の中だろうか。
立ち上がってみるが、視界が全くないため、平衡感覚が掴めない。
数歩歩くだけで、なんだか身体がふらつくような、妙な感覚に襲われる。

「シャァーーーッ……」
「グルルルルル……」
「グキキキキ……!!」
(!!……何か、いる!!)

いつの間にか、周囲を無数の魔物の気配に取り囲まれていた。
赤く光る無数の瞳が、獲物であるリザを、じっと見つめている……

「シャァァ!!」

ザシュッ!!
「痛ぅっ!!」

敵の声や気配を頼りに防御を試みるが、周囲が敵だらけの状況ではどうしようもなかった。
背中に激痛、熱、そして……背中がぐっしょりと濡れていた。鉄の…血の臭い。
敵の鋭い爪…あるいは牙で切り裂かれたのだと、数秒遅れで理解する。

「こ、のっ……!!」
文字通り闇雲に剣を振り回すが、当然ながらまともに当たるはずもない。
ほどなくして、激しい疲労感がリザにのしかかってくる。
シャドーブレードは、持ち主の血を代償とする魔剣。
誰かを切り続けていなければ、リザの身体はあっという間に衰弱してしまうのだ。

(まずい……このままじゃ…!!)
人間は、自分で考えている以上に、何をするにも視覚に頼っているものだ。
いきなり完全に視覚を奪われれば、リザのような歴戦の戦士といえども……

「ケケケケケッ!!」
ビシュッ!!
「んぐあっ!!」

「ガオォゥゥンッ!」
ザクッ!!
「いっ……!!」

ドゴッ!!
「あぐうっ!!」

ザクッ!!
「きゃああああああああぁつ!!!」

……成すすべなく、蹂躙されるしかなかった。

体中が痛い。痛い場所が、次々と増えていく。
全身が濡れているのは、汗か、血か、それとも別の何かだろうか。

腕が動かせない。
呼吸も苦しい。
首が、全身が、締め付けられている。
魔獣の腕に、それとも植物の蔦、悪魔の鞭?

周囲に無数にいると思われる敵がどんなやつらで、誰に何をされているのかすら、全くわからなかった。

「ガルルルルッ……」
「キキキキキ……オワリダ」
「ガサガサガサガサガサガサ」
「んっ………ぐ、うぅ……!!」
何かが、太股に噛みついている。
鋭いカギ爪を突き立て、体を這い登って来る。

逃げなければ。…どこでもいい、どこか安全なところへ……
「マルチ……シフト……!」

741 名無しさん :2020/05/10(日) 09:54:16 ID:???
<3>

「グォォォォォォッ!!」
「えっ……しまっ」

ぐちゅん!!!
「きゃあああぁっ!!!」

テレポートした先で、リザは生温かい空気が吹き付けるのを感じた。
巨大な口を持つ巨大な魔物が、大きな口を開けてリザを飲み込んだ。


<4>

「ギギギギギッ……マヌケメ」
どすっ!!!
「っぐおぁ、は……!!」
下腹に、激しい衝撃。

……リザはどうやら、敵の目の前にテレポートしてしまったようだ。
みぞおちの辺りに激痛。手で触れてみると、何か硬い棒状の物が突き立てられていた。

太く鋭い、角…あるいは槍に、串刺しにされた…
そう認識するより前に、リザの意識は深い闇へと消えていった。

<14>

「きゃああああああ!!」
何が起きたのかさえ分からず、
リザは死んだ。

<57>

「なに、これ……糸……!?」
「キチキチキチキチキチ………」

ねばつく糸が、リザの絡みつく。切っても切れず、もがいても解けない。
魔蟲の巣網の中に、リザは迂闊にも飛び込んでしまったのだ。

硬い、大量の、何か小さなものが、足元から次々と這い上がって来る。
頭上からもばらばらと振ってきて、耳や鼻、口など、小さな穴を見つけて侵入してくる。

針のような無数のトゲのついた脚が、リザの全身を這いまわる。
トゲからは麻痺性の神経毒が分泌されており、
リザは生きながらにして虫達に体を食い尽くされることになった。


<1086>

「……………」
メキッ!!……ゴキゴキゴキ!!
「あがっ!!……な、あっ………っごああああああ!!!」

硬い岩のような感触の巨大な手に、リザは捕らえられた。
その手に凄まじい力が込められ、有無も言わさずリザの身体を握りつぶした。


<????>

「はぁ………はぁ……………どこ………出口は、一体……」
何度もテレポートを繰り返し、リザは敵の追撃をようやく振り切った。
全身は傷だらけ、出血・失血で意識が朦朧とする。体力と魔力は既に底をついていた。
だが上階へと続く出口はどこにも見つからない。

(あらあら。こんな可愛らしくて美味しそうな女の子が、一体どうして迷い込んできたのかしら……)
(さあ、こっちにいらっしゃい……私たちと、もっとたくさん楽しみましょう………ふふふふふふ)

目の前には、更なる下層へと続く真っ暗な穴が、大きな口を開けて待ち構えている。
リザは、吸い寄せられるように、ふらふらと歩みを進めていく……

742 名無しさん :2020/05/10(日) 09:55:47 ID:???
◆◆◆◆◆◆

「!?……あ、あれ……私、今…………
あ、あなたは………………」

「ふふふふ……『初めまして』だね、リザちゃん。
……私のことは『スズ』でいいよ」

唐突に、視界に光が戻ってきた。
汗と血と汚泥の臭いは消え、懐かしい、柑橘系の香りが鼻孔をくすぐる。

目と鼻の先に、『中層』へと続く扉があった。その先で見た、何百、何千という死のイメージ。
それは、まるで実際に体験したかのようにリアルだった。

(私……夢を見てた?………いや……違う。全く別の、何かが…起きていた……?)

「リザちゃんは、ほんとにかわいいなぁ。
ねえ……王様の所に戻る前に、もう少しだけこうしてていい…?」

コロンの香りに包まれているうちに、リザの思考に霞がかかっていく。
スズはリザの腰に手を回しながら、耳元に顔を近づけてくる。
温かい吐息はリザの首筋が優しくくすぐると、リザの身体から力が抜けていく。
何かがおかしい。この少女から離れないと……

「だ、め………はな、して………」

リザは全身に力を込め、スズの手を強引に振りほどく。そこで初めてスズ・ユウヒの顔を見た。

(!………ドロシー…!?………いや、違う………)

今はもういない親友の顔と、スズの顔が一瞬重なって見えた。
…もちろん、彼女がドロシーであるはずがない。
髪の色も瞳の色も違うし、雰囲気だってまるで違う。

「もう。どうしてそんな意地悪言うの?
私、リザちゃんのこと助けに来てあげたのに。
今までもずっと、リザちゃんのこと助けてあげてたのに…」

「一体何を言って……やめ、て……触ら、ない…で………!!」

「リザちゃんにとっての『黄泉比良坂』……地獄の入り口は、ここだけじゃない。
この世界中、あらゆる場所に、たくさんあるんだよ。
でも安心して。
リザちゃん『だけ』は『どんなことがあっても』生き延びられるように、
私が運命を選んであげる。これからもずっと……」

【スズ・ユウヒ】
人気急上昇中のアイドル歌手。……だがどうやらそれは仮の姿。
トーメント王国軍に結成される予定の『遊撃部隊』のメンバーのようだ。

外見:髪と瞳はオレンジ色。
アイドル歌手というだけあってかなりの美少女だが、
細部の特徴・印象は、なぜか人によってかなり異なる。
服装はかなりオシャレで、ブランドものを効果的にコーディネートしている。
柑橘系の香水を愛用しているようで、近くにいるとほのかに香りがする。

特殊能力?:「黄泉比良坂坂で抱きしめて」
誰かの運命を予知し、いずれかを選ぶ。
または選んだ場合の運命を相手に体験させる事ができる。

裏設定:
様々な世界線を行き来することができる、謎の存在。
もともとは別世界で暮らしていた引きこもりの少女だったが、
ふとしたきっかけで特殊能力に目覚め、自分が人気アイドルになっている世界、すなわちこのリョナ世界にやってきた。

ちなみに、リョナ世界でアイドルだった方のスズは普通の人間。
アイドルとしての多忙な日々に嫌気がさしていたので、
能力者スズとは合意の下で入れ替わり、現在は異世界で引きこもりを満喫中。

743 名無しさん :2020/05/13(水) 03:59:02 ID:l0q/Von2
「トーメントの魔物兵発見! まもなく戦闘に入る! みな準備はいいか! ミツルギ皇国の名にかけて、アレイ草原を突破するぞおおぉ!」

「「「うおおおおおおおおおおお!!!」」」

草原で両手を広げて 駆け抜けていくのは忍びの大群。
迎え撃つはトーメントの教授ガチャにより魔物 改造された兵士たち。
アレイ草原攻略を担当するミツルギの忍びたちと、トーメントの防衛部隊の戦闘が開始されようとしていた。



「はぁーあぁ……なんでウチまで駆り出されるんや……闘技場の興行収入が盛り上がってきて、今が絶好の稼ぎ時やっちゅうのにぃ!」

「仕方ないです……討魔忍五人衆は最前線で戦うための実働部隊ですし」

「久しぶりに血が滾る戦闘になりそうだな……酒も大量に持ってきた。皆、今日は派手に宴会を楽むとしようじゃないか!わっはっはっは!」

「やれやれ……あなたたちと一緒に戦うと、巻き込まれないように気をつけないといけませんからほんとにめんどくさいんですよねぇ……」

「……手筈通リ私トラガールガ最前線ニ出ル。ザギ、ナナカ、コトネ、オ前タチハ他ノ忍ノ援護ニ回レ……兵ヲ無駄死ニサセルナ」

「「「「了解!!!!」」」」

討魔忍五人衆全員が参加する戦闘自体、かなり珍しいことである。
シンの指示に従い、3人が散開したと同時に敵の魔物兵たちの進軍が始まった!



「ササメせんぱーーい!!」

「……え、ヤヨイちゃん!? 貴女もこの戦闘に参加していたんですか?」

「当たり前ですよー! 討議大会とかこの前の雪人との戦いで経験を積んだあたしは、今やもうその辺の中忍よりも強いんですから! 自称だけど!」

「自称なんですね……やはり総力戦。戦える忍はほぼすべて投入されているようです。ここまでの規模の戦争……いったいどうなるのでしょうか……」

たくさんの血が流れることは必死のこの戦いに、大した反対意見も出ずこうしてたくさんの忍が戦いに参加しているということは、少なからずトーメントに恨みを持つものが多いことに他ならない。
そもそもミツルギとトーメントは古来より犬猿の中であった。最近は小康状態であったが、戦う口実ができればご覧の有り様である。



「どうなるもこうなるも、勝つに決まってます! 討魔忍五人衆が全員揃って戦ってるんですから、負けなんかありえないですよっ!」

「……そう簡単にはいきません。トーメント兵たちの中には十輝星ではなくとも、各国の幹部クラスの者が大勢いるのです。それがこの世界で一強を誇る何よりの証拠……油断は一切できません」

「まじですか……!七華さんやシンさんと同レベルのモブ敵がいるなんて信じられないですけど……」

「….…前線が見えてきました。私が先行します!ヤヨイちゃんは後ろを!」

「お、おっけーです!」

草原に似つかわしくないドラゴンや狼、魔法生物らしき甲冑や揺らめく人魂、巨大スライム……
驚くべきはこれらはすべて人で、高い知能を持って襲いかかってくるということだ。

「来て、氷雨!雪雲!」
「雑魚どもは全員、この斑鳩の錆にしてやるんだからぁ!」

このアレイ草原でついに、最後の戦いの火蓋が切って落とされた。

744 >>742から :2020/05/17(日) 10:06:08 ID:???
「………というわけで。
スズちゃんをはじめ4名のメンバーが、これからお前の部下になるわけだが…」

王様の横にいる2人は、COMPと呼ばれる未登場のキャラの正体を隠しておくマントを着ている。

「なに、一人足りないって?…ま、この手の顔合わせに1人2人遅刻するのはよくある事だろ?
残る1名は、お前がよーく知ってる人物……とだけ言っておこうか。ヒッヒッヒ!!」

「ふふふ…♪…いったい誰かしら。気になるねぇ、リザちゃん」
「……別に。……それより、くっつかないで。……」
(この『顔合わせ』が終われば………やっと戦場に行ける)

だがリザは…他のメンバーが誰であろうと、関心はなかった。



…その頃。

「………おっと。もう召集の時間か。
その前に……行きがけに『ちょっと一刺し』していくかな。クックック……」

イータブリックスの路地裏。
鈍く光るナイフを手に、一人呟くのは、悪名高い無差別大量殺人鬼ヴァイス。

『遊撃部隊』のメンバー候補に選ばれた彼は、
「隙があればいつでも『隊長』を殺して良い」「『隊長』を殺したら、その瞬間自由の身」
…という条件で召集に応じていた。

「……さーてと。どうしてやろうかな、っと……」
この国に住む女性、特に今この状況でなお平然と街を闊歩している彼女たちは、
いずれも見た目によらぬ猛者だったり、魔物化していたり、しかも重度なリョナラーだったり……と、
一筋縄ではいかない者たちなのだが、ヴァイスからすればさしたる問題ではない。

道行く女子高生や、水商売風の女性に視線を泳がせ、獲物を物色する。
そして、酔っ払いのようなふらついた足取りで、細い路地に入っていく。

(……一体、どこへ行くつもり…?)
……その後方数メートルには、マントをかぶった小柄な追跡者があった。
だが、迷路のように入り組んだ路地を、くねくねと曲がっていくうちに……

(?……い、いない…!?)
「どういうつもりだぁ?……さっきから、ずーーっと俺様をつけてきやがって……ククククク」
「なっ……!!」

……あっさりと背後を取り返す。
生粋の捕食者であり、狩人、追跡者であるヴァイスからすれば、尾行者のそれは素人同然だった。

(ブオン……!!ガキィィィンッ!!!)
ヴァイスはすかさず相手の脇腹あたりにナイフを突き立てようとしたが、硬質な感触に弾き返される。

「ほほー、コイツは……『爆炎のスカーレット』……エミリアちゃんじゃねえか。
俺に一体何の用だぁ?……なんて、聞くまでもねえか」

「あなたを、リザちゃんの所へは……行かせません!!」
(姿を消してたのに、こんなあっさりバレるなんて……あらかじめ防御魔法を張っといてよかった……)

エミリアは数歩下がって、ヴァイスの方に向き直る。

場内で食堂や雑用の仕事をしていると、情報は嫌でも入って来る。
ヴァイスが「遊撃部隊」にスカウトされたこと、リザの寝首を掻こうと狙っていること。
そして今日、部隊メンバーとしてリザと顔を合わせる予定であることも。

「ふん。それってつまり……力づくで止める、って事かぁ?……おもしれえ」
(ギンッ!! バキン!! ビシッ……!!)
「んっ!!……く………うぅっ!!……」

ヴァイスはへらへらと笑いながら、エミリアに無造作に歩み寄り、ナイフをぶんぶんと振り回す。
すさまじい速度の連続切りに、エミリアの魔法防壁は瞬く間に劣化していく。

…近接戦は、相手の方が間違いなく格上。
奇襲を仕掛けられなかったのは痛いが、エミリアは退くつもりは毛頭なかった。

「……ファイアボルト!!」
「な……!!」
(…ズドォォォォオンッ!!)
至近距離からの攻撃魔法。
エミリアの規格外の魔力で繰り出されるそれは、並の魔導士の中〜上級魔法にも匹敵する。
さすがのヴァイスも避けきれるものではない。

「ゲホッ!ゲホッ!!……てん、めぇぇ……
…イカれてんのか?この距離でそんなものぶっ放したら、テメェだって無事じゃ済まねえぜ……」
直撃は辛うじて避けたヴァイスだが、上着が吹き飛び、右半身に火傷を負う。

一方のエミリアも、着ていたマントが弾け飛び、防御魔法も失われた。
魔法障壁のおかげで外傷はほとんどないが、もうヴァイスの攻撃を防ぐことは出来ない。
新たに障壁を張りなおす時間も、そのつもりも、エミリアにはなかった。

「……この身に代えても……リザちゃんは、私が守る…!」

リザを殺そうと狙うヴァイスを倒し、代わりに「遊撃部隊」メンバーに加わる。
かなり強引なエミリアの目論見は、果たして成功するのか。
それとも………

「ヒッヒヒヒヒ……いいぜぇ。こうなりゃ、とことんヤってやるよ。
火傷の礼に、俺のナイフコレクションで、全身グチャグチャに切り刻みながら犯してやる……いくぜぇぇぇ!!」

745 >>743から :2020/05/17(日) 21:28:26 ID:???
「くらいなさいっ!桜花手裏剣!」
「氷刃乱舞!!」
「ギャアッッ!!!」「グアーーッ!!」

後衛から敵の軍勢に手裏剣を投げ込むヤヨイ。
その隙に乗じ、氷の剣で縦横無尽に斬りかかるササメ。
二人の連携に、トーメントの魔物兵たちはバタバタとなぎ倒されていく。

「こ、こいつら、強いぞ!」
「闘技大会で一回戦負けしてたくせに!」
「もー、昔のことをいつまでも!…っていうかコイツらも見てたの!?」
「……あの時の私達と同じだと思ってるなら……後悔させてあげます!」

二人の活躍で勢いづいたミツルギ軍。さらに後続の忍び達が攻勢を仕掛ける!

「あっはははー!甘いねヤヨイ!
飛び道具の破壊力なら、このアタシの爆裂☆スターマイン攻撃がマジ最強だから!」

(ドカーーンッ!!)
「「「ッグアアアアアアア!!」」」

【シノブキ・ナデシコ】
ヤヨイの同級生。忍びなれども忍ばない、おバk…元気いっぱいなギャル系見習い忍者。
髪は金に近い茶髪のポニーテール、なんか瞳の中に星型の光がある謎の体質。おっぱい。
実家は花火師で、お爺ちゃん直伝の火薬攻撃が得意技。
ナシ子ってよんでね!

「ちょっ……ナシ子!爆弾多すぎじゃない!?」
「今日に備えてめっちゃいっぱい作ってきたからね!まだまだ行っくよー!!」

もうもうと上がる爆煙に視界を閉ざされ、前を行くササメ達と分断されてしまった二人。
そこへ……

「くっくっく……自分から孤立してくれるとは馬鹿なやつらね。あんま強くなさそうだし、先に潰してやるわ!!」
「誰がバカよ!!って、誰…!?」「上っ!?」
「「きゃああああああぁ!!!」」

謎の黒い影が、上空からヤヨイ達に襲い掛かってきた!


【ドラコ・ケンタウロス】
人間の身体に、竜の角と翼。怪力やブレス能力など竜の特徴を併せ持つ上級魔物兵。
好戦的な性格の者が多く、武器や素手での近接格闘が得意。
ぷよぷよした同色のものを4つ以上集めるのが趣味だとかなんとか。

(ドガッ!!)
「あぐっ!?」
敵は深紅のチャイナドレスを着た竜人型魔物兵。
炎をまとった回し蹴りで、ヤヨイとナデシコの身体を豪快に蹴り飛ばす!


「っぐ……竜人…!? こんな上級魔物が、雑魚兵士に混じってるなんて…!」
「ふふーん。このドラコ・ケンタウロス『炎脚のニィズ』が、
蹴って燃やして踏んづけて……ボロっクソに痛めつけてあげるわ!!」

「なっ……なめんじゃないわよ!あんたなんか、この『斑鳩』の……」
「この安物刀の錆にしてくれるって?……ムリムリ」
「えっ……!」
(ズドンッ!!)

ヤヨイはなんとか起き上がり、愛刀「斑鳩」を構えなおす。
だが、ニィズはその斬撃を軽くかわしながら、カウンターの膝蹴りをヤヨイの腹に叩きこんだ。

「あ、ぐっ……!!」
ヤヨイの身体がくの字に折れ曲がり、足先が浮く。
忍び装束の蹴られた個所には、竜人ニィズの「炎脚」によってで黒い焦げができていた。
「そんなナマクラが私の鱗に通じるわけないけど……そもそも当たんなきゃ話にならないわね、お嬢ちゃん♥」

(ドスッ!ベキッ!!ゴウンッ!!)
「うぁっ!!ぎゃんっ!!っぐああああああ!!!」
連撃、追撃、ダメ押しの連続蹴りが、ヤヨイの脚、胸、側頭部を撃ちぬく。
たまらず前のめりに崩れ落ちたヤヨイの背中を、ニィズは宣言通り思い切り踏みつけた。

746 名無しさん :2020/05/17(日) 21:30:28 ID:???

「こらぁっ!ヤヨイっちを放せ!!『スターマイン☆ナックル!!』」
ナデシコが繰り出すのは、火薬を仕込んだ耐火手甲による一撃。
当たれば手甲に内蔵された火薬が炸裂し、ド派手な爆発とともに敵を倒す驚異のカラクリナッコーである。

「へっへーん。こんなヌルい花火、アタシに効くわけないでしょ!」
バシュン!!
「ふぎっ!!」
…だがその一撃が届く前に、ニィズの長い尻尾が鞭のように飛び、ナデシコを力任せに叩き落す。

「はい、さっそく二人ゲット〜。かわいい女の子は生死問わず、捕獲したら報奨金が出るのよん。
この戦いでいくら稼げるか、今から楽しみだわ」

「な、ん、ですって……」
「そんな事、させるかっ……」
(ギリギリッ………グキッ!!)
「ぅ、っぐあああああ!!!」

立ち上がろうとしたナデシコに尻尾が巻き付き、全身を締め付ける。
圧倒的な力を持つ魔物兵に、下忍コンビは早くも窮地に追い込まれた。


「まったく、だらしないわねー……『今やその辺の中忍より強い』んじゃなかったの?」
そこへ助けに入ったのは……

「なっ……何者だ!」
「あ………あなたは、ええと………どなたでしたっけ」
「す、すいません。私マジ初対面なもんで」

【血華のスイビ】
『ガチレズ吸血鬼』の異名を取る女忍び。前回の闘技大会の準決勝でアゲハと対戦した。
他にも彩芽を襲ったり、唯と瑠奈を苦戦させたりしている。

「……アンタたち、先輩に対する敬意がなさすぎじゃない?
つーか解説まで入れてくれなくていいわよ!新キャラじゃないんだから!」

「す、すいませんスイビ先輩!」
「で、でも……大丈夫かな。こいつメチャクチャ強いですよ?」

「助けに来てやったのに、失礼な子たちね。
 だいたい私は吸血鬼なのよ?強キャラに決まってるでしょ!」
「すぐ死ぬフラグみたいにも聞こえるんですが」

「ふん……まあ、こっちの雑魚どもよりは骨があるのかしら。楽しませてくれそうね」
「そういうアンタこそ、なかなか良い体してるじゃない。……いっぱい楽しませて、骨抜きにしてあげる」

ドラゴンVS吸血鬼。魔物界の頂上決戦ともいえる戦いの行方は………

「や、やめろぉ!!は、放せっ……んにゃあああああ!!!」
「ふふふふ……だぁ〜め♥竜人の血なんてめったに吸えないレアものなんだから」
「や、やめぇぇ……しっぽ、そんな風に触られたら………ん、ああああんぁっ♥♥♥」

((うわぁ……))

………こんな感じになった。

747 名無しさん :2020/05/17(日) 21:31:46 ID:???
「くっそ……なんなんだ、おまえぇ……なんでそんな、私の弱いところばっかりぃ……」
「ドラゴンだろうとなんだろうと、どんな魔物にも弱点は必ずあるものよ。
私の友達にマジメで研究熱心な子がいてね。一時は暗殺チームにいたんだけど、
そこを抜けてからは魔物対策の戦法もいろいろ研究してて……」
「…たぶん、アゲハさんが研究してるのはそういう戦法じゃないと思うんですが」

……接近戦では無類の強さを誇ったニィズを、完全に押さえ込んで無力化している。
やり方はどうあれ、血花のスイビもまた、決して侮れない実力者だったようだ。

傷の手当てを済ませたヤヨイとナデシコは無言でうなずき合い、
スイビにこの場を任せてササメを追う事にした。というかここから離れたい。

「ふふふ……大分身体が出来上がってきたかしら?……でもここからが本番よ」
「ひ……!!……や、やめろ……そこだけは、ぁ………!!」
ニィズの首のチョーカーを、手慣れた手つきで外すスイビ。
その下には、小さな鱗が隠されていた。

手足を覆う深紅の鱗とは明らかに違った、まるで宝石のように淡い光を放つ鱗が白日に晒されると、
ニィズの表情に明らかな動揺と、羞恥の色が浮かび上がる。

「竜の喉に一枚だけあるっていう、『逆鱗』……きれいなピンク色してるのね。
確か伝説では、竜はここを触れられると激怒するんだったかしら?
そして竜人の女の子は、ここを人目に晒す事さえ極端に嫌う……」

スイビはニィズの逆鱗を犬歯で軽くついばみながら、耳元でささやく。
「やっ……め、ろぉ………おまえ……ぜったい、ころして、や………んっ、ふぁあああああ♥♥♥」

「ちゅぷっ……れろ……思った通り、可愛い反応。やっぱりココって、そーいうトコだったのね。
やっぱり実際試さなきゃわからないものだわ……後でアゲハちゃんにも教えてあげなきゃ」

「やぁぁ………だ、めぇ………そこ、ぺろぺろしないれぇ……♥♥」

「ふふふ……ちょっと舌で転がしただけなのに、もうすっかりメロメロね。
……ここから直接吸血したら、一体どうなっちゃうのかしら」
「ひ………だ、めぇ………もう許してぇ……」

「ふふふ…楽にしていいのよ。お姉さまに、身も心も任せちゃいなさい…かぷっ♥」
「お、おねえさまぁぁぁぁぁ……んあぁぁぁっ♥♥♥」

……竜人にとって、逆鱗は乳首やクリトリス以上に敏感な性感帯。
後に編纂された魔物辞典には、そう記されるようになったとかならなかったとか。

748 名無しさん :2020/05/22(金) 11:34:02 ID:???
「さあいくぜぇエミリアちゃあぁん!これが俺様のナイフコレクションの中でもお気に入りの、斬魔朧刀だ!ククククク!」

ヴァイスが懐から取り出したのは、漆黒に染まった禍々しいナイフ。
何らかの魔法が掛かっているかのようにバチバチと黒の稲妻を放つ刀身は、その様子からしても一太刀の威力を誇示していた。

(アレで切られたら危ない……!ナイフの届かない遠距離から、魔法で攻める!)

「ウィンドブロー!」

(チッ、風魔法か……)

風の力で後方に素早く移動し距離を取ったエミリアは、すぐさま次の魔法を放つ。

「……サンダーブレード!!」

「おおっとぉ!聞かねーよォ!」

バチバチバチバチっ!
エミリアの打ち出した雷の刃は、ヴァイスのナイフで簡単に切り払われてしまった。

「嘘……!魔法を無効化するナイフなの……?」

「ご名答!!魔法少女どもはみんなこのナイフでバラバラにしてきたってもんよ!知ってるか……?お得意の魔法がこんなちゃっちいナイフ一本に無力化されたあいつらは、小便ちびりながら助けてください!助けてくださいっ!って命乞いするんだぜええぇ!勿論結果はバラバラだけどなぁ!!ククククククク!ヒーッヒッヒッヒッヒ!!!」

「……やっぱり……絶対に、貴方をリザちゃんの元には行かせませんッ!!」



殺人鬼の狂気をまざまざと見せつけられたエミリアは、魔法詠唱を始める。
生半可な魔法が無力化されるならば、ナイフでも切り払えない威力の魔法……上級魔法が必要だ。

(ここで普通に発動したら他の人たちも危ない……!威力を抑えずあの男に一点集中……難しいけど、それしかない!)

「はあああああああああああぁっ!!」

ボワアアアアアアアァッ!
エミリアが魔法を唱え始めた瞬間、彼女の周囲を激しい炎が取り囲んだ。

「なんだぁ?詠唱中に邪魔されないための足止めのつもりか?ククク……斬魔朧刀にかかりゃこんなもん、さけるチーズと同じだぜぇ!!」

ナイフを振り上げ、エミリアを囲む炎を一閃するヴァイス。
だが、その結果は彼の思い通りにはならなかった。



「ちくしょう!んだこの炎は!?全然消えねえぞっクソがああああぁ!」

ヴァイスが何度斬っても斬っても、エミリアの炎の威力は弱まるどころか、さらに勢いを増していく。

(私の得意魔法は火……!爆炎のスカーレットの炎は、たとえ水でもそう簡単には鎮火できない!)

「霊冥へと導く爆炎の魔神よ。我が声に耳を傾け賜え。浄化の炎、その聖火をいま召喚す….!」

「このクソアマァ!炎の中に閉じこもってないで出てこい!ぶっ殺してやるよおおおおお!!」

接近戦に持ち込めないヴァイスが喚いている間にも、エミリアの詠唱は続いていく。
それと同時にエミリアの長い青髪が、燃えるような赤へと変わっていく。
まるで燃え盛る炎のように髪が逆立っていくエミリアの様子を見て、ヴァイスはようやく事の重大さを理解した。



ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……!

(なんだ!?化物かコイツ!?自分の髪色まで炎のマナに染めたり地鳴りまで起こしたりする馬鹿魔力、魔法少女の連中の中にすら1人もいなかったぞ!?)

あまりにも強い魔力は、術者にもなんらかの影響を与えることがある。
エミリアのように頭髪の色が変わったり、身体からマナのオーラを発したり、体型まで変わってしまったりと様々だ。
だがエミリアの長髪の全てが赤に変わったのは、その魔力の強大さを証明するには十分だった。

「炎獄顕現せよっ……!我に仇なす物に裁きを与えんっ!!」」

エミリアが詠唱を終えた瞬間、すべての炎が激しく燃え上がり、エミリアを中心に回転を始めた。

「わ、わかった……悪かった……!だから頼むからやめてくれ!こんなのやべえだろぉ!」

命乞いをするヴァイスの声も、もうエミリアに入っていない。
あまりにも強い魔力を持つエミリアにとっては、敵がいる場所に魔法を一点集中させることはかなりの集中力を要する。

今回のように上級魔法でそれが成功したことは、1度もない。
だがこの殺人鬼は確実にリザの命を狙っている。ここで除かねば必ずリザの脅威になり、いつか殺されてしまうかもしれない。
もし失敗すれば周囲の建物をも巻き込み、とてつもない規模の爆発になってしまうが、エミリアに迷いはなかった。



(私が上級魔法を使うのは……大切な人を守るとき!この一撃に全てをかける!!!)



「インフェルノ・ディストラクション!!!」

749 名無しさん :2020/05/22(金) 11:41:06 ID:???
ドゴオオオオオオオオオオン!!!

「くっ……!きゃああああああっ!!」

自信の起こした爆発による熱風で、エミリアは吹き飛ばされた。
視界はゼロに近い。爆発の規模はわからないが、目の前には天まで届く炎の柱が見えている。

「はぁっ、はぁっ、はぁっ……」

(……成功……! 建物が倒れてない……あいつの位置にピンポイントで超爆発を起こせた……炎の勢いは全部上に……)

炎の柱はメラメラと立ち上っているが、火の粉を撒き散らすことはなく、ほどなくして消失した。

(……勝った……! やったよ、リザちゃん……! 私、リザちゃんを守れたよ……!)

周りを巻き込まなかったことに安堵しながら、エミリアはへたりと座り込む。
彼女が本気を出した炎に焼かれた者は骨も残らず消えてしまうので、死体の確認はできない。
それでも魔法は発動の瞬間、確実に敵を巻き込んだ。あの一瞬で逃げ延びる術はない。
あの殺人鬼を確実に葬ることができたはずだ。

「はぁっ、はぁっ、はぁっ……えへへ….…私だって、やるときはやるんだか……ら……」

魔力を使いすぎた上に、それをコントロールするための精神力も使い果たしてしまったエミリアは、ゆっくりと気を失った。



「ん……あれっ……?」

エミリアがゆっくりと目を開けると、見慣れない光景だった。
広い空間にたくさんのコンテナに工事用の立て看板、天井にはクレーンが吊り下がっている。

(なにかの倉庫……? わたし、気を失って……ッ!?)

ジャリ、という音でエミリアは完全に覚醒する。
寝台のようなコンテナの上に寝かされたまま、四肢が完全に鎖で拘束されているのだ。

「なにこれ!? 動けないッ……! いやっ……! ど、どうして……?」

「ようやくお目覚めか? EMT……エミリアたんよぉ」

倉庫の奥の暗闇から現れたのは、葬ったはずのヴァイスだった。



「嘘!貴方は私の魔法で……!」

「おおそうさ! だが地獄の閻魔様をぶっ殺して甦ったのよ!クククク!」

「……その、ナイフは……!」

「チッ、もうバレたか……斬魔朧刀はもうダメになっちまったよ。誰かさんの馬鹿魔力をちょっと反らしただけでなぁ」

エミリアの魔法は確かにヴァイスを狙っていたが、炎弾の着弾範囲で爆発を起こすものだった。
その炎弾を少しずらされて、爆発から逃れられてしまったらしい。

「まああれだけの炎魔法、回避できるか微妙だったが……さすが俺様のお気に入りナイフだ。しっかり守ってくれたぜええぇ!」

「そんな……そんなぁっ……!」

「お前、周りの奴らを巻き込まないためにあんな魔法の使い方したんだろ? 遠慮なく全部吹っ飛ばしちまえば俺様を消しとばせたのになぁ? なんて優しいエミリアたんなんだあぁ! そのせいで俺にブチ犯されて殺されてしまうたぁ……涙が出るぜ……!」

「ううぅ……!」

「クククク……その鎖は魔装具の一種。そのでっけえおっぱいに詰まった残りわずかな魔力も全部、吸い上げさせてもらったぜぇ?」

残りわずかな魔力すら、エミリアの中にはない。むしろ体内の魔力がなさすぎて、軽い目眩がするほどだった。

「はぁっ、はぁっ……」

(……ごめんね、リザちゃん……私じゃ、無理だったみたい……)

「さて、俺様はせっかく牢から出たってのにいろいろお預け食らってたんだ……ここなら何の邪魔も入らねえ。全部発散させてもらうぜ? エミリアちゃんよぉ!」

「ひっ、い、いやっ……! 来ないで……! いやああああああああああああああ!!!」

「あの金髪のガキとは違っていい反応するじゃねぇかあああああぁ!! ククククク! 思いっきりブチ犯してやるぜええぇ!」



エミリアの絶叫は、ヴァイスの口で強引に塞がれた。

750 名無しさん :2020/05/22(金) 21:02:02 ID:nbNP2NFE
「あははははは!!お祭り!お祭り!ララララ!ラララララ!!」

アレイ草原、トーメント側本陣。そこではクルクルと回って紫色のドレスをはためかせたロゼッタが、特に指揮とかする様子もなくケタケタと笑っていた。

「おい、大丈夫かよあの人……俺、生存率高そうなルミナス側が良かったなぁ。あいつらには勝ち癖ついてるし」

「まぁなぁ……あっちは魔法少女特攻とか、デネブ様の毒に耐性があって巻き込まれても大丈夫な奴がメインらしいぞ」

そんなロゼッタの周りでは、やる気のなさそうな兵士たちが雑談をする。戦えば滅茶苦茶強いのは知っているが、幼児退行した指揮官に不安を覚えるなというのは無理な話だ。

「まぁ、多分後詰のシリウス様かプロキオン様辺りがそのうちサポートに来るだろ」

「だといいけど……まぁ前線がようやくぶつかったくらいだし、本陣の俺らにまで危険が及ぶのはまだ先……ふんぬ!」

「お、おい兵士A!どうし……ぐわし!」

雑談していた兵士2人が、突然北斗のモヒカン的悲鳴をあげて爆散する。

「……本陣の警備がこの程度とは、逆に罠を疑ってしまうな」

「て、敵襲ー!であえであえーー!」

まさかの本陣への奇襲に大慌ての魔物兵たち。それを冷静に俯瞰する白髪の女性……アゲハは、奥にいる総大将……ロゼッタに狙いを定める。

「テンジョウ様への恩義……貴様の命で返させてもらう!」

大戦へ向けた人事異動として、テンジョウはアゲハを暗殺部隊から対魔物部隊へと異動させていた。
否、アゲハだけではない。望まぬ意思で暗部に入れられた者のほとんどを、戦争の為と称して通常の部隊に組み込んでいた。

それ故、アゲハを始めとする元暗部の指揮は高い。

しかし、偵察だけして帰るつもりだった彼女がロゼッタを狙ったのは、テンジョウへの恩義で功を焦っただけではない。


(力を持った気狂いは、ただでさえ危険だが……こいつは輪をかけて危険!キリコやテンジョウ様に危機が及ぶ前に、私が仕留める!)

人体のマナの流れに敏いアゲハには、ロゼッタのマナの異常な流れを感知できた。彼女は『今』倒さねばどんどん危険になるという直感……それがアゲハに無理攻めを選ばせた。

邪魔する兵士たちの秘孔を突いて最小限の動きで撃破しつつ、一気にロゼッタまで迫るアゲハ。

「命、消える!天使、迎えに来る!天使!ラララ!ラララララ!ララ天使!」

目の前に死が迫っているというのに避ける様子もないロゼッタに、アゲハの手が迫った時……見えない何かの気配を感じた。

「ふん、お前が不可視の糸使いということは知っている!」

前述のように人体のマナの流れに敏いアゲハは、ロゼッタの糸の攻撃も大まかにだが把握できる。
暗器使いとの戦いも多い暗殺部隊にいたのと、予め情報があったのもあり、アゲハは初見ながら運命の糸に抵抗してみせた。

「当たりさえすれば……取った!!」

糸を完全に回避したアゲハは一息にロゼッタに肉薄し、すれ違いざまに秘孔を突こうとした。
だが……

「が、は……!?」

あと一歩でロゼッタに手が届くというところで、なぜかアゲハは口から吐血し、膝をついてしまう。

(な、んだ……?攻撃を受けた感覚もないのに、血が……?)

血の流れを逆流させる秘孔ならばアゲハも使える。だが、自分は全く攻撃を受けていないはず……

「赤い糸!血の糸!!運命の赤い糸!!」

膝をついたアゲハの目の前で変わらずクルクルと踊るロゼッタ。その左手薬指に……アゲハの吐いた血が細長い糸状になって絡みつく。

「な、に……!?」
(馬鹿な、触ってもいないのに、相手の血を操るだと……!?)

「運命の赤い糸は、全部私のもの!アハハハハ!」

「ぐ、ぶ……!ごぽ……!」

信じられない光景に驚いている間にも、アゲハの口からはとめどなく血が吐き出され、ロゼッタの左手薬指に巻きつく「運命の赤い糸」は増える一方。

751 名無しさん :2020/05/22(金) 21:03:59 ID:???
(悔しいが、どうしようもない……!何とか離脱しなければ……!)

止血の秘孔を突いて無理矢理吐血を止めようとするが、一向に効果は現れない。

「う、ぷ……!ご、ぶぅ……!がはっ……!」

「なんか分からんがチャンス!ノコノコやってきた白女にお灸を据えてやるぜ!」

苦しげに呻くアゲハを見て、これ幸いと逃げ惑っていた魔物兵が、アゲハの顔を蹴り上げる。

「ぐはぁ!!」

貧血と血の逆流で動けないアゲハは、一瞬宙に浮いた後、受け身も取れずに硬い地面に倒れこむ。

「アハハハ!踊ろう?歌おう?天使!愛の歌!ラララ!」

ロゼッタ本人は追撃する様子もなく歌って踊っているが、相手の血を操る能力を解除する様子もない。
身動きも取れず、最早これまでかと思われたが……



「ニューベアランス・ベルトコンベアー!!」

突然、アゲハの倒れている地面が高速でベルトコンベヤーのように動き、彼女をトーメント本陣からミツルギ軍側へと引き戻す。

「な、なんだぁ!?あの女、動いてないのに急に遠くへ!?」

「ロゼッタ様!止めてください!」

「タラリラ〜♪ルラララ〜♪」

「ロゼッタ様ぁあ!?」

踊るばかりのロゼッタに兵士たちのツッコミが入るのを聞きながら、アゲハはある程度離れた草陰にまで運び込まれた。

「この忍法、まさか……」

「ぜ、前々回の大会ぶりだでな」

「グリズ、貴様に助けられるとはな……どういう風の吹き回しだ?」

【熊腕のグリズ】
前回の闘技大会の一回戦でアゲハと対戦した。その名の通りベアハッグを得意とする。
怪力と高い再生能力を持つ魔物「トロール」の血を引いており、少々の傷ならあっという間に回復してしまう。
鏡花をあと一歩の所まで追い詰めるが、魔法少女特有の友情パワーに逆転されたりもした。


「お、おでは今回はサポートに徹するんだな。負傷者を後方まで運ぶのがおでの仕事なんだな」

「ふ、随分牙の抜けた熊だ……まるでプーさんだな」

「な、なんとでも言うんだな。もう負けて痛いのはこりごりなんだな」

以前しのぎを削った相手に助けられるという奇妙な体験に何とも言えないこそばゆさを覚えながら、アゲハは口元の血を拭う。

「私が言うのも何だが、変わったな……とにかく、テンジョウ様の所へ私を送ってくれ。至急報告したいことがある」

752 >>749から :2020/05/24(日) 15:27:29 ID:???
「あっぎあああああ!!! い、痛いぃっっ!!
 太くて、固くて……奥まで、刺さって………いやああああああ!!!!」
「ギャーーッハッハッハッハ!!痛くて当然。
俺様の特別製改造繁殖肉ナイフは、刺した奴に快楽なんてヌルいもんは一切与えねえ。
純度120パーセントの苦痛。その悲鳴が、俺様をより滾らせるのよォォ!!」

ヴァイスの改造ペニスは、鋭いスパイクが無数に生えた特別製。
彼の性格を反映し、対象に苦痛を与えるためだけに特化した恐るべき代物だった。
伝え聞いていたような『快楽』なるものは一切なく、
代わりにエミリアを襲うのは、覚悟していたより何十倍、何百倍もの純粋な苦痛の渦。
そしてそれは、ヴァイスが腰を一突きするたびに、更に勢いを増していく。

「げほっ!!がは!!!う、ぐ……っつああああああ!!!」
(こ、んなに……太くて、固くて、痛いなんて……!……この、ままじゃ……殺される…!)
前の穴だけでなく後ろも、穴以外の場所も、ヴァイスの肉棒は無差別に暴れまわる。
まるで、ノコギリで股間とその周辺を無差別に切り刻まれているかのような激痛。
エミリアの下半身は既に血の海だった。

「んぐぁああああぁぁぁぁぁぁっ!!いやあああ!!や、やめてっ……」
(私の命は……アイナちゃんが、守ってくれた命……こんな所で、無駄には……)
エミリアは、消えそうな自らの生命を燃やし、最後の魔力を振り絞ろうとする。だが……

「ヒッヒッヒ………ムダムダぁ!!」
(……バチバチバチバチバチッ!!)
「ひっ、が、っぐああああああ!!!」
(私の命は……リザちゃんを守るため。そのためだけに、使わ………な、きゃ……)
四肢を拘束する鎖に、必死に紡ぎだした魔力も根こそぎ吸い取られてしまう。

「ギッヒヒヒヒ……そろそろ出すぜぇ。その死にぞこないの身体で、たっぷり味わいなぁぁぁ!!」
……エミリアに、もはや打つ手は残されていなかった。
全てをあきらめ、瞳から意志の光が消えようとした、その時………

……さわやかな柑橘系の香りが、エミリアの鼻腔をくすぐった。

753 名無しさん :2020/05/24(日) 15:29:15 ID:???
◇◇◇◇◇◇

「……ねえねえリザちゃん。王様が言ってた、リザちゃんが知ってる人って誰のことだと思う?」
「別に、誰でもいい……誰が来ようと、私のやることに変わりはない」

……トーメント王は勿体つけていたが、リザにも察しはついていた。
そもそもリザが知っている人物自体そう多くないし、その中で『遊撃部隊』に選ばれるだけの実力者。
更に、王が選んだメンバーとなると……心当たりは一人、あの狂った殺人鬼しかいない。

「ふふふ。王様はそのつもりかもしれないけど……別の可能性も考えられない?
運命って、意外とちょっとした事で変わるものなんだよ。
例えば………」

「っていうか、遅ぇなぁ。ヴァイスはいつになったら来るんだよ、ったく……」
「はぁっ………はぁっ………はぁっ………」
「あれ?……おいおいエミリアちゃん。なんで君がここに?」
「エミリア!?……傷だらけじゃない。一体何があったの!?」
「ヴァイスは……あの人は、ここには来ません。私が倒しましたから……
…王様、そしてリザちゃん。……代わりに私を、『遊撃部隊』のメンバーに加えてください!」

「……確率で言ったら、10%にも満たないけど……こういう事だって起こりうるの。
私としても、きったないオジサンよりは女の子の方がいいし……」

ヴァイスを倒したというエミリアは、下半身が血まみれ。
そして肩には、大ぶりなナイフが深々と突き刺さっていた。
一体何があったというのか。想像はつくが、想像したくない。

「……あの殺人鬼じゃなくて、エミリアがメンバーに?………?」
「そう……あくまで、これは可能性。だけど今なら、私の能力で、好きな方を選ぶ事ができる。
リザちゃんは……どっちがいいかな?」

「………そんな………エミリア、ボロボロじゃない。この後すぐ戦場に行くのに、こんな状態で、なんて……」
「…平気、だよ。リザちゃんのためなら。…それに、しばらくすれば魔力も回復して、治療できるし……」
「ふふふ。けなげねえ……戦力的には足手まといでも、イザってとき盾くらいには使えそうじゃない?」

「……待って。……やっぱり、ダメだよ。こんなの」
「……リザ…ちゃん……?」
「あら。この可能性は要らない?」

「…こんな状態のエミリアを、戦場に連れていけるわけないでしょ。
それに………もうこれ以上、エミリアを戦いに巻き込みたくない。
ガラドの……エミリアの故郷の人たちも、敵になるかもしれないのに」
「……そんなの、とっくに覚悟してるよ。
私はそれでも、リザちゃんの力になりたい。だから。お願い………!!」

(何より………戦場で、これから私は、たくさん殺す。人も魔物も、手当たり次第に…
そんな姿を……エミリアにだけは、見せたくない)

「リザちゃん!!」
「さあリザちゃん。貴女なら、どっちを選ぶ?
その仲良しの子を戦場に連れていくか。……それとも、汚らしい殺人鬼の方がお好み?
……ふふふふ……」

◆◆◆◆◆◆


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