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リョナな長文リレー小説 第2話-2

1 名無しさん :2018/05/11(金) 03:08:10 ID:???
前スレ:リョナな長文リレー小説 第2話
ttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/lite/read.cgi/game/37271/1483192943/l30

前々スレ:リョナな一行リレー小説 第二話
ttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/lite/read.cgi/game/37271/1406302492/l30

感想・要望スレ
ttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/lite/read.cgi/game/37271/1517672698/l30

まとめWiki
ttp://ryonarelayss.wiki.fc2.com/

ルール
・ここは前スレの続きから始まるリレー小説スレです。
・文字数制限なしで物語を進める。
・キャラはオリジナル限定。
・書き手をキャラとして登場させない。
 例:>>2はおもむろに立ち上がり…
・コメントがあればメ欄で。
・物語でないことを本文に書かない。
・連投可。でも間隔は開けないように。
・投稿しようとして書いたものの投稿されてしまっていた…という場合もその旨を書いて投稿可。次を描く人はどちらかを選んで繋げる。
・ルールを守っているレスは無視せず必ず繋げる。
 守っていないレスは無視。

では前スレの最後の続きを>>2からスタート。

385 名無しさん :2019/01/02(水) 17:32:17 ID:???
「ぐおおっ!?なんでござるか!この動きは…!」
「二人とも死にかけでフラフラのはずなのに……捉えられきれんでござる!!」
「バカな……あんなスケベなボディの、どこにこんな力が!」

七華とクロヒメは、流れるような動きで下忍達の攻撃をかわしていく。

「クソがっ…やらせるかよっ!」
下忍達をかわした直後の隙を突いて、七華に蹴りを放つザギ。
強化ブーツを履いての一撃は、必殺の威力を持っている。だが……

「無駄じゃ」「当たりません」
(ビシッ)
「ぐぉっ!!」
クロヒメが七華の手を取って、抱き寄せるように倒れてザギの攻撃をかわす。
そして舞を舞うように、剣の峰でザギの脚を払って転ばせた。

「おのれ雌人形どもがっ……もう容赦はせぬ。死ねぇい!!」
(ブオォォォォン!!)
「「………!!」」
サンタクロースの殺人玩具でも最強の威力を誇る『クリスマスツリー・チェーンソー』が横薙ぎに振るわれる。
全てを斬り裂く必殺の一撃を、七華は跳躍して上に、クロヒメは身を伏せて下に回避。

「無駄ですっ!そんな物で、私たちの絆は断ち切れない!」
「これで終わりじゃ……闇に滅せいっ!!」
((……ザシュッ!!))
「………うぐおぉぉおおおおおっ……!!」
後の先で放たれた七華とクロヒメの斬撃が、サンタクロースの巨体を十文字に斬り裂いた。

(ゴォォォォッ……)
「………おの、れ……!!……だが、もう……時間切れ……か……!」
赤と緑の炎に包まれて、サンタクロースが消滅していき……周囲を包んでいた邪悪な気配は、やがて完全に消えた。

さっきまでクリスマスだったはずなのにいつのまにか新年が明けていたが、考えたら負けである。

「はぁっ……はぁっ……やったな、七華……」
「ええ、クロヒメ様。……そうだ、ザギさんや、他の皆さんは……!」
「……酒と料理の効果は、多分すぐ切れるじゃろう。しかし、用心せよ。奴らの性根は元々腐っているのじゃから」
「ザギさん!大丈夫ですか!?しっかりしてください!!」
「……こら七華。わらわの話を聴けい!少しは警戒をだな……!」

ザギや下忍達は「酒と料理を食べたらおかしくなっていた」と、全てサンタのせいにしてこの場を乗り切った。
もちろんクロヒメは信用しないが、七華が疑いもしなかったため、それ以上強くは言えなかった。

「全く。七華のお人好しにも困った物よ。
今回は何とかなったが、やはり七華を守るには生身の身体では難しいやも……
……む?これは」
クロヒメがため息をつき、ふと足元を見ると……赤と緑のリボンが落ちていた。
あれは、サンタクロースが使っていた『クリスマス・リボン』。
……玩具を生身の生き物へ、生き物を玩具へと変える力を持っている。

(……これを使えば、わらわは……再び人形に……?)
リボンを拾い上げ、そっと懐に忍ばせる。

「クロヒメ様、大変です!テンジョウ様から呼び出しだそうです!
すぐに参戦(使用キャラ:WiiFitトレーナー→アイスクライマー)しなければ!」
「う、うむ……すぐに行く」
……使うべきか。使わざるべきか。人形と人間、どちらの姿でいるべきか。
人としての強さと弱さを手に入れてしまったが故に、クロヒメは悩み、すぐには答えを導き出す事が出来なかった。

386 名無しさん :2019/01/02(水) 21:54:05 ID:YRK6qvlA
「唯ちゃん!」
「鏡花ちゃん、ごめん……でも、すぐに王様を追うには、こうするしかないの……!」

王を追うために、敢えてその身をアトラとシアナに捧げようとする唯。それを見て鏡花は止めようとするが、唯の意思は固かった。

「アトラ君、シアナ君……私は王様を止める……前に約束したよね、王様を私が倒したら、2人は悪いことを止めるって」

「ああ、覚えてるよ唯ちゃん……だから今、僕に殺されてまで王様を追おうとしてるんだろう?」

「唯ちゃん……アトラ君とそんなことを……?」

以前唯と瑠奈がアトラとシアナと戦った時の約束を知った鏡花。それほどの決意を持って王を倒そうとしているのを見せられれば、鏡花は唯を止めることができなかった。

そして唯は嗜虐的な笑みを浮かべるシアナに気圧されながらも、わざと彼に殺されるのを止めるつもりはなかった。

そう、何か嫌な予感がするのだ。急がないといけないという、漠然とした嫌な予感が。故に、身を滅ぼしかねない行為も唯は取ろうとする。

「それじゃあ唯ちゃん……王様に新年の挨拶でもしてくるんだね!」

「あぅ!?」

突然唯の足元に現れた、唯の身体が丁度入るくらいの大きさの穴。そこにすっぽりと収まった唯は、受け入れたこととは言え、いざ今から殺されるとなると体がこわばってしまう。

「アトラ!溶解液トラップだ!」
「あいよ!ちょっとずつちょっとずつ溶かしてやるぜ!」

「唯ちゃん!」
「だ、大丈夫……!すぐに、王様を追うから……!ん、ぁぁああぁあああぁああ!!!!」

溶解液トラップ。人を少しずつ溶かしていく恐ろしいトラップを受けて悲鳴をあげる唯。
本当ならすぐにでも助けたい鏡花だが、王を追うためにはこうするしかないという現状に歯噛みする。


「うーん、諸々の事情で自分からリョナらればきゃいけない女の子……たまにはアリだな」
「普段は嫌がってるのを無理矢理リョナってるからな。たまには趣向も変えなきゃな」


アトラとシアナが喋っている間にも、溶解液はどんどん唯の体にかかっていく。
溶解液は唯の服を溶かし、パステルピンクの下着(wiki的には唯の下着4と同じやつ)が見え隠れする。
だが、今唯にかかっているのは都合よく服だけ溶かす水トラップではなく、都合よく顔とか胸とかの原型を留めながら相手を溶かして殺す溶解液トラップである。

「ぐ、っぅああ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!や゛あ゛ぁ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁ゛あ゛あ゛!!!ぐ、ゔう゛ぅ゛う゛う゛!」

右腕にかかった溶解液が、ジュウジュウと音を立てて皮を溶かす。反射的に左手で液体を払うも、その間に今度は左肩に溶解液がかかる。しばらく経つとシアナの開けた穴は溶解液に満たされ、唯の体は液に漬かってしまう。

「ぎ、ご、ぉおお……!は、やぐ、ごろじでぇ゛!!ぼ、ぐぅう……!わだ、しは……!おう、ざま゛を……!と……め……」

普通ならばとっくに絶命しているはずの唯であるが、都合よく顔とか胸とかは残す溶解液は、そう簡単に相手を殺しはしない。ゆっくりと、じっくりと相手を溶かし……最期の一瞬まで、相手に自らの体が溶けて消えゆく恐怖を与えるのだ。

387 名無しさん :2019/01/03(木) 04:10:22 ID:???
「んむぐっ!?ぐっ、あぁんっ!」
「んむ……!」

アイリスに操られ、アリスの唇を奪ったエリス。その目はいつものエリスの目よりもより一層赤く揺らめいていて、明らかに普通の様子ではない。

(ぐっ……!これは……口から魔力を流し込まれているっ………!)

突然双子の姉妹に唇を奪われたが、そこはアリスも軍人である。
すぐに状況を把握するべく全神経を研ぎ澄ませ、エリスが普通の状態ではないことに気づき、自分が何をされているかまで気づいた。

「ん、あああぁっ!やっ!ふ、あぁんっ!」
「んっ!はむっ……!んんん……!」

なんとか暴れてエリスの拘束を外れようとするが、武術を得意とするエリスの組み伏せをそう簡単には外せない。
口を離してもすぐに元の状態にされ、叫ぼうにも激しい雨が声を遮ってしまう。
キスで完全に虚を突かれ、そのまま寝かされてこの状態になってしまったからには、力での抵抗は無意味だった。

「ひ、ぁ……!ふ、あああぁんっ!」
(……だ、だめ……このまま、エリスに身をまかせては……だめ……)
「……んっ……んんっ……!」

エリスの口から流し込まれる快楽が、アリスの思考をグチャトロに混濁させてゆく。
もはやこれまでか……と思われた。



バチバチバチバチバチッ!!!
「ん゛ん゛ん゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ!!!」
「ひあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ!!!」

エリスとアリスに電流走る。比喩的なものではなく、正真正銘の電撃である。
雨で濡れた体に強い電撃を浴び、エリスはたまらず唇を離しアリスから離れた。

「あ゛あ゛ぁっ……!はぁ……はぁ……!」
「ぐ……き、貴様ぁ……!」

唇を手で拭い、歯ぎしりをするエリス。電撃によるダメージは両者同じくらいである。

「ふふ……雷式・天迅落破……自分の技を自分で食らったのは……初めてです……」

身動きの取れない状態でアリスが行ったのは、針を自分の体に流し込むことだった。
倒れた時に地面に落ちた針を僅かに動かせる手で掴み、魔力を流し込んで自分の体に刺したのだ。

(流石にエリスに直接刺すのは叶いませんでしたが……私の体を通して感電させてしまえばいいだけのこと……!)

感電で足を震えさせながら立ち上がるアリス。快楽によって体が痺れているが、ひとまず拘束を外れただけでも上出来だ。

「エリス……一体何があったんです……?今のあなたはおかしい……」

「……ふん。流石私の妹だ。だが逃しはしない。ここからは実力行使で行くぞ……!」

「キャッ!」

激しい雨に強烈な風が混ざり始める。
突風によってめくれ上がったフレアスカートをアリスが抑えた瞬間、エリスの手にはテンペストカルネージが握られていた。

「……ナルビアの神風……そうあなたが大衆に呼ばれるようになってから、こうして戦うことはなかったですね。」

「ふん。私の戦い方がわかりやすいから付けられただけの二つ名だ。……言っておくが手加減はしないぞ。」

「……エリス……あなたを操っている不届き者を突き止めるために、こちらも実力行使します。骨の一本や二本は覚悟してください。」

赤と青の視線が混じり合ってしばらくした後、前触れのない大突風がナルビアの街に吹き荒れた。

388 名無しさん :2019/01/03(木) 12:40:12 ID:???
威勢よく啖呵を切ったアリスだが、はっきり言って状況は芳しくない。
突然の奇襲で既に少なくない快楽を送り込まれていることも無視できない要因だが、それ以上に……

「行くぞ!お前もあの方に跪くがいい!!」

「くっ……!ぐぅああ!!」

エリスの振るう槍を、素手でいなすアリス。当然その衝撃を完全に殺すことはできず、彼女の繊細な両手は傷だらけになっていく。

「はぁ……はぁ……つっ!痛……!」

「ククク……どうしたアリス?さぁ、得意の針を使ったらどうだ?」

「白々しい……!ほとんど部屋に置いてきたことは知っているでしょうに……!」

そう、アリスが苦戦している一番の要因は、武器不足にある。>>327にあるように、彼女は自分の部屋に愛用武器である針のほとんどを置いてきてしまっていたのだ。

護身用に持ち歩いていたほんの数本しか針を持っていない現状、ここぞという場面以外では針を使うわけにはいかない。
相手がそこらの雑兵であれば、例え針がなくとも負ける気はしないが……ナルビアの神風相手ではそうもいかない。

「そらそらそら!暴風弐連烈!」
「くっ……!碧式・疾風怒涛!」

風に乗りながら双槍を振るって一気に敵を切り裂くエリスの必殺技。素手で防御するのは不可能と見たアリスは、風の魔法が込められた針を投擲して風を相殺する。

(あと、2本……!)

姉妹の風がぶつかり合い、乱気流となって相殺される。風に乗っていたエリスの勢いは落ちたが、彼女の性格ならば、必ずこのまま突撃してくると呼んだアリスは、敢えてその場に留まって迎え撃つ構えに入る。


「嵐の加護がなくとも、我が槍の冴えは変わらん!行くぞ!」

「ええ、私の針術も、この程度の逆境……何でもありません!」

魔法による補助もなく、生身でアリスへ向けて走り出すエリス。

「終わりだ!!」

アリスが槍の間合いに入った瞬間、爆発的な膂力で槍を振るう。それに対しアリスは……

「こういう時、貴女はいつも……左の大振りからですね!」

今までずっと共に戦い続けてきた双子の姉の、些細な癖。普段のエリスであれば「自分の癖が見抜かれている」ことも念頭に置いて戦えただろうが……洗脳によって妹との思い出に陰りがある今のエリスには、それを読むことができなかった。

「くっ、しま……ぐ……がああ゛あ゛あ゛あ゛ぁーーっ!!!」

「あと、1本……!」

エリスの渾身の槍を避けたアリスは、そのままエリスの左腕に針を突き立てた。
針から注入される炎属性の魔法の痛みにのたうち回るエリス。
この意思力の低下も洗脳の弊害だ。常時のエリスならばこの程度の痛み、歯を食い縛って耐え、決して敵に隙を見せないというのに……!

「終わりです……!零式・無間奈落!!」




「ブーメランイーグル!!」

「が、は……!?」

今まさにエリス技を放とうとしたアリスの背中を……突如飛来したブーメランが、深々と切り裂いた。

389 名無しさん :2019/01/05(土) 13:20:31 ID:???
「いやー間一髪ってカンジ?やばたにえんだったしょーエリスちゃん?アタシがきてよかったネコ?」

「く……!その声は……!」

背後から響いたのはいつも通りの能天気な声。
背中を切り裂かれた痛みに耐えきれず、アリスはうつ伏せに倒れた。

「まじ卍〜。エリスちゃん遅いなーって思って探しにきてみたらこれだもん。やっぱアリスちゃんは油断ならないね〜。」

「レイナさんっ……あなたまで操られているなんて……っ!」

「も〜心配しないでも、アリスちゃんもちゃんと仲間にしてあげるって!1人だけ仲間外れになんかしなーいよ?」

(仲間……?わたしもエリスの言っていたあの方とやらに操られろと……?)

もし自分が操られてしまえば、シックスデイの半数が堕ちることになる。
それどころか、すでにダイやマーティンも操られている可能性もある。
最悪のパターンを想定して動くためにも、アリスはここで捕まるわけにはいかなかった。

「だーめ!そうやって逃げようとしても絶対逃がさないよっ……と!」
「あっ、やめっ……あああぁんっ!」
「ふふふ……!私さー、エリスちゃんやアリスちゃんのこと、一回いじめてみたかったんだよね〜」

這いずって距離を取ろうとするアリスに覆い被さり拘束するレイナ。ざっくりと開いた痛々しい傷口を無視して、アリスの顔を掴み自分の方へと向けた。

「アリスちゃんはいっつもみんなにツンツンして、自分はさらーっとおすまし顔しててさ〜?焦ってるとことかほとんど見たことないし……最近やっとリンネくんのこと好きっぽい隙を見せたくらいかなぁ?」

「な、なな、何を言って……!目を覚ましてくださいレイナさん!あなたもエリスも操られているんですっ!」

「ふふふ……そんなに必死になっちゃって、アリスちゃん可愛い……!もっといじめたくなっちゃうよ……」

「レイナ、もうその辺にしてやれ……さっさと終わらせろ。」

「はいはーい。……なんか背徳感でドキドキするなぁ。エリスちゃんとアリスちゃん、1日に2回も美少女とキスなんて……」

「や……やめてくださいっ……!レイナさん……エリス……正気に、戻って……!」

出血と先ほどのエリスに送られた快楽成分で、アリスの言葉はたよりなくふらついていた。
そんな様子のアリスを気にすることなく、レイナはリップクリームを取り出し自分の唇に塗っている。

「んーまっ……と。よし!アリスちゃん観念しろぉー!シックスデイのお色気担当が、いやらしいキスをしちゃうよー!」

「だめっ!レイナさん、だめええっ!いやああああああああああっ!!!」

最後の抵抗として甲高い悲鳴をあげるアリス。
それはレイナの唇でしっかりと蓋をされ、辺りは再び激しい雨の音に支配された。

390 >>381から :2019/01/05(土) 16:09:56 ID:???
「うぇええ……何これ。白くてべとべとだよぉ……!」
「ま、まずいですわっ……狂戦士化したエミリアちゃんが、まるで通用しないなんて……!」
「え?狂戦士って……私に何したのアイナちゃん!?」

カルピス味ねるねるねるねをぶっかけられ、思わず正気に戻ったエミリア。

「爆炎のスカーレット。それに、なんか見覚えがあるピンク色。
お前ら、トーメントの刺客だな……さっきの変な穴もお前らの仕業か?」
「んげっ!?なぜアイナ達の正体を!?」
名うての傭兵でもあったエミリアの出自、そして現在の状況から逆算して、アイナ達の正体を言い当てるダン。
歴戦の戦士としての洞察力の賜物である。
だがこの妙に緊張感のない『ピンク色』が、トーメント最強「王下十輝星」の一角だとは流石に気付かなかった。

「だとしたら、容赦はしねえ……(と言いたい所だが……ここで下手に暴れると、洞窟丸ごと崩れかねんな)」
分断された唯達の様子も気がかりだ。さっさと二人を大人しくさせ、助けに行きたい所だが……

「ぐぬぬ……勝負はこれからですわ!さあエミリアちゃん!
この何の害もなくて持続時間や高価が更にパワーアップした
『スーパーバーサーカーキャラメルXX(激辛カレー味)』をお食べなさい!」
「やだよ!こんな事、もうやめようよ!」
再びやべーのを食べさせようとするアイナ。もちろん抵抗するエミリア。
両者はやがて揉み合いになり、その拍子にキャラメルは放り投げられ……

(ひゅっ………)
「おいお前ら。何揉めてるんだ。いい加減に……(ぱく ごくん)」
「あっ……(察し」
「アイナちゃん、これ……まずいんじゃ」
「いや……味は美味しいらしいですわよ?ちょっと辛いけど」

「GRRRRRR...」

「「っぎゃああああああああ!!」」

『竜殺し』の真の力が今、解放されようとしていた。

391 >>376から :2019/01/05(土) 17:12:40 ID:???
「おや?そんなに力入れて蹴ったつもりないんだけど、だいぶ効いてるようだな!さすが俺様のキック力だぜ!」
「んうっ……くっ……女の子のこんな所蹴っといて、よくもそんな事……頭イかれてんじゃないの……!」
股間を蹴り上げられて悶絶し、立ち上がれない瑠奈。
しかしアイベルトは童貞(しかもアホ)であるがゆえに、自分が蹴った箇所の危険さをわかっていなかった。

「ま、ここまでの戦いでも、実力差は歴然って所だな……
じゃあお年玉代わりに、ルナティックちゃんにハンデをくれてやるよ。
どんな武器も魔法も超一流な俺様だが、ここから先は素手……それも拳だけで戦ってやる」

「何よそれ。バカにして……!……後悔させてあげるわ!!」
だが、相手はサラをギリギリまで追い詰めたほどの難敵。
今みたいに魔法や武器まで使って来られたら、確かに苦戦は免れないだろう。
相手が慢心しているなら願ってもない、その油断を突こう…と頭を切り替え、瑠奈は再びアイベルトに立ち向かう。

「ふ……武器や魔法が制限されようと関係ねえ!ウェ○ー対○心みたいにしてやるぜ!
……おや?」
迎え撃とうとしたアイベルトは、ポケットの中に何かが入ってるのを見つけた。
ちなみにこの例えだと、色々制限されてたのは負けた天○側なのだが、そんな事を気にするアイベルトではない。

「手紙か……なになに。」
『いとしのアイベルト様へ♥♥

アイナですわー!!
じつはアイナ、ずっと前からアイベルト様の事……
きゃっ♥♥ これ以上はいえないー♥♥
この続きは、任務♥が終わってから♥♥♥

そうそう、今回の任務は五人の戦士のSATSUGAIが目的だってこと、忘れちゃだめですわよ?
アイベルト様はとーーっても強いけど、ちょっちお優しすぎるから、アイナ心配…♥♥
これを食べて頑張ってくださいですわ♥♥

あなたのアイナより、愛を込めて♥♥♥』

「そうか……まさかリザやサキやロゼッタやエミリアちゃんや(中略)だけでなく、
アイナも俺にぞっこんだったなんてな!
この『クレイジーサディスティックキャンディ(天丼風)』は
ありがたく頂くとするぜ!!」

ちなみにこの手紙を書いたのはシアナであるが、そんな事に気付くアイベルトではない。

「何をごちゃごちゃやってんのよ……喰らいなさいっ!バーニング瑠奈ちゃんキィィーック!!」
(……ゴォオオッ!!)
なんやかんやで蹴りにも属性が付与できるようになった瑠奈が、必殺の飛び蹴りをアイベルトに繰り出す!
だがその時……

「……俺を恐れろ、俺に恐怖しろ……!」
「えっ……」
(ドゴッ!!)
アイベルトは紙一重で蹴りをかわし、カウンターの一撃を繰り出す。

(…どぷっ……)
打ち下ろし気味の一撃は、高速で飛来した瑠奈の下腹を、狙い過たず撃ち抜いている。
しかも、その拳には………金属製のスパイクナックル。

(……ドガッ!!)
「んっ……あ……っ……く、は……!!」
地面に叩きつけられた瑠奈は、さっきとは比べ物にならない急所への苦痛にのたうち回る。

「クックック……今の見たか?見たよなぁ?
高速で飛び蹴りかましてきたルナティックの股間、一撃目とおんなじ場所にブチ当ててやった……
俺様の超一流の神テクニックをよぉ……!」

そう。先ほどアイベルトが1ミリも疑わずに食べた、長ったらしいお菓子は、
多少調子に乗りやすい雰囲気もあるが、確実に敵を追い詰めるような残虐性を持ち合わせた性格に……
いわば初登場時(回想)のような、今とはほとんど別人格に変えてしまう効果を持つのだ!
つまりアイナがエミリアにやろうとしていた作戦と丸かぶりである。故に天丼。
「さぁーて。パンチと言えば、やっぱり腹かみぞおちか。股間をこのまま集中攻撃か。
マウント取ってボコボコってのもアリだなぁ……俺様の華麗な拳で、死ぬまで踊ってもらうぜぇ……!」

「瑠奈ぁーっ!大丈夫か!今、アシストウェポンを送るぞー!」
「う、ぐっ……あいつがアホそうだからって……油断してたのは、こっちの方だったってわけね……!」

392 >>386から :2019/01/05(土) 19:56:58 ID:byp1Fv5s
「それに……トーメントに、協力すれば……!いつか、いつか王様の復活の術で……家族と、また会えるかもって……!」

「リザ……そんなことは夢物語よ。有り得ないわ……」

「だからって!!家族をみんな殺されて!!一族のみんなも殺され続けて!何かに……『可能性』にすがらないと、私は……!生きていけなかった!!」

生きてさえいれば、無限にある可能性……かつて命を絶とうとしたリザに、ドロシーが放った言葉。
だがそれはミストには、ただ痛々しいだけに見えた。

「リザ……アンタは辛い現実を受け入れられずに、駄々を捏ねてるだけよ……アウィナイトの保護だって、あの王がずっとするわけないじゃない」

「そんなことない!ようは私が負けなければ、ずっと……!」

「今の状況で、よくそんなことが言えるわね」

自分が負けない限りアウィナイトは保護される……正に今、ミストに敗北して地に這いつくばっているリザが言っても説得力はない。

「リザ……せめて安らかに眠らせてあげる」

血を大量に失いながらも必死に意識を保っているリザ。見ていられなくなったミストは、ゆっくりとリザに歩み寄る。

「お姉ちゃん……私たちはもっと、ワガママに生きていいんだよ……ううん、ワガママじゃないと、こんな世界で生きていけない……駄々を捏ねてるのは私かもしれないけど……現実が見えてないのはお姉ちゃんだよ……!」

「……運命って、皮肉ね」

同じ親から産まれ、同じように育ち……同じように家族を失った姉妹。なのに2人の道は、致命的なまでに別たれてしまった。

ミストの刀が煌めき、リザの首目掛けて振り下ろされた。

「ぐっ!!お、ねぇ……ちゃん……せめて、お母さん……だけ、でも……!」

最後に母の事を言い残した後……ドサリと地面に倒れるリザ。その胸は小さくだが、確かに上下している。峰打ちだ。

「……私も甘いわね、戦って殺す覚悟はあっても……無力になったあの娘を一方的に殺す覚悟がなかった」

チン、と刀を鞘に収めたミスト。そのまま、意識を失ってもなおナイフを握りしめているリザの手を優しく包み込んだ。

「私はこれからトーメント王を殺す……その後はリザ、穏やかに……」

「え、あのトーメント王を!?止めとけ止めとけ、あいつは滅茶苦茶強いんだ」

「っ!!」

バッ、と振り返り、すぐさま刀を構え直すミスト。そう、結界が崩壊した以上……近くに王が潜んでいる可能性は、幾らでもあった。

「キキキ!あの変チクリンな仮面の下がこんなリョナりがいのある美少女だったとは……流石の俺様も予想外だったぜ」

「トーメント王……!」

「で、どうするんだ?ソイツと戦って疲れてんだろ?そんなザマで俺を殺せるとでも?」

「黙れ……!リザを、あんな殺人鬼に仕立て上げて……!私の家族も奪って……!貴様だけは絶対に許さない!」

「リザは自分から志願してきたんだし、十輝星になる前から大なり小なり殺してたと思うぞ?
里の襲撃も俺は金の工面をしただけで、ほとんど盗賊と目付きの悪い男の仕業だし……」

「だとしても!貴様は邪悪の化身だ!生かしてはおけない!!」

妹との激しい戦いで疲弊しながらも、殺意に満ちた瞳で王を見据えるミスト。




「ひ、久しぶりに『こうなる』とやっぱり辛いな……って、あれは王様に……リ、リザちゃんが2人!?ひょっとしてお姉さん!?」

そこから幾らか離れた所では、敢えていち早くアトラとシアナに『殺された』唯が復活していた。

幸い、王にもミストにも気づかれていないようだ。

(ど、どうしよう……リザちゃんは血だらけで倒れてるし、瑠奈たちはいないし、王様はリザちゃんに似た人と戦ってるし……!)

王を止める為にデスルーラ的なあれで現れたはいいものの、状況は混沌としていた。

果たして、これから我らが主人公、篠原唯が取る行動とは……!

393 名無しさん :2019/01/08(火) 01:41:31 ID:W0o7PAvI
「まったく人の話を聞かない奴だなぁ。リザも頑固なところがあったが、お姉ちゃんはもっと頭が固いようだ」

「……貴様は……!貴様だけは、絶対に許さないっ!!!」

手にした長刀を強く握りしめ、ミストはシフトを使い王の元に一瞬で移動する!

「滅殺斬魔!」

長刀に闇のオーラを纏わせ、獲物を魔力と剣で両断する技。
剣の火力に魔力が上乗せされ、一瞬にして強力な一撃を放つことができる。
シフトの力と合わせれば、瞬間的に最大火力で攻撃ができる、まさに鬼に金棒の技だが……

「……なにっ!?」

王の元にワープしたミストだったが、その場に王はいない。
素早く辺りを見回すと、倒れたリザの元に立っている王がいた。

(そんな……いつのまに移動したの?まさか、奴も瞬間移動の能力を……?)



「ぐ……王……様……!」
「リザ、大好きなお姉ちゃんにこんな目にあわされて辛かったろ?俺様が今治してやるからな……」

王がそう言うと、回復の術式が血まみれのリザを中心に展開される。
すぐに癒しの魔法が展開され、清らかな魔力がリザの体を包み込んだ。

「……ふぁっ……」

「さあリザ。俺様の癒しの魔法でゆっくり休むといい……っていうのは嘘だけどな?」

「……え?」

王はそう言うと、展開していた癒しの魔法をすぐに中断し、自分の足を振り上げて……

「あ、やっ……!あ゛ぐううぅぅっ!!!」

自分の体重を全て乗せて、右足でリザの体を踏みつけた。



「ったく、姉妹ゲンカくらい自分でなんとかしろよ……俺様にこんなめんどくさいやつの処理を擦りつけたうえに、自分は1人で王子様を待つおねんねプリンセスってか……?あぁ!?おらっ!オラァ!!」

「んぐっ!!ぐああうぅっ!!」

「貴様あぁッ!汚い足でリザに触るなぁっ!!」

瀕死のリザの体に踏みつけで追い打ちをかける王。
彼が十輝星を蘇生させることはない。十輝星とはそもそも敵に負けた時点で十輝星失格となってしまうのだ。

「おっと、俺はリザにきつめのオイタをしている最中だ。お姉ちゃんはこいつらと遊んでな!」

王がマントを翻すと、ゴブリンやオークら人型の魔物たちが異空間から現れ、ミストの前に立ちふさがる。

「「「げっげっげっげっ……!」」」

(くっ……なんて数!でも……あいつにリザをこれ以上弄ばせるわけにはいかない!)

恐ろしい数の魔物の群れに、臆することなく立ち向かうミスト。
妹のために必死で戦う姉の姿を、王は妹を踏みつけながらニヤニヤと見ていた。



「くっくっく……それにしてもいい格好になったもんだなぁリザ……お前、もう死ぬよ?」

「はぁ、はぁっ……」

「お前が死んだらどうしよっかなー?お前が必死こいて守ってたアウィナイトたちなんて守る価値なくなるし、保護区にいるやつら全員殺しちゃおっかなー?」

「……ぐぅ……それだけ、は……!」

「お前だってわかってたんだろ?自分が死んだらそうなるってことをさ。……なぁリザ、お前は細い綱を踏み外したんだよ。もう諦めろ。」

王の言葉を聞いたリザの目が暗い青に変わる。それはアウィナイトをリョナる者にとって1番見たい、絶望の目。
通常時の明るく清らかな青とは対比をなす、暗く悲しげな青に染まる。
この目を抉って作られる魔石こそ、ノワールが魔法少女たちを操ったダークアウィナイトである。

「ククク……いい顔だ、リザ。そんな顔されたら流石の俺様も、心が揺らいでしまうな……」

「……王……様……!」

「仕方ないなぁ。どうしても助かりたいなら……その可愛い声で俺様に命乞いでもしてみな?」

「……うぅ……!」

王は踏みつけるのをやめ、座り込んでリザの顔を見た。
美少女の悲しみに潤んだ目と恐怖に震える唇は、王にとって大好物の光景だ。
後は必死に命乞いをする姿があれば完璧だったが……

「ほら、言ってみろ。お願いします殺さないでください、なんでもしますからっ……てな!ケケケ!」

394 名無しさん :2019/01/08(火) 01:44:06 ID:???
「……お願い、します……!お姉ちゃんは……殺さない……で……っ」

「……おいリザ。俺様は命乞いをしろと言ったんだぞ。保護区にいる奴らを助けたいだろ?お前が今までやってきたことを無駄にしないためにも、……ほら、ポーカーフェイスを捨てて馬鹿なガキみたいに必死に泣き喚いて命乞いしてみやがれ!!!」

「……………………」

王の言葉が聞こえていないのか、リザが目を閉じた瞬間首の力が抜けた。

(……チッ!気を失いやがった。まったくもって面白くないやつだ……!)

王としては最後にリザが命乞いをする姿を存分に楽しんでから、お得意の触手で締め殺して絶望させたかったのだが、それは叶わなかった。
興を削がれた王は、茂みの中へとリザの体を蹴り飛ばす。

(何を言うかと思えば……自分をボロ雑巾にしたこいつを殺すなだと?何を考えてやがる……ま、あいつの人殺しのくせにお人好しなとこも好きなんだがな。ケケケ……おっと!)

王が心の中で笑っていると、オークの首が目の前に飛んできた。

「はぁ、はぁっ……!トーメント王!貴様はここで殺す!」

「なんだ、もう片付け終わったのか。ならご褒美に、俺様が直々にリョナってやんよ!」


★★★★★★★★★★★★★★★


「……んっ……ぅ……」

「動かないで!今癒しの術を……!」

「……篠原……唯……?」

リザが目を覚ますと、両手で癒しの術を自分にかけている唯がいた。

「私の癒しの術じゃ、治療に時間がかかっちゃうけど……!」

「……だ、め……!お姉ちゃんを、助けなきゃ……ぐぅっ!!」

「動いちゃだめだよっ!リザちゃん、すっごい怪我してるんだから……!絶対安静だよ!」

鏡花がいればもう少しまともな治療ができるのだが、唯1人ではせいぜい止血するくらいが精一杯だ。
動いた途端に押し寄せた身体中の痛みと、気を抜くとすぐに失神してしまいそうな目眩がリザを倒れさせた。



王を追ってデスルーラで飛んできたという唯に話を聞くと、自分のところに偶然飛んできたリザを唯がキャッチして、王に見つかってはならないと50メートルほど離れたここまで運んできたらしい。

「……リザちゃん……さっき王様が言ってたこと、聞こえちゃったんだ。前にも聞いたけど、本当にリザちゃんはアウィナイトの人たちを守ってるんだね。」

「……だから何?同情なんか……つっ……!いらないっ……!」

「……リザちゃん……私ね、正直に言うと……やっぱりリザちゃんのやってることは、間違いだと思う……お姉さんが正しいと思う。」

「……誰もあなたにそんなこと、聞いてない……気安く口を挟まないで。」

「……ごめん。私なんかが関わっていいことじゃなかったね。でも私……やっぱりリザちゃんにはあの王様と一緒にいてほしくないよ……」

王都脱出の際や、カイコガに襲われた時に感じたリザの優しさで、唯は十輝星のリザを敵とは思えないでいた。
連絡先は交換したが、挨拶をしても世間話をしてもリザから返事が返ってきたことはない。
ルミナスでの友達……ヒカリの足を切り落としたのもスピカのリザだと鏡花は言っていた。

だがそれでも唯は、リザをこのまま放置することなどできなかった。」

395 名無しさん :2019/01/11(金) 22:41:56 ID:???
(……ザシュッ!!)
「くっ……!!」
洞窟中に張り巡らされた不可視の糸に、少しずつ斬り刻まれていくアリサ。
薄暗く、遮蔽物が多く、糸を張る場所にも事欠かない洞窟内は、『糸』を使うロゼッタにとって圧倒的有利なフィールドだった。

「貴女には……緩慢な死を与えてあげる。手足を一本ずつ、斬り落として……仲間を一人ずつ、八つ裂きにして……
私の気が済むまで嬲りつくすまで……殺してあげない」
ロゼッタの冷たい声が洞窟内に反響する。どこか物陰に潜んでいるのか、アリサからはロゼッタの姿は視認できない。

「随分と嫌われたものですわね。ですが……」
(ガキン!!……ズバッ!!……)
「!!……う、ぐ……わたくしはまだ、倒されるわけには行きませんわ……!」
(……宣言通り、手足を斬り落としに来ていますわね。ですが……来るとわかっていれば、何とか対応できる)
見えない敵の見えない攻撃に、一方的に斬り刻まれる。
しかしアリサは、風を切る音や風圧、そして身を刺すような殺気を感じ取り、致命的な一撃だけは辛うじてかわし続ける。

「…………無駄な足掻きを。ならば、これで……」
「それに……たとえ貴女がわたくし達を殺しても、どうせ何度でも『生き返る』。
……どう転んでも、貴女の気が収まるとは思えませんわ。
本当にわたくしを殺したいなら……まず『あの男』を倒して、能力を封じる必要があるのではなくて?」
「……!!」
(ブオンッ!!………ザシュッ!!)
「……う、ぐっ!!」
足元からの一撃で、左太ももを裂かれる。白いドレスが血に染まり、アリサの身体が少しふらつく。

「黙りなさい。……殺しても生き返るならば、貴女達が絶望するまで、何度でも殺し続けるまで!」
「……いいえ。例え何度殺されようと……それ以上のひどい目に遭わされようと、わたくし達はもう諦めない。
貴女達を……いいえ。あの男……トーメント王を、必ず止めて見せる!」
(ビュッッ!!………スパッ!)
前方から飛来する糸を斬り払い、攻撃を防ぐ。
仲間との出会い、そしてこれまでの戦いの旅は、アリサの心に確かな信念を植え付けていた。

そして、力のみを信奉していたミツルギの皇帝、テンジョウの心の変化を見て……確信を得た。
この世界の人々は、ただ殺し合うだけの鬼畜リョナラーなどではない。
少しずつの歩みでも、諦めずに歩み続ければこの世界を変えていく事ができるはずだと。

「黙れぇえええッッッ!!」
(ビュオオオッ!!………!!)
「殺気が……丸見えですわ!リヒトクーゲル!!」
「なっ……ん、あぅぅっ!?」
飛んで来る糸を斬り裂きながら、アリサが放った光弾は、身を隠していたロゼッタの姿を、確実に捉えていた。

396 名無しさん :2019/01/12(土) 00:00:07 ID:X.ALiKRc
「……はぁっ……はぁっ……ここに、いましたのね……」
全身傷だらけになりながらも、ついにロゼッタの居場所を探し当てたアリサ。
彩芽や瑠奈たちといた場所からは、かなり遠くまで移動していた。

「……王を止める事など……出来るはずがない。お前は……あの人の真の恐ろしさを、まだ知らない」
一方のロゼッタは、光弾を受けて大きく破れたドレスの胸元を、片手で押さえている。
アリサに比べれば遥かに軽傷ではあるが、流石にこの距離での接近戦では分が悪い。

「……貴女は、それを知っているかのような口ぶりですわね。
私達や、アルフレッドや……それに他の国の人達が手を組んだとしても……それすら凌駕する力を、あの男は持っていると?」
「……………。」

「……例えそうだとしても、わたくし達の考えは変わりませんわ。貴女だって、わかっているでしょう。
そもそも、貴女のお姉さまを殺した実行犯である、母様……ソフィア・アングレームも、トーメント王の配下だった。
彼こそが元凶、と言って良い。復讐を肯定するわけではありませんが……貴女は、戦う相手を間違えているのではなくて?」
「黙れっ………黙れ黙れ黙れ!!」
(スパッ!!……ザンッ!!)
「無駄ですっ……貴女の糸は、既に見切りましたわ」
力任せに無数の糸を繰り出すロゼッタ。その斬撃を最小限の動きでかわし、糸を斬り落とすアリサ。

「……関係、ない……私の世界は、姉様だけだった……だから、姉様を殺したソフィア・アングレームを……
奴を横取りした、アルフレッドを……アングレーム家の人間すべてを……!!」
(確実に急所を狙う、精密な攻撃。強力で、純粋な力。でもその本性は……まるで、子供のように純真。
……まるで、最近会った誰かさんのようですわね)
何度も攻撃を受けている内に、アリサはロゼッタの攻め手を把握しつつあった。

「……わたくしを恨んで気が済むのなら、いくらでもそうするといい。
でも……心に迷いを抱いている貴女に、わたくしを斬る事など……!!」

アリサの感覚は研ぎ澄まされ、ロゼッタの指の動き、糸の動き、息遣いまでもが手に取るように分かった。
だが、そのせいで………

(ギュルルルルッ……!!)
「えっ……!?」
死角から飛んできた『糸』に、アリサは気付く事が出来なかった。
それは剣を持つ右腕に巻き付き、アリサの動きを封じ………

(……ザシュッ!!)
「う、ぐああああああぁっ!!」
無防備になった所へ、ロゼッタの糸の斬撃が直撃する。
鮮血を噴き上げながら、アリサの右腕は斬り落とされ……

(!?……今のは……私の、『運命の糸』じゃ、ない。一体……)
攻撃が命中したにもかかわらず、ロゼッタは呆然とした。
……想定外の、第三者の介入。だが、一体誰が……?

「ふふふふ……あたしってば、ツイてるわぁ。おいしそうなかわいい餌が2人も、仲良くケンカしてるなんて……」

【ブラッディ・ウィドー】
戦闘力:雄:C〜B、雌:A
ミツルギ原産の蜘蛛の魔物。
雄は2mほどの巨大な蜘蛛。雌は蜘蛛の下半身と人間の女性のような上半身を持つ。
洞窟などに棲み、強靭な意図で獲物を捕らえる。
獲物を生きたまま捕らえて体液を啜るため、殺さずに動きを止める強力な麻痺毒を持っており、
その毒は暗殺者などに好んで利用されている。
なお、繁殖期には、雌が人間の胎内に産卵管を挿入して大量の卵を産んだ後、雄が集団でその卵に精子を放出するという。


「あれは……魔物………?」
誰であれ、横やりを入れられた事は許せない。新たな敵に、糸を繰り出そうとしたロゼッタだが……

(どくん………!)
「………薬切れ……」
はるか昔、魔物によって調教された身体が疼き出し始めた。その症状を抑える薬も、手元には無い。

(からだ……あつい………まも、の……っ……今は……考えるなっ……!)
ロゼッタの脳裏を、過去の記憶がよぎった。
姉ヴィオラを殺された後、糸の力を手に入れる前。
リョナ対象として王に蘇生され、地下闘技場で魔物達と戦わされた日々の記憶が……

397 名無しさん :2019/01/12(土) 20:57:29 ID:???
「新年の挨拶を兼ねた集会……?デジタル化が進んで年賀状すらない、このナルビア王国で?そもそも時期がずれてないですか?」

「そう……なーんか匂うよな……つーかリンネ、お前大丈夫か?なまじ元の顔が良いだけに、やつれると余計に怖いぞ」

「ふん……せめて服くらいちゃんとしろ。ボクチンの見立てでは、今回の集会はヒルダの『完成』についてと見るね」

シックス・デイの男3人は、リンネの部屋で集まって話し込んでいた。議題はもちろん、突然のシックス・デイ召集についてである。

女性陣はここの所彼女らだけで集まって何やら話し込んでいるので、ダイとマーティンが引きこもっているリンネを集会に呼びに来たのである。

「り、リンネの服ってこの黒色のドレスだよな……最近男の娘というよりは女の子と見紛う美少年って感じのキャラになってたけど、こう見るとガチで女子部屋にしか見えないな……」

「マーティン……『完成』なんて、ヒルダを物みたいに言うな」

「チッ……途中から引きこもって、薬物投与すらサボってたリンネ君は、流石に言うことが違うな」

「リンネ、着替えさせるぞ?ビジュアル的に犯罪にしか見えないけど、男同士だから問題ないよな?な?」

「……ボクがいない間、ヒルダをどうした?」

「さぁ、フェーズ3以降の1000号強化計画は総帥とその補佐官が自らやってるからな……情報漏洩を恐れたんだろうさ、どこにこないだのリゲルみたいなスパイが潜んでるか分かりやしない」

「……どちらにせよボクは、ヒルダの近くにはいてやれなかったってことか」

「ほらリンネ、腕上げろ……あれ、ドレスってどうやって着せればいいんだ?童貞を殺す服(服の構造が分からなくて恥をかく方の意味)状態なんだけど」

「「ちょっと黙っててくれないかなぁ!?」」

せっかくシリアスな雰囲気を醸し出しても、水バカ日誌ことダイがアホなこと言ってるせいでイマイチ締まらない。険悪な空気になりきれなかったマーティンとダイは、ため息をついて矛を納める。どちらにせよ、今は喧嘩してもしょうがないのだ。

リンネを着替えさせることを諦めたダイはドレスをその辺に放ると、急に真面目くさった顔をしてリンネに話しかけてきた。

「それはそうとリンネ、お前最近アリスとエリスに会ったか?何か変わったこととかあったか?」

「……?どうでもいいでしょう、そんなこと……」

「……まぁ今一番様子がおかしいのはリンネだし、多分大丈夫か……総帥も考えがあるみたいだし」

ブツブツと何かを呟いた後、ダイは一転してあっけらかんとした態度でリンネの肩を叩く。

「とにかくリンネ、流石に招集には応じろ。思う所があるのは分かるが……」

「ふん、その情けない姿をレイナに見られて幻滅されればいいさ」

「……そうだね……本当にヒルダのことに関する召集だとしたら、出席してヒルダに愛想を尽かされるのがボクにはお似合いだね」

「あちゃー、こりゃ重症だな……とにかく、ちゃんと来いよ!」

バタバタと慌ただしく去っていくダイとマーティン。それを見届けたリンネは、モゾモゾと着替え始める。

(こんな姿……サキさんに見られたら、相当酷いこと言われそうだな……)

398 名無しさん :2019/01/12(土) 20:59:02 ID:???
「……揃ったようだな、シックス・デイの諸君よ……少々遅れたが、新年の挨拶を兼ねた会議を開こうと思う」

オメガ・ネットの会議室では、シックス・デイの6人と総帥レオナルドが勢揃いしていた。

リンネは一応服を着替えて見た目は多少マシになったが、それでも憔悴しきった様子を隠し切れていない。彼はあんなことがあったにもかかわらず、あまり気にした様子を見せていないアリスに多少の違和感を覚えたが……自棄になっていることもあり、深く考えずに席についている。

またダイは会議室に入ってきたレイナの方をずっとガン見しており、マーティンが「まさかDもレイナを狙ってるんじゃ……」と爪を噛むという、中々混沌とした様相ではあった。

だがそれを気にかけた様子もない総帥は、粛々と会議を進める。

「どこにスパイが潜んでいるか分からぬ故伏せていたが……1000号、ヒルダの調整が完了した」

その言葉を聞いてリンネがピクンと反応したが、それ以外の面々は予め予想していたこともあり、大きな反応を見せていない。

「思ってたより早かったな……ボクチンが主導してたのはフェーズ3までだけど、もう少しかかると思ってたよ」

「なに、創意工夫を凝らしたまでのことだ……我らがナルビアが世界の覇権を握る為に、多少の犠牲はやむを得ない」

「……多少の犠牲……?」

ヒルダを『犠牲』呼ばわりされたと感じたリンネは唇を強く噛む。だが、この時総帥の言った『犠牲』とは……ヒルダのことではなかった。

「フフフ……我らがナルビア?」
「ちょーウケるね!今からナルビアは、あの方のものになるのに!」
「……アリス!レイナ!行くぞ!!狙うはレオナルドの首級のみ!!」


今正に会議が始まろうとした瞬間……レイナ、エリス、アリスの3人が突然各々の武器を取り出し、総帥へ向けて駆け出した!

「ひ、ひぃいいい!?ちょ、お前ら正気か!?どうしたんだよぉ!!」

「レイナさん、エリス……それに、アリス……」

マーティンは完全に腰を抜かして怯えており、リンネは事態を飲み込んだが、どうすることもできずにいた。

「おいおい……3人ともかよ?思ってたよりマズイぜ」

ある程度は事態を想定していたダイも、流石にこれには驚く。マーティンとリンネは戦闘向きではない為、この状況でまともに戦えるのはダイだけだ。

周囲に魔法で水を展開し、一応ながら総帥を守ろうとするダイ。しかし……


「ダイ、下がれ……『実戦テスト』の邪魔だ」


総帥がパチンと指を鳴らした瞬間……会議室の扉が勢いよく開き、白い影が飛び込んできた。

399 名無しさん :2019/01/13(日) 02:14:30 ID:jNdl4yvg
「岩砕鉄断波アアアァ!!!」

「「キャーーーーーーーーー!!!」

洞窟内に響き渡る地割れでも起きたかのような凄まじい轟音と、2人の少女の高い悲鳴。
アイナとエミリアは自分たちが覚醒させてしまった竜殺しから、息を切らして逃げ回っていた。

「やばいですわやばいですわやばいねすわーっ!アレの持続時間は約10分!その間はなんとしても逃げ続けないと……!」

「ふぅっ、はぁっ、はぁっ……あ、あんなのを私に食べさせようとするなんて、酷いよアイナちゃん……!」

「あ!ていうかこんな馬鹿正直に頑張って逃げなくてもいいんですわ!アイナは消えればいいのですからぁ〜。それっ!」

「えーっ!?1人だけずるいよアイナちゃああん!!!」

強化ステルスを起動させ、ダンの記憶からも消えるアイナ。エミリアは例の装置でアイナを忘れることはないが、1人でこの状況をなんとかできる妙案があるわけでもない。

「安心してほしいですわエミリアちゃん!少しあいつの気を引いてくだされば、今度こそカルピス味のねるねるねるねをドンの奴にぶちまけてやりますわ!」

「えぇ……!もう、頼んだよ!なんとか魔法で引きつけてみる!」



竜殺し相手に1人で相対するのはもちろん怖いが、アイナのためにやむなく陽動を引き受けるエミリア。
すぐ後ろの轟音に振り返ると、どこから調達したのか、片手に岩の塊を棒状にした武器を持つダンが立っていた。

(も、もう正面には逃げ場がない……!やるしかない!)

「バーンストライク!!!」

とっさに中級魔法を発動させるエミリア。ダンの元に燃え盛る高熱の炎が雨となって降り注ぐ。

「……ヴ、ガア゛っ!」

「え!?打ち返し、て……?きゃああああああああ!!!」

自身にに放たれた炎弾を、バッターのごとく魔力を帯びた岩の棒でかっとばすダン。
辛くもエミリアは走って回避するが、そんな彼女に息もつかせず二度、三度目が襲いかかる!

ドカン!ドカン!ドカーン!
「うわわわわわ!待って待っていやぁっ!う、ウォーターシールドッ!!」

バシュン!ブクブクブクブク……

「はぁっ、はぁっ、はぁっ……!」

なんとか水の壁で最後の炎を防ぐことができたエミリア。だが彼女に休む間は与えられない。

「ガアアアアアァ!!!天地破壊拳ンンンン!!!」

「うわあああああぁっ!!!ぷぷ、プロテクトシールドオオオオォっ!!!」

つい相手の勢いに任せて自分も語気が強くなってしまうエミリア。
とはいえ防御魔法は発動し、嵐をも防ぐ魔力の壁が岩をも砕く右ストレートを受け止める。

(つ、強い……!でも、これくらいならなんとか耐えられるっ……!)

「グ、グ……ヴオオオオ!!!」

そう彼女が思ったのもつかの間、ダンがより一層勢いをつけると、拳に宿る魔力が巨大な猛獣になっていく!

(う、嘘……!今でさえかなりキツイのに、こんなの打ち込まれたら……!



「グ……ガアアアアアアアアアアアアアアアっ!!!」

ピシィ!パリパリパリパリ……!
ダンのフルパワーパンチにエミリアのバリアが嫌な音を立て始める。

「うぐっ……!あ、アイナちゃん……早くぅ……!」

「ガアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!」

狂戦士となってしまった以上、ダンに手加減という理性的なことはできない。
魔力の壁を突破できないのなら、自分の体を省みず出力を上げて砕くのみ。
たとえその中にいるのが、16歳の美少女であったとしても。

バキッ!バキバキッ!!ピキピキイィ!!!

「あ、だ……だめっ……!も、もうだめぇーーーーーッ!!!アイナちゃん!!わたしもう限界いぃ!!!早く助けてえええええええーーー!!!」

あと数秒で砕け散る魔法壁の中で、涙声で助けを乞うエミリア。
ダンの動きを止めるのなら、こちらに集中している今しかない。このタイミングであの白いネバネバで拘束してくれればと、エミリアは思っていたが……



「うぅん……洞窟が崩れて進めなくなってしまいましたわ。エミリアちゃん、無事だといいのだけれど……」



いつのまにか状況は、勝手に絶望的になっていた。

400 名無しさん :2019/01/13(日) 03:45:37 ID:???
「きゃっ!?」
「あぐっ!」
「ぐあっ!」

レオナルドに襲いかかった3人は、突如凄まじいスピードで現れた白い影に吹き飛ばされた。

「こ、今度はなんだぁ!?」

慌ててダイの水魔法の中に入ってはいるが、事態をさっぱり飲み込めないマーティンの声が上ずっている。
そんな中、リンネは自席で立ち上がったまま動けずにいた。

「ヒルダ……?ヒルダなのか……?」

「…………………………」

現れた少女に問いかけるリンネ。だが明らかにヒルダとは身長が違っている。
リンネと同じくらいの身長で、白髪に白を基調とした軍服の小女は、レオナルドを守るように立っていた。

「もうその名で呼ぶのも終わりだ、リンネ。これは私たちが作り上げた最高傑作の化学兵器と、ナルビアの英雄たちの細胞を組み合わせて作り出されたクローン兵士……その真の名前は、メサイア。」

「……メサイア……?」

「ふん、救世主ってか……そんなら、うちのかわい娘ちゃんたちも助けてやれんのかな?」

「それをこれからテストするのだ。メサイア、3人を無力化しろ。」

「……了解。敵対反応を無力化します。」



ヒルダだった少女……メサイアがそう言いスッと手を伸ばすと、指先から魔力が放たれる。
目にも留まらぬスピードで放たれたその魔力の光線は、3人を捉えると瞬時に体を覆いつくした。

「な、なんだ、これはっ!?ぐ、……ぁ……!」

「エ、エリス!?う、ぐぁ……!?」

「え?ふ、2人とも固まって……!あ……ぐ……!」

意識はあるが全く動けないという未知の感覚で拘束され、3人は苦悶の表情を浮かべたまま固まった。

「ククク……拘束した対象の電気信号を麻痺させるゼロエネルギー。この力で拘束された者は体を動かすことはおろか、声を発することもできん。いかなる強者もこれの前では無力……」

「ば、馬鹿な……!構想はあっても机上の空論だとされた戦闘用技術が、じ、実装されたっていうのか……!」

信じられないといった様子でマーティンが呟いた。シリアスっぽくしゃべってはいるが、目線はエロい顔のまま拘束されて動けないレイナに釘付けである。

「ひゅー……美少女3人がぎゅっと目を瞑って拘束されてるのを、こうしてじっくりと眺めてられるのは最高だねえ。」

「驚くのはまだ早いぞ。この状態で拘束したまま、対象を自由自在に動かすこともできる。……メサイア、叩きつけろ。」

「了解。」

メサイアは3人を拘束したまま宙に浮かせた後、指をぐっと左に動かしてみせる。
すると、拘束された3人も左に勢いよく動かされ……

ブチン!
「ぐあっ!!!」
「ぎうっ!?」
「あぐっ!?いっ……たぁ……!」

壁に叩きつけられる寸前で拘束を切られ、悲鳴を上げた。

ビシュン!!!
「ぐうっ!?またっ……!」
「あっ……いやっ……!」
「ちょ、これ……!むり……」

間髪入れず、メサイアはビームを照射し再度3人を拘束する。

「痛覚も遮断されるので、攻撃が当たる直前に切れば痛みを与えることができる。その後、こうしてすぐ繋ぎ直せばいいだけだ。」

「おお……じゃあス◯ブラのポーズ機能のごとく、壁に叩きつけられた瞬間で繋げば、そのままのポーズで堪能できるってわけか……」

感嘆した様子のダイ。だが何を堪能するのかは、誰も聞かなかった。

「ククク……これがナルビアの科学が生み出した、最高傑作の化学兵器。ではこれから、シックスデイの英雄を相手にメサイアの純粋な力をご覧に入れよう……!」

401 名無しさん :2019/01/13(日) 13:29:06 ID:???
「メサイア、ゼロエネルギーのテストは終わりだ。この部屋は今、ナルビア中央高官のお歴々もモニターしている。さぁ……お前の力を見せてやれ。」

「……了解。ゼロエネルギー解除。ブラストブレードを使用します。」

バチッ、バチバチッ……!

「これは……雷……?」

メサイアが手をかざすと、激しい雷の魔力が周囲に溢れ出す。
その稲妻が収束するメサイアの手元には、巨大な大剣が握られていた。

「おお!ヒルダは大剣使いなのか!」

「雷魔剣ブラストブレード……メサイアの魔力が作り出した、この世に2つとない魔大剣だ。」

華奢な少女には似つかわしくない巨大な大剣を、メサイアは流麗な動作で構える。
ゼロエネルギーを解除されたことにより、動けずにいたエリス、アリス、レイナの3人は立ち上がることができた。



「くそっ……負けるわけにはいかない!来い!テンペストカルネージ!」

エリスが暴風を呼ぶ槍を召喚した瞬間、メサイアは雷を纏いながら目にも留まらぬスピードで走り出す。
会議室はいつのまにか、嵐と雷が吹き荒れる地獄のような光景と化した。

「ぐっ!」

稲光の如く神速で距離を詰めたメサイアの一閃を、辛くも槍でガードするエリス。

「なんてスピードっ……!蒼式・奪歌氷殺!!」

「エリスちゃん、すぐ助けるよ!ブーメランイーグルー!」

ガードしているため動けないエリスに代わり、反撃を試みるアリスとレイナ。
2人が放った攻撃は確実にメサイアへと向けられていたが──

ゴロゴロ……ピシャン!!!

「な……!?」

「嘘でしょっ……!雷で、無効化された……?」

「ククク……メサイアの雷は自由自在。予備動作なくどこへでも瞬時に落とすことができる。攻撃も防御も自由自在だ。」

「ぐ……ぐあああああああああっ!!!」

レオナルドが解説を終える頃には、エリスのガードは崩されていた。
魔大剣の圧倒的な一撃と追撃の雷でエリスは吹き飛ばされ、壁に激突し……そのまま動かなくなった。

「……うそ……エリスちゃんが、こんな簡単に……」

「エリス!?エリスッ!!……いや……そんな……」

この3人の中では恐らく1番の実力者であり、ナルビアの神風と謳われたエリスがいとも容易くやられてしまった。
倒れたエリスの体から流れる血だまりを見たアリスは膝をつき、レイナは呆然と立ち尽くしている。
その2人の様子を見て、レオナルドは不敵な笑みを浮かべた。



「メサイア、残りはアレで片付けろ。」

「……了解。魔導出力を50パーセントに上昇。ミュートロギアヴォルト、レディ。」

メサイアが眉ひとつ動かさずに両腕を前に掲げると、それまでとは違う黒い稲妻が収束を始めてゆく。

「……あ……ぁ……」

「あ、アリスちゃん……いつもみたいに、的確な指示出してよ……やばいって、これ……」

その圧倒的な魔力の前に、アリスもレイナも反撃を試みる気力が起こらなかった。

「ゼロエネルギーはメサイアの圧倒的な力を補佐する役割に過ぎない。雷魔剣ブラストブレードと全てを制する圧倒的な神の雷……これこそがメサイアの真の力だ。」

「……発射。」

バチバチバチバチバチバチバチバチバチッ!!!

「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛ぁっ!!!」
「やあああああああああああああん!!!」


メサイアの言葉とともに黒い稲妻が少女たちの体を容赦なく貫き、アリスとレイナの絶叫が会議室に響き渡った。

402 名無しさん :2019/01/14(月) 02:06:14 ID:???
「う、ぐっ……!!」

司教アイリスは突然走った痛みに、胸を抑えて呻いた。一瞬で奴隷たちがやられたことにより、術者にもダメージが行ったのである。

「……まさか、ヒルダちょんがあんなに強いなんて……誤算だったわぁ……!」

シックス・デイのアリス、エリス、レイナを洗脳してレズ奴隷にし、総帥を暗殺して自分がナルビアのトップに成り代わろうとしていたアイリス。だが、部外者故にナルビアの最終兵器であるヒルダのことは詳しく知らなかった。

いや、話自体は洗脳していた者たちから聞いていたのだが、シーヴァリアでのヒルダを知っているアイリスは、あの臆病なヒルダがまさかそこまで強くはならないだろう……という油断をしてしまったのだ。

「……ここに機械兵が押し寄せてくるのも時間の問題かしら?」

アイリスの術を解析し、ヒルダの投薬に自分の癒しの術を合わせて急ピッチで仕上げるという狙い……アイリスはそれ自体は知らないが、何らかの意図で自分が泳がされていたということは流石に勘付いている。


「おらぁアイリス・リコルティア!!」
「私たち、地獄の絶壁Zが貴女を!」
「……捕縛する」


丁度その時、アイリスの軟禁されていた家に、地獄の絶壁Zが踏み込んできた。


「あら、可愛いお人形さんたち……残念だけど、今は貴女たちの相手をしている暇はないのよね」

「何ふざけたこと言ってやがる!」
「いくよ、みんな!私たちの必殺コンビネーション!」
「……滅殺!」

(無印時代にワルトゥに呆気なく敗れた)コンビネーション技をアイリスに放つ地獄の絶壁Z。
それを見たアイリスは、武器もないというのに不敵に笑った。

「もしもの時の為に、保険をかけておいて良かったわ……スレーブトラベル!」

突然、アイリスの体を眩い光が包んだと思えば……彼女は跡形もなく消え去っていた。

「き、消えた……!?エミルさんに連絡を!」

★ ★ ★


「ふぅ……ありがとう舞ちゃん、助かったわ」

「……う……ぁ……」

アイリスの使ったスレーブトラベル……それは自らの奴隷に仕込んだ刻印を指標に、長距離テレポートを行う、莫大な魔力を必要とする邪術である。

しかもテレポート先の奴隷が、自らの血で魔方陣を描かなければ術は発動しない。はっきり言って燃費の悪すぎる術だ。

舞はナイフで自らの腕から大量の血を流して作った魔方陣の上で、ぐったりと倒れていた。貧血のせいか、その顔色は蒼白だ。

「うーん、中々上手くいかないわねぇ……またしばらくは潜伏生活かしら。それともこのまま舞ちゃんを邪術師ちゃんの所に送ってトーメントで一旗上げるか……悩み所ねぇ」

「……サ……キ……さ……ま……」

「んふふ♥️とりあえずは、貴女を治してあげるわね、舞ちゃん♥️」



★ ★ ★

「なるほど、そんなことが……」

『そろそろナルビアにいた異世界人のフリするのもムリポなんで、一旦帰っていい?つーかここしばらく真面目に働き過ぎてワークショップだわ』

「……ひょっとして、ワーカホリックですか?」


今までちょくちょく示唆されてた、ナルビアに潜伏しているリリスの部下……それは実は異世界人、名栗間 胡桃であることで有名な、ぐーたら三姉妹のノーチェ・カスターニャであった。

『なんかダルいことになりそうな予感だな』

「……戦争は近いです。ノーチェさんもシーヴァリアに帰還してください」

『りょ』

ノーチェとの通話を切ったリリスは、わいわいとスマブラで遊ぶ面々(リリス自身は最初に残機がなくなった)を見ながら、両親の仇のことを思い出す。

「……近いうちに、貴女とは改めて決着をつけることになりそうですね……司教アイリス」

403 名無しさん :2019/01/14(月) 02:19:54 ID:???
「素晴らしい!これが覚醒したメサイアの真の力か!」
「いやぁ見させてもらったよ!あのシックスデイをこうも圧倒とは……!」
「これだけの力があれば、トーメントやその他の国を圧倒できるな……!早速量産体制に取り掛かろう。」

風と雷が止んだ会議室に、身なりのいい男たちがずかすかと入ってきた。
彼らは先程レオナルドが言っていた、ナルビア中央高官のお歴々の面々である。

「正直、拍子抜けでしたがね。今のシックスデイが弛んでいるのか、メサイアが圧倒的すぎたのか……後者であってほしいものです。ゼロエネルギーについては現時点では量産は難しいのですが、ゆくゆくは……」

倒したシックスデイを尻目に集まった男たちにレオナルドが説明を始める。
誰も彼女たちの安否を気遣うものはなく、皆レオナルドの話に目を輝かせていた。



「……れ、レイナっ……!」

思い出したかのようにマーティンがレイナに走り寄り、脈を確かめる。

「……まだ、生きてる……!ダイ、リンネ、手を貸してくれ。裏切り者であろうと……死なせたくはない。」

「あいあい。悪いことした子達にはお仕置きが必要とはいえ、ちょっとこれはやりすぎだよなァ……」

(それに、操られてる状態だとコンビネーションもなにもなかったしな。でも、今のこいつらからは嫌な気配を感じない。……あの雷で正気に戻ってくれてればいいんだが……)

本来ならばこの3人のチームワークでもう少し善戦できたのであろうが、正気でない状態では難しいのだろう。
双子2人をダイが持ち、レイナをマーティンが背に抱えた。

「……あり……がと……マーティン、くん……」
「……ふ、ふん。暴れるなよ……!それと、後でちゃんと話聞かせろよっ……」

耳元で囁かれて本当は心臓が破裂しそうだったが、マーティンは自分の脛をつねって正気を取り戻した。



「……ヒルダ……僕だよ。わかるかな?」

本当ならダイは双子のどちらかをリンネに持って欲しかったのだが、なんとなく雰囲気を察して2人担いでそのまま部屋を出ていった。

「……なんか、ちょっと見ない間にすごく大きくなったね……僕と同じくらいみたいだ。」

「……ヒルダ……それは前の人格のことですか?今の私はメサイア。軍事のために作られたクローンです。」

「……メサイア……か……」

無機質なトーンで語るメサイア。
その声もその顔もヒルダが成長したかのような姿で、リンネは少し胸が苦しくなった。

(……そうだよな……覚えてないよな……君に薬を打ち込むのが嫌になって、引きこもってた最悪の男のことなんか……)

404 名無しさん :2019/01/14(月) 02:21:43 ID:???
「どうだリンネ。お前が育てたクローン1000号の力は。」

「……総帥……」

いつのまにか高官たちとの話を終えたレオナルドが、リンネに声をかけた。

「お前に任せて正解だった。ヒルダの人格は実に扱いやすかったぞ。薬物投与に耐える精神を育み、ここまで育てあげたのは間違いなく、お前の力だ。」

「……お褒めに預かり、光栄です……」

口ではそう言うが、全く嬉しいことなど1つもない。
この結果が変えられない運命だと知りつつも、リンネはヒルダを失ったという事実に打ちのめされていた。

「実験中、ヒルダにはいつも研究員から言って聞かせたんだ……この実験が終われば、元気になった体でリンネに会える、とな。」

「…………え?」

「リヴァイタライズの副作用は生半可なものではない。本人の体とは別にメンタルケアも必要なのだが……お前のおかげで全く苦労しなかった。」

「…………それっ……て……」

「お前に会いたいと暴れるヒルダにこう言ったんだよ……リンネが会いに来ないのは、あえてお前を突き放しているんだとな……実験が終わるまで甘えることができないように、ヒルダが痛みに負けず、自分の意思で体を治してもらうために来ないのだと。……会いたければこの実験が終わるまで耐えろとな。」

ガバッ!!!

気がつくと、リンネはレオナルドの胸ぐらを掴んでいた。

「フフ……どうした?言いたいことがあるなら言ってみろ。」

「……じゃあ、ヒルダは……!僕に会いたい一心で薬物投与を1人で受け続けて……あんな身を削るような痛みに毎日毎日耐えていたっていうのか……?」

「リンネ……私に当たるのはお門違いだ。お前がヒルダに会いに来なかったのは事実だろう?……まあ、そのおかげでヒルダも前向きになっていた。……早く実験を終わらせて、リンネと月花庭園に行きたいとな。」

「……ッ!!!」

月花庭園の名を聞いた途端、リンネの頭にヒルダの姿が浮かんだ。



「……うん。わたし、がまんする。いっぱいいたいのいやだけど……びょうきがなおるなら、もっといっぱいいっぱいがんばるっ!」

「トーメントにある、げっかていえん!おはながいっぱいで、よるになるとすっごくきれいなばしょなの。」

「……だからね、わたしのびょうきがなおったら……リンネ、つれていってくれる?」



「……ぅああぁッ!!!」

フラッシュバックと同時に、リンネは思わず振りかぶった拳を……

「……く……そ……がぁ……!」

辛うじて残った理性で、ゆっくりと引っ込めた。



「……フン。お前の功績は認めている……だが今の反応を見る限り、やはり精神的には未熟のようだ。」

軍服を整えながら、レオナルドは何事もなかったかのように吐き捨てた。

「…………僕のメンタルを試したというのなら……今のは全て嘘なのですか。」

「いいや。全て事実だ。気になるなら研究室に映像があるから見るといい……心が壊れないなら、な。」

「…………………………」

「……いいか、第零師団師団長リンネ。お前はナルビアの軍人となるために生まれてきたクローンだ。クローンがクローンに特別な情を抱くな。……それがお前とヒルダのためでもあるのだ。……今回のことは不問とする。私たちに作られた頭で良く考えろ。」

「…………ぐすっ……うぅっ……」

部屋を出て行くレオナルド。この会議室にはリンネとメサイアの2人だけとなった。



「……うぅ……ああぁ゛っ……!ごめん……!ごめんよ、ヒルダ……!……僕が君の側に……僕が君の側にいてやらなきゃ……ダメだったのに……!」

「…………………………」

少女のような顔立ちに合わない男泣きをするリンネを、メサイアは無機質な目で見つめていた。

405 >>391から :2019/01/14(月) 14:39:30 ID:???
「行け!アヤメカNo.32!回復ミツバチ!」

体力が回復しそうな緑色の蜜を溜め込んだ虫型ロボット……モン○ンワールドに出てきた回復ミツムシのパクリが瑠奈の元へ飛んでいく。

「ちょっ!?なんでよりによって虫型なのよ!?」
「久しぶりにモンハン起動したらつい……大丈夫だ、そいつはあくまでも虫っぽいだけのロボットだ!」
「ああもう……!回復効果はガチだから文句言いにくいわね!」

瑠奈の元へ到着した回復ミツバチが緑色の蜜を破裂させると、瑠奈の体力は一気に回復した。これで再びアイベルトと戦える。

「さらにNo.36!わらわらソルジャーズ!」

自動で敵と戦ってくれる玩具の兵隊を送り出す彩芽。

「ちっ、あいつのメカには前に一度痛い目に遭わされたからな……っと!」
「ちょ、その体勢から避けれるの!?」

スパイクナックルの代わりに取り出した剣の腹の部分で兵隊を凪ぎ払うアイベルト。瑠奈はアイベルトが剣を振り切った一瞬の隙を突いて素早い拳を打ち込むが、紙一重で回避される。
渾身の一撃を回避された瑠奈は無理してやりあわずにバックステップで距離を取り、再びアイベルトが玩具の兵隊との戦いで隙を晒すのを待つ。

「ふん!まともにやりあうのも馬鹿らしいし、こうやってじわじわと追い詰めてやるわ!」
「いやだから台詞が悪役っぽい……いや、でもあいつクソ強いし、チクチク戦法が正解か……」

アヤメカによる回復と戦闘補助を受けた瑠奈の長期戦の構え。それに対しアイベルトは……



「俺様ほどの男になると……先に狙うべき相手が自然と分かるんだよな!シャドウサーヴァント!!」


玩具の兵隊を薙ぎ払いながら、隠れて思念詠唱をしていたアイベルト。数には数と言わんばかりに、分身を生み出す魔法を使う。

「くっ!?しま……!彩芽、逃げて!」
「無駄だっつーの!泣き喚いて俺様の姿をその目に刻め!そして未来永劫、俺様の勇名を語り継げぇえ!!」

瑠奈と玩具の兵隊の相手を分身に任せ、一気に彩芽の元へ向かうアイベルト。
瑠奈も追おうとするが、分身2体に阻まれて救援に行けない。

「ちょ、マジでか!?こんな時は、アヤメカNo.64!たるたるジェットパックで逃げる!ウホホーウ!」

「逃がすかぁ!ダークストレージ・オープン!」

空を飛んで逃げようとする彩芽に対し、アイベルトがダークストレージから取り出したのは……巨大な手斧であった。

「くたばれぇえ!!」

「うおわぁ!?」

必死に身を捩って手斧の投擲を避ける彩芽だが、ジェットパックに斧が当たって故障してしまう。

「し、しまっ……うわあああぁあああ!?あぐぅう!!」

故障して暴走したジェットパックが、彩芽の体を岩壁に強かに打ち付ける。その後、重力に従って落下してくる彩芽の体をキャッチしたアイベルト。
アイベルトはそのまま……彩芽の顔面を思いっきり岩壁に叩きつけた!!

「は、俺様ほどの男になると、自然すら武器にできるんだよ!オラオラオラァ!!」
「ぐぅうう゛あ゛あ゛あ゛ぁ゛!!ぶ、ぎ……!ご、ぉお……!」

眼鏡をかけている相手……いや、それ以前に女の子の顔を傷つけるような行為を平然と行うアイベルト。恐るべし『クレイジーサディスティックキャンディ(天丼風)』!

406 名無しさん :2019/01/15(火) 02:16:22 ID:???
「滅殺斬魔!」

「当たらねえよっと!」

瞬時にトーメント王の元へシフトして大技を繰り出すミスト。
だが王はバトルスーツに備わっていふ職種で、見事に剣を掴んだ。

「く、くそっ……うあっ!?」

「ほほーん、DよりのCってとこか……なかなかいいおっぱいしてるじゃないか。でもたまに男の顔とか男の声になるのはマジでキモいなぁ。」

「やめろっ!離せっ……くっ!」

戦闘で鎧が壊された胸部を鷲掴みにされ、ミストはすかさずシフトで後退した。

「なんだよなんだよ、もう少し触らせてくれてもいいじゃんか。リザなんか触るとすぐはたいてくるし……姉妹揃ってケチだなぁ。」

「貴様……!」

「いやいや、そんな強がってるけどさぁミストちゃん……俺様の触手でもう鎧がいい感じにボッロボロだよ?鏡で見てごらん?俺様の鎧破壊アートに酔いな……」

「……ふざけるなっ!お前は……!お前だけは、たとえ刺し違えてでも絶対に殺す!!!」

トーメントが雇った盗賊たちに家族を奪われ、妹を間接的に暗殺者へと変えた目の前の男を、許すわけにはいかない。
体の中のレオが、ボロボロになっても立ち上がる力をくれている気がした。

「はぁーあ。まったく逆恨みもいいところだ。別に俺様が直接なんかしたってわけじゃないのに。アウィナイトなんて虐げられてナンボのもんだし、リザはああ見えて人殺しになるサイコパス要素があったってことだろ?……もっと現実を見ろよ。駄々っ子ミストちゃん?」

「ぐ……!お前はああああああぁっ!」

シュン!シュン!シュン!
シフトを連続発動させ、予測のつかない動きで王への攻撃を仕掛けるミスト。

(怒りに身を任せての猪突猛進では負ける……!このまま私のペースにして、斬る!)



「だからさ……無駄なんだよ。」

ガシッ!
「あぅぅ!?」

出現場所を分散させていたにもかかわらず、現れる場所がわかっていたかのように王の触手の一本がミストを捉えた。

「そら、地面に激しくキスさせてやる!」

「ぶッ!!!ごっふぁぁッッ!!!」

シフトも間に合わない勢いで触手に投げられ、ミストは顔から地面に激突した。

「ケケケケ……おら、土でも食って頭を冷やせ。俺様が踏んでやるからよ……」

グリグリグリ……ガッ!

「ぁんぐぅッ……!げぼっ!?」

頭を打った衝撃でふらついているミストに、容赦なく踏みつけで制裁を加えるトーメント王。
痛みに耐える少女の悲鳴に、王の下半身が熱くなってきていた。



「なぁ……リザはお前と違って利口だぜ?トーメントの十輝星として仕事をする見返りに、アウィナイトをちゃーんと守ってる。お前はあいつを止めようとしているが……保護地区にいるやつらはどう思うだろうな?」

「……か、関係……ない……!ぐっ……罪もない人を殺し続けるなら……私がリザを殺さないと……!」

「そんならあいつを殺してどうなる?アウィナイト人間牧場計画なんて出てる時勢だ。お前らみたいな美少女は孫の代……いや、ひ孫、玄孫、来孫、昆孫……未来永劫、男の性欲を満たすための肉便器一族だ。それでもいいのか?」



「……お前を……お前を殺せば……この世界は、すべて変わるっ……!」



取り戻した意識で、ミストはシフトを発動させ距離を取る。
顔を上げ敵を見据えると、トーメント王は今まで見た表情の中でも一番恐ろしい笑みを浮かべていた。

「俺様を殺す……?ぷっははははははハァ!運命の戦士でもないくせになにいってんだか!妹の爪の垢でも煎じて飲んどけ!この死に損ないが!」

ミストの目の前に、視界を埋め尽くすほどの触手が現れた。

407 名無しさん :2019/01/17(木) 01:01:27 ID:???
じゅぶぶぶっ!!ずばっ!びちっ!!ばちゅん!!ぐちゅっ!!
「んぐっ!!……くっ……うぐ、あああああっ!!」

……触手。触手。触手。斬っても斬っても触手。逃げても逃げても逃げた先にまた触手。
無数の触手が、一斉にミストに群がった。

じゅぶぶぶっ!!ずばっ!びちっ!!ばちゅん!!ぐちゅっ!!
「んぐっ!!……くっ……うぐあっ!!」

斬って斬って斬り捨てて。それでも足りず、振り払って蹴り飛ばして千切り捨て、それでも足りず。

ベキ!ドス!!ズバッ!!ミチミチミチ……ぎりりりり!!
「あぐっ!!……んぅっ!………うっ………っが、ああああぁぁ!!」
叩きつけられる。鞭打たれる。絡みつかれ、捕らわれ、散々に嬲られ……
それでもなお飽き足りないのか、触手は濁流のごとく押し寄せる。

十や二十なら、斬り落とす事も出来たろう。
百や二百なら、なんとか躱せたかも知れない。

だが、その万を超える触手の海に、前後左右頭上足元と、全方位から呑み込まれては……
さしもの討魔忍五人衆最強の剣士「残影のシン」と言えど、長くはもたなかった。

ぬるっ………じゅぶぶぶぶぶぶぶ!!
「んっ……う、ぁ……おまえ、を……ころっ……ひぅっ……!!」
ミストの鎧の背面の亀裂から、ブラシ状の触手がぬるり入り込む。
首筋、背中、股下を潜り抜け、股間をブラッシングしながら、お臍と胸の谷間をこすり上げていく。

ぶぢゅるるるるるるるるるるっ!!
「……ひゃふ、ああああぁああああああぁぁぁんっ!!」
喉元まで達すると触手が一気に引き抜かれ、全身の敏感な箇所を一度に擦り嬲られる。
引き抜いては押し上げ、擦り抜いて、舐り上げる。何度も何度も……

「ケッケッケ……俺様を殺す?バ〜〜〜カ。お前みたいな美少女が、触手に勝てるわけねーだろ。
にしても、アウィナイト離れしたその力といい、時々混ざる男声と言い……どこのどいつだ?そんな悪趣味な改造したのは」
「はぁっ……はぁっ……ふざ、けるなぁっ……わたしと……レオの、からだ……めちゃくちゃにした、あの女科学者も……
トーメントの……てさき……おまえの、仲間……ひふっ!?きゃうううぅぅうぅうぅんっ!!」
「はぁ?女科学者?俺様の仲間…………あー、はいはい!アイツかぁ!なるほどねー!!」
ブラシ触手の全身責めに、ミストの言葉は遮られたが……トーメント王は、質問の答えに見当がついたようだ。

「……たく、困るんだよなー。アウィナイトってのは、未来永劫よわっちくて嬲られるだけの存在でなきゃいけないってのに。
ミシェルのやつ……調子に乗りすぎだ。お仕置きが必要だな………ヒッヒッヒ」
「?………どういう、意味だ……」
小声でつぶやくトーメント王。その声のトーンは、何故かいつになくガチだった。

「お前のような脇役には関係ない話だ……さて、そろそろ止めと行こうじゃないか……」
ぐちゅっ……どちゃ!
「ん、ぐっ……!」
地面に投げ出されたミストに、先端が槍のように鋭い触手が伸びた。
だがミストには既に、剣で応戦したりテレポートで逃げる余力は残っていない……
(やられる……!!)
正に絶体絶命、万事休す。無念さに歯噛みしながら目を閉じようとしたミストの視界を……

「はあああっ!!」
……何者かの影が遮った。
見ると、自分より少し年下、リザと同年代位の一人の少女が、槍触手を素手で受け止めている。

「逃げてくださいっ!リザちゃんと一緒に……早くっ!!」
栗色の髪、ブラウスにスカートと、とても戦士とは思えない普通の少女。
だが、その鬼気迫る声に弾かれるように、ミストは立ち上がり……言われるがまま、気が付いたら逃げていた。

「お姉ちゃん!?……待って……無茶よ、篠原唯っ……!」
言われるがまま……倒れたままのリザの身体を抱き上げ、無我夢中で走った。

408 名無しさん :2019/01/17(木) 02:32:57 ID:???
「……おやぁ?誰かと思ったら、篠原唯ちゃんじゃァないか……クックック。ちょっと登場が早いんじゃないか?」
「いつ登場しようが、私の勝手だよ!これ以上、リザちゃんに……ううん。誰にも、ひどい事させない!」
ミスト達が逃げ去るのを横目で見送りつつ、唯は槍状の触手を押し返そうとする。

「ちっ。君ら『運命の戦士』は、『セーブ・ザ・クイーン』がある場所に着いてから『呼ぶ』つもりだったのに……全く困ったもんだ」

ぐちゅっ……ぬちゅっ……ずぶり!
「うっ………きゃっ……っぐ、あっ!!………」
だが。触手は唯の抵抗を意にも介さず、そのまま唯の胸に突き刺さる!

ぐちっ……ぶちぶちぶち……ぶしゅっ!!
「ひ、あ……ごぼっ……げぶ……お、っご……!!」
「ヒッヒッヒ……俺様は今、忙しいんだ。さっさとリザ達を追いかけて、始末しないとな」
魔法少女はスライムに弱く、女騎士はオークに犯され、変身ヒロインはサキュバスに負ける。そして美少女は、触手に勝てない。
そんな世界の法則を体現するかのように、唯は触手にあっさりと身体を貫かれ、息絶えた。

「ケッ!…アウィナイトの強化改造だと?……そんな事、やってもらっちゃ困るんだよ。
150年前の『俺様』に盾突いた『勇者の一族』なんざ、未来永劫、最弱最底辺でいるべきなんだ……」


……だが。

「はぁっ……はぁっ……行かせ、ないっ……!」
唯の死体が光と共に消え……トーメント王のすぐ目の前に、生き返った唯が再び現れる。

「はー!?……ったく。しつこいな、唯ちゃんは……」
王は全身の筋肉をパンプアップさせ、突進する唯を迎え撃つ。

「まぁ美少女にしつこく迫られるってのも、悪い気はしないが、な!!」
(……ドガアァッ!!)
「ぐっ……うあああああっ!!」
大地をも割り砕く拳が、唯の身体を豪快に押しつぶした。
まるでハエ叩きで潰された蝿のごとく、無様に地面に這いつくばる唯。
しかし、それでも……

「リザちゃん達は……いいえ。他の誰も……殺させ、ない……っぐ、……げぼっ……私が……止めてみせる……!」
背骨を砕き折られ、内臓をすり潰され……それでも唯は、トーメント王の脚に縋りついた。

「……ったく。今回の『運命の戦士』は、戦闘力こそ並だが本当に面倒くさいな……だが」
(ぎゅるるるるるる!!)
「……きゃっ………!?」
……殺しても殺しても立ち塞がる唯。その手足に、触手が十重二十重と巻き付いていく。

「ふん……何度殺されようと、身体を張って俺様を止めようってわけか。だが、殺される覚悟はできていても……」

ぎちっ……ぎゅるるる………ぎちぃぃぃっ!!
「きゃぅ………!?」
「……犯される覚悟はどうだ?……乳首も下着も全部を晒して、ネットで生中継されて……
どこまで耐えられるかなぁ?けっけっけ!!」

409 名無しさん :2019/01/17(木) 18:54:25 ID:???
拘束されて身動きの取れない唯に、テカテカと妖しげに光る触手が迫る。

「ひっ……!?い、やぁ……!」

「ケケケ!すっかり責められ慣れした唯ちゃんも、こっち方面はまだまだ弱いねぇ!さぁさぁ、また生配信して、現実世界でもその様子を投稿してあげるよ!お母さんやお父さんに、犯されてる姿を見てもらおうねーー!!」

王は捕まえた現実世界の美少女がリョナられる映像を、現実世界のネットに流している。そして、ひょんなことからその動画を見てしまった美少女をまた攫ってリョナる……というサイクルを組んでいた。ちなみに教授に捕まった場合は、やたらとエロ推しの映像になる。

そんなこんなでしばらくリョナれていなかった唯の心を徹底的に折る為に、王の触手がエリョナをしようと唯の胸と股間に伸びていく……!


「ブリザードグラウス!」

その寸前、突如飛来した氷属性の上級魔法によって、唯の周囲の触手は一斉に凍りつく。

「ひゃ……!?」


触手の拘束を逃れた唯が、そのまま地面に倒れ伏しそうになった瞬間……唯の身体は、一人の女性によって支えられた。

「……大丈夫か?今癒しの秘孔を突いてやろう」

「あ、あなたは確か……お医者さんの……!」

「コトネ様の命令でスパイを追っていたら、大本の王に行き着くとはな……半妖!触手は私の技と相性が悪い!癪だが頼りにさせてもらうぞ!」

「頼りにするなら、その呼び方は止めてください!私は……氷刃のササメです!」

ピンチの唯を救った2人の討魔忍……それは、穿孔のアゲハ、そして氷刃のササメであった。
>>283>>289で意味深に消えたササメとアゲハは、コトネの命令でトーメントのスパイであるリザを追っていたのだ。
雪人とのハーフであるササメと、暗部故にグレーゾーンの任務に慣れているアゲハ。本来は魔族か皇帝一族以外入れない魔の山まで入る可能性のある任務なので、コトネはこの2人を追撃に寄越したのである。

「え、と……どうして、私のことを……?」

一応リザのお見舞いに行った時に顔は合わせていたが、ほとんど面識のないアゲハ。ササメに至っては完全な初対面だ。そんな2人が、何故自分を助けたのか分からなかった唯は、思わず疑問を口に出す。

「圧倒的な力量差のある王を相手に立ち向かうその姿に、感銘を受けました!見捨てるわけにはいかn」

「気にするな、任務のついでだ」

やや興奮した様子で語るササメとは対照的に、アゲハはクールな調子を崩さない。

「とは言え君が目の前でピンチになっていなければ、我々2人がまともに連携を取れたかは怪しかったがな」

しかしながら、アゲハも唯が必死に王を止める様子に心打たれたのは事実なようだ。

「唯ちゃん、君は本当に厄介だ……そうやってろくに接点のない人間すら味方に引き入れてしまう」

王はその光景を見て、唯に対する警戒をより一層強固にした。
唯は単純な戦闘能力で言えば、五人の戦士の中ではアリサや鏡花に劣るし、逆境に於ける根性も瑠奈の方がある。たまにチートめいた発明をする彩芽と違い、いざという時の爆発力も小さい。

だというのに、多くの人間が唯の味方をする……王がこの世界を創ってから見てきた強さとは全く別種の『力』。

「女の子が増えたのは嬉しいけど、遊びは終わりだ……久しぶりにガチで行くぞ!!パンプキンビースト・スクウォッシュ!!」

王は叫びながら両腕を大きく広げる。また触手が来るのかと身構える3人。しかし……襲いかかってきたのは、全く別のものだった。

「い、いやぁああああ!!!姉様!!族長!!みんなぁああぁああ!!!いやぁああああ!!!」

絶望の叫びをあげながら現れたのは、ヴィラの一族の戦士、ミゼル。
いや、これをミゼルと呼んでいいのだろうか……彼女の体はパンプキンビーストに寄生されており、人間としての意識を保っているだけで、体には一切の自由が残されていない。

そして、寄生されたミゼルから伸びた植物の蔦は、姉ゼリカの生やした巨木や周囲の森林を呑み込んでおり……最早、ミゼル自身が森となっているに等しい有様だった。

「ケケケケ!リザがケンカしてる間に、俺様は特等席で見せて貰ったぜぇ……!妹ちゃんが完全に体を乗っ取られて、その手で姉を殺す瞬間をなぁ!あの時の絶望に満ちた姉妹の顔……!最高だったぜ!!」

ミゼルを乗っ取ったパンプキンビーストは、妹に手を出せなかったゼリカを一方的に殺害した後、ヴィラの一族の里へ向かい、一族の者をその自在に伸びる蔦や幹で串刺しにしていった。

自分の体から伸びる枝が仲間を刺し殺す度に、絶望の悲鳴をあげるミゼル。
このまま一族を皆殺しにして、ヴィラの一族が信仰して止まない魔の山の魔族すら殺害し、神器へのルートを完全に開こうというタイミングで……王によって唯たちの前に呼ばれたのである。

「ケケケ!さぁ、相手をしてやれ!パンプキンビースト・スクウォッシュ!!」

410 名無しさん :2019/01/19(土) 15:16:42 ID:kRuxVl.M
「きゃああああああああっ!!」

ダンの拳に耐えきれなかった魔法障壁が粉々に破壊され、エミリアは魔力の余波で後方に勢いよく吹き飛んだ。

「あうんっ!」

決して安全とは言えない洞窟の岩肌に頭と背中を強打し、エミリアの意識が一瞬だけぐらりと大きく揺れる。
その視界の中に収めていたはずの敵の姿は、エミリアが瞬きをした瞬間、信じられないスピードで彼女の目の前に移動していた。

「あ、ぁ……!いやっ!アイナちゃん、もうたすけてっ……!」

「フー……フー……!」

知的生命体としての理性のかけらも感じられない大男の息遣いに、エミリアの恐怖は最高潮に達していた。

無理もないことである。
ダンはクマと見まごうほどの、人間とは思えない巨体なのだ。
人語を話せば人だとわかるが、今のように獣のような息遣いと言語レベルでは、最早それは獣である。

無駄とはわかっていながら自らの体を手で覆い、目を伏せ、せめてもの抵抗と命欲しさに降伏の意思を見せるエミリア。
そんな悲痛な姿の儚い少女を見た目の前の狂戦士は……



「ンガアアアアアアアッ!!!」

「きゃあああぁっ!!」

狂戦士はエミリアの手を片手で乱暴に払いのけると、彼女のコートの胸元を勢いよく掴み、凄まじい力で手前に引っ張り洋服を引き剥がした!

「グフー……グフー……!」

コートと共にお気に入りのインナーも容赦なく剥かれてしまい、エミリアのぷるんとした部分の柔肌が予定外の外気に晒される。
実は隠れ巨乳であるエミリアの女性らしい部分を見た狂戦士は、俄かに目の色を変えた。

「い、ゃっ……ッ!アイナちゃんどこぉッ!?アイナちゃんどこにいるのぉっ!?」

理性をなくした男の凶行と、これから始まる展開にとてつもない恐怖を感じ出すエミリア。
だがそんな中でもレジスタンスとしてやリザの相方として活躍していた経験を活かし、冷静に仲間のアイナの名前を呼ぶ。

……だが、命としても女としても絶体絶命だというのに、アイナが現れることはなかった。



「……やだ……アイナちゃんどこにいったの……?こわいよ……!だれか、たすけてっ……!」

「クンクン!グルルルル……!」

狂戦士は引き剥がしたコートの匂いを嗅ぎ漁っている。その行動はさながら犬のようであり、目の前の存在の異様さをエミリアが思い知るには十分だった。
10秒ほど経つともう匂いを覚えたのか、狂戦士は乱暴にエミリアの服を投げ捨てた。

「……グルルルル、ガアァ!」

「きゃっ!いやあああぁーっ!!」

コートを捨てた瞬間、狂戦士はまるで野犬のごとく異様なスピードでエミリアの体にずしりとのしかかった。

「ぐ……あぁ……っ!」

そのまま体重をかけられているだけでも、そこまで筋肉のない魔法使いの少女の体には充分なダメージだ。
それを理解しているのかしていないのかは不明だが、狂戦士はエミリアに遠慮なく腰を落とし、全体重でエミリアの体に負荷をかけていく。

「ぐぁ……!お゛、も゛ぃ゛……!や゛め゛……ぇ゛……!」

「グルルルルルルルル……!ジュルッ!ジュルッ!」

先程服を引き剥がされて露出したエミリアの胸元を、狂戦士は音を立てながら舐め上げる。
それは雄と雌の交わりとしての種としての本能なのだろうか。
それともこれから食らう餌の味見をしているのだろうか。


答えは、誰にもわからない。

411 名無しさん :2019/01/20(日) 19:42:42 ID:???
「ぐぁふッ!ぎッ!ぶぐうッ!」

「オラオラオラ!登場初期の頃はこれくらいのリョナは平気でやってた様を恐れろ!俺に恐怖しろ!」

彩芽の髪をむんずと鷲掴みにし、硬い岩肌にこれでもかと彩芽の顔を叩きつけるアイベルト。
ソフトリョナ好きだったはずの彼だが、今となっては初登場時の恐ろしい性格を見事に取り戻していた。

「彩芽えぇーッ!!……くッ!あいつ、あんな性格だったっけ……?もっとバカでアホでスケベで隙だらけだったはずなのに……!」

「フン……今の俺様は無慈悲な破壊者!相手が男だろうが女だろうが、立ち塞がるものはすべて破壊するだけだ!お前も覚悟しろルナティック!」

メガネが割れ、抵抗の見込みもなくなったボロボロの彩芽を瑠奈の元に投げるアイベルト。
勢いよく飛んできた彩芽の軽い体を、瑠奈は抱え込むように抱きしめた。

「あ゛うぅ……瑠奈、ごめん……しくっちゃったよ……」

「彩芽……私に任せて。あんたは私が死んでも守るわ。」

「……へっ……足震えてるくせに、ボロボロのボクのためにそんなこと言ってくれる瑠奈のそういうとこ……嫌いじゃないよ。」

「彩芽……もう、そんなこと言ってる余裕があるなら、早く回復して援護しなさい!……私が1人で倒しちゃう前に、ね!」

精一杯強がってから、瑠奈は彩芽を自分の後ろに横たえる。
相手は強大な武器と魔力の使い手……自分一人でかなう敵ではないことはわかっているが、引き下がるわけにはいかない。

(アリサは1人であの女を止めてくれてる……鏡花も、唯も、きっとどこかで必死に戦ってる。どんなに相手が強くたって……引き下がってやるもんか!)

幼い頃に唯にもらった勇気が、瑠奈の原動力になっている。
頭脳明晰、スポーツ万能少女が自分の才能に溺れることなく強い精神を育むことができたのは、唯という親友がいたからだ。

「1人で俺様を倒すだと……生意気胸でか小娘だと思っていたが、とんだビッグマウスでもあるようだな!」

「ふん!あたしを洗脳してお兄ちゃん呼びさせて、ずーーーっとヘラヘラしてたドスケベ男のくせに!一体どっちがビッグマウスなのか、しっかり思い知らせてやるわ!」

412 名無しさん :2019/01/23(水) 01:09:32 ID:???
シュルルル!!シュバババ!!

ロゼッタの『運命の糸』とブラッディ・ウィドーの蜘蛛の糸が、音を立ててぶつかりあう。

「どうしたのぉ?なんだかさっきまでよりも精彩に欠けるんじゃない?」

「…………ちぃ……!」

本来、ロゼッタは薬の切れた状態でもある程度の戦闘はこなせるが……相手が魔物でトラウマを刺激されているのもあり、ブラッディ・ウィドーの言うように精彩を欠いていた。


「そっちの金髪ちゃんは腕が切れちゃっててもう問題外だしぃ……紫ちゃんを徹底的に狙ってあげる!」

「ぐ、つぅ……!」

切り落とされた腕を押さえながら呻くアリサ。悔しいが、この有様では自分は戦力にはなりそうにない。

「はぁ……!はぁ……!これでは、どうしようもない……何とか隙を見つけて……自分で処理するしか、ないか……!」

いつものポエムを言う余裕もないロゼッタ。

「処理……何だかデジャヴを感じる展開ですわね……」

「……?あぁ、あの時……お前の仲間を屈服させようとした時の……」

「いえ、それよりも前に同じようなことが……」

「ふふふ!仲良くお喋りしている暇があるのかしらぁ!?」

ブラッディ・ウィドーは糸を吐きながらその8本の足をカサカサと動かして岩壁を登り、立体的な軌道でロゼッタに迫る。

「く……!」

咄嗟に糸を振るって迎撃するが、互いの糸同士が絡まってしまって上手く動かない。

「隙ありよぉ!!」
「しまっ……!ぐっ!?」

ロゼッタが晒してしまった決定的な隙を逃さず、岩壁から一気に跳躍して来るブラッディ・ウィドー。淫熱に侵された体では避けることができず、ロゼッタは八本の足でしっかりと拘束されてしまった。



「く、このままでは……!私もあの方も、共倒れになってしまいますわ……!」

切り落とされた腕を押さえながら何とか立ち上がり、先ほど片腕と共に落としたリコルヌの方へフラフラと近づいていくアリサ。

(……先ほどの一瞬……魔物を前にした時の彼女とは、比較的話が通じた……つまり共通の敵がいれば、和解の切っ掛けに成りえるということ……やはり、共に王と戦うように説得するのは、決して不可能ではないはず……その為にも今は……!)

アリサは残る左腕でリコルヌを拾い、逆手に持って構える。

「はぁ……!はぁ……!加勢しますわ……!ロゼッタさん……!」

413 名無しさん :2019/01/24(木) 02:19:29 ID:q5/GYrbY
「あぁ唯ちゃん唯ちゃん唯ちゃん……恐怖に怯える表情も、羞恥に染まるその頬も、地獄の炎に突き落とされたような断末魔も……あぁ、全てが究極の甘美だよ……」

「げ、シアナが壊れてやがる……」

王のもとへ転生させるために唯を溶かし尽くしたアトラとシアナ。
久しぶりに唯へのリョナ欲を満たしたシアナは、これ以上ないほどの恍惚の表情を浮かべていた。

(唯ちゃん……この2人に殺されるのは怖いけど……わたしもすぐに追いかけなきゃ……!)

王を止めるため、命まで差し出し痛みに耐えた唯の覚悟を見て、鏡花も後に続くことを決める。

「あれ、王様からラインだ……げ、おいシアナ、唯ちゃん殺すのちょっと早かったってよ。」

「はぁ、はぁ……唯ちゃん……!君の姿はこの最新式録画カメラでばっちり隠し撮りさせてもらったよ……!帰ってからのホームシアター鑑賞が楽しみだ……!」

「……おい!シアナ!正気に戻れ!一緒にいるのも嫌になるくらいめっちゃキモいぞ!」

アトラが手をかざすと、シアナの頭上にビー◯た◯しの持っていそうなピコピコハンマーが現れ、そのまま頭を直撃した。

「いて!…………そんなこと言われても、特に時間指定はされてなかったからな。別に僕らの落ち度ではないだろ。……ま、鏡花ちゃんは合図を待ってから殺すとするか。」

「うわ!いきなり元に戻った……てかキモい間もちゃんと俺の話聞いてんじゃんかよ!」



「……アトラくん、シアナくん。私ほことも殺して。唯ちゃんを一人にさせるわけにはいかないの!」

合図を待ってから殺すとシアナは言ったが、鏡花はすぐに唯を追いたい身。
この2人と話している余裕はない。

「えー!そんな焦ってもいいことないぜ?俺らともうすぐ発売のキン◯ーについてでも語ろうや!」

「……アトラくん、シアナくん。ここで私を殺してくれないなら……暴れちゃうよ。」

「ふん。お前1人暴れたところで僕らは怖くな……」

「……?どうしたシアナ?」

言いかけて、シアナは止まった。
この状況、洞窟の中では鏡花の強力な魔法1つで倒壊の危険性がある。
もちろん、シアナの穴に緊急避難という手もあるが、そうすれば逃がしてしまう恐れもあるし、何度も逃げられるとは限らない。

極め付けに、自分たちは死んだら蘇らないが、鏡花は王のもとで蘇る。
こちらが殺そうと洞窟の倒壊で死のうと、とりあえず死ねればいい今の鏡花にとってはメリットでしかないのだ。



(……どうする?王様の合図なしに今死なれても困る。かといってほっとくと逃げられるか僕たちの身が危ない……)

「……マジックケージ、来いや!」

「え、なにっ……?きゃああああああっ!」

アトラが突然鏡花の頭上に召喚したのは、魔力を遮断する特殊な檻。
かわいい魔法少女を拘束して好きなだけエッチなことをしたいと思ったアトラが、同じ志を持つ教授協力監修のもと、性欲と根性で作り出した素敵なトラップである。

「うっ……!これ、魔法が使えない……!」

「……アトラ、僕の考えてることがわかったのか?」

「さぁ?俺は鏡花ちゃんを閉じこめておっぱいでも鑑賞したいなーって思っただけだぜ!シアナがなに考えてるかなんてしらねーよー。」

「……まあ、流石僕の相棒だと言っておくよ。」

414 名無しさん :2019/01/24(木) 02:20:32 ID:???
「そうだ鏡花ちゃん、チョコ食う?王様の合図まで時間あるんだし、俺らとまったりティータイムしようぜ!」

「……い、いらないよ……!」

呑気な口調でお菓子を食べているアトラにうんざりする鏡花。
とはいえ、魔法少女は魔法が使えなければただの少女である。
脱出しようと何回か魔力を練り上げてみた鏡花だが、並みの魔力では突破できそうになかった。

「鏡花ちゃんさー……俺がまたリザに鞍替えしたから怒ってんのかな?そうだとしたらほんとに申し訳ねえわ……」

「……なんだ、結局お前は鏡花ちゃんからリザ推しに戻ってたのか。」

「レズ疑惑はデマだったからな!許される恋とわかりゃあ俺はずっとリザ推しよ。あのクールでプリティーな顔を初めて見たときの衝撃が忘れられねえ……!」

アトラはおもむろに隠し撮りしたリザの写真を取り出すと、写真の中のリザにフレンチキスをした。

「……闘技場でもクールな眼差しキュートなフェイスとかキャッチコピーつけられてたしな。イマイチなに考えてるかよくわかんないやつだが……まあ確かに顔はいいよな。」

「顔は、ってなんだよ!リザは声も可愛いし近づくとめっちゃいい匂いするし、あの金髪はサラッサラだし、タンスの中の下着もめっちゃ整理されててすげえ几帳面だぞ!」

「……最後のやつでお前がなにをしたのかわかった。」

ベラベラとコイバナを始めた少年2人。完全に気が抜けたような会話であり、鏡花のことなど忘れているかのようである。

(……くっ……!もっと、もっと魔力を上げてなんとかこの牢屋を壊さないと……!)

415 名無しさん :2019/01/27(日) 19:16:28 ID:???
「うう……どうしても魔法が使えない……変身も出来ないなんて……!」
「へっへっへー。無駄無駄!この牢は魔法少女を生かさず殺さず閉じ込めるための罠だからな!」
「……ま、王様の合図が来るまで、大人しくしてる事だね」
「イヤよ!私はどうしても、唯ちゃんを助けに行かないといけないの!」
「ひひひ……どうしても大人しくしてられないのなら……」

マジックケージに囚われ、脱出できない鏡花。
そこへ、アトラが更なる追い打ちを仕掛けようと取り出した物は……

「じゃーーん!超強力水鉄砲だ!」
水鉄砲。
それも、15m超の飛距離を持つ強力加圧式ポンプにバックパック式大容量タンク等を備えた最新機種であった。

(ジュバッ!!)
「きゃああっ!?」
……その水圧は強烈で、当たるとかなり痛い。

「こ……今度は、何のつもりなの……?」
「アトラの事だから、また都合よく服だけ溶かす水かと思ったら……ただの水だな」
「そう……ただの水だ。でも、よく見てみろよシアナ……」

鏡花の着ていたブラウスがぐしょぐしょに濡れ、下に着けていたブラジャーが透けていた。

「きゃっ!?や、やだっ……!」
「うーん……やっぱ鏡花ちゃんも捨てがたいなー!このおっぱいには、流石のリザも敵わないぜ!」
慌てて胸を隠す鏡花。だがその豊満な乳房は、両腕をフルに使ったところで隠しきれるものではない。

「ほらほら!シアナの分の水鉄砲もあるから、二人であそぼーぜ!」
「うーーん。こういうエロ寄りな事して、アイナが知ったらなんて言うか。
でもこの位ならギリギリセーフか?……いや、やっぱアウトかな……」
「つーかさっきの状態の方がよっぽどキモかっただろ……
わかった。アイナには言わないでおくから、イロイロ手伝ってくれよ!例えば、ごにょごにょ……な!」
「……しょうがないな。お前がそこまで言うなら!今回だけ!特別だぞ!」
アトラに促され、強力水鉄砲を受け取るシアナ。
口ではアイナの事を気にしてはいたが……わりとまんざらでもなさそうであった。

「ていっ!」
「それそれっ!!」
(ビシュッ! ズバババッ!!)
「くっ!……あんっ……!!」
二方向から責め立てるシアナとアトラ。胸と顔を防御する鏡花。
水鉄砲とはいえその水圧はかなり強く、両足を踏ん張ってないと倒されてしまいそうな程だった。

「へっへっへ……今だシアナ!必殺、バーチカルショット!」
「OK!……くらえっ!!」
(ブゥゥゥン……ズムッ!!)
アトラたちには、鏡花の防御を崩す秘策があった。
シアナが空間に穴をあけ、そこへアトラが水鉄砲を打ち込む。空間の出口は、鏡花の……

(シュバババババ!!)
「……ひゃひいいいぃぃっ!?」

「おー、いいリアクション」
「いやー、アイベルトじゃないけど、こういうライトなのもたまには悪くないな!」

……スカートの内側。それも完全に無防備だった秘所とお尻へのダイレクトアタック。
上半身に意識を集中していた鏡花は、たまらず甲高い悲鳴を上げさせられてしまった。

416 名無しさん :2019/01/27(日) 20:16:47 ID:???
(ズバババッ!!)
「きゃっ………!」
(ビシュシュシュシュッ!!)
「……ひあっ!!」

「へっへっへ……ほらほら、今度はおっぱいががら空きだぜ!」
「ま、腕2本じゃどう頑張っても防ぎきれないからね……ほら、今度は背中だ」
「と見せかけてパンツ!」
(ジュバババッ!!……ジュブッ!)
「あぐっ……ひううんっ!?」

シアナの能力で空間に穴をあけながら、四方八方上下から予測のつかない水攻撃を繰り出す二人。
鏡花は逃げ場のない魔法封じの檻の中でひたすらに弄ばれ、
胸も背中も、顔も髪も、パンツの中までずぶ濡れにされてしまった。

「はぁっ……はぁっ………ど、どういう神経してるのよあなた達…!
友達とか好きな女の子の話は、普通にするくせに……女の子を捕まえて酷い事するのは、何とも思わないの!?」

単なる水鉄砲とはいえ、強烈な水圧を何度も叩きつけられて、かなり疲労も蓄積している。
しかも下からも攻撃が来るため、座って休む事すら出来ない。
そんな鏡花の必死の抗議に、二人は……

「……まあね。アトラやアイナや王下十輝星のみんなは友達だし、何より死んだら終わりだし、大切だけど……」
「唯ちゃんや鏡花ちゃんに対しては、な〜んかそういう感情は沸かないんだよな。
もちろんリョナったりエロい事するのは楽しいけど!」
……ただ、冷めた反応を返すだけだった。

「まあ言ってみれば、俺らはSSレアな『特殊能力』を持った『廃課金プレーヤー』。
鏡花ちゃん達は、無課金……いや。異世界人だから……NPCかな?」
「ああ。その例えは割と近いかもな。何せ、鏡花ちゃん達は……」
「な、何よそれっ……!…住む世界が違ってたって、私達だって人間なんだよ!?そんなの酷すぎるっ……!」
……そんな二人の態度に、鏡花も我慢の限界が近付いていた。

王の配下である少年達は、もちろん敵ではあるのだが……
友情や恋愛感情など、人としての感情を持っているなら、話し合って分かり合えるかもしれない。
そう思って、執拗なおっぱい責めや多少のセクハラも、ある程度は大目に見ていた?というのに……!

「大目に見てたっけ?」
「まあ確かに土下座したらおっぱいぐらい揉ませてくれそうな雰囲気あるけど」
「ない!から!そんな雰囲気!とにかく私……もう怒ったんだからねっ!」
鏡花は濡れた胸やパンツから手を離すと、全身の魔力を高め始める。
大気の振動と共にマジックケージがギシギシと音を立て、鏡花の身体からは魔力のオーラが少しずつあふれ始めた。

「あ、これ……」「……ヤバくない?」

417 名無しさん :2019/01/28(月) 19:22:30 ID:???
(こんなところでこの子達にエッチなことされてる場合じゃない……!唯ちゃん、瑠奈ちゃん、アリサちゃん、彩芽ちゃん……そして、水鳥のためにも!)

「うおっ、鏡花ちゃんの周りのマナが……!」

「凝縮していく……?」

その時、不思議なことが起こった!
とでもナレーションを挟みたくなるような量の魔力が、鏡花の体に集まっていく。
突然のマナ量に耐えられなくなったのか、アトラのマジックケージはガタガタ、ギシギシと不穏な音を立てながら軋み始めた。

「チッ……運命の戦士、やっぱり侮れないな!立てアトラ!多分壊れるぞ!」

「まじかよ!これから服溶かす水で特盛デカ乳お楽しみタイムといきたかったのに!」

「はあああああぁっ!!!」

シアナの宣言通り、マジックケージは鏡花の魔力に耐えられず、バリーン!と大きな音を響かせて崩壊した。

(みんなのためにも……もう負けない!)



「変身!!!」

少女らしい高らかな声でそう叫ぶと、鏡花は光に包まれ……
爪先から頭の上まで可愛らしい装飾に包まれた、金色の盾を持つ魔法少女、リフレクトブルームへと変身した。

「おおー!やっぱいいねー魔法少女の変身って!光に包まれて大事なところを隠しながら、可愛いコスプレ姿に変身とかさぁ……もう私をリョナってくれと言わんばかりだよな!」

「アトラくん……私をあの時と同じただのか弱い女の子だと思ってるなら、後悔するよ!」

「お、結構言うじゃねえの……!どうせならそういう風に反抗的じゃないと面白くねーからな!やる気マックスになってきたぜ!」

「アトラ、油断するな……おっぱいばっか見てると、この前の唯ちゃんたちにやられかけた時みたいに、足元を掬われるぞ!」

「へっ!鏡花ちゃんは土下座すればなんでもしてくれそうな優しい女の子なんだ!俺たちになんて勝てるわけ……」

「シャイニングバースト!」

「え?……うわああああああ!!!」

なんだかんだいってる間に詠唱を終えた鏡花の上級光魔法が、アトラを吹き飛ばしていた。



「私は土下座されてもなんにもさせないし、その前に……ルミナスの戦隊長なんだってこと、忘れないでよね!」

418 名無しさん :2019/01/28(月) 19:54:02 ID:???
「はぁっ、はぁっ……!」

リザを抱えて走るミスト。突如現れた栗色の髪の少女に言われるがまま、リザを抱えてその場を離れていた。

「……お姉ちゃん、降ろして。私は戻って王様を助けないと。」

「なっ……!?アンタ、まだそんなこと言って……!助けてくれたあの子のことはよくわからないけど……まさか、あの子も手にかけるっていうの!?」

「……あれは運命の戦士……一時的に手を組むこともあったけど、結局は私たちの敵。王様に近づけるわけにはいかない。」

そう言うと、リザはシフトでミストの腕の中から脱出した。



「………それにわかったでしょ、お姉ちゃん。王様には勝てないって……私たちが生き残るためには、あの人を敵に回しちゃ駄目なんだよ。」

「リザ。その考えでいくなら……ぐっ……!あの凶悪な男を殺してしまえば、他の道もあるってことじゃない。……どうして私たちの家族を奪ったあの男に尻尾を振るのよ!!!」

「……だから、王様を殺すなんてそんなのは無理なんだよ。あの人はこの世界の神みたいなもの。……私はそれを知っている。」

「はぁ、はぁっ……リザ、一体何を言って……?」

何か含んだようなリザの言い方に、ミストは困惑する。
だがリザはその問いには答えず、そのまま背を向けた。

「お姉ちゃん……もうすぐ4カ国を巻き込んだ大きな戦争が始まる。王様や私のことを止めたいなら、その戦争で私たちを殺しにくればいいよ。……お姉ちゃんに何を言われても私は、十輝星をやめるつもりはないから。」

「リザ、待って!私の知らないことがあるなら教えて!1人で抱え込まないで!」

「……もう、話すことはない。」



ミストの必死な声に振り向くこともなく、リザはシフトで消えてしまった。

「く……追わ……ないとっ……!」

そう言っては見たものの、いつのまにか体が癒えていたリザとは違い、自分の体はボロボロだ。
無我夢中で走ったことで体力も使い果たしたミストは、その場で力なく倒れた。

(……リザが抱えている闇……もしそれがあの王の存在だとするなら……私は……!)

419 名無しさん :2019/01/29(火) 00:29:50 ID:???
「フリジットレイン!」

「ククク、無駄無駄ぁ!そんなチャチな氷魔法じゃ、このデカブツは止められないぞぉ!ケッケッケ!」

「誰か……誰でもいいっ!私を止めてええええええぇ!!」

ミゼルやヴィラの一族を取り込んだパンピキンビースト・スクウォッシュ。その巨体ゆえ、攻撃魔法が使えない唯やアゲハではどうしようもない相手である。
なんとか止めようとササメが氷魔法を連発するが、足を凍らせてもすぐに触手が打ち砕いてしまう。

「チッ……!なんて醜悪な。こんな怪物、一体どうすれば……」

「氷魔法も効きません!こ、このままじゃ……!」

「……!ササメさん!足元を狙ってください!転ばせれば動きを止められるかも!」

「わ、わかりました!」

唯の提案に従い、足元へ氷を放出するササメ。すると……

「グオオオオ……!」

その巨体ゆえ、足元のバランスを少しでも崩されると立て直しは難しい。
唯の思惑通り、パンプキンビーストは地鳴りのよつな声を上げながら横に倒れた。



「やったぁー!ササメさんすごい!」

「ありゃりゃ!?でかくなりすぎたか……?おーいミゼルちゃん、なんとかして立て!あいつらをぶっ殺せ!」

「だ、誰があなたの言うことなど……!わ、私の理性でこいつの動きを抑えますっ!今のうちに……こんな姿の私に構わず、逃げて……ください……っっ!」

「……すまない、ヴィラの戦士!半妖!一度撤退するぞ!」

「わかりました!唯さん、こちらへ!私の氷を使って高速離脱します!」

「……いいえ、私は逃げません!」

「「えっ!?」」

王を倒し、元の世界に戻るという神器の存在を確かめるのが唯の目的である。
そして、鏡花や他の運命の戦士はまだ来ていない。王が自分を生かしておくのなら、ここで他のみんなを待つのが最善と考えた。

「馬鹿を言うな!なんのために助けたと思っている!」

「ここに1人で残るのは危険です!早く逃げましょう!」

「アゲハさん、ササメさん……私には、異世界人の運命の戦士として、やらなければならないことがあります!それに、私の友達もみんなここに向かってる。……私だけ1人で逃げるわけにはいきません!」

「ククク……さすがリョナられ慣れてる唯ちゃんだ。その度胸だけは認めてやるよ……!」

「くっ……ならば撤退は撤回だ!半妖!私たちも戦うぞ!」

「ええっ!?」

「唯さんが残るなら、私たちも戦います!怖いけど……!討魔忍として、トーメント王の暴虐を許すわけにもいきません!」

「アゲハさん、ササメさん……!ありがとうございますっ!」

思いがけず味方を得た唯。正直1人ではまた触手責めになるところだったので、2人の存在が唯にはとても頼もしかった。



「ケケケケ!なんか感動の共闘シーンで俺様に勝てる雰囲気を必死に醸し出しているようだが、唯ちゃん以外の奴らなんて……この俺様が手を下すまでもないね。」

「……え?」

「……ククク、戻ってくるのが遅いぞ。リザ。」

意味深な王のセリフに戸惑う唯。その後、すぐに視界の端に金髪の少女が現れ……!

ヒュンッ、ザシュシュ!!
「うああああぁっ!!」
「ぐはあぁっ!!!」

すぐに2つの悲鳴が上がり、ササメとアゲハの倒れる音がした。

420 名無しさん :2019/01/29(火) 01:39:39 ID:???
「え……?」

一瞬すぎて、理解が遅れてしまう。ササメもアゲハも蹲って唸っているが、その理由に気づいたのは……

「……血……っ!ササメさん!アゲハさんっ!」

2人の下に広がる、血だまりを見てからだった。

「リザ、お前は本当に利口なやつだ。あのままお姉ちゃんとどっかに行ってしまうのかとも考えたが……こうしていつもちゃーんと俺様のところに戻ってきてくれるんだからな。」

「……私はトーメントの王下十輝星、スピカです。職務を放り出して逃げることなどしません。」

「ククク……そうだよなァそうだよなァ。偉いぞリザ。今日はお前の好きなものをたらふく食わせてやる……!ケケケ!」

「…………………………」

さらりと言い放つリザの後ろ姿を見て、王はニヤリと笑う。
リザの言葉が心からの発言ではないことは、王もわかっている。

それがわかった上で、必死に気持ちを押し殺して自分に仕える少女の健気さに、王は嗜虐心をくすぐられるのだ。



「リザちゃん、酷いよ……!どうしてこんなことをするのっ!!」

「……勝手に私に何を期待してるの?私は王下十輝星……あなたたちの敵。それはずっと変わらない。」

「でも……!あの地下の電車のときは、リザちゃんが私とヤヨイちゃんを助けてくれた!だから今度は私がリザちゃんを……助けたくて……!」

「……あの時私は非番だったし、ただの気まぐれで助けただけ。……見返りなんて求めていない……」

「うぅ……あ!」

連絡先なども交換して、仲良くなったと思っていたのは自分だけだったのか。
他の十輝星とは違い、リザの中には優しさを感じたのは気のせいだったのか。
そんな思いが唯の胸に去来したが、すぐに別の疑問が浮かんだ。

「お姉さんは……?リザちゃん!さっきリザちゃんを抱えていったお姉さんは!?」

「……さあ?」

「……!」

その一言で、唯の目が変わった。



「お姉さんと何があったかはわからないけど……リザちゃんが家族を大切にしていないなら、それは良くないことだよ。」

「……っ!」

リザの顔が一瞬、驚愕の顔に変わる。だがその後、すぐに不快感を露わにし、両手をプルプルと震えさせた。

「……うるさいっ……!気安く口を挟まないでって言ったでしょ……!そうやって人の心に気安く踏み込むことこそ、良くないことなんじゃないの……!」

「……リザちゃん……」

明らかに今のリザは、前に唯が会ったリザとは違っていた。
何かに裏切られて深い悲しみを背負っているかのような、リザの目の暗い青。
その目の色だけで、心を乱されている状態なのが唯にはわかる。

「おーいリザ!俺様はミゼルちゃんを連れて山に行く!合図を出したら唯ちゃんを殺してくれ!」

「……了解。」

両手に2つのナイフを構えるリザ。その動きには迷いはなかった。



「リザちゃん……!私の治療術じゃ完全には治せていないの!そんな状態で戦ったら、また傷口が開いちゃう……!」

「……それがどうしたの?私はいくら傷口が開こうと……合図があれば貴方を殺す。それを邪魔するこの2人は……今ここで殺す。」

「……!そんなこと、絶対にさせないっ!」


唯自身は殺されてもいいが、この2人を殺すというリザは止めなくてはならない。
すぐさまリザに接近し、掌底を打ち込む唯。

パシッ!
「……遅い。」
「そんなっ……!」

だがその拳は、瞬間移動を駆使する暗殺者にしてみれば遅すぎた。

「くっ……!ぐうううっ……!」

「……ねぇ、王様に勝とうなんて……本気で思ってるの?」

「思ってるよ……!私たちはあの人を倒して、元の世界に帰らないといけないんだから!」

「……………………」

真っ直ぐ唯の目を見るリザ。
その目はどこか、先ほどの自分を止めようとしていた姉と似ている気がした。

421 名無しさん :2019/02/02(土) 16:09:34 ID:???
「……そんな目で、私を見ないで……!私は……!間違ってない……!この世界で、王様に逆らうなんて……馬鹿げてる!」

「あぅ!?」

リザは唯の腕を後ろ手に回して捻り上げ、拘束と同時に目を合わさないようにした。

「合図が来たら……後ろからナイフで殺す。あとは魔の山の遺産を手に入れて……戦争で、勝つ」

「そんな……!」

「……ルミナスもシーヴァリアも、このミツルギも……あとナルビアもか……とにかく、世界の全てを、王様が手中に収める日も遠くない」


どこか自分に言い聞かせるような口調で淡々と語るリザ。リザの脳裏には、かつて成り行きで共闘した水鳥や友人であるミライ、予選で知り合ったヤヨイたちの顔が浮かんでいたが……リザは、考えないようにした。


「そんなこと……させない!たぁあぁああ!!」

「無駄……っ!」

体のバネを利用して捻り上げから逃れようとする唯。リザは当然防ごうとするが、体に力を入れた瞬間に癒えきってない傷が痛み、唯を逃がしてしまう。


「はぁ、はぁ……!リザちゃん、やっぱり、怪我が……!」

「……関係ないって……言ってるでしょ!」

リザは体の痛みを無理矢理無視して唯に再び接近する。

「リザちゃん……!うぅ!?」

唯は迎撃に拳を振るうが、リザの素早い動きを捉えることができず、後ろに回り込まれてしまう。

「これで……!」

「う、ぅぐっ!?が、はぁ……!」


唯の後ろに回り込んだリザは、唯の首に右腕を回し、左腕でしっかりと右腕と首をホールドする……所謂チョークスリーパーの体勢に入る。


「篠原唯、しばらく眠っていて貰うわ……!」

422 名無しさん :2019/02/03(日) 03:17:08 ID:ldWLvWTc
「あぐうぅ……!い゛ぎぃっ……!」

「……わかったでしょ……中途半端な情けは自分の身を滅ぼすの……!」

「が……!あ゛ぉ゛っ……!」

耳元で囁くリザの声がだんだん遠くなっていく。暗殺者の完璧な絞め技によって、唯の目からゆっくりと生気が抜けていき……

「う゛う゛ぅ゛っ……ぁ゛……っ」

最後に小さく呻きながら、唯はリザの腕の中で完璧に落ちてしまった。

「ぐ……くそっ!やはり貴様……トーメントのスパイだったか!」

「くぅっ……!よくも、唯さんを……!」

突如現れた闘技場優勝者の少女の姿に、アゲハもササメも激しく動揺する。
自分たちが倒せなかったカゲロウやトウロウを倒したアウィナイトの少女。
その類稀な能力と戦略で見事優勝を果たした少女が、敵だという事実に。

唯を落としたリザはゆっくりと腕を外し、落ち着いた動きで唯を横たえた。

「そこの2人……私は今すごく機嫌が悪いけど……邪魔をしないなら見逃してあげる。私の気が変わらないうちに、早くこの森から離れなさい。」

「こんな……なにも、できないなんて……」

「ぐ……くそっ……!」

リザは2人に背を向け、抑揚のない声で忠告する。
少女らしい声ではあるが、下手に挑発や抵抗でもしようものなら、一瞬で殺されてしまつような威圧感のある声だった。

「……半妖、撤退するぞ。こいつは私たちが敵う相手ではない。それはお前もよくわかっているだろう……?」

「うぅっ……!でも……!」

「悔しいが、ここでの私たちの出番は終わりだ……あとはコトネ様たちに任せよう。」

「……わかり……ました……っ!」

よろよろと立ち上がった2人は、苦渋の思いで離脱を決意し、その場を離れた。



「……あぁああもうっ!はぁっ……!はぁっ……!」

気絶した唯の前で、1人になったリザは苛立ちを露わにし地面を強く蹴った。
その理由は、再開できた姉に対する怒りでもあり、自分を利用する王への怒りでもあり、自分を治療してくれた唯に危害を加えてしまった罪悪感でもある。

(……でも……これでいいんだ。これがアウィナイトのみんなを守るための最善の手段。篠原唯やミライたちや……たとえお姉ちゃんとお兄ちゃんを敵に回したとしても……!今の私が守るべきものはもう決まっている……!)

そう頭ではわかっているのに、リザはミストに致命傷を与える攻撃ができなかった。
自分を生かしてくれた負い目もあるが、戦いとは無縁の生活をしていた頃の家族との記憶が、どうしても攻撃の手を阻んでしまう。
心を殺して暗殺を繰り返してきたが、それでも、どうしても……
家族を切ることだけはできない。

それになにより、王に家族を蘇生してもらい、また平和な日々を送ることを夢見ていた少女にとって……
それだけはどうしてもできないことだった。

(もう無理にトーメントに居なくても……人を、殺さなくていいんだよ。)

(なぁリザ……この世界は俺様が作ったって言ったら……信じるか?キヒヒヒヒ!)

「うぅっ……私は……私は……!」

平和を求めるがために暗殺者(スピカ)となった自分の自我に生じた矛盾。
その相反する葛藤を制御するには、15歳の少女の心は幼すぎたのであった。

423 名無しさん :2019/02/04(月) 00:25:34 ID:???
「ルルカリリカルラルラリララ〜♪嫌いにな〜らないで〜♪」

自分に似ている容姿のキャラが一枚絵になっているノリのいいボ◯ロ曲を口ずさみながら、アイナは洞窟の中を進んでいた。
洞窟の中は自分の声が響くため、エコーがかかって気持ちがいいのである。

「うーん今日の喉の調子はサイコーですわね!色々片付いたらみんなでカラオケでもいきたいですわ!……早くこんな辛気臭い場所から出たいですわね……アイナにはこんな場所似合いませんわー!エミリアちゃーん!どこですのー!?」

相手がいなくても1人で喋っていられるアイナは、自分で自分を励ましながらエミリアを探す。
もう逸れて30分も経っているので、流石に心配になってくる。

(あの竜殺しに万が一エミリアちゃんが捕まったらやばいですわ……おっさんがアレを食べると性欲という本能も爆発してしまいますから、エミリアちゃんみたいな清楚系の女の子は格好の穴ですから……)

友達の女の子を穴呼ばわりしながらも、こう見えてアイナは結構本気で心配しているのである。
早く発見してあげないと、エミリアはリョナゲーにありがちな犯されループから抜け出させてもらえないだろう。



「や……!……ぁ……ぁん!」

「ん?……この声は……エミリアちゃん!嫌な予感しかしませんわー!」

想像していた通りのR18な雰囲気を感じ取りつつも、アイナは声の響いた方へと走った。
しばらく進むと吹き抜けに出て、天井と階下に空間が広がっている場所に出た。

ぶちゅっ!ぐちゅっ!べちゅうっ!んばちゅ!
「だめっ……!や、そんなとこぉ……ああぁーっ……!」

エミリアの声は下から響いている。すぐにアイナが下を見下ろすと、吹き抜けの真ん中で大男に舌で犯されているエミリアの姿があった。

ぢゅんっ!ばちゅ!べちゅちゅちゅ……!ぶちゅ!
「ひゃはあぁっ!やああん!だめだめだめだめ……っ!あああっ!」

(ひゃー!エミリアちゃん……可愛い顔してなんてセクシーな……!是非とも勉強させてもらいたいけれど、すぐに助けてあげますわー!)



「キャンディガン!スナイパーモード!」

アイナが何処からともなく取り出したピンク色のステッキが、ポヨン!ポヨヨン!と可愛らしい音を出しながら、先端にリボンの付いた狙撃銃になった。

「ぁ……アイナちゃん……?」

「乙女の純情を踏みにじる悪漢は、月に変わってお仕置きですわー!マーブルショット!」

ズドン!
「ガヴ!?」

吹き抜けへ跳躍したアイナはキャンディガンから某お菓子のような弾を発射。そして見事狂戦士の頭を直撃!
真下に撃った反動で、アイナは上に吹っ飛んだ。

「来ませ!まんじゅうクッション!」

自分の直下に饅頭を投げ、魔力で巨大化させてクッションを召喚する。
見るものを楽しませるようなお菓子魔法の連続で、アイナは攻撃と移動を見事にこなしてみせた。



「アイナちゃん……もう、遅いよぉ……!」

「待たせたな!ですわ!主人公は遅れて登場するのが常ですからね!」

見た目に反して威力抜群のマーブルショットを喰らい、気絶したダンをアイナは強引に引っ張った。

「うんしょ!うんしょ!……エミリアちゃん、服は無事ですの?」

「ううん……お洋服、破かれちゃった。アイナちゃん、魔法で出せる?」

「うーん、アイナも洋服を作る魔法は覚えてませんわ……アトラやアイベルトに見つかる前に出た方が良さそうですわね。」

「この人、ここに置いていってもいいのかな……?」

「異世界人に味方する強キャラのおっさんなんていらないですわ!この洞窟で彷徨う亡霊と化すがいいですわ!エミリアちゃん、行きますわよ!」

完全に伸びているダンを放置して、アイナとエミリアは出口を求めて歩き出した。

424 名無しさん :2019/02/04(月) 02:05:25 ID:???
「あらあら、片腕無くした金髪ちゃん……そんな状態でこの私に勝てると思っているのかしら?」

「……片腕でも……!剣を振ることができれば上出来ですわっ!リヒトクーゲル!」

左手で振るったリコルヌから光弾を飛ばし、ブラッディ・ウィドーへの攻撃をしかけるアリサ。

「そんなのろい攻撃、無駄よ!シャアアアアアア!」

バシュゥン!
蜘蛛魔物は糸の網を放ち、自らの盾にして光弾を防いでしまった。



「くっ……やはりこんなものでは全然ダメですわね……」

「……アリサ・アングレーム……今……私に加勢すると言ったの……?」

「えぇ、言いましたわよ……こんなところで貴女と2人、一緒に蜘蛛に食べられるなんてまっぴら御免ですわ!」

「…………………………」

左腕で剣を握り直し、蜘蛛が放った糸を斬りつつ躱すアリサ。
その目からは、まだ闘志の炎が消えていなかった。

「ウフフ……紫ちゃんはもう私の糸でギチギチになってて動けないのよ?いつまでそうして躱し続けられるのかしら?フフフフ……」

(……このままでは防戦一方ですわ。なんとかしてあの蜘蛛の巣に近づいて、本体を叩かないと……!)



「はぁっ、はぁっ……!やああぁっ!」

「な……なんですって!?」

攻撃に転じる暇などないと思われたアリサが、一瞬の隙をついて高く跳躍した。
狙うはもちろん、高所にいる魔物の頭。リコルヌの切れ味を信じて、左手でしっかりと握りしめたまま……

「レーヴェシュヴェルトォッ!」

獅子のように豪快に、蜘蛛女の頭へと振り下ろす!

「きゃあああああっ!……なんてね!」

「なっ……!?」

「えっ!?」

狡猾な魔物がアリサの目の前に盾として出したのは、縛られているロゼッタだった。



「だめ……!止めるしか……!」

「まったくあんたも甘いわねえええぇ!!!そらそらソォラァ!」

「くっ……!ああぁっ!」

件の一振りを中断したアリサに、蜘蛛の糸がここぞとばかりに巻きついた。

「ウフフ♪さっきまで喧嘩してたくせに、日和ってやめちゃうなんてねぇ〜。紫の子ごと私の頭を切っちゃえば勝ってたのに。フフ……これだから人間って愚かだわぁ〜!」

(アリサ・アングレームが私を……庇った……?)

目の前で自分と同じ蜘蛛の糸の塊になり、地面に落ちたアリサ。
状況は絶望的ながらも、ロゼッタはアリサの行動が理解できなかった。

425 名無しさん :2019/02/04(月) 02:10:05 ID:???
「フフフフ……金髪と紫髪美少女2人の白糸ぐるぐる巻き完成よぉ♪さあて……どうやって遊ぼうかしら♡」

「うぅぅ……!」

片腕からの出血で、アリサはもう意識を失いつつあった。
だが、死ねば王の元で蘇る。
ここで殺されても生き返るのならば、アリサにとっては問題ない。


「まずは金髪ちゃん……怪我を治してあげましょうか。私の糸でしっかり腕をくっつけてあげるわ♪」

「な、なんですって……!んうぅ!」

片腕を巻いた腕がシュルシュルと自分の右腕にあてがわれ、ブラッディウィドーの魔法糸によってアリサの腕が復活した。

「ほら、これで元どおり!あとは……」
「ふあああああああんっ!!!」

突然、艶かしい喘ぎ声が洞窟内に響き渡る。
アリサと魔物蜘蛛が声のした方を見ると、そこには……



「はぁっ、はぁっ……はあぁぅ……!うぁ……っ!」

「あら、紫の子……私の糸に染み込ませてある麻痺毒で勝手に気持ちよくなっちゃったみたいねぇ。とっっても感じやすい身体なのね♪」

(ロ、ロゼッタさん……後遺症が……!)

ロゼッタを包む糸がビクンビクンと揺れていること、真っ赤に火照った小さな顔、なんともいえないトロンとした目を見て……アリサは察した。

「んっ……!!」

それと同時に、自分を拘束している糸にも麻痺毒が塗られていることに気付く。
それをむやみに動かそうとすると……

ビクビクッ!
「ああんっ!」

「ウフフ……その麻痺の状態で体を無理に動かそうとしても、体全体に気持ちいい振動が走るだけ。女の子の場合、それがすっごく気持ちよくなっちゃうのよね……あなたもクセになっちゃダメよ♪今の声とってもヤバイけど♪」

「んぐっ……!ひゃひいぃっ!」

アリサが強引に体を動かすと、まるで自分の全ての性感帯をベロリといやらしく舐められた様な感触が体を襲う。
ロゼッタのような体質では、一度でも抵抗しただけでイキ地獄になってしまうような状態だった。

「はぁ、はぁ、はああぁっ……!」

「ロ、ロゼッタさん……!気をしっかり……!」

「だ、黙れ……!お前に心配なんてされたくない……!んやっ!ふぁひいぃんッ!」

「ウフフ、変な声!感じすぎて滑舌も頭も回らなくなってきたようね。……ちょっと面白いから、紫ちゃん。あなたの体、開発してみようかしら♪」

「や、やめろっ……!こ、これ以上……!これ以上はぁっ……!」

「イっちゃう?トんじゃう?喘ぎ疲れて声枯れちゃう?気持ちよすぎて腰抜けちゃう?……なんでもいいわよ。あなたたちは最後には……私の卵入れになってもらうんだからぁ♡」

不自然に言葉を切ると、蜘蛛魔物はよだれを垂らしながら目を光らせてニヤリと笑った。

426 名無しさん :2019/02/05(火) 02:33:48 ID:???
(地力で負けてる以上、長期戦は不利ね……!あいつがこっちをナメてる間に、速攻で叩き潰す!)

「行くわよ!火蜥蜴爪(サラマンダー・クロウ)!!」

大胆にして合理的な思考の元、瑠奈は自らの放てる最大の技を選択する。その威力は上級魔剣にも匹敵する、炎を纏った斬撃性の拳でアイベルトに迫る瑠奈。

「へ……そっちの土俵に立ってやるぜ!サンダーレイヴ!」

それに対しアイベルトは雷魔法を右腕に纏わせ、瑠奈の心を折る為に敢えて彼女の得意分野の拳で真っ向から迎え撃つ。

「「はぁあああああああああ!!!」」

炎の爪と雷の腕がぶつかり合い、激しい火花を散らす。
だが、拮抗は長くは続かなかった。徐々に徐々に、瑠奈の拳はアイベルトの拳に押し込まれていく。

「ガキが!この俺様に力比べたぁ、随分バカな真似をしたな!体格の違いが分かんねぇかチビ!」

「ぐっ……きゃあああああぁああああ!!?」

拳が押し込まれるにつれ、アイベルトの雷が瑠奈の炎を突き抜けて、瑠奈の体に襲い掛かる。
思わず甲高い悲鳴をあげてしまう瑠奈。それに伴い、右腕の火蜥蜴爪(サラマンダー・クロウ)に込めていた力が抜けていく。

だがそれでも、瑠奈の瞳は死んでいない。

「チビで悪かったわね……!けど、体格の違いが分かってないのは……アンタの方よ!」


次の瞬間、瑠奈は大地を足で蹴った。そしてアイベルトの右腕に両腕をかけて、そこを起点にクルリと回転して腕の上に乗ると、彼の腕を踏み台にして強烈な飛び膝蹴りをアイベルトの顔面にお見舞いする!

そう、これは瑠奈が自分の小柄な体型を最大限活かす為に産み出した、曲芸めいた動きである。

ただ飛び膝蹴りを打つだけでは迎撃されて終わりであるが、一度相手の利き腕に乗ってから放てば、そう簡単には防げないという瑠奈の読みは、見事に的中したのである。

「ぐぁばっ!!」

グラリ、とアイベルトの体が僅かに揺れる。流石の彼も、顔面に膝蹴りがクリーンヒットしては無傷とはいかない。

「ぐ、うう……!!まだまだぁ!!これ、で……!決めるわ!!」

先ほどの一連の動きの結果、アイベルトの腕に纏われていた雷がモロにその身に流れてきた瑠奈。だが歯を喰いしばってそれを耐え、アイベルトに一撃を喰らわせたのだ。
ここで決めなければ、もう敗北は逃れられないだろう。

「魔拳…………『亀甲羅割り』!!」

427 名無しさん :2019/02/08(金) 00:28:00 ID:izxTOTkc
「ぐわぁあぁあぁあ!!」

亀甲羅割りを食らったアイベルトは吹き飛び、先ほど散々彩芽の顔面を叩き付けていた岩壁に、今度は自分が叩きつけられることになった。

「はぁ……!はぁ……!どうよ!これがライカさん直伝の極光体術よ!!」

かなりの手応えを感じた瑠奈はグッと腕を捲り上げてから、ビッ!とアイベルトの方に拳を突き出す。

しかし……

「クククク……ハーッハハハハ!!」

なんとアイベルトは、叩きつけられた衝撃で体にかかった岩の欠片を払いながら立ち上がった。

「ルナティック……やっぱりまだケツの青いガキだな、ここ一番で打つのが亀甲羅割りなんて初歩技とは……逆に驚いたぜ」

決してダメージを受けていないわけではない。だが、倒れたわけでもない。亀甲羅割りが完全に入ったにしては、あまりにも薄いダメージだった。

「な……!?く、それなら……!倒れるまで打ち込んでやるわよ!」

「無駄だ。あー、これ一度言ってみたかったんだよな……お前はもう、死んでいる」

再びファイティングポーズを取り、アイベルトに向かう瑠奈。そしてアイベルトが、漫画の影響で一度言ってみたかった言葉を放った直後……

「っ………う……!ああああああぁぁぁっ!!!」

瑠奈の右手から、激しい血飛沫が飛び散った。

「全ての武器と魔法を駆使する俺様は、当然体術も完璧……そして俺様の覚えた体術は、精神柔拳法……極光体術と対をなす、カウンターの流派だ」

アイベルトが使った精神柔拳法……これは長文リレー小説になった直後、 前スレ>>36で名前だけ出ていた謎の流派である。


ガン攻めの極光と対をなす、ガン待ちの柔拳。アイベルトは先ほどの瑠奈の亀甲羅割りに対し、精神柔拳法……『犬も歩けば棒に当たる』でカウンターを放っていたのである。


「流石に竜殺しだったらカウンターを合わせるのも楽じゃなかったろうが……お前が打ったのが初歩技で助かったぜ、ルナティックちゃんよぉ」

「ぐ、くぅうう……!」

利き腕を封じられ、瑠奈はガックリと地に膝をつく。完敗だ。ここぞという時で必殺のフィニッシュブロー竜殺しが打てなかったのは、ひとえに自らの未熟のせい。

(これじゃ、同じだ……!あの時と……!)

瑠奈の脳裏に過るのは、かつて運命の戦士5人が、抵抗らしい抵抗もできずに王とその配下にいたぶられた時の記憶。

あの時も瑠奈は、ヨハンに渾身の亀甲羅割りを放ち……そしてその威力を逆に利用されて敗北した。

(ダメだ……!唯も鏡花もアリサも頑張ってるのに……!彩芽を守らなきゃいけないのに……!こんな所でブルブル震えてるわけにはいかない!)

例え利き腕が使えなくとも、戦うことができなくなったわけではない。左手だろうと足だろうと、最悪歯でだって戦ってみせる。
そのような強い意志の籠った瞳で顔を上げる瑠奈。

だが、瑠奈が一瞬かつての惨敗の記憶を思い出している僅かな間に、慢心を捨てたアイベルトは瑠奈に接近しており……

「さて、思っていたより手間取ったが……合図が来るまで遊ばせてもらう、ぜ!!」

「んぶぅおぉあぁあっ!?」

渾身の膝蹴りを、瑠奈の腹部に放った。瑠奈は思わず、お腹を抑えて蹲ってしまう。

428 名無しさん :2019/02/08(金) 00:29:34 ID:izxTOTkc
「ルナティックも大概だが、そっちのメガネのせいで女刑事に煮え湯を飲まされたからなぁ……ククク、いいこと思い付いた……ぜ!!オラオラァ!」

「あぐぅあぁっ!!ごふっ!!ぎ、がはぁあっ!!」

蹲っている瑠奈の腹部を、爪先で執拗に蹴り上げるアイベルト。しばらく蹴り続けていたアイベルトだが、おおもむろに瑠奈の短髪を乱暴に掴むと、近くで倒れている彩芽の方へと引きずっていき、瑠奈を彩芽の上に思いっきり放った。

「瑠奈!大丈夫か!?く、体が、動かな……!あぐ!」

「げほっ!げほっ!あ、彩芽……おごぉぉおぉっ!?」

ダメージ過多で動けずに、覆い被さる体勢になっている彩芽と瑠奈。何とか瑠奈が彩芽の上からどこうとした瞬間……またも腹部に激しい衝撃がきた。

「ククク……ダークゲートっていうんだぜ、これ……俺様の剛腕をどこにでも届けられる、悪くない魔法だぜ!」


ローレンハインがアリサに使用したのと同じ、空間系の闇魔法を発動したアイベルトが、やや離れた位置から瑠奈に腹パンしたのである。

なぜアイベルトがここまで執拗に瑠奈に腹パンするのか……瑠奈は自らの体の奥からこみ上げてくるものを感じ取った瞬間、アイベルトの狙いが分かってしまった。

「ぅ、げ、えぇえええ……!」

「クハハハハ!!おいおいマジかよこいつ!自分のダチに向かってきったねぇゲロ吐いてやがるぜ!」

そう、アイベルトの狙いは、瑠奈に腹パンして吐瀉をさせて、その吐瀉物を彩芽の体にかけさせることだったのである。
途中まで必死に耐えていた瑠奈だが、絶え間なく続く腹部への衝撃に、とうとう堪えきれなくなってしまった瑠奈ビチャビチャと音を立てながら、瑠奈は彩芽の体に吐瀉物を撒き散らした。

429 名無しさん :2019/02/10(日) 00:00:29 ID:???
「魔の山の頂上に通じる扉、ガーディアンゲート……ケケケ、ようやく着いたぜ。」

「あ……う、ぁ……」

険しい山道を登り終え、トーメント王はついに神器「セーブ・ザ・クイーン」へと通じるガーディアンゲートの前へとたどり着いた。
横にいるのは、たくさんの同胞や雪人を虐殺した怪物……目の前で繰り広げられたあまりの惨劇に自我を失いかけている、ヴィラの一族のミゼルである。

「いやーミゼルちゃんを宿主にしてよかったよ!こんなに全部片付けてくれるなんて思わなんだ!ミゼルちゃん様様だ!」

「う……ぅ……もう……ころして……!ころして……ぇ……!」

「ああん?なーに楽になろうとしてんだ?ヴィラの一族は天然ケモミミ娘だぞ?俺様がそんな希少ジャンルの美少女をあっさりと殺すとでも?」

王は懐からヒューマンボールを出し、ミゼルへとそれを放り投げる。

「お前はあとで俺様の肉便器にしてやる……ありがたく思えよ?ケケケケ!」

「ぅ……あああぁ……!」

枯れた声で涙まじりの嗚咽を漏らしながら、ミゼルはヒューマンボールへと封印された。



「さぁて、十輝星のグループに連絡するか……準備オッケーだから、サクッと殺してくれやっ……と!」

ラインのグループラインにチャットを送り、その場に座りこむ王。
頂上付近は吹雪になっているため鞄から防寒具を取り出し羽織った。

「さて、あいつらはちゃんと役に立つのかねぇ……」



★★★★★★★★★★★★★★★★



「……来た。」

真新しいリザのスマホに映し出されたのは、王の送ったグループチャット。
自分の顔をアイコンにしている王から送られてきたのは、唯を殺せという命令だった。

(……やらないと。)

ナイフを取り出し、気絶させた唯の心臓に刃先を向ける。
微かに漏れる吐息と、静かに上下している胸に、リザは違和感を感じた。

「篠原唯……起きてるの?」

「……………………っ」

「……やっぱり。」

返事はないが、微かに顔色が変わった。
起きないのは、自分に殺されてもいいということなのだろう。王の元へいけるのならばと、恐怖を押し殺している、というところか。
それならば好都合と、リザはナイフを振り上げた。

そう、好都合と思ったはずなのだが……



「……くっ……」

自分がこのまま殺してしまえば、目の前の心優しい少女はそのまま王の元へ送られる。
そこで待っているのは、王による暴虐。
想像を絶するような暴力と、この世界への絶望を植えつけられるだろう。
自分の目を覆いたくなるようなことも……

そうなったとき、今も自分を気遣い気絶しているフリをしている目の前の優しい少女は、どうなってしまうのだろうか。
家族を殺された日の自分のように、全てに絶望してしまうのではないか……

「……くぅっ……!」

ナイフを持っている右手の震えを、左手で抑える。
そう、やるしかない。
やるしかないのだ。
大切だったはずの家族に背を向け、アウィナイトを守る道を選んだ自分に、王への反逆の道はありえない。

少女の青い目に宿る光が、自身の心を表すかのようにゆらゆらと揺れる。
その迷いを断ち切るかのように……

「……うあああああああああああああああああああああああああ!!!」

リザは、吶喊の声をあげた。

430 名無しさん :2019/02/11(月) 01:14:44 ID:B7zYbEME

「くひぁああぁっ♥!!や、だっ♥!!また、あの時、みたい、にっ♥ん、や、あぁぁっっ♥!!」

「こんなに開発しがいのある娘初めてだわ……!ここまでお膳立てしておいて、放っておいてくれた調教師には感謝しないと」

ロゼッタの体を包む糸をほんの少しだけ開いたブラッディ・ウィドーは、その八本の足をカサカサと器用に動かして、開いた場所からロゼッタの体に直接毒を流し込んでいく。

当然ロゼッタは抵抗するのだが、もがけばもがくほど体に毒が回り、余計に淫熱に狂わされていく。すると……

「あハ……アハははハハはハハハ!!!クフふふ♪あーッはぁ♪」


突然狂ったように笑い出すロゼッタ。彼女はトロンとした瞳のまま、感情の籠らない声でブツブツと喋り出した。

「あの時もこうだった……私は捕まって、何もできずに姉さまの足を引っ張り……その後闘技場で魔物共に……アは♪ああでも姉さま、ロゼは強くなりました……だからもう心配することはないんですよ……もしものことがあったとしても……私たちはずっと一緒ですよ、姉さまぁ……冥府の扉の先で、また姉さまと……フフ、うフフフうふ……」

12年前の時点でほとんど壊れていたロゼッタの心。不思議ちゃんめいた言動で、現実を見ないようにして抑えてはいたが……トラウマを刺激されたことで、彼女の心には再びヒビが入った。

「ナニよ急に……気味悪いこと言って私を萎えさせて助かろうって算段かしら?まったくもう……萎えちゃったから、さっさと卵入れにしてあげるわ」

ゴソゴソと体を動かして、いよいよロゼッタに産卵をしようとするブラッディ・ウィドー。

その時……!


「トラークヴァイテ・ギガンティッシュ・シュトラール!!」


アリサの糸を突き破って……否、『アリサの体を突き破って』現れた光の大剣が、ブラッディ・ウィドーを貫いた。


「うぎゃああぁあ!?な、なぜ……!」
「が、は……!」

ブラッディ・ウィドーのミス……それはアリサをリコルヌごと拘束したことだ。
とはいえ拘束で腕を動かせなかった関係上、アリサが剣を伸ばして攻撃するなら、自分の体も貫くことは避けられなかったので、それを警戒しろというのも酷な話しだろう。

アリサを包む糸による物理的な死角と、まさか自分ごと敵を攻撃はしないだろうという精神的な死角。

それらを突くためにアリサは、ずっと機を伺っていたのである。

「アリサ……アン、グレーム……?」

「ロゼッタさん……しばしお別れですわ……けどいつか……貴女の、心を……」

ブラッディ・ウィドーを撃破するのと引き換えに致命傷を負ったアリサの意識は、ゆっくりと落ちていった……。


★ ★ ★ ★ ★


「う、ぅぅう……!ごめん、ごめん彩芽ぇ……!」

「き、気にするな瑠奈!ボクを守ろうとしてくれた結果だろ!ボクは気にしてない!」

「ハハハハハ!ゲロで結ばれた友情ってか!笑えるぜ……ん?」

瑠奈を執拗に腹パンすることでゲロを吐かせ、そのゲロを無理矢理彩芽にかけさせたアイベルトはゲラゲラと笑っていたが、王からラインが来たことに気付く。


「あー、もう時間か……そんじゃあそろそろ……2人仲良く死ね!!」


アイベルトはダークストレージから双剣を取り出すと……彩芽と瑠奈に一本ずつ突き刺した。


★ ★ ★

「ルミナスの戦隊長、ね……なら当然、仲間は大切だろう?」

「……?なにを……」

「クク、鈍いな……いいか市松鏡花、これ以上抵抗するなら、この間僕らの仲間が捕まえたルミナスの子たちの安全は保証できないぞ」

「っ!?くっ……!そんなの、卑怯よ……!」

変身して一転攻勢に出た鏡花だが、追い詰めたはずのシアナの一言に動けなくなってしまう。

(おいシアナ、それって……)
(ハッタリだ、今ここであの連中をどうこうはできないし、どうせノワールやフースーヤが滅茶苦茶リョナってるだろうから安全の保証なんて最初からない)
(でも鏡花ちゃんには効果テキメンの脅しだな……さっすが俺の相棒、機転が効くぜ!さっき王様からライン来たし、サクっと殺しちゃおうぜ!)

「……なら、抵抗しないから早く私を殺して。王が何を企んでいるか知らないけど……唯ちゃんを助けに行かないと」

「もちろん、そのつもりさ……て言うか最初から下手にイタズラしないでこうしてればよかったな」

「まぁまぁ、水鉄砲でイジメられてる鏡花ちゃんエロかったしいいじゃん……っと!」

「っ……!」

こうして、男キャラが追い詰められるあんまり需要のないシーンはカットされ……アトラの様々なトラップが、鏡花に牙を剥いた。

431 名無しさん :2019/02/11(月) 22:23:36 ID:???
(ドゴッ!!ザシュッ!!)
「きゃあああああっ!!」
棘付きの巨大ハンマーが、棒立ちになった鏡花の身体を吹き飛ばす。

(バシュン!!バシュン!!バシュン!!)
「ぎゃうっ!!あぐっ………うああっ!!」
続いて、金属製のネットが鏡花の身体を空中で捕まえ、激しい電流で鏡花の全身を焼き焦がした。

(ブオンッ!!………ドカッ!!)
「…あぐっ………!!」
電流を放ち終えると、ネットはぐるぐると鏡花の身体を振り回した後、地面に叩きつける。

「はぁっ……はぁっ………唯ちゃん、待ってて………
今、そっちに………っっぁあああああっ!!」
(…………ガシャン!…ガシャン!…ガシャン!…ガシャン!)
ネットから抜け出した鏡花を襲ったのは、小型だが、殺傷力の低さを数で補うタイプの連続ベアトラップ。
いずれも獲物を捕らえるためのものであって、すぐに止めを刺す類の罠ではない。

「おいおい、だめじゃないかアトラ……王様から合図があったんだから、早く止めを刺さないと」
「いやー。そうしたいのは山々だけど、罠パワーが残り少なくて、殺傷力のある罠が使えなくてさー」
「そうか……僕も穴フォースがあまり残ってないからなぁ。今開けられる穴だと……」

(パン!………パン!!パン!!)
「っぐあ!!……あぎ!……ぐうぅっ……!!」
「……この小型拳銃の弾が、ギリギリ通るくらいかなぁ……くっくっく」
シアナとアトラは、苦悶する鏡花の姿をニヤニヤと笑いながら見下ろしていた。
二人が特殊能力用の魔力的なやつを消耗しているのは嘘ではなかったが、
自分達を追い詰めた鏡花に少々意趣返しをしたい、というのが主のようだ。

「にしても鏡花ちゃんもひでーよな。
洞窟の中だってのに、派手に攻撃魔法ぶちかましちゃって……洞窟が崩れたらどうするんd」
(ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ………)
「なっ!?………やばい、本当に崩れるぞっ!!」

だが、その時。
先程の鏡花の攻撃魔法の影響かは不明だが、
洞窟全体が大きく振動し、シアナとアトラの頭上から大きな岩が崩れ落ちてきた!

「「うわあああああああっ!!」」
「っぐ……あぶ、ないっ………!!」

力を失った二人の少年に、為す術はない。だが、二人が固い大岩に圧し潰されることは無かった。
何故なら………

「きょ……鏡花……ちゃん……」
「なんで……なんで僕達を助けたんだ……!?」
「ふ、ふふ……だって……私、魔法少女、だから………」
………傷だらけの鏡花が、二人の頭上に魔法のシールドを展開していたからだ。

「バカげてる……そんな事をしたって、僕らは改心なんてしない。絶対に……!」
「そうだそうだ!俺らを生かしたりなんかしら、またどっかで別の女の子を捕まえてリョナってやるんだからな!」

「バカ……そうかもしれないけど、でも……やっぱり、放っておけない……
それより、長くはもたない……早く、逃げ……て……」
ビシッ………ベキッ!ドゴッ!!

「鏡花ちゃんっ……俺……」
「………アトラ、来いっ!!」
鏡花のシールドに亀裂が走ったのを見たシアナは、アトラの手を引いて無我夢中で駆け出した。

432 名無しさん :2019/02/11(月) 22:46:13 ID:???
(バキバキバキ!!ドガ!!………グシャッ!!)
「っぐ、……うあああああああっ……あが!!」
鏡花の断末魔が背後でこだまする。

後ろにいるアトラは、そして自分は、今どんな表情をしているのだろう。
そんな事を考えながら、シアナは闇の中を走り抜けていき……
……やがて二人は、洞窟の奥の広い空洞に出た。

「はぁっ………はぁっ………無事か、アトラ………」
「なんとか………ていうか、ここどこだ?地上がどっちだか、もうわかんねーな……」
「しばらくすれば、僕の空間に穴を空ける力も戻るはずだ……少し休もう」
「はぁ。……とにかくあれで、任務完了だよな……早くこんな洞窟オサラバしたいぜ」
岩に潰され力尽きた鏡花は、王の元に送られたはずだ。
神器を手に入れて用済みになった五人の戦士は、そのまま王に嬲られ続ける事になるだろう。
今度こそ、心が跡形もなくへし折れるまで……

最期の瞬間、二人を助けた鏡花の心境を知る機会は、きっともう巡って来ることは無い。
(なんでだろう………なぜだか今、無性に……アイナに会いたい……アイナの声が聞きたい)
シアナは、願った。今までで、一番強く。
だが、その願いは………

「おい、シアナ。静かに……何か、聞こえないか……?」
「いやあああっ!!アイナちゃん!!お願い、目を開けてぇっ!」
「あれは………エミリアの声?」
「……………アイナは…?」

……届く事は、二度となかった。

どこからか落ちてきたと思われる、大きな岩。
その下に見える、人の手のようなもの。
それに向かって、半狂乱になって叫んでいるエミリアの姿。

「こんなの、嫌だよ……返事してよ、アイナちゃん……」
「………………いや。え?………嘘、だよな……?」
「シアナ。落ち着け……俺がちょっと様子見てくるから……お前はここで待ってろ」

アトラに言われるまでもなく、シアナは、動かない……
目の前で何が起こっているのか、受け止める事を頭が拒絶し、身体が動かせなかった。

433 名無しさん :2019/02/13(水) 02:35:41 ID:???
時は少し遡る。
ダンを退けたアイナとエミリアは、他の十輝星との合流を目指していた。

「はあ〜……全然道がわかりませんわ。たぶんこれは〜……あの肉ダルマが暴れまわったせいですわね。もうかなり地形が変わってしまっているような……」

「……ねえ、アイナちゃん。」

「うーん……来た道もさっぱりわかりませんし……これはもうダメかもわからんね、というやつかもしれないですわ!」

「……アイナちゃん!!!」

背後で響くエミリアの声に、アイナはツインテールをはためかせて振り向いた。

「なななな一体なんですの!そんなにおっきな声出して!もうエミリアちゃんのエッチすぎる抜きどころは終わったのですから、静かにしてて欲しいですわ!」

「……ごめん、でもみんながいない間に、アイナちゃんに話したいことがあって。」

「………?」

エミリアは破れた服を抑えながら、神妙な面持ちでいる。
彼女の表情がなんとなく放っておけないように感じて、アイナは足を止めた。

「……はぁ、まあウロウロ歩き回って疲れてしまいましたし、ちょっと話すくらいならいいですわよ?」

「ありがとう……じゃあ、そこに座ろう?」



少し大きな岩にアイナは浅く、エミリアは深く座って背を伸ばした。

「それで、なんですの?いくら可愛いエミリアちゃんでも、この状況で今日の天気の話とかしたらマスタードを眼球に塗りつけてやりますわ!」

「そ、そんな話じゃないよ……あのね、アイナちゃん。さっきは助けてくれてありがとう。正直、あの時はもう色々とダメだぁ〜って思ったから……」

「ん〜?そんなことですの?……エミリアちゃんを探して助けるのは当たり前ですわ。エミリアちゃんは十輝星ではないけれど、リザちゃんの友達!ということはそれはもちろん!アイナの友達ということになるのですから!キャハ☆」

薄暗い洞窟がぱあっと明るくなるような声で喋りながら、アイナはキラッ☆とウインクをしてみせた。

「ふふ……アイナちゃん可愛いなぁ。……私ね、こんな薄暗い危険な洞窟でアイナちゃんか私をずっと探しててくれたことが、すごく嬉しいの。」

「……まさかエミリアちゃん、あの状況でアイナが1人で逃げるような薄情者だと思ったんですの!?アイナが現在進行形で襲われているエミリアちゃんを無視して、1人でお菓子をむしゃむしゃ食べるような最低女だと思ってたんですの!?」

「お、思ってないよ思ってない!助けに来てくれるって信じてた……だからこそ、言いたいことがあるの。」

エミリアの口調がいつもよりはっきりとしたものに変わる。
なんとなく雰囲気が変わったことを察して、アイナもふぅ、と息をついた。

「なんでもどんとこいですわ。エミリアちゃんはアイナのお菓子友達なのですから、ね。」

アイナの声は、先ほどまで早口でまくしたてていた勢いが嘘のような、穏やかで優しい口調だった。

434 名無しさん :2019/02/13(水) 02:37:21 ID:???
「アイナちゃん。その……私とリザちゃんと一緒に、どこか平和な場所でのんびり仲良く暮らすのとか……どうかな?」

「……え?」

「アトラくんやシアナくんたちと別れることになるけど、……やっぱりアイナちゃんとリザちゃんには十輝星でいてほしくない。私……2人のこと、本当に友達として大切なの!」

「……………………」

「人を殺したり、魔物に襲われて酷い目にあったり……それこそさっきの私みたいな目にあってほしくない。……いつもニコニコ笑顔で可愛くて、見てるとこっちも元気になっちゃうアイナちゃんに、怖い目にあってほしくないの!……だから……!」

「エ、エミリアちゃん……」

エミリアは冗談ではなく、本気で自分たちのことを変えようとしている。
暗殺や魔物退治など危険な任務の多い十輝星をやめて、3人で平和に暮らす……

そんな未来を思い浮かべたアイナの答えは、即決だった。



「……申し訳ないけれど、却下ですわ!!!」

「……うううぅぅ。そんなぁ!なんでよ!」

「だって、当たり前ですわ!十輝星はブラックカードが持てるほど金が稼げるんですもの!高級お菓子や高級ブランド!優雅なランチに豪華なディナー!欲しいものはなんでも手に入るまさに覇者のような生活ですからね!コンビニまで歩いて30分かかるような古代都市での生活なんて、このアイナには似合いませんわ!」

「……ううぅ。」

アイナは自分の趣味に際限なく金をつぎ込むタイプである。
十輝星になる前にスラム暮らしで苦労していたアイナにとって、今のセレブ生活を手放せるわけがなかった。

「もう調味料で味をごまかす必要もない、素晴らしい生活ですもの!ボロ布を纏って隙間風を浴びることもないですわ!それに、十輝星の生活はいい意味でも悪い意味でも毎日が超刺激的!ゴキブリよりも退屈が嫌いなアイナにとって、この仕事は天職なのですわー!」

「……ううぅ……でも……でも……!」

もうこの話はおわり、とばかりにアイナはぴょこんと岩から降りた。
ここで下がってはいけないと、エミリアはなんとか説得材料を探す。

「……まあそんなわけで、この話は終わり……と言いたいですけれど、エミリアちゃんの誘いに乗る方法が1つだけありますわね!」

「え!?なになに!?」

思いがけず示された可能性に、エミリアはぐっと身を乗り出す。
興味津々なエミリアに、アイナは一枚の写真を見せた。



「あれ?これ……リザちゃん?」

「そうですわ。高級なお菓子よりも、オシャレなブランドよりも、美味しい料理よりも、何よりも大切なものがアイナにはありますわ。」

「……そっか!リザちゃんが来てくれるって言ってくれたらってことだね!」

「……ま、リザちゃんにはとても立派な志がありますし、無理だとは思いますけれど……もしエミリアちゃんがリザちゃんを説得できたのなら、アイナはついていきますわよ。……リザちゃんのいない生活なんて、大根のないおでんのようなものですからね!」

「アイナちゃん……!ありがとう!私、リザちゃんのことも頑張って説得してみる!」

3人での平和な暮らしに光明が見えたことが嬉しくて、エミリアはすでに3人で暮らすことが決まったかのように喜んだ。



「……でもリザちゃんの説得は、カニを喋りながら食べるよりも難しいですわよ?……知っているでしょう?リザちゃんが十輝星を続ける理由……」

「うん……でも、リザちゃんは真面目すぎて、1人で背負いすぎているんだと思う。……リザちゃんだけに、アウィナイトのみんなの命を背負わせたくないの。」

「なるほど、十輝星としてではなく別のアプローチを探すということですわね。立場が変わってもアウィナイトを守り続けられるというエビデンス……うーむ……」

(……アイナちゃん、なんか妙な横文字まで使って真剣に考えてくれてる……!やっぱりアイナちゃんも、大好きなリザちゃんには危険な目にあってほしくないのかな……)



「……ま!なんにせよここを出なければ何も始まりませんわ!アイナとリザちゃんとエミリアちゃんの未来は、こんな辛気臭い場所では語れませんわ!場所を変えるなら、煌びやかな夜景の見えるオシャレなホテルがいいですわね!」

「あはは!そうだね!こんなところ早く出て、リザちゃんを誘って遊びに行こう!」

まだなにも決まったわけではないにしても、友情が深まったことを感じた2人は出口を探そうと立ち上がる。

そして──死は突然訪れた。



……ピシィ!

「……んん?」

「え?アイナちゃんどうしたの?」



……ピシピシピシピシビシイイイイィッ!!!



2人の天井の大きな岩に突然、大きな亀裂が走った。


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