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ムーンペタ@ムーンスレ緊急避難所

47ムーンクエスト21/26:2003/09/28(日) 21:14
21
「危ないところをありがとうございました」
 女の子は――女の子って言ってきたけど、落ち着いてよく見ると、わたしより年上みた
い。顔色はまだ青ざめているけど、思ったよりしっかりした口調で話し出した。
「失礼ですが、この町の方ではないようですが……旅の方ですか?」
それは、質問というよりも確認だった。まあ、わたしたちの旅装束を見れば一目瞭然だ
けどね。
 わたしたちは簡単に自己紹介した。もちろん身分や本当の旅の目的は明かさなかったけ
れど。
「まあ、それなら……!」
 わたしたちがローレシアからムーンブルクを経て、ルプガナに着いたばかりだと知ると、
女性の目が輝いた。
「私について来て、どうかうちのおじいさまにも会ってくださいな。さあ、こちらへ」
 彼女についていくと、海の水を自宅に引きこんで、内部にドックを作っている大きな家
に案内された。
「おじいさま、ちょっと……」
 声をかけながら、女の人が家の中に入っていく。戸惑いつつ、わたしたちも後に続く。
 部屋の奥でしばらく話し声がしていたかと思うと、やがて老人が出てきた。
 こ、この人は……!
 うーん、女の人によく似てるわ。
「可愛い孫娘を助けていただいたそうで、なんとお礼を言ってよいやら。そうじゃ! あ
なたがたに船をお貸ししようぞ。どうか乗ってくだされ」
 思わぬ申し出に、わたしたちは歓声を上げた。
 ルプガナより先は海がなければ、どこにもいけないんだもの。
 きっと女の人が話をしてくれたんだろうな。なんていい人なのかしら。
「ラッキー! こういうの棚からぼた餅って言うんだよな」
「違う! 情けは人のためならず、だよ」
 ローレシア王子とサマルトリア王子が後ろでこそこそ話してる。いったい何の話をして
るんだか。
「ありがとうございます。とても助かりますわ」
 わたしはにっこり笑って、老人の手を握った。彼もまた、暖かい笑顔で握り返してくれ
た。
「気をつけてゆきなされよ」

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